パワードスーツの靴底に小石が入っているのを気にする怪人

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　社怪人。
　それは、人間界に赴く怪人たちが形成する社会の中で熾烈な闘争をする怪人のことを示す言葉だ。人間界に赴き、テレビ放映されるような怪人たちは社怪人のなかでもエリート中のエリート。ほとんどの怪人は社怪企業に属して内勤などをして生計を立てている。
　だがやはり、人間界に赴いてヒーローと戦い華々しく散るのは多くの社怪人の夢である。
　この社怪では、一年に一回だけ人間界への扉が開く。その扉の向こうへ行く怪人は、企業戦争によって決まる。社怪企業闘争の中でも重大な案件であるこのチャンスにかけて、社怪企業は選りすぐりの営業マンを派遣するのだ。
　一人の社怪人である俺は人間界に赴くための提案合戦に争って勝ち残り、とうとう最終選考まで至った。
　そして社怪人の営業マンである俺は弟と向き合っていた。
「そんな……どうして、兄さんが。兄さんと、戦わなくちゃならないんだ」
「どうしても何もあるかよ。俺たち営業マンは、戦って案件を勝ち取らなきゃ、存在意義はないんだよ」
　甘っちょろい。
　熾烈極まる企業間戦争の中、俺たち営業マンは汗水流して戦い抜いて案件を手に入れなくてはならない。支給された怪人パワードスーツを身に着け、他企業の営業と殴り合って勝利し案件を掴む。それが社怪人の営業マンの仕事だ。
　相手が家族だから、なんだ。俺は俺の所属する社怪企業の看板を背負ってここに立っている。容赦する気はなかった。
　だというのに、弟は納得できないらしい。あいつだってここに残ったからにはずいぶん苦労したはずだが、相手が肉親だというだけでうろたえている。
　俺は人間界へのゲート権獲得の提案活動にあたって、最善を尽くした。自身のメディカルチェックはもちろんのこと、内勤とコミュニケーションを密にしてパワードスーツの調整を万全にし、敵企業のことも丹念調べ上げた。
　もちろん、ヒーローと戦う台本だって練ってある。今年のヒーローは、どうやらＳＮＳの【いいね！】や【リツート】の数を力と変えるタイプのヒーローであるらしい。ならば単純な殴り合いだけではなく、闇落ち展開は必須。ヒーローのアカウントを炎上させて苦悩させる策も用意してある。
　そういった総合的なことが評価され、俺はここまで勝ち残った。
　弟だってそうだろう。無謀無策のまま突っ込んだだけではないはずだ。弟なりに考え抜き、所属する怪社のバックアップを受けている。それらには多大な予算が怪人件費用などかかけられているのだ。
　負ければ、それは無効となる。
　周りを巻き込んで、期待されつつも何も得ることができず、怪社に貢献するどころか予算を食いつぶした無能の社怪人というレッテルが張られることになるのだ。
　確かに俺たちは家族だが、それがどうした。
　骨肉の争いになろうが、躊躇うのは怪社への背信あり、甘えだ。
「俺たち営業が仕事を取ってこなきゃ、社怪企業は立ちいかない。逆に言えば、勝てない営業に価値はないんだ。お前は捨てられるのか？　お前の属する社怪企業を」
「できない……僕だって、みんなの希望を背負ってるから！」
　そうだ。
　覚悟を決めた弟に、俺はパワードスーツの下で微笑んだ。
　やるしか、ないのだ。
　同じ親元で扶養される兄弟ではない。自立した、一人の男同士なのだ。
　弟のスーツは、貧弱だった。零細企業にありがちな、極端まで機能をこそぎ落とした形態なのだ。こうしたコストカットが逆にお偉いさんに受けて、最終まで残ったのだろう。あえて対照的な選考者残して比べようという腹だ。
　だかしかし、それだからこそ俺の勝利は揺るがない。
　弟は強いが、俺は弟の癖を知り尽くしている。地力はほぼ同等。装備で俺が圧倒的に勝っている。俺が負けるビジョンが見えなかった。
　だが、一つ問題があった。
　俺は準備体操をするふりをして、こんこんと爪先で軽く地面をたたいた。
　やはり、ある。
　不吉な感触に、冷や汗が頬を流れ落ちた。
　パワードスーツの靴底に、小石が紛れ込んでいた。

