ラスト・クリスマス・コンサート

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　ガマンならなかった。
　ピアノの伴奏が止まると、一息置いて指揮を振っていた先生が腕を下ろす。観衆に向かって一礼するのに合わせて私達も頭を下げると、大きな拍手が市民ホールを包み込んだ。
　先生の合図で舞台袖へと移動する間も、私は頭の血管が切れるんじゃないかと思うほど怒りがグルグルしていた。力を入れ過ぎた右手がぶるぶると震える。
　完全に舞台袖まで来ると、途端に張りつめた緊張の糸が切れた。上手く歌えず泣き出した二年生の先輩を、豪快に笑いながら慰める三年生の先輩。そんな先輩たちを見て、より強く思う。
　ガマンならなかった。
　先輩たちの間をすり抜けて、どこかやりきった顔で先輩と話す『彼女』まで大股に近づいて行く。
　手が届く距離まで来たとき、彼女――青空ウタは私に気が付いた。
「あ、ヒビキ、おつか――」
　最後まで言わせなかった。
　反射的に動いた右手が彼女の頬を打ち、パンと甲高い音が響く。周りの先輩やコンクールの進行に努めるスタッフさんの視線を感じたが、それで沸騰した頭が冷静になることはなかった。

「ふざけないでよ！」
　
　ありったけの罵詈雑言を浴びせて、手が上がらなくなるまで打ちのめしたい感情があふれ出る前に、先生や先輩たちが私達を引き離す。
「ちょ、ヒビキ！　なにやってんの！？」
「叶井！　落ち着け！」
「ウタちゃん大丈夫！？　怪我は！？」
　何人もの人が間に入ってそれ以上何もできなくなった。かろうじて残っていた理性が、次の学校の演奏を邪魔してはいけないと警鐘を鳴らし、どうにか怒鳴り散らすことだけは避けることができたが、一度溢れた感情の渦は収まる気配がない。
　歯の隙間から漏れ出る荒い声に、敵意が滲む。
　私を見つめ返すウタの目は呆然としていて、この状況をまるで理解できていないようだった。
　それがいっそう、私の怒りを増長させる。
　彼女の傍に居たら、これ以上自分を抑えきれなくなる。私は私を抑える手を振り払い、その場から離れる。後ろから呼びとめる声が聞こえてはいたけど、頭には入っていなかった。
　私はガマンならなかった。



　高校入学後、初めての合唱コンクール地区大会。
　私とウタが声を重ねた最初のコンクールは、控えめに言って最悪なものだった。





　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　＊　＊　＊



「明るく・楽しく・元気よく！　今日も一日、ハッピーに歌いましょう！」
　青空ウタがそう言うと、合唱部の後輩たちに笑みが浮かぶ。中には苦笑いじみたものもあったが、空気が明るくなったのは確かだった。
「歌うことは楽しいこと。音を楽しむと書いて音楽と読み、唱を合わせると書いて合唱と読む！」
　えへん、と胸を張るウタに、後輩が茶々を入れる。
「ウタ先輩、それ先週も言ってましたよー」
「え、そだっけ？」
　思わずと目を丸くしたウタは、しかしすぐに開き直り、
「いーの！　良いことと大事なことは何度だって繰り返す！　一人で歌うより、みんなで歌う方が色んな歌が歌えるし、何より楽しい！　上手くいかないときも、間違えてしまったときも、楽しいと思えるように歌っていきましょう！」
「はい！」
　後輩たちが声を重ねる。そんな先輩後輩のやりとりを傍から眺め、小さくため息を吐く。
　楽しく、か。
　声にならない声は、音響を意識した作りになっている音楽室をもってしても反響させることはできず、すぐに始まった音合わせの音にかき消された。

　高校最初のコンクールから二年半が過ぎ、先輩たちは卒業。私、叶井ヒビキと青空ウタの二人しかいなかった私達の代も引退し、音楽の専門ではない顧問に代わってたまに後輩の指導をしにくるくらいの関係になった。今日はウタがメインだが、次に来た日は私が主に指導することになる。
　あまりにしつこく頼まれたので文化祭までは付き合ったが、私は私の受験があり、後輩にばかり構っているわけにはいかないのだ。
　が。
「……クリスマスコンサート～？」
　あからさまに嫌そうな声で繰り返す。そんな私の胸中に気づいているのかいないのか、ウタはいつもと変わらぬあっけらかんとした表情で肯定した。
「そう！　近くにある市民病院でね、普段娯楽らしい娯楽になかなか触れることができない入院患者さんに、クリスマスくらいは楽しい思いをしてもらおうってことで、院長先生から是非にって。ね？　クリスマスソングとか元気になる歌を歌ったり、手拍子とかもらったり、クリスマスっぽいコスプレしたり踊ったりしたら、楽しいと思うんだよね」
「イヤよ」
　キッパリと断った。
「え～、なんで～？」
「そもそも私はもう合唱部を引退している身。あなたが参加するのはあなたの勝手だけど、私はもう関係ない。合唱部の活動なら、私が参加しなければならない義務はないわ」
「でもでも、ヒビキがいればもっと良い歌が歌えるし、何よりその方が楽しいし」
「楽しいかどうかで全部決められるわけじゃないでしょう」
「え？」
　まさかそこで不思議そうな顔をされるとは思わなかった。
「とにかく」と手を叩き、堂々巡りになりそうな議論を打ち切る。
「私は参加しない。やるなら希望者だけでどうぞ」
　ハッキリ言い切って音楽室を出た。
　閉めた戸の向こうから、かすかに声が聞こえる。
（うう～、どうしてヒビキちゃん出てくれないんだろう～）
（ウタ先輩が余計なこと言うからですよ）
（余計なことって？）
（ほら、ヒビキ先輩は歌はプロ並みに上手いですけど、元々コスプレとかするタイプじゃないし、なによりダンスは……）
（あー！　そうだヒビキちゃん運動ド下手だったんだ！　体育のダンスとか一人だけドジョウすくいみたいになってたし！　笑い堪えるの大変だったよー！）
（だ、ダメですってそういうこと言ったら！　そういうとこですよウタ先輩！）
　ぜっっっっっっっっっっっっっっっっっっったいに参加しないと心に誓った。





　　　　　　　　　　　　　　　＊　＊　＊　



　肌を刺すような冬の寒さも、日差しがあると随分と和らぐものだと、河川敷に降りてから気づいた。
　外にはいろんな音が溢れている。鳥の声、自転車のベルの音。川の流れは小さく、冬の木々を揺らす風は少し冷たくて、どこか尖っているように聞こえた。川の向こうからは、少年野球の元気なかけ声がここまで届いてくる。
　一度両手に息を当てて、手袋をつけ直す。
　両耳に手を当てて、音を遮断。
　目を閉じてしまうと、世界は私一人になる。
　それでいい。
　大きく息を吸い、歌う。
　小学校の頃に習った合唱曲で、一番お気に入りの曲でもある。自分の中にある理想の声と歌を脳裏にイメージし、全身を使って声にする。
　他人を気にせず、自分だけの世界で歌う。人の目すら、気にしない。
　合唱には合唱の良さがあるのは認めるが、やはり私は自分の思うままに歌う方が好きだなと、歌いながら思った。
　一番を歌い終えると、耳に当てていた手を外す。
　自分の中に描いた理想の歌に、自分の歌がどの程度近づけたかを聞きながら修正する。音が反響しない野外は雑音も多く、集中を欠けば途端に乱れていく。
　集中、と自分に言い聞かせて歌い出した、そのとき。
　同じ曲が、全く同じタイミングで、頭の上から聞こえてきた。
　ただ同じなだけではない。私が歌っていた主旋律に合わせて、完璧なハーモニーを作り上げる。
　屋外で雑音も多く、距離もある中で完璧に合わせられる歌い手を、私は一人だけ知っている。一瞬でも気を抜けば、たちまち主旋律を奪われてしまいそうなほどに存在感を放つその声の主に負けないよう、私はより集中力を高めた。
　歌い終わりに練習以上の疲労を感じながら、私は河川敷の上に立っているであろう彼女を振り返る。
　青空ウタは、いつも通りニコニコしながら私を見下ろし、「やっほー」と手を振った。



　またこいつか、という顔を隠さず、私はウタに声をかける。
「なにか用？　ウタ」
「いっひひ、さすがヒビキ。相変わらず上手いね」
　何が楽しいのかわからないのか、後ろ手に私を覗き込むと、「やっ」と声をかけてきた。一人の時間を邪魔されるのは愉快ではないが、ウタの場合は珍しいことでもない。
「なに？　なんか用？」
「うーん？　あー、コンサートのお誘い、というか、お願い？」
「またその話……」
「まま、そう言わないで。ダンスはヒビキには頼まないからさ」
「ぜっっっっったいに出ないからね」
　はっきり釘を刺すと、ウタが慌てて両手を振る。
「だ、だからダンスは頼まないって。ちゃんとみんなもヒビキも心から楽しめる、最高のクリスマスコンサートにしてみせる。約束する」
「……ふん」
　胡乱気にのぞき込み、十一月下旬の寒さでかじかんだ手に息を当てる。寒いから早く帰れと言うアピールも、「はい」と手渡されたものを見て通用しないことを悟った。
　ペットボトルの温かいお茶を受け取ると、冷えた手に優しい熱が伝わる。
　ウタはホットレモンジュースを両手に挟み、一口飲んだ。
「……ありがと」
「どういたしまして。あ、ベンチ行こ。立ち話は疲れるしさ」
　何となく断れない雰囲気になってしまい、不承不承ウタについていく。
　風よけの壁もないが、簡素な屋根とベンチは置いてある小さな休憩小屋のようなところだった。ふうと一息つくと鳥の声が聞こえ、思わず落ち着いてしまった自分を自覚する。
「でもさ、なんでそんなに頑なに断るの？」
　ちょっとした雑談、という雰囲気でウタが聞いてきた。
「確かにヒビキは受験勉強もあるし、クリスマスコンサートはわたしの提案だからヒビキにとっては寝耳に水の話だったかもしれないけど、そう言いながら文化祭だって出てくれたし、人前に立って歌うのが嫌なわけではないんでしょ？　ヒビキってムッツリ目立ちたがりだし」
「ムッツリって言うな。あと別に目立ちたがりじゃない」
　眉をひそめて訂正し、コキコキと首を鳴らす。
「ボランティアって好きじゃないのよ」
　少し驚いたような顔をしたウタに構わず、続ける。
「今回のことだって、なんで病院？　私達が本気で歌うのを聞いて喜んでくれる人なんていくらでもいる。その中でどうしてその病院だけを選んだの？　それとも依頼があれば他の病院からも受けるの？　来年はどうするの？　私達は卒業して、来年新入生がいるかもわからない。私達の歌を聞いて、来年も聞きに来ようと思った人がいたのにもしやらなかったら、私達はその人の期待を裏切ることになってしまう。それとも一回限りって宣言する？　したらなんで今回だけってなるけど」
　つまりさ、とつい感情が入って長くなってしまった言葉をまとめる。
「やるからには、きちんとやりたいの。たった一回、困っている人たちのために良いことをして良い気分になって、後のことは後の人任せ。そういうのは好きじゃない。偽善っぽくってさ」
「偽善……」
　しまった、口の中で思わず漏れた。
　そこまで言うつもりはなかった。おそらくウタは純粋な善意で受けたのだろう。私と考えが合わないというだけで、ボランティア活動やクリスマスコンサートそのものを否定するつもりはない。
「ごめん、言い過ぎた」
　あわてて謝罪の言葉を口にする。
「ん？　ああ、いいよいいよ、ヒビキの言っていることもわかるし」
　意外なことに、彼女は怒ったり傷ついたりはしていないようだった。
「そっか……偽善かあ」
「い、いや、そこまでは」
「ヒビキはさ、音大に行くんだよね」
「そ、そうよ」
　急に自分の進路の話になって驚いたが、隠す気もないので肯定した。話の転換が急すぎてついていくのが精いっぱいだが。
「歌の勉強をするため？」
「もちろん。世界一の歌手になるために、より専門的に音楽を勉強できるところへ進む」
「世界一……」
　ホットレモンを持った手を止めて、ウタが私を見つめるのを感じた。
「私は歌が好き。そして、飛びぬけて歌が上手い。だからより上手くなるために音大に行きたいし、世にいる誰よりも上手くなれる自信がある。おかしい？」
「ううん。正しい」
　歌手は私の目標だ。夢と言うほど曖昧でぼやけたものではなく、今見据えている、進むべき道の途上にある通過点。
　自信過剰と笑う人もいるだろう。夢追い人と生暖かい声援を送る人もいた。
　私の選んだ道はそんなものではない。自信があるから、最短距離を選ぶ。
「わかっているなら充分でしょ。私には音大受験が控えている。だから自分の練習に集中したい。音楽室を借りたいから後輩の指導もする。クリスマスコンサートだって反対はしない。ただ私が出ないだけ。義務と義理はきちんと果たしていると思うけど？」
「そうだね、きっとヒビキは正しい」
「ならなんで」
「でも、わたしはヒビキともう一度一緒に歌いたい」
　それはあなたの希望でしょ、などと言っても無駄だとため息に変え、お茶に口をつける。
「わたしは、クリスマスコンサートが楽しいものになるって確信してる。でも成功させるためには、ヒビキが必要なんだっていうのもわかる。ヒビキのいないコンサートじゃ、わたしは楽しくない」
「だから、それはあなたの問題でしょ」
「なら、進路だってヒビキだけの問題じゃん」
　ああ言えばこう言う、というやり取りだった。私が間違っているという理屈はないはずだか、何を言っても言い返してくるだろう。揚げ足の取り合いで勝てる気がしない。
　いっそ黙ったまま帰るまで粘ってやろうかと思ったが、ふと一つあることを思いつく。
「……なら、条件付きで出てあげても良いわ」
「え！？　なになに？」
「お金」
「ええ……」
「冗談よ」
　露骨に引いたウタの顔を見て口元に小さく笑みを刻みつつ、告げる。
「あなたがこれからずっと、私と一緒に歌うというなら、クリスマスコンサートに出る」
　ウタはぽかんと口を開けたままだった。意表を突かれた、あるいは度肝を抜かれたというのか、そういう表情をした彼女を見るのは面白く、飲み込んだとお茶が喉を通りぬけ、お腹から暖かくなるのを感じる。
「えと、それは、どういう？」
「私は世界一の歌手になる。でも、あなたも言っていたように一人より二人の方が歌える歌の幅は増えていく。今からあなたも音大を受験……は別にしなくてもいいわ。とにかく、将来私が歌手になるとき、あなたも私と一緒にステージに立ち、声を重ねる。あなたと歌えば私はもっと上手くなれる。もっと良い歌が歌える。私一人でも世界最高にはなれるけど、二人なら倍の速さで世界一になれる」
　言い終わってから、少し熱く語り過ぎたなと思った。だが、多少の高揚感はあっても恥ずかしさみたいなものはない。
　元々思っていたことを本人に伝えただけだ。
　青空ウタの歌声は本物だ。控えめに言って私と同等以上。
　彼女と歌えるのなら、世界一の歌手になるまで五年は短縮できる。
「……ごめん」
　たっぷり十数秒、あるいはそれ以上の沈黙の後、ウタは小さく絞り出した。
「誘ってくれるのは嬉しいし、わたしもヒビキと一緒に歌うのは楽しいと思う。でも、わたしはわたしで、夢がある」
「そう。まあ、思いつきで言っただけだから良いけど」
　口ではそう言ってみたが、思いのほか腹の底にずんと重いものが落ちた感触があった。少し冷めたお茶を啜っても、胸の内が暖かくならない。
　ふと、そういえばウタが将来について話しているのは初めて聞いたな、と思う。
「まあいいわ。交渉決裂ね。私は私の道を行く。あなたはあなたのことを考えていればいい。クリスマスコンサート、成功することを祈っているわ」
「でも！　わたしはヒビキと一緒に歌いたい！」
　立ち上がった私を追いかけるように、ウタが私の手を掴んでくる。
「きっとこれがヒビキと歌う最後の歌になる！　だから、めいっぱい楽しいステージにしたいの！　お願い！」
「あなたねえ……」
　自分勝手な言いようだと言い返すより、どこか呆れた声が先に漏れた。
「『ヒビキと歌う最後の歌になる』って……それ、文化祭のときにも言ってたけど？」
「え、そうだっけ？」
「あなたには最後の歌が何曲あるのかしらねえ」
　新陳代謝の良い記憶力だこと。
　彼女らしいおかしさに笑みが漏れるが、ここで流されては文化祭の二の舞。心を鬼にして、彼女から離れようとした、そのときだった。
「あれ～？　ウタちゃ～ん！　久しぶり～、どしたん？　こんなところで～」
　不意に声をかけてきたのは、もう六十近い年齢と思われる男性だった。無精ひげによれよれのスーツは控えめに言ってだらしなく、ウタが「あ、先生！」と笑顔で答えなければ不審者扱いしていたような人物だ。
「こんにちは、先生。今日はお休みですか？」
「まー散歩？　息抜き？　みたいなね～、おじさんは連続で仕事すると疲れちゃうから～」
「ちょっと、ウタ」
　ウタの肩を引き寄せ、突如現れた相手に聞こえないよう声を潜める。
「誰よあの人。見たことないけど。他校の先生？」
「ううん、病院の院長先生」
「あ、医者か」
　道理で見覚えないわけだ。
　そして、病院という言葉がクリスマスコンサートと結びつく。ひょっとしてこの人の病院が、ウタがクリスマスコンサートをしたいという病院なのか。
　その推測が正しかったことは、すぐに彼の口から証明された。
「ウタちゃんのいる合唱部のクリスマスコンサート、楽しみにしてるよ～。僕はもちろん、チラシを見たスタッフも患者さんもみんな今からそわそわしてるよ～」
　チラシ？
「あ、あ～？　ひょっとしてこの子が、ウタちゃんの言っていた超絶天才美少女の叶井ヒビキちゃんかな～？」
「はい、合唱部のエース、ヒビキでぐぇっ」
「ちょっと」
　ぐいと肩を掴み、もう一度ウタを引き寄せる。
「超絶なんたらってなによ。私そんな人知らないんだけど」
「あ、えーっとね」
「ほら、これだよ～」
　後ろから院長先生に呼ばれ、振り返ると一枚のチラシを掲げていた。
「ほら、こっちがウタちゃんで、こっちが超絶天才美少女のヒビキちゃん。いや～、すごくかわいくて歌の上手い子がいるって聞いてね～。でも、実物を見るとイラストほど……いや、イラストと同じくらい可愛いくって驚いたね～、うん」
　この人は嘘をつけないタイプなのだと直感した。重大な病気の宣告とかどうするんだろうという疑問は、全く見覚えのない私と同姓同名のイラストに吹っ飛ばされる。
　大きな目に整った鼻筋、少女マンガの主人公みたいなイラストは、どう繕っても私とは似ても似つかない。
「ウタ？」
「えー？　わたしはそっくりだと思うけどなあ」
「えっ？　じゃあ、ひょっとして『コレ』としてわたしにコンサートに出ろって言ってたの？　これほどハードル上げて？　出てった瞬間ざわつくの目に見えてるんだけど？　は？　バカにしてる？」
「ヒビキちゃん、目が怖いよヒビキちゃん」
「まあ別に？　私は出ないけど？　というか絶対に出てやるものかと言う決意がメラメラと湧いて来たのでむしろありがたいくらいだけど？　じゃあそういうことだから帰ってもらえる？　私は自分の練習があるので」
「ヒビキちゃん出られないの？　クリスマスコンサート」
　無精ひげの生えた頬が残念そうに俯く。「すみませんが……」と軽く会釈して応じると、衝撃の言葉が漏れた。
「もうこのチラシ、一千枚以上刷っちゃったんだけどなあ。患者さんだけじゃなく、そのご家族まで来られるだろうし、色んな人に迷惑かけちゃうなあ」
「いっせ……！？」
「このクリスマスコンサートを楽しみにしてる子供たちも多いしなあ～。もうずっと家に帰れない患者さんもいてねえ～。特にご高齢の患者さんは、君たちみたいな若い子に会えるのを楽しみにしているしねえ、うーん、残念だなあ」
「あ、あの……」
「いや仕方ないよ、気にしないで。院内の責任はいつだって院長の僕がとるから。君は何も心配しなくていいからね～」
「うぐ……」
　ここで無理矢理『出ろ！』と言ってくれれば、反発心で断ることもできたのに、フォローされてしまうとかえっていたたまれなくなってしまう。
　ましてや、普段から患者さんと接する医者からの『患者さんのために』という言葉は、ただの女子高生が口にするよりずっと重く、断ることの重大性を改めて実感させられる。
「……う、ああ、んんん、うぐぐぐぐ……」
　目を閉じ、歯を食いしばる十数秒の後に。
　わたしは、クリスマスコンサートへの参加を受けることにした。　





　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　＊　＊　＊



　指揮をする手を止め、歌が止まるより早く出た声はすでに叱責の響きをはらんでいた。
「――メグ。まだ弱い」
　びくっ、と一年生の肩が震えた。後輩たちの視線が彼女に集中し、小さい体がますます小さくなっていく。
「前にも言ったよね？　もっと声を張って。もっと強く自分を出して。あなたのところだけ弱いから、全体がアンバランスになる。ただでさえ人数が少ないの。わかってるの？」
「は、はい……」
　蚊の鳴くような声、という形容がぴったりなか細い返事だった。こんな声では、強く歌えと言っても難しいだろう。だが、合唱である以上バランスを崩すわけにいかない。
「もう一回」
　右手を上げて構えると、ピリッとした緊張感に包まれる。メグの体はガチガチに固まっているが、リラックスさせる言葉など私は知らない。
　まず自分がしっかり歌えるようにならなければならない。それは合唱であっても同じこと。
　手を振るうと、一斉に歌い出す。が、すぐに手を止める。
「メグ、まだ弱い」
「はっ、はい」
「メグ、雑にならないように。丁寧に、強くを意識して」
「はいっ」
「メグ」
「はいっ」
「もういい。一度離れて」
　度重なる注意の後の指示に、声にならないざわめきが音楽室に広がる。
　横で聞いていたウタが、メグを庇うように声を挟んだ。
「ヒビキ、さすがにそれは」
「あなたは黙っていて。今は私の時間」
　みんなで楽しくというウタのスタイルは否定しない。だが、私には私のやり方とイメージがある。口を挟んでほしくない。
　メグは性格的にも、目立つ方ではなく地声も小さい。単純に「声を出せ」と指示しても他の子ほど簡単ではないことはわかっている。だが、だから弱くていい、バランスを崩していいという理由にはならない。
　メグはぐっと歯を食いしばり、震える声で言った。
「……す、すみませんでした。別室で自主練します」
　列から離れて音楽室から出ようとした小さな背中に、「何を言っているのかしら」と呆れた声をかける。
「誰が出てけなんて言った？　一度離れて、ウタの隣で聞いていなさいって言ったの」
「え……？」
　ぽかんとするメグ、いや後輩たちも戸惑っていた。
　ヒビキだけが、得心したように頬を緩めている。
「みんなも、合唱は一人一人の歌声で作るもの。だから一人一人が、みんなで歌う完成したイメージを持たないとダメ。全員で理想の歌を歌い上げるため、そのために一人一人が理想の歌を歌い上げる。それが合唱だと私は思っている」
　つかつかとメグに歩み寄り、丸くなった小さな背中を叩く。
「まずみんなの歌を外から聞いて。そしてもう一度、私達が歌い上げようとしている理想の歌のイメージをしっかり固みなさい。そして、足りない一ピースを埋めるために、自分が歌うべき理想の歌をイメージする。理想のイメージができれば、後は歌えるように練習を繰り返すだけ。わかった？」
　ぽんぽんと肩を叩く。
「私達には、あなたが必要なの。自信を持ちなさい」
　メグの目端がじわと滲み、かすれた返事を確認して指揮に戻る。
「もう一度。最初から全部通します」
　右手を挙げると、先ほどまであった緊張感が若干和らいでいた。安心したような、あるいはちょっとニヤニヤしているような、そんな後輩たちを集中しなさいと睨みつける。
　程よい緊張感と、目標を共有し共に研鑽し合える喜び。
　楽しい、と感じる自分がどこかにいて、メグにニヒヒと笑いかけるウタの言うこともあながち間違いではないと感じた。



　練習が終わると、後輩たちを帰してウタと二人でクリスマスコンサートの計画にとりかかった。
　すでに十二月に入り、クリスマスコンサートまで三週間と少ししかない。本来なら言いだしっぺのウタと後輩たちに任せてもいいのだが、彼女たちに任せてとんでもないことをさせられてはたまらないので、私も参加する。
　何より、やるからにはきっちりやりたい。
「入院患者って言っても、年齢性別様々だからね。やる曲目は幅広く考えないと」
「うん、それに季節に合わせてクリスマスソングもやりたい」
「できるだけメジャーどころを探しましょう。みんなが知っているように」
「えー、あんまり歌ったことない曲とかに挑戦してみたいなあ」
　唇を尖らせながらも、クリスマスコンサートの成功を一番願っているのはウタである。聞くところはきちんと聞いてくれた。
　流行の歌、演歌、童謡やクリスマスソングなど、各人から歌いたい曲の希望を挙げてもらったリストを眺めながら、何を歌うか、どう繋げるかを話し合う。
「あと、衣装も考えないとね」
「普通でいいでしょ」
「えー、クリスマス感だそうよー。サンタ帽とか被ってさあ」
「それくらいなら、まあ」
「あとサンタっぽい短いスカートとか」
「却下」
　高校生としてのTPOを逸脱した案は排除する。
「あとダンス……」
「却下！」
　そんなこんなで話し合いに没頭してしばらく。
　いつの間にか、随分と暗くなっていた。テストが近いこともあり後輩たちは早めに返し多分話し合いに多く時間は取れたが、あまり遅くなってもいけない。
「そろそろ帰ろうか。続きは明日、一旦あの子たちも混ぜてからやりましょう」
「だね」
　ノートをカバンにしまい、帰り支度を済ませる。
　さて帰ろうとしたところで、ウタがじっと窓の外を見ていた。
「どうかした？」
「雪……」
「降ってきたの？」
「全然」
　なんだよ。
「降ってないならいつも通りじゃない。何をそんなまじまじと見る必要があるのよ」
「もう冬なんだなって。もうすぐ卒業なんだなって思ったら、ちょっとね」
　ウタの声は、どこかいつもの軽い拍子ではなく、どこか憂いを帯びているように聞こえた。
　つられるように、私も窓の外に視線を向ける。音楽室からの見慣れた景色は、もう暗いこともあって大して心を動かされるようなものではなかったが、『見慣れた景色』がもうすぐ見れなくなると思うと、確かに少しだけ感傷的な気分になったような気はした。
　ちらりとウタの横顔を覗き見る。
　良い機会かな。
「ウタ」
「なに？」
「ごめんなさい」
「なにが？」
　どこか楽しそうに、ウタが聞き返してくる。
「おととし、私達が初めて合唱部としてコンクールに出たとき」
「……ああ」
　ウタが懐かしそうに目を細める。
　私はコンクールの発表後、ウタを思いきり引っ叩いた。
「……どうして、わたしを叩いたのかな」
「あなたが手を抜いたように思ったから」
　青空ウタは、控えめに言って私と同等以上の歌声を持っている。そんな彼女の声から、あるべき真剣さを感じなかった。
　当時の三年生は、本気で上を目指そうとする人たちだった。名門校と比べれば人数は少ないし、相応の歴史やノウハウ、有名な顧問がいるわけでもないのだが、練習から一生懸命やる人たちだったことは、背中を見ていてわかった。
　もちろん全国レベルには遠く及ばないのはわかっていたが、それでも真剣な先輩たちは尊敬したし、少しでも上に連れて行ってあげたかった。
　そんな先輩たちを同じように見ていながら、どうして真剣に歌わないのか。
　あのとき、私にはわからなくて、ガマンできなかった。
　今なら、わかる。
「……あなたは、きっと楽しいから歌うんだと思う。だから、誰かと比較するような歌は向いてない」
　青空ウタは、天才だ。だからこそ、精神的な部分が強く影響するのかもしれない。
「わたしはね、ヒビキ。あのとき、叩かれてちょっと嬉しかったんだ。なんでかわかる？」
「性癖？」
「ちがーう！」
　私が思わず眉を顰めると、両手を挙げてわざとらしくウタが怒る。
「あのときは、あれで充分だって、心のどこかで思ってた。手を抜いたわけじゃない。でも、自分の最高の歌が歌えてないのはわかってたし、どうせ誰も気づかないと思ってた。でも、ヒビキが気づいてくれた。そして本気で怒ってくれた。ああ、すごいなって思ったんだ」
　彼女の綺麗な瞳が、まっすぐに私を射抜く。同姓が好きなわけではないのに、心臓がドキッと大きく跳ねた。
「この子となら、わたしはきっと本気で楽しく歌えるって」
　手放しで称賛されると、どうにも恥ずかしくてたまらない。普段から人のことを褒めるのに躊躇しないウタだけど、今ほど明け透けに言われると冬だというのに顔が熱くなるのを感じる。
　何と言っていいのか、おそらくはお互いに次の言葉を悩んでいた時、ちょうどよくチャイムが鳴った。いつの間にか、完全下校時刻になっていたようだ。
「帰ろうか」
「だね」
　どちらからともなく、二人で歩き出す。
　もうすぐ高校生活が終わる。最後のやり残しが、どうやらクリスマスコンサートになったようだと、今になってようやく気付いた。
　最高の歌を歌おう。私は私の中で、強くそう誓った。
　




　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　＊　＊　＊



　リハーサルで来たときは、休日の病院って随分と寂しいんだなと感じていた。
　一般外来はやっていないので外から来る人が滅多にいない。一階の受付は歳のいった警備員が二人いるだけで、フロアが広い分だけガランとして見えた。
　なのに、今日は随分と雰囲気が違う。
「ねえウタ」
「なに？」
「こんなに、聞きに来てくれる人いるかな？」
「さあ」
　ウタは素っ気なく答え、院長先生を見つけてかけていく。
　一階からエスカレーターで上がれる二階には、たくさんの椅子が並べられていた。横におおよそ十から十五、縦は三十か、はたまた五十以上あるだろうか。ステージになる部分からは最後尾がもはや見えず、規模だけならちょっとしたコンサート会場のようだった。
　いや、事実コンサート会場なのか。
　病院スタッフらしき人は看護師さんだけでなく、私服でカメラを持った人もいる。スーツ姿の男性や、入院中らしいパジャマを来た子どももいて、随分気が早いなと思う。
　コンクールとはまた違った緊張感を味わっていると、後ろから声をかけられた。
「ヒビキ先輩」
「どうかした？　メグ」
　不安そうな後輩は、おずおずと疑問を口にした。
「今日、これから、歌うんですよね？」
「そうよ」
「伴奏は……？」
「そりゃあ、いつも通りピアノで……」
　言いかけて、ふとそう言えばピアノが見当たらないことに気づく。病院側とのコミュニケーションはウタに任せきりだったが、そういえばピアノはどうするのだろう？　病院にあるのか、それとも学校から持ってきたのか。
　ウタは院長先生と話している、聞くには都合がいい。
　小走りで駆け寄ると、何やら不穏な空気になっていた。
「え、どういうことですか先生、ピアノは病院で使っているのがあるって」
「いやいや～、それがどうも、使う人がいなくなって久しく、古くなったこともあって処分してしまったということで。一応そちらにも連絡はしたはずなんですが～」
「知りませんよ、そんなの。実際そんなの来てないし……あ」
「ウタ」
　後ろから肩を叩く。話は途中参加だが、おおよその流れはわかる。
「あったの？」
「う……」
「あったのね？」
「……はい」
　しゅんと小さくなってしまった元合唱部部長に、やれやれと肩をすくめた。
「……ごめんなさい」
「いえいえ、きちんと確認をしておくべきでした～。こちらの落ち度でもありますし～」
　申し訳なさそうに責任の一部を請け負う院長先生。
「誰が悪いかの話をしている場合ではないでしょう」
　ひとまず二人が落ち着いたところで、現実的な話に戻す。
「アカペラの曲もあるけど、基本的にはピアノ伴奏を予定しています。このままでは予定しているプログラムを消化できません。至急ピアノの手配をお願いします」
「し、しかしそうは言っても～、すぐにはとても～」
「学校から持ってくるにしても、トラックとか使わなきゃ無理だし、そんな余裕はないよ」
「グランドピアノである必要はありません。小さめの電子ピアノなら移動も難しくないでしょう。パート練習で使っているのが学校にあるはず。それでいいわね？」
「う、うん」
　ウタが頷き、院長先生も異論はないようだった。決定と見て、すぐに合唱部唯一の男子生徒を呼ぶ。
「勝又！」
「は、はい！？」
　ひょろりとした細い背中をびくりとさせて、何事かと私の方を振り向く。
　厳しい態度が多い私に対して割とビクつく後輩は多いが、そのトップ2がメグとこの勝又だった。
「ちょっと来なさい」
「え……僕、またなんかしました？」
　肩を縮こまらせて駆け寄る後輩に、素早く指示を飛ばす。
「今すぐ学校に戻って、普段練習で使ってる電子ピアノを持ってきて。移動はタクシーでいいわ。お金は院長先生が出してくれる。ですよね、院長先生？」
　すっとそちらに目をやると、うっ、と言葉を詰まらせてから、「も、もちろんです」と胸を叩いた。
　勝又が院長先生からお金を受け取り、エスカレーターで一階へと降りたのを見送ると、時間を確認。コンサート開始まで、残り十五分を切っていた。
　イスの方を見れば、すでにいくつかの椅子が埋まりつつある。エレベーターの方から少しずつお客さんらしき人も来ていて、どうやら空席とスタッフを相手にしたコンサートにはならず済みそうだ。
　電子ピアノが遅れる場合を想定し、プログラムの変更を院長先生と相談した後、改めて合唱部のメンバーを集めて変更に関する打ち合わせを行う。曲順の入れ替えと勝又の不在はあるが、やること自体は変わらない。
「すごいねえ、ヒビキは」
「何が？」
「アクシデントにも冷静に対応して。わたしはテンパっちゃって、わたわたするだけだったのに」
「何言ってんだか」
　心から呆れてため息する。
「あなたが言い出したコンサートなのだから、アクシデントの一つ二つは想定内に決まっているでしょ」
「うにゅむ……」
「それに」
　小さく頬に笑みを刻んで、付け足す。
「この程度のことで動揺してたら、私は私が理想とする私になれない。このくらいのピンチ、むしろあったほうがありがたいわ」
　ほら、行くわよ、とウタを招いて準備に戻る。
　席はすでに四割ほど埋まっており、このペースならいい具合に入りそうな雰囲気だった。



