交流広場 |
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GW企画運営です。 GW企画は大激戦でしたね。最後まで展開が読めずにハラハラしました。 皆様、本当にお疲れ様でした! 運営一同感謝申し上げます。 結果が伴った方も、悔しい想いをした方も、後夜祭を楽しんでいただければ幸いです。 遅くなりましたが、運営からは交流広場を提案させていただきます。 改稿案がほしい、自作を用いてシェアワールドをしたい、動機は何でも構いません。 感想という形で親スレッドを作り、ご意見があれば返信機能を用いてくださるのがスムーズかと思います。 最低限のマナーが守られれば、何でも構いません。よければご活用ください! 文字埋めに、主催の短編を載せておきます。 今後も精進したいです! タイトル:邪神企画運営萌えキャラ化計画 **本文ここから** 「まぁ、なんという事でしょう!」 システム開発者りんこちゃんは驚愕した。紫色の瞳でパソコン画面を凝視し、唖然とした。整った顔と華奢な両手に汗がにじむ。 カ○ヨムにとんでもないものが投稿されたからだ。 邪神企画運営萌えキャラ化計画 「いつから企画は邪神のものとなったのでしょう? しかも、運営を萌えキャラ化するなんて、果てしなく無謀ですわ! 運営は縁の下の力持ちとなるべきでしょう!?」 りんこちゃんは、紫色の腰まで伸ばした艶のある髪をかき乱す。 彼女の動揺ももっともなのだ。 説明しよう! 企画とは通所ラ研と呼ばれる某所でしょっちゅう行われるイベントの事である。 そのイベントとは、匿名で互いの小説を読み合うというものだ。作者名が分からないため、純粋に作品の評価ができる。 このようなイベントで、邪神ミチルがいろいろ口を挟むのは珍しくない。問題は、奴の思いつきはろくな方向にいった試しがない事。放っておけば、悲惨な運命を辿るだろう。 「企画を盛り上げるために広告したいのは分かりますが、無茶ですわ。運営の誰が萌えキャラになれますの? そもそも運営が萌えキャラになる必要がありますの?」 りんこちゃんの脳内はハテナが絶えない。 そんなりんこちゃんにトドメを刺すように、邪神ミチルからメールが来た。 ツイッターに邪神の自画像アップしといたよー。すっごく萌えるのだーww 見てねー♪ 「何を考えていますの……?」 りんこちゃんは恐る恐るツイッターを開く。 そこには、たしかに写真がアップロードされていた。 しかし、予想とは大きく違った。 脂汗ギトギトの怪しい目つきのおっさんのイラストだ。鼻毛と無精髭を惜しみなく生やした顔には可愛いのかの字もない。 返信欄を見ると、阿鼻叫喚だった。 俺の期待した時間を返せ、イラストの完成度が残念すぎる、うぎゃーやめろーなど。 「私は何も見ておりませんわ」 りんこちゃんはツイッターをそっ閉じ。パソコンを閉じて、何もなかったと自分に何度も言い聞かせる。 しかし、運命は残酷だ。 追撃を掛けるように、邪神ミチルからメールがきた。 邪神の自画像を、りんこちゃんがナイスなシステムを作ってツイッター以外にも広げるのだー♪ 頑張るのだー☆ 「信じられませんわ!」 りんこちゃんは両目を見開いた。 「また私の仕事が増えますの!?」 ふと、りんこちゃんのスマホが鳴る。 電話がきていた。運営仲間の少佐からだ。電話を取ると、ぷりてぃーボイスが発せられる。 「りんこ殿、大変である」 口調は軍人なまりであるが、声音が愛くるしい。思わず聞き惚れてしまう。 少佐の話は続く。 「ツイッターで、邪神ミチルがりんこ殿と親友であるというアピールを繰り返している。そして、りんこ殿が邪神ミチルの画像を広めると宣伝している」 「そうですのー」 りんこちゃんは気のない返事をしていた。少佐のぷりてぃーボイスは、聞いた人間からまともな判断力を奪う魔性の声だ。 しかし、少佐にはそんな自覚はない。 「邪神ミチルの画像に激怒したオタク達が、りんこ殿を消そうとしている。暗殺に気をつけてほしい」 「そうですのー」 りんこちゃんは気のない返事をしていた。 少佐の声音に焦りがにじむ。 「り、りんこ殿。小生はとんでもない事を言ったのだが、聞いていたか?」 「そうですのー」 「りんこ殿! しっかりしろ!」 「そうですのー」 少佐のぷりてぃーボイスを耳にして、りんこちゃんは幸せいっぱいであった。花のほころぶような笑顔を浮かべている。 