＊＊＊

　それは、絶妙なサイズの小石だ。
　突っ立っている分には邪魔にならないのに、いざ歩くとチクチク足裏を苛んでくる。ちょっと片足に体重をかけようものならば皮膚を突き破って突き刺さりかねない。強く踏み込んだら、体内にもぐりこんで取り出すのにすごく苦労する羽目になりそうである。
　そんな大きさの小石が、パワードスーツに靴底に紛れ込んでいた。
「ッ」
　重心を右足に移そうとした俺は、ちくりとした感触に顔をしかめた。痛い。微妙に痛い。無視できそうで、やっぱり無視できない痛みだ。
　パワードスーツの中身は、当然生身だ。生身の足に小石が刺さったら痛い。気が付かなければ無視もできただろう。だが気が付いてしまった。ていうかどうやってこの小石、紛れ込んで来たんだよ畜生！
「兄さん、行くよ」
「まあ待て、ブラザー」
　小石を排除するにはパワードスーツを脱ぐしかない。なぜならパワードスーツには外部からの攻撃を遮断するために気密性を極限まで高めているからだ。つまりこの小石は身に着ける時に紛れ込んでいて、それをうっかり見逃してしまったということになる。
　しかし、しかしだ！　営業合戦の間にパワードスーツを脱ぐということは、白旗を挙げたということだ。それは鎧兜を身に着けた戦国時代の合戦から続く習わし。
　こう、足裏じゃなく、足の甲の方に乗せられれば――くそっ。なぜかうまくいかねえ！　隙間が狭すぎるっ。なぜもっと余裕のある構造にしていないのか！
「ごめんね、兄さん。僕はもう、躊躇わないって決めたんだ！！」
「は？　だから待てって言って――ぁああ！　畜生、やってやらぁあああああ！」

＊＊＊


　熾烈な戦いの末に、倒れたのは俺の方だった。
「どうして……！」
　勝利した弟が、声を震わせている。それは勝利の歓喜を抑えている口調ではない。悲しみに満ちた声だった。
「どうしてあそこで踏み込むの躊躇ったんだよ、兄さん！」
　悲痛な声で弟が言及したのは、お互いの決め一撃だった。
　向き合っての決戦技のぶつかり合い。その最後の瞬間、俺はためらってしまった。
「あそこでっ、あそこで思いっきり足を踏み込んでいれば、兄さんが勝ったはずだろう！？　手加減されて勝利を譲ってもらったって、僕は嬉しくないよ！！」
　弟の言葉には、全力を尽くしたからこその悲哀があった。自分が全力を尽くしたのだから、相手も全力を尽くしていないと喜べないと、直情的な弟らしい言い分だ。
　それには一理ある。一理あるんだけど・……いや、だってさ。
「石が、邪魔して、な……」
「意思……？」
　伝わりきらなかったのか、弟がいぶかしげな顔をする。
　まあ、いいさ。靴底の石が気になって負けたとか情けない敗因を詳しく語りたくもない。ふっと笑ってごまかした俺に何を感じたのか、弟がハッとした顔をする。
「意思っていったいなんの……はっ！　もしかして！！」
　どうやら鈍い弟にも気が付かれてしまったようだ。
「そう、か。ばれちまっ――」
「兄さんは、所属する企業に洗脳されてたのか？　それで、その洗脳に抵抗する兄さん本来の意思が、僕との闘いの邪魔を……！」
　ちげーよバカ。
　なに言ってんだよ。洗脳とかどっから出てきた。相変わらず思い込み激しいな、お前は。兄ちゃん、ちょっと心配だぞ。
「最近テレビで、ひどい企業が社訓社風を建前に社員を洗脳して社畜にしたてあげるって話題になってたけど、兄さんがその被害者だったなんて……！」
「ち、違……ごふっ」
「血が！？　兄さん、しっかりしてくれ！」
　むせてしまっただけだというのに、過剰に心配された。
「兄さん。僕、決めたよ。僕は僕の意思でこの社怪と戦う。兄さんみたいな被害者を、こんな兄弟で争うような悲劇を生み出さないためにも！　僕は、この理不尽な」
「そう、か」
　独立か。
　まあ、それもいいんじゃねーの。あの人間界でも随一に有名な初代仮面ラ〇ダーも、いっちまえば怪人だしさ。もうちょっとマシなパワードスーツが必要だと思うけど、意外と受ける可能性はあると思うぜ。たまには変化球も必要だよな。王道と変化球が組み合わさった時、新たなムーブメントになることもあるさ。
　てか、もういいや。めんどくせ。疲れたよ。社怪人にあった弟の人生に、兄である俺が口を挟むのもおかしい、好きにやれよ。
「達者でな、ブラザー」
「行ってくるよ、兄さん」
　その別れを最後に、俺の弟はゲートをくぐっていった。
　万全のバックアップを受けて敗北した俺は、空を見あげて心の底から思った。
　あー……怪社に戻りたくねえ。
「お前はしっかりやれよ、ブラザー」
　待ち受けるだろう上司からの叱責その他もろもろ、下手すれば左遷の未来を憂いながらも、俺は新たなヒーローになるかもしれない弟の門出を祝った。
とまと