「……であるからして……とうことでね～、この病院も創立から～、かれこれ～……」
　延々と続く院長先生の開幕宣言に、患者さんたちにも不満そうな気配が漂っていた。
　時間になっても、電子ピアノを取りに行った勝又は戻ってきていなかった。とはいえ開幕時間を遅らせるわけにはいかない。患者さんの体力に限界があるからだ。
　伴奏なしで始めざるを得ないクリスマスコンサートだが、その開幕での院長先生の言葉がすでにげんなりするほど長い。
「ねね、ヒビキ」
「なに」
　合唱部のメンバーが一列に並び、私の隣に立っているウタが囁く。
「これ、もう無理矢理止めた方がいいかな」
「……一応、ピアノが到着するまでの時間稼ぎかもしれないけど」
「ないでしょ」
　ウタに断言され、同意せざるを得なくなった。世の多くの校長といい、どうしてこう大人というのは長い話をしたがるのか。
　ウタがさっと部員たちに目くばせすると、列から一歩前に出た。
「……であるからして～、つまり～……」
「はーい院長先生ありがとうございましたー！」
　すっと話に割り込み遮ると、背中を押して物理的に遠ざける。
「いや、まだ話は」
「ありがとうございましたー！　いやー良いお話でしたね！　良い歌を聞くとリラックして眠くなる！　良いお話を聞いてもリラックスして眠くなる！　でもメインはわたしたちの歌ですから！　ここで眠っちゃダメですよみなさん！」
　くすくす、と観客席から笑い声がする。それに気をよくしてウタが続け、完全に入り込む間を失くした院長先生が脇へ引っ込む。
「さて、本当なら自己紹介をしたいところなのですが、長い話を聞いた後にまた長い話を聞いても眠くなるだけでしょう。ということで、自己紹介代わりに一曲、さっそくですが歌いたいと思います」
　すっとウタが右腕を掲げる。伴奏がないため、ウタが指揮を振って入りだけ合わせる。
　誰もが聞いたことのあるイギリス民謡『We Wish You A Merry Christmas』。
　最初は静かに、しっとりと歌い上げる
　きちんとしたステージではないから、雑音も多い。子どものぐずる声、足音。パイプ椅子の軋む音も混じる。
　だが、きちんと発生した声は、弱くても遠くまで届く。
　この曲は同じメロディ、歌詞を繰り返す。その度に声を大きく、そして強くしていく。
　まるで水面に広がる波紋のように、歌声がフロアを満たし、支配していくのを感じた。
　わずかに聞こえた音に拾おうと、歌に集中してくれる。そんな彼ら彼女らの耳を、綺麗な歌声で魅了していく。
　たった一曲、三分とかからない曲を歌い終えた瞬間、フロアは静寂に包まれた。
　そして、わあっと大きな拍手が巻き起こる。
「ありがとうございます！　ではでは、続けてまいりましょう！　『サンタが町にやってくる』！　みなさん、張り切っていきましょう！」
　そういうと、ウタは手拍子を始めた。ついで合唱部のメンバー、周囲の病院のスタッフさんも手を叩いてくれるが、患者さんの方の反応はイマイチだ。
　まあ仕方ない。こういう場で拍手をしたり合いの手を求めても、なかなか恥ずかしがってやってくれないのが常なのだ。が。
　ウタは歌い始めると、イスの間を縫うようにしてスキップし始めた。
　私達も後に続き、拍手を求めるようにアピールする。先頭を行くウタは、歌声と拍手、即興らしきステップと笑顔で、どんどん手拍子を集めていく。特に子供たちには手を振ったりして、一番彼女が楽しんでいた。
　ウタが中央に、通路を十字に並ぶようにして合唱部が並び、手拍子を伴奏にして歌う。人数は少ないが、だからこそステージを気にせず歌える。後輩たちも、子ども好きな子は手を振って、人見知りな子は小さなステップがまた可愛らしい。
　私は最初の位置から動かなかったが、多少はダンスの練習もした方がいいかもしれないと思う程度には、楽しそうに見えた。
　曲が終わると、手拍子が拍手に代わる。
「さてみなさん、突然ですが、本来ここにあるはずだった、ピアノがなんとありません！」
　えー、と患者さんや、特に病院スタッフの茶番じみた合いの手が入る。
「その原因ですが……」
　ウタがちらりと院長先生の方を見る。院長先生がぎょっとするが、半分以上ウタのせいだろう。
「なんと、あわてんぼうのサンタさんが忘れてしまったのです！」
　彼女はそういうと、「そこで！」と一際声を張り上げた。
「今、一生懸命取りに行っていますので、これからみんなで、あわてんぼうのサンタさんを呼びましょう！」
　ここまで言えば、誰だって次に何を歌おうとしているのかわかるだろう。歓迎の拍手に合わせ、歌うのは『あわてんぼうのサンタクロース』。
　ユニークな歌詞に合わせて、ジェスチャーをつける。えんとつを覗いて落っこちるところで、くすくすと笑う声が聞こえた。
　楽しい雰囲気のまま、歌が終盤に近付くとみんながステージに戻ってくる。
　そして歌い終わったとき、ウタがさあっと腕を伸ばして視線を集め。
「では、あわてんぼうのサンタクロースがプレゼントのピアノを持って登場です！」
　いやそんな打ち合わせしてないでしょ、などと止める間もなく。
　本当に来るのか？　という疑問は、本当にエスカレーターから上がってきた人物に氷解し。
　大いに眉を顰めた。
「……え？」
　そこにいたのは、ごく普通の知らないおじさんだった。
　彼はフロアすべての視線を集めていることにひどく戸惑った後、そそくさとその場を離れる。
　ぽかんとしたまま、ウタへと注目が集まる。
「あー……あれー？　おっかしーなー」
　ぽりぽりと頭を掻く姿は、本当にテンパっているのだろう。
　ここからのプログラムは、もうアカペラでは辛い。本当にどうしようと考えた時。
「お、お待たせしましたー！」
　エスカレーターを駆けあがり、一メートルちょっとの電子ピアノを掲げた勝又が入ってきた。
　真っ先にウタが駆け寄り、
「やった！　ありがとー！　みなさん！　あわてんぼうのサンタクロースがようやく間に合いました！」
「はっ？　あわてんぼう？」
「いいから、こっち来て準備して」
　私は困惑気味の勝又を引っ張り、電子ピアノを設置。スイッチを入れて……うん、動く。
　伴奏担当の子に後を任せて次の曲の準備に入ろうとして。
　ふと、電子ピアノを取りに行った勝又がずぶ濡れなことに気づく。てっきり急いでいたから汗をかいたんだろうと思っていたが、とてもそんな量ではない。
「どうしたの？　これ」
「急にすごい雨降って来ちゃって。タクシーで来たのにこれですよ。なんか道路も混んでるっぽいし」
　この病院はきちんと防音がしてあるのか、雨音など全く聞こえなかった。振り返って窓を見れば、確かに時間の割に随分暗い。
「まあいいわ。そのままじゃ風邪ひくから、体拭いて先に着替えて来なさい」
「着替えなんてないですよ」
「あっちに使ってない着ぐるみのトナカイがあるから」
「僕だけコスプレですか！？」
　他は制服にサンタ帽をかぶっただけだ。
「ほら、つべこべ言わない。早くしないとあなたメインの曲をカットするわよ」
「い、行ってきます！」
　ぬれねずみの後輩を送りだし、伴奏の準備も整っていよいよメインディッシュに入っていく。
　ステージでは、ウタが次のプログラムに向けて順調に進行していた。
「さて、ここからは古今東西、冬の名曲を歌っていきたいと思います。これから歌う歌は、合唱部のメンバー一人一人が、自分で選んだ歌で、その子がメインで歌います。どうか聞いてください」
　ウタが一歩下がって列に戻ると、代わりに一人が前へ出る。そして、勝又トナカイが客席からのくすくす笑いを引きつれて戻ってくるのを待って、次の曲へと移った。
　できるだけいろんな世代の人に喜んでもらえるよう、幅広く選曲する。そういう決め事の通り、いろんな曲を選んでくれた。選んだ人をメインに据え、他のメンバーがバックコーラスを担当する。
　ある者は石川さゆりを。
　ある者はレミオロメンを。
　ある者は洋楽からワムを選び。
　ある者が選んだ山下達郎を王道的に歌い上げる。
　引っ込み思案のメグが恥ずかしそうに歌った童謡の『ゆき』に、多くの人が優しい笑みを浮かべていた。
　そして、ウタはかの有名な『アナ雪』から。
　楽しむことを信条とする彼女にとって、この場は最高のステージだったのだろう。
　今まで一番、最高の歌声だった。
『ありのままの自分』
　ウタとともに歌いながら、なんとなく歌詞の中にあるフレーズに感情移入する。みんなで、楽しく。誰より彼女らしく、一番楽しんでいるウタの背中を眺めながら、ああこれが彼女の真の歌声なんだと理解する。
　彼女の背中に、わずかな嫉妬と悔しさ。そして大きな負けん気と、一緒に歌ってきたことへの誇りを感じた。
　一際大きな拍手の後に、やや息の荒いウタとハイタッチして位置を入れ替わる。
「やり難くしてくれちゃって」
「ヒビキなら超えてくれるって、信じてるから」
　言ってくれるわ。ニヤリと口端を歪めて、即席の客席を見渡す。
　コンサートももう終盤。体調不良などもあって、どんなに良い歌を歌っても途中退席する人はいるだろう。雑音もそれなりにするし、一人の歌手として最高のステージとは言い難い。
　でも、やはり聞いてくれる人がいるというのは楽しい。
　この気持ちが原動力になり、歌う力になる青空ウタという少女の気持ちは、今なら理解できる。
　息を整え、伴奏者に目線で合図を送った。
　そのとき。

　目の前が真っ暗になった。

「えっ？」
　真っ白になった頭が、一瞬の間を置いて停電と理解する。
　すでに夕方近く、雨が降っているとなれば窓からの光も期待できず、緑色の非常灯が微かな光で照らすだけ。どこからともなく聞こえてくる何かしらの機器のアラーム音が、余計に不安を煽った。
　動揺する声、落ち着かせようと声を張る病院スタッフ。子どもたちも多く、パニックになったら収拾がつかない。
　大丈夫。そう自分に言い聞かせる。
　私にできることは何か。
　否、私にしかできないことは何かを考える。
　決まっている、歌うことだ。
　呼吸を整え、今響かせるべき歌声をイメージし、全力で歌い上げる。
　悲鳴一歩手前の声が交差するフロアに向けて、思いを込めて。

　――――いま、わたしのねがいごとが

　電子ピアノは停電中は使えない。必然的にアカペラになる。
　大丈夫。届く。

　――――かなうならば、つばさがほしい

　丁寧に、しっかりと。
　私の中にある理想の声を、歌を、響かせる。

　――――このせなかに、とりのように

　混乱が徐々に収束していく。
　後ろで、ウタを中心に後輩たちがまとまった気配も感じた。
　きっと、合わせてくれる。

　――――しろいつばさ、つけてください

　明かりが点く。
　伴奏が生き返り、一瞬で呼吸を合わせる。
　私達の声と心が重なり、空気が変わる音がした。

　――――このおおぞらに、つばさをひろげ　とんでいきたいよ

　――――かなしみのないじゆうなそらへ　つばさはためかせ

　――――いきたい

　間奏に入った瞬間、大きな歓声が湧き起こる。
　どうやら怪我人もいないようだ。病院スタッフがあちこち駆けまわる姿が見えたが、コンサートが中断させられる様子はない。
　最後まで歌い切り、礼をすると再び拍手の雨が降る。
　振り返ってウタと位置を入れ替わる。ニヒヒ、と笑う彼女に、私もニヒヒと笑い返した。
　みんなの前に立つと、いたずらっ子じみた笑みは消し、元合唱部部長らしくしゃんと背筋を伸ばす。
「名残惜しいですが、次の曲が最後になります。この曲は、わたしとヒビキ、三年生二人の希望を通してもらい、選びました。わたしたち三年生にとって、もちろん後輩たちにも、みなさんにも、伝えたい思いが、歌詞の中に込められていると思うからです。
　聞いてください　『Believe』」
　ウタが列に戻る。
　考えてみれば、『私達』で歌う最後の曲になるのか。名残惜しさを感じながら、全てぶつけようと気を引き締める。
　良い歌が歌えた。一人一人が理想の歌を歌い、声がピタリと重なる。そして、誰もが今を楽しんでいる。
　私達は、進む。きっと誰もが、進むのだ。
　いくつもの終わりを経験し、そのたびに新しい何かを、未来を信じて始める。
　万感の思いを込めて、私は最後まで歌い上げた。





　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　＊　＊　＊　



「おつかれ」
　不意に後ろからかけられた声に振り返ると、ウタが温かいお茶とホットレモンを持って立っていた。
「どっちがいい？」
「お茶」
　お茶を受け取り一口飲むと、酷使した喉が潤うのを実感する。
「みんなは？」
「いま片付けの手伝いしてる。院長先生はいいって言ってくれたけど、甘えすぎてもね」
「私達はいいの？」
「いいってさ」
　コンサートが最高の形で終わって、患者さんたちやそのご家族が戻っていくのを見送った後、私は大きな山を一つ越えた安堵感と達成感に、フロアのソファーで座り込んでいた。手伝わなければと思いつつ、体がうまく言うことを聞いてくれない。
　ここは後輩に甘えよう。
「ヒビキ」
「なに？」
「ありがとね、今まで」
「なにを急に」
　笑いながら、同じ気持ちになっている自分に気づく。冬になると、私はいつも温かいお茶で、ウタは必ずホットレモンを選ぶ。
　お茶はカテキンの殺菌作用があり、ホットレモンはビタミンが豊富で体に良い。常に喉の保護を最優先する意識の高さ故だ。
　同じレベルの意識と歌唱力で切磋琢磨できた彼女の存在は、私にとっても大きなものだった。
「私はね、正直に言うとあなたのことあんまり好きじゃない」
「えええっ！？」
　目玉が飛び出しそうな顔をしたウタに、「しょうがないじゃない。息合わないし、しょっちゅうぶつかるし」と重ねる。
「でもね、あなたといた三年間は、かけがえのないものになった。ううん、私の高校三年間に、あなたがいてくれて良かった」
「ヒビキ……っ！」
　ウタが鼻をすする。
「そうだよね、わたしも！　わたしたち、これからもずっと友達だよ！」
「…………」
「何でそこで黙るの！？」
「いや、友達と言われるとどうかなって。私はこれから私の道を行く。あなたはあなたの道を行くわけで。下手すると、もう二度と交わることもないかもしれないし」
「ひどっ！」
　不満げに唇を尖らせるウタに、私はくっくと笑ってごまかす。
　ぷんぷんと膨らませた頬を元に戻したウタが、話を切り替えた。
「わたしの進路ってさ、まだ話してなかったよね」
「ああ、そういえば」
　私は音大志望であることは以前から伝えてあったが、ウタのは聞いていなかった。彼女のことだから、普通の大学へ行っても変わらず歌ってそうなものだが。
「驚かないで聞いてくれる？」
「驚かないわよ」
　どうせ突拍子もないことを言うのだろう。仮に宇宙へ行くと言っても驚かない自信がある。

「わたし、旅人になる」

「はああっ！？」
「あっ驚いた」
「そりゃ驚くわよ、というか、むしろ呆れるというか」
　えへへ、とウタは悪びれる様子もない。
「正直言うと、迷ってたんだ。でも、ヒビキを見てたら、やっぱりやるべきだって思った」
「私が旅人になる指標になったということなら心外ね」
「そうじゃないよ。ただ、目標に向かって、なりたい自分に向かって一直線に歩んでいくヒビキを見て、羨ましくなったんだ。わたしもヒビキみたいに、なりたい自分になる。やりたいことを、やる」
「それが旅人？」
「そう。病院だったり、避難所だったり、日本も世界も、苦しんでいる人や辛い思いをしている人っていっぱいいると思う。いろんなところへ行って、そういう人たちを歌で元気づけて、楽しい思いをさせてあげたい。そして、わたしも楽しく歌いたい。あなたは偽善というかもしれないけど、それならわたしは世界で一番の偽善者になりたい。一番大きな自己満足のために歌いたい」
　まっすぐに未来を見つめる彼女の瞳は、キラキラと輝いていた。
　夢の見過ぎと、笑ってやることもできたかもしれない。だが、彼女をずっと見てきた身からすれば、彼女なら実現できるような気もする。
　何より、他人から見れば私の夢も似たようなものだろう。
「良いんじゃない。あなたらしくて」
「うん、わたしらしいわたしでいたい」
「私が世界一の歌手になったら、特別に世界同時中継のボランティアコンサートでセッションしてあげてもいいわ」
「ヒビキこそ、上手く行かなかったらわたしと一緒に世界回る？」
「いやよ、振り回されるのが目に見えてる」
「えー、行こうよー、普通の旅行でもいいからさー」
「もっと嫌よ」
「ひどっ！」
　そんなことを言い合いながら、窓から外を眺める。
　さて、気の利いた言葉で後から恥ずかしい思いをしそうなやり取りを締めたいと思うのだが、良いものが思いつかない。
　一緒に歌うのは今日で最後でも、まだ学校で顔を会わせることは何度かあるだろう。合唱部の指導も頻度は減らしても来るだろうし、さてどうしたものかと考えて。
　ふと、脱いで膝に置いてあったサンタ帽が目に入り、ああこれだと思い至る。
　ちらりとウタに目を向けると、彼女も同じことを考えていたようだ。
　飲みかけのお茶とホットレモンをぶつけ、乾杯し、同じ言葉をつぶやく。

　メリークリスマス、と。
燕小太郎

2019年12月30日 21時33分09秒 公開
■この作品の著作権は 燕小太郎 さんにあります。無断転載は禁止です。
■作者からのメッセージ
◆キャッチコピー：私の三年間に、あなたがいてくれてよかった。
◆作者コメント：まずは冬企画開催、おめでとうございます！
　今回も完成がギリギリでやべえやべえと思っとりましたが、投稿期間が普段より一日長い四日間だったのでどうにか間に合いました。
　一つでも多くの作品と感想が集まる企画になることを祈っています。

　それでは、よろしくお願いいたします。

2020年04月02日 17時16分34秒
 作者レス
  • 　お詫び

    　お久しぶりです、燕小太郎です。
    　本来であれば4月1日に投稿する予定だったのですが、恥ずかしながら、椅子に座るのが辛い状態になってしまったため、まともに書くことができず投稿することができなくなっていまいました、申し訳ありません。
    　この時期にこう書いてしまうとご心配をおかけしてしまいそうですが、これはあれとは全く別の原因ですので、ご心配はまったく無用です、というのもその病気というのは。



    　痔ですから。

    　

    　一日経ち、病院にも行ったことで幾分痛みも和らいだので、とりあえずお詫びと事情説明だけはしておきたいと思い、こういう形となりました。
    　改めて何か書くことも考えましたが、明日からリハーサル、ノベルスタートアップ三行真剣勝負が始まりますので、今自分がちまちま書く必要はないかなと考えます。次回何かするとすればリハーサル終了後辺り、企画における『テーマ』について少し語ろうかなと考えていますが、もう本番まで日数もないですし、どうなるかはわかりません。

    　とりあえず今はリハーサルに向けて、面白そうな三行を考えていきます。
    　皆様も健康とお尻を大切に、執筆頑張ってください。

    　燕小太郎でした。
    　
    　

    E-Mail pass
Re: 2020年04月03日 20時40分43秒
  • 　お疲れさまです。

    　4月1日に投稿がなかったので「まさか燕小太郎さんの身に何か……」と思っていたのですが、本当に「何か」あったんですね……。
    　お大痔……いや、お大事に。


    ＞明日からリハーサル、ノベルスタートアップ三行真剣勝負が始まりますので

    　これ面白そうな企画ですよね。私も参加してみようかと思ったのですが……

    　冒頭例：
    　「圧巻ですな」
    　　笑顔を浮かべる教頭の言葉に、わたしは重々しくうなずいた。
    　　我が校の長い歴史のなかでも、２５Ｍプールでぬか漬けを作るのは、これが最初で最後になるだろう。

    　↑これより面白そうな三行を思いつきそうもないので諦めましたｗ
    　私は冒頭の書き方を苦手にしているので、参加作を見て勉強しようかと思います。

    ＞企画における『テーマ』について少し語ろうかなと考えていますが、

    　テーマについて語るのは面白そうですね。
    　次の企画が終わった後に語るネタとして取っておいてもいいんじゃないかと思いますけど。


    　ではでは。

    E-Mail pass
Re:Re: 2020年04月08日 08時58分44秒
  • いりえミトさん、コメントありがとうございます！

    　ご心配おかけしました。とりあえずもう大丈夫そうですが、デリケートな場所だけに辛いですね。

    　リハーサルの三行企画は、考えてみましたがなかなか難しいです。そもそも冒頭の魅力って三行だけで語るものではないですし（コンセプト全否定）。
    　ちなみに、今回のリハーサルは自分も参加しています。どの作品が、という指定さえしなければ参加表明そのものは規約上OKだと思いますので、ここで明言してしまいましょう。

    　リハーサルが終われば、本番まで三週間そこそこ。確かにもう近いですし、次回企画後にやるかどうかはわかりませんが、やった時のために残しておいても良いかなと思います。
    　まだナンバー2企画用作品が全く進んでいないので、やばいっす。まさに尻に火が付いた状況ですが、なんとか作品参加できるよう頑張ります。

    　コメント、ありがとうございました！

    　……あ、尻に火が付くって、別に痔を火で炙ったとかではないですよ？



    E-Mail pass
2020年03月15日 21時16分36秒
 作者レス
  • 　燕小太郎を振り返る⑥　後編　～　last concert　～

    　続いて、印象に残った作品を発表していきます（ただし、前半の四作品は除く）。



    　第4位　ネコミミエックスの献身？（2010年夏企画）

    　初優勝作品でしたので、やはり思い入れは強いですね。
    　企画参加時期としてはかなり初期の方で、今となっては良い意味でも悪い意味でも、もう自分には書けないお話です。下ネタパロネタは今も好きですが、だいぶ自分が変わったのだなと感じさせる、過去の自分の代表作のような印象です。
    　拙作のイラストは、今もスマホの待ち受けにしております。（メニュー画面？　の方は『ダンディライオンを伝えて』にしてあります）



    　第3位　キンタマフルエンザ（2018年夏企画）
    　
    『金』というテーマが出た時点で、「ああ運営はこれを求めているのか、欲しがりさんめ」と思ったものですが、ふたを開ければ清い企画で、金〇は二つだけ。まあ金〇なら二つでしょうという下ネタはともかく、やり切った感はありました。
    　とにかく書けない時期でしたからね。この一つ前の『逆転企画』はギリギリまで書けなかったため掌編になり、金企画の次は作品参加できず。そういった時期で、ひねり出したのがこのキンタマフルエンザでした。ふざけたタイトル、公式をコピペした書き出し（しかも公式の誤字脱字がそのままコピペされている）、下ネタパロネタのオンパレードと、まあやりたい放題だったなと。
    　キャラクターやストーリーなど、物語としては半端になってしまいましたが、フルスイングはできたので楽しかったです。
    　


    　第2位　バレンタインに間に合いませんでした！（2015年冬企画）

    　首位と迷いましたが、僅差で二位としました。
    　振り返りでも書きましたが、とにかく計画犯罪でした。なので、いかにこのいたずらを成功させるかには頭を捻りました。おふざけはしましたが、内容が伴わないと意味がない。『すごくいい作品を、あえてネタのために減点を受け入れる』からこその面白さでしたから、そういう意味でも、結構頑張って書いたお話でしたね。
    　個人的には開幕早々に魔剣アザトフォートをヒロインの頭に突き刺したり、ヒロインが貧乳だったり、ヒロイン視点の物語で男性のほのかな恋心をそれとなく描いたりと、内容的にも楽しかったです。
    　しかも、よく覚えていないので恐縮ですが、後夜祭以後に減点30込みで高得点基準を突破したとか……すげーな自分。
    　でも遅刻はいけません（戒め）。



    　第1位　まっすぐ（な線をひく）少女　（2017年冬企画）

    　意外と思われる方もいらっしゃるかもしれませんが、作品として一番印象に残っているのはこの『まっすぐ（な線をひく）少女』ですね。
    　しばらく企画から離れていて、久方ぶりの作品参加だったというのもありますが、とにかく書きたいものというのがすごく絞られていて、かつそれが表現できたのが今作でした。
    　とにかく小さく、地味に、その分丁寧に、まっすぐというテーマを描く。
    　多分ライトノベルとか、エンタメ小説としてはダメなんじゃないかと思います。派手さもなく、山場も弱く、物珍しさもない。
    　それでも、キャラクターと心理描写で物語を作り上げる。物語の核となる部分をしっかり書けたことが、評価として現れたことは自信になりました。
    　今の燕小太郎まで、大きな影響を残す一作になったのではないかと思います。



    　さて、こんなところでしょうかね。
    　ちなみに、今回優勝した肉球さんからは返信レスにてオールタイム燕小太郎ベストに『物理魔法使いとモヤシ勇者』を挙げていただきました。ありがとうございます。
    　獲得平均点では最上位の今作『ラスト・クリスマス・コンサート』や、実体験が強く出ている『納品・レジ打ち・客対応！』は、印象には残っているのですが、執筆にあたって作品以外のところに強い感情があったこともあり、今回は外しました。
    　
    　さて、おおよそ一か月半の長きにわたって続けてきました『燕小太郎を振り返る』でしたが、いかがでしたでしょうか。多少の暇つぶし、あるいはちょっとでも昔を懐かしく思い出す一助になっていれば幸いです。
    　ただし、後夜祭に入ってからも定期的に更新を続けたのは、なにも自分がナルシストだからというわけではございません。最終回はせっかく二つに分けたことですし、余った字数で少しばかり本音を書かせていただきたいと思います。

    　後夜祭でも更新を続けた理由の一つは、次回2020年GW企画への参加者を一人でも増やしたいからです。
    　前にも書いたかもしれませんが、日常に追われる中で企画のことを忘れてしまい、気づいたら投稿期間が終わっていた、なんてことはしばしばあると思います。そういう方々のために、定期的に更新する何かを見に来て、そのたびに企画のことを思い出していただければ、次に向けて忘れずに準備をしてくださるのではないか。そんな思いもあって、こうして長く更新できる試みを考えました。
    　ただ、振り返り企画が予定よりちょっと早く終わってしまったので、4月1日にちょっとだけ振り返り企画の延長戦をできないか思案中です。せっかくのエイプリルフールですし、しょうもない嘘でもつけたら面白いかな、と。そしたら、二週間後くらいにリハーサルがあって、締め切り前に怒涛の追い込み、という流れになるのではないか、と。

    　二つ目に、まだ返信レスをされていない方へのアピールです。
    　自分としては、更新を続けることで、『いつまでもこの投稿所でお返事お待ちしております』という意思を込めていました。遅くなってしまったし、今更返信を書いても誰も読まないでしょ、なんて思われる作者様もいらっしゃるかもしれませんので、こうして投稿所に定期的に訪れるようにすることで、すぐに返信に気づけるように意識づける、という狙いです。
    　プレッシャーをかけるつもりはない、と言ったら嘘になりますね。ただ、やっぱり真剣に感想を書いた身として、そして真剣に感想を書いてくださった多くの感想者に対して、短くなっても遅くなっても、企画という場所が返事を書く場であってほしいというのが自分の願いです。
    　
    　

    　さて、いささか真面目な話になってしまいました。いやずっと真面目に書いてはいましたが。
    　何はともあれ、いったんここで『燕小太郎を振り返る』は終わります。過去の自作と向き合う中で、いつもと少し違うモチベーションが自分の中に湧いてきたのを感じます。これで自分がまさかの作品不参加とかなったら笑えないので、執筆頑張っていきたいと思います。

    　では、ここまでお付き合いいただいた皆様、そして『燕小太郎を振り返る』をこの場で行うことを許可していただいた運営の方々に、深く御礼申し上げます。
    　ありがとうございました！


    E-Mail pass
Re: 2020年03月18日 00時22分17秒
  • 　『燕小太郎を振り返る⑥　　～　last concert　～』、前後編読みました。


    　「燕小太郎ベストセレクション」、1位が『密室殺人はホームルームの後に』というのは納得でした。
    　あの作品は、とにかくキャラクターが素晴らしかったです。「商業作品的なキャラの魅力」と「リアリティのある人間描写」が両立されていたと思うんですよ。
    　当時の感想でも書きましたが、「登場人物たちが、それぞれの意思で考え行動している」というのが凄く感じられ、「人間を描くとはこういうことか」と勉強になりました。加えて、できないと言われたことをやりたがる主人公の性格や「ですわ」しか言わない生徒会長といった個性も魅力的でした。
    　おっしゃっているように、作中で実際に密室殺人が発生しないというストーリー上の弱点があり、その点があって私からは30点止まりだったのですが、その問題さえなければ40点……もしかしたら50点いったかもしれません。それくらい素晴らしい作品でした。


    　「印象に残った作品」のほうで私から特に言及したいのは、『キンタマフルエンザ』です！
    　いやぁ、大好きだったんですよあれｗ　清々しいほどに笑わせていただきました。
    　コピペ冒頭も衝撃的でしたし、ギャグでは「臨！　兵！　闘！　者！　皆！　陣！　列！」「金！　玉！」が印象に残っていますｗ
    　あと終盤のキンタマラッシュの中に一つだけ「ギャルのパンティおくれ」が紛れているのには気がつきませんでしたｗ　あれを発見したetunamaさんすげえｗ
    　この作品は、燕小太郎さんの作品だとは予想できなかったので、作者名が開示されたときには叫びましたよｗ
    　燕小太郎さんには下ネタのイメージがまったくなかったので「新境地を開いたな」と思ったのですが、この度の振り返りによると以前は結構下ネタを書いていたみたいですし、どちらかというと「昔に戻った」感じだったんでしょうかね。

    　1位の『まっすぐ（な線をひく）少女』は未読だったので、この機会に読んでみました。
    　なんだか、あまり燕小太郎さんっぽくない作品だと感じました。主人公の内気具合とか、他の女子とのギスギスした雰囲気とか、こういう湿っぽい雰囲気って、他の燕小太郎作品ではあまりない気がしますね。
    　どちらかというと物静かな物語でしたが、それだけに燕小太郎さんの筆力の高さがダイレクトに伝わってくる作品だったんじゃないかと思います。心理描写や比喩表現の上手さは流石です。
    　ただ私としては、序盤の展開が早いというのと、ラストシーンに尻切れ感があると感じたので、もうちょっと枚数を使ったほうが良かった作品かも、と思いました。


    　さて、長きにわたる『燕小太郎を振り返る』の連載、大変お疲れさまでした。
    　次回の企画のことや、今回の企画の参加者のことまで考えていたとは、本当に凄いですね。これが出来る人間の行動力か……！

    　Re:2020年01月13日 21時09分53秒　いりえミト

    　＞○燕小太郎を振り返る
    　
    　　これ希望。

    　↑私のこの書き込みが『燕小太郎を振り返る』を書くことを決めた理由なのかどうかは分かりませんが、要望を出した者の責任として、逐一コメントを出させていただきました。
    　嫌々書いたという意味ではありませんよ。楽しかったです。
    　個人的にも「集計していた企画のデータを提示する」という自己満足がありましたしｗ

    　ともかく、この度は燕小太郎さんのことを詳しく知れて、とても貴重な体験になったと思います。
    　それでは、次の企画でまた会いましょう。（私もまだ1文字も書いていませんが、ネタはあるので参加できると思います）
    　その前に、4月1日に延長戦があるならその時ですかね。
    　いずれにしても、楽しみにしています。

    　ではでは。

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Re:Re: 2020年03月22日 15時45分20秒
  • 　いりえミトさん、コメントありがとうございます！

    『密室殺人はホームルームの後に』は、作者の中で一番キャラクターがはっきりした作品でしたね。それだけに、密室殺人を実行できなかったのはもったいなかったと思います。ただ、密室殺人を挟むだけの時間と想像力がありませんでした。

    　そして、『キンタマフルエンザ』は時間というよりも、筆力の限界にぶつかった中でできた作品でした。そういう意味では、下ネタパロネタに関しては原点回帰に近いイメージです。
    　また、キンタマの中に『ギャルのパンティおくれ』を挟む、こういうイタズラは大好物なのです。むしろこれがやりたいがためのキンタマラッシュといっても過言ではない。
    　ちなみに、この作品に唯一30点をつけていただいたのがいりえさんでした。やっぱりいりえさん、実は下ネタが好きなのでは……？

    『まっすぐ（な線をひく）少女』について、
    ＞なんだか、あまり燕小太郎さんっぽくない作品だと感じました。主人公の内気具合とか、他の女子とのギスギスした雰囲気とか、こういう湿っぽい雰囲気って、他の燕小太郎作品ではあまりない気がしますね。
    〇というコメントを見て、そういえばそうだなと得心しました。
    　まず内気な主人公って難しいんですよね。自分を引っ込めてしまうタイプだから、どうしても他人に振り回されるような役回りになり、結果としてキャラクター性を出しにくい。唯我独尊で他人を振り回すタイプが視点キャラクターの方がわかりやすく、書きやすく、個性も出しやすいんですよね。
    　あと、基本的に暗い話をあまり書きませんね。ここ最近の三作も『暗い』というイメージはないはず。単純に好みとして明るく笑える話が好きというのもありますし、笑える導入から徐々にシリアスな形へ展開していく方が物語としてセオリーだと考えているというのもあります。
    『まっすぐ（な線をひく）少女』はそういった点をあえて無視して、丁寧さとテーマの『まっすぐ』を意識していましたから、自作の中でも結構異質かなと思います。印象に残った理由には、そういった面もあるのかも。

    　一人の企画常連として、これからも企画にはもっともっと盛り上がってほしいですし、ずっと長く続いてほしいですからね。単なる思いつきでどれほど効果があるかもわかりません（ひょっとして逆効果だったらと戦々恐々している自分もいます）が、思いついちゃったし、許可も下りたからやっちゃおうか、みたいな気持ちもありました。
    　シンプルに振り返るのは楽しかったですし、返信レスについてはおかげさまで、今回はほとんどの作品の作者様が返信をしてくれているようです。とても嬉しく思いますし、感謝申し上げたいですね。

    　淡々と自分の書き込みだけ積み重なっていくような結果になるのではと不安もありましたが、いりえさんが逐次コメントをくださったことは、振り返りを続ける上でとても大きな原動力になりました。ありがとうございました。
    　
    　では、今後は宣言通り4月1日に何かしら投稿しようと思っていますので、もしよければ、見ていただければ幸いです。

    　コメント、ありがとうございました！

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2020年03月15日 21時10分11秒
 作者レス
  • 　燕小太郎を振り返る⑥　前編　～　last concert　～

    　まずはここまでの振り返り企画の流れを踏襲し、アトランティス企画以降の企画参加にについて、軽く触れていきたいと思います。
    　企画への復帰は、2016年夏の『鼻血企画』で感想参加、次の2016年冬『小さな異能企画』で久しぶりに作品参加させていただきました。以降は2017年夏の『ゲート企画』から作品投稿できない回はありつつも毎回お世話になっているという状況です。
    　また、2018年冬の『密室企画』と2019年GWの『新時代企画』で優勝、新時代企画から今回の『終わりと始まり』企画まで3企画連続で三位以内と、おかげさまで上位安定した成績を残せています（次回落ちそうなフラグ）。

    　GWのナンバー2企画ですが、執筆は全く進んでおりません（おい。
    　振り返り企画を今回で最終回にした理由の一つ、というほどのものでもありませんが、そろそろ本文を書きだしていきたいなーとは思っています（構想自体はいくつかあります）。

    　さて、最終回で何をしようかなと考え、今まで投稿された他の方の企画作品から、特に印象に残っている作品を取り上げ『燕小太郎賞　歴代企画版』というのも考えたのですが、企画投稿室の残っていないミチル企画以前のものはあまり覚えていませんし、ミチル企画以後も削除・跡地化されたものも多く、記憶だけで書くのはどうかなと思いました。
    　そして、ふと気づきました。自分の作品は、ある人物からの感想を一度ももらったことがないことに。そう。

    　燕小太郎、本人です！

    　そこで、今回は自分の歴代企画投稿作品23作品から、自分が最も良いと思うもの、および最も印象的な自作を、ここで発表したいと思います！
    （注意！　自分語りがここに極まる、全く面白くない上に黒歴史の可能性大な試みです。危険を感じた方は、今すぐプラウザバックされることを推奨いたします）。
    　まあ企画名はあくまで『燕小太郎を』振り返る、ですからね。考えようによってはふさわしい締め方なんではないかと思います。

    　では、燕小太郎ベストセレクション、第四位から。



    　第4位『ニート市民ランナー、オリンピックを目指す』（2019年GW企画）

    　上位四作を選定したまではよかったですが、そこから順位付けするのに手間取りました。その中で、最初に脱落したのが今作。
    　一年足らずと短いながらも市民ランナーとしての経験や、一人の陸上長距離種目のファンとしての思い入れも強く、またそうした思いがきちんと形にできたのか、多くの方から高評価をいただきました。
    　マラソンというテーマ、ニートというサブカル的な要素をうまくミックスし、時事的にも良いタイミングだったのではないかと思います。現実ではMGC終了後、オリンピックマラソン開催地が札幌に変更され、オリンピックの開催すら黄信号という今では到底書けなかったでしょう。そういう意味でも、いろんな意味で『ハマった』作品でした。

