【跡地化】さんざめく思慕のヴァルダナ

Rev.02　枚数： 3 枚（ 840 文字）
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kanegon

2022年12月23日 00時01分20秒 公開
■この作品の著作権は kanegon さんにあります。無断転載は禁止です。
■作者からのメッセージ

本作品は跡地化しました。
作者レスではカクヨムに転載予定と書きましたが、その後ちょっと考えが変わりまして、アルファポリスの歴史時代小説大賞に応募してみようかと考えています。
歴史小説で出せる公募ってアルファか、カクヨムコンくらいなのですが、カクヨムコンは出したくないので。
まあアルファのは、江戸の時代ものしか受賞しないので落選は確実なのですが、それでもどこまで健闘できるのか試してみたい。
５月はじめから６月末まで投稿予定ですので、ぜひ投票おねがいします。



◆キャッチコピー：胸にさんざめく想いに、何と名付ければ良いのだろう。
◆作者コメント：中二病企画、というよりは前代未聞の上限１６万字という、作者も読者も運営もシステムも試される†最強†企画開催おめでとうございます。
というわけで、実際に１６万字作品書いてみました。
内容的には、インドを舞台とした歴史小説です。
しかしこれって本当に読まれるのか、という感じはします。感想数が極端に少なくなってしまうことは想定しています。
本当に大変なのは、期間内に文字数の多い作品を読むことですよね。本作品は、読者が小分けにして読みやすいように、全１６章構成、各章それぞれ１００００字前後。２０００字～３０００字くらいの４節に分けてあります。
企画が盛り上がるかどうかは、活発に感想が書かれるかどうかにかかっていると考えます。雑な読みをして雑な感想を書くつもりはありませんが、なるべく多くの作品を読んで感想を書いて盛り上げていきたいところです。
よろしくお願いします。

第１章　第二王子の夢
第２章　近くて遠い佳人
第３章　兄と妹
第４章　仏陀の言葉
第５章　本生譚の慈悲
第６章　鰐の馬蹄花
第７章　遠征の後始末
第８章　華燭の典
第９章　エフタルの余喘
第１０章　重なる不幸
第１１章　風雲のカナウジ
第１２章　慈悲の報い
第１３章　ヴィンドヤースの森
第１４章　金の兎耳の国
第１５章　ヴァルダナの栄光
第１６章　終章

2023年01月15日 23時10分12秒
 作者レス
  • ここから共通レス４番目、最後です。


    本作品を書くにあたって使用した参考文献は以下のとおりです。
    他にも、買った資料はあるのですが、読むヒマが無かったというのも数冊あります。
    少し前に、とあるラノベが、他の作品と文章が三行ほど酷似しているということで回収処置になってしまったという事件がありました。
    そこへくると本作品などは、歴史的事実を記すような箇所などは三行どころではなく酷似してしまう箇所が当然出てきてしまいます。史実なんで誰が書いても同じになる。そういう観点からも参考文献を記載するのは必要なことなのかなとか思った出来事でした。

    『大唐西域記　２～３』平凡社東洋文庫
    『玄奘三蔵　西域・インド紀行（大唐大慈恩寺三蔵法師伝）』講談社学術文庫
    『人物世界史〈4〉東洋編』山川出版社
    『イスラームの東・中華の西――七~八世紀の中央アジアを巡って』臨川書店
    『ニーティサーラ　古典インドの政略論』平凡社東洋文庫
    『原典訳 原始仏典　上　下』ちくま学芸文庫
    『語りつぐ人びと インドの民話』福音館文庫
    『D28 地球の歩き方 インド 2020~2021』ダイヤモンド・ビッグ社
    『スッタニパータ [釈尊のことば] 全現代語訳』講談社学術文庫
    『日常語訳ダンマパダ ブッダの〈真理の言葉〉』トランスビュー
    『古代インド』講談社学術文庫
    『アレクサンドロス大王東征記〈下〉―付・インド誌』岩波文庫
    『法顕伝・宋雲行紀』平凡社東洋文庫
    『砂漠と草原の遺宝　中央アジアの文化と歴史』講談社学術文庫
    『ペルシア帝国』講談社現代新書
    『文明の十字路＝中央アジアの歴史』講談社学術文庫
    『世界の歴史〈6〉古代インド』河出文庫
    『インド史 南アジアの歴史と文化』角川ソフィア文庫
    『玄奘三蔵　新たなる玄奘像をもとめて』勉誠出版
    『瑜伽・唯識部〈12〉大乗荘厳経論 (新国訳大蔵経)』大蔵出版
    『マヌ法典』平凡社東洋文庫
    『ミリンダ王の問い 3』平凡社東洋文庫
    『インド仏教の歴史』講談社学術文庫
    『タゴール詩集』グーテンベルク２１
    『THE　HARSA-CARITA　OF　BANA』ROYAL ASIATIC SOCIETY



    共通レスは以上です。
    個別レスはほどんど内容ありませんが、しばらくお待ちいただけると幸いです。

    E-Mail pass
2023年01月15日 23時09分35秒
 作者レス
  • ここから共通レス３番目です。


    段落の作り方・一行空け

    →一行空けはウェブ小説なので、これこそ読者の読みやすさのためにやっています。縦書きで紙の書籍にするなら一行空けは無しにします。
    ▼で区切る節を分ける箇所が、必ずしもまとまり通りになっていないのは事実です。ヒキとして機能すればよかったのですが、必ずしもそう上手くは行かなかったようです。



    回りくどさ

    →二重表現的な部分は、確かに多いかもしれません。
    ただそこって、やはり個人の好みの差が大きく出る部分だと思います。
    自分のことを言えば、二重表現は嫌いではありません。むしろ、強調の意図でよく使うことも多いです。
    例えば、
    カラオケで演歌を歌った。
    丸山健二は芥川賞を受賞した。
    新年明けましておめでとうございます。
    一番最初にアニソンを歌った。
    上記はいずれも二重表現といえるものですが、果たしてどれほどの人が気にするかなという感じはします。どこまでを気にして、どこからは気にしないのか。ボーダーラインは人それぞれだと思います。なので、そのボーダーラインの厳しい読者から見れば、上記４つの例文はいずれもセーフだと思うし、好んで二重表現を使う自分の文章は、回りくどく感じるかもしれません。
    試み始めた、に関しては、まあ確かに試みるという語に始めるニュアンスを含む、と言われると、そうのような気もしますが、ベクトルの方向性が若干違うように思います。
    試みる、というのは、必ず成功するとは限らないものです。
    ダイエットのために食事制限を始める、だったら、痩せる痩せないには関係なく、食事制限さえすれば必ず成功ですが、年間でマイナス１０キログラムダイエットのために食事制限を試み始める、の場合は、食事制限をしたからといって必ずしも成功するとは限らないので、試みる、になると思いますし、リトマス試験紙を浸して酸アルカリを測るように短時間で結果が出るものではないので、始める、というワードを使うことになります。
    軍隊の撤退の場合、相手に阻止されれば成功するとは限らないですし、また、撤退すると言って瞬時に達成できることでもないので、試み始めた、で問題ないと自分は思っています。



    最後の部分だけは『解説』、『時代背景』などとして独立させるべきなのでは

    →終章の部分は、期限が近づいていてかなり焦って書いた部分でした。なので散らかった表現になってしまっています。
    ただ、この部分については、章タイトルだけではなく、各節ごとにサブタイトルを付けて、そこで対応可能かなと思っております。カクヨムに転載する時に付けたいと思います。



    自由度という点においては、歴史小説というのは言うまでもなく低い

    →おっしゃる通り史実に縛られると、自由な展開ができません。もちろん、史実よりも面白さを優先して、史実を曲げることも可能ではあります。例えば、本作でいえば最後の対決でハルシャがシャシャーンカ王を討ち果たす展開にするとか。ですが、小さいことならともかく、そういう大きな部分では史実を曲げたくないというのは私のこだわりでもあります。