2017年08月13日 17時27分37秒 公開
■この作品の著作権は とまと さんにあります。無断転載は禁止です。
■作者からのメッセージ
◆キャッチコピー
　小石につまづいてヒーローは生まれ、あるいは人生を転落する怪人がいる

◆作者コメント
　天が呼ぶ、地が呼ぶ、人が呼ぶ！
　企画を書けと運営様が俺を呼ぶ！
　聞け！　参加者様ども！！
　俺はライティングの戦士！　仮面ライター・ワナビーマン！

2017年08月28日 00時07分20秒
 作者レス

  • こんにちは、仮面ライター・ワナビーマンこと、とまとです。
    感想をくださった皆様、ありがとうございました。誰も作者コメントに突っ込み入れてくれなくて、ちょっと寂しかったです。やはりもっとネタ色を強くしないとだめですね。

    以下、簡単なものになりまして恐縮ですが、変身もとい返信になります。



    ・たかセカンド様。
    いつもお世話になっております。
    設定に関してはゲートのお題処理に付けた感じなのですが、意外にも好評なのですが作品の質という面で考えれば、切り捨てるべき部分だったかなと反省しております。
    真剣に描けば書くほどコミカルになるように目指したのですが、もしかしたら作者の真剣さが一番足りなかったのかもしれません。

    ・上村夏樹様。
    こんなタイトルに釣られなくてよいんですよと心配になってしまいます。
    タイトルからしても隠しようもなく小石が主題なので、もっとそこを押し出すべきだったなと反省しております。やはり小綺麗にまとまるよりも、馬鹿らしくとも勢いのある作品が楽しく感じるものですので、もっともっと勢いを大切していきたいと気が付かされました。


    ・川井クナイ様
    おっしゃる通り、決戦最中で小石が靴の中にあったとかいう原因で負けたら面白いかもという発想から始まっております。
    なのできっちり内容をそこに積み上げるべきだったのですが、押し出すべきシーンに対して設定面で余計な部分をつけすぎてしまいました。
    文章については諸事情により半分やけくそになって書いてしまい、結果、言い訳しようもなく適当な感じになってしまったと反省しております。恥ずかしいものをお見せしてしまいました。
    ちなみにSNS闇墜ちについては、あれです。ヒーローはSNSを通じてみんなの感情パワーを受け取って返信しているのですが、SNSが炎上すると膨大な数の感情パワーが受け取れる代わりに暗黒面のエネルギーが多くなって闇の力にのまれてしまうとかそんな感じです。
    はい、いま考えました。我ながらすごくどうでもいいと思います。

    ・中梨　涼様
    いま読み返してみますと、序盤からの設定の羅列という明らかにいまいちな書き出しをしてしまっているので、そこは反省かなぁと。
    良さげな設定を思い付いたー面白いに違いない―と独善的な視野狭窄に陥って増設しすぎてしまった感が否めませんね。
    ご指摘の通り、しっかりアクションシーンから入って小石に悶えるさまを描いていくべきでした。そういった部分での積み重ねなく地省いて書いてしまったため、十枚程度の内容だというにまとまりに欠けてしまったのだと猛省しております。

    ・えつなまん様
    ふふってなったならよかったです。
    ちょーくだらない話をぱっぱらぱーな感じで描いたつもりだったのに落ち着いた文章と言われてしまってがっくしです。
    もっとくだらなくってグダグダでふふふって感じなものぐらぐら積んでいく感じで書いていけるようになりたいです。
    ふふふ。

    ・魚住様
    どうにも方向性が定まっていなかったというのが最大の反省点だなと数々のご感想で思い知らされました。
    主題はドタバタコメディと決まっていたのに、それを一貫できなかったのが未熟者が未熟者たるゆえんだなと。
    風刺的な話にするつもりは一切なかったのに、設定にそういう面を入れてしまったのは失敗だったのかもしれません。
    有限を意識して簡潔さを心がけようと改めて思い知らされました。


    ・たぬき様
    こんばんぬーん。
    うん、こんなタイトル褒めなくていいんですよ？　いや、本当に。
    設定の提示の仕方を根本的に誤った……というか、序盤の提示という安易な方式に頼ってしまったのがうかつだったかなと。
    ご指摘の通り、社会風刺的なネタと今回のコメディとで笑いの方向性がうまくかみ合っていなかったのと、うまく?合わせる力を作者が持っていなかったのが欠点だなと反省しております。