    　上位三作に入れなかったのは、やっぱりキャラクターですかね。
    　悪いとは思わないのですが、基本通りのキャラクターイメージをほぼそのままにしてしまったような、そんな印象がありました。あまり時間がなかったのか、結構突貫工事だった記憶もありますし、キャラクターごとの背景が少し弱い。マラソンの部分に引っ張られて、小説・物語としての要素を絞り出しきれなかったような印象でした。



    　第3位　365日目の喪失（2014年　大夏祭り企画）

    　A・B方式ともに135作品中2位というなんとも嬉しくて悔しい結果となった今作。ネタ的にはここでも二位にしたほうが面白いとは思いましたが、ここはネタ抜きで決めました。
    　発想・演出といった点ではすごくうまくいったと自負しています。振り返り企画でも書きましたが、カウントダウン方式に忘れられていく設定や、繰り返しを生かして忘れたことを表現した演出。最後まで覚えている一人が誰かがポイントになる点も、うまく話に深みを持たせることができたのではないかと。
    　ただ、この物語は55枚以下で書くものではなかったという思いもありました。掘り下げはできたのでキャラクター自体にそこまで不満はない一方で、個性としてはやや弱い。また、エンターテイメント作品として、終わり方には明るい方向にもう一工夫必要だったとも思います。
    　もし上限が100枚だったら、この物語はどうなっていたのか。少し興味がありますが、作品データが残っていないので読み返すこともできないのが残念ですね。



    　第2位　ダンディライオンを伝えて（2015年GW企画）

    　非常に一位と迷いましたが、鼻差で二位と決めました。
    　時間的にそこまで余裕があるわけではなかったはずですが、とにかく穴のない作品になったのではないかと思います。キャラクター・ストーリー・設定といった基本要素や、オリジナリティという面でも悪くはない。
    　雰囲気としても暗すぎず明るすぎず、コミカルな掛け合いやちょっとした謎解き、バトルなど、ライトノベルらしい要素がふんだんにちりばめられている。珍しくないファンタジーの世界観を使い、物語の面白さをまんべんなく取り入れたバランスの良い物語だったのではないかと。
    　その分、一点に特化した強い個性、強く印象に残すという点でやや物足りなさはありますが、自分としては完成度の高い物語でした。



    　第1位　密室殺人はホームルームの後に（2018年冬企画）

    　迷いましたが、一番は今作に決めました。
    　決め手になったのはキャラクターでした。ありきたりで物語進行のための駒にならない、個性と掘り下げが両立されたキャラクター。メイン・サブの書き分けと、それぞれの立ち位置を配慮したうえで生かす描き方が、一番できたのが今作ではないかと思ったからです。
    『できない』『無理』という言葉に過剰反応し、できることを証明せずにはいられない主人公や、普段はおちゃらけているが、あるときには本気で怒れるヒロイン。個性や掘り下げで、キャラクターに奥行きが作れたのではないかと自負しています。
    　また、「ですわ」以外にセリフがなかったり、あえて固定イメージをそのまま強調することで分かりやすく書き分けたサブキャラクターなど、いい意味でキャラクターに軸足を置いた描き方ができたのではないかと思っています。
    　後悔があるとすれば、密室殺人を計画する物語でありながら、作中で実際に密室殺人を描けなかったことですかね。
    　完成度は『ダンディライオンを伝えて』に一歩劣るものの、個性のとがり方とキャラクターを加点すると『密室殺人はホームルームの後に』を推したいと思いました。



    　規定文字数に収まらなかったため、後編に続きます。



    E-Mail pass
2020年03月08日 17時00分10秒
 作者レス
  • 　燕小太郎を振り返る⑤　～　印象的な二作とよく覚えていないアトランティス企画　～

    　新型コロナウイルスによって、多くのイベントが中止、延期となり暗いニュースが飛び交う世の中ですが、出版社が漫画を無料公開したり、ライブ映像が無料公開されたりと、外に出られなくても何とかしようと奮闘する人々は多くいます。
    　この振り返り企画は決してそんな状況を打破しようと考えた企画ではありませんが、これを読んで少しでも懐かしく思ったり、楽しい思いをしていただければ幸いです。何ならやることがない一日のわずかな暇つぶしにでもなれば、書いた甲斐があったというものです。

    　前置きが長くなりました。では、初めて行きたいと思います。


    　2015年　バレンタイン企画
    　作品名『バレンタインデーに間に合いませんでした！』
    　総合順位　10位くらい、だったかなあ（全72作品中）
    　平均点　19点か、もうちょっと下くらいだった気がする。
    　投稿感想数　感想制覇
    　備考　遅刻

    　――――神が自分に、「これを書け」とささやいたのです。

    　きっかけは幾重にも重なった偶然でした。
    　まず大夏祭りにおいて、遅刻作品の扱いが議論になりました。そして、このバレンタイン企画では『遅刻作品は10分以内まで参加を認める、ただし運営からマイナス30点のペナルティを与える』というルールが新たに追加されました。
    　そして、この企画の作品投稿期間最終日が、バレンタインデーの2月14日でした。
    　おふざけが大好きな燕小太郎は、この偶然に一つの思い付きをします。
    『『バレンタインにチョコを渡すのが間に合わなかったお話』の投稿が間に合わなかったから、面白いんじゃない？』
    　ネタです、ただただネタでした。しかし、遅刻しても参加は認められ、しかもお仕置きつきだからむしろ面白く消化してくれる。
    　やっちゃえ。ほくそ笑みながら、構想を練ることにしました。

    　結論から言えば、狙いは半分当たり、半分外れました。

    　外れた半分は、遅刻者が自分の他にもいたことです。自分を含め計3人が遅刻し、ペナルティを食らいました。これでわざと遅れるというインパクトはやや薄れてしまいました。
    　また、感想数も少なめでしたね。確信犯かどうかは悩まれた方も多かったようですが、触らぬ神に祟りなしというか、遅刻しているし触れないでおこうという人も多かったのかなと思います。

    　とはいえ、読んでくれた方からはおおむね好評をいただき、確信犯的遅刻も含めて楽しんでいただけた方が多かったようです。
    　古くは2011年GW企画で、ボツ要素になったミュージックポイントを拾って利用した『えむぴ～ぜろっ！　～ミュージックポイントゼロ～』、最近ではミチル企画で投稿された作品からクイズ問題を制作した、2019年夏企画の『二兎野乃花というクイズバカ』など、作品本文以外からのネタアプローチは結構やっていますが、この時の遅刻投稿はとても楽しかったです。





    　2015年　GW企画
    　作品名　ダンディライオンを伝えて
    　順位　1位（全59作品中）
    　平均点　王冠マーク（具体的な点数は忘れました）

    　この企画では、一つの目標を立てて執筆に臨んでいました。といっても、順位ではありません。
    　そろそろ長編にも挑戦していきたい、と考えながら、結局書けないまま企画で短編を楽しんでおり、このままではいけないと思っていました。そして、この企画では上限枚数が100枚に増えたため、長編を目指してまずは100枚という枚数を踏もう、と決めました。

    　ダンディライオンを伝えて　
    　手紙が主な長距離の伝達手段になっているファンタジー世界で、人から人への思いを直接言葉にして伝える『伝言屋』という仕事をしていた主人公は、ある日死んだ魔術師の伝言を受け取る。しかし、魔術師に仕えていたメイド少女のリオから受け取ったのは、ダンディライオンの押し花を挟んだ、一冊の白紙の本だった……

    　男性主人公一人と、性格が真反対のヒロインが二人。自分が一番得意とする形で、伝言屋という設定以外は特別珍しい設定のないシンプルなファンタジーだったのではないかと思います。戦闘シーンで枚数がかさんだこともあり、割とスムーズに100枚をクリア。晴れて作品参加となりました。

    　企画期間の経過については、例によってよく覚えていないのですが、自分が優勝予想した作品の名前は覚えています。『正しいやくそうの使い方』と『放課後オストラシス』の一騎打ち。それが感想の集まり具合や、投稿作品を読んだ上での自分の予想でした。

    　そして結果発表。

    　優勝は『ダンディライオンを伝えて』（自作）。

    　優勝しちょるううううううううううううううううう！！！！！！！！！？？？？？？？？？？？？

    　正直驚きましたしビビりましたし、笑いました。
    　二位、三位には『オストラシス』と『やくそう』があって、ここは予想通りだったのですが、そこに割り込んだのがまさかの自作。予想通りの展開と予想外の展開がいっぺんに来てちょっとよくわからないことになっていました。
    　前回の優勝からずいぶんと月日が経ち、大夏祭りのときほど勝負にがっついておらず、バレンタインで散々遊んだこともあって楽しむことに軸足を置いていたこともあり、すごく戸惑いましたね。

    　ただ、ついに、ようやく、やっと、『放課後オストラシス』の作者だったとよきちさんにリベンジを達成。その感慨はありました。

    　なお『ダンディライオンを伝えて』は高得点小説掲載所にも置いてあり、そこに感想やいただいたコメントも一緒に残っております。
    　優勝景品としていただいたイラストはラノベ表紙風にしてくださり、同企画の上位作品が帯に掲載されるなど、とても力の入った力作となっております。作品と一緒に掲載されていますので、そちらも是非ご覧いただければと思います。

    　……あれ、帯のところに感想制覇者って載ってるけど、自分の名前がない。ひょっとして感想制覇してない！？　



    　2015年　秋　アトランティス企画

    　非常に申し訳ないことに、この企画に関してはさっぱり記憶がございません。
    　滑り込みで作品参加したことは覚えていますが、即興も即興、付け焼刃の作品ではクオリティも低く、特筆すべき点もなく終わったような記憶がかすかにあるだけです。
    　感想投稿をまとめたエクセルファイルもあったので確認してみましたが、この分だと感想制覇もしてないかもしれません。
    　もし可能であれば、誰か代わってアトランティス企画について語っていただけないでしょうか。本当に、書けそうなことが何もありません。

    　
    　

    　さて、記憶が正しければ、この後およそ一年ほど企画には参加せず、ミチル企画メインページに掲載されている2016年夏の鼻血企画に感想参加、続く2016～2017年冬企画にて久しぶりに作品参加するという流れになっていったように思います。長く離れていたような印象だったのですが、一年くらいだったのかな。

    　以降はミチル企画として、現在も投稿所と一緒に自分の作品やコメントも残っておりますので、振り返り企画もひとまずここで一区切りというところでしょうか。
    　ミチル企画以降も振り返ることを考えたのですが、今も投稿所ごと残っていますし、近すぎてあまり懐かしさもないようにも思えます。作品を振り返るにせよ、大体はその作品にコメントとして残していますから。同じことを繰り返すのは、正直少々気が引けます。

    　ダイジェスト的に振り返るか、少し変わった振り返り方をするか。
    　まだ何も決めていませんが、とりあえず3月15日の日曜日にもう一度何かしらの投稿をするつもりでおります。
    　ミチル企画以降の振り返り企画について、何か希望や要望（例えば自作ではなく感想や印象に残った他作品についてなど）や、質問などがあれば、もう少しいろいろと考えてみたいと思っております。

    　それでは、ここまでお付き合いいただきまして、誠にありがとうございました。


    E-Mail pass
Re: 2020年03月08日 23時56分24秒
  • 　『燕小太郎を振り返る⑤　～　印象的な二作とよく覚えていないアトランティス企画　～』、読みました。

    　今回もまた懐かしく、読み応えのある振り返りでした。
    　取り敢えずなんですが、今回取り上げられた3企画の概要および結果を貼りたいと思います。
    　全順位を書くと長くなりすぎるので、上位20作品としました。


    ●2015年バレンタイン企画

    　いつもの正月前後ではなくバレンタインという、これまでとちょっと違う時期に行われた冬企画でした。
    　主催者はラ研のレンジェンド・mayaさん（一路マヤさん）だったと思います。
    　テーマは特になしで、お題として「バレンタイン、受験、卒業、雪、虹、桜、涙、変身、勇者、オーク、ホモ、小説、スイート、ふんどし、魔剣アザトフォート、密室、特異点、連続幼女誘拐事件、ゲシュタルト崩壊、ファフロッキーズ現象」の中から3つを使用するというルールでした。
    　参加数は72作品。
    　この企画では順位を決定するポイントの算出方法がいつもと違いました。
    　総合点数の順位と平均点数の順位によってそれぞれポイントを与え（1位に72ポイント、2位に71ポイント、と1ポイントずつ減っていき、最下位が1ポイント）、その二つの合計ポイントによって総合順位を競いました。

    　上位20作品はこうでした。
    　表の見方は左から、順位、ポイント、感想数、総合点数、平均点数、タイトル（作者名・敬称略）です。タイトルは、長いものは//以降省略。★は高得点入り条件を満たした作品。

    　 1位 141pt 24個 610点 25点 ★妖精が見守る物語 （タカテン）
    　 2位 140pt 16個 430点 26点 ★翼なき鳥の凱旋歌 （凶作企画）
    　 3位 139pt 18個 460点 25点 ★麻雀館の密室 （kz）
    　 4位 137pt 23個 510点 22点 ヴァルキリー、風呂入る。 （奇漢者闘鱒）
    　 5位 136pt 11個 310点 28点 ★© （しもべ）
    　 5位 136pt 12個 320点 26点 ★男子高校生と電脳少女たちが挑む《第6次// （うさぎ番地）
    　 7位 133pt 15個 340点 22点 　歪みなき勇者　揺るぎなき従者 （いさおＦ９１）
    　 8位 130pt 17個 360点 21点 姫森 夢子 （姫森 夢子）
    　 9位 129pt 16個 340点 21点 ぶっかけ！ （kz）
    　10位 127pt 10個 220点 22点 イギリスから来た留学生と幼馴染のフラン// （kz）
    　11位 125pt 14個 280点 21点 ある暗がりで、小さな温もりを （つとむュー）
    　12位 124pt 09個 210点 23点 ブルーム・オブ・グローリー （凶作企画）
    　13位 122pt 09個 200点 22点 バレンタインに間に合いませんでした！ （燕小太郎）
    　14位 120pt 11個 220点 20点 突然！逃げ出す蛮ご飯 （乾燥柿）
    　15位 116pt 14個 270点 19点 アホウドリマン　～最終回　絶対絶滅！？// （えびのあし）
    　16位 115pt 10個 200点 20点 華族の結婚―あるいは帝都の休日― （ほしみ）
    　16位 115pt 12個 220点 18点 ある日、少女が降ってきて　～If she was // （青嵐カケル）
    　18位 114pt 17個 280点 16点 藤野と私 （みなみ）
    　19位 110pt 09個 180点 20点 女騎士さんとふたり暮らし！ （北蔵）
    　20位 107pt 12個 200点 16点 灯籠逢瀬 （雪消陽）


    ●2015年GW企画

    　主催者はうろ覚えなんですが……確かほしみさんではなかったかと思います。（違っていたらすみません）
    　テーマは『花と達人』でした。

    　参加数は58作品。上位20作品はこうでした。

    　 1位 12570pt 15個 410点 27点 ★ダンディライオンを伝えて （燕小太郎）
    　 2位 10280pt 17個 390点 22点 放課後オストラシス （とよきち）
    　 3位 10060pt 17個 380点 22点 やくそうの正しい作り方 （たかセカンド）
    　 4位 08450pt 18個 350点 19点 ヤマイヌの棲む城 （へろりん）
    　 5位 07680pt 13個 290点 22点 吾輩は野良猫である。 （織部鷹羽）
    　 6位 07180pt 13個 280点 21点 丼に咲いた仇花 （いさおＦ９１）
    　 7位 07140pt 12個 270点 22点 ヒトガタリ　～ある少女と青年の物語～ （たこわさび）
    　 8位 06600pt 11個 250点 22点 ガーベラの咲く頃に （kuro）
    　 9位 06290pt 10個 230点 23点 女流国家のサムライ教師 （獅子）
    　10位 06000pt 12個 240点 20点 常夜《とこよ》のおくり花 （としき）
    　11位 05700pt 11個 230点 20点 吠えない犬と噛めない猫 （タカテン）
    　12位 05650pt 14個 250点 17点 夜の女王のレクイエム （あまくさ）
    　13位 05570pt 12個 230点 19点 紫苑の私恩の死音 （らん）
    　14位 05310pt 14個 230点 17点 四天王の迷走 （tanisi）
    　15位 05160pt 12個 220点 18点 星瞬 （ひながたはずみ）
    　16位 05060pt 17個 240点 14点 咲き乱れ、ネオ東京・エクリプス！ （一路マヤ）
    　17位 04890pt 09個 190点 21点 地獄の花売り、恋はなく （とまと）
    　18位 04820pt 13個 220点 16点 エロ水着抹殺サンダーボルト （七月鉄管ビール）
    　19位 04700pt 14個 220点 15点 ブラつく　ロータス （魚民）
    　20位 04580pt 15個 220点 14点 live on （みなみ）


    ●2015年秋企画

    　この年は夏企画が行われず10月にこの企画が行われました。
    　主催者はデルティックさんだったと思います。
    　テーマは『アトランティス』
    　この時のテーマは歴代の中でもかなり異質で、「魔法を使う人々が住むアトランティス大陸が存在しているという世界観の作品を書く」というものでした。

    　参加数は35作品。上位20作品はこうでした。

    　 1位 11020pt 13個 360点 27点 ★コード・スキャナーズ （へべれけ）
    　 2位 10900pt 17個 400点 23点 魔女リルデルギニの嘘と秘密 （冗）
    　 3位 08980pt 15個 340点 22点 夢追い人たちのアトランティス （須賀透）
    　 4位 07700pt 14個 300点 21点 彼女はアトランティスの夢を見る （つとむュー）
    　 5位 07250pt 10個 250点 25点 蒼天のヘキセラ （羽田）
    　 6位 05800pt 08個 200点 25点 鎌倉忍者 （七月鉄管ビール）
    　 7位 05700pt 11個 230点 20点 アトランティス帝国の危機 （伊東大豆）
    　 8位 05210pt 13個 230点 17点 きっと、いつか、君のマギカは僕に届く （真月夜子）
    　 9位 05090pt 11個 210点 19点 青の勇者と月の乙女 （あまくさ）
    　 9位 05090pt 11個 210点 19点 とある魔法少女とろくろ首、ところにより// （燕小太郎）
    　11位 04770pt 12個 210点 17点 もはや眼鏡ではない （タイヤサドル）
    　12位 03850pt 07個 150点 21点 魔リンピック in アトランティス （うさぎ番地）
    　13位 03560pt 14個 180点 12点 アトランティスの秘法が童貞の夢を叶えて// （タカテン）
    　14位 03500pt 08個 150点 18点 アトランティス自転車 （七月鉄管ビール）
    　15位 03040pt 07個 130点 18点 パラダイス・ジャーニー （青出）
    　16位 02880pt 08個 130点 16点 魔笛 （伊東大豆）
    　17位 02350pt 07個 110点 15点 食い意地お嬢の旅物語　～　アトランティ// （水守中也）
    　17位 02350pt 07個 110点 15点 ナナ島クロニクル （ケモノ）
    　19位 02190pt 12個 110点 09点 トラブルシューターK （音波　雲）
    　20位 01800pt 09個 090点 10点 快撃！　スクラッパーズ （99Kg）


    　こんなところです。
    　各企画の思い出や、燕小太郎さんの作品については、また後ほど投稿します。
    　なお、アトランティス企画は私は不参加だったため、残念ながら私も詳細を語ることができません。

    　それでは、いったん失礼します。

    E-Mail pass
Re:Re: 2020年03月14日 04時39分54秒
  • 　いりえミトさん、コメントありがとうございます！

    　拙作『バレンタインに間に合いませんでした！』って13位だったんですか……思ってたより下ですね。勝手に記憶を上方修正していました……。は、恥ずかしい……。
    　そういえば、自作って高得点関連でちょっと揉めたような覚えがあります。運営からのペナルティは作品の評価ではないので、高得点基準の計算に含める必要はないのではないか、いやペナルティ含めて作品だから含めるべきだ、みたいな。軽はずみなイタズラが思いのほか大ごとになって焦る小学生のような気分でした（笑）。
    　しかし72作品で高得点基準が5作品ですか。今回や前回の冬企画もそうですが、冬の企画はレベルが高くなる傾向でもあるような気もしてきますね。

    　拙作『ダンディライオンを伝えて』は、確かに当初朗読をテーマにしていたような覚えがありますが、そこからどう展開していこうとしていたのかは全く覚えておりません。
    　この作品は長編へのステップとして考えていた面が大きく、各要素で基本からはみ出さず、かなり手堅い作品になっていたような感触はあります。その辺が20点～30点の評価で安定し、高得点基準を突破できた要因なのかもしれませんね。
    　
    　アトランティス企画は、上位作品の一覧を見せていただいたおかげで少し思い出せることもありますね。特に優勝された『コード・スキャナーズ』はタイトルに聞き覚えがあり、面白かった、ような、記憶が、うっすらと……。内容までは思い出せませんが……。
    　ただ、ファンタジー路線の強いテーマだったこともあり、その後の企画で『アトランティス企画で使わなかったアイディアで～』という作品が後々の企画で投稿されていたことも多かったはず。いりえさんの『なまくびバースデー！』もそうだったとコメントで読みましたし。

    　そしてやっぱり、最近見なくなった人の名前を見るのはさみしいですね。自分はチャットやSNSでわいわいやるタイプではありませんが、こうして振り返った時に「ああ、あんな人もいたっけな」と思うのはやはりさみしいものです。
    　そんな意味でも、いつか『競作企画コレクション』みたいなの出ないかな、とぼんやり思いました。歴代の企画から上位入賞作品や印象的なものを集めてまとめた本や、そうしたページがあったら楽しいし面白いだろうな、と。まあ権利的な問題とかもあるでしょうし、難しいとは思いますが。

    　では、とりあえず振り返り企画は次回で最後とする予定ですが、何をするかはまだ決めておりません（3月14日現在）。
    　思いのほか多くの方に読んでいただいているので、ちょっとしたプレッシャーも感じておりますが、とりあえず日曜日までには投稿したいと思います。

    　コメント、ありがとうございました！




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Re:Re: 2020年03月10日 15時15分36秒
  • 　続きです。


    ●2015年バレンタイン企画

    　『バレンタインデーに間に合いませんでした！』は私としても非常に印象的な作品です。
    　このタイトルで遅刻、しかも作者コメントで「間に合わなかった―！」とアピールしているところを見れば、「ああ、この遅刻は演出のためにわざとしたんだな」と分かるわけですよ。
    　で、遅刻すれば運営から-30点が入るわけですから、その時点で優勝は絶望的になるわけです。
    　優勝の可能性を捨ててまでネタに走るとは、きっとこの作者さんは企画上位の常連なんだろうと思いました。誰かまでは分かりませんでしたが。
    　なので、作者名が開示されて燕小太郎さんの作品だと分かった時には「やっぱり！」という感じでした。

    　『バレンタインデーに間に合いませんでした！』は内容としても印象に残っています。
    　「好きな男子にバレンタインのチョコを渡す」というシンプルな内容ながら、二転三転するストーリー展開。
    　キャラもとてもよく、主人公の環奈と付き人のアーサーの掛け合いは楽しめましたし、序盤でモブとして登場する「ゆるふわさん」が後半に重要な役割を果たすという構成も見事でした。
    　個人的には、燕小太郎さんの作品の中でも1、2を争うくらいの名作だと思っています。

    　企画全体としても、大夏祭りについで印象の強い企画でした。
    　まず（前にチラっと書きましたが）結果の表を見てもわかるとおり、レベルが非常に高い。
    　結果発表された時点で、王冠作品が5個。そして後夜祭で『バレンタインデーに間に合いませんでした！』にも王冠がつきました。（ちなみに、これはマジです。当時、私が高得点報告を行ったので間違いありません。燕小太郎さんがたくさん感想を書いたので、感想返しということで後夜祭で感想が付きまくっていたのですが、それが軒並み30点以上だったんですよ。最終的に、運営に-30点を含めたうえで、平均が25点を超えるという偉業を達成しました）
    　ただ残念なのは、『妖精が見守る物語』以外の作品は高得点作品掲載所に掲載されなかったんですよね……。私はちゃんと全作品報告したのですが。
    　この頃から高得点作品が掲載されないことが増えていき、ラ研から利用者が減った理由の一つになった気がしてなりません。

    　企画の話に戻しますと、表に載ってる作者名を見ると非常に豪華メンバーであったことが分かります。
    　HNが違っている人も多いですが……凶作企画さんは今回優勝された肉球さん、奇漢者闘鱒さんはよしおさん、うさぎ番地さんは、この後の企画で何度も優勝することになる北斗さんだったかと思います。あと、いさおさんも微妙に違うHNになっていますね。
    　それから姫森 夢子さんは、過去の企画で『もう苺が食べられない』で優勝されているakkさんではなかったかと思いますが……これについては、もしかしたら違うかもしれません。
    　とにかく凄いメンバーが集まり、参加数としても72作と多く、60作を超えた最後の企画となっています。そのあたりは、主催者であるmayaさんの人望がなした業だったのかもしれませんね。

    　競作としても大激戦になり、特筆すべきは3作投稿してすべてトップ10の中に入るという偉業を達成したkzさんでしょう。
    　2作投稿で2位と12位の凶作企画さんも凄い。ちなみにこの2作、両方とも「魔女のレース」を題材にしているということで、大きな話題になっていました。
    　とにかくレベルの高い作品が多く集まったので、感想投稿最終日までどの作品が優勝するか読めない情勢だったのですが、締切り直前になって『妖精が見守る物語』に大量に感想が入り、一気に抜け出したのが印象的です。
    　燕小太郎さんの『バレンタインデーに間に合いませんでした！』はあまり感想数が伸びませんでしたね。それはやはり、「遅刻作品だったから」というのが大きかったんじゃないかと思います。
    　もしも遅刻をしていなければ優勝争いに絡んだことは間違いないと思うので、少々もったいなかった気もします。

    　それからこの企画ではテーマがなく、その代わりに用意されたお題の中から三つ以上を文字列で使用するというルールになっていました。
    　そのお題の中に「魔剣アザトフォート」という謎の言葉があり、こんなのどうやって使うんだ？という感じだったのですが、意外にも人気を集め、使っている作者さんが多かったです。（私も使いましたｗ）
    　奇漢者闘鱒さんの『ヴァルキリー、風呂入る。』はすべてのお題を使用しており、その結果カオスな内容になっている部分がありましたｗ

    　そんなわけで参加者としては非常に楽しめたのですが、私の作品は平均10点で49位と、振るわない結果でした……。
    　作者としては苦い思いをし、それも含めて印象的な企画でしたね。



    ●2015年GW企画

    　『ダンディライオンを伝えて』は非常に完成度の高い一作だったと思います。
    　なにより印象的なのは、主人公のセリフがカタカナで書かれていること。片言であることを示すための演出でしたよね。
    　一見読みづらそうなのですが、実際に読んでみるとそうでもなく、むしろいい味になっている。そこが凄いと思いました。そのあたりは、燕小太郎さんの筆力があってこそ、だと思います。
    　『放課後オストラシス』や『やくそうの正しい作り方』も素晴らしい作品でしたが、私としては『ダンディライオンを伝えて』が優勝すると思っていましたよ。
    　この作品、作者コメントで「タイトルから思いつき、当初は朗読を題材にしたものだった」と語っていたのを覚えています。
    　高得点掲載所を覗いてきたのですが、イラストの安美和伸さんは、高得点に何作も掲載されている龍咲烈哉さんだったかと思います。「絵も描ける人なのか」と驚愕した覚えが。

    　企画全体で見てみますと、11位まで平均20点以上ということで、この企画もなかなかレベルが高かったことが分かりますね。
    　この企画のテーマは「花と達人」で、珍しく2つのテーマを使わなくてはならない企画となっており、そこが難しかったと思います。
    　私などは「花」については文字列で使うのみにとどまってしまい、それが影響したというわけではないでしょうが、平均14点で28位と、またしても上位に入ることはできませんでした。
    　印象的な出来事としては、表には載っていませんが、バンジーほもさんの『花と達人というお題について本気出して考えてみた』がかなりめちゃくちゃな内容で、激しい賛否両論を巻き起こしていた気がします。そして、後夜祭で作者自らが-30点をぶち込むという暴挙に出た時には、大いに笑わせていただきましたｗ
    　あと個人的には、ミチルさんの『幸一郎の平凡な日常』のとぼけた雰囲気が好きで、印象に残っています。（決して媚を売ってるわけではない）



    ●2015年秋企画


    　「魔法を使う人々が住むアトランティス大陸が存在しているという世界観の作品を書く」というこれまでにないテーマが採用された企画ですね。
    　夏ではなく秋に開催されたということを含め、独特の気配が漂っていた企画だったような気がします。
    　私はいいネタを思いつくことができず、不参加でした。一応いくつかのアイデアは出したのですが（そのうちの1つが後の企画で出した『なまくびバースデー！』です）、どうしても「アトランティス」である必要性がある話にすることができなかったんですよね。
    　まあそのあたりは、本気で企画に参加したいと思えばどうにでもなったんですけど……結局はモチベーションが上がらなかったというか、少し前に発売されたwiiUの『スーパーマリオメーカー』にハマっていたので、そっちを優先したというのが本音だったりしますｗ
    　……かなり個人的なこと失礼しました。

    　そんなわけで、投稿された作品もほとんど読んでいないので、この企画についてはあまり語れないのですが、結果発表後に燕小太郎さんの作品も覗いた記憶があります。
    　表ではタイトルを省略してしまいましたが、正式には『とある魔法少女とろくろ首、ところにより子泣き爺』ですね。
    　最初の一文が「泣きそうである。」で、結果発表後の作者コメントで「3日で書いた」みたいなことを書かていていたことだけ覚えています。

    　この企画は、ラ研の中にあった「企画用投稿室」で開催された最後の企画でしたね。
    　いつもは次の企画が開催される直前に投稿室がクリーンアップされていたのですが、この次の企画から別の投稿室で開催されるようになったので、アトランティス企画はいつまでたってもクリーンアップされることなく、その後1年以上に渡って作品が残り続けるという珍現象が発生しました。現在は企画用投稿室そのものが消滅していますが。

    　結果の表を見てみると、なかなか面白いメンバーが集まっていますね。
    　古参であるへべれけさんと冗さんが久しぶりに企画に登場して1位2位。また、後の「小さな異能企画」で優勝することになる羽田さんが5位に入り頭角を現していますね。
    　ちょっと寂しさを感じてしまうのは、今の企画では名前を見かけない人が多いことですね。トップ2のへべれけさん、冗さんの他、3位の須賀透さんや七月鉄管ビールさん、水守中也さんといった、何度か企画に参加されていた実力者の方々は、これ以降の企画では姿を見せていません。
    　実際、この次の企画では燕小太郎さんも参加せず、参加数が17作と激減し、ラ研の過渡期であったことが伺えますね。


    　とまあ結構長くなりましたが、私からはこんなところですね。
    　それでは、次回が最終回になるのでしょうか、楽しみにしています。
    　自作品について語るのはちょっと、ということであれば、他作品で特に印象に残ったものなども聞いてみたいですね。

    　ではでは。

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Re:Re:Re: 2020年03月11日 02時07分35秒
  • 　いりえミトさん、燕小太郎さん
    　いつもヘンテコな作品を投稿して感想人を困らせている、企画の賑やかし、へろりんです。
    　お二人のやりとり、楽しく拝見していました。
    　いやー、懐かしい！

    　『2015年ＧＷ「花」と達人・プロフェッショナル企画』について、ちょいと補足します。
    　主催は、われらがミッチルン、ミチルさんが主催でしたね。
    　企画が『ミチル企画』となってからも、ミチルさんは面白いテーマを提示してくれていますが、このときのテーマ『「花」と達人・プロフェッショナル』も面白いテーマでしたね。
    　そして、お二人は触れていませんでしたが、この企画で思い出深いのが、１日目に投稿された１１作品が消えてしまって、仕切り直しされたことです。
    　かく言う拙作も、消えた１１作品のうちの１作でした。
    　他にはタカテンさんの『吠えない犬と噛めない猫』も消えた作品に入っていたのは覚えているのですが、それ以外については忘れてしまいました。
    　この企画では、優勝作品のダンディラインと準優勝のオシトラス、あとはタカテンさんの『吠えない犬と噛めない猫』、tanisiさんの『四天王の迷走』、ひながたはずみさんの『星瞬』が好きでした。
    　tanisiさんの不条理コメディや、ひながたさんの泣きの作品がまた読みたいなー。

    　さて、燕小太郎さんの振り返りも残すはあと１回だとか
    　最後の振り返りも楽しみにしてます。
    　きっと、企画に参加したことのある他の皆さんも自分と同じだと思います。
    　ではではー　

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Re:Re:Re:Re: 2020年03月14日 04時42分01秒
  • 　へろりんさん、コメントありがとうございます！

    　ご指摘の投稿作品削除事件ですが、自分もリアルタイムでの記憶っていうのはほとんどありませんね。どっかに企画データになるもの残っていないかとネットで探っているときに、某掲示板にてそんなレスがあって「ああそういえばあったかも」くらいに思いはしましたが、たしか自作はまだ投稿していなかったため被害はなく、そんな印象に残っていなかったのではないかと。
    　そういったアクシデントで言えば、いつかの企画で投稿者名が『競作企画』にならずそのまま出てしまった、なんてことも、うろ覚えながらあったような。そのときは投稿期間開始直後に投稿していたのでモロに引っかかってしまった、なんてこともあったような覚えがあります。何の企画だったかまでは、思い出せませんが。

    　一参加者の自分語りなど、多くの方にとっては興味の湧かないものだと思っておりましたが、思いのほか多くの方に見ていただき、そしてコメントまでいただきまして、恐縮の限りであるとともに、とてもうれしく思います。
    　ミチル企画以降では自作とともにコメントも残っており、そこに作品に対する解説や意図、執筆の経緯なども書いてあるため、同じことの繰り返しにならないよう次回を最後にするつもりでおります。
    　しかし、意外と見ている人多いんだなあと思うと、特に書く宛のない最終回を果たしてどう結べばいいのか。なんだかすごいプレッシャーを感じてきましたぞ……。

    　コメント、ありがとうございました！

    E-Mail pass
Re:Re:Re:Re: 2020年03月11日 13時41分59秒
  • 　へろりんさん、こんにちは。

    　『2015年ＧＷ「花」と達人・プロフェッショナル企画』（そういえば「プロフェッショナル」もついてましたね）のへろりんさん作『ヤマイヌの棲む城』は、ホラーテイストで私好みの作品でした。
    　ベッドのシーツをめくったらヤマイヌがいた、みたいなシーンでビビりまくった記憶がｗ

    ＞　主催は、われらがミッチルン、ミチルさんが主催でしたね。
    　
    　ありゃま、そうでしたか。これは失礼、ミチルさんごめんなさい。

    ＞そして、お二人は触れていませんでしたが、この企画で思い出深いのが、１日目に投稿された１１作品が消えてしまって、仕切り直しされたことです。
    　
    　あー、そういえばそんなこともありましたねぇ……。
    　そういったアクシデントまでは私の記録に残していなかったため忘却の彼方でしたが、企画内の出来事も記録しておくと、後々読み返したときに楽しめそうですね。次の企画からやってみようかなと思います。

