【跡地化】中二病の僕は特殊なゲーム世界へ召喚されました

Rev.04　枚数： 3 枚（ 840 文字）
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◆◇◆◇◆◇◆　この作品は跡地化されました。　◇◆◇◆◇◆◇
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でんでんむし

2022年12月24日 16時48分32秒 公開
■この作品の著作権は でんでんむし さんにあります。無断転載は禁止です。
■作者からのメッセージ
◆キャッチコピー：僕の中のあいつが目覚める！
◆作者コメント：

カクヨムに投稿するかもしれないので跡地化させていただきました

2023年01月16日 20時48分45秒
 作者レス
  • まずはこの大冒険をクリアー（読破）してくださった四名の勇者様に心より感謝を。

    今回はまさかの上限が１６万字！　そんな作品を企画に投稿したらどうなるのか、ドキドキワクワク感が抑えきれず、再び創作意欲が沸いてきました。

    今作は特に作者の（無駄に拘った）趣味全開というか、マニアックなネタが満載の作品だったので、読んでくださった方々には本当に感謝です。

    上限は無限みたいなものなので好き放題書いて、満足したら適当に締めようなどと甘えていたら、あっさり文字数を使い切ってしまって、結局いつものように調整に苦戦する作品となりました。無限の文字数なんてどこにもなかったのですね（笑

    また、読者側としても作品の数的にはそこまででもないので、感想制覇は問題ないと思っていたら、年末の忙しさを完全に舐めていまして、体調を崩したこともあって、血反吐を吐きながら制覇を目指しました。
    自分が掲げた目標だったので、書くにしても読むにしてもなんとか自己満足感は満たせました。作品を投稿してくださった作者様方には自分の自己満足に付き合って頂いたことに感謝いたします。

    全体の感想としてはやはりレベルが高く、特に１６万字作品はどれも別方向に強烈な強さを持つ印象でした。もっと難しいタイプの１６万字を想定して感性を全開にして挑んだのですが、よもやここまで心に刺さるとは思っておらず、別の意味で予想を大きく上回った作品の数々でした。
    それ以外も優勝作品を含め、文字数の不利をものともしない強さを持つ作品ばかりでしたね。しかしジャスト８００文字と１６万字が両方揃ったのは奇跡的な出来事ではないでしょうか。良い記念になりました。

    今回、全力でぶつかった事により得た様々な感情は、是非ともこれから書く作品に活かしたいところです。久々に死ぬ気で大長編を書けたし、今なら何でも書ける気がします。

    それでは失礼します。今回も参加させていただきありがとうございました。

    E-Mail pass
2023年01月14日 23時55分22秒
 +30点
  • 　十六万文字の本作を拝読いたしました！　朱鷺（とき）と申します。
    　これだけの文字数にもかかわらず、最後まで読者を引きつける筆力に感嘆いたしました。しかも、まだ描きたいことを残しているな、という読後感にすこし畏怖の念を感じます。最後に向けての盛り上がりも見事で面白かったです。　お疲れ様でした。

    E-Mail pass
Re: 2023年01月15日 19時51分58秒
  • 朱鷺（とき）様　１６万字もの長編、最後まで読んでいただき本当にありがとうございました。

    順位を見た時、あれ？　なんでこんなに高いんだ？　と思ったら滑り込みで感想を頂いていたのですね。感激で心が躍ってしまいました。

    ＞　これだけの文字数にもかかわらず、最後まで読者を引きつける筆力に感嘆いたしました。

    なんだかんだで、やはり書き手としての自分はこの手の感想が一番嬉しいものです。長編を最後まで引っ張ることができた手ごたえと快感は極上です。

    ＞しかも、まだ描きたいことを残しているな、という読後感にすこし畏怖の念を感じます。最後に向けての盛り上がりも見事で面白かったです。

    最終戦は特にマニアックな趣味に走ってしまった部分が多く、ちょっと長かったかな、と思っていたのでうまく乗っていただいて本当に嬉しい限りです。

    ちなみにこの感想が無ければ自分のポイントは１５００だったので１０位でした。最後の瞬間に倍近いポイントと順位を引き上げてくれたことに、感謝の思いが強すぎて、うまく言葉にできません。

    繰り返しになりますが、大長編を最後まで読んでくれて本当にありがとうございました。

    E-Mail pass
2023年01月06日 21時24分00秒
 +20点
  • 　読了しました。

    　色々書いたんで誤解を生まないよう、これだけは最初に断言しておきます。
    　すごくお上手な作品だと思います。この一点に関しては絶対に疑いようがありません。その点は考慮した点数評価を付与していますので、そこに関してはご安心ください。

    　構成が非常にすっきりとまとまっていて、キャラクターの配置やストーリーの組み立て方にも散らかったものがなく、それらが物語全般の「分かりやすさ」「把握しやすさ」を演出していました。
    　基本に忠実と言えば良いのかもしれませんが、徹底的に「自分の色」「作者の色」を封印している感じがしたんですよね。「どこかで見たような物語構成」「どこかで見たような設定世界観」そうしたものの積み重ねで、でも「どこかで見たような」に忠実であるがゆえに、「ああこれ系の話か、これ系の設定か」とすぐに理解してもらえるような作りになっている。でもそれって誰にでもできることじゃ決してなくて、一定の経験値とクレバーな脳味噌してないとできない工夫でもあると思います。
    　そうした工夫により、何が起こっているのかこれからどうしていくのか、それらの把握が漏れる瞬間が非常に少なかったのは長所と思います。ゲームの中に飛び込んで戦うという世界観や脱出のために魔王を倒すという目的、途中で登場するガジェットの数々が「ああこういう奴ね」とすっと頭に入ってきます。クレバーな戦略だと思います。

