魔王「この肉棒が欲しかろう」女騎士「…」

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女騎士「魔王に囚われてしまった…」

魔王「ふはは、無様だな。騎士といってもその程度か」

女騎士「くっ、殺せ!」

魔王「なに、死に急ぐこともあるまい。それにいいのか、そなたの主のことは」

女騎士「きさまっ、幼女王さまをどうした!」

魔王「安心するがよい。まだ手は出していない」

女騎士「幼女王さまを解放しろ!」

魔王「ふむ。それはそなた次第となろう」

女騎士「なに?」



魔王「我はそなたのような気の強い雌を屈服させることを好んでおる」

女騎士「まさか…え、えっちなことか…」

魔王「我の与える責め苦を耐え抜いた暁には、そなたの願いを叶えると約束しよう」

女騎士「ああ…きっと恥ずかしい格好をさせられて、そ、それで…///」

魔王「なに、至極単純なことだ。騎士は高潔と忠誠を尊ぶのであろう。ならば耐えられよう」

女騎士「と、当然だ! えっちなことなんかに屈したりはしない!」

魔王「で、あるか。ならば早速始めるとしよう」ゆび、ぱっちん

   とびら、ばたん!

オーク「ぶひ!」

トロル「んご!」



女騎士「え、ちょ…まさかこのふたりのおっきなアレを…」

魔王「そこの人間族の雌を中庭に運べ」

オーク「ぶひひ!」

トロル「んごご!」

   女騎士、ひょい

女騎士「ちょ、ま…外って」

魔王「そなたは口を閉ざしているがよい」

女騎士「や、野外露出てきな…あうう///」



魔王「そこらでよいだろう」

   女騎士、なかにわに、ぽいっ

女騎士「いたい…」

魔王「準備せよ」

オーク「ぶひっ!」

トロル「んごっ!」

   なんかいろいろ道具が運ばれるよ!

女騎士「一体なにが…え、SMてきなあれなのかな…」



魔王「永き時を生きた我が辿り着いたひとつの真理がある」

女騎士「む…」

魔王「肉欲には勝てぬ、と」

オーク「ぶひぶひ!」

トロル「んごんご!」

魔王「そう、すなわち、バーベキューだ!」

  バーベキューセットどーん!

女騎士「………は?」



魔王「これからそなたの目の前で、ひたすら肉を焼き続ける」

オーク「肉焼くぶひ!」

トロル「肉食べるんご!」

女騎士「あ、喋れたのね」

魔王「くくく、そのように気を抜いていられるのも今の内だ」

女騎士「なんか期待してた展開と違う…」

魔王「まずは、灼熱豚だ!」

   魔王さま、時空のはざまから切り分けられたお肉をとるよ!
   手ずから網にのせていって…
   じうじう!

オーク「ぶひぃいい!」

トロル「んごぉおお!」



女騎士「あ、いい匂いが…」

魔王「表皮を燃やすことができる強き獣であるが、いざ食材として見ればその野性味溢るる肉はまさに絶品。頭から尻尾まですべて美味である」

女騎士「じゅる…」

魔王「まずはあばら肉と背中の肉だ。頃合いである、よし」

   がっ、はぐ!

オーク「骨つきの肉が一番おいしいぶひ!」

トロル「いや、油ののった背中の肉にタレをいっぱいからめて食べるのが一番んご!」

   はふはふ、はむっ

女騎士「う、うう…」

魔王「なんだ、存外だらしがないな。もう限界か」



女騎士「黙れ! この程度の匂いでわたしを屈服させようなどと片腹痛いわ!」

魔王「ほう、それは重畳。ではひとつ我が自慢のタレについて語らせてもらう」

女騎士「タレ?」

魔王「このつけダレは数十種類の野菜と果物を煮つめて焦がし、岩塩やいくつもの香草で味を整えた一品である。強い味を持つ灼熱豚のうまみにも負けぬ」

オーク「うまいぶひ」

トロル「うらやましいんご?」

女騎士「こっちを見るな!」

魔王「さらに最後のひと工夫として、白雪ごまを乾煎りしたものを加えている。この香ばしさが、さらに食欲を引き立てるのだ」

女騎士「ううう…」



魔王「ふん。一言『肉が食べたい』といえば、直ぐにでも肉にありつけるものを」

   はぐはぐ、ごっくん!