    ＞タカテンさんの『吠えない犬と噛めない猫』、tanisiさんの『四天王の迷走』、ひながたはずみさんの『星瞬』が好きでした。

    　そのお三方も、最近の企画ではお見掛けしないので寂しいですねぇ……。まあ、タカテンさんはカクヨムで大活躍されているのは知っていますが。
    　私がラ研を訪れてから十余年、見かけなくなった投稿者はたくさんいます。
    　小説を書くのをやめてしまった方、別サイトに活動の場を移された方、プロデビューを果たした方、もしかしたら亡くなられた方もいるのかもしれません……。
    　それぞれの事情があるので、去って行く人がいるのは仕方がないことではありますが、いういった方々が戻ってきて、歴代オールスターといえるメンバーで匿名企画が開催されるのが夢です。もちろん実現は難しいでしょうが。
    　その可能性を少しでも上げるためにはミチル企画の盛り上がりが不可欠だと思うので、そのために自分が少しでも力になれればと思っています。

    　ではでは。

    E-Mail pass
2020年03月01日 18時13分51秒
 作者レス
  • 　＊こちらは後編になります。もし前編をまだお読みでなければ、先に投稿した前編の方から先にお読みいただきますよう、よろしくお願いいたします。

    　燕小太郎を振り返る④（後編）　～　史上最大規模の企画　そして全身全霊を込めた勝負　～

    　この大夏祭り企画は、二つのランキングがありました。
    　一つは通常の計算式で順位が決まるA方式。もう一つが、プロの編集者の方が採点するB方式。
    　先に発表されたのはA方式でした。


    　A方式　結果

    　1位　スラ子さんは不定形　16100点
    　作者　黒木猫人

    　2位　365日目の喪失　15160点
    　作者　燕小太郎

    　6位　乙姫様だから泳げるようになりたいのですっ！　10140点
    　作者　燕小太郎

    　二位か、二位か……。
    　二位かあああああ……、二位あああああああああ、あああああああ……。

    　いや、正直少しわかっていました。感想数に圧倒的な差があり、それを埋められるほど『スラ子さん』のクオリティは低くない、むしろとても面白かった。
    　しかし、二位じゃダメなんですよ（半ギレ）。
    　言い訳も物言いも付けられない確かな差があった以上受け入れるしかないのですが、なまじ惜しいところまで行っただけに悔しさ倍盛りでした。

    　とはいえ、前回企画で負けたとよきさんからも感想返しをいただき、「負けました！」的なコメントをいただいて「よっしゃ」と思ったりなんかもして、まだ余裕がありました。B方式での採点が残っているからです。
    　平均点では優勝作品の『スラ子さん』より上。そして、前述したように『上手い』と思わせる仕掛けと減点し難い内容の『365日目の喪失』は、B方式なら1位になれるはず、と考えていました。

    　また、もう一つのコメディ作品『乙姫様だから泳げるようになりたいのですっ！』は6位にランクイン。十分入賞圏内、箱根駅伝ならきっちりシード権を得られる順位であり、135作品という作品数を考えれば大貢献だと思います。

    　大きな悔しさと一抹の自信を胸に、いよいよB方式が発表されました。

    　B方式　結果

    　１位　死神シアター　32038点
    　作者　とよきち

    　2位　365日目の喪失　30646点
    　作者　燕小太郎

    　21位くらい　乙姫様だから泳げるようになりたいのですっ！　20417点
    　作者　燕小太郎

    　二位じゃねえかあああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああ！！！！！！！！！！！！！！！！

    　また二位だあああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああ！！！！！！！！！！！！！！

    　……これはショックでしたよ。パソコンの前からしばらく動けませんでした。
    　勝負しに行ってましたからね、今回は本当に。全力で勝ちに行って、ABともにもう一歩届かずという結果に。届きそうだっただけに、悔しさが大きかった。
    　何より、優勝したのがとよきちさんというのがまた悔しさ3割増しでした。前回企画に続いてまたも優勝を阻まれる、しかも今回はA方式では上の順位にいたのですから、こんな華麗な逆転敗北もないでしょう。

    　こうして、後に完成した『スラ子さん』と『死神シアター』の可愛くて素敵なイラストを眺めながら、燕小太郎の大夏祭りは幕を下ろしました。
    　本当ならエッセイにして次回の『ナンバー2企画』に参加したいくらいの2位でしたよ。こんなにズバッとナンバー2なことってなかなかないでしょう。100パーセント作者バレするのでやりませんが、見事にばっちり2位でした。

    　ただ、これだけは言わせてください。
    　全135作品中、

    『365日目の喪失』
    　A方式　2位
    　B方式　2位

    『乙姫様だから泳げるようになりたいのですっ！』
    　A方式　6位
    　B方式　21位くらい（B方式は11位以下のランキングが発表されていない）

    　感想投稿数　全作品（133作品）

    　これはもう、大夏祭りのMVPは自分でいいんじゃない？





    　さて、規模の大きい企画だっただけに、その後の燕小太郎に与えた影響も多くありました。
    　一つは感想について。
    　感想制覇を達成したのですが、一方で自分の感想のクオリティに疑問を持ちました。短い期間で133作品を読んで感想を書く以上、どうしても無理が生じます。結果、読んだ時間帯、感想を書く前に別作品を読んだかどうか、感想を書く時間などによって、クオリティに影響が出てしまった。平たく言えば、短い感想と長い感想ができてしまいました。
    　感想制覇はあくまで自分の都合であり、何作品の投稿があろうとも一つ一つの作品には等しく作者様の熱意が込められている。にもかかわらず、作品のクオリティ以外の理由で感想や評価が変わるのは失礼なのではないか。

    　以降、そのための工夫としてテンプレートを採用し、また編集者の方の評価シートを参考にして項目ごとの評価付けができるようエクセルを工夫することで、できるだけ高いクオリティ、長い文章量での感想が多くの作品にできるように工夫するようになりました。

    　また、『乙姫様～』において『面白かったです！』という感想をいただいたのですが、評価は0点だったということがありました。以来、感想内容と点数は必ずしも一致しないということを悟り、一喜一憂することのないよう感想投稿期間終了まで感想を見ないことにしました。

    　どちらも今も続けていることですが、作品だけでなく本当にいろんな意味で燕小太郎に大きな影響を与えた企画でした。



    　さて、大夏祭りはA方式の結果発表後にも色々なことがありました。
    　作品数が膨大だっため評価シートの発表が遅れたり、評価シートを公表するべきかどうかの議論やアンケートがあったり。感想投稿期間中には誤って王冠マークが出てしまい、点数のおおよその予想ができてしまう事態になるなど、予想しえないアクシデントも多くありました。
    　作品投稿のタイミングによって、感想数に大きな偏りができてしまうことも議論に上がりました。2020年現在であれば1ページから2ページに収まるものの、当時の7ページだか8ページだかともなると、なかなか真ん中や後ろのほうの作品まで目が届かず、偏りが目に見えて明らかになってしまったというのがあります。盛り上がったが故の弊害ですね。

    　そして、記憶が確かであれば遅刻作品の扱いについても議論になりました。結果、今後の企画では規定時間内であれば参加は認めるが、－30点のペナルティが与えられるという方向で話がまとまっていきます。
    　この判断が、後に燕小太郎による渾身の悪ふざけを招くことになるのですが、それはまた別のお話。



    　さて、この大夏祭り企画については、企画HPがまだライトノベル作法研究所内に残っていますので、もし興味を持たれた方、懐かしく思われた方がいらっしゃいましたら是非一度読んでみることをお勧めいたします。燕小太郎だけでなく、今の常連から最近は見ない方まで多くの見覚えのある名前を見つけることができると思います。

    　そして、残念なお知らせ（というほどでもないかもしれません）が一つ。
    　企画作品『365日目の喪失』並びに『乙姫様は泳げるようになりたいのですっ！』ですが、保存しておいたUSBメモリが読み取り不可能になり、ほかのあらゆる媒体に残っていないため、この二作品は完全にこの世から消え去りました。
    　残しておきたいデータは、必ずバックアップを取っておくことをお勧めいたします（泣）。



    　さて、今回は前後編に分けての長い投稿になってしまい、申し訳ありません。
    　ただ、どうしてもこの大夏祭り企画だけは、全力で書きたかった。一番思いを込めた企画ですし、印象的な結果でもありましたから。

    　次回は2015年冬のバレンタイン企画、2015年GW企画、2015年秋のアトランティス企画の振り返りになる予定です。ただ、アトランティス企画は本当にギリギリまで筆が進まず、納得いかない出来栄えだったことだけ覚えていて、振り返れるほどの記憶がございません。まあ、いろいろ考えながらやっていきたいと思います。

    　ここまでお付き合いいただきまして、本当にありがとうございました。


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Re: 2020年03月02日 23時31分39秒
  • 　『燕小太郎を振り返る④　～　史上最大規模の企画　そして全身全霊を込めた勝負　～』、前後編読みました。


    　大夏祭り。いやー懐かしいですね。
    　ラ研の歴史の中でも、あれほど盛り上がったことは、そうはないんじゃないでしょうか。
    　135作という、とんでもない作品数になったわけですが、そんな中で感想制覇を成し遂げた燕小太郎さんは本当に凄いの一言。
    　ちなみに、感想投稿数ランキング十傑はこのようになっていました。（敬称略。なおこのデータは。。。さんが集計して掲示板に貼っていたものを頂戴したものです）

    　 1位　134個　燕小太郎（感想制覇）
    　 1位　134個　タカテン（感想制覇）
    　 3位　111個　たぬき
    　 4位　 56個　etunama
    　 5位　 39個　うみのりがや
    　 6位　 36個　須賀透
    　 7位　 33個　Kk.Kg
    　 8位　 29個　FXで有り金全部溶かした人の顔
    　 8位　 29個　肉球
    　10位　 28個　としき

    　燕小太郎さん、同じく感想制覇を成し遂げたタカテンさん、感想制覇こそしていないものの100個以上の感想を書いたたぬきさん、この3名は本当に凄いというか、偉いと思いました。（なお、燕小太郎さん、タカテンさん共に自作が2つで、感想制覇をしても感想数は133のはずなので、データが少し間違っているのかもしれません）
    　10位まで見ても今の企画なら感想制覇を出来る数なので、この企画では熱心な感想人も多かったようです。ちなみに私は26個で、次点の11位でした。


    ＞これはもう、大夏祭りのMVPは自分でいいんじゃない？
    　
    　それはもう、その通りでしょう。仮に「最優秀作者」「最優秀感想人」みたいな賞の投票があったとしたら、両方燕小太郎さんが1位になったんじゃないかと思います。
    　私としても、燕小太郎という存在を大きく認識したのは、この大夏祭りからでした。
    　私は期間中は燕小太郎さんの作品は両方とも読まなかったのですが、結果発表後に読んで感想を書きました。

    　『365日目の喪失』は技巧が凝らされた作品でしたね。
    　「1日に1人から忘れられるヒロイン」という設定も斬新でしたが、特に物語の構成が素晴らしかったです。
    　「俺には朝起きたら必ずやることがある」みたいな冒頭だったと思います。その「やること」が、ヒロインのことを忘れていないと確認すること。朝起きて、ヒロインのプロフィールを口にし「よし、まだ忘れていないぞ」と安堵する主人公。そんなシーンが作中で何度か登場し、そして物語終盤、「俺には朝起きたら必ずやることがある。なんだっけ？　ああ、トイレに行くことか」。この「ヒロインを忘れた瞬間」の演出が上手く、ゾクリとしました。
    　ただ、私としては設定の部分でちょっと引っかかってしまったんですよね。それを感想で伝えるときに、かなり失礼な書き方をしてしまったので後で修正したのですが、「修正前の感想を保存していたが、特に気にしていない」と寛容な対応をしてくださったことを覚えています。

    　『乙姫様だから泳げるようになりたいのですっ！』は、個人的に好きなタイプのコメディ作品でした。
    　乙姫が可愛かったんですよね。
    　あとクラスメイトも可愛かったです。後半、四天魚王の仲間に加わって登場するところとかｗ
    　プールの監視員をしている主人公のちょっと変わったキャラもよかったですね。乙姫の「泳ぎを教えてください！」という頼みに、顔色一つ変えず「いいよ」と答えたところが印象的です。
    　そのあたりのキャラの魅力は、やはり燕小太郎さんが昔から持っている大きな武器ですね。
    　ちなみに私の独自集計によると、B評価の順位は22位だったようです。


    　さて、大夏祭り全体としての思い出も語りたいのですが、ちょっと時間がないので、いったんこのあたりで失礼します。
    　今週中に再訪しますので、よろしくお願いします。
    　
    　それでは。

    E-Mail pass
Re:Re: 2020年03月04日 23時55分15秒
  • 　続きです。

    　大夏祭りには本当にたくさんの思い出があるのですが、実のところネガティブなことが多かったりしますね。

    　感想数の偏り問題……。とある作品に持ち上がった自作自演疑惑……。評価シート公開中止騒動……。最終的に評価シートは全作品公開されたものの、時期が大幅に遅れましたよね。
    　感想期間中に王冠マークが出てしまう問題もありましたね。これに関しては忘れていましたが、燕小太郎さんの書き込みを見て思い出しました。最初に王冠が出た作品は、『難あり清らか少女と迫撃アルティメット委員長』だったと記憶しています。

    　とまあ、とにかくいろんな問題がありましたね。
    　私は当時、2ちゃんねる（現5ちゃんねる）に立っていたラ研のスレを見ていたのですが、それはもう阿鼻叫喚でしたよ。

    　あと「11位以下の順位が発表されない問題」も思い出したので追記。その時は、独自集計していた私が2chのスレに全順位を書き込みました。

    　感想数に関しては、最多の『スラ子さんは不定形』が31個だったのに対し、全作品の平均が約10個、感想数2位の『時計仕掛けのローレライ』でも23個、最も感想が少なかった作品には6個しかつかなかったのですから、いかに偏りがあったかがわかるかと思います。
    　そして『スラ子さんは不定形』が一番やりに投稿された作品であったことが、この問題を大きくさせました。
    　この大夏祭りに限らず、当時の企画は参加作品数が多かったため、「いかにして自分の作品に感想を集めるか」という考えが多くの投稿者の中にあったと思います。
    　感想を集めるためにテクニックの一つとして考えられていたのが「投稿のタイミング」でした。
    　感想が集まりやすい作品は「投稿期間開始直後に投稿された作品」（最初に注目を集めることができる上、期間後半に投稿される作品と比較して長時間掲載されるため）か、「締切り直前に投稿された作品」（企画の1ページ目に掲載されることになるため、必然的に利用者の目につきやすい）というのが定説でした。
    　中でも最初に投稿された作品は注目度が高くなり、「感想制覇はしないが、最初に投稿された作品は必ず読む」という感想人も多かったと思います。（実際、2chのスレにそのような書き込みをしている人がいました）
    　
    　『スラ子さんは不定形』がこれほど多くの感想を集めたのは、最初に投稿されたからではないのか？　と当時の2chのスレの中で盛んに言われていました。
    　特に、大夏祭りには普段ラ研を利用していない人の流入も多く、そうした人が「とりあえず最初に投稿された作品を読んでみる」、「感想数が一番多い作品を読んでみる」という感覚で『スラ子さんは不定形』に感想を入れていったという部分もあったのではないかと思います。

    　誤解のないように私自身の考えを書いておきますが、私としては『スラ子さんは不定形』が多くの感想を集めた理由は、最初に投稿されたから「だけ」だと思ってはいません。
    　『スラ子さんは不定形』は私も読みましたが、面白い作品であったことは間違いありません。
    　また、「感想人の注目を集める」という要素も作品の価値の一つであり、そのためにタイトルや冒頭を工夫することは当然のことだと思います。『スラ子さんは不定形』がそういった部分に優れていたことも確かなのでしょう。
    　実際問題、2位だった燕小太郎さんの『365日目の喪失』は、30番目という中途半端な投稿タイミングながら22個もの感想を集めており、「注目を集める」という点に優れた作品に多くの感想が集まり、そういう作品が上位にランクインするのは競作企画のあり方として何も間違っていないと思います。
    　また、どんな人が企画に参加するかも、感想人がどの作品に感想を書くかもまったくの自由だと思いますし、『スラ子さんは不定形』に感想を書いた人に文句を言うつもりもありません。

    　ただ、企画の歴史の中でも「感想数の偏り」が、あれほど話題や議論の対象になったのはあの時だけなのではないかと思いますし、すごく印象に残っています。

    　あとは評価シートですよね……。
    　評価シート公開中止が発表されたときには、それこそ暴動が起きそうな雰囲気すらありました。
    　まあ、134作（1作は辞退）もの評価シートを書くことになってしまった編集者の伊藤氏には同情しますが（伊藤氏に依頼したうっぴーさんも、まさかこれほど多くの作品が集まるとは思っていなかったのでしょう）、最初に「全作品に評価シートを贈呈」と謳っている以上、その約束は守ってもらわないと、投稿者としては不満が爆発して当然ですからね。
    　最終的に全作品の評価シートは公開されたものの、相当なすったもんだがありましたね。

    　
    　とまあ、ネガティブなことばかり書いてしまいましたが（思い出自体はまだまだあるのですが、個人的な内容になってしまうため、このあたりで止めておきます）、全体としては最高に盛り上がり、最高に楽しかった企画だったことは間違いないと思います。
    　優勝作品のイラスト化、全作品に評価シート、この2つの要素はやはり大きかったと思います。
    　企画が始まる前も、そして結果が発表された後も、非常にワクワクさせられた企画でした。
    　2chのスレにたくさんの書き込みがあったということも当時のラ研の盛り上がりを示していて、懐かしいです。2chのラ研スレの書き込みはどんどん少なくなっていき、いつしか私も見なくなりました。今ではもう、新しいスレッドが立てられていないようです。


    　ともかくも、前後編に渡る燕小太郎さんの大夏祭りの振り返り、大変読みごたえがありました。
    　私としても当時のことを思い出し、懐かしい気分に浸ることができました。

    　次回の振り返りも楽しみにしています。

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Re:Re:Re: 2020年03月07日 16時54分45秒
  • 　いりえミトさん、コメントありがとうございます！

    　やはりもう一人の感想制覇者はタカテン様でしたか！　確かそうだったよーな記憶はあったのですがなにぶんおぼろげなもので、もし間違っていたら恥ずかしいし失礼にあたると思い、振り返りで名前を出すことを避けてしまいました。

    　今更ではありますが、タカテン様、感想制覇おめでとうございます。そしてお疲れさまでした。

    　拙作『365日目の喪失』は、構成・演出の点で二つの工夫がありました。その一つが、ご指摘いただいた『朝起きたらやることがある』から始まるくだりの繰り返しです。
    　当時の自分は、『書かずに描く』ことを理想の一つにしていました。そして、いかに今作で『忘れた』という表現をせずに忘れたことを描写するかを考え、この構成を思いついた覚えがあります。繰り返しにしたのも、一度目で印象付けし、二度目に強調し、三度目はあえて絶対的に文字数を少なくする。そうすることで、ぽっかりと穴が抜けたような喪失感が描け、それが『忘れた』ことへのあっけなさのようなものを描けるのではないかと。
    　この点は、評価シートでもご評価いただき、とても自信になりました。

    『乙姫様～』は肩の力を抜いて書けた作品でした。書きなれたコメディだったことや、雰囲気が軽かったこともあると思います。A部門とB部門で評価が分かれた点も、どういう目線で読むか、どこを楽しむか（評価するか）で点数が変化したのかもしれません。



    　あまりネガティブなことは書きたくなかったので、あえてアクシデントという表現をしましたが、大夏祭りは確かに荒れましたね（笑）。
    　ちなみに王冠マークは『365日目の喪失』にもついて、そして消えました。消えたのは新しい感想がついたのと同時だったので、「ああ、平均25点を下回ったんだな」と悲しくなった覚えがあります。やっぱり企画中に点数がわかるようなことはあってはいけませんね。

    　感想数の偏りについては、正直申し上げて今回いりえさんからコメントをいただくまでそこまで大きくないだろうと思っておりました。というのも、『365日目の喪失』が22個、『乙姫様～』が15個と、二作品とも結構多くいただいておりまして。参加者も多いしなんだかんだ10個以上はみんなもらったんだろうなーくらいに思っておりました。ちなみに『乙姫様～』は後半ページに投稿していたので、前半投稿によるアドバンテージもない状態でした。
    　こうして多くの作品が10個未満の感想となると、このときの偏り具合は許容しかねる大きさだったのだと認識させられます。

    　評価シートについては、感想制覇した身としては同情したい部分が大きいですね。前述したように感想の文章量やクオリティにブレが出てしまった覚えがあり、『プロの』という立場がある人が均一な評価シートを作るのは途方もない労力が必要で、プレッシャーもあったと思います。
    　こう言ってはなんですが、投稿作品のレベルもピンからキリまでありましたから。発表延期はやむを得ない判断だったと思います。
    　まあ評価シート公開中止にはビビりましたが。時間はかかってもいいが絶対やってくれよと本気で思いましたよ（笑）。



    　良い部分も悪い部分もひっくるめて、一番盛り上がった企画だったことは間違いないと思います。アマチュア作家にとって『イラスト化』と『プロの編集者による評価シート』は途方もなく魅力的で、だからこそあれだけの盛り上がりを見せたのでしょう。
    　いつかミチル企画で、かつての大夏祭りに匹敵するような盛り上がるお祭りにできるようになることを祈りつつ、この振り返り企画がその小さな一助になれば幸いです。

    　次回の振り返りは明日行う予定です。
    　コメント、ありがとうございました！


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2020年02月29日 12時20分50秒
 作者レス
  • 　燕小太郎を振り返る④（前編）　～　史上最大規模の企画　そして全身全霊を込めた勝負　～

    　2014年大夏祭り企画　テーマ『〇〇なのに○○な美少女』

    　今回振り返るのはこの大夏祭り企画一つのみ。ただ、この一回で十分なボリュームになるという確信があります。

    　この大夏祭り企画は、以前までの企画と大きく異なる点が二つありました。
    ・某出版社のプロの編集者の方が評価シートで批評してくれる。
    ・プロのイラストレーターが優秀作品をイラスト化してくれる。
    　これまでにも優勝作品がイラスト化されることはありましたが、確約ではなかったか、あるいは有志によるイラスト化だったはずで、『プロの』というのは初めてなのではないかと思います。どちらもアマチュア作家にとっては垂涎ものの景品であり、多くの人が参加することになります。
    　当然、自分も全力参加を決意しました。前回の2014年GW企画で実行した二作品投稿を今回も実施し、できるだけ多く批評をもらう。

    　そして、複数作品投稿を決めた段階で、一つの作戦を立てていました。
    　当時の自分はコメディ作品を多く投稿しており、優勝から遠ざかっていました。コメディは人によって当たり外れが出やすく、難しいところがあります。とりわけ下ネタやパロディなどを多用していたので、合わない人も必ずいたことと思います。

    　なので、一つはガチガチのシリアスでやろうと決めました。
    　
    　構成・文章力といった基本技術で、王道のストーリー・キャラクターを描き、それを一つのアイデアでオリジナリティを出しつつ『上手い』話を描く。減点を少なくして高得点を狙うシリアス作品。一つはこれで行こうと考えました。
    　もう一つは従来通りのコメディ。何度も書いていたので得意分野ともいえる作風でありましたし、あまりガチガチし過ぎるのもお祭りらしくないので、複数投稿なら片方はギャグ・ラブコメだろうと考えました。

    　休みの日にはルーズリーフを片手に図書館へ行き、構想を練る日々。大して冷房の利かない図書館の自習室と、窓から見た夏の街並みが今でも思い出されます。

    　テーマは『○○なのに○○ない美少女』。一つ前の『矛盾企画』にも通じる部分があるテーマでしたが、このテーマへの取り組み方で、『面白いことがしたい』という自分のいたずら心がこう囁きました。
    『この○○を、最も少ない字数で達成しよう』
    　もちろんそんなことで評価が変わるわけではありません。ただ、『こんなことしたら面白いかも』という悪だくみを思いついてしまうと、やらずにいられないのが自分の性格なのです。そして、一つのアイデアが思い浮かびました。
    『いるのにいない美少女』
    　テーマの〇の数より少ない三文字でのテーマ消化。いろんな意味で面白いと思った自分のアイデアを少しずつ詰めていき、ついに一行コピーにもした『一日に一人、誰かから彼女が消える』という物語になっていきました。

    　とある高校生の少女が、ある日突然『同じ学年の同級生から、一日ごとに一人ずつ、存在を認識されなくなる』という現象に見舞われる。
    　そんな少女のことを想う主人公は、朝起きるたび少女のことを覚えていることを確認する。学年の人数から考えて、卒業式の日に覚えていられるのは一人だけ。主人公は卒業式前日、少女と遅くまで言葉を交わし、忘れないことを誓う。
    　そして、卒業式の朝が来る……。

    　はっきり言って、当時の燕小太郎の集大成といっても過言ではなかったと思います。企画投稿初期の『面白い仕掛けがあればそれだけで面白くなる』という勘違いを、基本的な物語の面白さを出した上で、そこに仕掛けを施すことでより生かすようにできたこと。
    　シリアスな雰囲気をまといつつ、くすっと笑える部分も出して起伏も作れたのは、コメディ作品を書いてきた経験があってこそ。
    　そして、『一日一人、誰かから彼女が消える』というオリジナリティになりうるアイデア。
    　自画自賛が過ぎるので恥ずかしい限りですが、正直に申し上げて書き上げた後『これは強い』という自信がありました。

    　そして、コメディのほうのもう一つの作品。
    　おそらく通っていた図書館から、近くの小学校が見え、そこのプールから発想を得たのではないかと思います。

    　ある日突然現れた乙姫は、主人公に泳げるようにしてほしいと頼みこむ。素性の怪しい自称乙姫だったが、主人公はあっさりと受け入れ、彼女に泳ぎを教える。突如美少女を連れてきた主人公に動揺するクラスメイト（女子）、さらに竜宮城を脱走した乙姫を連れ戻しに来た怪しい四天魚王（してんうおのう）らによって繰り広げられるドタバタラブコメ。
    　こちらは良い感じに力が抜けていて、作中では時期的にもぴったりなサ〇イをみんなで歌うなど、とにかく書いていて楽しいお話でした。　

    　こんな感じで、とても同じ人物が書いているとは思えないくらいテンションの違う二作を投稿。

    　勝つ。
    　イラスト化、プロの編集者の批評。その両方をいただくために、全力を注ぐ。
    　こう言っては何ですが、大夏祭りの時のモチベーションは、ほかのどの企画の時よりも強く熱かったです。

    　そしてそのモチベーションは、さらにもう一つの目標を掲げました。

    　――――感想制覇。

    　全作品に感想を落とし、かつ二作品を投稿して両方とも上位に入り、そして優勝も勝ち取る。もしできたら最高に格好良い！
    　こうして、二つの作品を準備し、感想制覇の決意を固めて、投稿初日を迎えたのでした。


    　そして、言葉を失いました。

    　ずんずんずんずん積まれていく作品タイトル。
    　増えていくページ欄。
    　ここ数回の企画から想定していた投稿数を、あっという間に、はるかに上回っていく。増えるだろうとは思っていましたが、想定外の作品数が投稿されていきます。投稿期間が12日と長かったことも影響したのでしょう。

    　総投稿数　135作品（自作2）

    　今からはもちろん、当時としても考えられない数字でした。ライバルの多さもそうですが、何より感想制覇を企んでいた自分には驚愕以外の何物でもありません。
    　感想期間は通常企画とほぼ同じ11日。全135作品中2作が自作なので、一日に12作品ちょっと読んで感想を書けば感想制覇できるね♪　という状態でした。

    　できるかああああああああああああああああああ！！！！！！！！！！！！！！！！
    　
    　呆然とした後、あふれる感情のまま叫びだしたかった気持ちでした。いやいや、いくらなんでも規模が大きすぎる。シャレにならん。
    　しかし、せっかくの機会。諦めるのはいつでもできるが、あとでやっぱりやっとけば良かったと後悔しても遅い。とにかくやれるだけやろう。とても見通しが立たない中で、それでも感想制覇に向けて進みました。

    　幸いというべきか、救いといえる点が二つありました。
    　一つは当時の規定枚数が20枚～50枚とやや短かったこと。上限100枚規模の今と比べると、若干短い時間で読み切れます。
    　もう一つは、作品投稿期間が長かったこと。作品投稿期間中の感想投稿は禁止されていましたが、作品を読むことはできましたので、読んで感想を保存しておけば時間を短縮することができる。厳密に11日間で133作品を読む必要はありません。
    　とはいえ、3桁の作品を期間内に読み、感想を書くというのはハッキリ言って苦行です。そこまでせずとも健全な数の感想を書けばいいのではないか、と心のどこかが囁きます。無理するな、楽しめばいいじゃないか、と。

    　だからこそ、やる。

    　朝起きてすぐに読み、電車の中で読み、読めないときに頭の片隅で感想に書くことをまとめる。家に帰れば読み、書き、読み、書きを繰り返す。正直執筆期間よりよほど忙しく、つらい時期でした。
    　うまく進まない感想、たまっていく読了済みの作品、迫る期限、減らない未読作品群。あきらめよう、何度となく脳裏をかすめていきました。



    　そして、達成しました。

    　最終日までかかったと思います。すべての感想を投稿し、漏れがないか全作品の感想欄を何度もチェックする。今のような投稿状況がわかるようなツールは当時ありませんでしたので、とにかく手作業でした。
    　
    　感想投稿期間中には、いくつかの作品に王冠マークが出てしまう不具合が生じたりなど、本当にいろいろなことがありましたが、どうにか感想制覇を達成し、二つの自作品にも順調な感想数をいただいて、いよいよ結果発表の時が迫ってきました。

    　史上最大規模の大夏祭り企画、その結果は、果たして――――

    （後編へ続く）

    E-Mail pass
2020年02月23日 16時37分12秒
 作者レス
  • 　燕小太郎を振り返る③　～　サブタイトルなんかつけなきゃよかった　～

    　今回振り返る2014年GW企画は作品以外の記憶もデータもあまりなく、2013年夏企画にいたっては企画そのものどころか作品さえ忘れかけていたものでした。
    　それを振り返ると言っても大して振り返れるものではなく、括りようがない。サブタイトルの『サブタイトルなんかつけなきゃよかった』は偽らざる本音です（笑）。
    　とはいえ、つとむュー様、いりえミト様から情報提供をいただきまして、おぼろげに蘇る記憶もありましたので、できる限り振り返っていきたいと思います。あらためて、お二方に御礼申し上げます。



    　2013年夏企画『変態企画』

    　作品名『熱ケツカウンセラー・ユウキ』
    　総合順位　27位（全52作品中）

    　つとむュー様、いりえミト様から自作タイトル『熱血カウンセラー・ユウキ』のタイトルを聞いたとき、稲妻が走ったような衝撃とともに封印したい一作のことを思い出しました。
    　先日、振り返り企画のためにHDDを調べていた時、『熱ケツ』というファイル名のワードファイルを発見しました。作品タイトルでもないし、作品参加しようと適当な仮タイトルを付けた後、結局完成させられなかったのだと早合点していましたが、もしやと思い開いてみるとこれが作品データだったことが発覚。『黒歴史』という印象だけが残っていた作品ががっつり生きていたことに驚愕しつつも、振り返るために読み返してみることにしました。

    　まあヒドイ（笑）

    　どういう心理状態で書いていたのか定かではありませんが、もともと濃度注意警報気味だったパロネタ・下ネタがさらに顕著になり、読者置いてけぼり上等のネタの嵐。よくこれで中位に入ったなとむしろ怖くなりました。
    　ただあえてフォローすると、色はハッキリしているんですよね。カウンセラーという設定や常識・節度を無視した展開やネタは、今作をどこにでもある一作にとどまらせず、良くも悪くも個性の激しい一作に押し上げている。良い悪いはあれども、ハマってくれたり興味を持ってくれたりすれば、最後まで読ませる力はある、のかもしれません。

    　そして、この2013年夏企画にはミチル様も運営の一人として参加されていたそうです（ソース　ミチル様のツイッター）。今更ではありますが、感謝申し上げます。


    　2014年GW企画（矛盾企画）

    　こちらもミチル様が運営された企画だそうです。
    　このときは二作品を投稿したので、どちらも作品自体には印象が残っています。
    　ただ、作品データのほうに企画テーマが書いておらず、どんなテーマで書いたのかをずっと思い出せませんでした。今回、つとむュー様ならびにいりえミト様からのコメントをいただき、ようやく思い出すことができました。
    　企画に参加するときは、いつも二作品くらい投稿しようと画策しているんですが、そのたび書けないまま時間が過ぎていき、締め切り間際にお尻に火がついてどうにか一作滑り込みセーフ、という流れになっています。十年以上企画にはお世話になっていますが、複数投稿できたのはこのときと大夏祭りくらいなんですよね。

    　作品名　『物理魔法使いとモヤシ勇者』
    　総合順位　10位以内には入っていたと思う（全34作品中）

    　武闘家と戦士の子供として生まれた少女が、ちょっとした見栄を張ったことから魔法使いになってしまい、体力最弱の勇者とともに旅に出るお話。
    　データはないのであやふやですが、確か一桁順位には収まっていた覚えがあります。順位としては後述の『タイム・ママドックス』より下でしたが、今でも結構お気に入りの作品。そのころまでよく使っていたボケツッコミや下ネタパロネタといったわかりやすいギャグではなく、魔力を持っていないことをごまかすために筋肉で必死に悪戦苦闘するヒロインを軸にしたコメディが作れたので、キャラクターとしてもコメディとしてもよかったのかなと思います。
    　ただ、世界観がどう見てもドラ〇エなことや、敵役にリザードマンを選んだことで全体的に世界観が小さくなってしまったことが、ややマイナスに働いてしまいました。設定的にもあまり珍しくないので、そういう意味でもオリジナリティが弱かったのかなとも思います。
    　
    　作品名　『タイム・ママドックス』
    　総合順位　多分3位に入っていたんじゃないかなあ（全34作品中）

    　天才発明家の人見知りヒロイン八日市場奇天烈が開発したタイムマシンを使い主人公の母親に会いに行くことに。しかし、過去に戻ったことで過去改変が起こり……というお話。
    　まだPCに残っていたので読んでみましたが、まあひどいお話です。今回の企画で暗いイメージが多いとか言ってましたが、同様のことを明るく済ませようとしている今作のほうが悪質とすら感じるほどです。
    　今作は、従来通りのパロネタ下ネタのオンパレード。ストーリーはそれなりにちゃんとしているようでしたが、こっちはネタが強すぎでアクが出てしまった感じでしょうか。タイトルも特徴的で覚えやすく、割と印象的な一作ではありますが。
    　何よりの特徴は、ヒロインの名前ですかね。八日市場奇天烈。とにかく特徴的な名前にしようと、長い地名を探した覚えがあります。そして発明家なら『キテレツ』しかないという、怖いもの知らずの発想でした。

    　さて、おそらく今回も感想制覇はしていると思うのですが、とよきち様の優勝作品『ひよこリープ』というタイトルは覚えがあります。内容まで思い出せないのが申し訳ないのですが、確か拙作の『タイム・ママドックス』が3位に入っていたはずなんです。もう少しのところで頂点に届かず、高い壁と感じたことを覚えています。まあ2位にタカテン様が入っているので優勝には程遠いところではあったのですが。
    　このときは次でリベンジできればいい、むしろ（内容が内容だけに）自作が優勝しなくてほっとした、くらいの気持ちがあったはずなんですがね。
    　三か月後、自分の中で、とよきちさんの名前が忘れられないものになっていくことになるとは、このときまだ知る由もなかったのでした……。

    　話は変わりますが、感想をつける際に、どの作品に感想をつけたかわかるようにエクセルにまとめているのですが、そのファイルがこの回から残っていました。今使っているシートよりもだいぶ簡素でしたが、このころから使い始めたみたいですね。



    　今回はここまでとなります。

    　意外にも多くの方に読んでいただけているようで、うれしい限りです。返信をいただくこともあり、本当に励みになります。ありがとうございます。
    　何年も前の作品なので、今の自分とは違う点が多くあります。拙い点も多いですが、今ではもう書けないであろうものや、今の自分に通じるものなど、振り返ってみると懐かしくもあり、また勉強になることもありました。
    　あの作品を今の自分が書いたらどうなるか、なんて想像をすることもありましたが、そんな機会があったらいいなと思います。