    ・粘膜女王三世様
    あざとくいってますよ、あざとく。媚び媚です。
    いえ、実のところ「長文タイトルなんて安直で最低だと思います！　もっと短くバシッとセンスのあるタイトルを！」くらいのお言葉はいただくと思ってタイトルつけたんですけど、意外と好評ですね……こんなはずではなかったのに、なぜ……。
    コメディの掛け合いで引っ掛かりを覚えさせてしまうと一気になえさせてしまう可能性もあるので、もっと自然な流れを意識していきます。下手すると作者のコマじみてくるので、強引な勘違いはさせたくないとは思いますので。

    ・枡多部とある様
    すいません……アラサーのおっさんで本当にすいません……。
    考えるに、そもそも社会人ネタというのがどの層に向けたものかを意識する必要があったのでしょう。
    個人的には十代向けにニュースで知れる程度の小ネタとして考えて軽い情報で出したのですが、社会問題という根の深さを軽視して部分は否めません。年齢層によって受け取り方はいくらでもあるということに考えが及んでおりませんでした。
    それこそ社会人の共感を狙うのならば社会構造と社内階層ごとの意識の違いと理不尽さ、業界独自の風習などをしっかりと書いていく、という風になるんでしょうが、その場合ですとほぼラノベである必要がなくなる気がします。キャラクター性が必要とされなくなるので、一般文芸のほうが深く書けるでしょうし。
    そういう面で考えると、社会風刺的な設定段階から間違っているのかなと深く反省です。
    キャラクター性をもってのリアリティの出し方というのは非常に奥が深いなぁとご指摘で考えさせられました。

    ・bigtemple00
    ある日に歩いていた時に靴に小石が入って痛いなぁと思った時に思いついたアンジャッシュ的なやり取りがやりたかっただけなんです。ただそれだけだと「ゲートのお題になんにも関係ねえぞこれ……」と途中で気がついてお題処理で社怪人という設定を付けました。
    これが良し悪しであり、小石が原因でのすれ違いと設定との絡みつきをうまくまとめられなかったのは作者の力不足によるものだと自分の未熟さを恥じ入るばかりです。
    なので、書き直すとしたら弟君は普通にヒーローにして社怪人の部分はばっさり切り落とすかもっととってつけた感で提示すると思います。

    ・たてばん様
    確かに得るものがなく終わってしまっているのはよくないですね。カタルシスが得られないというのは大変な欠点でした。
    お兄ちゃん悪役なので負けるのはしかたないんですが。それでも敗北で何かを得るか、何かに気がつくか、そういった満足感を得られるような締め方を意識するべきでした。自分勝手に書き散らしてしまい、作品としての完成度を高められていない未熟さには恥じ入るばかりです。これからも精進してまいります。


    ・ナマケモノ様
    風刺的にするつもりはなかったため、ずいぶん中途半端になってしまったのかなと。
    もちろん作品の受け取り方は読者様にゆだねられるものではあるので、完全に私の実力不足によるものです。
    弟君の今後は、元怪人のダークヒーローとして向こうのヒーローの窮地を助けるキャラになるんだと思います。向こうのSNSヒーローが闇墜ちしたときとか「やれやれだぜ」とか言いながら目を覚まさせるライバルキャラになります、たぶん。

    ・6496様
    このタイトルの高評価は何なのでしょうか。
    わたしは文章系タイトル大好きですけどラ研の皆さまは文章系タイトルなんて安易だと拒否する硬派な方が多いと思ってました。気のせいでした！　これからも遠慮なく文章系のタイトルをつけていこうと思います！
    予想通りの内容を書きながらも、何かプラスアルファが必要だったなと改め模索しております。期待にこたえつつも、驚きを提供する難しさには悩まされます。

    ・いりえミト様
    小石のテーマはブーツ履いてるときに小石が入ってムカついたので「あ、これネタにしよう」と考え、SNSはツイッターをのぼーっと眺めていた時に思いついたのですが、あれですよね。身近なものを題材にすると意外なほど共感を引けるのだと改めて気がつかされました。
    もっと戦闘面でお兄ちゃんを小石で苦しめるさまを書いていく話にして、足の甲だけじゃなくて、土踏まずに移動させるとか。土踏まずに移動させて安心して、いざ踏み込んだら親指にぬるっと移動して刺さってうぎゃーとか、もう動きたくないから「ここから一歩も動かないでお前の攻撃を受けきってやるぜ」とカッコつけるとか、戦闘でのあるあるネタと小石が入った時のあるあるネタを絡めて盛り上げていけばよかったなーと。