しかし、少佐は気が気でないようだ。 「電話で伝わらないなら直接行く。警察は当てにならない。時間稼ぎを頼む! オススメは火炎瓶だ」 電話が切れた。 りんこちゃんは、ほがらかな笑みを浮かべる。 「少佐かわいいーのですわー。お電話がきて嬉しいのですわー」 りんこちゃんは、机に飾っていた少佐を模したぬいぐるみをギューッと抱きしめる。少佐は、緑色の短髪を生やしたボーイッシュな女の子だ。濃緑色のタイトスカートがエロかわいい。 「暗殺に気をつけてほしいと言われたから、りんこ頑張るー」 そう呟いて、りんこちゃんは真顔になった。 「暗殺に気をつける……?」 りんこちゃんは、とんでもない情報を得ていた事にようやく気づいた。 少佐から言われた事を思い出す。 邪神ミチルは、自らの画像をりんこちゃんが広めると言っていたらしい。 「デマを流されたせいで命を狙われるなんて!」 少佐ぬいぐるみをそっと机に置く。 念のためにパソコンを開いて、ツイッターを確認する。邪神ミチルへの返信欄はもちろん、りんこちゃんにも恐ろしいメッセージの数々が届いていた。 邪神の仲間は人類にあらず、海へ帰れ、などなど。 「脅迫ですわ!」 りんこちゃんはすぐに警察に電話を掛ける。 しかし、なかなかつながらない。 「こんな時に……!」 永遠とも思える時間が過ぎる。そんな時に、窓から大量の足音が聞こえ始める。 恐る恐る窓の外を見れば、プラカードを持った老若男女が近づいてきていた。 プラカードには様々なメッセージが書かれている。 『邪神を許すな!』『萌えを期待した俺の青春を返せ!』『拡散反対!』 りんこちゃんの心臓の鼓動が早まった。 「どうすればよいのでしょう!」 髪をかきむしる。 ようやくの事で、警察に電話がつながる。 「もしもし、事件ですわ!」 「た、ただいま警察は邪神の毒気に当てられています。あのイラストが猛毒すぎます……またのご利用をお待ちしております」 警察も邪神の画像を見て、正気を失ったようだ。 電話は一方的に切られた。 切られた途端に、別の人間から電話が来る。 少佐からだった。 「敵が想定外に多い。小生の救援が間に合わなかったら、迷わずに降参するべし」 ぷりてぃーボイスに癒やされる。 りんこちゃんは現実を忘れてホッとしていた。 「そうですのー」 「ああΣ また気が抜けている! 分かった、すぐに行くから持ってくれ! できるだけ安全な場所に避難するべし!」 電話は切られた。 りんこちゃんは正気に戻った。 「安全な場所ってどこかしら……?」 インターホンが何度も鳴らされる。 玄関の外から怒声と殴打音が聞こえる。玄関のドアを蹴破ってくるのも時間の問題だろう。 「萌えを! 萌えをくれ!」 暴徒と化した市民の訴えを、りんこちゃんは震えながら耳にしていた。 「どうしましょう。少佐は火炎瓶がオススメと言っていたけど……材料が足りませんわ」 台所の空き瓶を数えるが、せいぜい三本だ。戦うのは無茶だ。 「降参しても、きちんと聞き入れられるかどうか……」 人の耳は万能ではない。聞く気の無い事柄を拾えるほど高機能ではない。 降参しても信用されない可能性がある。 りんこちゃんは絶望的な状況に立たされていた。 ため息を吐くと、お腹の虫が盛大に鳴った。 「こんな時に……おめでたいお腹の虫ですわ」 りんこちゃんは呟いて、一人で笑った。 すると、奇跡が起こった。 「宅配ピザでーす。お届けにきましたー」 何が奇跡か分からない人に解説しよう。 お腹の虫が鳴ったと同時に、注文していたピザが来た。奇跡的なナイスタイミングなのである。 などど解説した所で誰も奇跡とは思わないかもしれないが、りんこちゃんには救いの神到来であった。 「ああ、空腹が満たされますわ!」 りんこちゃんは玄関を開けてしまう。暴徒の存在を忘れたわけではない。しかし、ピザが冷めないうちに触れたかった。 ピザの外装はシンプルな箱である。 配達員は中身を見せてくれた。 トマトソースとモッツァレラチーズをふんだんに使った逸品だ。バジルが彩りを添え、所々にある焦げ目が食欲を引き立てる。見た目もさることながら、熱気と香りも一級品だ。 ピザの王道中の王道、マルゲリータの到着である。 「こちらで間違いないですかー?」 「ええ、大丈夫ですわ」 「あい、どうもー」 支払いがすむと、ピザを渡される。 箱から温もりを感じる。口をつけていなくても分かる。