カニカマさん

Rev.01 枚数: 21 枚( 8,276 文字)

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 これは平成が終わろうとしてる時代に、カニカマさんと呼ばれる女性派遣社員の物語です。
 元々、カニカマさんはプログラマーになるべく専門学校で勉強をしていたのですが、おっとりとした性格と要領の悪さが影響して就職に失敗してしまいました。
 それでもなんとか無職にならずに済んだのは、その道をあきらめて小さな印刷会社に就職したからです。
 そこでカニカマさんは『組版』という、雑誌や広告などのレイアウトを『組』み、印刷のための『版』をパソコンで作るDTPオペレーターとなりました。
 なんの知識もないところからはじめた組版は難解で、要領の悪さも重なってなかなか会社の役に立つことができません。
 それでもコツコツと働いているうちに技術は向上し、また、自分で仕事の補助をするマクロ(簡易プログラム)を組めるので仕事の効率化に成功します。そのせいもあって周囲から一目置かれる存在にまで成長していきました。
 もっとも、賞与どころか残業代も出ない会社で頼りにされることは、所得に影響しない苦労が増えるだけでしたが……。
 そんなカニカマさんの楽しみは、お昼と終業後にカニカマを食べることでした。近所のスーパーで購入した10本入りのものを1週間かけて楽しみます。
 たった一本のカニカマを楽しみにしている彼女を、同僚たちは『そんなにも貧しいのか』と哀れみましたが、制限をしているのは金銭的な事情からではありません。それを外せば、自分がカニカマばかり食べ続けるだろうことを憂いているのです。
 あまり賢くはないカニカマさんでしたが、カニカマばかりを食べていては栄養バランスが崩れるだろうと気にしていました。
 もっとも入社時に必須スキルを持たずに入社した彼女の初任給が最低辺だったのは紛れもない事実で、同僚たちの彼女への評価はあながち間違ってはいませんでした。

 給金が安く面倒な労働を強いられる毎日であってもカニカマさんは会社への献身を続けます。そこには行き場のない自分を雇ってくれた恩義がありました。
 ただ、彼女とおなじように考えていた者は少なく、ほとんどの社員が過酷な労働条件に辟易して辞め、会社は慢性的に人手が足りない状況にあります。
 そうした不足を補うため奮闘しているうちにカニカマさんの技量はますます向上します。先輩社員たちが逃げ出すように消えていったこともあり、彼女は入社2年目にして古株の扱いを受けるようになりました。ただでさえ忙しい通常業務のかたわら、新入社員たちへの指導も受け持ちます。教えても教えても辞めていく新人たちに無力感を感じるカニカマさんでしたが、それでも何人かは会社に残り、貴重な戦力として働いてくれるようになりました。
 されどそんな彼女の苦労は報われず、会社の倒産という結末を回避することができませんでした。

 身を粉にして働いてきた職場を失ったことは、カニカマさんにとって大変ショックなことでした。
 これまでの献身が報われなかったこともそうですが、また就職活動をはじめなければならないことが憂鬱でしかたありませんでした。不採用を繰り返し突きつけられたことは悪夢と言っても過言ではありません。
 そんな不安にかられたカニカマさんでしたが、人生二度目の就職活動は意外にもすんなりと終わりました。
 面接の場で過去に自分が作成した成果物や、使用できるソフトの一覧を提示したところ『若いのにたいしたものだ』と二つ返事での採用となったのです。
 最初の会社では難解で急ぎの仕事が多く、また様々な難事に関わっていたせいもあり、カニカマさんはベテランオペレーター顔負けの技術と知識を得ていたのです。
 以前よりも容易な作業を少ない時間しか働いていなかったにもかかわらず彼女の収入は跳ね上がりました。その時になってカニカマさんは自分が世間でブラック企業と揶揄される会社に勤めていたことに気づきます。それでもなにもできなかった自分に仕事のきっかけを与えてくれた会社への恩義は消えていませんでしたが……。
 新しい会社で順調に働いていたカニカマさんでしたが、すべてがそうであった訳ではありません。
 鉄火場同然のあわただしい職場で、どうやって『確実』に、そして『手早く』仕事を終わらせるかばかり考えていたカニカマさんには、仕事外の技術……つまりは対人スキルの成長がともっていなかったのです。
 その結果、与えられた仕事は順調に進められるものの、他のオペレーターたちからの評価はそれに反するものでした。
 それまで仕事の中心にいたベテランオペレーターからは『あいつは愛想がない』と嫌われ、中には『おまえのせいで残業代が稼げなくなった』などと罵倒する輩まで現れます。
 また、カニカマさんが面倒な仕事を嫌な顔ひとつせずに引き受けるので、他のオペレーターたちも同様のレベルを求められることになったのも彼女に辛く当たられる原因のひとつでした。
 ただ真面目に働いているだけなのに、辛い仕打ちを受けることになったカニカマさんは精神の平静を失ってしまいます。そして2年ほどその会社にお世話になったあと、こんどは自らの意志で会社を去ることになりました。