    　次回は3月1日（日）の投稿を予定しています。もし同日に開催する東京マラソンに出場予定だったが一般ランナーの出場が取り消されたためやることがなくなった方などいらっしゃいましたら、暇つぶしにでも読んでいただければ幸いです。
    　え、そんな方いないって？　いやー、一人くらいいるでしょー。

    　私です（真顔）。








    　――――そして、ラ研で一番熱い夏が始まる……。


    　＊『燕小太郎を振り返る』③において、正しくない表現があったため訂正いたします。

    　誤：そして、この2013年夏企画はミチル様が運営をされていたそうです（ソース　ミチル様のツイッター）。今更ではありますが、感謝申し上げます。
    　正：そして、この2013年夏企画にはミチル様も運営の一人として参加されていたそうです（ソース　ミチル様のツイッター）。今更ではありますが、感謝申し上げます。

    　本文を訂正するとともに、ミチル様ならびに当時主催をされたキーゼルバッハ様、また誤解を与えてしまった多くの方々にお詫び申し上げます。

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Re: 2020年02月25日 07時40分41秒
  • 　おはようございます、ミチルと申します。
    　この返信は運営間で相談したものではありません。
    　なにかあったら「全部ミチルが悪い」と思っていてください（ぁ
    　ツイッターの内容とかぶるところがある上に、長くなります。

    　企画が振り返られていて、読んでいて楽しくなると共に、懐かしさがこみあげます。
    　企画には長らくお世話になりました。参加していた頃はビリ争いばかりで、ずっと精進が必要だと感じていました。
    　当時の企画運営陣にはいろいろワガママを言ったし、無茶も言ったし、迷惑も掛けましたが、企画から離れることはできませんでした。
    　しかし、企画がなくなる危機に瀕した時期があります。
    　それが、2011年でした。
    　あの頃は東日本大震災の影響もあり、すでに告知済みの企画さえ開催が危ぶまれました。そんな中で、企画運営陣はすごく頑張っていた印象があります。全盛期に比べて参加者は減りましたが、開催されたのが奇跡的でした。
    　その後も企画運営の人手不足により、企画がなくなる危機は続きました。
    　私は一か八か、企画運営に入ります。2011年冬企画でした。
    　親切な先輩運営方にいろいろ教えていただきましたが、結局は、私の力不足で企画運営部門は解散となりました。
    　正直なところ、悲しかったですね。
    　しかし、個人運営の企画が樹立されて、企画は息を吹き返しました。

    　その流れで2013年夏企画も行われましたが、すごかったです。
    　何がすごいってテーマが『変態』だったのがあって話題が尽きず、尖った作品が集まった印象を受けました。いろいろありましたが、面白かったです。
    　あ、ツイッターで語弊のある表現をしました。
    　私ととまとさんは変態企画運営でありましたが、主催はキーゼルバッハさんです。
    　個性豊かな運営陣だったかもｗ

    　2014年GW企画は多くの方が気を使ってくれて、順調でした。
    　正直なところ、私は2014年で企画運営を引退するつもりでいました。
    　もっと実績があって、頼りがいがあって、みんなをもり立てる人がやるべきだと感じていました。
    　しかし、企画の楽しさが忘れられずに結局は企画運営に戻りました。
    　頼もしい運営陣とともに、今後も情熱を忘れずにミチル企画を続けたいと思います。

    E-Mail pass
Re:Re: 2020年02月25日 17時50分23秒
  • 　ミチル様、コメントありがとうございます！

    　まずは主催・運営に関して誤解を招く表現をしたこと、深くお詫び申し上げます。申し訳ありませんでした。

    　一参加者でしかない自分には企画の裏側まではわかりませんが、その存続には運営にかかわった多くの方の努力があったからこそできたのだと思います。代々の運営の皆様に、深く感謝申し上げます。

    　しかし、運営側に立ったことのある人から見た過去の企画というのは、また違った印象がありますね。そして、今まで参加してきた全ての人たちに、それぞれの企画の歴史があるのだと思います。
    　いつか、いろんな人の『俺にとっての企画』の思い出を聞いてみたいなと思いました。

    　コメント、ありがとうございました！
    　次回企画もよろしくお願いいたします。

    E-Mail pass
Re: 2020年02月24日 09時07分34秒
  • 　『燕小太郎を振り返る③　～　サブタイトルなんかつけなきゃよかった　～』読みました。

    　とはいえ、今回は私が語れることはほとんどないですね。
    　「変態企画」には私も参加していたのですが、燕小太郎さんから感想をいただけず、私も燕小太郎さんの作品を読まず、と完全にすれ違いでした。
    　「矛盾企画」のほうは私が不参加。結果発表後にいくつかの作品は読んだのですが、燕小太郎さんの作品は未読でした。

    　そんなわけで、今回紹介された3作について語ることができず、寂しい限りです。どの作品も興味深い内容で、ぜひ読んでみたいなーと思ったのですが……諦めます（笑）。（でも気が変わったら（ｒｙ

    ＞三か月後、自分の中で、とよきちさんの名前が忘れられないものになっていくことになるとは、このときまだ知る由もなかったのでした……。

    　矛盾企画でとよきちさんが優勝したのは覚えていたのですが、燕小太郎さんも3位に入っていたんですね。
    　このころの燕小太郎さんととよきちさんは、非常にハイレベルなライバル関係だったように思います。（最近とよきちさんをお見掛けしないのが寂しいですね）
    　そして次はいよいよ、あの怒涛の「大夏祭り」になるわけですね。
    　あの企画といえば、私としても語りつくせないほどたくさんの思い出があるので、燕小太郎さんがどのように振り返られるか、楽しみにしています。

    ＞もし同日に開催する東京マラソンに出場予定だったが一般ランナーの出場が取り消されたためやることがなくなった方

    　これ今ちょっと問題になっていますが、まさか燕小太郎さんが当事者だとは……。
    　自然災害やテロ以外の理由による中止は返金しないという規約になっていたらしいですが、「ウイルスの蔓延」って自然災害に近いものがあると思うんですけどね……。


    　それでは、次回の振り返りにも期待しています。

    　

    E-Mail pass
Re:Re: 2020年02月25日 17時49分23秒
  • 　いりえミトさん、コメントありがとうございます！

    　ううむ、感想をつけていなかったということは、このときは感想制覇をしていなかったということですね。あまり当時の記憶がないのも、モチベーションが高くなかったということかもしれません。
    　いわゆる『ミチル企画』以前の企画で、ほとんど思い出せないのがこの2013年夏の『変態企画』と2015年秋の『アトランティス企画』でした。それ以外は企画そのものはともかく、作品自体には覚えがあり、懐かしく感じる面もあるのですが、この二つは自作の記憶すらほとんど残っていません。
    　振り返り、どうしようかと思案中です……。

    　あまり他の方の名前を出すのは好きではないのですが、この頃の燕小太郎を振り返るうえで、とよきちさんの名前だけは避けて通れませんからね。2018年冬企画では自分が作品参加しなかったためすれ違いになってしまいましたが、また企画で出会える日が来ることを願っております。

    　大夏祭りの振り返りは、自分も気合を入れて書きたいと思っています。
    　次回企画作品の執筆を棚に上げて取り掛かります（本末転倒）。
    　
    　コメント、ありがとうございました！

    E-Mail pass
2020年02月17日 19時34分05秒
 作者レス
  • 　予告しているにも関わらず、予定より一日遅れてしまい申し訳ありませんでした。
    　遅ればせながら、続きをやっていきたいと思います。
    　今回振り返る時期というのは、あまり勝負にこだわらなくなった時期だったのではないか思います。一番になりたいというよりも、面白いものを書きたい、あるいは面白いことをしたい、これをやったら面白そうと思いついたらやってしまう、そういう時期だったと思います。
    　また、企画参加もけっこう飛び飛びになっているんですよね。一度優勝したことで満足してしまった面もありますし、長編に挑戦しようとしていた時期でもあったと思います。



    　燕小太郎を振り返る②　～　少し離れた時期　～

    　2011年GW企画『らのべカンタービレ』

    　作品名　えむぴ～ぜろっ！　～ミュージックポイントゼロ～
    　総合順位　9位（全53作品中）
    　平均点　22点
    　感想投稿数　24個

    　一つ前の冬企画を不参加にした後、参加したのがこの音楽企画『らのべカンタービレ』でした。
    　この企画では、実際の楽曲を利用した『ミュージックポイント』なるものが導入されるという話があったのですが、議論の末に中止になったという経緯があったと記憶しています（多少記憶に誤りがある可能性があります）。
    　このなくなってしまったミュージックポイントを、せっかくだから拾って使ったら面白いかなと思ったのが今作でした。
    　音楽に関する特別学校で、歌は上手いがまともに歌おうとしない変人ヒロインと、ダンスは上手いが歌がド下手な主人公が二人で試験を乗り越える、というストーリーでした。はい、また変人ヒロインです。
    　このころと今で共通する点として、主人公（男性）一人とヒロイン（女性）二人という配置が多いですね。しばしば感想やコメントで『対比を意識して～』ということを書いていると思いますが、とりわけ二人のヒロインは常に対比・差別化を意識しています。一人が明るいなら、一人は暗い感じに。一人が変人なら、一人は常識的なヒロインとして描いていく。自分の書き方の特徴かなと思っています。

    　余談ですが、自分が優勝した2010年夏企画から、次の長編企画の投稿作品数が32作、この『らのべカンタービレ』が53作と大きく投稿数を減らしています。ひょっとして夏企画で優勝した自分のせい？　と申し訳ない気持ちになったのも、思い出の一つです。



    　2011年冬企画『終わり』『始まり』『終わりと始まり』

    　作品名　人としてオワタ日
    　総合順位　21位（全56作品中）
    　平均点　16点
    　感想投稿数　6個

    　また一つ飛ばしで参加した冬企画。ひどい作品を投稿しました。
    　同じアパートに住む七人のキャラクターの視点からクロスオーバー的に物語を進め、最後はそれぞれがやっていたことが公になり、すべて火事になって終わるというひどいお話。
    　やりたかったことははっきりしているのですが、七人を均等に扱うため、キャラクター一人ひとりを掘り下げることができない。当時の上限枚数は今より厳しかったので、余計に大変でした。ギャグなのでごまかせる部分はあったかもしれませんが、物語として正道ではなかったと思います。魅力あるキャラクターを軸にした物語づくりができていないという反省と、ネタに走りたがっていた自分を感じます。
    　ただ、やりたかったんですよね、これ。やったら面白そうと思ったら、やっちゃう自分を感じます。



    　2012年GW企画『恋愛』

    　作品名　『戦場に朝日が昇るとき』
    　総合順位　12位（全40作品中）
    　平均点　21点
    　感想投稿数　39個（感想制覇）

    　初めて感想制覇を達成した企画でした。徐々に感想制覇する人が増えてきて、その流行にのった感じです。この回に五名もの方が感想制覇を達成されています。
    　流行以外に感想制覇を目指した理由、そして今でも続ける理由が主に二つあるのですが、その一つが当時慣習となっていた『感想返し』でした。当時は企画で感想をもらったら、後夜祭でその人の作品を読みに行き感想を書く、という慣習がありました。ただ、正直面倒くさいなという本音（笑）と、後夜祭では点数や作者名が出てしまいフラットな状態で作品と向き合えないという気持ちの問題もあって、あまり好きではありませんでした。
    　じゃあ最初から全部に感想を書いておけば、感想返ししないで済むじゃん！　という狙いも、確かあったと記憶しています。つまり積極的な怠惰です。

    　感想制覇のもう一つの理由が、感想を書かなかった作品の作者様から感想をいただいたのがわかった時に、申し訳なくなった気持ちがあったからです。とくに企画では点数が付きますが、後夜祭での感想返しでは順位に影響を与えません。ならば、感想制覇をして全作品に点数を付与した上で、あわよくば自分が優勝する。これなら、すごく気持ちいいし何より格好良い、と思い、今もやってる感じですかね。

    　企画作品に話を戻して、この『戦場に朝日が昇るとき』はよく覚えています。ちょうど『とある飛空士への追憶』を読んだ時期で、その影響をもろに受けた、というよりああいう作品を書きたいという欲求に駆られて書いた作品ですね。
    　めちゃくちゃ戦闘物なんで、そういうテーマなんだろうと見返していると……れ、恋愛！？　よくこのテーマでこれ投稿できたな……。自分でぞっとします。
    　ちなみにこの作品は大幅加筆して長編にしましたが、まさかの長編二部構成という大長編に。コントロールが難しい……。



    　2012年夏企画『コメディ×選択ジャンル』

    　作品名『納品・レジ打ち・客対応！』
    　総合順位　3位（全55作品）
    　平均点23点
    　感想投稿数　54個（感想制覇）

    　病んでいた時期ですね（乾いた笑い）。
    　当時の仕事に悩んでいた時期で、お題に『業界』が入ったことでいろいろ感じていたことをぶつけた作品でした。
    　自分がやっていたことなのでリアリティはあったと思いますが、肝心のライトノベル、あるいは物語としてうまく練り直せず、上位進出できても一歩及ばず、という感じでした。もっと物語、創作物という意識を持つべきでした。
    　ただ、『思い入れの強さが評価に直結する』というのは、拙作『ニート市民ランナー、オリンピックを目指す』や『ラスト・クリスマス・コンサート』にも共通しています。実体験は強いということかもしれませんが、物語としての再構成に失敗していながら上位進出したということは、あながち間違いではないのかもしれません。
    　また、最近の企画で自分がクイズやマラソンをテーマにしたように、知らない世界を詳しく描く作品というのは、それだけでも結構な魅力になるものです。そういう収穫もあった企画でした。

    　さて、今回はここまで。三大企画運営跡地にはここまでのデータしかないので、とりあえずここで一区切りとさせていただきました。
    　これからどうするかを、ただいま思案中です。2014年GW企画は確かあったはずで、そこに投稿した二作品がまだHDに残っているのですが、そこは振り返りたい。ただ、ちょっと分量が中途半端なので、どうしたものかと。
    　また、2013年は企画がなかったのか、主催が変わって運営跡地に残らなくなったのか。ちょっとわからない上にデータも残っていないので、振り返ることができません。
    　とはいえ、この振り返り企画のメインディッシュだけは絶対にやりたいので、次回はいろいろ交えて膨らませながら、やれたらいいなと思っています。

    　ここまでお付き合いいただきまして、ありがとうございました
    　また来週お読みいただけたら幸いです。今度はちゃんと日曜日までに投稿します。

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Re: 2020年02月18日 22時45分02秒
  • 『燕小太郎を振り返る②　～　少し離れた時期　～』読みました。

    ＞2011年GW企画『らのべカンタービレ』
    ＞作品名　えむぴ～ぜろっ！　～ミュージックポイントゼロ～

    　この作品にすごく興味が湧いたので、もしよかったら、どこかに上げてくれませんか？

    ＞感想制覇のもう一つの理由が、感想を書かなかった作品の作者様から感想をいただいたのがわかった時に、申し訳なくなった気持ちがあったからです。とくに企画では点数が付きますが、後夜祭での感想返しでは順位に影響を与えません。ならば、感想制覇をして全作品に点数を付与した上で、あわよくば自分が優勝する。これなら、すごく気持ちいいし何より格好良い

    　この気持ちはすごく分かりますねぇ。今私が感想制覇をしているのも、そういうような理由です。
    　まあ、私が感想制覇をし始めたのは、企画の参加数が減ったからというのも大きいのですが、参加数が今よりずっと多かった時代から感想制覇をされている燕小太郎さんには本当に感心します。特に（次回以降にまた振り返られると思いますが）、大夏祭りのときに130作以上の感想を投稿された時は度肝を抜かれました。

    ＞2012年夏企画『コメディ×選択ジャンル』
    ＞作品名『納品・レジ打ち・客対応！』

    　やっと私が初参加した企画が出てきました。
    　この企画では、様々なジャンルとコメディを組み合わせるという、意匠を凝らしたテーマが採用されていましたね。おかげで話を考えるのが凄く大変でしたｗ
    　『納品・レジ打ち・客対応！』には、私は20点を付けました。スーパー業務の描写にリアリティがあるのもよかったですが、なによりメインヒロイン（？）の千石さんの「不愛想デレ」が印象的な作品でした。（「三大企画運営部門・跡地」の中に「優秀作品」としてデータが残っていましたが、私が一人目の感想人だったようですね）　
    　私が投稿した『眼球ゾンビ　〈おれの姪は無口で引きこもりでうさ耳で美少女で名探偵〉』には、燕小太郎さんから10点をいただいていますね。ジャンルはミステリーを選択したのですが、ミステリーとして成立させることに精一杯で、コメディ要素が非常に弱くなってしまったことが苦い思い出です。

    ＞2014年GW企画は確かあったはずで
    ＞2013年は企画がなかったのか、主催が変わって運営跡地に残らなくなったのか

    　先につとむューさんからの補足が入っていますが、2013年夏に「変態企画」、2014年GWに「矛盾企画」が開催されていますね。
    　「変態企画」の結果はこうでした。
    　カッコ内は作者名（敬称略）。ただし一部しか分からないので、ご存知の方がいたら教えていただけるとありがたいです。

    1位 14120pt 幼女鑑賞入門 （いさおMｋ2）
    2位 13900pt ★★★ 女の子のおしっこは好きですか？［YES／NO］　※YESを選んだ方は本編へGO♪ ★★★ （。。。）
    3位 10280pt おみあしサディスティック （シンズー）
    4位 8200pt 女装シンデレラと毒リンゴ （黒木猫人）
    5位 7840pt １２０円の生徒会長
    6位 7700pt アポクリンより愛をこめて （いりえミト）
    7位 7490pt ﾃﾞｭﾌﾌｗｗｗ我の恋物語でござるぞﾌｫｶﾇﾎﾟｳｗｗｗ
    8位 6200pt ＨＩ　ＹＯ　ＫＯ！ （彼方やつで）
    9位 6000pt ふふふの腐
    10位 5840pt ひみつのかおり （えん）
    11位 5500pt 狂歌 （インド洋）
    12位 5160pt 倫理戦隊モラルンジャー （由章）
    13位 4800pt 二人目のヘレネ （へろりん）
    14位 4550pt 空を飛べるはず （ひながたはずみ）
    15位 4500pt みにくいボクをきらわないで
    16位 3890pt パンツバトラー・シグレ （モドキ堂）
    17位 3890pt 私が、金属になったら
    18位 3580pt アンリミテッド×パラノイア
    19位 3580pt 古き鳥の啼く草原
    20位 3560pt あたしの恋はベイビー!? （桜春）
    21位 3500pt バリカンとリーゼント！！ （タカテン）
    22位 3250pt クイーン・オブ・クイーンズの名の下に （庵）
    23位 3100pt 変態ってもっとフリーダムになっても良いと思うんだけど、どうだろう？
    24位 3000pt 女騎士「なに…夕食が太りやすいのは嘘だと！？ この作品でダイエットを学べば…白いドロドロらめぇぇ！」 （。。。）
    25位 2960pt サキュバスの初恋 （03）
    26位 2960pt 不死鳥を攻略せよ
    27位 2780pt 熱ケツカウンセラー・ユウキ 　（燕小太郎）
    28位 2780pt 気品高いアイリーンお嬢様がふとしたきっかけでただの変態へと変わっていってしまった話
    29位 2690pt さようなら、クロアゲハが消えた日よ （須賀透）
    30位 2600pt ふわり、草の匂い　（つとむュー）
    31位 2530pt 亀淵玄太のお留守番
    32位 2400pt 蜘蛛の糸、ノーパン原理主義の夏
    33位 2230pt ろりコン
    34位 2180pt オナニーしてるのナイショだよ （Ｈｉｒｏ）
    35位 1800pt 白い肌の君が好き～ベジタン・パニック～
    36位 1600pt アイディール・スタチュー
    37位 1490pt みちゃくら☆ぱんでみっく （まーろん）
    38位 1300pt 真矢井チロの憂鬱
    39位 1280pt （無）殺人鬼・切峰の憂鬱 （うさま）
    40位 1220pt 優しいマルカキャノン　- 我輩はロボである 心はまだない -
    41位 1220pt 精霊のめがみさま
    42位 1200pt ひよこ探偵となぞらない雛木家の謎鳥たち。
    43位 1200pt 雛に奪われた世界の片隅でただ君の手だけを追い求める
    44位 1180pt しりかきびじん
    45位 1100pt 変態ショートショート集　『戦隊ヒーローの悩み』
    46位 1100pt 美少女戦隊パンツァー番外編　パンツ教授の華麗なる1日
    47位 990pt シンボル★ブレイク　～あなたのスマホは呪われました～
    48位 940pt 変態撲滅！　戦えゲイバー
    49位 760pt ぼくが望んだまおうとゆうしゃの伝説
    50位 750pt 『変態プリンセスと笑えない子犬』
    51位 700pt 秋の夏蝉
    52位 600pt 騒乱のヘンタイ学園　高等部


    　「矛盾企画」のほうは私が不参加だったこともありデータを持っていないのですが、優勝はとよきちさんの『ひよこリープ』、2位はタカテンさんの『お兄ちゃんを性的に観察してみたっ！』だったようですね。

    　ではでは。

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Re:Re: 2020年02月20日 17時48分36秒
  • 　いりえミトさん、コメントありがとうございます！

    ＞＞作品名　えむぴ～ぜろっ！　～ミュージックポイントゼロ～
    ＞この作品にすごく興味が湧いたので、もしよかったら、どこかに上げてくれませんか？
    〇えっ（絶句）。
    　いや～、さすがに十年近く前の作品を今になって世間にさらすのはきついですね～（笑）。恥ずか死します。残念なことに作品データは残っているのでやろうと思えばできるというのが言い訳できなくてつらいところ。
    　ただ真面目な話をすると、自分は企画くらいしか参加せず、作品を上げるような場所ってないんですよね。過去作品で短編の間を使うのも気が引けますし。
    　なろうやカクヨム、ノベルアップ＋などにも参加すればできるのかもしれませんが、あんまりそこまでの熱意がないので……。今のところ予定はございません、すみません。

    　そして提示されたデータの詳しいこと詳しいこと……これはもう、永久保存版にすべきなのでは？　
    　
    　次回はきちんと日曜日には投稿しますので、お待ちいただければ幸いです。
    　ありがとうございました！


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Re:Re:Re: 2020年02月20日 22時48分12秒
  • 　返信どうもです。


    ＞いや～、さすがに十年近く前の作品を今になって世間にさらすのはきついですね～（笑）。

    　そんなこと言わずに頼むよ（無限ループ）

    　……というのは冗談ですが、残念です。短編の間には現在あまり作品が投稿されていないようなので別に迷惑にはならないと思うのですが……燕小太郎さんがそう言うのであれば仕方がないですね。（でも気が変わったら上げていただいてもいいんですよ？ｗ）

    ＞そして提示されたデータの詳しいこと詳しいこと

    　企画の点数結果の他、自分が感想を書いた作品のあらすじ（30字程度）なども記録しているのですが、見返すと思い出がよみがえってくるので面白いです。
    　もし需要があるなら、三大企画運営部門による企画が終わってから、現在のミチル企画が始まるまでの間（2013年～2016年GW）に開催された企画の結果を貼ろうかとも思っているのですが……もしやるなら、次の企画終了後に交流掲示板が立ったときですかね。

    　それでは、次回の振り返りも楽しみにしています。




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Re: 2020年02月18日 21時00分07秒
  • 2012年以降の企画について補足してみたいと思います。

    2012-13冬企画　開催されず
    2013年GW企画　開催されず
    2013年夏企画　テーマ『変態』とお題「鼻血、女神、ひよこ、平和」
    2013-14冬企画　幻の企画
    2014年GW企画　テーマ『矛盾』とお題「１０、翼、嘘」
    2014年夏企画　『大夏祭り』

    という感じだったと思います。
    （間違い等がありましたら、どなたかお願いします！）


    2013年夏企画『変態』では、
    燕小太郎さんは『熱ケツカウンセラー・ユウキ』を投稿されているようです。
    主催はとまとさん、優勝はいさおさん、
    その時の参加者で、今回の企画にも関わっていらっしゃる方は、
    赤城さん、あまくささん、庵（いおり）さん、いりえミトさん、
    朱鷺ミチルさん、ナマケモノさん、Ｈｉｒｏさん、へろりんさんです。
    （他にもいらっしゃったらスイマセン）

    ＜追記2/19：いりえミトさんから補足があったので修正しました。優勝者を間違ってしまい、申し訳ありません＞

    なつかしいですね～


    振り返り、楽しみにしています！

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Re:Re: 2020年02月20日 17時47分25秒
  • 　つとむューさん、コメントありがとうございます！

    　はへ～、2012年から2013年にかけて、企画そのものが開催されていない時期があったんですね～。当時の記憶がないのは、そもそもやってなかった時期でもあったからなのかもしれません。
    　というか、つとむューさんといい、いりえミトさんといい、自分よりめっちゃ詳しいデータ持ってますよね。自分レベルのデータと記憶で振り返る企画とかやっているのがちょっと恥ずかしくなってきました……。
    　ま、まあ、あくまで『燕小太郎を振り返る』ですからね。自分の作品傾向やら参加具合などを振り返れていればオーケーオーケー！　はっはっは！（笑ってごまかす）。

    　次回はきちんと日曜日には投稿しますので、お待ちいただければ幸いです。
    　ありがとうございました！

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2020年02月09日 20時35分04秒
 作者レス
  • 　お久しぶりです、燕小太郎です。

    　正式に運営様から許可をいただくことができましたので、予定通り『燕小太郎を振り返る』をやっていこうと思います。
    　当初は作品と企画名を挙げながら、簡単に振り返る形にしようと予定していましたが、書いてみると結構長くなりましたので、6～8回くらいに分けて、その分掘り下げながら書いていこうと思います。スケジュールとしては2月から3月にかけてやって、最後まで見終わったらGW企画まであと一月、よしそろそろ本腰入れてやろうか、みたいな流れになってくれたらいいなと考えている次第です。

    　自分が最初に参加した企画は2009年冬企画ですが、以降皆勤賞だったわけではありません。なので、振り返れない企画も多々出てきますが、ご了承願います。

    　また重ね重ねにはなりますが、この試みはただただ気持ち悪い自分語りとなります。用法・容量を守り、気分が悪くなった場合には直ちに使用をやめていただきますよう、よろしくお願いいたします。

    　それでは、始めて行きます。




    　燕小太郎を振り返る①　～ＦＩＲＳＴ　ＳＴＥＰ～

    　小説を書こう、どこかネットで投稿できるところはないだろうかと検索して、行き着いたのがライトノベル研究所でした。掌編の間でいくつかの作品を投稿し、感想を書かせていただいた後、挑戦したのが2009年冬企画『王道冬将軍』。

    　2009年冬企画『王道冬将軍』
    　作品名　『新しき魔王』
    　総合順位　53位（全75作品中）
    　平均点　12点
    　
    　もう十年以上昔の話になることに若干の驚愕を覚えます（汗）。
    　ずいぶん昔のことなので、企画のときの記憶というのはもうほとんど残っていないですねえ。三大企画運営跡地を覗いても、それらしい記憶が戻ってきません。
    　ただ、初めて企画に参加した作品なので、自分の作品については覚えています。

    　はっきり言って黒歴史です（笑）。

    　順位が悪いとか点数が低いという以前に、小説の面白さ、面白い小説を書くということをはき違えていました。叙述トリックとか、巧妙な伏線とか、とにかく『驚かせてやろう』とか、『どうだすごいだろう！？』みたいな作者の心理が透けて見える。今作に限った話ではなく、当時の自分の作品は大体そんな感じでした。恥ずかしい限りです。
    　また、この頃は感想投稿もあまりしていなかったような覚えがあります。10個書いたか書かなかったか、というところでしょうか。
    　
    　燕小太郎とは関係ありませんが、当時は総合得点の出し方が今と違うんですよね。
    　今の計算式の時代から、各項目の順位の合計に変わり、いつしか元に戻ったという経緯があったと記憶しています。ちょうど一度目に変わったあたりから参加したのではなかったかと記憶しています。
    　小説を書くこと、企画へのスタンスも今とはだいぶ違いました。ここから十年が経ち、自分自身も、企画そのものも、ずいぶん変わったなと思います。

    　

    　2010年GW企画『ラ研学園祭』
    　作品名　『屋上少女』
    　総合順位　19位（全99作品中）
    　平均点　17.5点
    　投稿感想数　16個

    　総合順位、平均点そのものは上昇しているものの、相変わらず書いているときのスタンスは『どうだすごいだろう！？』でした。今作も、時系列を入れ替えて場面・ヒロインを誤認させる叙述トリックを使った作品で、これだけで「すげえ面白いだろ！」って思っていたんじゃないかと思います。まったく思い上がりも甚だしい。自分で自分が恥ずかしくなります。
    　当時から読みやすい文章はそれなりに書けたので、点数は大きく伸びない代わりに悪くも付けられない、という感じだったような気がします。
    　そして思い返して思うのが、当時のほかの作品についてほとんど思い出せないということ。ずいぶん昔のことというのはあるでしょうが、感想自体あまり書いていませんでしたし、あまりほかの作品に興味を持っていなかったのかもしれません。
    　失礼な話ですよ、まったく（←自分のこと）。
    　この企画で思い出せるのは、テーマとは別にお題が用意され、その中の『ラーメン丼』が割と無茶ぶりだった記憶がかすかに残っています。ほかにもお題は用意されていたので、無理に使う必要はなかったのですが、あえて挑戦した作品も多くあったように覚えています。やらなくてもいいと言われると、ついやりたくなってしまうのは人の性ですね。

    　あと、このころの企画って運営だったか有志の方だったか定かではありませんが、優勝作品をイラスト化してくれたような記憶があります。めちゃめちゃ羨ましかったですね。優勝を目指すにあたって、イラスト化も大きなモチベーションになっていました。



    　そして、かれこれ十年来のラ研、企画の中で、転機の一つとなったのがこの回です。

    　2010年夏企画（お題のみでテーマなし）

    　作品名『ネコミミエックスの献身？』
    　総合順位　1位（全112作品中）
    　平均点　25点
    　感想投稿数　22個

    　初めての企画優勝がこの回でした。ただ平均点・総合得点ともに上がいて、ほんのわずかな感想数と平均点の差が結果につながったような僅差でした。現在からは考えられない作品数によって感想全体が分散したことも、それなりに影響したのかもしれません。
    　今作『ネコミミエックスの献身？』ですが、実は小説へのスタンス自体はこれまでとあまり変わっていません。ただ、一つだけ違うことがありました。
    　初めてキャラクターから物語を構想したことです。
    　これまでは驚くような小説の技法を使えば面白くなるんだろうという浅はかな思い込みがありましたが、この作品はとにかくキャラクターを動かしていくことで作った物語でした。
    　ネコミミフードで素顔を隠した少女が、主人公にとある少女への告白をさせるというストーリーで、本筋そのものは珍しいものではありません。今作のオリジナリティといえば、下ネタもがっつり行けるネコミミ少女くらいなものでしょう。当時好きだったゲームのキャラクターがとても魅力的で、こんな感じのキャラクターを書いてみたい、というイメージだったと思います。
    　キャラクターが良ければ、ストーリーもよくなる。結果、物語そのものが面白くなる。わかっていたわけではありませんでしたが、偶然にもその形で書けたのが今作でした。
    　一方で、ボケツッコミに頼る形式や、下ネタパロネタ過多といった人を選ぶ部分があり、今振り返ればバランスの悪さも感じる作品です。　
    　優勝作品ですし、現在も高得点掲載所に掲載されているのでひょっとしたらご存じの方もいらっしゃるかもしれませんね。

    　そしてこの作品は、なんとイラスト化していただきました！
    　ただ昔の話なので、描いてくれた方の名前がうろ覚え……絵師様本当に申し訳ありません。
    　ただ、今でも携帯の待ち受けにしているくらい、尋常じゃないほどうれしかったです。本当にありがとうございました。



    　第一回はここまでとなります。
    　初参加から、目標としていた企画優勝を果たすまでの振り返りとなりました。次回は、企画への参加が飛び飛びになっていった頃の振り返りをしていく予定です。
    　三大企画運営跡地は今でも残っていますので、当時参加した方々は、久しぶりに覗いてみてはいかがでしょうか。　

    　では、また次回お会いできれば幸いです。ここまで読んでいただきまして、ありがとうございました。


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Re: 2020年02月10日 21時21分25秒
  • 　『燕小太郎を振り返る①　～ＦＩＲＳＴ　ＳＴＥＰ～』読みました。


    ＞2009年冬企画『王道冬将軍』
    ＞作品名　『新しき魔王』
    ＞総合順位　53位（全75作品中）
    ＞平均点　12点
    　
    　↑これ見て「おお、燕小太郎さんにもそんな時代が……」と思ってたら、次の企画で99作中19位、さらにその次の企画で優勝とかｗ
    　やっぱり昔から凄かったんですねー。

    　2009年ころとなると、私もすでにラ研で活動はしていましたが、短編の間で彷徨っていて、企画の参加などはまったく考えていなかった時期です。
    　「三大企画運営部門・跡地」を見てきましたが、懐かしい名前が多かったですね。
    　後にプロデビューを果たす、デルフィンさん、中行くんさん、。。。さん、AQUAさんといったビックネームの名前も……。プロデビューをラ研に報告していない人もいるでしょうから、実際にはもっと多くの「後のプロ」がいるかもしれないですね。
    　今でも見かける方もいれば、もう見かけなくなった実力者の方々も多く、豪華メンバーだと感じました。ラ研に活気があった時代で、参加数も多いですしね。

    　『ネコミミエックスの献身？』は高得点掲載所にあることは知っていたのですが、読んでいなかったのでこの機会に読んでみました。
    　パロネタを多用しているなど、今の燕小太郎さんの印象と異なる部分もあり新鮮でしたが、魅力的なキャラクターやエンタメのツボを押さえたストーリー展開など、燕小太郎さんらしさも既に感じられる作品だったと思います。「エンディングテーマ」にはちょっと面食らいましたがｗ


    　それでは、次回も楽しみにしています。

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Re:Re: 2020年02月13日 21時14分45秒
  • 　いりえミトさん、返信ありがとうございます。

    　自分で言うのもなんですが、すごく順調なステップアップをしていたんだなと思います。最初は上手くいかずも、二回目にジャンプアップ、三度目で優勝。トントン拍子過ぎて怖いくらいです（汗）。実力があったというよりも、とにかくいろんなものがタイミングよくハマったというのが当人の印象ですね。実際しばらく優勝争いは遠くなりましたし。
    　
    　企画運営跡地は、振り返りのために何度か訪れたのですが、本当に懐かしい名前がいっぱいありました。今は見なくなってしまった人から今もいる人まで、ラ研の、あるいは企画の歴史を感じます。というか、ラ研からプロデビューした人ってそんなにいるんだ、すげーな……。
    　参加数は今よりもずっと多かった時代で、2010年夏企画が一つのピークだったように思います。次の企画が長編だったこともあり投稿作品数が減少、以後だんだんと少なくなっていきます。そして大夏祭りでドエライことになるのですが、それも後々振り返っていこうと思っています。

    　そして『ネコミミエックスの献身？』ですが、高得点のほうに当時いただいた感想も残っているんですね。かなり勢いで書いた作品というイメージだったのですが、感想を見ると各項目で減点の少ないものを書けていたのかなと思います。まあエンディングテーマは賛否あったのは覚えていますが（笑）。なんであんなことしたんだろう、思いついたらやっちゃえっていう精神だったのかな。面白い面白くない以前に恥ずかしい（笑）。
    　あと、当時あまり書いてなかったコメディにチャレンジしたのもこれが初めてだったのかなと思います。少なくとも企画では初めてですね。

    　今週末は少々私用で忙しくなるため、第二回の投稿がひょっとすると月曜にずれこむ可能性がありますが、なんとか継続していきますので、これからもよろしくお願いします。

    　改めて、返信ありがとうございました！

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2020年02月02日 16時23分11秒
 作者レス
  • 　データで振り返る『終わりと始まり企画』