美味い。美味しい時間は短い。すぐにでも食べなければならない。 りんこちゃんは玄関に入ろうとする。 しかし、柄の悪い男に右腕を掴まれる。 「おい、てめぇがりんこか。よくも邪神の画像を広めるなんておぞましい事を考えたな。やつざきに……!?」 八つ裂きにしてやる。 おそらく、男はこう言いたかったのだろう。 しかし、りんこちゃんの顔を見ると殺意にまみれた表情が一変した。 「か、かわいい……!」 尊いものを見る目つきになっていた。男は何を考えたのか、両膝と両手を地面につけて、何度も地面に頭を打ち付ける。 「あなたは萌えの神だ! 俺なんかが腕を掴んですいませんでした!」 「え、えっと……?」 りんこちゃんは、自分の可愛さを理解していないため何を言われているのか分からなかった。事態が把握できない間に、なんと他の市民が土下座を始めた。 「尊い」 「触れてはいけない美がここにある」 「きっと邪神ミチルのあげた画像はフェイクだ。この方こそ、真の萌えの神だ」 口々にりんこちゃんを褒め称える。 りんこちゃんは両目をパチクリさせた。 とりあえず、そっと玄関のドアを閉じて、ピザを食べる事にした。 りんこちゃんが平和にピザを食べていると、スマホが鳴った。 少佐から電話がきていた。 「りんこ殿、萌え神となったのは本当か? ツイッターで流れているのだが」 「デマですわ」 作者としては、この質問にこそ「そうですのー」と言ってほしかったが、りんこちゃんの意識は明瞭だった。ピザのおかげかもしれない。 「よく分かりませんが、みんな帰っていきましたわ」 「うむ、良かった。ついでに萌え神になるといい」 「私はシステム開発者ですの。自分から表に出ようとは思いませんわ」 凛とした口調だ。固い決意の表れなのだろう。 「了解。これからも健闘を祈る」 少佐は納得したようだ。電話を切る。 しかし、納得していない者もいた。 「じゃっしーん!! りんこりんこそ萌えなのだー!!」 天井から間の抜けた声が聞こえた。 次の瞬間、轟音が鳴り響いた。見上げれば、天井に徐々にヒビが入っていた。 「な、何事ですの……?」 りんこちゃんが事態を把握するより先に、天井が崩れ落ち、巨大な穴があいた。ピザを食べている場合ではない。 穴からヘドロを思わせるような腐臭を放つ物体が落ちてきた。形の定まらない液体状の物体で、黒々としている。 そいつこそ、邪神ミチル。可愛いのかの字も、萌えも感じさせない存在だ。 「じゃっしーん!! りんこりんはシステム開発者兼萌え神となるのだー!!」 書き忘れていたが、邪神ミチルの声はボイスチェンジャーを使ったかのような、とても低い声だ。戦慄を感じさせる。 りんこちゃんは鼻をつまみながら応じる。 「私はシステム開発者で充分ですわ」 「ダメなのだー!! 許さないのだー!!」 邪神ミチルは辺りに黒い液体と腐臭をぶちまける。 このままではピザの香りが台無しである。 なんとかしないと。 りんこちゃんがそう考えた時に、邪神ミチルは図々しくもピザに触手を伸ばして吸収していた。 「美味いのだー、今日は満足なのだー」 「ああああ私の楽しみをををを」 「欲しくなったら、また注文するのだ♪ さらばなのだー!!」 そう言って、何をしたかったのかよく分からない邪神ミチルは穴の空いた天井から飛び去った。 「せめて補修をしていってくださいまし!」 りんこちゃんの叫びが届いたのか。 一枚の紙切れがひらひらと落ちてきた。 レッ◯ブル。仕事を授けるー♪ 顔を引きつらせながら裏返すと、こう書かれていた。 企画投稿室をデコレーションするのだー♪ 給料は邪神の笑顔! 「簡単に言わないでくださいまし! 天井の補修をどうするか聞きたかったのに」 りんこちゃんはため息を吐いた。邪神ミチルには何を言っても仕方ない。 風通しの良い天井の元で、企画投稿室のプログラムを組みながら、修理屋を手配するのだった。 ※補足:修理費はりんこちゃんを萌え神を崇める連中が寄付してくれたよ。たぶん少佐が集めたのかな? やったね☆ ※補足:企画投稿室に流れるメッセージが愉快です。どうぞご覧ください♪ |
GW企画運営 3019年05月17日 06時53分21秒 公開 ■この作品の著作権は GW企画運営 さんにあります。無断転載は禁止です。 |
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