    ・須賀透様
    須賀さんが未熟者だと未熟者は一体……？
    それはさておきまして、やはりタイトル通りのことをタイトル通りにやりたかっただけのお話なので、いろんな設定とかもっとスリムにして提示するべきだったなと反省しております。もっとスタイリッシュな作品作りを目指して頑張ります。

    ・燕小太郎様
    良い感じでくだらなくてどーんてなってすぱーんって感じで終わっていてよかったです。
    感覚的には本当にどーんですぱーんっていうのを書きたかったのですが、やっぱり余計な部分足りない部分というのはどちらもあって自分の至らなさをよくよく感じましたので、また改めて精進していこうと決意いたしました。


    感想をくださった皆様、改めありがとうございました。

    E-Mail pass
2017年08月27日 18時56分28秒
 +20点
  • 　執筆おつかれさまです、燕小太郎と申します。
    　御作＜パワードスーツの靴底に小石が入っているのを気にする怪人＞を拝読しましたので、感想を残したいと思います。

    ＜一通り読んでの第一印象＞
    　良い意味でくだらないなー、と思いました。
    　こういう感じ好きだなー。

    ＜良かったところ＞
    　いやー掌編らしい掌編という感じがしました。要は「靴の中の小石が気になる」ってだけなところに、ドーンと設定をぶっこんで、スパーンと落とす。それでいてキャラクターは真面目に一生懸命で、楽しく読ませていただきました。

    ＜気になった点＞
    　正直思いつきませんでした。構成・テーマ・キャラクター・文章とどれも一定以上のレベルにあり、その技術をピンポイントのネタに集約するからこそ出る魅力。うーん、本当に思いつかないですね。

    ＜総評＞
    　たった9枚なのにとても楽しませていただきました。なんか笑ったら負けな気はしたんですが、もう笑うしかなかったですね。

    　拙い感想ですが、少しでも参考になる部分があれば幸いです。
    　

    E-Mail pass
2017年08月27日 18時47分52秒
 +20点
  • 　須賀透と申します。
    　作者さまの『パワードスーツの靴底に小石が入っているのを気にする怪人』を拝読しました。
    　タイトルをキャッチーにする。それは、読んでもらうための常套手段です。
    　そのため、わたしのような未熟者は、タイトルと内容が乖離することもしばしば。
    　ところが、本作は、タイトルどおりのネタ一本で最後まで走りきっています。非常に好感を持つだけでなく、感心いたしました。
    　それだけでなく、世界観にはオリジナリティーがあり、興味をひかれました。
    　ただし、兄弟対決というストーリーの規模にたいして、世界観がややオーバースペックなため「もう少し長く読みたかったな」という印象を抱いてしまいました。
    　またラストは兄弟愛を匂わせる構造になっていながら、ギャグにバランスが偏りがちなので、笑うべきなのか、しんみりするべきなのか、戸惑ってしまいました。
    　ゲートというテーマを完全に活かしていたかは不明ですが、タイトルで読者を鷲づかみして、そのまま一気に読ませてしまう筆力に感服しました。
    　味のある世界観を楽しませていただき、ありがとうございました。

    E-Mail pass
2017年08月26日 14時19分06秒
 +20点
  • 『パワードスーツの靴底に小石が入っているのを気にする怪人』拝読しました。以下に感想を書かせていただきます。


    　人間界に行くために対決する怪人兄弟を描いた作品でした。

    　冒頭から「社怪人」の設定が書き連ねられているのですが、その設定が面白かったです。
    　「ＳＮＳの【いいね！】や【リツート】の数を力と変えるタイプのヒーロー」という発想も、いかにも今風で、いいですね。
    　文章も非常に達者で、ぐいぐい引き込まれました。

    　特に、タイトルにもなっている「バワードスーツの中の小石」の話になってからが面白かったです。
    　ほんの小さな石に悪戦苦闘する主人公の心理が笑えました。
    　こういう、些細なことを大げさに書きたてる作風は、好きです。

    　ただ、その描写が思いのほか少なかったのは、ちょっと物足りない感じがしました。
    　小石をどうにかしようとする主人公の様子は面白かっただけに、それをもっと長く読みたかったです。小石を気にしながら弟と戦う様子も描写してよかったんじゃないでしょうか。
    　
    　また、この枚数の作品であることを考えると、本題（小石の話）に入るのが少し遅かったように感じました。
    　前半の説明部分もダメではないと思うのですが、やはりもうちょっと短くして、早く本題に入ったほうがよかったかと思います。
    　いくつかの説明は、後半に持っていくのも手かと思います。例えば、主人公と弟の戦闘中の会話で説明をするなど。