 ふたつの会社で業界の状況を学んだカニカマさんは、こんどはDTPオペレーター以外の職種に就こうと考えます。
 しかしその希望は叶いませんでした。
 どの企業も『新卒』か『熟練者』以外の募集を行ってはいなかったのです。
 もちろん、転職者で経験がなくとも条件次第で採用という募集もありましたが、それらはどれも高倍率でカニカマさんに声がかかることはありません。
 結局、他の実務経験を持たないカニカマさんはDTPオペレーターを続けるしかありませんでした。
 カニカマさんは大好きなカニカマで心を癒やしながらも、次の勤め先を吟味していきます。
 そんな彼女に一件の連絡が入ります。
 それは最初に勤めていた会社と取引のあった、印刷機器を扱う会社の営業からでした。
 内容は新規に派遣事業を立ち上げるのでカニカマさんもそれに登録してみないかという誘いでした。
 カニカマさんは、自身の希望に見合う募集が見つけられなかったこともあり、その話を受けることにしました。
 派遣会社から紹介された職場は、数名程度の規模の小さな印刷会社で、住居から遠かったものの、みな人当たりのよくて充実した仕事を行うことができました。
 また派遣会社からの推薦もあり、苦手な面接も乗り越えることができたのがカニカマさんにはありがたいことでした。
 さらには派遣会社から『契約外の仕事をしない』よう注意されていたので、電話取りなどの雑務からも解放され、オペレーターとしての仕事に一層集中できるようになります。
 そのことにより、より高度な仕事をより短時間でこなせるよう成長しましたが、そればかりに夢中になるカニカマさんは人付き合いに関しての成長は伸びません。
 その結果が徐々に周囲との齟齬を生み、契約を繰り返すうちに彼女の心をすさませ、また次の派遣先へと移動することになりました。

 それから技量の高いカニカマさんは、短期間で難易度の高いプロジェクトへの参加を繰り返すことになります。
 何百ページにもなる大企業の名簿作成。
 数千人分の名刺作成とデータの管理。
 分厚い辞書とその目次の作成では扱うデータがあまりに大きすぎ、幾度となくフリーズ障害に泣かされました。
 そうやって職場を転々としていくうちに月日が経ちます。