    　上記の狙いは伝わりましたし、それが読みやすさに繋がっているのも確かに感じました。
    　ただ前編通して高い可読性を維持し続けたかと言われるとそうではないなと感じた箇所もいくつかありました。
    　上記のようにこの作品を構成しているガジェットは構造がシンプルなのみならず、その総量も400枚という枚数から考えると少ないんですよね。簡単に説明できる上、そもそも説明されるまでもなく「あーこういう奴ね」で把握できる場合がほとんどです。これは長所でもあると思います。
    　しかし気になったのは、そうした簡単に説明できてかつ既視感のある要素が色んな場面で何度も出現し、その度に分かり切った内容の説明が親切におさらいされるということです。その上その説明も無茶苦茶丁寧で手厚いので、ちょくちょくこれに飽きますし、焦れるんですね。
    　説明が長ったらしくなっても、新しい要素が出現するのならその目新しさにわくわくできますし、要素自体に魅力があるなら多少複雑でも、いや複雑だからこそ説明を聞いて理解することに楽しさがあります。そうしたところにも現実とは違う物語世界の魅力は詰まっているものなのですが、しかし今作は『分かりやすさ』『理解しやすさ』に秀でている反面、『広さ』『深さ』『味わい』が確実に犠牲になっていると感じます。
    　そうした『ステレオタイプ故の長所と短所』は設定世界観のみならず、シーンや文章の構造にも表れています。特に顕著だなと感じたのはミリアが正体を現すシーンの
    　『そして、彼女は服に手を当て、強引に脱ぎ捨てた。　すると、次の瞬間、目の前には鋭い目つきの女剣士の姿があった』
    　という文章。これ何を見て『女剣士の姿』と判断したのかがスッパリ省略されてるんですよね。『これこれこういう装備をしてどこにどんな剣を装備していた』から『女剣士だと分かった』の部分がすっぱり省略されているんです。ラノベ読んでたらまあ『女剣士』とだけ言われれば『女剣士』のステレオタイプをすぐに思い浮かべられると思います。しかしこうも稚拙とか雑とか言われかねない描写を、良くもここまで押し通すなと感じました。作者様の文章力なら描こうと思えばいくらでも描けるはずなのに、無駄だと感じるところは芯だけ残して徹底的にそぎ落とす。素晴らしい徹底ぶりだと思います。
    　無論、そんなものは作者様自身承知の上でやってるんだと思います。何を優先するのかを取捨選択した結果そうなったというだけなんでしょう。これについて、作品を通し読者は作者から『そんなことは分かってる。分かった上でそうしたの。で、結局あなたはそれが好きなの？　嫌いなの？　面白かったのそうでないの？』と問いかけられることになると思いますが、正直私には合わなかったんですよね。

    　この作品の作り方はある意味で無茶苦茶尖ってます。こうした書き方が好きな人は確実に存在しますし、何ならかなり多いと思いますし、そっちを相手に商売して成功した例なんていくらでもあります。
    　合わない人間はテキトウに距離を置けば良いというのは、『住み分け』という言葉を使うまでもない普遍的な真理ですし、ですので本来なら上記のような点は長所のみを掬い上げて語るべきなのかもしれません。
    　しかし自分はこの作品を読みながら終始上記のようなことがぐるぐる回っていました。この煮え切れない生臭い思考をどうしたものか？　本来ならもっとしっかり煮詰めて煮詰めて作者様に役立つような完成した助言・理論の形に昇華してから書き記すべきなのかもしれないですが、それが出来るなら自分の現状はもっともっとマシなはずなんで、つまり無理なんで、ありのままそのまんまアウトプットしておこうと思います。正直しょうもないこと言ってる自覚はありますが、それしきのことしか言えないなりに、何かは言っておかないと感想文としての体裁保てないんで。ご勘弁を。