女騎士「だ、黙れ!」

魔王「ただ、そのようにした瞬間、そなたは騎士としての誇りや矜持を捨て去ることとなろう」

女騎士「そうだ! わたしは女騎士! 肉欲などに負けはせぬ!」

魔王「これはこれは、長く楽しめそうだ」

オーク「魔王さま、魔王さまっ」

魔王「おお、そうか忘れていたな」

女騎士「なんだ…?」

   魔王さま、時空のはざまからジョッキを取り出すよ!

トロル「んごおおおおお!」



魔王「この熱き季節にはかかせぬものであったな」じょっき手渡し

オーク「ぶひぃいいい!」

トロル「きんきんに冷えた麦酒んごぉおおお!」

女騎士「ああ、そんな…」

   ぐびぐびっ、ぷはぁ!

オーク「麦酒は喉越しぶひ!」

トロル「灼熱豚の油っぽさが洗い流されていくんご!」

魔王「遠慮せずに飲むがよい。いくらでもあるのだから」

トロル「んごおぉおおお!」



女騎士「わ、わたしは…肉欲なんかに屈したりなんか…」

魔王「なかなか堪えおる。だが、次の肉ではどうであろう」

  魔王さま、時空のはざまから…

オーク「ぶひぃいいい!」

  鳥肉!!

魔王「狂乱鶏の串焼きである」

トロル「好物んごぉおお!」

女騎士「ふ、ふん。なにかと思えばただの鶏ではないか」

魔王「ほう、ただの鶏とは、いかに」



女騎士「豚とくらべればうまみも油も少なく、一段も二段も格が落ちる。魔王、焼く順番を間違えたな!」

魔王「なかなかに賢しいようであるが、そなたはひとつ見落としておる」

女騎士「なに?」

魔王「串焼きは、タレにつけてから焼くのだぞ」

女騎士「あ!」

   串焼き、さっきのタレをからめるよ!
   じうじう!

オーク「焦げたタレの匂いぶひぃいいい!」

トロル「お腹空いたんごぉおお!



女騎士「なんて、極悪な匂いを…!」

魔王「さて、格の違いについての講釈をしておこう」

女騎士「う…」

魔王「確かにそなたのいうとおり、狂乱鶏は肉質がやや固めで、油も少ない。が、しかし、うまみについては文句のつけようがないほどだ。それと」

オーク「そろそろ焼けるぶひ!」

トロル「魔王さま早く食べたいんご!」

魔王「頃合いか。よし」

   がっ、はぐっ!