    動かしがたいものがある中で、自由にできる部分をどうしていくか、それが歴史小説の妙なのでしょう。

    →まさにその通りです。俳句や短歌のような定型詩の醍醐味みたいなもので、制限があるからこそ面白さを出せる、という部分があると思っています。



    日本においてインド史に関する小説がどのくらい書かれてるのか

    →ほとんど無いですよね。陳舜臣さんがムガール帝国を舞台にした作品を書いていたと思います。あとまあ、田中芳樹先生の『天竺熱風録』などはハルシャ王が亡くなった直後のカナウジ辺りを舞台にして大規模な戦闘シーンなどもあります。
    同人誌とかまで含めると、インドを舞台にした歴史物もあるのかもしれません。
    カクヨムには、『スターネーシヴァラ国物語～シャシャーンカ王の罠～』という、本作品とほとんど全く同じ題材の作品があったりします。なお字数も１６万字くらいです。



    十六歳の子が王様になって戦うとかなったら、最初の方はもっと何もかもが上手く行かなくて

    →そうですね。実際に現代日本人の読者が読んで感じるリアリティという面からみても、王になったばかりのハルシャが苦労するシーンを描ければよかったかもしれません。
    ただ、苦労するシーンを書くとなると、締め切りに間に合いそうになかったのと、プロットとして全体のバランスが崩れてしまうのとがあり、そこまで考えませんでした。
    なお、史実のハルシャ王は、１６歳で即位してから２２歳までに連戦連勝で（ベンガルを含むかどうかは疑問だが）北インドのほとんどを制圧しているようです。なので、地位が人をつくるというべきか、王になったのをきっかけに覚醒した、という方向性の方が史実に沿うような感じになりそうです。



    付き人あたりから『（兄貴と比べてどうかはともかく）ハルシャ様も十分に才気溢れるお方』的なこと言わせても良かった

    →ラージャーもハルシャもですが、普通の射撃ではほとんど的を外すことは無く、衝立で視界を遮られた中で、音だけで相手の位置を判断して藁人形に矢を命中させています。現代日本で弓道やアーチェリーをやっている人でも、ここまでできる人はほとんど存在しないと思います。ラージャーもハルシャも、弓矢に関してはチート級に上手い、ということを表現していたつもりでしたが、強調が弱かったでしょうか。
    たしかに付き人あたりが「１０万の兵士の内でも、見えない敵に命中できるのは数えるほどしかいないはずです。王子お二人とも既に達人級です」などと称賛させても良かったかもしれません。なろう系のちやほやシーンってやっぱり大事なんだな。


    考えてみればヒロインこの子一人しかいない

    →言われてみれば確かに女の子要素がラージャシュリーだけだったとは思います。ヤソマティ王妃に関しては色っぽい描写をがんばったのですが、主人公の母親だし、すぐ退場するし。さっき必要だと思ったちやほや要員として、筆頭侍女のヴェラとか女医のスセナなんかを別のシーンで出せればよかったかもです。


    技術面を評価されるのみならずエンターテイメント性も高い

    →まさにエンターテインメント性が面白さのキモとして大事ですよね。最初にも述べた通り、どんなジャンルの作品でも、面白い、をどうするかが最大の難問だとは思います。そこが自分の作品の課題点として考えていきたいです。


    ラージャシュリーを掛けて兄弟で弓の対決をして

    →自分としても、第２章がもたついているとは思っていたので、何か良い改稿案は無いかと思っていたのですが、妹という正体を知る前の兄弟対決は良いですね。参考にさせていただきます。



    第10章から面白くなったのは、事が動き出したこともありますが、序盤・中盤の伏線が回収され始めたこともあると思います。

    →面白い、とは何なのか、が常に考えることですが、ただの出来事を面白く感じさせるのは伏線を上手く回収することなのだと改めて思います。



    戯曲を書いたり、芸術面にも秀でていたとのことで、『中二病』で扱う人物としてはとても適していた

    →おっしゃる通り、詩や戯曲を書いたり、外国の音楽に興味を持ったり、王家だけど次男といった中二病にするには適した人物です。



    冒頭で三蔵法師に登場してもらって、「インドにこういうすごい王様がいた」という風な語りから入るのも手

    →歴史物は登場人物が必ず死んでいるのでデッドエンドとも言われますし、また、題材の歴史を知っている人にはとっくにネタバレしていることなのが問題となります。その緩和策として、冒頭で主人公の死ぬシーンとか最も活躍している山場シーンを描いて、という手法があります。
    おっしゃるように、冒頭で玄奘三蔵法師との関係を出すのも良い方法ですね。



    その後、ハルシャが一人で帰ってくるのも？

    →ここは護衛を付けた方が良かったですね。
    ただ、交渉に二人で行くのは、相手の白フンの方が立場が圧倒的に弱いので、そこの強調が足りなかったかと思います。
    どちらかというと、明らかにヤバそうなシャシャーンカ王との和平交渉にラージャー王が行く方がヤバいと突っ込まれると思っていました。私自身、どうなのよとは思うのですが、史実としてそうなっているようなので、シャシャーンカ王も数に任せて殺すようなことはせずに蚊に偽装するという手段を使わせました。

    お題消化のためにか、無理くり14歳であることを主張

    →企画では、お題消化が弱いとどうしてもそこで評価を下げてしまうので、今回は主人公が中二病という正面突破作品なのでそちらを強調したのですが、仰る通りそこがかえって強すぎてうるさくなってしまったかもしれません。反省です。


    続きます。


    E-Mail pass
2023年01月15日 23時07分26秒
 作者レス
  • ここから共通レス２番目です。


    シャシャーンカ王と決着をつけずに終わっているように見えた
    史実ではここでシャシャーンカを完全に滅ぼせしめた訳ではない、という点がネックになりそう

    →これは、シャシャーンカ王の没年がどうか、というところからでしょうか。
    英語版のウィキペでは６２５年または６３６年とされています。根拠はよくわかりません。
    山川出版社『人物世界史〈4〉東洋編』では、ベンガルを平定してその後北インド全域支配を完成したのが６年、つまり西暦６１２年のときとされています。田中芳樹先生の『天竺熱風録』でもこの『人物世界史〈4〉東洋編』説を採用しているようで、西暦６１２年ハルシャ２２歳でベンガル平定した、とされています。なのでこの年にシャシャーンカ王が死んだということになるでしょう。
    しかし私は６１２年説は採ろうとは思いません。
    なぜかというと、６１２年の時点でベンガル含む北インドを統一しているのなら、もっと早い段階で南インドに挑んでいると思うからです。実際には６３４年頃にプラケーシン２世に敗れています。仮にシャシャーンカ王を倒したとしても、ベンガル平定のためには幾度も残党狩りなどをしなければならないでしょうし、すぐに南インド転進はできないと思われます。ですが、それにしてもシャシャーンカ王打倒から南インドチャレンジまで２２年というのはさすがに長すぎ。
    また、シャシャーンカ王の没後、息子が王位を継いで、半年くらい王位にいたようです。
    といったあたりから総合して考えると、ハルシャはベンガルは平定したかもしれないけど、シャシャーンカ王を倒し切ってはいないと思われます。
    もちろん、フィクションの小説なので、史実に縛られることなく、ハルシャが見事にシャシャーンカ王を討ち果たして兄の敵討ちを達成するという展開にするのもアリといえばアリだとは思うのですが、自分としてはなるべく史実は枉げたくないところです。
    最後の展開のところは、カナウジ奪還のための戦いで、そこに予想外にシャシャーンカ王が出てきた形です。あくまでもカナウジ奪還が優先だということをもっと強調しておいた方が良かったかもしれません。ラージャシュリーの花粉症の症状が悪化して苦しそうにしている描写を出して、カナウジ奪還を急ぐ決意をさせる方が良かったですね。