    　世界の長距離界はナイキ社の厚底革命の影響もあってか、マラソン世界記録の更新から各駅伝大会の区間新記録など、大きな飛躍の時代を迎え、ついに世界陸連が規制に動く事態となりました。ヴェイパーフライネクストパーセントはどうにか東京五輪には認められるようで、陸上ファンとしてほっとしたところです。
    　そんな陸上長距離界にも重なって見えるほど、『終わりと始まり企画』は高レベルの争いとなりました。多くの人がそう感じたことでしょう。

    　では、どれくらい高レベルになったのか？
    　過去の企画と比べてみました。

    　今回比較対象としたのは、2019年夏企画～2018年GW企画までの五回。
    　これらのうち、①優勝作品の平均点　②王冠マークがつく条件である平均25点以上の作品数　③平均20点以上の作品数　を数え、比べてみることにします。

    　2019年冬企画
    　優勝作品平均点　33点
    　平均点25点以上　7作
    　平均点20点以上　12作

    　2019年夏企画
    　優勝作品平均点　27点
    　平均点25点以上　2作
    　平均点20点以上　5作

    　2019年GW企画
    　優勝作品平均点　29点（平均点1位作品の平均点は30点）
    　平均点25点以上　3作
    　平均点20点以上　5作

    　2018年冬企画
    　優勝作品平均点　28点
    　平均点25点以上　3作
    　平均点20点以上　10作

    　2018年夏企画
    　優勝作品平均点　29点
    　平均点25点以上　1作
    　平均点20点以上　5作

    　2018年GW企画
    　優勝作品平均点　28点
    　平均点25点以上　2作
    　平均点20点以上　5作



    ＊点数がすべてではありませんが、今回はデータから見た企画の振り返りとして取り上げています。ご了承願います。

    　これらを比べて思うのは、まず今回の企画のレベルの高さでしょう。
    　基本的に優勝作品は平均25点を超えていますし、これは2017年以前の企画を見ても同様でした。つまり優勝を争うためには平均25点が一つの目安になるわけですが、このラインを超えた作品が計7作と過去企画と比べほぼ倍増しているのがわかります。
    　優勝作品が7作並んでいたと表現すれば、今回の企画のレベルの高さをわかりやすく伝えることができるのではないかと思います。

    　また、これら上位作品に次ぐ平均20点以上の作品数も過去最多。惜しくも1点届かなった19点まで含めるとさらにぐっと増え、全体的にレベルが上がっていたことがわかります。

    　また、優勝作品の平均点も過去最高ですね。ここまでくるとただ面白いだけではなく、強いオリジナリティとほとんどミスのない高い完成度が求められますが、見事に応えた素晴らしい作品でした。

    　ただ、ちょっと気になるデータもあるので載せておきます。

    　2019年冬企画
    　投稿作品数　23
    　総感想数　246
    　一作あたりの感想数　約10．7

    　2019年夏企画
    　投稿作品数　26
    　総感想数　257
    　一作あたりの感想数　9.9

    　2019年GW企画
    　投稿作品数　20
    　総感想数　155
    　一作あたりの感想数7.8

    　2018年冬企画
    　投稿作品数　29
    　総感想数　328
    　一作あたりの感想数11.3

    　2018年夏企画
    　投稿作品数　25
    　総感想数　253
    　一作あたりの感想数10．1

    　2018年GW 企画
    　投稿作品数　25
    　総感想数　343
    　一作あたりの感想数　13.7

    ＊感想数は感想期間中に投稿され、結果発表に掲載されたものだけを計測しています。また結果発表をもとに集計しましたが、見落とし等のミスがあるかもしれません。あらかじめご了承願います。

    　作品数・感想数から、一作あたりについた平均感想数を計算したものです。これを見ると、わずかですが全体的に減少傾向が見られます。これ以前の企画と比べるともう少し顕著に減少傾向にあります。
    　
    　一作あたりの感想数は、個人的には平均で12個程度の感想が集まる企画になることを望んでいます。理由としては、王冠マークの条件が『総合300点以上、平均25点以上』であり、これを満たすためにはおおよそ12個ほどの感想が必要だからです。もちろん感想数を補うだけの平均点がとれれば王冠はつきますが、感想一つ分届かず王冠がつかないのは寂しいですし、王冠マークを目標、あるいは自信にされている作者様もいるでしょう。
    　もちろん作品数も、できるなら個人賞を三作選ぶことができる30作品以上ある中で、平均で12個以上の感想がつく。そのくらい、いえ、今後それ以上に盛り上がる企画になっていくことを心から祈るとともに、一参加者としてできる限りのことをしていきたいなと思っています。

    　長くなってしまいましたが、以上で『データで振り返る終わりと始まり企画』を終わりたいと思います。
    　ちなみにですが、以前過去のデータを収集し、企画ごとの感想投稿数を感想投稿者ごとにエクセルでまとめたことがあり、今回の企画分を追加して利用しました。
    　なので、2016年夏の『鼻血企画』から『終わりと始まり企画』までの最多感想投稿者なんかもわかります。1位はなんとあの人で、2位はやはりあの人でした。さて誰でしょう？

    　以下雑談となりますが、今後は以前宣言した通り『燕小太郎を振り返る』をやっていきたいと思っています。
    　ただ、がっつりやると結構長くなりそうです。どうせ書くなら読んでほしいし、それならいっぺんにやるより次回企画後にもまたいで行うのもありかもしれないと思い始めています。
    　というか、そもそも企画と関係ないことを企画の場を使ってやっていいのかな？　という今更な疑問も出てきました。感想新着欄を一つ流してしまうことにもなりますし、運営に一度お伺いを立てたほうがいいかもしれないと悩んでいるところです。
    　でもまあ、怒られない限りはひとまず一つ、来週中に投稿したいなと思っています。


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Re: 2020年02月05日 19時44分44秒
  • 燕小太郎さま


    　返信が遅くなって、申し訳ありませんでした。

    　まず、疑問に思われている『燕小太郎を振り返る』を作者コメントに投稿してよいかに対する回答ですが、このまま作者コメントをご利用いただいて問題ありません。

    　今回の冬企画も後夜祭の特別賞の発表が終わり、次回ＧＷ企画が始まるまで、イベントはほぼありません。
    　モチベーションを高める・保つ、(いい意味で)煽る、ような書き込みは大歓迎です。

    　ミチル企画は、参加者各位の善意を前提にして運営しています。
    　よほどの悪意ある書き込みや、不正行為、ルール違反がない限り、作者コメント、作者レス、感想はどうぞご自由にご利用ください。

    　本来なら企画全体に対する所感や考察を述べる場は、従来どおり「後夜祭スレッド」や「交流広場」として設けるべきところでありましたが、今回は提供する機会を逸してしまい、ご不便をおかけして申し訳ありませんでした。
    　運営の落ち度であったと一同反省しています。
    　次回以降は、交流する場を設けますので、そちらをご利用いただきますようお願いします。

    　現在、こちらの書き込みで行われています交流は、執筆活動を続けていく上での活力になり、また上位作品の分析は大変有意義であると思います。
    　他の方々にもぜひ見ていただきたいと思い、勝手ながらツイッターでご紹介させていただきました。
    　事後で申し訳ありませんが、差し支えなければ、ＳＮＳ等で運営から宣伝させていただきたいのですがよろしいでしょうか。

    　以上、簡単ではありますが運営からの返信とさせていただきます。
    　他に運営に対するご質問、ご意見、ご提案などありましたら、メールやツイッターなどで気軽にお声かけください。
    　今後もミチル企画をよろしくお願いします。

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Re:Re: 2020年02月06日 19時24分19秒
  • 　運営様、まさかコメントを頂けるとは思っていませんでした。ありがとうございます。
    　本来なら掲示板なりメールなりでお伺いを立てるべきだったのですが、まあダメだったら叱られたときにやめればいいかなと、社会人にあるまじき考え方をしておりました。なので、感想新着欄に企画運営の名前を見たときは『ヤバい、ガチで怒られる』と肝を冷やしました（笑）。
    　わざわざ作品の方へ返信をいただき、まことにありがとうございました。また、本来ならこちらから許可を得るためにすべきだった報告を怠ったこと、お詫び申し上げます。

    　自分は（特にネット上では）人見知りなので、交流スレッドや広場があったとしても、参加したかはちょっとわかりません。今回は自作があったので、そこでいろいろやってみようと思った次第ですし、実際あったころの利用状況を考えると、作らなかった判断が間違っているとは思いませんでした。
    　
    ＞今回の冬企画も後夜祭の特別賞の発表が終わり、次回ＧＷ企画が始まるまで、イベントはほぼありません。
    ＞モチベーションを高める・保つ、(いい意味で)煽る、ような書き込みは大歓迎です。
    　一つの企画が終わり、しばらくしてからふと「あれ、そういえば次の企画ってそろそろだっけ？」と検索して思った以上に間近に迫っていた（あるいはすでに始まっていた）という経験は、企画に参加した回数が多い方ほどあると思います。自分もそうです。
    　そこで、次の企画まで定期的に更新されるブログやコラムみたいなのがあるといいな、と思っていました。企画の間のちょっとした繋ぎができて、作品を書くほどの労力を必要とせず、週末のちょっと空いた時間に検索して流し読むくらいの更新頻度と読み物があれば、この投稿室を覗いてくれるのではないか、と。次の企画まで、企画のことを忘れずに準備してくれるのではないか、と。

    　自分の書き物がどれほど効果があるかはわかりませんが、まあないよりはマシなのではないかと祈っています。
    　内容が自分語りなので、いっそ逆効果にならないかという不安はありますが……。

    　改めまして、『燕小太郎を振り返る』の許可をいただきましたこと、感謝申し上げます。
    　ありがとうございました。

    E-Mail pass
Re: 2020年02月02日 21時37分04秒
  • 　お疲れ様です。
    　私も企画の結果をエクセルにまとめているんですが、今回は本当に空前のハイレベルでしたよねー。
    　一年前の冬企画も超ハイレベルだと思っていたんですが、今回はそれを超えたと思います。
    　他にレベルが高かった企画というと、だいぶ昔の話になりますが、2015年のバレンタイン企画を思い出しますね。
    　あの時は王冠作品5つ、燕小太郎さんの『バレンタインに間に合いませんでした！』にも後夜祭で王冠がついて、最終的に6つになりました。

    ＞王冠マークを目標、あるいは自信にされている作者様もいるでしょう。

    　このシステム自体はラ研の特徴ですし、素晴らしいものだと思うんですけど、『高得点入り』という制度は事実上消滅してしまっているのは悲しいですね。
    　それと同時に、利用者の数が減り続けていることも……。
    　まあ、自分の作品を好きなだけ保存できる投稿サイトが多数登場したので、仕方がない部分はあると思いますが。
    　私個人としては、匿名企画のシステムが性に合っているので、ミチル企画一本で頑張っていきたいと思っています。

    ＞1位はなんとあの人で、2位はやはりあの人でした。さて誰でしょう？

    　感想人記録を見て推測してみました。正確な集計までは面倒なのでしていませんが。
    　ミチル企画で感想制覇の常連といえば、燕小太郎さん、ハイさん、たかセカンドさん、そして私いりえミトの4人。
    　この中で、すべての企画に感想を書いている人はいなくて、燕小太郎さんは1回不参加、私は2回不参加、ハイさんは3回不参加、たかセカンドさんは昨年の冬企画以来お見掛けしなていないこともあり4回不参加。
    　ということで、1位は燕小太郎さん、2位はいりえミトですね。

    ＞今後は以前宣言した通り『燕小太郎を振り返る』をやっていきたいと思っています。

    　期待してます。
    　後夜祭で何を書き込もうとも利用者の自由だと思いますし、感想新着一覧についても、もうだいぶ動きが鈍っていることもあり、気にしなくていいんじゃないでしょうか。
    　まあ私は運営の人間ではないので、なんとも言えませんが。


    　ではでは。

    E-Mail pass
Re:Re: 2020年02月06日 19時19分19秒
  • 　いりえミトさん、返信ありがとうございます。

    　いりえさんも企画の結果をまとめているとのこと、なんというか、とても「らしいな」という感じがしました。いりえさんの企画に対する熱意や、作品からも伝わってくる生真面目さを感じます。
    　前回の冬企画、自分は作品では不参加でしたので、今回は参加できてよかったです。

    『バレンタインに間に合いませんでした！』は作品自体はよく覚えています。あれは天啓でしたね。誰かが自分にアレを書けとささやいていました。そして投稿は遅刻しろともｗ
    　詳しくは、予定している『燕小太郎を振り返る』でいろいろと書いていこうと思います。というか、企画のデータは残ってないので覚えていないのですが、あれ王冠ついたんでしたっけ……運営からマイナス30くらったはずなんだけどなあ、たしか……。
    　
    　王冠マークは、自分が目標にしているというのが一番大きいんですけどね。
    　企画は勝負の場でもあるわけなのでこういうスタンスはどうかなと思う部分もありますが、自分はあまり勝負や順位へのこだわりってないんですよね。平均25、総合300点超えが自分の目標で、結果として勝てば嬉しいですし、負けたとしてもそれは、より優れた作品があったというだけなので。
    　むしろ、感想制覇をして自分が一番面白いと思った作品、推したいと思った作品が上位に来る方が達成感を覚えます。今回なら『バビロンとトラフグの一騎打ち』と予想していたので、予想通りこの二作が総合で一位と三位に来たのはうれしかったですね。
    　まさか自分がその間に割り込むとは思ってませんでしたが。
    　ちなみに、昔は結構ガチガチに順位にこだわってました。勝負にこだわらなくなった時期や理由も、『振り返る』で書けたらなと思っています。

    　感想数ランキングについては、『ひみつ♪』ということで一つお願いいたします。多分そうだろうとはわかっていても、ひょっとしたら違うかもしれない。このように、確定させないのも粋なのではないかと思いますので。
    　もちろん、過去企画は残ってますので調べればわかることなのですが、あえて自分は公言しないことにしております。

    『燕小太郎を振り返る』に関しては、予定通り順番に上げていきたいと思います。
    　運営様からも正式に許可が出ましたので（ちゃんと出ると思わなかったのですごくびっくりしましたｗ）、アクシデントがない限りは有言実行します。

    　では、おそらく第一弾が日曜日になるかと思いますが、それまでお待ちくださいますようお願いします。
    　改めて、コメントありがとうございました！

    E-Mail pass
2020年01月25日 11時54分34秒
 作者レス
  • 　テーマで振り返る『終わりと始まり企画』

    　待っていてくださった皆様、お待たせいたしました。
    　遅くなりましたが、予告していたように今回の企画の振り返りをしていきたいと思います。
    　あくまで燕小太郎個人による印象や考察の話ですので、見当違い甚だしい落書き同然の
    　代物になっている可能性も大いにあります。
    　ですので、次の企画が始まるまでのちょっとした読み物一つ、程度に思っていただければ幸いです。

    　今回の『終わりと始まり企画』をすべて読んで感じたのは、まず『暗い作品が多いな』というものでした。同じように感じた人は、おそらく一定数いるのではないかと思います。

    　コメディかシリアスか、という単純な話ではなく、描かれている内容がとてもハードなものが多かった。
    　印象的なものは、例えば強者が弱者を一方的に攻撃する暴力。いじめや性的暴行などを取り扱った作品が、普段の企画と比べてやや多かったように思いました。小説においてこれらの要素を否定するつもりはありませんが、『終わり』というテーマに引っ張られて暗い要素を扱った物語が増えたのではないかと推察します。

    　他に、世界の終わり。何らかの理由で世界が滅びてしまう、あるいは滅びた後を描く作品も多くありました。世界終焉は、そのまま次の世界の始まりへと続いていきますから、今回のテーマとはピタリと重なるのでしょう。とてもこの企画らしい消化方法だったのではないかと思います。

    　続いて、死。誕生と死は表裏一体で、こちらも『終わりと始まり』とマッチしやすい要素だと思います。ただ単に死といっても、死の瞬間から転生、死後の世界と生かし方は作品それぞれ。ここからどのようにでも生かせるので、作者の腕が問われる使い方になるのではないかと思います。

    　終わりというテーマから、こうした要素を取り入れた作品が多かったため、やや暗いイメージを抱いたのではないかと思います。
    　
    　だからといって全部が全部暗かったのかといえば、そんなことは決してなく、『終わりと始まり』を明るい方向に生かした作品も多かった。アニメオタクであることを隠す生徒会長を軸に描かれる青春や、不思議な赤青えんぴつが彩る恋物語。世紀末なコンビニで巻き起こるシュールギャグには暴力流血もありましたが、不思議と暗いというイメージとは少し違うように感じました。
    　
    　テーマの調理方法は作者によってさまざまに分かれる。その違いを楽しむのが企画の醍醐味です。

    　さて、ここから少し突っ込んだ話を。
    　今回の総合結果を眺めていて、上位三作品のある共通点について考えてみました。
    　起承転結の構成を当てはめていくと、『結』の部分に着目している作品が上位に並んでいるのではないか、という推察です。
    　
    　肉球様が総合優勝を飾った『歳末のバビロン』では、秘密結社バベルの崩壊後から始まっている。つまり『終わった後』です。起承転結の構成で考えれば、『結』が終わった後、新たな物語の『起』が始まるまで。まさしく『終わりと始まり』の物語ではないでしょうか。
    　拙作『ラスト・クリスマス・コンサート』は、二人の少女の卒業前、最後のコンサートとそこに向けた準備がメインに描かれ、それ以前の学校生活や大会の描写はプロローグのみで、ほとんどない。起承転結の構成でいえば、『結』に特化した構成になっています。
    　いさお様の『トラフグの思し召し』では、任侠編と異世界編、それぞれを深く掘り下げて描いている。これは二部構成という解釈ができ、任侠編を終わりの物語、異世界編が始まりの物語といえます。すなわち、終わりの物語と始まりの物語の二部構成でした。

    　あらかじめ書いておくと、構成面から『終わりと始まり』というテーマを解釈できるから、三作が上位に並んだというわけでは断じてないと考えています。平均点・感想数ともに抜きんでていた『バビロン』のトップはともかく、二位以下から平均25点を超えた七位までは感想一つでどうとでも動いた僅差だと思います。

    　ただし、構成面からのアプローチは『有り』だと思っていました。終わりから始まりへと続く物語、例えば桃太郎であれば、鬼を倒した後の桃太郎たちはどうなったのか。ガラスの靴が結んだシンデレラの身分違いの結婚生活はどんなものか。当たり前にある物語の、その後を描くのは、意外と物珍しくて面白いのではないかと思っていました。
    　上限100枚というやや短い枚数制限の中で、起承転結の一部分に特化し、短い分深く掘り下げた物語は、物語そのものにオリジナリティが出るのかもしれません。
    　
    　ともあれ、前述したようにテーマの解釈は作者それぞれ。すでに開催が決定しているというGW企画のテーマ『ナンバー2』からどのような作品が生まれるのか。
    　今からとても楽しみにしております。
    　
    　次回は、データから見る『終わりと始まり企画』を考えてみたいと思います。
    　優勝作品だけでなく上位の点数も高かった今回の企画、では今までとどのくらい違うのか、実際に比較して調べてみたいと思っています。

    E-Mail pass
Re: 2020年01月26日 08時24分53秒
  • ふと思ったのですが、「終わりと始まりの物語を作る」ということはエンタメ・ストーリーを面白くする基本の一つなんじゃないでしょうか？

    今回の企画中、お題を具体的にはどう消化しているのかはっきりしない作品もあったような気がします。しかしそういう作品でも、主人公たちがラストで一筋でもいいから希望の兆しのようなものを見出していれば、「終わりと始まり」っぽい雰囲気は表現されるんじゃないかと感じました。
    ……お題消化があいまいなのはダメという話をしているわけではなく、「今日ですべてが終わるさ〜今日ですべてが始まるさ」というフレーズがサビになっている名曲もありましたが、そういう余韻を残すのがわりとエンタメのコツなんじゃないかなと。

    前の書き込みで「下げて上げる」ということを仰っていましたが、それはまったくその通りで。そしてそれはストーリーにメリハリをつけるという意味でもありますが、それだけではなく主人公が出口の見えない袋小路のような状況に陥り、突破する何かを発見するという感じがグッとくるんですね。

    そういう意味で「ラスト・クリスマス・コンサート」は。
    あ、批判する意味ではないのですが、足りないものはあるとは思います。コンサートが二人の人生の一区切りという意味での「終わり」にはなっていましたが、少なくとも「出口の見えない袋小路」的な状況は片鱗もありませんでした。ヒビキとウタが最初から自立しすぎているんです。

    ただ、それでも本作が良かったのは、逆にヒビキとウタの自立っぷりを直球で表現していたのが心地よかったんです。
    コンサートのすべてが、ヒビキの長所と彼女がやりたいこと、ウタの長所と彼女がやりたいことを描くものになっていました。そこが素直に魅力的だったし、読み終えて納得できるものになっていたのが良かったと思います。
    いえね、ぶっちゃけ作者だけが自分のキャラに依怙贔屓して「この子たち凄いでしょ？」というのなら誰にでもできるんですが、そこを納得させるってそうそうできることじゃないと思うんですよ。

    今回の企画はレベルの高い作品が集まっていて正直驚いています。「かぐわしい嘘と甘い毒薬」とか良かったと思うのですが、難易度の高い構想に挑戦しすぎて後半がちょっとまとめ切れていないという感じでした。失敗作ぎみですが、失敗と言っても次元の違う失敗でむしろうらやましいくらいです（笑
    あと「これは、ラノベとしてはちょっと……」という点だけが問題の異色作がいくつかありました。
    企画が終了した今になっても「この作品はここが良かったね、でも、ここはちょっとどうなのかな？」と話してみたくなる作品が片手に余るほどありました。まあ、作者さんにとっては煩くて迷惑かもしれませんが、アマチュアの作品を読んでそんな気持ちになることはそんなにないので。

    E-Mail pass
Re:Re: 2020年02月01日 07時12分00秒
  • 　あまくささん、返信ありがとうございます。

    　希望をの兆しを見出して終わることが終わりと始まりっぽい雰囲気を作る、という点に関して、その通りだと思います。そして終わりと始まりの物語がエンタメ・ストーリーを面白くという点も同意見です。
    　そもそも終わりと始まりというテーマは、『終わり』には暗いイメージがあり、『始まり』には良いイメージがされやすい。そのため、シンプルに解釈すると最悪の状況からの改善が全体の構成としてできるのではないかと思います。
    　つまり低いところから上がるストーリーになり、気持ちの良い終わり方ができる。間に一つ波を挟むことで上げ下げも作れますから、こういう解釈をすればまさに基本通りのストーリーといえるのではないかと思います。

    　また、『始まり』の終わり方は、エピローグの解釈なのかなと思います。勇者が魔王を倒して旅を終えても、すぐに終わることはあまりないでしょう。凱旋から仲間との別れ、勇者たちのその後を軽く描いて終わることが多く、それは新たな『始まり』となる。単純な起承転結の構成から考えたとき、エピローグと、あるいはプロローグも、起承転結から外れたエンタメの基本要素なのかなと思います。
    　それにしても、『余韻を残す』という考え方はとても好きになりました。完全に閉じてしまうより、少し響きを残すことでその後を想像させながら幕を下ろす。良いなと思います。

    　そして、今回の企画はレベルの高い作品が多くありました。
    　次回の振り返りテーマは点数や色々な数からみた『データで振り返る終わりと始まり企画』を予定しております。実際に比較してみるとより今回のレベルの高さが浮き彫りになりますので、もし時間があればお読みいただければ幸いです。

    E-Mail pass
2020年01月19日 21時04分59秒
 作者レス
  • 　特別賞への感謝と今後の予定について

    　先日、とうとうサポートの切れたWindows7から10に買い替え、起動速度に違いに愕然としている燕小太郎です。
    　特別賞も発表され、終わりと始まり企画も一区切りついたところで、諸々の挨拶をこの機にしておきたいと思います。

    　まずは肉球賞に拙作を選んでくださいました肉球様、真にありがとうございました。素晴らしい作品を書かれたチャンピオンから作品賞をいただけるというのは、とても自信になりました。
    　また、肉球様並びにあまくさ様には、オススメ掲示板に挙げていただきましたことも、合わせて御礼申し上げます。驚きのあまり画面を二度見したのは良き思い出です。ありがとうございました。

    　そして、燕小太郎を感想人賞に選んでくださいました四名の方々、ありがとうございました。感想もまた作品の一つ、くらいの覚悟で書いていますので、感想人賞はとても励みになります。少しでも参考になる部分があれば幸いです。

    　キャラクター賞に叶井ヒビキ、青空ウタを挙げてくださいました皆様、ありがとうございました。キャラクターには一定の自信を持ってはいましたが、お褒めの言葉をいただき、こうして実際にキャラクター賞として挙げていただくと、まるで我が子のことのようにうれしく思います。

    　燕小太郎賞には、いさお様の『トラフグの思し召し』といりえミト様の『無限ループ』を選ばせていただきました。どちらも高い完成度と、確かなオリジナリティを両立した作品と思いました。

    　次に、以前書いた余計なことの予定について、簡単にお知らせしておこうと思います。

    〇『終わりと始まり企画を振り返って　Aパート』　～1月26日（日）
    〇『終わりと始まり企画を振り返って　Bパート』　～2月2日（日）
    〇『燕小太郎を振り返る』　～2月9日（日）
    　
    『企画を振り返って』については、2パートに分けて書こうかと思っています。まだどのような切り口でいくかは思案中ですが、とりあえず提示した期間中には挙げていくつもりでいます。
    『燕小太郎を振り返る』については、主に参加した古い企画からいろいろ思いだしていければと思います。こちらもボリュームが増えそうならば、いくつかに分けて書くことになると思います。

    　特別賞が発表され、作者レスも多くの作品についた頃合いになりました。企画から離れ、別作品の執筆へと移られる方も多いでしょうが、もし時間があったときに、ちょっとした読み物として目を通していただければ幸いです。

    　それでは最後に、『終わりと始まり』企画に参加されたすべての方々に、御礼申し上げます。ありがとうございました。

    E-Mail pass
2020年01月14日 22時39分33秒
 +20点
  • 拝読いたしました。兵藤です。

    悪くない。悪くない話なんですね。
    文章にも充実感がありますし、心理描写がたいへん丁寧です。
    ただ、それでいて登場人物には全く共感できないのです。
    みなさんが評価している話を少しも面白いと感じられない辺りに、私の限界があるのでしょうが。

    なぜ共感できないかといえば、それは登場人物に全く「闇」の部分がないからでしょう。
    別に、「みんないいひと」でも構いません。
    ですが、「これさえなかったら」はどこかに必要ではないかと思うのです。
    それがどこにも見当たらず、何もかもがうまく行くというのはどうもドラマチックではありません。
    詩的ではありますが。

    さらに、作品中に起こる様々な出来事は、余りにも都合が良すぎて唐突です。
    詩的なら詩的でいいのですが、それには物語を動かすもっと大きな力、あるいは人間の心の奥底に潜む根源的なものが必要ではないでしょうか。
    あらゆる出来事が、何の前触れもなく起こって事件を動かしてしまう。
    ご都合主義で笑いを取ったり、敢えて破綻した世界観を描くならそれでいいのですが……。

    字数の割に、なんだか物足りない。短編で充分に味わえるものを、10倍希釈されたみたいな気がします。

    ともあれ、爽やかな作品をありがとうございました。

    E-Mail pass
Re: 2020年01月16日 19時07分53秒
  • 　兵藤晴佳さん、感想ありがとうございます！

    ＞悪くない。悪くない話なんですね。
    ＞文章にも充実感がありますし、心理描写がたいへん丁寧です。
    ○ありがとうございます。とりあえず最低限のことはできていたのかなと思います。

    ＞ただ、それでいて登場人物には全く共感できないのです。
    ＞みなさんが評価している話を少しも面白いと感じられない辺りに、私の限界があるのでしょうが。
    ＞なぜ共感できないかといえば、それは登場人物に全く「闇」の部分がないからでしょう。
    ＞別に、「みんないいひと」でも構いません。
    ＞ですが、「これさえなかったら」はどこかに必要ではないかと思うのです。
    ＞それがどこにも見当たらず、何もかもがうまく行くというのはどうもドラマチックではありません。
    ＞詩的ではありますが。
    ○ほほう、とても興味深いご指摘です。
    　特に『闇がない』『みんないいひと』というのは気になる部分ですね。確かにキャラクターは裏表を描くことで奥行きを作り、よりそのキャラクターにリアリティを与える、と考えています。そういう意味で言えば、確かにもう少しできたかもしれません。
    　例えば、ウタの才能にヒビキが嫉妬するようなシーンがあれば、そうした闇の部分も作れたのかもしれませんし、それは物語自体に綺麗なものを求めていた自分のイメージにはなかったものでした。
    　そういう方向からのアプローチは、充分考えられたと思います。参考にさせていただきます。

    ＞さらに、作品中に起こる様々な出来事は、余りにも都合が良すぎて唐突です。
    ＞詩的なら詩的でいいのですが、それには物語を動かすもっと大きな力、あるいは人間の心の奥底に潜む根源的なものが必要ではないでしょうか。
    ＞あらゆる出来事が、何の前触れもなく起こって事件を動かしてしまう。
    ＞ご都合主義で笑いを取ったり、敢えて破綻した世界観を描くならそれでいいのですが……。
    ○都合が良くて唐突、ですか。たしかに、言われてみればそういう解釈もできるように思います。そこまで深い物語を考えてはいませんでしたね。ヒビキとウタという二人のキャラクターを中心に、クリスマスコンサートを成功させる。究極的に言えばそれだけのお話ですから、もっと明るく爽やかなライトノベルというイメージでした。
    　物語の奥行、奥深さを考えるなら、もっと人間的な部分を掘り下げていくことが大事になっていくのだと思います。今後に向けて考えて行きます。

    　兵藤晴佳さんの『終わった世界で救世主を待ちながらゾンビやってみました』は、『ゴドーを待ちながら』という作品から来ているとのこと。名前だけは聞いたことがあり、言われてみるとああなるほど、と思いました。

    　感想、ありがとうございました！

    E-Mail pass
2020年01月14日 18時43分16秒
 作者レス
  • 　いまさらですが、あけましておめでとうございます、作者の燕小太郎です。
    　新年のあいさつをしていないことを思い出しましたので、遅くなりましたがあいさつしておきたいと思い、最初の一文はこういう形にさせていただきました。
    　前言通り、まずは拙作『ラスト・クリスマス・コンサート』について書いていきたいと思います。

    　最初は構想の経緯から。
    　いつも通り執筆はまったく進まず、書いては消し書いては消しを繰り返していたクリスマス前の土曜日。とある病院で、近隣の高校の合唱部と吹奏楽部が合同で行うクリスマスコンサートを実際に聞く機会を得ました。
    　その際、恥ずかしながら感動で泣いてしまいまして。いや演奏自体はあんまり上手くはなかったんですけど（←失礼）、その感動を是非、形にしたいと強く思いました。あの感動を物語にしようと決めると、キャラクターや設定がポンポンと湧きだし、どんどん書けるようになりました。
    　つくづく、モチベーションほど強力な才能はないと感じます。

    　さて気づかれた方もいるかと思いますが、今作の構想はこのクリスマスコンサートから始まっています。つまり、構想開始から投稿まで一週間ちょっとしかありませんでした。
    　まあ元々短期集中型（長続きしないだけ）なので、いつも通りといえばいつも通りなのですが。
    　おおよそのキャラクターが定まり書き始めましたが、確実に締切は迫ってくる。このプレッシャーが、今作最大の弱点を生むことになりました。
    　多くの方からもご指摘をいただくことになりました、この点。

    　今作には、クライマックスを盛り上げるための『下がる』場面がないのです。

    　自分はこれを『起転結』と考えていました。つまり、構成として一つ足りないのです。本来であれば、中盤から終盤にかけて困難が立ち塞がらなければならない。例えば校長から『校外活動の制限』を言い渡され、クリスマスコンサートの開催が危ぶまれてしまう。あるいは、コンサート直前に合唱部のメンバーの間に亀裂が入ってしまい、不穏な空気が漂う。多くの人が感じた、『ウタが死ぬのではないか』というのもいいでしょう。こうした困難を挟まず結末に進んだことで、物語が非常にスムーズになり、下がらなかった物語はクライマックスで上げきることが難しくなる。
    　これが、自分が今作に期待をできなかった理由、大きな弱点でした。

    　じゃあなんでそんな弱点を残したのかといえば、シンプルに時間がなかったから。正確にいえば、期間内に整合性を保ったまま完結させられる自信がなかったからでした。
    　つじつま合わせに奔走した挙句収拾がつかなくなったり、最悪の場合最後まで書き切れず未完になるくらいなら、とにかく完成させて参加だけは絶対しよう、と決めました。
    　自分が感想を書くときにもよく使うセオリーをきちんと踏めなかった、大きな失策でした。



    　キャラクターについては、割とすぐにできたような覚えがあります。
    　どちらかといえば吹奏楽の方に縁があるのですが、作品のイメージは天才的な一人の少女で出来上がっていたうえ、ある程度短くなる可能性を考えると人数が少なくて済む合唱部のみで構成した方が良いと判断。その上で、物語として中心に天才を置くことにしました。あまり長く書けないのであれば、抜きんでた能力を持つ天才と他、という組み分けの方が書きやすいからです。
    　そして天才というイメージから作られたのがヒビキでした。人にも自分にも厳しく、信念をまっすぐに貫く。何より、自分に対して圧倒的な自信を持つ。ピンと伸びた背中が印象的なイメージでした。
    　ただ、クリスマスコンサートは一人ではできない。仲間と力を合わせるならば、物語的にも相棒がいる。どんな相棒が良いのか。対比を考えれば凡人だけど周囲と力を合わせることに長けたキャラクターが良い。本来ならばそうでしたが、このときは違いました。
    　肩を並べて張り合える存在が良いと思いました。天才と並んでも臆することなく、ヒビキも認める歌声を持っている。同レベルの技術があるからこそ、考え方の違いがより際立つ。
    　ヒビキをクリスマスコンサートへ導く相棒ウタは、こうしてイメージされました。
    　ただ、キャラクターにそれなりの自信を持てたのは二人がいたからこそでしょう。友達ともライバルとも違う、認めているし尊敬しているけど、馴れ合うのとは少し違う。作者の中のなんとも言葉にし難い関係を、作中で描きたいと思っていました。
    　今もってどう表現していいかわからない二人の関係が、少しでも魅力的に伝わっていれば幸いです。

    　ちなみに、作者は合唱も音楽もド素人です。音楽描写はどこで素人がばれるか気が気じゃありませんでした（笑）。

    　では、拙作の総括はいったんここまでにしたいと思います。
    　次はお一方ずつへの返信レスをしていきますので、もう少々お待ちくださいますよう、よろしくお願いします。

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Re: 2020年01月15日 06時58分33秒
  • ああ、なるほど。『コンサートを転』としてみるとそこに至るまでの（承としての）下げがない、ってことなら確かにそうですね。

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Re:Re: 2020年01月18日 20時36分52秒
  • 　ハイさん、返信ありがとうございます。

    　自分のコメントについて説明しようかと思ったのですが、

    ＞ああ、なるほど。『コンサートを転』としてみるとそこに至るまでの（承としての）下げがない、ってことなら確かにそうですね。
    〇コメントの趣旨としては、おおよそそんな感じです。コンサートを盛り上げるために、コンサート以前に下げを置いて全体の構成として上げ下げができれば、というのが自分のコメントの趣旨となります。
    　他の方からいただいた感想の中にも、『特に大きな障害もなく普通にラストシーンまで行ってしまった』や『谷場が欲しい』といった指摘もいただいておりますし、自分が弱点とみていた部分を的確に見抜かれた方も多かったですね。
    　ハイさんの追加コメントにて、コンサートそのものについてはうまく書けたのではないかと自信を持つことができました。ありがとうございます。