 次にカニカマさんに紹介された職場は十数名程度の小規模な印刷会社でした。
 納期の短い細かな仕事が多くて忙しかったものの、現場のオペレーター同士の仲が良く居心地のよい環境でした。
 また最初の会社で後輩だった年下の青年と偶然再会し、後輩と先輩の立場が逆転するという珍事も起こりました。
 その年下の先輩が以前の呼び方をしていたため、その職場でもカニカマさんと呼ばれるようになりました。もちろんそれには彼女の趣向が変わっていなかったことも理由にあります。
 カニカマさんはそれまでに蓄えたノウハウでその職場でも成果をあげていきます。
 ただ多種多様な仕事やトラブルに対応できるカニカマさんといえど、すべてを十全にこなせるわけではありません。
 広告などのデザインに関しては、本業のデザイナーにはおよびません。むしろ時間をかけてデザインに専念できるデザイナーと、多くの仕事を手早く処理することを念頭に置いたオペレーターの仕事を同一視されては困るのです。
 それでも『デザイナーに頼む時間も金もない』と言われれば対応するしかありません。
 若いうちにはデザイナーという職業に漠然と憧れたカニカマさんでしたが、それは才能あふれる極一部の者にしか成れない職業であるとあきらめていました。そんな憧れだった仕事に、こんな身も蓋もない理由で関わるようになったのは複雑な心境でした。
 専門的なデザインの勉強などしたことなどないカニカマさんでしたが、これまでの経験を活かしてデザインの仕事もソツなくこなします。
 しかし、そのソツのデザインに満足してくれない人もいました。
 それは取引先と直接交渉する営業部長です。営業部長はカニカマさんにもっとインパクトがありハイセンスなデザインにするようやり直しを要求しました。
 それならばと、デザイン素材の充実や作業時間の確保を願うカニカマさんでしたが、そもそも『時間』と『金』の両方が用意できないから彼女に回された仕事です。当然、要求は通らずに却下されてしまいます。
 最終的に時間切れという形で営業部長が妥協することになるのですが、そこにたどり着くまでにカニカマさんも相当に消耗しました。
 営業部長はカニカマさんに自分の仕事に全力を尽くすよう要求しますが、彼女は他の営業の持ち込んだ仕事にも対応しなければなりません。そんなことが繰り返されればストレスでしかありません。
 営業部長とカニカマさんは互いの仕事に不満を持つようになります。
 それでも彼女は仕事に対する真摯な姿勢を崩しません。中間に入る営業担当に不満があっても、取引先に迷惑をかけることはプロとしての矜持が許さないからです。
 それでも身体と精神に折り重なった疲労は、彼女に次の派遣契約の更新を断ろうと考えていました。

 トラブルが起きたのが師走だったのはある意味必然だったのかもしれません。
 与えられた条件下で最善を尽くしたカニカマさんのデザインに、営業部長がいつものようにやり直しを要求します。
 職場の誰もが疲労し作業を進める手は鈍くなっています。そんなときに主戦力であるカニカマさんが余分な仕事で動けなくなれば、作業者全員の負担になります。
 あげく、営業部長は『カニカマなんかで満足してるから、おまえのデザインはアカ抜けないんだ』『こんなセンスじゃ次は更新してやらんぞ』などと暴言まで吐きます。
 さすがに温厚なカニカマさんでもこの言葉には憤りを感じました。契約更新などこちらからお断りだと声を張り上げようとします。
 しかし、彼女よりも先に動いた人がいました。
 それは陰ながら彼女を慕っていた年下の先輩でした。
 年下の先輩は、カニカマさんがいかに営業の持ち込む無理難題にこたえていたか、彼女が来てくれたおかげでどれだけ作業時間が短縮され、終電に駆け込む毎日から解放されたかを進言します。
 そもそも彼女のセンスを疑問視するのならば、まえもって回避するための条件を整えるのが営業の役目ではないか。無茶な要求ばかり受けておきながら、ろくに利益も出せない営業こそ猛省すべきだと営業部長を糾弾します。
 先輩の勢いは当事者であるはずのカニカマさんが引くほどでしたが、他の同僚たちも彼と同意見だったらしく、みなが営業部長に厳しい視線をぶつけます。
 厚顔な営業部長も己の過失に気づき、不承不承ながらも自らの発言を謝罪しその場を収めました。
 突然の展開に驚いたカニカマさんでしたが、自分が思った以上に他者から評価されてることを恥ずかしくもうれしく思いました。
 すでに次の職場へ移る気でいた彼女でしたが、これを機にもう少しこの場で頑張ろうと考えはじめます。
 カニカマさんは自分に助成してくれたお礼にと、年下の先輩にカニカマを進呈しようとしますがそれは辞退されてしまいました。
 断った本人は、相手の楽しみを奪っては申し訳ないという思いやりがあったのですが、断られた方は自分の好物を受け入れてもらえなかったことにショックを受けていました。