    拷問シーンで逃がした子供が後半に味方になるか復讐鬼になるかで再登場

    →その発想は無かった。
    ここはあくまでも、ハルシャが将来教育振興を行うための伏線と、ハルシャ自身の慈悲深さを描くためのシーンでした。
    確かにこの少年を後で活用できれば面白そうです。
    ただ、活躍する場面を作るのが難しそうではあります。最後の戦闘はマーラヴァ遠征からはせいぜい一年後くらいなので、まだ子どものままだし、マーラヴァとカナウジでは方向も反対なので出すのも難しい。出すとしたらエピローグになるでしょうか。
    この少年がのちの詩人バーナということにする、というのも考えましたが、詩人は教養が必要なので貧しいところ出身というのは無理があるかなあ、と。



    ラージャーは結局、暗殺だったのでしょうか？　それとも病気？　プラバーカラ王も実は暗殺だったりします？

    →父のプラバーカラは蚊に刺されて病気になって死んでいます。兄のラージャーは蚊を装った毒針で暗殺されています。
    このへん、もっとはっきり暗殺だったことを確定させても良かったですね。影武者の口から暗殺してやったと言わせても良かったかもしれません。
    なお、なんで蚊なのかというと、アルスラーン戦記の最終巻を読んだ人なら理解していただけると思うのですが。
    もちろん蚊が怖ろしいというのは分かるのです。だけど、よりによって蚊なの？
    という思いがどうしてもありまして、それなら蚊が怖ろしいということをガッツリ描いてみたいと思ったのが、こういう形となりました。



    メインターゲットが相手ならば、

    →まあメインターゲットとなるべき人がほとんどいないことが大問題なんですよね、ジャンル的に。
    だからこそ、メインターゲットでない人でも読んでくれる（ただし感想は渋くなる傾向が高い）ミチル企画に出展しているという部分もあります。メインターゲットではない人でも、どれくらい食わず嫌いせず読んでもらえるかの試験的要素はあります。



    古代インドの知らん国の王族も、現代日本の我々と同じように中二病を経て成長するのかもしれないなぁと心から思えました。終章に御作の狙いみたいなのが書かれていました。おそらく狙い通りのものがこちらにも届いております。

    →ありがとうございます。そこで失敗すると１６万字の無駄遣いになってしまうところなので、そこを評価いただけたのはありがたいです。


    第5章からはマイルドになってきて、第10章を迎えた辺りからは結構読めました。

    それってどうなのでしょうね。文章が原因というよりは、他の方からの感想も総合すると、話の内容的な要因が８割くらいのような気もします。第４章が仏教の最も難しい部分なので５章からはある程度緩和されるところですし、第１０章からは父の死、母の死、カナウジ陥落と三つ同時に事件が起こるので、まあ確かに物事の動きの記述が多くなるので、描写としては簡潔になっていたかもしれません。
    ただ、２割くらいであったとしても、文章が悪文であることによる読みにくさというのは自分の望むことではないので、ご指摘いただいた部分は真摯に反省したいところです。



    不要な読点が多い割には、本当に必要な箇所には読点が無いように感じました。

    →本作品、第一稿が完成したのが１２月１６日でした。それから推敲でしたが、全然時間が足りませんでした。なのでそういったところのチェックは不足していたのは事実です。
    ただ、文章としては、読者が読む時の呼吸で読点を打っています。なので、他の方の感想では読点の場所の不的確さに関する指摘をいただけなかったのかとは思います。
    特にご指摘をいただいた「グプタ王朝がエフタルという当時存在していた騎馬民族国家に滅ぼされて以降」に関しては、語順を変えるのはナシだと思います。何故かというと、ここはジャヤセーナ論師の台詞であり、ジャヤセーナ論師の言いそうな語順で言うべきであって、そこで読者の読みやすさ配慮による語順変更は違うと思います。なので、「グプタ王朝が、エフタルという、当時存在していた騎馬民族国家に滅ぼされて以降」という具合に読点を使った方が良かったかもしれません。
    キャラの台詞部分はともかく、地の文ならば、語順を工夫する必要があるというのは仰る通りだと思います。
    ただ、上でも述べましたが、文章というのは読みやすさが全てに優先するとは限らないと考えています。もちろん、他に意図が無いなら読みにくいよりは読みやすいほうが良いのは論を俟ちませんが、常にそこまで強い意図を持っているとは限らないものの、語順が読みにくい部分があったとしたら、大概はそこに無意識に意図が含有しているケースが多いように思います。
    例えば、
    「ラージャシュリーは拾った。黒猫を」
    という文章があれば、英語ならばこの語順になるかもしれませんが、日本語の場合は無駄に倒置法になっていて若干読みにくいように思います。
    「ラージャシュリーは黒猫を拾った」
    日本語の場合はこの方がすんなり読めるように感じます。
    「ラージャシュリーは拾った。象を」
    この場合は意図があります。語順の最後にオチとして強調したい語を持ってきていて、猫を拾うくらいだったらよくある話だけどよりによって象なんか拾っちゃったわ、というニュアンスを含んでいます。
    また、ＳＮＳかどこかで見た例文ですが、
    「夫婦ならば、お互いに思っていることを率直に言い合えるものである」
    という文章ならば、語順も自然で否定語も入っていないので読みやすいと思われます。
    「お互いに思っていることを率直に言い合うこともできないなら、そりゃもう夫婦とは言えねぇ」
    これだと、文章としては二重否定と倒置が入って読みやすさでは劣ります。が、キャラのセリフとして言わせるならばこっちの方がかっこよくてインパクトがあるかもです。
    企画に出ている某作品に対して、「文章がとても読みやすいけど、読みやす過ぎて逆に印象に残らない」という感想がありました。実際にそういう現象ってあると思うのですよ。ですので、繰り返しになりますが、自分は歴史小説を書くにあたっては、読者の読みやすさというのは配慮しませんし、逆に難解なくらいを目指しています。



    接続詞「が」の多用

    →これって、以前のイラストお題企画の時の『クロライナの飛雁』でも全く同じ指摘を受けているんですよね。気になる方はよほど気になるポイントらしい。
    その時のレスを確認したのですが、その時のレスでは書いていなかったところがあるのでレスとして書いておいた方がいいのかな。
    自分は、『クロライナの飛雁』の頃から文章で試みている部分がありまして、ひとまとまりの文章の中に、前置き、主部、転換、まとめ、という形を取ることにより小さい起承転結を作る、というものです。なので、転換のところで、が、でつなぐケースは多めかもしれません。
    といっても、『クロライナの飛雁』の時は意図してそういう文章を書いていましたが、今回は締め切りまでに１６万字を書くためには勢いで書くしかなかったので、起承転結とか考える余裕は全く無く、普通にナチュラルな文章で、が、が多用されたようです。


    続きます。


    E-Mail pass
2023年01月15日 23時05分17秒
 作者レス
  • 本作品は跡地化予定です。
    カクヨムで掲載予定ですので、もし読みたいという方がいらっしゃったらそちらでお読みいただけるとありがたいです（カクヨムコンにはエントリーしません）。
    明らかな誤字脱字のみ修正して改稿はせずそのまま掲載予定です。感想でいただいた改稿案は大変ありがたくいずれ役立たせていただきます。




    『さんざめく思慕のヴァルダナ』１６万字をお読みいただき、ありがとうございました。
    こちら共通レスとなります。
    大部分のレスは共通レスで済ませますので、個別レスではほとんど言うことは無くなりますので簡単に済ませます。