    　後は他に感じた具体的なことをいくつか。

    　キャラクターは多彩かつ魅力的です。上記のようなシンプルかつしっかりした土台の上に、魅力的なキャラクターを躍らせられればもちろん良い作品に仕上がります。そうしたものになっていたと思います。
    　レオンが特に気に入りました。ヒール役という前提があるからこそ良い顔をさせなくて良いという中で、ヘイトコントロールに纏わる悩みからある程度開放された中で組み立てられたキャラクターだからこそ奥深さが出る、というのは稀に良くある現象だと思います。
    　センナ・ヒカリ・リルとヒロイン達は皆それぞれに固有の良さを持っていました。『俺』の活き活きとしたハイテンションぶりも読んでいて楽しく、ハナに付きかねない無双シーンも、こいつと切り替わるからこそ爽快さを感じ取れたかもしれません。
    　ただ主人公『僕』はあまり好きになれませんでした。終始自分を卑下し続けるのがハナに付きますし、そんな彼の成長が物語の根幹を担うにしても、その言動・独白の軽薄さから彼が苦悩している感じが伝わりにくくなっているんですよね。自分の体質に都合の良い世界で楽しい思いをするシーンが中心であることもあり、『葛藤し』『苦難を乗り越え』『成長する』というプロセスを感じ取りにくく、それでいてラストの成長度合いもほんのりとしたものに留まっていました。とはいえこれについてはある種の読者が感情移入しやすくストレスを感じにくくするための『取捨選択』の類なのかもしれません。
    　後はヒロイン達の人格面については個性的に出来ているものの、戦闘面・技術面での特性の描写は、もっと踏み込めるものを感じました。ヒカリのヒール技術の高さについても単に『上手いから』『練習したから』センナの飛び抜けたプレイヤースキルについても『天才だから』と簡素な理由付けに留まり、その簡素な理由で全て説明してしまっている為、面白みや強さの説得力には欠けたかもしれません。それで強いのは分かるけどそれはそれだけでこんなあっさりと難局を乗り越えられる程なのか、そもそもこんなあっさり乗り越えられるのなら言われている程この場面は難局なのか、そう言ったことを頻繁に感じました。次々と手柄を立て誰よりも先に魔王に辿り着き撃破できる連中なのなら、それだけの根拠をもっと煮詰める余地はあったと思います。

    　後は『ダメージを受ける程強くなるがダメージに痛みを伴う世界』というアイディアは強かったと思います。そこに無痛症の主人公をぶつけるのは、それだけで爽快な活劇を期待できます。
    　これは意見というか私の個人的な妄想話なんですが、こういう『主人公にとって都合の良い設定の中で有利に戦う』系のアイディアって、主人公を物凄い人格者にして有利性を世の為人の為に発揮し続けそれでいて奢らない感じにするか、逆に徹底的に私利私欲の為に使わせるかにするのが好みだったりします。好みなのは間違いありませんが、善にも悪にも振り切れてない人間にこうした有利性を持たせてしまうとなんかムカつくんですよね。「ぼくだったらこんな善い事ばっかりに使えない、すげぇ」と思わせるか「こいつ糞だけどおもしれぇｗｗｗ」と思わせるのが好きです。そういう話いつか書きたいとこれ書きながら思いました。たぶん後者にすると思う。
    　こういう『ぼくならこうする』を読者に喚起させられるのって、設定それ自体の魅力の高さはもちろん、それを作品内で活かしきってるからこそ感じさせられることなんですよね。その他のガジェットをシンプルに抑えても尚世界観に魅力が備わるのは、根幹となるこのアイディアの良さゆえだと思います。この点は本当に良かったと思います。



    　本当に色々書きましたが、最初に断言したとおりすごくお上手な作品です。それは間違いありません。
    　読んでいて悔しいと思う場面も数多く、本当に多く、その悔しさが逆噴射したが故の感想文です。無礼な発言の数々は私の歯ぎしりの音とご理解くだされば幸いです。高い練度を伺わせる優れた技巧の数々に関しては、嘘偽りなく本心からの敬意と羨望を表明しようと思います。好みではありませんが、確かに素晴らしい作品でした。

    　創作お疲れ様です。これからもがんばってください。

    E-Mail pass
Re: 2023年01月15日 19時27分19秒
  • 粘膜王女三世様、心に響く熱い感想をありがとうございました！

    ＞すごくお上手な作品だと思います。この一点に関しては絶対に疑いようがありません。その点は考慮した点数評価を付与していますので、そこに関してはご安心ください。

    ご配慮くださりありがとうございます。点数システムというのは便利なもので、感情が先走ってうまく文字にできなかったとしても、点数でだいたい伝わるだろう、と思ったらよく考えたら結果が出るまで点数が分からないんでしたね。自分はこの手の配慮が足りなかったと反省したおります。

    ＞構成が非常にすっきりとまとまっていて、キャラクターの配置やストーリーの組み立て方にも散らかったものがなく、それらが物語全般の「分かりやすさ」「把握しやすさ」を演出していました。

    １６万字もある上にネタ多めでシステムがややこしいので、今回は特に取り返すように分かりやすさを重視しておりました。

    ＞徹底的に「自分の色」「作者の色」を封印している感じがしたんですよね。

    よほどの才能とセンスが無い限り、自分の色や作者の色は出しすぎるほど失敗の道へ進むと思っておりますが、抑えすぎたら『無』になってしまいますね。この調整が難しいのですが、今回はちょっと抑えすぎたかもしれません。