 営業部長との不和はその後の仕事に影響するのではないかと懸念されましたが、そんなことはありませんでした。
 むしろオペレーターたちから詰め寄られたことを反省したのか、歩み寄りの姿勢を見せ『忘年会でおまえに本物の蟹を食わせてやる』と言い出します。
 正直、それはカニカマさんにありがた迷惑な話でした。
 蟹など口にしたことない彼女にとってカニカマこそが本物。
 代用品としてカニカマを食べているのではなく、カニカマ独特の味と触感を好んで食べているのです。部長の提案はそれを否定しているようで不服でした。
 しかしながら、そう感じていたのはカニカマさんだけでした。経費で高価なものが食べられると周囲には肯定的な空気が漂っています。
 そんな空気を壊せる胆力はカニカマさんにはありません。その場の雰囲気に流され、営業部長にお礼を言うことになりました。
 
――忘年会当日
 急な仕事が舞い込んだせいで、結局カニカマさんは出席を見合わせることになりました。
 急な入校は珍しくなく、手の早い彼女が請け負うのはいつものことです。
 それを持ち込んできた、中年の営業が『明日の朝までによろしく』と気軽に言って、自分は平然と忘年会に出席しているのはいささか腹立たしくはありましたが、忘年会を辞退する口実ができたと胸をなでおろします。
 蟹の味に興味がなくはなかったものの、酒の席が得意ではない彼女には仕事に興じている方が性にあっていたのです。
 カニカマさんがひとり会社に残り仕事を進めていると、不意に電話がなり響きました。
 昼間なら契約外の業務であると無視するカニカマさんでありましが、いまは社内に自分しかいません。
 夜間に電話がかかってくるケースは稀で、その場合は急なトラブルへの対処がほとんどです。トラブルへの対処にあたるのはカニカマさんなのですから、この電話を無視するわけにはいきません。
 覚悟を決め電話をとると、それは意外にも社長からの電話でした。