    　感想は以上です。執筆お疲れさまでした。

    E-Mail pass
2017年08月25日 19時50分54秒
 +10点
  • 6496と申します。
    読ませていただきましたので感想書きます。

    タイトルが一番面白かったです。
    少なくともその面ではこの作品は勝ち組だと思います。

    反面、中身について随所に小技が利いており、設定なども独特で「あ、面白い」と思えるんですが、
    「あ、面白い」止まりでした。
    うーん、タイトルを超えるインパクトが得られなかった。辛い。

    というか、タイトル通りだったんですよねー。
    その時点で意外性が得られなかったのがちょっと残念です。

    どうしてあそこで踏み込むのをためらったんだよ！　のところについても、
    その前の小石があるとどうなるか、というところの説明が割と詳細だったため、オチ読めました。
    書き方が丁寧だからこそ読めてしまった。残念。もったいない！

    感想としては以上となります。
    読ませていただきありがとーございましたー。

    E-Mail pass
2017年08月25日 02時48分31秒
 +20点
  • 　こんばんはナマケモノと申します。本作を読ませて頂いたので、感想を残していきたいと思います。
    　風刺の効いた面白い掌編でした。
    　社会を社怪になっている部分に昨今の社会の問題を見ることができるというか…。何というか社怪企業の仕組みが現実と妙にリンクしていて、胃が痛くなったケモノがいました。
    　それにしても、小石…。靴底に小石があると痛いですよね…。歩くたびに小石の尖った部分が皮膚に食い込んでチクチクする。
    　そんな状態で戦わなくちゃいけないなんて自分には考えられません…。お兄さん頑張ったなって心からのエールを送りたいです。
    　それにしても、弟さんはこの後どうなってしまうのでしょうか？　ちょっとこの兄弟の行く末が気になりました。

    E-Mail pass
2017年08月24日 19時05分43秒
 0点
  • ・こんばんは、たてばんと申します。
    　拝読させていただいたので、感想を残します。

    ・全体的によく纏まっていたと思います。
    　作者様の描いた世界観と文体がマッチしていたと思います。
    　
    　不満を述べるなら、少し物足りない感じがしました。
    　闘って負けて終わりか――と。
    　小石に苦戦しながらも闘う描写を入れると、作者様のセンスと相まって良くなるのではないでしょうか。

    　個人的には、この世界観を活かすために、弟を主人公とした第二章を作り、群像劇のようにすると良いのかな、と思いました。

    ・拙い感想ですみません。
    　では、失礼します。

    E-Mail pass
2017年08月22日 20時05分49秒
 0点
  • 　bigtemple00と申します。読ませていただいた感想です。
    「石が、邪魔して、な……」
    「意思……？」
    　アンジャッシュだわ。面白いです。絶妙なサイズの小石が靴の中に入っていることって確かにあります。絶妙なサイズだけあって、やっぱり絶妙に痛いです。しかもパワードスーツは簡単には脱げない。辛いですね。語り口が丁寧なことがシュールな雰囲気に合っていると思います。これはドタバタにするよりも良い選択だったのではないでしょうか。
    　ただ「人間界に赴く怪人たちが形成する社会の中で熾烈な闘争をする」という凝った設定がこの作品の中でちゃんと機能しているかは怪しいです。こんな背景がなくとも、仲良し兄弟が二人の意に反して戦わなければならない状況が作られれば、きっと同じようなギャグに持ち込めるはずです。
    　私が思うこの作品の一番の見どころは、弟の、兄を前にして激しく揺れる感情、それに反比例するように兄は「パワードスーツの靴底に小石が入っているのを気にする」というところだと思います。そう考えると折角凝った設定は、兄が小石なんかくだらないことを気にしている間に、弟がどれだけの葛藤をしているかを読者に想像させるために生かされなければならない。「社怪人」というアイディア自体は新鮮でもっと見たいので、弟の言動が悲哀を帯びて響くように設定を絡めなおすのがよいと思います。そうでないと、アンジャッシュ的なやり取りから、ﾔﾘﾀｶｯﾀﾀﾞｹｰな感じが出てしまうので。
    　ただその感じもスモークサーモンから香る煙程度にしか感じず、やっぱり面白いからわざわざ直すこともないかもしれません。社怪人の設定は、それってどういう世界なんだろう、という想像を掻き立てるだけのために添えられたパセリ、と考えても気にはならないので大丈夫です。