オーク「ハラミが一番おいしいぶひぃい!」

トロル「ぼんじりのほうがうまいんご!」



オーク「ハラミのこのぐにぐにとした食感がいいぶひ!」

トロル「やわらかくて汁気たっぷりのぼんじりがいいんご!」

女騎士「そ、そうか…ああ…」

魔王「部位によって味や食感がまるで違うのだ。格付けなど、あまりにも空虚な行為ではなかろうか」

女騎士「お、おのれ…ああ…うう…」

魔王「肉が食べたいか?」

オーク「食べるぶひ?」

トロル「おいしいんご?」



魔王「そら、目の前に串焼きがあるぞ」

女騎士「ああ、うう…」じゅるじゅる

魔王「たっぷりとタレをからめたからな、よい匂いであろう」

女騎士「た、た…たべ…」はあはあ

魔王「よく聞きとれぬな」

女騎士「た、たべた…」はあはあはあ

オーク「ぶひ?」

トロル「んご?」

女騎士「た、たべ、たべた………。うぉおおおお!」あばれあばれ

オーク「うわ、やめるぶひ、ほこりが舞うぶひ」

トロル「串焼き避難んご!」



女騎士「黙れ! わたしは幼女王さまに仕えし騎士である! この身が自由なれば、きさまら斬り裂きそこの炭火で焼こうものを!」じゅるじゅるじゅる

オーク「すごいぶひ。よくガマンできるぶひ」

トロル「魔王さまの焼く肉はおいしすぎて手が止まらないんご」

女騎士「魔王! 約束は覚えているのだろうな!」よだれべたべーた

魔王「ふむ」

女騎士「幼女王さまの身、必ずもらいうける!」視線お肉ーに

魔王「唾液をふいてからいえ、といいたいところであるが、手は後ろに縛られているからな。よい」

女騎士「はっ! おのれぇええ!」あばれあばれっ



魔王「安心するがよい。次が最後の肉だ」

女騎士「ま、まさか…」

オーク「ぶひぃいいいい!」

トロル「最後はやっぱりんごぉおおお!」

魔王「六角牛である」

オーク「お牛さまぶひぃいいい!」

トロル「早く食べたいんごぉおお!」



女騎士「ふ、ふん。牛など固くて筋っぽくて、食べられたものではない。魔王も耄碌したものだな」

魔王「農耕に従事する牛はそうであろう。だが、そなたも一度くらいは、食べたことがあるのではないか」

女騎士「な…」

魔王「食べるために育てられた牛というものだ」

   時空のはざまから、うし肉どーん!
   じうじうじう!

魔王「やはりよい肉ほど単純な調理がよいな」

オーク「六角牛の厚焼きぶひぃいい!」

トロル「塩胡椒だけでよだれ止まらんごぉおお!」



魔王「獣の肉は、その獣が食べてきたものによって、ずいぶんと味を変えることをそなたは知っておろうか」

女騎士「そ、それは…」

魔王「飼料の配合にはずいぶんと気を使ったのだぞ」

女騎士「ああ…なぜ…タレもつけていない肉が焼かれただけで、こんなにもいい香りを…」

魔王「およそ百二十年ほどの研究の成果である」

オーク「そろそろぶひ?」

トロル「はやく、はやく食べたいんご!」



魔王「頃合いか。よし」

  がっ!! がぶり!

オーク「ぶひぃいいいいいいいぃぃいい!」

トロル「んごぉおおおぉぉおおおおおぉ!」

女騎士「ああ、一心不乱に、そんな…」ぐーきゅるり

魔王「真によいものを食べたとき、我々は言葉を失うのだ」

女騎士「ああ、つまり…」

魔王「すなわち、目の前で焼かれているものが、それである」



女騎士「ああ…幼女王さま…わたしは…」ぐーきゅるる

魔王「一言、一言でよいのだ」

女騎士「はあ…はあ…」よだーれ

魔王「正直な身体に申し訳なく思わないか」

女騎士「ああ…」べたべーた

魔王「素直なのは悪いことではない。むしろ本来の姿であろう」

女騎士「うう…」べた…

  なみだ、ぽろりぽろり

魔王「む」



オーク「す、すごいぶひ…あまりの食べたさに涙ながしてるぶひ…」もぐもぐ

トロル「なら食べればいいんご…」はぐっ

オーク「違うぶひ。食べたいのに、主のためにがまんしてるぶひ」むしゃむしゃ

トロル「よだれまみれでなみだでぐっちゃぐちゃんご。汚ないんご」ごっくん

オーク「それでも、がまんしてるぶひ」かぷかぷ

トロル「なるほど、すごいんご。人間族の意地を見たんご」むにむに

オーク「それにしても六角牛の厚焼きうまいぶひ」ほぐぐ

トロル「うまいんご」かぷしゅかぷしゅ



魔王「おどろいた。そなたの忠誠はまことである」

女騎士「はあ…はあ…」

魔王「これは考えを改めねばなるまい」

女騎士「幼女…王さま…」

魔王「我の負けだ。よくぞ耐え抜いた、女騎士よ」

女騎士「…」

魔王「どれほどの辛苦であったのか、その姿を見れば想像がつく。見事なり」

女騎士「幼女王さまを…」

魔王「うむ。義務を果たそう。しばし待て」



   時空のはざまから、なんとなんと、幼女王さま登場!

幼女王「…」

女騎士「ああっ、よくぞご無事で!」

幼女王「…」

女騎士「お怪我もなさそうですし、顔色も…?」

幼女王「…」

女騎士「幼女王さま…?」

幼女王「お…」

女騎士「お?」

幼女王「お肉ー」



   てくてく、がっ、はむっ!

女騎士「な…え…え?」

魔王「くく、ははは、ふははは!」

女騎士「な、なにが…」

魔王「見てわからんか。そなたの主はとうに肉欲に堕ちた、ということが」

女騎士「そんな…バカな…」

魔王「目の前で腸詰肉を焼いてやれば、すぐに堕ちたぞ。そなたの主もたいしたことがないな」

女騎士「ああ、ああ…!」

魔王「おお、そなたの枷は外してやらねばならんな」かちゃかちゃ

   ばっ!