    ＞その上その説明も無茶苦茶丁寧で手厚いので、ちょくちょくこれに飽きますし、焦れるんですね。

    ここはバリエーションがワンパターンになってしまったのが原因ですね。その度に説明するのはちょっとしつこすぎたかもしれません。

    ＞しかし今作は『分かりやすさ』『理解しやすさ』に秀でている反面、『広さ』『深さ』『味わい』が確実に犠牲になっていると感じます。

    今回は特にライトらしさというか、『気軽に読める』みたいなのを意識したのですが、ちょっとそっち方面に意識を向けすぎたかもしれません。バランスが大事ですね。

    ＞ミリアの変装シーンについて

    この辺りで文字上限が危なくなってきたのに気が付いて、露骨に焦りが文章に出てしまっています（汗

    自分の中で外見描写の優先度は低く、実際に省略したのは確かですが、ちょっとやり方が酷すぎましたね。ミリアはそこまで重要度が高いキャラでないにしても、モブと言えるほどでもないのどころかステージ３ではキーキャラと言っても過言ではないので、もっと気をかけた方がよかったですね。この手のミスはどんな作品を書いても絶対に一回はやらかしてしまいます。
    大昔、気合を入れて３００枚くらい書いた長編の序盤で「大量に襲い来るモブどもを俺は眠れる力を開放して一掃した」みたいな文章を書いたら『モブって誰ですか？　どんな見た目ですか？　そもそも男ですか？女ですか？年齢は？　外見の説明がないので読む気が失せました。－３０』みたいなのを食らって速攻で削除して作者名を含める全てを封印して三日くらい寝込んだのを思い出して肝が冷えました。

    ＞レオンが特に気に入りました

    おお、これは意外！　ありがとうございます。実は書いていて一番楽しかったキャラでした。

    ＞『俺』の活き活きとしたハイテンションぶりも読んでいて楽しく、ハナに付きかねない無双シーンも、こいつと切り替わるからこそ爽快さを感じ取れたかもしれません。

    『俺』は二番目に書いていて楽しかったキャラでした。しかし正直、味方（作者的には中立ですが）キャラでこれはまずかったか？　と思っていたので良い方へ受け取ってもらって嬉しかったです。

    ＞ただ主人公『僕』はあまり好きになれませんでした。

    『僕』は『俺』との対比もあってかなり卑屈な性格にしました。たまにこういう『中途半端なダメ人間主人公』みたいなのを書きたくなるのですが、間違いなく需要がありません。そうでなくても書き方がよくなかったような気がします。このままダメ人間で物語を終えたかった気もしますが、長編でそれはまずいと思ったので、とりあえず成長要素も入れてみました。この『とりあえず』が非常によろしくなかったと思っています。
    まあ、やはり一番の原因はモチベーション不足でしょう。他キャラも含め、この手の難しいタイプのキャラと隅々まで向き合う気合が足りてなかったのだと思います。

    ＞後は『ダメージを受ける程強くなるがダメージに痛みを伴う世界』というアイディアは強かったと思います。そこに無痛症の主人公をぶつけるのは、それだけで爽快な活劇を期待できます。

    ありがとうございます。今回はとにかくこういった『システムと体質を利用したなろうっぽい爽快感のあるゲームバトル』みたいなのを書きたいという方向性へ全てのモチベーションが働いておりました。褒めていただいて嬉しかったです。

    ＞そういう話いつか書きたいとこれ書きながら思いました。たぶん後者にすると思う。『ぼくならこうする』

    個人的にこの手の感情は書き手として最も重要で、『自分好みに魔改造してもっといい作品にしてやる』みたいなのは非常に強力なモチベーションにつながると思っております。自分もそういう事、多いです。その感情から生まれた作品はとても強い作品に生まれ変わる可能性を秘めていると思っております。

    ＞無礼な発言の数々は私の歯ぎしりの音とご理解くだされば幸いです。

    めっっっちゃ上手な表現をされますね！　感想を読んで表現力と文章力の勉強になったと思ったのは初めてです。

    最後までしっかりと読んでいただき、また熱い思いをいただきありがとうございました。

    E-Mail pass
2022年12月29日 12時26分15秒
 +10点
  • 　中二病らしさに溢れた作品でした。めちゃめちゃ読みやすいです。
    　中二病が重いほど戦闘能力が高い、まではまあ思いつきます。しかしこの作品はそこから一歩踏み込み、「痛み」を重要な位置に据えています。それは虐められた側が暴力を受けた物理的な痛みであり、孤独に苛まれて感じる心理的な痛みであり、中二病がイタいことにもかかっています。中二病企画のテーマと『ダメージワールド』のゲームシステムが噛み合っているのは構造として良いと思いました。
    　また、中二病を感じさせるモチーフが随所に散りばめられていました。
    　サイコパスを自称するやつ、久々に思い出しました。サイコパス診断で満点を取るために予習した経験のある人もいるでしょう（私です）。あとリルの言動をはじめとする、数多のマンガ・アニメのパロディも良かったと思います。中二病の言動は、所詮はマンガ・アニメを模倣しただけの、うわべだけの空虚な言葉未満の何かです。そこがよく描かれていました。
    　読んでいて、ここ新しいなと思えたポイントも幾つかありました。特に、レオンはやたら「クビ」という言葉を使いたがっていました。この描写から、大人の中二病っていう区分を新たに学べたので面白かったです。また、上半身だけになって匍匐しながら無双する作品を私は初めて読みました（これは私の引き出し不足の可能性もあります。でも初めて見ました）。
    「そして『俺』はビチッと血しぶきをあげて跳ね上がる。その姿はまるで陸に釣り上げられる瞬間の魚だった。」
    　ここは特に怖くて良いと思います。魚が釣り上げられてくる瞬間にしている、全然話の通じなさそうな表情が、狂気じみた『俺』の雰囲気とよく重なって素晴らしい表現でした。
    　あと登場人物の口調が特徴的で、大人数で喋っている時も誰が何を喋っているか分かりやすくなっていました。良いと思います。