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Re: 2020年01月14日 22時10分08秒
  • すいません、迷いましたが機を逸すると言うのが面倒になるので今指摘しておきます。
    良い作品についてあれこれ指摘するのは本意じゃないんですが……。

    ＞今作には、クライマックスを盛り上げるための『下がる』場面がないのです。

    ごめんなさい、ちょっと何言ってるかわかりませんw
    あのですね。これ、多分読者の大半はそんなことないと思ってる……と、私は思ってるんですがピアノが無いことと、ヒビキとウタの若干の不和が総合的に下げているかと思います。

    まず一の矢として、病院でのコンサートを言い出したことと、一緒には歌えない、最後の歌になる、という発言で不穏な空気が生み出されていて、そこにさらに二の矢としてピアノがない、間に合うのか？　ということでコンサート自体の空気が下がってます。
    つまり、単独では仰るように下がってないのかもですけど、相乗効果的に話全体の空気が下がっている状態です。
    （特に楽器のない合唱がいかにしらけたものになるかは容易に想像がつきます）

    ここ、もしかすると燕さん的には予定調和だろうと思ってたのかもですが、読者……少なくとも私はあの前後は読んでてすごくやきもきして、そしてハラハラさせられた場面です。
    さらにそこからピアノが到着しこれで万事解決！　とホッとしたのもつかの間、そこからの停電。

    真っ暗で何も見えなであろう不安は想像しやすく、けれどそのさなか聞こえてくる、おそらく知らない人はいないであろう歌。
    『翼をください』

    ここ、言い換えるとものすごく読者にとってわかりやすい不安感を与えて、同時に分かりやすい歌でそれを相殺（または塗りつぶし）してるんですね。
    真っ暗闇に、ぽつんと明かりをともしてあげたみたいに。

    そして、サビに差し掛かる直前に明かりが復旧、と同時にサビに入ることで、暗闇から光のあるところへの安堵感のイメージに加えて、さらに歌のサビが加わることで更に相乗効果的に感動を生み出していました。
    少なくとも、私はそうでした。

    要するにですが、仰るように下げてはいないのかもですが、下げ、上げ……と見せかけて下げ、からの上げ！　って感じですね。

    なんとなくですが、今まで読んだ作品の中でもトップクラスに楽しめたところから考えるに、上げと見せかけての下げ（ピアノ到着後の停電）、ってのが安心感を与えてから再度不安にってのが、たとえ小さな不安でも物凄い不安（つまりすごい下げ）を与えるんだと思うんですね。
    また何かあるんじゃないか、っていう感じに。
    それが効果的な下げとして機能したために、同時に上げも上手く行ったのかと。
    そして、こういったことを意図せず書かれたために、予想外の結果を生んだのではないかと。
    そのように考えます。

    なお、書き手が自分の作品の価値を読者に近いレベルで理解するのはひと月後か二月後ぐらいだから無理からぬことと思いますが、諦めて現実を受け入れてくださいw
    （私的には、今作は燕さん作品史上トップスリーに入ります）

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Re:Re: 2020年01月14日 23時37分44秒
  • すいません、迷いましたが、私もこの作品が素晴らしいということ自体は同感なので、横やりですが敢えて少し私見を書いておきます。

    （ラ研は研究所ですから、時に議論するのは有意義なんじゃないかと以前から思っています）

    ＞クライマックスを盛り上げるための『下がる』場面がない

    というのは、私は同感でした。むしろ下げずに盛り上げることに成功していたので感心したんです。

    下げていないというのは、ヒビキとウタの衝突がほぼ無かったということだと考えます。
    冒頭でヒビキがウタをビンタしますが、その時点ではなぜビンタしたのか分からないので印象は薄いです。その後のストーリーでビンタの理由が描かれるのだろうと思って読んでいたのですがそれは殆どなく、すでに終わった案件でした。中盤のヒビキとウタのやり取りは衝突ではなく、言ってしまえばヒビキの一人相撲。ウタがそれを大きなふところで受け止めている感じでした。互いを認め合うよいライバルだなあという感じで読んでいて気持ちがよかったのですが、それだけにアッサリしすぎていてあまり面白くないというのは、正直私は感じてしまいました。
    ただ、それでもクリスマス・コンサートは掛け値なしに良かったんですね。
    そもそも上限100枚というのはそれほど大きな起伏をつけられる尺ではないし、キャラを大事にして見せ場そのものを丁寧に描けばこれだけ盛り上げられるんだという驚きが、私の感想でした。
    ピアノが遅れてハラハラするというよりも、冷静沈着に対応したヒビキの姿に魅せられた方だったので。客席を巻き込んで盛り上げていくウタの姿も彼女が何をやりたい子なのかがよく描かれていて、下げて上げるというよりは二人の一方的なチートっぷりの饗宴という感じが私はしました。

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Re:Re:Re: 2020年01月18日 20時38分14秒
  • 　あまくささん、返信ありがとうございます。

    ＞＞クライマックスを盛り上げるための『下がる』場面がない
    ＞というのは、私は同感でした。むしろ下げずに盛り上げることに成功していたので感心したんです。
    〇全体の構成として不足した部分があること、そしてその原因が主役二人の衝突にあるというご指摘、なるほどと思いました。プロローグから時間が飛んでいること、その間に変化があったという作者の認識でしたが、むしろそこを本編で書くのが本来あるべき姿だったと思い至りました。こうした部分をしっかり書けていれば、スムーズ過ぎるストーリーにはならなかったのだと思います。

    〇一方で、それでもコンサートは面白かったと言っていただけたことは自信になりました。キャラクターを魅せる、という点をしっかりできたのかなと思います。ありがとうございました。

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2020年01月13日 05時05分10秒
 作者レス
  • 　ええ…………
    　ええ…………うそお…………

    　おつかれさまです、そんなわけで作者の燕小太郎です。
    　さて、上記は結果発表直後の作者の偽らざる心境でした。驚天動地吃驚仰天、全王様もおったまげ、まさに開いた口がふさがらない。もちろん嬉しいですし、評価頂いたことには万を超える感謝を捧げたい。ただ一言だけ言わせてほしい。

    　高すぎません？　

    　なんかもういつも『自信ない詐欺』しているみたいになっているのですが、今回は「なんとか平均15は超えてくれれば」という心境でした。明確な弱点があることはわかっていましたし、枚数的にも60枚前後と中途半端。せめてあと三日早く構想ができていれば、という思いもありましたので。上位作品とは比較にならないと思っておりました。
    　思っておりましたが……あれー？

    　いやまあ、オススメに上がった辺りで「意外と面白いのか？」と作者が思っちゃいけないことを思ったりもしましたが。なんだろう、根本的に人間として疑心暗鬼になってきている気がしてきました。

    　ただ、キャラクターには一定の自信がありました。ウタとヒビキ、天才的な歌声を持つ、正反対の二人。どちらかといえばナヨナヨした平凡主人公が多いラノベ界隈に、歌声には絶対的な自信を持つヒビキというキャラクターはよく書けたのではないかと自負しています。そして、同じく天才的な歌声を持ち、ヒビキと正反対のウタ。正反対だからこそ描けるやり取りなんかも、短い中でしっかり出せたことが評価をプラスに持って行けたように思います。

    　まだまだ思うところはいっぱいありますが、ひとまずこの辺りでいったん切りたいと思います。
    　最後に今後の予定を簡単に挙げて、コメントを締めたいと思います。

    　○拙作の総括
    　作者が拙作を書くに至ったエピソードや、前述した拙作の明確な『弱点』などを、より詳しく述べて行きたいと思います。

    　○お一方ずつへの返信
    　同じことを書く場合もありますので、まず総括で全体の返信をした後、お一方ずつ返信していきたいと思います。

    　ここまでは数日中に、遅くとも今週中には終わらせたいと考えています。
    　そして、せっかくの後夜祭ですし前回同様また何か余計なことを書いてこうと画策しています。今ある候補としては、

    　○『終わりと始まり』企画を振り返って
    　今回の企画に投稿された作品の傾向、テーマに対する取り組み方などを、感想制覇した自分から見えた視点で書いていけたらと思っています。

    　○上位作品を徹底解析
    　高い評価を得た作品はどういった特徴があるのか、点数を分ける要因がどのあたりにあるのか。そういった点を考えることで良いところを吸収し、読んでくれた人の参考になれればと思います。

    　○燕小太郎を振り返る
    　ライトノベル作法研究所並びに企画には随分長いことお世話になっていますし、それなりに名前も知っていただけていますので、自己紹介がてら企画での経歴なんかを書いてみようかなと思っています。企画の歴史の振り返りにもなりそうだし、たまには振り返ってみるのも悪くないかも。
    　まあ、自分の経歴なんぞには興味ない人も多いでしょうし、やらない可能性のが高いかな。
    　
    　他、なにか良いものを思いついたら、いろいろと書いていきたいと思っています。

    　では、また後ほどお会いしましょう。終わりと始まり企画に参加されたみなさま、本当におつかれさまでした！

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Re: 2020年01月13日 21時09分53秒

  • ＞○燕小太郎を振り返る
    　
    　これ希望。
    　ていうか、できれば候補にあがってるやつ全部書いてください。（無茶ぶり）

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2020年01月12日 21時11分09秒
 +20点
  • 『ラスト・クリスマス・コンサート』拝読しました。

    ※以下ネタバレがあります。

    ・真っすぐな青春ストーリーでしたね。
    　なにより素晴らしいと感じたのは冒頭のシーンです。
    　合唱の終わりに、突然ウタにビンタをするヒビキ。彼女はいったい、何が「ガマンならなかった」のだろうか、という部分が引きになっていて、一気に物語の中に引き込まれました。
    　作品全体としては、キャラの良さが光ったと思います。
    　他人に厳しく、自分にも厳しく、「世界一の歌手になる」と豪語する主人公のヒビキと、明るく前向きで、ヒビキからは「天才」と称されるウタのやりとりは楽しかったですし、ヒビキが後輩のメグにかける言葉には重みがありました。
    　物語後半の、病院でのコンサートのシーンも素晴らしかったです。ヒビキたちは観客の患者にかける言葉にはリアリティがありますし、イスの間をスキップする様子などは楽しさが伝わりました。
    　合唱についての造形の深さも感じ、作者さんは経験者なのかなと思いました。
    　文章も素晴らしく、非常に読みやすく分かりやすい上に、独特の表現も多用されていましたね。個人的に気に入った一文は「新陳代謝の良い記憶力だこと。」です。

    ・ただ、物語の展開が素直すぎるというか、抑揚が弱いような気がしました。
    　特に大きな障害もなく、普通にラストシーンまで行ってしまうというか。
    　後半のコンサートシーンも、ピアノの未到着や停電などのアクシデントもありましたが、そのアクシデントの対処は「ごく普通」な感じでしたし。（合唱の描写に関しては素晴らしかったと思うのですが）
    　個人的に一番気になっていた「冒頭でビンタした理由」も、中盤という中途半端なタイミングで明かされる上に、理由自体も特に意外性がないように思いました。
    　個人的には、ビンタした理由を明かすシーンはラストに持ってきて、そのシーンでヒビキとウタのふたりが、もっと感情を爆発させる（泣きながらお互いの想いをぶつけ合うなど）ようなシーンがほしかったですね。

    ・全体としてはハイレベルで、作者さんの非常に高い筆力が感じられる作品だったと思います。
    　ただ、ストーリーの流れが平たんだったように感じるので、もっと大きく盛り上がる場面があるとなおよかったように思います。


    　感想は以上です。指摘点が私自身の作品にブーメランになっていたらごめんなさい。
    　執筆お疲れさまでした。

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Re: 2020年01月16日 18時47分39秒
  • 　いりえミトさん、感想ありがとうございます！

    ＞・真っすぐな青春ストーリーでしたね。
    ＞なにより素晴らしいと感じたのは冒頭のシーンです。
    ＞合唱の終わりに、突然ウタにビンタをするヒビキ。彼女はいったい、何が「ガマンならなかった」のだろうか、という部分が引きになっていて、一気に物語の中に引き込まれました。
    ○ありがとうございます。男だったら迷わずぶん殴るんでしょうが、ビンタというのは女の子らしいのではないかと思います。こう女性のビンタシーンて割と好きなんですよね、自分。女の怖さがハッキリ出るけど、喧嘩ほど大きな怪我はしなさそうな安心感が好き。

    ＞作品全体としては、キャラの良さが光ったと思います。
    ＞他人に厳しく、自分にも厳しく、「世界一の歌手になる」と豪語する主人公のヒビキと、明るく前向きで、ヒビキからは「天才」と称されるウタのやりとりは楽しかったですし、ヒビキが後輩のメグにかける言葉には重みがありました。
    ＞物語後半の、病院でのコンサートのシーンも素晴らしかったです。ヒビキたちは観客の患者にかける言葉にはリアリティがありますし、イスの間をスキップする様子などは楽しさが伝わりました。
    ○ヒビキとウタは二人ともお気に入りです。作者が『自信のある主人公』というのに惹かれる時期だったのかなと思います。大言壮語を、真面目な顔で言い切れる、そういう二人をイメージしていました。後輩への言葉は、厳しさを前面に出すヒビキだからこそ、より響くのではないかと思っていました。
    　コンサートのシーンは、とにかく必死でした。上手くいっていれば幸いです。

    ＞合唱についての造形の深さも感じ、作者さんは経験者なのかなと思いました。
    ○素人です（小声）

    ＞文章も素晴らしく、非常に読みやすく分かりやすい上に、独特の表現も多用されていましたね。個人的に気に入った一文は「新陳代謝の良い記憶力だこと。」です。
    ○文章の読みやすさは、自分の長所の一つかなと思っています。ただ、自分で読み返すとダメだなあと思うことが頻繁にあります。不思議なものです。

    ＞・ただ、物語の展開が素直すぎるというか、抑揚が弱いような気がしました。
    ＞特に大きな障害もなく、普通にラストシーンまで行ってしまうというか。
    ＞後半のコンサートシーンも、ピアノの未到着や停電などのアクシデントもありましたが、そのアクシデントの対処は「ごく普通」な感じでしたし。（合唱の描写に関しては素晴らしかったと思うのですが）
    ○これはもう、ただただ失策でした。申し訳ないです。
    　アクシデントの対処がごく普通ですか……うーん、特別な対処ってちょっと思いつかないです。

    ＞個人的に一番気になっていた「冒頭でビンタした理由」も、中盤という中途半端なタイミングで明かされる上に、理由自体も特に意外性がないように思いました。
    ＞個人的には、ビンタした理由を明かすシーンはラストに持ってきて、そのシーンでヒビキとウタのふたりが、もっと感情を爆発させる（泣きながらお互いの想いをぶつけ合うなど）ようなシーンがほしかったですね。
    ○そうですね、正直冒頭に『引き』としての期待はしていませんでした。どちらかといえば、キャラクターを最優先に、ヒビキとウタという二人の少女の違いをより明確にするエピソードの一つ、という意図があったように思います。
    　作者が思う以上の効果が冒頭に出てしまいました。作品を冷静に見れていなかったのかなと思います。
    　また、ヒビキとウタは、書いていない三年間で徐々に互いに互いを理解し合っているようなイメージでいました。なので、本編の時間軸で感情をぶつけ合うようなイメージにはならなかったです。
    　企画が終わって感想を読んで拙作を振り返ると、物語そのものを作者がコントロールしきれていないような感覚を覚えます。

    ＞・全体としてはハイレベルで、作者さんの非常に高い筆力が感じられる作品だったと思います。
    ＞ただ、ストーリーの流れが平たんだったように感じるので、もっと大きく盛り上がる場面があるとなおよかったように思います。
    ○時間は言い訳にはなりません。皆様の評価は想定していた拙作のそれを大きく上回るものでした。ただ、もう少しやれる要素がありながらできなかったのは、今になって後悔が出てきます。

    　いりえさんは二作投稿でしたか。読みやすい文章と、物語の基礎基本を決して外さない、抜群の安定感で繰り出される上限枚数いっぱいの『マジェスティックな彼女の秘密』は、確実に面白い良作でした。ただ、より個性的で印象に残りやすいのは、ドラ○エ色がハッキリ出て、目を疑うセリフが読者の深層心理に絡みつく『無限ループ』の方だったのかなと思いました。

    ＊追記、御作『無限ループ』での返信であったコメントについて
    ＞そういえば、私があの作品に感じた弱点は、燕小太郎さん自身が感じていた弱点と概ね一致していると思うんですけど、他の多くの方はそう感じなかったようで、ちょっと考えさせられています。「面白いとはなんぞや」のヒントが、そのあたりにあるんじゃないかと……。
    ○そうですね、自分も同意見です。というより、自分が読者として今作を読んでいたとしたら、おそらくいりえさんとほぼ同じ感想と評価をするのではないかと思った次第です。何を良しとするかは一人ずつ違うものですが、上げ下げの構成という要素は、他の要素と総合して大きなマイナスにならず、キャラクターとクライマックスが思いのほか評価されたのかな、と考えることにしました。

    　感想、ありがとうございました！

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2020年01月12日 20時55分31秒
 +20点
  • 「ラスト・クリスマス・コンサート」、読了いたしました。

    　清々しくなるほど直球な青春物語でした。競作企画では良作のジュブナイルと出会うことが多いので嬉しいです。
    　真剣に上を目指したい部員と、みんなで楽しくやりたい部員の衝突。運動系の部活には割とよくある場面ですね。
    　しかし本作は合唱部。文化系の部活動でも同じようなことがあるようです（ちなみに私は運動部でした）。作者様の目の付け所が良いと思いました。

    　ストイックなヒビキ、純粋に歌うことを楽しみたいウタ。方向性も考え方も全然違うし、二人の間には以前に『事件』があったけれど、クリスマスコンサートという一つの目標に向かって協力し合って、しかも和解していくという流れは読んでいて心地よいものでした。
    　ヒビキとウタ、私はどっちが好きかなぁと考えたのですが、決め切れず「どっちも好き」という結論に至りました。二人とも自分の信念に正直だし、行動力もある人物として描写されていますが、こういった人物が魅力的に見えるのは当然ですね。眩しく輝くお二人でした。

    　このままの内容でも素敵なのですが、個人的にはクライマックス前の「谷場」が欲しいところです。
    　冒頭で、ヒビキとウタの間には何かしらの確執(といってもほとんどヒビキの一方通行ですが)あるように示され、それが興味を引く基になっていました。
    　物語が進むにつれて、過去の出来事が明かされるのですが、ヒビキとウタがすんなり和解するのですよね。
    　またコンサート前のアクシデントはピアノが無いことぐらい。
    　最後の最後まで不安を募らせておいてコンサートが成功したという流れであれば、より感動できる展開になったのではないかと思いました。
    　また、ヒビキの独唱シーンでは歌詞を載せるよりも、オーディエンスの反応やヒビキ自身の緊張や興奮といった描写を厚めにしたほうがより盛り上がったのではないかなと。
    　クライマックスの盛り上げ方が少し足りない、そう感じた次第です。

    　感想は以上です。
    　心が清らかになる読書時間をありがとうございました。
    　後夜祭も引き続き頑張って下さい。
    　それでは。

    E-Mail pass
Re: 2020年01月16日 18時27分51秒
  • 　庵さん、感想ありがとうございます！

    ＞清々しくなるほど直球な青春物語でした。競作企画では良作のジュブナイルと出会うことが多いので嬉しいです。
    ＞真剣に上を目指したい部員と、みんなで楽しくやりたい部員の衝突。運動系の部活には割とよくある場面ですね。
    ＞しかし本作は合唱部。文化系の部活動でも同じようなことがあるようです（ちなみに私は運動部でした）。作者様の目の付け所が良いと思いました。
    ○ありがとうございます。ちなみに作者も運動部でした。

    ＞ストイックなヒビキ、純粋に歌うことを楽しみたいウタ。方向性も考え方も全然違うし、二人の間には以前に『事件』があったけれど、クリスマスコンサートという一つの目標に向かって協力し合って、しかも和解していくという流れは読んでいて心地よいものでした。
    ＞ヒビキとウタ、私はどっちが好きかなぁと考えたのですが、決め切れず「どっちも好き」という結論に至りました。二人とも自分の信念に正直だし、行動力もある人物として描写されていますが、こういった人物が魅力的に見えるのは当然ですね。眩しく輝くお二人でした。
    ○キャラクターを描く上で、『まっすぐ』は意識している点ですね。まっすぐに前を見据えているキャラクターというのは、その方向性を問わず魅力的になるのではないかと思います。次回は悪役でそういうキャラクターを描いてみたい。
    　二人がメインではありますが、作者としてもどちらかと決めるのは難しいです。むしろ二人でいるからこそ、それぞれの魅力を引き出せたのではないかと、そう思います。

    ＞このままの内容でも素敵なのですが、個人的にはクライマックス前の「谷場」が欲しいところです。
    ＞冒頭で、ヒビキとウタの間には何かしらの確執(といってもほとんどヒビキの一方通行ですが)あるように示され、それが興味を引く基になっていました。
    ＞物語が進むにつれて、過去の出来事が明かされるのですが、ヒビキとウタがすんなり和解するのですよね。
    ○最初のコンクールから、今回のコンサートまでにおおよそ二年半くらいの時間があるんですよね。最悪だった二人の関係も、作中では語られていない中で徐々に理解し合い、次第に認め合っている。だから言葉にしたとき、すんなりと片がついてしまう。大長編なら一年生編からじっくり積み上げるべきものですから、短編とはいえもう少しきちんと描写するべきでした。

    ＞また、ヒビキの独唱シーンでは歌詞を載せるよりも、オーディエンスの反応やヒビキ自身の緊張や興奮といった描写を厚めにしたほうがより盛り上がったのではないかなと。
    ＞クライマックスの盛り上げ方が少し足りない、そう感じた次第です。
    ○ああ、そういう方法もあったなあ。正直書いているときはあれがいっぱいっぱいでした。歌詞に頼るというのは、確実な効果が期待できる一方でそれ以上は出せない。色々なやり方があるんだなと参考にさせていただきます。

    　庵さんの『雪舞う聖夜のＨＶＳＴ』は、シリアスもコメディも上手く活かされたお話だったと思います。やっぱり企画には変態が一人二人欲しいですから。少々強く漂うターミネーター感が、少しばかり評価に影を差したかもしれませんね。

    　感想、ありがとうございました！

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2020年01月11日 23時44分57秒
 +50点
  • 　へろりんと申します。
    　冬企画参加作品執筆お疲れ様でした。
    　御作をすすめられたので、読ませていただきましたので、感想を書かせていただきます。
    　素人の拙い感想ではありますが、しばらくの間お付き合いください。

    ■文章
    　主人公ヒビキの一人語りは、彼女のイラ立ちも含めて存分に伝わりました。
    　巧いです。

    ■設定
    　三年生で部活を引退し、卒業後の進路に揺れる女子高生二人を主軸に置いた設定は、本企画の開催時期とも重なり、よかったです。
    　こういうの大事ですよね。

    ■キャラクター
    ●叶井ヒビキ
    　本編の主人公
    　高校三年生
    　元合唱部のエースでめちゃくちゃ歌が上手い超絶美少女？
    　本気で歌に取り組み、音大への進学を目指している
    　将来の夢は歌手になって有名になること
    　まっすぐな性格のため、ちゃらんぽらんなところがあるウタとぶつかることもある
    　運動は苦手でダンスをすればひとりだけドジョウすくいになる

    ●青空ウタ
    　ヒビキと同じ高校の三年生
    　元合唱部の部長
    　明るく・楽しく・元気よく！　が信条
    　大らかと言えば聞こえがいいが大雑把な性格で、まっすぐで真面目なヒビキとぶつかることもある
    　歌の実力はヒビキと同等かそれ以上の天才
    　高校を卒業してからの進路は旅人

    ●院長先生
    　入院患者のため、ヒビキたちの高校の合唱部に病院でのクリスマスコンサートを依頼する
    　電子ピアノを取りに行くためのタクシー代を出すハメになるとはご愁傷様
    　挨拶が長い

    ●メグ
    　合唱部の後輩
    　引っ込み思案の上に地声が小さいため合唱では足を引っ張ってしまう
    　しかし、ヒビキの言葉で合唱部での自分の役割を認識する

    ●勝又
    　合唱部の後輩
    　唯一の男子部員
    　有無も言わせず学校まで電子ピアノを取りに行かせられるあたりに、合唱部でのポジションが垣間見える
    　女の子たちにあんなことやこんなことをやらせられるとか、うらやまかわいそう

    　主人公のヒビキが『静』、相手役のウタが『動』のキャラクター配置は鉄板ですね。
    　御作でも、ウタのちゃらんぽらんさが事件を起こし、ヒビキが冷静に対応することで物語が進んでいきます。
    　安心して読むことが出来ました。

    ■構成
    　導入部でヒビキとウタが一年生のときの合唱部のコンクールで惨敗したところから始まるのは、すごくよかったです。
    　このときの事件が、主人公ヒビキの性格とウタとの高校生活三年間を象徴しています。
    　時は流れて、本編はヒビキとウタが合唱部を引退したあとのエピソードとしては語られますが、これまでの彼女達二人の高校生活が容易に想像出来る素晴らしい導入部でした。
    　あとは、ヒビキがクリスマスコンサートに参加することを承諾するハメになる院長との出会い、クリスマスコンサートに向けた練習でのエピソードと続き、コンサート当日にトラブルを乗り越えて大成功で終えたあと、ヒビキとウタが将来を語り合って終わっています。
    　特にコンサートで起きたトラブルの数々をヒビキが乗り越えて行くのが小気味よく、最後にヒビキとウタが語り合うシーンを持って来たのがよかったです。
    　青春してました。
    　最後の『メリークリスマス』も印象的でした。
    　こういうの描けないんだよなぁー

    ■ストーリー
    　同じ高校で合唱部に所属する叶井ヒビキと青空ウタは、二人とも歌の実力では甲乙つけがたい才に恵まれてはいたが、その性格や考え方は全く反対と言ってよかった。
    　まっすぐで妥協を許さないヒビキに対し、『明るく・楽しく・元気よく！』が信条のウタは、ヒビキから見れば、実力は自分と遜色ないのに、どこか真剣味が欠けているように思えた。
    　その思いが二人が一年生のとき、コンクールに挑んだ合唱部が惨敗した際に爆発してしまう。
    　しかし、この事件を通してウタは以前よりも歌に真剣に取り組むようになる。
    　ときは流れ、舞台はヒビキとウタが三年生となった冬に移る。
    　春には卒業を控える二人は既に合唱部を引退し、受験勉強の合間に後輩たちの指導をしていた。しかし、性格も考え方も全く逆の二人は指導方法も全く逆で、『明るく・楽しく・元気よく！』をモットーにのびのびと歌わせようとするウタに対し、ヒビキは後輩たちに合唱に於ける自分の役割を考えて歌うよう厳しく指導した。
    　そんなある日、ウタは合唱部を上げて病院でクリスマスコンサートを開催するから、ヒビキにも参加して欲しいとお願いするが、音大への進学を目指すヒビキはこれを固辞する。
    　しかし、ウタの説得と、偶然に出会ったクリスマスコンサートを開催する病院の院長先生があまりにも善人だったのとで、ヒビキは仕方なく参加に同意するのだった。
    　元来、合唱に対して真摯なヒビキは、クリスマスコンサートの準備に熱心に取り組む。
    　クリスマスコンサート当日、手違いで病院で用意するはずだった伴奏用のピアノがなかったっり、コンサート中に停電があったりとトラブルに見舞われるが、ヒビキの冷静な対応と、ウタのバイタリティ溢れる対応とで、なんとか乗り切り、コンサートは成功裏に終わる。
    　コンサートのあと、ヒビキとウタは二人で過ごした高校生活を振り返り、友情を確かめ合う。
    　そして、二人はこう言うのだった。
    　メリークリスマス。

    　コンサート当日のトラブルという山もあり、ウタの仰天進路という驚きもあり、ラストは正反対の二人が友情を確かめ合ったりと、王道的な展開でした。
    　いいですね。

    ■総評
    　読後感がよく、上質なジュブナイルでした。
    　テーマの『終わりと始まり』は、ヒビキとウタの高校生活が終わり、それぞれの新しい未来が始まる。でも、二人で過ごした日々には確かな友情があったってとこでしょうか。
    　よかったです。

    　いろいろと好き勝手書きましたが、素人のたわ言ですので、あまりお気になさいませんように。
    　楽しく読ませていただきました。
    　ありがとうございました。

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Re: 2020年01月16日 18時26分09秒
  • 　へろりんさん、感想ありがとうございます！

    　相変わらずといっては失礼ですが、へろりんさんの解析力はマジ半端ないですね！
    　作者より詳しいと言っても過言ではないと思います。自作を振り返るのにメチャメチャ参考になります。

    ＞■文章
    ＞主人公ヒビキの一人語りは、彼女のイラ立ちも含めて存分に伝わりました。
    ＞巧いです。
    ○ありがとうございます。一人称自体は良くやる手法ですが、女性視点は久しぶりで少し緊張しました。違和感なくできていれば幸いです。

    ＞■設定
    ＞三年生で部活を引退し、卒業後の進路に揺れる女子高生二人を主軸に置いた設定は、本企画の開催時期とも重なり、よかったです。
    ＞こういうの大事ですよね。
    ○時事的な一致はそれだけで面白さの一つになれると思います。まあクリスマスと卒業がたまたま重なっていて感は否めませんが。上手くテーマとも合致したのではないかと思います。

    ＞■キャラクター
    ＞●叶井ヒビキ
    ＞本編の主人公
    ○ヒビキに関してまとめていただいた部分を見ると、ある程度序盤で人物紹介を達成できたのかなと思います。厳しめな印象を残した後で、ドジョウすくい呼ばわりとその後のぜったいコンサート出ないという誓うところで少し可愛げを出して、キャラクターに奥行きを作れればと思っていました。

    ＞●青空ウタ
    ＞ヒビキと同じ高校の三年生
    ＞元合唱部の部長
    ＞明るく・楽しく・元気よく！　が信条
    ○ヒビキとウタは色々な物に例えられそうですが、ウタはとりわけ太陽のようなイメージがありました。どちらかといえば彼女の方が主人公らしい雰囲気があり、執筆途中で間違えたかなと思うこともありましたが、結果を見ればヒビキ主人公は正解だったのかなと思います。ただ、ウタはもう少し描写して掘り下げたかったですね。
    　進路は本当にぽんと浮かんだものでした。ただ、彼女らしいのは間違いないなと自信を持っています。

    ＞主人公のヒビキが『静』、相手役のウタが『動』のキャラクター配置は鉄板ですね。
    ＞御作でも、ウタのちゃらんぽらんさが事件を起こし、ヒビキが冷静に対応することで物語が進んでいきます。
    ＞安心して読むことが出来ました。
    ○メイン二人は対比を意識しましたね。結果的に、想像以上の相性になったと思います。
    　
    ＞導入部でヒビキとウタが一年生のときの合唱部のコンクールで惨敗したところから始まるのは、すごくよかったです。
    ＞このときの事件が、主人公ヒビキの性格とウタとの高校生活三年間を象徴しています。
    ＞時は流れて、本編はヒビキとウタが合唱部を引退したあとのエピソードとしては語られますが、これまでの彼女達二人の高校生活が容易に想像出来る素晴らしい導入部でした。
    ＞あとは、ヒビキがクリスマスコンサートに参加することを承諾するハメになる院長との出会い、クリスマスコンサートに向けた練習でのエピソードと続き、コンサート当日にトラブルを乗り越えて大成功で終えたあと、ヒビキとウタが将来を語り合って終わっています。
    ＞特にコンサートで起きたトラブルの数々をヒビキが乗り越えて行くのが小気味よく、最後にヒビキとウタが語り合うシーンを持って来たのがよかったです。
    ＞青春してました。
    ＞最後の『メリークリスマス』も印象的でした。
    ＞こういうの描けないんだよなぁー
    ○今回の冒頭は、珍しくストーリーや構成ではなく、キャラクターからできたような覚えがあります。コンクールという審査される舞台に入り込めないウタと、真剣さが強すぎた余りに感情を抑えきれなくなったヒビキ。二人のスタンスの違いが初めて如実に明らかになった場面なのですが、上手く二人のキャラクター性をかき分けられたのかなと思います。いや、まだ描写が足りなかったかもしれません。
    　書いていない三年の空白部で、互いに認め合う存在になったところを想像していただけたら幸いです。
    　最後の言葉は悩みましたね。ただ、終わってみれば良い言葉が入ったと思います。

    ＞■ストーリー
    ○なるほど、こういう物語だったのか。
    　いや書いているときは入り込んでいますので、客観的に見れてない部分はすごく多く、こうしてまとめていただけると意図した部分、感覚に任せた部分、意図していない部分などがよくわかります。ありがとうございます。

    ＞コンサート当日のトラブルという山もあり、ウタの仰天進路という驚きもあり、ラストは正反対の二人が友情を確かめ合ったりと、王道的な展開でした。
    ＞いいですね。
    　あまり変化球は投げられなくなったせいなのか、元来王道好きなのか、割と基本てきな終わり方をしたのかなと思います。コンサートはとにかくいかに盛り上げるかに必死でしたね。どうにか乗り切った、という印象です。

    ＞■総評
    ＞読後感がよく、上質なジュブナイルでした。
    ＞テーマの『終わりと始まり』は、ヒビキとウタの高校生活が終わり、それぞれの新しい未来が始まる。でも、二人で過ごした日々には確かな友情があったってとこでしょうか。
    ＞よかったです。
    ○高校生、とくに卒業というのは、それ自体が終わりと始まりになると思いました。互いに認め尊敬しあう二人が、別の道へと歩んでいく。そのきっかけの一つがこのコンサートになったのではないかと思います。
    　当初は病院という場所も『終わりと始まり』のテーマに組み込もうかと考えていました。ただ、病院における『終わり』が持つ意味は重く、現状の枚数で安易に語るべきではないと考えやめることに。
    　もっと医者や患者さんとの交流を深めてコンサートに望むようなストーリーにできれば、病院自体をテーマと絡めて、もっと良くできた可能性もあったと思います。そういう意味でも、少し心残りはありますね。

    　へろりんさんの『異世界無双』は、意外性と確かな技術に裏付けされた良作であったと思います。ただ、シリアスな空気の中、確かな文章力で語られるエッチなシーンは少々刺激が強かったですね。もっと明るく楽しいエッチなシーンを所望します（ただのスケベ）。

    　感想、ありがとうございました！

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2020年01月11日 17時36分15秒
 +50点
  • ヒビキとウタの掛け合いがテンポ良く書かれていて、すごく好みです。
    ヒビキがウタを頼るシーンなどがあると、より好みだったりします。

    院長先生の登場と２人の夢についての話から、不穏な予感を感じたのですが外れて良かった。そっちだったら後味悪くて少しいやだなって思ってしまった。

    友情というとヒビキに嫌がられそうだけど、心が暖まるお話でした。

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Re: 2020年01月16日 18時22分18秒
  • 　のりしおさん、感想ありがとうございます！

    ＞ヒビキとウタの掛け合いがテンポ良く書かれていて、すごく好みです。
    ＞ヒビキがウタを頼るシーンなどがあると、より好みだったりします。
    ○ありがとうございます。二人のキャラクターは自分でもすごく書きやすかったので、上手くハマってくれたのかなと思います。
    　ヒビキがウタを頼る。頼らないということはないと思いますが、作中でそういうシーンを出せなかったのはもったいなかったかな。色々と考えてみたいと思います。

    ＞院長先生の登場と２人の夢についての話から、不穏な予感を感じたのですが外れて良かった。そっちだったら後味悪くて少しいやだなって思ってしまった。
    ○そういうフラグに感じた人が多いのだなあと素直に驚いております。うーん、気を付けないと変なところで意図しないフラグになってしまいますね。