    まず最初にこの作品が生まれた経緯から。
    ごめんなさい案件なのですが、本作品は元々前回の喜怒哀楽企画のために書こうとしていた作品でした。だから当初は１００枚で完成させるつもりだった。
    しかし全くモチベーションが上がらず、また資料集めと資料読みに時間がかかりすぎてしまい、喜怒哀楽企画が始まった段階で１万字ちょいくらいの下書き的なものがあるだけ、というていたらくでした。なお、この時点で、スタート時のハルシャの年齢が１４歳ということで、更に史実のハルシャが中二病的要素を多々持っている人物だということもあり、中二病設定がありました。
    で、１６万字企画の概要が発表された時に、お題が偶然にも中二病なので、中二病キャラが主人公である本作品をそのまま使えると思って、１０月上旬から一日２０００字ほど執筆と予定を立てて改めて本格的に執筆を開始し、完成させた、というわけです。
    プロットとしては喜怒哀楽企画の当初から１３フェイズ方式全１３章で組んでいて、１６万字企画向けに転用するにあたって各章１００００字程度で１３万字完成を目指して書き始めて、途中で筆が乗って増えた要素もあって、結果的には第一稿が完成した時点で全１６章の約１６万字になっていました。
    じゃあ増えた部分はどこかというと、マーラヴァ残党狩りのシーンと、けものフレンズですね。
    当初は動物は象だけを出すつもりでした。象の名前はアールティーでした。
    その後、黒猫も出すことにして、象はダナパーラ、黒猫をアールティーにしました。
    その後更に、鴨も出すことにして、黒猫をカンハシリ、鴨はアールティーになりました。
    プロットをきっちり決めきっていない弊害で、動物の名前が二転三転することとなりました。
    当初の全１３章のプロットはこんな感じでした。

    １日常。ハルシャ１４歳。インド情勢。夢を見る
    ２事件。実物の美女を見る。弓矢不調。森の猛虎。森から煙。
    ３決意。ラージャシュリー妹だった。母にアドバイス聴く。妹に優しくしよう。
    ４苦境。仔象拾う。ハルシャ奔走。白フン、ベンガル情勢出しておく。
    ５助け。ハルシャと妹の心の交流。距離縮まる。森の散歩。カナウジからの使者。
    ６成長。仏教に興味。ラージャーも興味。カナウジの怪僧の噂。
    ７転換。６０５年ラージャシュリー結婚。ハルシャも結婚決まる。結婚式
    ８試練。兄弟、白フンと交渉。父が蚊に刺され危篤。父死ぬ。母も死んでいた。
    ９破滅。ハルシャ結婚延期。カナウジ陥落、ラージャシュリー幽閉。兄即位。
    １０契機。兄の軍がデーヴァグプタ破る。和平交渉に呼ばれる。
    １１対決。兄が殺される。ハルシャが軍を纏めタネ帰還。６０６年１０月即位。
    １２排除。カナウジ郊外決戦。塔に向かい象が邪魔する。森で殉死阻止。
    １３満足。奪還戦終了。シャシャーンカ雌伏。カナウジ遷都。その後のハルシャ事跡。

    こんな感じのざくっとしたものなので、ハルシャとラージャシュリーの心の交流が具体的にどういうことをするのか、決戦で具体的にどう敵軍を倒すかとかを全く考えていなかったので、具体的な考えの無い場所で毎度執筆がつっかえてしまいました。その時は後ろの書けるシーンから書いていましたが、これがなろうの連載だったら１０回くらいはエタっていたところです。


    以下は、感想でいただいた具体的な指摘についてのレスです。



    ターゲット層でない自分がここまで面白いと感じた
    もう一度申し上げますが、面白かったです。
    第10章以降は事がかなり動くので、夢中で読まさせていただきました。
    後半は面白いのに、
    ストイックでちゃんとした歴史小説です。でも読み味はところどころで割とラノベです。面白いです。

    →なんだかんだいって歴史小説で一番難しいのは面白くすることなので、部分的にせよ面白いと評価いただけてありがたいです。



    捻った言い回しが多く、難しい単語もたくさんあり、説明文が多用されているように感じました。これらは普段なら悪手と評価するのですが
    読みにくくて凄くもったいない感じがしました。しかしあくまで私にとって読みにくかったというだけの話です。作者様の想定する読者の層には、このままの書き方でもめちゃめちゃ届くかもしれません。

    →はい。「文章が読みにくい」という感想は必ず来ると想定していました。
    そもそも論を言いますと、私はこの作品を書くにあたり、読者の読みやすさ、というものは全く意識していません。逆に、この企画の読者にとって読みにくいくらいの文章を意図して目指して書きました。
    例を挙げるならば、窈窕、輾転反側、などといった言葉を使っていたりします。絶対使う必要があるかというと、そうでもなく、別のもっと平易な言葉に置き換えることは可能ではあります。ですが自分は、作品の文章を意図的に難しくするために、こういった語をあえて使用しています。
    読みやすい文章を書こうと思えば書けるのですよ。歴史物以外を書いた作品だと、大抵は文章は読みやすいという評価をいただきますので。ただ、歴史小説ということになるとどうしても読者は重厚感を求めるようで、分量が少なすぎたり文章が読みやす過ぎたりすると重厚感が無いといわれてしまいます。実際に言われましたし。
    感想をいただいた方が「想定する読者の層」「ターゲット層」というワードを使っておられるのでもうお気づきなのだろうとは思われますが、本作品は、かなり読者ターゲットを絞った作品です。
    プロット論などでも必ず言われることですが、読者対象をきちんと絞って定めるべし、という部分です。自分としてはとりあえずの基準を市販の歴史小説に置いており、市販の歴史小説を難しいと思わずに読んで楽しめるくらいの読者、を想定しています。実際のところは本作品は市販の本格的な歴史小説よりはかなり砕けた文章だとは思いますが、それで難しいと思ってしまうような読者は対象外ということになります。
    書籍としての歴史小説なら読めるけど、ウェブ小説では読みにくいのは読みたくない、という読者も居るでしょう。確かにウェブ小説はなろう系ライトノベルが基本で、隙間時間に読みやすいということが絶対正義なので、そういう意味では本作品は最初からカテエラとも言えます。




    キャラに癖もなく、ストーリー自体は分かりやすい
    ラノベとしてはいささか平坦な物語展開

    →とっつきにくい歴史物、それも読者にとってなじみの薄いインド題材ということで、地名や人名が聞き覚えが無いマニアックな題材のものになります。なので、そういう場合はバランスを取るためにはどうしても、ストーリーはシンプルにするようにしています。複雑な物語は得意ではないので、自分に合っているともいえるかもしれません。
    その一方で、ラノベとしてはストーリーの展開は少なかったとも思います。ただでさえ読まれにくい歴史ものなので、話を複雑にすると更に読者に負担になるので、難しいところです。



    動物たちが再登場して協力
    ここでラージャシュリーが助けた動物たちが活きてきます。

    →先に述べた通り、最初は象だけを出すつもりでした。その後、黒猫と鴨を追加しましたが、その時点では後で再登場の予定はありませんでした。
    ラージャシュリー救出の場面を書くにあたって、プロット時点では具体的にどのように救出するか考えていなかったので、じゃあ動物を使おうということになりました。本作品の内容的にも、動物が恩返しする形になって丁度うまくピースがはまった感じです。