    E-Mail pass
2017年08月21日 07時06分11秒
 +10点
  • 昔ラ研でお世話になった社畜が通りますよ。

    なんか強引に話進めてるなー、って感じが強くしました。枚数的には9枚で読むには手ごろだし、しっかり読ませる文章力はある。しかしこれは絶対書いてるのは学生だろうなー、そんなことを考えながらを読んでました。
    週6出勤で年間休日50日程度のガチ社畜管理職の意見なのですが、社怪人のバックボーンがいまいちでした。上司や社長の存在が見えない。何で『ヒーロー』と戦ってるのあんたら。利益どこから出るんかい。などなど。つまるところ兄弟喧嘩な本作でそこまで追求する必要はないのでしょうが、この点がないためえらい不自然な展開に映りました。多分バイトではなく正社員として働く人間ならばこの社怪人なるものが鼻につくのではないでしょうか。そこら辺の描写もきちんとすれば、もっと『ああ、命かけてる社畜だなぁ……』と思わせてラストの哀愁が引き立ったのではないでしょうか。

    私からの感想は以上です。それでは、ご縁があればまたお会いしましょう。

    E-Mail pass
2017年08月21日 03時41分58秒
 +10点
  • 　読了しました。

    　冒頭で魅力的な設定を提示して読者をつかんでおき、あとは作者様の優れた筆力にかかれた１０枚程度すぐにでも読ませてしまう。タイトルもキャッチーなもので、なんちゅうか感想数稼げそうですねあざといこれはあざとい。

    　そしてあっさり思惑にはまってクリックさせられ、最後まで読まされてしまった次第ですが、一読者としてしっかり楽しませてもらいました。『ちょっと気になるタイトルだから開くだけ開いてみよう』から、気が付けば読まされちゃったっていう感じで。思う壺、術中、掌の上という奴です。一流の社怪人はマーケティングをミスらないのだなと感心させられるばかりでした。

    　ただ後半の弟くんの言動がちょっと強引に感じました。
    　いやまあギャグなんだから多少の強引さはありかもしれないですが。『洗脳とかどっから出てきた』とお兄ちゃんが心配するのも無理もありません。そこがおかしみなのかもしれませんがちょっとついていけない気持ちのまま読み終えちゃったかなっていう感じ。

    　この設定なら割といろんな落とし方が考えられるんですよね。いや例を出せっていわれると困るんですけど、現状が最善かといわれると個人的には「作者様ならもっとおもしろくできたはずだ」という風にも感じました。卑怯な言い方でゴメン！

    　とはいえ十二分に楽しませていただきましたし、技術の高さも感じられました。
    　創作お疲れ様です。これからもがんばってください。

    E-Mail pass
2017年08月19日 09時07分23秒
 +10点
  • おはぬーん。

    ネタ一本勝負なところがあり、とても惹かれるタイトルでしたが、内容はシュールなギャグであり、想像していたものとは少し異なりました。

    言葉遊びに終始している印象が強く、それを生かすシナリオ組みをしていなかったような気がして、読み応えはイマイチでした。
    ただタイトルがいいよね。パワードスーツに小石が入ってるって想像しただけで面白いのが卑怯です。
    営業マン、社怪人、このあたりは言葉としてはとても上手いと思いましたが、それが面白いかはまた別の話になります。個人的にはもっと振り切ってもよかったかなと思いました(現実社会に当てはめる事に引っ張られすぎてギャグの切れがおちていた印象です)

    でもタイトルがいいですよね。何度も見直したくなるタイトル。

    E-Mail pass
2017年08月18日 20時17分51秒
 +20点
  • 読ませていただきましたので、感想をつけさせていただきます。

    内容はドタバタな展開を予想させるのですが、割と静かに進んでいく話でしたね。
    淡々と進めるのであれば、もっと皮肉めいた作品でも良いかと思いますし、インパクトをつけるのであれば、小石が入っているネタバラシをわざと後半まで引っ張ったり、兄の性格をもっと悪役で横柄にしたりするのも良かったかと思います。
    世界観も面白く、膨らませ甲斐のある印象なので、掌編に限らず、長めのもので読んでみたいと感じました。
    個人的な感想ですので、合わなければ流して下さい。
    ありがとうございました。