    ＞友情というとヒビキに嫌がられそうだけど、心が暖まるお話でした。
    ○否定はしないだろうけど、無言で嫌そうな顔をするヒビキが思い浮かびます（笑）。

    　のりしおさんは作品参加はしておられないにも関わらず、感想制覇を達成されました。一企画参加者として、深く御礼申し上げます。ありがとうございます。

    　感想、ありがとうございました！

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2020年01月11日 17時15分13秒
 +30点
  • 　赤城と申します。読ませていただいたので、感想を残させて頂きます。

    　良いもの読ませてもらったなぁ、というのが読後の率直な感想でした。

    　世界一の歌手を目指すヒビキと、その友人ウタ、その二人の友情を爽やかに描ききった作品だったかと思います。

    　歌唱技術を向上させることに強い情熱を抱いたヒビキと、あくまで歌うことを楽しむウタ。歌へのスタンスに違いがありつつも、友情を深めた二人が挑む、最後のコンサート。クライマックスへ向かう展開は王道的で（決してそれが悪いと言ってる訳ではないです！）、安心して楽しむことが出来たと思います。

    　特に中盤以降、コンサートへの参加をヒビキが決め、それに向けた練習に参加するシーン以降の描写は、素晴らしかったと思います。練習シーンでは、歌唱への強い情熱を抱きつつも、ウタという存在によって、後輩への優しさを持つことが出来たヒビキというキャラクターが、コンサートシーンでは最後のコンサートを全力で頑張るメンバーの姿が、非常に丁寧に描かれ、彼らの心情が胸にひしひしと迫ってくるような気がしました。
    　特に最後の合唱で、翼をくださいの歌詞を読んでるだけで、なぜか涙が出てきそうになりました。直接の描写はなかった、彼女たちの三年間が、その歌詞の中に浮かんでくるような気がして、不覚にも感動してしまいました。

    　作品の構成、キャラクター、文章、いずれもがハイレベルな作品でした。
    　あえて気になったところとしては、中盤以降に比べ、序盤の盛り上がりが少し大人しかったところ。
    　あとはヒビキの言う世界一の歌手というのがどういったものなのか、よく分からなかったところでしょうか。私も歌のことは素人なので、偉そうに講釈を垂れることは出来ないのですが、歌手は声楽家としてなのか、それともシンガーとしてなのか、明確な描写があると、ヒビキというキャラへの愛着がより深まったのかなぁ、と思いました。
    　それと、ヒビキの言う、世界一の歌手に到達する速度が、ウタと一緒に切磋琢磨することで、二倍になる、というところも、私が素人のせいかもしれませんが、上手くイメージ出来ませんでした。
    　……と、難癖レベルの指摘をさせて頂きましたが、そうしたところを差し引いても御作は素晴らしい作品でした。
    　繰り返しになりますが、良いものを読ませて頂いてありがとうございました。

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Re: 2020年01月16日 18時21分00秒
  • 　赤城さん、感想ありがとうございます！

    ＞良いもの読ませてもらったなぁ、というのが読後の率直な感想でした。
    ＞世界一の歌手を目指すヒビキと、その友人ウタ、その二人の友情を爽やかに描ききった作品だったかと思います。
    ○ありがとうございます。

    ＞歌唱技術を向上させることに強い情熱を抱いたヒビキと、あくまで歌うことを楽しむウタ。歌へのスタンスに違いがありつつも、友情を深めた二人が挑む、最後のコンサート。クライマックスへ向かう展開は王道的で（決してそれが悪いと言ってる訳ではないです！）、安心して楽しむことが出来たと思います。
    ○ありがとうございます。自分も王道は好きなので、上手くその良さを生かすことができたのかなと思います。

    ＞特に中盤以降、コンサートへの参加をヒビキが決め、それに向けた練習に参加するシーン以降の描写は、素晴らしかったと思います。練習シーンでは、歌唱への強い情熱を抱きつつも、ウタという存在によって、後輩への優しさを持つことが出来たヒビキというキャラクターが、コンサートシーンでは最後のコンサートを全力で頑張るメンバーの姿が、非常に丁寧に描かれ、彼らの心情が胸にひしひしと迫ってくるような気がしました。
    ＞特に最後の合唱で、翼をくださいの歌詞を読んでるだけで、なぜか涙が出てきそうになりました。直接の描写はなかった、彼女たちの三年間が、その歌詞の中に浮かんでくるような気がして、不覚にも感動してしまいました。
    ○伝えたいと思っていたことを、きちんと伝えることができたのかなと嬉しく思います。特に練習のところは、ヒビキというキャラクターを見せるシーンでもありました。自信になります。
    　誰もが知る『翼をください』は、それだけで強い力を持っています。そして誰もが聞いたことがありますから、映像だけでなく音も再生されるのかもしれません。
    　ちなみに、歌詞の最後『いきたい』は、わざと『生きたい』と誤字しようという案もありました。病院という舞台、未来へ旅立つ高校生たちの双方にとって大きな意味を持つのではないかと思ってのことでしたが、そこまでの描写はできていないと考えてひらがなのままにした覚えがあります。多くの方から『ウタの死』という不安があったとのご指摘を頂きましたので、もしウタの命にどうこうという伏線があれば、誤字をする意味はあったかもと思います。

    ＞作品の構成、キャラクター、文章、いずれもがハイレベルな作品でした。
    ＞あえて気になったところとしては、中盤以降に比べ、序盤の盛り上がりが少し大人しかったところ。
    ＞あとはヒビキの言う世界一の歌手というのがどういったものなのか、よく分からなかったところでしょうか。私も歌のことは素人なので、偉そうに講釈を垂れることは出来ないのですが、歌手は声楽家としてなのか、それともシンガーとしてなのか、明確な描写があると、ヒビキというキャラへの愛着がより深まったのかなぁ、と思いました。
    ○序盤。確かにそうですね。構成上、起伏の理想としては上げて下げて上げてとジグザグになることがセオリーだと考えていますが、どちらかといえば今作は尻上がりになっていると思います。序盤・前半がキャラクター紹介や本筋への導入に終始し、それ単体では盛り上げられていないのかと思います。反省です。
    　世界一の歌手、に関しては作者も具体的にはわかっていません。そもそもオリンピックのように金メダルが授与される種目ではないので、何を持って世界一とするのかも不明確です。おそらくヒビキもまだ具体的な世界一の証明方法なんてわかっていないのかなと思います。もう少し深く描写しておく方がわかりやすいですし、よりヒビキを掘り下げられたかなと思います。

    ＞それと、ヒビキの言う、世界一の歌手に到達する速度が、ウタと一緒に切磋琢磨することで、二倍になる、というところも、私が素人のせいかもしれませんが、上手くイメージ出来ませんでした。
    ○「歌が超上手い私と、同じくらい超上手いウタがコンビを組んで歌えば超超上手いから、世界一と認められるまでの時間が半分で済む」という小学生みたいな理論です。互いに刺激し合えるライバルが身近にいる方が成長するというのもあるかもしれませんが、あまり深くない、むしろ浅いお話でした。
    　ただ、普段は冷静で思慮深いヒビキが、このときだけ小学生みたいな理論を振りかざしてウタを勧誘する姿というのを描きたかったのはあります。
    　ただ、やっぱりまだまだ描写が拙いのか足りないのか、伝えきれていない部分ですね。反省です。

    　赤城さんの『アスタルテを背負う者』は、荒廃的な世界観が非常に魅力的で、かつそれが存分に活かされている物語でした。是非もっと大きなボリュームで読みたいと思います。

    　感想、ありがとうございました！

    E-Mail pass
2020年01月04日 17時20分42秒
 +30点
  • 『ラスト・クリスマス・コンサート』拝見させていただきました。

    巧み、としか言いようがない出来でした。
    インパクトのある入りから、二人の対立を見せて、紆余曲折のコンサートの展開、アクシデントに次ぐアクシデント。話そのものは割と大人しいはずなのに心躍る読み味と驚きを提供してくれる理想的な作品でした。
    いやー、読むのが楽しい作品でした、ありがとうございます。

    ……なお、私も途中まで死にネタかと思ってました。しかも泣く準備までしていたりして。
    なので肩透かし半分、良かったなと言う安心感半分でしたｗ

    なお、あんまり隙のない今作に強いて指摘するならば、ですけど。
    若干ヒビキとウタの二人のやり取りに終始してしまっていて物語がちょっと小さく感じてしまう点が難点かなと。
    院長先生じゃちょっと弱いので、この二人の間にツナギとして苦労人っぽい第三者を加えることでもっと良いメロディが奏でられると思うんですよね。
    まあ、あくまでそう思っただけですけども。

    ●一言まとめ

    現状すでに最高に近い出来ですが、まだなおよく出来そうなポテンシャルを感じる作品でした。

    それではこのあたりで。
    執筆お疲れ様でした！

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Re: 2020年01月15日 06時12分53秒
  • 　ハイさん、感想ありがとうございます！

    ＞巧み、としか言いようがない出来でした。
    ＞インパクトのある入りから、二人の対立を見せて、紆余曲折のコンサートの展開、アクシデントに次ぐアクシデント。話そのものは割と大人しいはずなのに心躍る読み味と驚きを提供してくれる理想的な作品でした。
    ＞いやー、読むのが楽しい作品でした、ありがとうございます。
    ○ありがとうございます。どうにか乗り切った作品でしたが、楽しんでいただければ作者冥利に尽きます。

    ＞……なお、私も途中まで死にネタかと思ってました。しかも泣く準備までしていたりして。
    ＞なので肩透かし半分、良かったなと言う安心感半分でしたｗ
    ○死ぬことはまったく考えていませんでした。誤解させてしまい申し訳ないです。いきなり病院の院長が出てきたのがまずかったかな。

    ＞なお、あんまり隙のない今作に強いて指摘するならば、ですけど。
    ＞若干ヒビキとウタの二人のやり取りに終始してしまっていて物語がちょっと小さく感じてしまう点が難点かなと。
    ＞院長先生じゃちょっと弱いので、この二人の間にツナギとして苦労人っぽい第三者を加えることでもっと良いメロディが奏でられると思うんですよね。
    まあ、あくまでそう思っただけですけども。
    ○キャラクター構成の問題でもありますね。ヒビキとウタがメインの物語なのですが、他のキャラクターがほとんど描かれておらず弱い。ライバルや親友といった、三番手四番手のサブキャラクターが不在な点も課題、あるいは追加できたであろう要素になると思います。参考になります。

    　ハイさんは今回作品参加はされなかったのですね。それでもなお多くの作品に感想をつけてくださいました。一企画参加者として、感謝申し上げます。

    ＊新たに『下げ』についてご意見を頂きまして、まことにありがとうございます。順番を迷いましたが、まずお一方ずつへの返信を完了した後、改めて返信させていただきたいと思います。

    　感想、ありがとうございました！

    E-Mail pass
2020年01月04日 00時09分45秒
 +20点
  • 拝読いたしましたので感想など残させていただきます。当たり前ですが素人の意見ですので取捨選択をお願いいたします。

    ・「オーソドックス」にいい話でした。青春物語というか、なんというか。今回の企画は「終わりと始まり」ですので、シリアスに振っている作品が多い中で一種の清涼剤のような、さわやかな読後感で、純粋に物語として楽しめました。王道というのは読んでいて楽しいものです。

    ・一方で、「オーソドックス」すぎた感は否めません。物語には苦難があるべきというのは昔から言われていることです。青春物語なんだからお互いの主張がぶつかるのが苦難なんだよ！　と言われればその通りなのですが、展開上のアクセントになるような、二人が反目したり、キーになるキャラを増やしてみたり（ヒビキとウタ以外のキャラは物語構成上の舞台装置で、彼らに何か二人の関係性に関わってくるような誰かがいても面白い気がします）、あるいはヒビキが苦悩したり（向上心を持って努力をしているヒビキと同じくらいにウタは歌がうまい、という設定なので、向上心も努力もあまりしないウタにヒビキが嫉妬するのも関係性を崩すための要素としていいかもしれません）といった、二人の関係性を崩す場面にスポットを当ててほしかったなと思います。

    ・以下は蛇足でしかないことですが、私が深読みしすぎているせいでしょう、「ヒビキと一緒に世界一の歌手になる」という夢を断るシーンといい、病院の院長と懇意なことといい、私にはどうにも死亡フラグのように思えて仕方なかったです。その予想が裏切られてよかったと思う反面、ストレートに物語が終わってしまったことを少しもったいないなと思う自分もいて、不思議な気持ちになりました。

    失礼いたしました。

    E-Mail pass
Re: 2020年01月15日 05時52分49秒
  • 　すぎさん、感想ありがとうございます！

    ＞・「オーソドックス」にいい話でした。青春物語というか、なんというか。今回の企画は「終わりと始まり」ですので、シリアスに振っている作品が多い中で一種の清涼剤のような、さわやかな読後感で、純粋に物語として楽しめました。王道というのは読んでいて楽しいものです。
    ○ありがとうございます。確かに今回の企画はシリアスなお話が多かった印象でした。
    　オリジナリティを交えながら王道を描く、は自分の理想ですね。

    ＞・一方で、「オーソドックス」すぎた感は否めません。物語には苦難があるべきというのは昔から言われていることです。青春物語なんだからお互いの主張がぶつかるのが苦難なんだよ！　と言われればその通りなのですが、展開上のアクセントになるような、二人が反目したり、キーになるキャラを増やしてみたり（ヒビキとウタ以外のキャラは物語構成上の舞台装置で、彼らに何か二人の関係性に関わってくるような誰かがいても面白い気がします）、あるいはヒビキが苦悩したり（向上心を持って努力をしているヒビキと同じくらいにウタは歌がうまい、という設定なので、向上心も努力もあまりしないウタにヒビキが嫉妬するのも関係性を崩すための要素としていいかもしれません）といった、二人の関係性を崩す場面にスポットを当ててほしかったなと思います。
    ○これはもうその通り過ぎて謝るしかないですね。拙作のミスを的確に見抜かれてしまいました。精進します。
    　苦難の方向性かあ……ストーリーを考えるとやっぱりここが重要になってくるんですよね。技術としては理解していても、実際の展開に当てはめるのが難しい。今回はすっぽり抜けているので、色々と想定しながら今後に生かしていきたいと思います。

    ＞・以下は蛇足でしかないことですが、私が深読みしすぎているせいでしょう、「ヒビキと一緒に世界一の歌手になる」という夢を断るシーンといい、病院の院長と懇意なことといい、私にはどうにも死亡フラグのように思えて仕方なかったです。その予想が裏切られてよかったと思う反面、ストレートに物語が終わってしまったことを少しもったいないなと思う自分もいて、不思議な気持ちになりました。
    ○他の方にも同じようなことを言われましたが、作者は全く意識していませんでした。いらんフラグを立ててしまったようです。読者の視点をきちんと把握できていない。反省です。

    　すぎさんの『渋谷で人の終わりと始まりを見続ける少女メア』は、不思議な少女のお話でした。誕生または死を見るときの不思議な現象や、渋谷という固有名詞など、映像化すると映えそうな物語だと思います。

    　感想、ありがとうございました！


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2020年01月03日 17時52分29秒
 +20点
  • こんばんは、猫目青と申します。本作を読ませていただいたので、感想を書かせていただきたいと思います。

    　よきお話でした。特に後半のクリスマスコンサートは、みんなが力を合わせてコンサートを完成させていく過程がトラブルを通じて上手く描かれていると思います。一見、頑固そうにみえるウタさんが歌に関して柔軟な考えも持っていることがわかる、練習の場面もかなり好印象でした。
    　対照的な性格でであるヒビキとウタのやり取りも、二人の持ち味が出ていて楽しめました。
    　
    　半面、『歌』というものは何なのか、これを知識としてきちんと伝えて頂きたいと思いました。例えば、音大を目指しているという設定。この設定が、いまいち現実感がなくてピンときませんでした。自分の周囲に、音楽に携わっている人がいないせいだと思うんですが、音大がどういう所なのか、どうしてウタは普通の人が選ばないような進路に進もうとしてるのか、ここをもうちょっときちんと描いて欲しかったです。
    　あとは、歌っているシーンは臨場感があってよかったのですが、ウタとヒビキが楽譜を読みながらクリスマスソングを決めるシーンがあってもよかったように思えます。

    　いろいろと書きましたが、歌を通じて二人の少女の友情を描いた素晴らしい作品でした。読ませていただきありがとうございます。




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Re: 2020年01月15日 05時51分07秒
  • 　猫目青さん、感想ありがとうございます！

    ＞よきお話でした。特に後半のクリスマスコンサートは、みんなが力を合わせてコンサートを完成させていく過程がトラブルを通じて上手く描かれていると思います。一見、頑固そうにみえるウタさんが歌に関して柔軟な考えも持っていることがわかる、練習の場面もかなり好印象でした。
    ＞対照的な性格でであるヒビキとウタのやり取りも、二人の持ち味が出ていて楽しめました。
    ○ありがとうございます。ヒビキの後輩への叱責は、ウタの影響も大きいと思うんですよね。ただ、今は少し変わって厳しくしながらも期待を失わない。
    　でも、そうした変化やウタの影響があるという描写はない……作者が書けてない。ダメな作者ですみません……。
    　ヒビキとウタのやり取りは作者も書いていて楽しかったです。本音で語り合えるからこそのおかしさみたいなのが出せたかなと思います。

    ＞半面、『歌』というものは何なのか、これを知識としてきちんと伝えて頂きたいと思いました。例えば、音大を目指しているという設定。この設定が、いまいち現実感がなくてピンときませんでした。自分の周囲に、音楽に携わっている人がいないせいだと思うんですが、音大がどういう所なのか、どうしてウタは普通の人が選ばないような進路に進もうとしてるのか、ここをもうちょっときちんと描いて欲しかったです。
    ＞あとは、歌っているシーンは臨場感があってよかったのですが、ウタとヒビキが楽譜を読みながらクリスマスソングを決めるシーンがあってもよかったように思えます。
    ○これはもう作者の素人振りが露見しましたね。世界一の歌手になるなら歌を専門的に勉強するべきだろう、なら音大だな！　という初心者発想そのままなのがまずかったのではないかと思います。
    　ウタに関しては、動機付けがきちんとできていないのだと思います。困っている人を助けたい、そういう人たちを歌で元気づけたい。エピローグで言っていたそれを、もっと早い段階で一度描写しておく必要があったのだと思います。まだまだ構成が未熟であると痛感します。

    ＞いろいろと書きましたが、歌を通じて二人の少女の友情を描いた素晴らしい作品でした。読ませていただきありがとうございます。
    ○こちらこそ、読んでいただきありがとうございました。

    　猫目青さんの『星の塔』は、すごく世界観がきれいなお話だと思いました。あの世界観ならば、長編にも充分に耐えうる魅力があると確信します。

    　感想、ありがとうございました！

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2020年01月03日 15時27分09秒
 +30点
  • 拝読しましたので、感想を書かせていただきます。

    キャラも物語も素直で、竹を割ったように真っすぐな力のあるストーリーでした。

    冒頭、合唱コンクールのシーンで、いきなりヒビキがウタを引っぱたきます。普通こういうプロローグはそのあと時間が遡って、二人が衝突するに至った経緯を示すという構成が多いような気がします。そういう流れなのかなと思って最初は読んでいたのですが、そうではなく冒頭シーンは過去の出来事で、シンプルに前へ進んでいくストーリーでした。

    ヒビキとウタ。どちらも魅力的なキャラでしたが、ヒビキは主人公としては少し特異な感じもしました。

    ＞「私は歌が好き。そして、飛びぬけて歌が上手い。だからより上手くなるために音大に行きたいし、世にいる誰よりも上手くなれる自信がある。おかしい？」

    飛びぬけて歌が上手い、と言い切ってしまうんですね。
    悪く言えばやや傲慢。「理想」という言葉をしょっちゅう口にするし、少し鼻につく読者もいるかもしれません。ただサッパリした性格なのもわかりますし、これでいいのかもしれないとも思ました。
    冒頭でウタをビンタするエピソードから、終盤の病院コンサートでの行動までブレがありませんでしたから、うん、これでいいのでしょう。主人公だからって、何もみんなイイ子ちゃんでなくてもね。

    理想という言葉ですが、

    ＞「みんなも、合唱は一人一人の歌声で作るもの。だから一人一人が、みんなで歌う完成したイメージを持たないとダメ。全員で理想の歌を歌い上げるため、そのために一人一人が理想の歌を歌い上げる。それが合唱だと私は思っている」

    ＞「まずみんなの歌を外から聞いて。そしてもう一度、私達が歌い上げようとしている理想の歌のイメージをしっかり固みなさい。そして、足りない一ピースを埋めるために、自分が歌うべき理想の歌をイメージする。理想のイメージができれば、後は歌えるように練習を繰り返すだけ。わかった？」

    ここで彼女が言っている「理想」とは、分不相応な高みという意味ではなく、当面目指しているものが完成した時の形をイメージするということなんですね。それをイメージしていれば近づくための努力がしやすいし、何が足りないのか判断もしやすいということ。
    その考え方には大いに同意できましたが、「理想」という言葉が誤解されてしまうかもしれません。

    後半、半分近くの尺を病院コンサートに使っていました。
    これが良かったと思います。前半部分のストーリーは素直で好感が持てましたが、起伏が殆どなかったんですね。ヒビキとウタの一番の衝突は冒頭で早々とすませてしまっていて、病院コンサートに出る出ないの押し問答は葛藤というほどではないですし。あっさりし過ぎていたので、どうするのかなと。
    その答えは、ストレートにコンサートそのもので盛り上げるという、ど真ん中の剛速球でした。
    野球マンガなら山あり谷ありが作りやすいスポーツですから試合だけで盛り上げるというのも珍しくありませんが、病院のクリスマス・コンサートでこれだけ盛り上げたのは素晴らしかったと思います。
    単に盛り上げるだけでなくキャラの個性も十二分に見せつけていました。いきなりのトラブルへのヒビキの冷静な対応、歌にくわえて明るく全身で会場を巻き込んでいくウタの個性。『あわてんぼうのサンタクロース』など歌にからめて沸かせたり、最後の最後に停電というアクシデントを起こしたり。あの手この手で丁寧に盛り上げたのが素晴らしい手際で、見習いたいと思いました。

    エピローグで打ち明けられたウタの「進路」も、ウタらしさを損なわずに意外性もあり、良い締めくくりでした。


    私からはこれくらいです。企画参加お疲れさまでした。

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Re: 2020年01月15日 05時49分21秒
  • 　あまくささん、感想ありがとうございます！

    ＞キャラも物語も素直で、竹を割ったように真っすぐな力のあるストーリーでした。
    ○ありがとうございます！　『まっすぐ』は作者が理想とする部分でもあります。
    　あまり変化球を投げられなくなったという面もありますが。

    ＞冒頭、合唱コンクールのシーンで、いきなりヒビキがウタを引っぱたきます。普通こういうプロローグはそのあと時間が遡って、二人が衝突するに至った経緯を示すという構成が多いような気がします。そういう流れなのかなと思って最初は読んでいたのですが、そうではなく冒頭シーンは過去の出来事で、シンプルに前へ進んでいくストーリーでした。
    ○そうですね、本来はそういう構成になっている作品が多いと思います。もう少し時系列を早めに提示してわかりやすくする必要があったと思います。作者が読者的視点を理解しきれていない部分でした。反省です。

    ＞ヒビキとウタ。どちらも魅力的なキャラでしたが、ヒビキは主人公としては少し特異な感じもしました。
    ＞飛びぬけて歌が上手い、と言い切ってしまうんですね。
    ＞悪く言えばやや傲慢。「理想」という言葉をしょっちゅう口にするし、少し鼻につく読者もいるかもしれません。ただサッパリした性格なのもわかりますし、これでいいのかもしれないとも思ました。
    ＞冒頭でウタをビンタするエピソードから、終盤の病院コンサートでの行動までブレがありませんでしたから、うん、これでいいのでしょう。主人公だからって、何もみんなイイ子ちゃんでなくてもね。
    ○自信を持つこと自体は、決して悪いことではないと思うんです。ただ、それで相手を見下したり、鍛錬を怠るようなことをしてはいけない。
    　確かにあまり良い印象は持たれないかもしれませんが、そうした面を一人で練習するシーンや、後輩への叱責のシーンでうまくフォローできていれば尖った部分の緩衝材になって、格好良さだけを上手く残せないかなと祈っておりました。

    ＞理想という言葉ですが、
    ＞ここで彼女が言っている「理想」とは、分不相応な高みという意味ではなく、当面目指しているものが完成した時の形をイメージするということなんですね。それをイメージしていれば近づくための努力がしやすいし、何が足りないのか判断もしやすいということ。
    その考え方には大いに同意できましたが、「理想」という言葉が誤解されてしまうかもしれません。
    ○目標が定まると、そのためにやるべきことがわかる。誰の言葉だったかは覚えていませんが、そういうイメージがありました。しかしそうか、誤解を与える可能性も確かに考えられましたね……言葉は難しいですね。

    ＞後半、半分近くの尺を病院コンサートに使っていました。
    ＞これが良かったと思います。前半部分のストーリーは素直で好感が持てましたが、起伏が殆どなかったんですね。ヒビキとウタの一番の衝突は冒頭で早々とすませてしまっていて、病院コンサートに出る出ないの押し問答は葛藤というほどではないですし。あっさりし過ぎていたので、どうするのかなと。
    ○本来なら起伏を意識して起承転結になるよう描くべきでした。かろうじて体裁は整えることができましたが、積めるはずの面白さを積めなかったのは失策以外の何物でもなかったです。


    ＞その答えは、ストレートにコンサートそのもので盛り上げるという、ど真ん中の剛速球でした。
    ＞野球マンガなら山あり谷ありが作りやすいスポーツですから試合だけで盛り上げるというのも珍しくありませんが、病院のクリスマス・コンサートでこれだけ盛り上げたのは素晴らしかったと思います。
    ＞単に盛り上げるだけでなくキャラの個性も十二分に見せつけていました。いきなりのトラブルへのヒビキの冷静な対応、歌にくわえて明るく全身で会場を巻き込んでいくウタの個性。『あわてんぼうのサンタクロース』など歌にからめて沸かせたり、最後の最後に停電というアクシデントを起こしたり。あの手この手で丁寧に盛り上げたのが素晴らしい手際で、見習いたいと思いました。
    ○もう必死でしたね。Youtubeで実際のクリスマスコンサートの映像を見たり、自分が見たコンサートでどんなことをしていたかを思い出しながら、何か何かと考えました。

    ＞エピローグで打ち明けられたウタの「進路」も、ウタらしさを損なわずに意外性もあり、良い締めくくりでした。
    ○ありがとうございます。どこからともなく頭に降ってきた進路でした。ただ、自分でも彼女らしいなと思いますし、毎年何かしら災害が起き、世界的に見れば難民が溢れているこの世界で、彼女の夢は少なからずリアリティを持つのではないかと思っています。

    　あまくささんの『サニーサイドアップに最適の日』はとても雰囲気が魅力的で、描かれている世界観が最高に面白い。というか、タイトルが最高に格好良いじゃないですか！　あのタイトルセンスは本気で羨ましいです。

    ＊新たに『下げ』についてご意見を頂きまして、まことにありがとうございます。順番を迷いましたが、まずお一方ずつへの返信を完了した後、改めて返信させていただきたいと思います。

    　感想、ありがとうございました！

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2020年01月03日 15時13分56秒
 +30点
  • 明けまして、おめでとうございます。
    肉球と申します。
    御作を拝読しましたので、感想を残していきたいと思います。

    ( *´ω`*)良い……
    とてもよかったです。
    タイプの違うヒビキとウタの友情、そしてポジティブな別れが、ユーモア溢れる読みやすい文章で描かれた、素敵な作品だと思います。

    何より二人のやりとりがとても良かったです。
    テンポが良く、所々でクスっと笑える。
    読んでいて飽きが来ず、いつまでもこの二人の掛け合いを見ていたいなと思いました。

    やがてやってくる避けられない別れの時、二人はお互いの夢を認めながらも、
    交わることのない道を行くことを選ぶ。
    少し切なさもあるんですけど、それ以上にこの企画のテーマである爽やかな『終わりと始まり』を見ることが出来て、満足しました。

    不満点はほとんどないんですけど、一点だけ。
    ヒビキとウタの物語上の役割として、どうしても困った時のヒビキ頼み感が出てしまっている気がしました。
    例えば、ピアノが無い場面、電気が消えた場面、共になんとかするのはヒビキです。
    個人的には、二人にはタイプの違いを生かしてお互いを支え合っている関係でいてほしいと思っております。
    ですから、ヒビキがウタに頼るシーンもあっていいかなって。
    そんなシーンがあれば、お互いを補完し合う関係として、最後の別れのシーンがより映えるんじゃないかと愚考いたします。

    以上となります。
    楽しませていただきました。
    取捨選択の上、少しでも参考としていただける部分がございましたら幸いです。
    失礼しました。

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Re: 2020年01月15日 05時42分52秒
  • 　肉球さん、感想ありがとうございます！
    　そして優勝おめでとうございます！

    ＞とてもよかったです。
    ＞タイプの違うヒビキとウタの友情、そしてポジティブな別れが、ユーモア溢れる読みやすい文章で描かれた、素敵な作品だと思います。
    ○ありがとうございます。終わりと始まりというテーマをどう消化するかを考えた時、あらゆる物語が本当は終わりと始まりなんだよな、という解釈をしました。何かが終わり、次なる何かが始まる。なので特別なことはあまりせず、最後を描いて未来を予感させればそれは『終わりと始まり』になるのではないかと。

    ＞何より二人のやりとりがとても良かったです。
    ＞テンポが良く、所々でクスっと笑える。
    ＞読んでいて飽きが来ず、いつまでもこの二人の掛け合いを見ていたいなと思いました。
    ○二人の掛け合いは自分でもお気に入りです。笑いに走るというより、自然発生的なやり取りが描けたような感覚がありました。まったくタイプが違うこと、二人ともきちんと目標を持っていることが、良い方向に作用したのかなと思います。

    ＞やがてやってくる避けられない別れの時、二人はお互いの夢を認めながらも、
    ＞交わることのない道を行くことを選ぶ。
    ＞少し切なさもあるんですけど、それ以上にこの企画のテーマである爽やかな『終わりと始まり』を見ることが出来て、満足しました。
    ○高校生とはそういう時期ですからね。互いに目標を見据えているので、甘い馴れ合いはしない。感謝と尊敬と、ライバル心。言葉にできない相手への思いなどが出せていれば幸いです。

    ＞ヒビキとウタの物語上の役割として、どうしても困った時のヒビキ頼み感が出てしまっている気がしました。
    ＞例えば、ピアノが無い場面、電気が消えた場面、共になんとかするのはヒビキです。
    ＞個人的には、二人にはタイプの違いを生かしてお互いを支え合っている関係でいてほしいと思っております。
    ＞ですから、ヒビキがウタに頼るシーンもあっていいかなって。
    ＞そんなシーンがあれば、お互いを補完し合う関係として、最後の別れのシーンがより映えるんじゃないかと愚考いたします。
    ○そうですね、もう少し考えることができたかと思います。
    　やっぱり純粋に枚数が足りないんですよね。大体一章分不足しているから、作者のイメージと比べて出せてない側面が多く残ってしまう。それぞれにできること、できないことを補完し合う、もう少し言えば影響を与え合う関係ではあると思うんですが、それを実際のシーンで出せていないのだと思います。
    　例えば、そもそもヒビキが直接クリスマスコンサートの話を聞いても受けなかったでしょうし、コンサートのシーンで歌いながら踊って子供たちも巻き込みながら盛り上げるなんて芸当はウタにしかできません。ただ、冷静な判断が必要なときに、ヒビキの方が早く判断を下せたということでした。
    　コンサートのMCをアドリブを交えながらやっていること（院長の話の切断や、電子ピアノを持ってくる勝又の辺り）を強調したり、リハーサルではやってなかったダンスの振り付けなどを意図して描写すると、おそらくご指摘の点もフォローしながら両者の長所として描けたのではないかと思います。やっぱり、ところどころ足りない部分が出ています。

    ○肉球さんの『歳末のバビロン』は、とにかく完成度が高かった。あらゆる点で完璧で、まさにぐうの音も出ないという読後感でしたね。優勝にふさわしい傑作だったと思います。

    　感想、ありがとうございました！

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2019年12月31日 18時09分40秒
 +30点
  • 　こんばんは、らいかです。冬企画、お疲れさまでした。作品を拝読いたしましたので、感想を書かせていただきますね。

    　とても良いお話で、面白かったです。ストイックで完璧な歌を表現したいヒビキと天真爛漫に歌を全力で楽しみたいウタ。二人の友情のお話は読み終わった後、とても心が温かくなりました。

    　歌に対する姿勢から衝突し和解するまでのお話かなと思いきやアクシデントもうまく取り入れられ、解決するまでの流れには感情移入してハラハラさせられました。アクシデントが冷静なヒビキちゃんの時で良かったなと、心底ホッとしましたよ……。

    　ちなみに院長先生登場の時、「死んじゃう系だと嫌だなぁ」と本気で心配したので、そうならなくてよかった……。

    　これから先、二人が道をたがえ遠く離れたとしても、お互いの存在が支えになるんだろうなと思いました。

    　良い作品をありがとうございました。

    　らいか

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Re: 2020年01月15日 05時40分08秒
  • 　来栖らいかさん、感想ありがとうございます！

    ＞とても良いお話で、面白かったです。ストイックで完璧な歌を表現したいヒビキと天真爛漫に歌を全力で楽しみたいウタ。二人の友情のお話は読み終わった後、とても心が温かくなりました。
    ○ありがとうございます。ヒビキとウタのキャラクターはどちらもお気に入りで、手前味噌ながら自信もありました。互いの才能と努力を認め合い、友情とも恋愛とも異なるとても特別な存在。上手く書けていれば幸いです。

    ＞歌に対する姿勢から衝突し和解するまでのお話かなと思いきやアクシデントもうまく取り入れられ、解決するまでの流れには感情移入してハラハラさせられました。アクシデントが冷静なヒビキちゃんの時で良かったなと、心底ホッとしましたよ……。
    ○そうですね、あの導入だと確かにそういうお話になる傾向が強いように思います。叶井ヒビキと青空ウタというキャラクターを端的に紹介する意味で考えたような覚えがありますが、どう受け取られるかについてはいろんな可能性を考えておく必要がありそうです。
    　アクシデントについては、これはもう付け焼刃でしたね。なんとか盛り上がるようにと苦心した結果でしたが、どうにか成功と言っていいところまで行けたかな。特筆しているわけではありませんが、停電のときにヒビキが歌で収拾を図る中、素早く後輩をまとめてサビまでに準備を整えたのは落ち着いたウタなんですよね。そして、ウタが後輩をまとめてくれるだろうことがわかっているからヒビキは100パーセント自分の歌に集中できる。こうした信頼関係を、もっと強く描けたらよかったかなと思います。

    ＞ちなみに院長先生登場の時、「死んじゃう系だと嫌だなぁ」と本気で心配したので、そうならなくてよかった……。
    ○困難は入れるべきだったと思っていましたが、ウタが死んじゃう話というのは考えていませんでしたね。せいぜいが海外に行くぐらい。こういう予想をした人が多く驚きました。受け取られ方の可能性を把握しきれていない作者の甘さを感じます。

    ＞これから先、二人が道をたがえ遠く離れたとしても、お互いの存在が支えになるんだろうなと思いました。
    ○ただ隣にいて、わいわいと話しながら遊ぶ友達ではなく、友達ともライバルとも言い表しきれない、互いに大きな存在。卒業後、彼女たちがもう一度会うことがあるのかどうかすらわかりませんが、何より大きな存在であり続けるのだろうなと思います。
    　そういう存在として上手く描けていれば、作者冥利に尽きます。

    ○来栖らいかさんの『かぐわしい嘘と甘い毒薬』はとてもラブラブハートフル学園恋愛コメディサスペンスホラーバトルでした。ついでにミステリもあったように思います。表の顔と裏の顔を使い分けるようなお話、自分もいずれ書いてみたいなと思わせるお話でした。

    　感想、ありがとうございました！

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