女騎士「幼女王さま!」



幼女王「もぐもぐ」

女騎士「さ、さあ、帰りましょう。ようやく自由の身となったのですから」

幼女王「やー。お肉食べるー」

女騎士「王城に帰ってからでも肉は食べられましょう」

幼女王「やー」

女騎士「幼女王さま、幼女王さま!」

幼女王「もぐもぐ」

魔王「と、いうわけだ女騎士。肉はうまいからな、しかたがあるまい」



女騎士「ああああぁあ」

魔王「さて」

   魔王さま、時空のはざまから腸詰肉を!
   じうじうじう…

女騎士「ああ、ああ…」

魔王「まあ、待て」

女騎士「はあ…はあ…」

オーク「お、腸詰肉ぶひ」

トロル「これもうまいんご。楽しみんご」



魔王「頃合いか」

オーク「ぶひいぃいい!」

トロル「んごぉおおお!」

幼女王「わー!」

魔王「しばし待て。時間はかからぬ」

女騎士「ああ…」

魔王「この肉棒が欲しかろう」

女騎士「…」



魔王「ふむ、いらんのか。ならば」

女騎士「ああ、ま、待って!」

魔王「うむ」

女騎士「その…」

魔王「そなたは両親に習わなかったのか」

女騎士「え?」

魔王「お願いがあるときは、どうするべきなのか」

女騎士「そ、その…」



魔王「時間をかけるな。熱が逃げる」

女騎士「に、にく…にくぼう…」

魔王「ふむ」

女騎士「ま、魔王さまの、肉棒を………わたしにください!!」

魔王「よろしい」

   がっ、はむぅう!

女騎士「もぐっ、もぐもぐっ、はぐぐっ」

魔王「ふふん、堕ちたな」



   ごっくん!

女騎士「んほぉおおおお…おいしいぃいい…」

魔王「まるで足りないようだ。丁度よい」

   魔王さま、時空のはざまから、なんとなんと!
   豚足!
   ミミガー!
   うし舌!
   内蔵!
   腸詰!
   いっぱいいろいろ取り出すよ!

魔王「酒池肉林の宴を始める。呼べ」

オーク「ぶひいい!」

トロル「んごぉお!」



女騎士「おほぉおおお…ふほぉおおお…」

幼女王「お肉おいしー」

オーク「うまいぶひ!」

トロル「おいしいんご!」

その他いっぱい魔王さまのしもべ「「「「「「おいしい!」」」」」」

魔王「ふはははは。食え、飲め、騒げ。宴は続く、動き回れ、踊り狂え」



女騎士「もぐもぐもぐもぐ!」

魔王「ひときわ我慢したあとの肉は格別か」

女騎士「はい! 魔王さま!」

魔王「うむ」

女騎士「肉欲には勝てませんね! とってもおいしいです!」

魔王「よろしい」



   そんなこんなで、女騎士さんはお肉いっぱい食べました。
   日が暮れたころには魔王さまの馬車でお城へと送り届けてもらったようです。

                                   おしまい!!!
etunama

2016年06月12日 22時21分00秒 公開
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■作者からのメッセージ
◆キャッチコピー:;肉
◆作者コメント:よろしくおねがいします

2016年07月08日 14時08分54秒
作者レス
2016年06月30日 17時29分46秒
作者レス
2016年06月29日 05時34分27秒
2016年06月26日 21時20分00秒
0点
2016年06月26日 19時32分14秒
2016年06月21日 18時35分58秒
-10点
2016年06月19日 22時37分34秒
+10点
2016年06月19日 22時12分32秒
+20点
2016年06月19日 17時57分05秒
+10点
2016年06月19日 00時37分48秒
2016年06月18日 23時44分37秒
+10点
2016年06月16日 17時13分02秒
-30点
2016年06月15日 00時54分57秒
2016年06月14日 20時15分46秒
+10点
2016年06月14日 00時53分31秒
+20点
2016年06月13日 22時46分31秒
0点
2016年06月13日 22時30分55秒
+20点
2016年06月13日 19時03分39秒
+20点
2016年06月13日 09時05分15秒
+10点
合計 17人 90点

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