    物を壊さない射撃法

    →これは『スダナクマーラ・アヴァダーナ』という説話の中で、スダナという王子が教育を受ける場面からとっています。ちくま学芸文庫『原典訳 原始仏典　下』に日本語訳が掲載されています。その部分を引用すると、
    「彼が大きくなると先生について文字や数え方、引き算を含む色々な計算法を学び、（略）象の首にのること、馬の背にのること、車や剣、弓のあつかい方、軍隊のかけひき、鉤、輪なわの使い方、切り方、裂き方、また弓をひく際の拳や頭、足を使う技術、さらには遠射、声だけの相手を射る方法、急所を射る方法、物をこわさずに射る方法、確実に射る方法など、五種の事柄をすっかり習ったのでした。」
    と、あります。ハルシャとラージャーがあれこれ学ぶ場面はここから参考にしていました。
    で、物を壊さずに射る方法というのが、作中のハルシャのセリフにも出したのですが、どういう場面で出番があって何の役に立つのかさっぱり分かりませんでした。前半の練習シーンを書いている時点では、後半再登場の予定はありませんでした。
    で、後半のラージャシュリーと連絡を取る必要が生じたところで、物を壊さない射撃法が使えるんじゃないかと思った次第です。
    今になって考えてみれば、鴨のアールティーに手紙や耳當を運ばせる、という方法もあったかもしれないと思いました。が、やはり弓によってハルシャの成長を示す方法で良かったとも思います。
    これも、けものフレンズアニメで主人公かばんちゃんがみゃみゃみゃみゃみゃの技を使う場面から影響を受けた部分でして、主人公が使う技術の上達をもって成長を表現しようとしたところです。



    続きます。

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2023年01月14日 22時48分03秒
 +30点
  • 　400枚の文字数上限を余すことなく利用した力作でした。

    　ラノベとしてはいささか平坦な物語展開にも思えましたが、これはこれで作品としてアリなのではないかなと。異文化に触れられる作品は好きなので。

    　気になったところは、お題消化のためにか、無理くり14歳であることを主張していたところでしょうか。せっかくの雰囲気が中二病アピールが出るたびに損ねられてしまったように感じました。

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Re: 2023年01月26日 20時23分41秒
  • HiroSAMAさん感想ありがとうございました。
    彼が『力』（ナイフ）を振るうとき、は読んではいたのですが、感想を書きにくく、あまり読み取れている自信も無かったため感想は書きませんでしたが、大作の執筆おつかれさまでした。

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2023年01月14日 00時16分22秒
 +30点
  • 　読了しました。

    　自分は歴史・時代小説というものをまったくと言って良い程読まない人間で、中学の頃親父に付き合って『天地人』の上中下を読んだことがある（内容ほとんど分からなかった）以外まともな歴史長編は一度たりとも読んでない人間です。
    　そんな自分なりに、この作品を読んで歴史小説というものについて色々と思うところがあったので、いくつか書いておこうと思います。

    　単純にドラマやキャラクターの作りやすさの自由度という点においては、歴史小説というのは言うまでもなく低いと考えられます。いやいやそんなのは工夫次第だよ、と仰られる方もいるとは思いますが、工夫が求められるという時点で一定のハンディを抱えている可能性はやはり高そうです。
    　その中でじゃあどうして歴史小説というジャンルがこれほどまでに横行しているのか？　そんなもんはアタマわるわるな言い方をあえてしてしまえば『歴史が好きだから』に尽きると思います。
    　この『歴史が好きだから』というのはつまり『この時代の出来事が好き』『この歴史上の人物が好き』というものだと思います。書き手からすれば『歴史上の出来事をどう解釈しどのようなドラマに仕立て上げるか、歴史上の人物をどう解釈しどんなキャラクターに仕立て上げるか』というところに歯応えを感じられるという楽しさがあり、同時にそんなその作者ならではの解釈を読者が楽しむという構図があると思います。動かしがたいものがある中で、自由にできる部分をどうしていくか、それが歴史小説の妙なのでしょう。

    　上記のような、すごくふんわりとした『歴史・時代小説』に対する理解の元、色々感想を言っていこうと思います。


    　日本においてインド史に関する小説がどのくらい書かれてるのかは分かりませんが、自分には今作はとても物珍しい作品であるように感じられました。
    　と言っても今作は長い長いインドの歴史、長いハルシャの人生において、ほんの二年間程を切り取っており、その中での若き故の悩み、若き故の成長というものを描くことを重視しています。よって、『歴史』に寄り添う物語というよりは『人物』に寄り添う、それもその人物の人生全体からすると長い訳ではない『思春期』というものに寄り添う構図になっていると感じました。
    　現代日本においては、社会に出て実際に世の中を動かす人々は若くても二十代から、実際に大きな影響を与えうる人物の多くは油の乗った中年以上でしょう。しかし今作の舞台となる西暦六百年代のインドでは平均寿命の短さなどから、結婚や就労などの適齢期が現代日本より遥かに低く、それ故ハルシャは十六歳にして王として認められ戦場で弓を放ち兵を率いて戦います。これがファンタジー世界でなく、この星のどこか遠い昔に実際にあったこととして描かれています。
    　我々の認識でいう１４～１６歳の時間というのは、中学なり高校なり通いながら、勉強したりサボったり親と喧嘩したり親に甘えたり、スマホでAV見てシコってる時代です。そしてハルシャの精神性自体はそんな我々の思う１４～１６歳とほとんど違いがないのですが、にも拘らず彼は外交に加わり戦場にも加わり、拷問にも参加し子供の生殺与奪を決定し、あまつさえ王となります。その若さ幼さと、彼を取り巻く環境の苛烈さ、激動具合のアンバランスとが、非常に面白いコントラストとなっていました。

    　個人的には、十六歳の子が王様になって戦うとかなったら、最初の方はもっと何もかもが上手く行かなくて、上手く行かないどころか何もやらせてもらえなくて、その中で目を回し続けるという時間がかなりあるんじゃないかとは思います。
    　大学を出て二十二歳で社会に出た新社会人ですら、最初は皆そんな感じなのです。十六歳で王となった彼なら猶更でしょう。
    　実際、ハルシャは長い腕を振るって何もかもを思うがままにする強い王という訳ではなく、周囲の助言を乞いながら時に部下に叱責もされる描写も多くあります。若さ故の未熟さ、それに打ちひしがれる様子、というものもしっかり描かれています。しかし現状ではやっぱり不足と言えば不足で、若干万能感持ってる思春期の少年が何もできない自分に絶望し逃避する、そんな胃がキリキリするような描写をもっともっと入れても良かったんじゃないかなとは思いました。王としての重責から逃げようとしたところを妹の激励で立ち直る、とかそういうドラマです。

    　もちろん、父と兄が死んで逆境も逆境の上に追い打ちを掛けるようにさらなるストレスを掛けるというのも考え物ではあります。というかこの時点で読者が一番思ってることって『シャシャーンカムカ付く』なんで、王となったハルシャが覚醒してシャシャーンカぶちのめす方向に向かった方が絶対楽しいは楽しいには違いないと思います。
    　だったらいっそ真逆にそっち方面に強く振れて、前半でハルシャを思春期ボーイなりにもっとデキる奴的な描写にしておくのもアリなきがします。いや実際弓の練習も座学もしんどそうにしながらもちゃんとやってた訳だし、そのコツコツがしっかり描写されてるんで、戦場で弓で活躍するシーンや的確に陣営を指揮するシーンとかにも説得力はあると思います。ただ彼の弓や座学の能力が他と比べて優れてるって描写がある訳ではなく、むしろ兄との比較に思い悩むシーンもあったんで、『こいつここまでヤレるもんなんか？』というのを感じたのも確か。付き人あたりから『（兄貴と比べてどうかはともかく）ハルシャ様も十分に才気溢れるお方』的なこと言わせても良かったと思います。
    　冴えない思春期ボーイ的描写とでもデキる奴でもあるんだよ的描写って難しいけど両立しないことはないと思うんで。そっちの方が王となった後の戦場での戦いでももっと無双させられて気持ちが良さそうです。親父と兄貴と義理の弟殺されてるんだから、それくらいやらせてもそれはそれでアリです。