    　しかし読んでいてストレスも感じました。文章があまりに読みやすすぎて、すぐに流れていき印象に残りませんでした。ゆえに登場人物たちの考えが追い辛かったです。読み返したり描かれていない部分を補完する努力をしたりして、私は初めて読めました。
    　3大ストレスを挙げます。

    1. リックとヒカリが和解したシーン
    2. 別人格の存在意義が明かされるシーン
    3. 「自分の足で前に進む覚悟ができたってことだよ」の意味

    1. リックとヒカリが和解したシーン
    　私としてはなんかフワッと和解したように見えました。
    「そうだったな。ヒカリ、色々と酷い事を言ってすまなかった。俺は君の事をきちんと理解できていなかったんだ」
    　とリックは言いました。これを読んだ時点で「ヒカリは確かにアモンドにトラウマを植え付けたし、敵を回復させるのもアカンから、リックが謝ることはないのでは？」と思ってしまいました。しかしリックは謝って然るべきでした。回復させること自体を楽しんでいたヒカリを、喜んでプレイヤーを廃人にしているヤバい人、と彼は勘違いした訳ですから。
    　それは読み返したら分かります。しかし先ほど申し上げた通り、文章が読みやすすぎて、リックがヒカリを具体的にどう勘違いしていたかが印象に残っていませんでした。
    「危なかった。このままパーティーを組んでいたら、確実に俺達は廃人となっていたぞ」
    「この死神ヒーラーめ！　何が楽しいか知らねえが、人を廃人にして喜んでいるなんて、お前は人間のクズだ！　『化け物』め！」
    　ここ周辺がもっと印象的に書かれてさえいれば、読む側としてはありがたかったです。もしくは、リックが誤解していた内容を和解のシーン中に振り返ると良いと思いました。

    2. 別人格の存在意義が明かされるシーン
    　別人格の正体は、全部自分が悪いのに誰かのせいにしたくてトオルが作り出した妄想だと明かされます。
    　「別人格」の別の言い方が「全部自分が悪いのに誰かのせいにしたくて作り出した妄想」っていうのは、私は読む前から思っていました。だから数回の対話の後に明かされたとき、大袈裟だなと感じてしまいました。
    　主人公にとっては初めての気づきです。読者は主人公ではありません。だから本来、読者の個人的な意見を作中に割り込ませてはいけないはずなのです。なのに大袈裟だなと思ってしまったのは、やっぱり主人公の心の動きが印象に残らなかったからだと思います。
    　トオルが別人格を悪と決めつけて罵るシーンは、読み返してみると結構ありました。その辺がもっと印象深く描かれていれば、数回の対話シーンに納得感が伴ったと思います。

    3. 「自分の足で前に進む覚悟ができたってことだよ」の意味
    　ここは読んでいてどういうことか分かりませんでした。フワッと進歩した感じは伝わってきましたけど、ここはフワッとさせてはいけない場面だと思いました。
    　自分は社会に必要ない人間だと思っていたけど、ゲーム内で活躍して自信が付いたみたいな感じなのか。それともトオル自身が社会に居場所がなかったからこそ、それぞれ問題を抱えたヒカリ・千奈・リルたちに、4人パーティという居場所を与えてあげられるっていう方向性の自信なのか。はたまた、単に二重人格が客観的に見て痛いことに気づいてしまったのか。どれなのか、全部なのか、その辺がいまいち読んでて分かりませんでした。
    　おそらくよく読んだら分かるんでしょうけれども、ターニングポイントがどこなのか全然印象に残っていません。これも印象的に書くか地の文で定期的に確認するかすれば、読者に親切になると思います。


    　登場人物たちの成長、成長しなくても心境の変化は結構大事だと思います。それを読んでいて追いにくかったのは、私としては苦しかったです。心変わりを象徴するような出来事、主人公の心境の吐露、心境を振り返るような会話シーンなど、もう少しありさえすれば私は読みやすかったです。
    　しかしそれは、御作の文章から伝わってくるゲームらしい雰囲気や、中二病特有の勢いとトレードオフであるとも言えます。それらは御作の良さだとも思うので、何とも言えません。
    　作者様が、過去との対話・登場人物たちの成長は添え物的に使っていて、作中におけるメインディッシュは熱いバトルとハーレムだとお考えなら、私の感想は全無視でも良いと思います。
    　ありがとうございました。

    E-Mail pass
Re: 2023年01月15日 19時21分57秒
  • ディスイズ春菊様　最後まで読んでいただき本当にありがとうございました。

    まずはこの感想を読んで本作をとても深く読んでくださったのがよく伝わってきました。心より感謝いたします。

    ＞中二病らしさに溢れた作品でした。めちゃめちゃ読みやすいです。

    ありがとうございます。読みさすさは一番意識していたので、第一目標は達成できてよかったです。

    そして『痛み』の解釈をここまで深く理解して頂けるとは……感謝が大きすぎて言葉で言い表せません。

    ＞サイコパスを自称するやつ、久々に思い出しました。

    自分が中二の頃のクラスメイトがモデルのエピソードだった気がします。確かにサイコパス診断で満点を取ったのがどうとか言っていた気がします。実際に人を殺したことがあるらしいです。