 カニカマさんが忘年会会場である海鮮居酒屋に到着すると、他の社員はみな赤ら顔で彼女を歓迎しました。
 カニカマさんはまだ仕事を残していることを気にしていましたが、社長が命じ、納期を先延ばしにさせたことで目の前の危機は去っています。
 それができるのなら、普段からして欲しいと思うカニカマさんでしたが、担当の中年営業が青ざめている様子をみると、言うほど簡単ではなかったのかもしれません。もっとも納期が伸びたからといって、仕事の総量が変わらないのであれば楽になったとは言い難いのですが……。
 それはさておき、カニカマさんは彼女のためにと用意された席に案内されます。
 そこに土鍋とコンロ、そして蟹鍋の具材が運び込まれました。
 ひとりで二~三人前用の鍋を使うのは仰々しく気が引けましたが、他にサイズがないということでそれを受け入れるしかありません。
 野菜とともに蟹を投入し茹でていきます。目の前で調理されていく様子に、さすがのカニカマさんの興味を覚えます。また、そんな自分に周囲が注目してるのにも気づきました。
 安物のカニカマばかり食べている自分が、本物の蟹を口にしたときにどのような反応をするか楽しみにしているのだと気づきます。芸人ではないのだから、過剰な反応を求められても困るとプレッシャーを感じていました。
 さらにカニカマさんの隣には忘年会への出頭を要請した社長が座り彼女に酌をはじめます。
 本来なら彼女から酌をしなければならない立場なのに恐縮しながらそれを受けます。
 年輩の社長は現場からのたたき上げで、現場に親身で大勢の社員に親しまれていました。ただその距離はカニカマさんには近すぎていささか緊張します。
 空腹での飲酒は胃にこたえるので、間に漬け物に箸を伸ばし酌を受けます。途中で切り上げたとはいえ、残業後なのでガッツリと肉を食いたいと思いましたが、唐揚げの類は若い男性社員に食われ尽くしたあとでした。
 寂しげなテーブルを観た社長から、追加注文を勧められたものの、すでに自分ひとりのために分不相応な鍋が用意されています。経費で落とすとはいえ、食べきれるかわからないものを増やす気にはなれません。
 そうこうしているうちに蟹がゆであがります。
 鍋の蓋をあけると、湯気とともに赤い甲良に包まれた蟹の姿があらわれます。
 普段、メインを後回しにするカニカマさんでしたが、みなの期待にこたえるため、さっそく蟹を取り皿に移します。
 慣れぬ手つきで、殻から身をほじくりだし、白い身を口に運びます。
 しかしながら、その味をうまく言葉で表現できませんでした。
 そのまま食べるカニカマとはちがい、暖かい蟹は魚とはちがう味わいがあります。しかしそれが美味いのか不味いのかハッキリしません。強いていえば『普通』といった感じです。
 それでも彼女のために場を設けてくれた営業部長や社長から『美味いか?』とたずねられれば、思ってなくても『美味しい』と答えねばなりません。
 作り笑いを浮かべつつ『美味しい』と答えたあと、カニカマさんはあることに気づきました。
 社長と営業部長は会社の中核となる人物です。つまり採用権限は彼らの手にあるといっても過言ではありません。
 普通にしていれば理不尽な目にはあわないだろうと、理屈ではわかるのですが、そのことを思うと次第に緊張してきました。
 以前は、別の職場に流れてもかまわないと思っていた彼女でしたが、本人が気づいていなかっただけで同僚たちは彼女に好意的だったのです。
 それまで仕事の戦力として彼女を頼りにする者は多かったものの、上司に逆らってまで彼女を守ってくれようとする同僚などこれまでいませんでした。
 なにより年を重ねるごとに、若い頃ほど無茶な仕事をするのが苦になっていきます。
 できることならば、そろそろ正社員として定住を考えたいという欲が脳裏を横切りました。
 その瞬間、酔っぱらいで詰まった忘年会会場がカニカマさんにとっての面接会場に変貌していました。
 営業部長から『美味いならもっと食え』と勧められれば、腹が満たされていても従って食べ続けます。
 あまり酒に強くなくとも、社長からの酌を断れようはずがありません。
 次第に飲み食いすることが、辛くなってきますが、それでもカニカマさんは人事権を持つ者たちの好感を得ようと必死に箸と口を動かし続けます。
 そんな時、他の女子社員がカニカマさんをみながらなにやら話しているのに気づきました。
 陰口などするような人たちではないだけに、そのことは気になります。
 そんなとき、隣にいた社長から『大丈夫か?』と声をかけられました。
 いったいなんのことだろうと思いましたが、意識が朦朧としてハッキリしません。
 アルコールを飲み過ぎたのかと思いましたが、そうではありませんでした。
 異変は身体にも現れ、ジンマシンが彼女の身体を覆います。さらには口からまるで蟹のように泡が吹き出しました。
 これまで気づかずにいたものの、カニカマさんは蟹アレルギーだったのです。
 普段口にしているカニカマは、魚を材料にした繊維状のカマボコを丸く固めたもので、アレルギーがでることがなく気づくことがありませんでした。
 連日の疲労と飲み慣れぬアルコールの摂取が災いして、一気にアレルギーが重傷化したのです。
 状況を察した店員が救急車を呼び、意識を失ったカニカマさんは夜の病院へと運ばれることになりました。
 幸い命に別状はなかったものの、酷い災難にあいました。
 後日、その場に会社の最高権力者がいたため、治療費は会社から出してもらえることになりました。
 忘年会での一件はその後の派遣契約に影響することもなく、彼女はその場で働き続けました。
 ただ、彼女の苦手意識はカニカマまで影響し、それっきり彼女が口にすることはなくなりました。
 それでも彼女をカニカマさんと呼ぶ声はなくなりませんでしたが……。

〔了〕
Hiro

2018年12月28日 01時38分32秒 公開
■この作品の著作権は Hiro さんにあります。無断転載は禁止です。

■作者からのメッセージ
◆テーマ:冬の鍋事情
◆キャッチコピー:チープな代用品じゃいけませんか?
◆作者コメント:とある話のオマージュのつもりです。

2019年01月23日 09時39分33秒
作者レス
2019年01月13日 23時35分28秒
+20点
2019年01月13日 23時20分45秒
+10点
2019年01月13日 17時20分05秒
+10点
2019年01月13日 07時30分20秒
+20点
2019年01月13日 03時56分23秒
+30点
2019年01月12日 22時03分39秒
+10点
2019年01月12日 22時00分57秒
+20点
2019年01月11日 18時52分51秒
0点
2019年01月03日 23時00分57秒
0点
2019年01月01日 21時51分12秒
0点
2019年01月01日 21時40分16秒
+40点
2018年12月31日 00時53分57秒
+10点
2018年12月31日 00時15分39秒
+10点
合計 13人 180点

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