    E-Mail pass
2017年08月16日 21時12分50秒
 +20点
  • 　ふふってなった
    　タイトルからすでにちょーくだらない空気がぷんぷんしてて、かなり期待して読みはじめたんですけど、あれですね最初のほうはわりと落ち着いた文章で「あれ、コメディかと思ったけど違うのかな…」ってなったら小石。これはちょー気になるやつですねうける。そんで弟に負けたらなんか勘違いされてるし、ふふふ。
    　ああでも爆笑ってかんじでもないなぁ、こう、にやにやしちゃうかんじ。もうすこし、こう、あと一押しがあれば、っていう読後感でした。いや逆にこのじわじわ感がいいのかも、わかんないな、いやそれにしてもくだらねえ、ふふふ。
    　点数なやむなぁ、ええと、うーんと、えいっ
    　でわでわ～

    E-Mail pass
2017年08月15日 17時29分45秒
 +20点
  • こんにちは。
    発想が面白かったです。
    現代ネタとうまく絡められていて、ヒーローのSNSを炎上させるとか、よく考えるなぁと感心しました。
    全体を通して面白かったのですが、欲を言えば、必殺技がぶつかりあった瞬間もしっかり描写があれば、もっと盛り上がるような気がします。
    ちょっと冷めた兄と、弟の真っ直ぐなキャラが素敵だったので、もうちょっとやりとりを見たかったかなと。
    拙い感想ですが、これまで。執筆お疲れ様でした。

    E-Mail pass
2017年08月14日 22時47分33秒
 +20点
  • こんにちは。御作を読ませて頂きました。
    以下、ネタバレを含む感想です。未読の方はくれぐれもご注意ください。



    タイトルにつられて読んだのですが、タイトルから想像したよりも背景設定が独特なお話で、よくも悪くも意外な印象を受けました。
    ちなみにタイトルからはもっと出オチパロディギャグ的なものを想像していたので、「面白い設定だけど意外とスロースタートだなあ、敵が弟設定とか足の小石と何の関係があるんだろう？」などと思いながら読み進めていました。

    しかし。
    弟の「どうしてあそこで踏み込むの～」のセリフで、盛大に意表をつかれました。
    くそーそうかーこのテンプレシチュエーション使って笑かしにくるのかー。やられました。こういうの大好きです。すべてはここに集約されるためのフリだったんですね、というのはさすがに言いすぎでしょうか。

    ただ個人的には、上記のクライマックスは面白かったのですが、初読時は設定情報が多いためか、特に序盤に少々、すらすらとは読めない（話に入り込みにくい）と感じていました。文章自体も、まだ多少ブラッシュアップの余地がある印象でした。これは誤字脱字などを見るに、時間がなかっただけかもしれませんが。
    それとこれは細かい点なのですが、私には「闇落ち展開は必須」あたりの意味が今一つ掴めませんでした。ヒーローを闇落ちさせてＳＮＳを炎上させて弱体化させる、という意味でいいのでしょうか。
    そういった細かい引っかかりがなければ、もっと笑えたかもしれない、というのが率直な印象でした。

    ネタと笑わせどころがとても好みだったので、要求が高くなってしまった気がします。申し訳ありません。
    発想がとても面白かったです。
    読ませて頂きありがとうございました！

    E-Mail pass
2017年08月14日 22時02分58秒
 +30点
  • こんばんは、上村夏樹と申します。

    タイトルにひかれて読ませていただきました。

    冒頭から引き込まれる、とても面白い設定でしたね。社怪人というネーミングセンスだけでも、冒頭のいいフックだと思いますが、中身もしっかりと練られており、しかも面白い。すごくよかったです。あと社怪人ではなく、社会人としての哀愁も漂っていていいですね（笑）最後、弟の勘違いも笑いました。

    内容も綺麗にまとまっており、文句のつけようもないのですが、個人的にはもう少しだけ小石に苦戦する様子が描かれていると嬉しかったです。足の甲に乗っけようとか、あのあたりが大好きでした。

    設定でもコメディでも、ぐいぐい読ませる良作だったと思います。

    楽しい時間をありがとうございました！

    E-Mail pass
2017年08月14日 19時24分28秒
 +20点
  • こんばんは。
    「パワードスーツの靴底に小石が入っているのを気にする怪人」を読ませていただきました。

    社怪人という名称。
    人間界への派遣。
    魅力的で読んでみたいと思える設定でした。
    これだけで短編規模のお話が書けそうですね。SNSと絡めた設定も興味深かったです。
    そして、小石……良い意味で力が抜けました。

    真剣に戦う弟と、真剣を装って小石が気になっている兄。
    非常にコミカルで楽しく読ませていただきました。

    掌編サイズではもったいないなー、と思う反面、綺麗にまとまった作品とも感じました。

    以上となります。
    読ませていただき、ありがとうございました。

    E-Mail pass
合計 16人 250点

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