    ＞（私です）

    なんですとぉ！？

    ＞レオンはやたら「クビ」という言葉を使いたがっていました。この描写から、大人の中二病っていう区分を新たに学べたので面白かったです。

    学生の中二病の特徴として『周りの奴らは無個性なモブ共で、俺は選ばれし特別な人間だ』となるのに対して、大人（社会人）の中二病の特徴は『周りの奴らは仕事ができない無能で、俺は仕事ができる有能な人間だ』となるのだと思っております。拗らせるとすぐにクビにしたがります。

    ＞また、上半身だけになって匍匐しながら無双する作品を私は初めて読みました。

    自分も初めてだと思います（笑）　表現もかなり特殊にしてしまったのですが、評価していただいて嬉しかったです。

    ＞あと登場人物の口調が特徴的で、大人数で喋っている時も誰が何を喋っているか分かりやすくなっていました。

    大人数の会話は小説において最も難しい書き方の一つだと思っていますので、うまく書けていたみたいでよかったです。


    三大ストレスについて

    １　これは作者がよくやってしまう『作者だけが分かっている』のをやってしまったパターンですね。確かに勘違いしやすい場面だったかもしれません。

    ２　ここはもっとよく伝えた方がよかった、というより書き方の問題ですね。もっとインパクトのある書き方をすればよかったかもしれません。作者の中で優先度が低かったのですが、読者様にとってはそうでなかったパターンですね。

    ３　単純に（遊びすぎたせいで）文字数が限界だったので、取捨選択によって主人公の内面を深く掘り下げるのを省略したというのはあります。また、今回は『ゲームらしく』『爽快感のあるバトル』『できるだけおもしろおかしく気軽に読める』みたいなのをコンセプトにした作品に挑戦したかったので、主人公の内面をこれ以上深く掘り下げすぎると重くなりすぎる予感がしました。それを恐れてなるべくライトにしてみたのですが、多分、この調整をミスってしまってフワっとするのが許されない作風を作ってしまったのだと思います。最近は重いのばかり書いていて、久々にライトな作風に挑んだのでうまく書けなかったみたいです。
    ちなみに自分なりの解答としては後者よりで、初めて友達ができたので自信がついた。同時に『僕』は自分の能力の低さを卑下する性格で、自分に自信が持てなかったのですが、『俺』の方はそれを気にせず好き放題に生きている。それを許せないと思いつつも、『僕』はどこかその生き方に『憧れ』のような感情を持っていました。要は憧れによる嫉妬だったわけです。ただ、それを認めたくない思いもあって、心の底で『俺』みたいに生きてみたいと思いつつも、やはり他人の目や失敗が怖い。今まで失敗は全て『俺』（何か）のせいにしてきたのですが、そういうのはやめて、憧れや嫉妬の感情も認めて、失敗してもいいから、自分で選んで『俺』みたいに生きてみよう。これがイコール『自分の足で前に進む』みたいな感じでしょうか。そう思うようになったきっかけは人格を否定されない友達ができた事や戦闘での勝利、ロックガルドの街を救ったりリックとヒカリの仲直りに貢献できた、等の積み重ねといったところでしょうか。

    うん、やはりダメだ。ごめんなさい。多分うまく説明できてないです。取捨選択でそっち方面の優先度は低くしていたとはいえ、今回の一番の原因はモチベーション不足でしょう。キャラと深く向き合うための根性とか気合とか、あとは文字数とか時間が圧倒的に不足していたようです。

    ＞　しかしそれは、御作の文章から伝わってくるゲームらしい雰囲気や、中二病特有の勢いとトレードオフであるとも言えます。それらは御作の良さだとも思うので、何とも言えません。

    確かにそういった部分はありましたが、本当に優れた作品は両方うまく書けているものです。要練習ですね。

    ＞作者様が、過去との対話・登場人物たちの成長は添え物的に使っていて、作中におけるメインディッシュは熱いバトルとハーレムだとお考えなら、私の感想は全無視でも良いと思います。

    前者と後者で３：７くらいの比率でしょうか。逆の方が受けが良かった気がしますが、今回はこういう方向性にしたかったというのもあります。最も伝えたかった部分というか、自分のやりたかったモチベーションは、『システム×体質を組み合わせたなろうっぽいゲームバトルの面白さ』でした。

    繰り返しになりますが、長編を最後まで読んでいただき、また、深い部分まで考察していただき本当にありがとうございました。

    E-Mail pass
2022年12月29日 06時12分35秒
 +30点
  • こんにちは。１６万字作品読みましたので、感想です。

    異世界転生ものは今や定番ですから、今までの企画でも幾作か見られるものでした。基本的にミチル企画に参加する実力のある作者の書く作品だからどれもそれなりにはクオリティが高く面白かったのですが、ただ、上限１００枚だと、どうしても物足りなさがつきまといました。

    そこへくると、本作品は、１６万字という字数をしっかり活用して、異世界（特殊なゲーム世界）に転生してからクリアして現実世界に戻るまでを描き切った、企画史上でも有数の力作でした。１６万字という字数のパワーは伊達じゃなかった。