    　自分の無力さに打ちひしがれえげつない痛みの中どうにか立ち直るドラマか、思春期にのたうち回る少年がきっかけを得て隠れた才気を発揮するドラマか、どちらかに強く振れていれば、終盤はより盛り上がったということはあり得るかもしれません。これは本当に指摘というか提案、いっそ妄想ですが、感じたこととしてそのまま書いておきます。
    　ただ後者に振れる場合、史実ではここでシャシャーンカを完全に滅ぼせしめた訳ではない、という点がネックになりそうですね。どう考えてもここでシャシャーンカの首をちょんぱしない限りカタルシスはどうしても不十分。ただ良く考えれば前者に触れる場合でもこれは一緒（あんなに苦しんでようやく立ち上がったのに本懐は遂げられない）なんで、やはりこのあたりに歴史小説を書く難しさと奥深さが秘められていると思います。
    　このハルシャという主人公、春期ボーイらしさは恐ろしくしっかり描かれてはいても、そこから真の王として国を導く為殻を破る様子については、もっとしっかり描かれていても良かったと思います。痛みを伴う形か、眠っていた才能が覚醒する形か、作者様なら他にもっと良い形を思い付くかもしれませんね。

    　いずれにせよ、インド史上でも屈指の大王（とか言うほどインド史知らんけど）のハルシャの『（現代基準で）信じられない程の若さで王になった』という点に着目し、思春期ボーイとしてのキャラクターをここまで掘り下げた着眼力と手腕には、本当に舌を巻くばかりです。このあたりの妙に『動かせない部分がある中で自由になる部分で上手くやる』という歴史小説を書く力を感じます。企画のテーマをど真ん中正面突破して行くものにもなっているので、文句のつけどころがないでしょう。



    　ハルシャの妹に対する感情、タイトルにもある『さんざめく思慕』の部分も良かったと思います。
    　妹も結構面白いキャラですよね。野生動物を拾うことへのスタンスについてとか、完全におまえの道楽の癖になまじ勉強できるからって変な理屈をくっ付けんなよとか思わなくもなかったですが、年相応で可愛らしいと言えばその通り。無茶苦茶レスバ強いですよね子の子。言ってることの本質はただの動物さん好きな女児なのに理論武装の完成度妙に高いのが面白すぎます。ぶっちゃけぼくがこの子とレスバしたら負けるような気がします。
    　そうして慈しんだ動物達が中盤あたりに助けに来る展開も、程よくファンタジーで良かったです。ハルシャの弓や座学の稽古もそうですが、序盤の積み重ねが中盤以降でしっかりと主人公達を助けてるって描写は良かったです。座学の先生の教えもしっかり活かされてました。
    　あとは文章力高いんで『魅力的な容姿の女性』っていうのがしっかり描かれてるのも見逃せないでしょう。考えてみればヒロインこの子一人しかいないのに、女の子要因の少なさに不満を感じさせないのは、この子の力あってのことだと思います。

    　ここ一年くらいの企画に投稿される歴史小説の数々を読んで、『すごいんだけど優勝を争うには不利だよね』という感情を常に抱き続けていました。
    　しかし今作においては、主人公をラノベ読者層にどこまでも寄りそう『中二病』の思春期ボーイと位置付けたことで可読性が大幅に解消されており、それによって作者様の高い文章力・構成力・持ち味が強く発揮される形になっていました。
    　それにより今作は技術面を評価されるのみならずエンターテイメント性も高い素晴らしい物語になっています。順位を争う身としては非常に口惜しいことながら、その完成度は正面から採点せざるを得ないと判断いたします。
    　長編執筆本当にお疲れ様でした。これからも頑張ってください。

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Re: 2023年01月26日 20時23分03秒
  • 粘膜王女三世さん感想ありがとうございます。
    おすすめ掲示板でおすすめいただきまして、ありがとうございました。いつもかなり辛口と思われる粘膜さんに評価いただけてありがたいです。

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2023年01月13日 19時48分22秒
 +20点
  • 御作を拝読いたしました。

    史実に基づいた、七世紀の北インドを舞台とする壮大な歴史物語でした。
    ハルシャ・ヴァルダナという王の、若き頃の悩みから始まり、国王になるまでを描いています。
    自分は世界史はほとんど知らず、初耳の人物だったので、この人物の存在を教えていただけたことに感謝いたします。
    史実に基づいた作品は、そういう実益を伴うのが強みだと思います。

    そのような歴史上の人物の若き頃の悩みを、『中二病』というお題を通して身近なものにしてもらえたのは、今回の企画の大きな成果ではないかと思います。
    作者さんも、できるだけ若者の立場としての描写を心がけられたと思います。
    が、大変申し訳ありませんが、序盤と中盤は、個人的には読むモチベーションを保つのが大変でした。
    文章が読みにくいということはありませんでしたが、ハルシャの悩みが淡々と語られているので眠くなってしまうのです。
    純文学を読みなれている方なら何も問題はないと思うのですが、自分にはかなり大変で、中盤を突破するのに二週間以上かかってしまいました。

    ただ、他の方も書いておられますが、第10章以降は事がかなり動くので、夢中で読まさせていただきました。
    後半は面白いのに、序盤・中盤の平坦さは非常にもったいないと思います。

    この平坦さを解消する方法として、今年の大河ドラマが一つのヒントになるのではないかと感じています。
    家康の青年期を淡々と語るのではなく、「どうする？」という視点で視聴者にも選択肢を考えてもらう。
    御作もそういう工夫がされているのは分かるのですが、さらに誇張して書いてもいいんじゃないかと思いました。
    例えば、大河では瀬名姫を掛けて家康が試合に臨むことになり、どうなるのかと引き込まれる。
    御作でも、ラージャシュリーを掛けて兄弟で弓の対決をして、ハルシャが本気を出して勝った後で、兄から「妹だ」と打ち明けられるとか、そういう派手めの演出があっても良いのではないかと思いました。


    第10章から面白くなったのは、事が動き出したこともありますが、序盤・中盤の伏線が回収され始めたこともあると思います。
    これはお見事だったと思います。
    「ああ、これも伏線だったのか」と驚くことが連続して、飽きることがありませんでした。
    逆に、序盤・中盤は、伏線を伏線と思わないで読んでいたから退屈だったわけで、そういう意味では大成功だったわけなのですが、その退屈さが原因で最後まで読んでもらえないのももったいないので、もう少し伏線であることを匂わせればリーダビリティも上がるのではないかと感じました。


    最初「インドはヒンドゥー教じゃなかったけ？」と思いながら読んでいたのですが、ハルシャ・ヴァルダナ王はヒンドゥー教徒でありながら仏教にも精通していたとのこと。
    また戯曲を書いたり、芸術面にも秀でていたとのことで、『中二病』で扱う人物としてはとても適していたんじゃないかと思います。
    三蔵法師との絡みもとても面白かったです。
    序盤・中盤はこういう人物だとは知らず、ただのインドの王子だと思って読んでいたから退屈だったということもあるので、冒頭で三蔵法師に登場してもらって、「インドにこういうすごい王様がいた」という風な語りから入るのも手ではないかと個人的には思いました。
    三蔵法師が語るほどにすごい人なら、青年期の悩みはどんな風だったんだろう、と興味を持って読めたと思います。


    以下は不思議に思ったことです。
    史実であればどうしようもないのですが、白フン族との交渉に第一王子と第二王子が一緒に出掛けてしまうのは、やはり？でした。
    作中にも書かれていますが、二人ともやられてしまったらどうしようもないですよね。
    その後、ハルシャが一人で帰ってくるのも？でした。
    流石に護衛は付いているのではないでしょうか？
    まあ、上にも書きましたが、史実であればどうしようもないことなのですが。


    御作を読んだ後で、タネシュワールとカナウジがどこにあるのか興味が湧き、調べてみました。
    御作からの印象では、カナウジの方が田舎にあるような感じでしたが、タネシュワールの標高が230mに対してカナウジは140mで、カナウジの方がガンジス川の下流にあるのですね。
    あと、距離は500kmも離れているので、行き来にはガンジス川の水運が使われていたんじゃないでしょうか？
    そういう描写があれば、もう少し位置関係や距離感などを演出できたかもと感じました。