    端的に言えば、良くも悪くもゲーム的なシステマティックな作品でした。
    良い意味で言えば、作中に登場するあれこれのルールが上手くバランスが取れていて、長所もある一方で制限もあることで問題が発生する流れは上手かったです。体力が減ったら強くなるとか、現実のゲームのユニットとしては危なくて私では使いこなせないものですが、この作品では良い設定になっていました。その一方、体力減ったらいつ何かのミスで死んじゃうか分からないというヒリヒリした緊張感というのは、やや乏しかったのは残念だったかも。そういう意味では強力なヒーラーの存在が便利であると同時に惜しくもありました。

    登場するキャラも無駄がなく、恐らくプロット段階からよく練り込まれていたのだろうかと思います。最初に登場した時はモブかと思っていたリッックとアモンドが、リックだけとはいえ後から再登場して存在感を示したところなんかも良かったです。特に、主人公の促しによってリックとヒカリを仲直りさせたシーンは、本作品の中で最も印象に残った良いシーンでした。

    小悪党っぽいレオンも、なんだかんだ紆余曲折を経て敵の中ボスとしていい働きだったと思います。倒し方も良かった。最後のリアルでの成長も良かった。

    最後、クリアした後もリアルで会えるような流れとか、主人公が痛みを取り戻すところなんかも、物語を通じて主人公が変化する、成長するところを描いていて、上限１００枚ではなく１６万字だからこその充足感が大きかったところでした。

    一方で残念に思ったところもありまして。それは、作品そのものがテレビゲームのロープレみたいな、きっちりとしたシステマティックさだったところです。先ほど述べたキャラ配置の無駄の無さなどは長所なのですが、ルールがかっちり決まっている世界であるので、意外性がほとんど無いんですよね。

    語りが上手いので、常に先の展開が気になるように読者の興味をつなぐのは成功していますが、ある程度進んでルールが把握できると、多々ある戦闘シーンの展開がワンパターンに見えてしまってくるのです。
    敵を追い詰めた、と思ったら味方のヒーラーが敵を回復してしまって優位を失うとか。逆に主人公の体力が減って優位に立ったと思ったらヒーラーで回復してしまってイーブンに戻るとか。そして最終的には主人公の体力が減った時のパワーで勝つ。中二病企画の作品だからそういう勝ち方でいいのは確かなのですが、全ての戦闘がそのバリエーションの内にまとまってしまっていると感じたので、意外性が欲しかったと思ってしまいました。

    なんというのか、テレビゲームのロープレと、テーブルトークロールプレイングゲームの違いという感じでしょうか。テレビゲームのロープレは、コンピュータがサイコロを振ってちゃんとルールの枠内の結果が出るので公正だし、それはそれで面白いのですが、テーブルトークの場合、プレーヤー側がシナリオに無いような意外性のある行動をとったとしても、ゲームマスターが認めるならばそれも可能という自由度がある。唯一、テーブルトーク的な自由な行動と感じられたのが、先に述べたリックとヒカリを仲直りさせたシーンでした。コンピューターゲーム的にはお詫びとして何かアイテムをもらうところなのでしょうが、そこで仲直りを提唱したというのが、意外であり、だからこそ良かったです。

    また、キャラについて。配置については無駄が無く素晴らしいのですが、キャラそのものは良くも悪くもゲーム的で、キャラクターというよりはゲームのユニットという感じでした。ゲームの中でどれくらいの戦闘力を発揮してどういう欠点があるのか、というのがシステマティックに決まっているので、だからこそ物語として面白い展開ができるのは確かなのですが、その一方でキャラとしての魅力を感じることが難しかった。

    妹の千奈はともかくとして、ヒカリとリルはハーレム要員であるので、主人公といい感じになるシーンに期待していたのですが、そういうのが心に引っかかることなく流れてしまったのは惜しいです。もちろんハーレムだからといってあざといサービスだけ出せばいいというのでもないですが、ここらへん、文章のリーダビリティとの相性の関係もあったかもしれません。文章は読みやすくてスラスラ読めて当然これは長所なのですが、その一方で読み終わった時に記憶に残りにくいというか、引っかかるところが無いので、さらっと読み流してしまってキャラクターの心境を読み取れなかったような感じでした。

    とまあ、あれこれ問題点らしきことも言ってみましたが、面白かったことは事実です。自分の主観としてだけではなく、客観的に見てもクオリティの高い作品であることは断言してもいいでしょう。
    １６万字企画と言いつつ、実際にはなかなか１６万字書ききれるものではなく、４作品しか出てこなかった（かといって４００枚作品がたくさんありすぎても読むのが大変ですが）という中にあって、過不足無く１６万字書ききった作品という時点ですごいです。

    かんたんですが感想は以上です。１６万字執筆おつかれさまでした。


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Re: 2023年01月15日 19時15分29秒
  • kanegon様　最後まで読んでいただき本当にありがとうございました。

    一度は書いてみたかった異世界転生（？）もので、百枚では絶対に書ききれないので、今回しかないと思っておりました。

    ＞そこへくると、本作品は、１６万字という字数をしっかり活用して、異世界（特殊なゲーム世界）に転生してからクリアして現実世界に戻るまでを描き切った、企画史上でも有数の力作でした。