    いろいろと書きましたが、上記のようなことを調べさせてくれる大変興味深い物語でした。

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Re: 2023年01月26日 20時22分25秒
  • つとむューさん感想ありがとうございます。
    特別賞の感想人賞でどなたかがおっしゃっていましたが、的確な改稿案を提示いただきありがとうございました。

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2023年01月09日 20時40分20秒
 +30点
  • 　拝読いたしました。朱鷺（とき）と申します。
    　400枚、15万9963文字は読みごたえがありました！
    　14歳の中二病の少年が、両親を失い兄を失い、本人の意に反して王国を導く王の立場に置かれる。試練をとおして偉大な王へと成長してゆく過程が丁寧に描かれていました。日頃の鍛錬がいざという場面で大切な役割を果たすことを可能にする伏線になっていることや、仏教での教義の解釈が現実となって物語の進行に大きな影響をあたえることなど、先に描写された事柄が後の物語の現実感を高めるなど、作品の作りこみもとても丁寧でした。
    　ただ、最後の部分だけは『時代背景』、『ハルシャの時代と世界』などとして、『物語』とは独立させるべきなのでは、と感じました。あの部分は『物語』の一部ではないけれど、作品を読んだあとでは、とても興味深く拝読いたしました。
    　『物語』としては、ワンピースのワノ国編の完結を例にとると、
    「拙者、ハルシャがこの国を統治いたす！」、ベベン！
    と、ハルシャの王位就任でいったん物語を終えて、
    「シャシャーンカ王を倒すまでには、さらに長い年月が必要だった」、と締めくくるまでが『物語』と思います。
    　今回の企画で限界に近い長編作品に挑戦され、お疲れ様でした。

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Re: 2023年01月26日 20時21分38秒
  • 朱鷺（とき）さん感想ありがとうございます。
    なにげに感想をいただくのは始めてのような気もしますが、よりによって大長編の時に読んでいただき、評価いただき、ありがたいです。

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2022年12月28日 01時14分38秒
 +10点
  • 　中二病を経て自己同一性を確立していくプロセスがしっかり目に描かれています。テーマがテーマなので当然描かれているでしょうけれど、御作『さんざめく思慕のヴァルダナ』は、こんな描き方があったのかと驚かせてくれる作品でした。
    　最初ハルシャには、ラージャシュリーが動物たちをフワッとした正義感で助けているように見えていました。ようやく善悪とは何かを考えるようになってきた感じの、等身大の14歳でした。
    　等身大のまま、つまり王としての器が仕上がらないまま、ハルシャは即位式典を迎えてしまいます。そのことに対して彼は罪の意識を持っていました。
    　罪の意識を乗り越える事件は特には起こりませんでした。ただ菩薩が罪を許してくれます。信仰心の薄い現代の設定ではなかなか書けない筋書きなので、他とうまく差別化できていて大変良いと思いました。
    　で、菩薩に許されるという不思議なステップを踏んだ関係上、ハルシャは王位を継いだ実感を持てないまま戦争に身を投じます。
    　ここでラージャシュリーが助けた動物たちが活きてきます。ハルシャが「すべての命を救えなくても、目の前の動物を助けるのは何も救わないよりマシで、じゃあラージャシュリーは偉かったんじゃね？」みたいな、中途半端を許せる境地に至っていたかは定かではありません。しかし、彼は完璧な勝利とまではいかなかったものの、ラージャシュリーの住む場所であるカナウジ・バーニ大臣の指輪は取り戻せています。完璧主義的な思考の癖はここでちょっとは和らいでいそうです。
    　要するにハルシャはここで完璧主義から抜けて、小さくても上げられる戦果を上げていこうと思い始めるわけです。これを繰り返し成功体験を積み、いつの間に理想的な王となっていたんですよね。進んでなろうとするものじゃなくて、いつの間になっている、みたいな。
    　古代インドの知らん国の王族も、現代日本の我々と同じように中二病を経て成長するのかもしれないなぁと心から思えました。終章に御作の狙いみたいなのが書かれていました。おそらく狙い通りのものがこちらにも届いております。
    　特に、読んでいて「成り行きで王になった彼は結局何を学んだんだ？」と思った瞬間に、「だが、気が付いてみると、自分は成り行き上、王になってしまった」と本文が来た時はかなり気持ちよかったです。読者と作者の歩調が合っているのは良いと思います。


    　というように、かなり面白い内容が書かれていましたが、御作は私にとってはかなり読みづらかったです。第5章からはマイルドになってきて、第10章を迎えた辺りからは結構読めました。第4章が終わるまでが特にキツかったです。
    　私が読みづらかった理由を自分なりに考えてみました。

    1. 読点の位置・語順
    2. 接続詞「が」の多用
    3. 段落の作り方・一行空け
    4. 回りくどさ

    1. 読点の位置・語順
    　不要な読点が多い割には、本当に必要な箇所には読点が無いように感じました。本当に読点が必要な箇所というのは、要するに語順が不自然な箇所です。
    　長い修飾語のブロックが隣接している場合に、境目をはっきりさせるために読点を打ちがちです。ですが一旦その話は無視で。雰囲気とか余情とかを出したくて使う読点に限定した話をさせてください。
    　私は、まずは読点を使わず、語順を工夫するだけで自然な文章を組み立てるようにしています。それで物足りなかった場合に、自然な語順を崩して、特定の単語を強調するために文頭に持ってきたりして、そこで初めて読点を打っています。
    　読点を使わなくても語順を工夫しさえすれば、意味は取れる文章を作れます。自然な語順をあえて崩した結果打たれた読点は、雰囲気とか余情とかを出すために存在し、それはいわば作者のこだわりポイントなのであります。
    　御作は不要な読点が多く思われました。こだわりポイントは目立たせないといけないので、本当に必要な読点以外は省くべきだと私は思います。こだわりが目立たないどころか、読点を打てば打つほど自然な語順からは遠ざかっていくわけなので読みにくくなります。
    　御作に読点のない箇所は確かにありました。しかし読点のない箇所に限って、語順が不自然極まりありませんでした。特にヤバかった箇所を挙げます。
    「グプタ王朝がエフタルという当時存在していた騎馬民族国家に滅ぼされて以降」
    　これを自然にすると
    「当時存在していたエフタルという騎馬民族国家にグプタ王朝が滅ぼされて以降」
    　が妥当だと思われます。
    　で、語順を変えたくなければ
    「グプタ王朝が、エフタルという、当時存在していた騎馬民族国家に滅ぼされて以降」
    　という具合に読点を使いたいです。しかしそれでもまだキモいです。せめて「グプタ王朝が」と「滅ぼされて」・「エフタルという」と「騎馬民族国家に」のどちらかは直接くっつけたほうがいいと思いました。
    　必要な読点を抜くのもまたこだわりポイントなので、こだわる分にはいいと思います。しかし目立たせないといけないので、語順が不自然なポイントは減らした方がいいのは確かだと思います。
    　読点一つ一つを、雰囲気とか余情とかを出すためこだわり抜いて打つ。効果的な読点以外は一切省く。で、読点のない箇所は自然な語順になるよう徹底する。そうすれば私にとって読みやすい文章になると思います。
    　これ私も頑張ってやってますが、不要な読点はめちゃめちゃ打っちゃいます。難しいです。
    　「お前向けに書いてるんじゃない」「お前が読みやすくても意味ない」と思われるなら無視でいいです。

    2. 接続詞「が」の多用
    　「が」は順接でも逆説でも使える接続詞で便利なのは分かります。しかし読者としては「が」が出現した瞬間、それに続く内容は「が」の前に書かれている内容の結果なのか、それとも「が」の前に書かれている内容とは逆のことなのか、予想できなくなります。「が」を使いたくなる気持ちを抑えて、一度文章を切ってしまい「しかし」「とはいえ」「だが」「ところが」などとした方が無難だと私は思います。ただし接続詞も使いすぎると理屈っぽくなりすぎるため、程々に使うのが良いと思います。
    　しかしながら「が」を使わないと表現できない事柄も確かに存在するので、それを表現したい時には残すべきだと思います。
    　ところで、御作で「が」をうまく省いていると思った箇所を挙げます。
    「つまり、王が倒れたのは今から見たら数日前のことなのだ。最悪の場合、その数日の時間差の間に既に崩御している、という可能性もある。」
    　これはいいと思います。気を抜くと「王が倒れたのはたった数日前のことであるが、そのたった数日の間に崩御している可能性もある」などと書いてしまいがちだと思います。

    3. 段落の作り方・一行空け
    　私は段落を意味のまとまりとして見ています。一行空けもそうです。より大きめの意味の断絶があるときに自分は一行空けます。
    　御作はむやみに段落を作ったり一行空けしているように見えて、私としては意味のまとまりを取りづらかったです。それに伴い物語の構造も見えにくくなってるように感じました。
    　意味の断絶が見えにくいため、具体的には急に王と会っていたり、急に結婚式が始まっていたり、昼かと思ったら急に夜になっていたりしてビビります。
    　つまり、話題転換・場面転換・心境の変化などを、新たな段落や一行空けで読者に予告してほしいんです。御作はどこもかしこも段落と一行空けなので予告が機能していません。
    　ちゃんと読んでいれば分かるレベルではあります。「お前ちゃんと読めよ」って言われたら終わります。しかし私に対して親切に書くなら、意味の断絶がある時のみ段落を作り一行空けして下さるとありがたいです。

    4. 回りくどさ
    　例えば
    「ラージャー第一王子とハルシャ第二王子には年齢差があり、その年齢差分、勉強をしている期間にも差があって学力差もある。（中略）だが、上級の勉強をしていて壁に当たった時などは初級の内容に立ち戻って基礎を固め直す必要がある場合も出てくる。」
    　この「その年齢差分」は、「その分」or「差の分」でもいけると私は思います。しかし「その年齢差分」でしか出せない味があって、その味が私好みでなかっただけの可能性も大いにあります。
    　また「基礎を固め直す必要がある場合も出てくる」も、「基礎を固め直さねばならぬ場合もある」とか、私なら書きたいです。でもこれも好みかも。
    「特に、カナウジ城を背にして戦っているカルナ・スヴァルナ軍は、カナウジ城が落ちたら挟み撃ちにあってしまう可能性があるため、その位置からの離脱を試み始めた。」
    　「試み始めた」は、「試みる」という単語に、何かを始めるみたいな意味が既に含まれている気がします。私はちょっと嫌ですけど、これを味と思う人もいるかもしれません。
    　好みの問題かもしれませんが、私はこういう「頭痛が痛い」みたいな意味の重複した箇所を読んでいてつまづきました。


    　つまり、面白いのに読みにくくて凄くもったいない感じがしました。
    　しかしあくまで私にとって読みにくかったというだけの話です。作者様の想定する読者の層には、このままの書き方でもめちゃめちゃ届くかもしれません。
    　もう一度申し上げますが、面白かったです。ありがとうございました。

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Re: 2023年01月26日 20時21分08秒
  • ディスイズ春菊さん感想ありがとうございます。
    推敲のコツになるような文章面のご指摘をいただき、大変ためになりました。推敲は得意ではないのですが（それを言ったら得意なものは無いのだけど）、改めて大切さを実感しました。

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2022年12月26日 09時42分16秒
 +40点
  • 高品質の歴史大作、堪能させていただきました。

    まず、文章力が非常に高いと思います。
    この作品は捻った言い回しが多く、難しい単語もたくさんあり、説明文が多用されているように感じました。
    これらは普段なら悪手と評価するのですが、この作品に限ってはそこまで読みにくく感じなかったです。むしろスラスラと頭の中に文章が入ってきた方だと思います。

    結局、文章力は全てを解決するのが小説だと思い知らされた一作です。文体の相性もあるかもしれませんが。

    多分、説明がとてもお上手なのだと思います。自分はいわゆるターゲット層とは外れていて、あまりこの手の作品を読みなれていないのですが、そんな自分でも十分に理解できる内容でした。一見、堅苦しく思える授業のシーンも「おお、なるほど」と思えるくらい興味を惹かれました。
    流石に後半は自分がちょっと息切れをおこして、あまり理解できない部分もあったり、特に終盤の説明文は目が滑りましたが、おそらく史実に沿った内容なのでしょう。

    キャラに癖もなく、ストーリー自体は分かりやすいので、分類としてはオーソドックスなタイプと言えます。これも長所の一つだと思います。

    個人的に序盤のほのぼのした雰囲気が好みで、特にハルシャとラージャシュリーのやり取り関連が好きでした。

    他にも気に入ったシーンはラージャシュリーの飼っていた動物たちが再登場して協力してくれる場面です。動物が好きなんで、この手の演出は良きであります。

    後は『物を壊さない射撃法』関連のシナリオ。序盤から練習で失敗するシーンで伏線を作りつつ、ここ一番の場面で成功したのは、かなり熱かったです。そこで水精珠の耳當を使ったのも良かったです。こういう伏線の使い方というか、この手の構成が大好物なのです。

    クスっと来たのは『美しき彼女の正体が自分たちの妹であると知って、ハルシャはインドラ天の雷杵とクベーラ天の棍棒と閻魔の懲杖で同時に殴られたかのように心に衝撃を受けていた。』の一文。このショック表現（笑）

    あえて個人的な不満点を述べるとするならば、自分が読み飛ばしただけかもしれませんが、シャシャーンカ王と決着をつけずに終わっているように見えたので、少しスッキリしない終わり方だったかも？　あのオチは史実に関係するのか、なにか整合性に支障が出てしまうので、本人は倒せなかったシナリオにするしかなかったのでしょうか？

    後、これは自分の我儘ですが、拷問シーンで逃がした子供が後半に味方になるか復讐鬼になるかで再登場すると期待していたのですが、そういうのはなかったみたいですね（笑
    そういえばこれも単純な疑問ですが、ラージャーは結局、暗殺だったのでしょうか？　それとも病気？　プラバーカラ王も実は暗殺だったりします？

    まあ、この手の不満点は『面白かった』の大前提があるからこそ生まれるもので、全然許容範囲です。弱点が百や二百あったとしても、それを打ち消すレベルの『強み』がこの作品には確実にあります。少なくとも、この枚数を読んでも時間を無駄にした感覚は無く、満足度は高かったです。

    ターゲット層でない自分がここまで面白いと感じたということは、メインターゲットが相手ならば、非常に高い評価を得られるのではないでしょうか。

    じっくりと腰を据えて読めさえすれば、確実に面白い。問題はその気概と時間が読者にあるかですね。

    敷居の高さはあると思います。圧倒的な文章力を誇るとはいえ、癖のある文体や、難しい地名に名前、長い説明文。これらの壁を読み手がどれだけ突破できるか。

    全作品に言える事かもしれませんが、順位が最も読めない作品の一つと思われます。結果がワクワクしますね。

    それでは、失礼します。よき体験をありがとうございました。

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Re: 2023年01月26日 20時20分31秒
  • でんでんむしさん、感想一番乗りありがとうございました。
    今回は、企画参加者の中でもでんでんむしさんと粘膜さんが頭一つ抜け出てレベルが高いということが明確になったと感じていますが、そんな中ででんでんむしさんと粘膜さんに本作品を評価していただけたのはたいへんありがたいです。

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