    異世界転生ものの不満点の一つに完結した作品が少ないというのがあるんですよね。これは仕方ないのですが、アニメとかだとだいたい中途半端に終わります。その鬱憤を文字にして、きちんとラスボスを倒して終わらせるのを作ってやる！　という思いで制作しました。

    ＞端的に言えば、良くも悪くもゲーム的なシステマティックな作品でした。

    ゲームが好きなので、ゲームを題材にした作品をよく読むのですが「ゲームっぽさに対する拘りが足りぬ！　ワシはこんなのがゲーム題材など認めんゾ！」みたいな感じで偉そうにプロの作品に内心でケチをつけていたのですが、当然ながらプロの方そんなのは分かって書いておられますよね。需要が無いからそうしているだけでした。

    ＞体力が減ったら強くなるとか、現実のゲームのユニットとしては危なくて私では使いこなせないものですが

    自分もそういうスキルを持つユニットが大好きなんで頑張って使おうとするのですが、だいたい失敗しますｗ　こういうユニットを使うのって難しいですよね。そのもどかしさがこの作品を生み出したのかもしれません。

    ＞特に、主人公の促しによってリックとヒカリを仲直りさせたシーンは、本作品の中で最も印象に残った良いシーンでした。

    このシーンでライブ感覚で書いたというか、プロットになかったけど急に思いついた的に書けて、意外と上手く書けたのでは？　とか思っていたので褒めていただいて嬉しかったです。

    ＞小悪党っぽいレオンも、なんだかんだ紆余曲折を経て敵の中ボスとしていい働きだったと思います。倒し方も良かった。最後のリアルでの成長も良かった。

    レオンは一番書いていて楽しいキャラではありました。敵なので倒して終わりでよかったのですが、愛着があったのでこういう最後にしてしまいました。

    ＞最後、クリアした後もリアルで会えるような流れとか、主人公が痛みを取り戻すところなんかも、物語を通じて主人公が変化する、成長するところを描いていて、上限１００枚ではなく１６万字だからこその充足感が大きかったところでした。

    個人的にエピローグの各キャラのその後みたいなのが凄く好きで、文字数が許す限りはなんとしても書きたいと思っている派です。

    ＞一方で残念に思ったところもありまして。それは、作品そのものがテレビゲームのロープレみたいな、きっちりとしたシステマティックさだったところです。

    ここはもう『きちんとゲームっぽくしたい』というのを作者が無駄に拘り過ぎたのがよくなかったですね。先ほどの需要が無いというやつです。余計な拘りは失敗への道です。

    ＞ある程度進んでルールが把握できると、多々ある戦闘シーンの展開がワンパターンに見えてしまってくるのです。

    ここも間違いなく今作で一番の弱点です。もう水戸黄門みたいな感じで『死にかける』＝『印籠』的になってしまいました。もう少しバリエーションを工夫できればよかったですね。バトルものを書く難しさを改めて思い知りました。

    ＞また、キャラについて。配置については無駄が無く素晴らしいのですが、キャラそのものは良くも悪くもゲーム的で、キャラクターというよりはゲームのユニットという感じでした。

    今回は『システムと体質の裏を突いて、ゲーム世界でおもしろおかしく爽快にバトルしよう』みたいなのをコンセプトにしたかったのですが、そっちに気を取られすぎて完全にキャラクターがユニット扱いになってしまっていましたね。あとは１６万字もある上にネタ多めでゲームシステム自体をかなりややこしく作ってしまったので『できるだけライトで気軽に楽しく読み進められる』みたいなのを強く意識していたのですが、中二病のお題消化のためについでに『性格が正反対の別人格の自分と向き合って成長する』みたいなのを軽く取り入れてみました。この『ついでに軽く』が非常にまずかったと思っております。

    ＞ヒカリとリルはハーレム要員であるので、主人公といい感じになるシーンに期待していたのですが、そういうのが心に引っかかることなく流れてしまったのは惜しいです。

    うぐぐぐ！　こ、ここは書こうと思っていたのですが、うまく書けなかった気がして大幅にカットしちゃいました。

    ＞もちろんハーレムだからといってあざといサービスだけ出せばいいというのでもないですが

    こんな感じになってしまった感があったので日和ってしまいました（泣

    ＞文章は読みやすくてスラスラ読めて当然これは長所なのですが、その一方で読み終わった時に記憶に残りにくいというか、引っかかるところが無いので、さらっと読み流してしまってキャラクターの心境を読み取れなかったような感じでした。

    ライトな読みやすさを意識しすぎてそれが弱点となってしまったようです。また、心理描写にしても重くなりすぎるのを恐れて中途半端にライト風味にしてしまったのが、非常によろしくなかったと思います。まあ一番の理由は、今回は単純にキャラクターを深くに煮詰めるのにモチベーションが上がらず、筆が乗らなかったというのがあります。

    ＞過不足無く１６万字書ききった作品という時点ですごいです。

    規定文字数を超えた瞬間、目の前が真っ暗になってしまったのですが、なんとか最低目標は達成できたようで良かったです。

    繰り返しになりますが、１６万字という長編を完走していただきまして、本当にありがとうございました。

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