【短編】走れメロス異聞

Rev.01 枚数: 36 枚( 14,152 文字)

<<一覧に戻る | 作者コメント | 感想・批評 | ページ最下部
 メロスは激怒した。必ず、かの邪知暴虐の王を除かねばならぬと決意した。

【サイド メロス】その1
 きょう未明メロスは村を出発し、野を越え山越え、十里(約四十キロメートル)離れたシラクサの都市(まち)にやって来た。
「俺の身内は、十六の、内気な妹しかいない。妹は、村のある律儀な一牧人を、近々、花婿として迎える事になっている。結婚式も間近かなのだ」
 メロスは、それゆえ、花嫁の衣装や祝宴の御馳走やらを買いに、はるばる都市にやって来たのだ。先ず、その品々を買い集め、それから都の大路をぶらぶら歩いた。
 メロスには竹馬の友があった。セリヌンティウスである。今はこのシラクスの都市で、石工をしている。その友を、これから訪ねてみるつもりなのだ。久しく逢わなかったのだから、訪ねて行くのが楽しみである。
 歩いているうちにメロスは、まちの様子を怪しく思った。
「妙にひっそりしている。すでに日も落ちて、まちの暗いのは当たりまえだ。けれども、なんだか、夜のせいばかりでは無く、市全体がやけに寂しいではないか」
 のんきなメロスも、だんだん不安になって来た。路で逢った若い衆をつかまえて質問した。
「何かあったのか、二年まえにこの都市に来たときには、夜でも皆が歌をうたって、まちは賑やかであった筈だが」
 若い衆は、首を振って答えなかった。

【サイド 若い衆】
 若い衆は困惑した。
 いまは日が暮れたばかりだ。皆は自宅で夕食を食べている刻限だ。この時刻にまちに出る者はほとんどいない。
 これから食事をすませ、片付けを終えて、本格的に夜になれば、皆はまちに繰り出してくる。
 今はまだ宵の口、夜になってまちが賑やかになるのは、もうしばらくしてからではないか。
 やけに寂しい、だと?
 いつもと変わりはないぞ。
 こやつはいったい何が言いたいのだ。
 わけが分からぬ。
 理解できぬ。
 若い衆は、首を振って答えなかった。
 いや、答えられなかった。

【サイド メロス】その2
 メロスは、しばらく歩いて老爺に逢い、こんどはもっと、語勢をつよくして質問した。老爺は答えなかった。
 メロスは両手で老爺のからだをゆすぶって質問を重ねた。老爺は、あたりをはばかる低声で、わずか答えた。
「王様は人を殺します」
「なぜ殺すのだ」
「悪心を抱いている、というのですが、誰もそんな、悪心を持ってはおりませぬ」
「たくさんの人を殺したのか」
「はい、はじめは王様の妹婿さまを。それから、御自身のお世継を。それから、妹さまを。それから、妹さまの御子さまを。それから、皇后さまを。それから賢臣のアレキス様を」
「おどろいた。国王は乱心か」
「いいえ、乱心ではございませぬ。人を信ずることが出来ぬ、というのです。このごろは臣下の心をも、お疑いになり、少しく派手な暮らしをしている者には、人質ひとりずつ差し出すことを命じております。御命令を拒めば十字架にかけられて、殺されます。きょうは、六人殺されました」
 聞いて、メロスは激怒した。
「あきれた王だ。生かしておけぬ」

【サイド 老爺】
 老爺は恐怖した。
 暮れなずむ街角で、老爺はおのれを激しく詰問する若者に出会った。目を血走らせ、ただならぬ気配をまとい、大声をあげて老爺に詰め寄ってくる。
 この時刻には妻たちは夕食の材料を買い揃え、夕餉の支度のために家に戻っている。夫や子供たちは自宅に戻り食卓を囲んでいる。夕食を済ませた人々が街並みに戻るには、まだしばらくの間がある。
 あたりに、まだ人影は見えない。
 助けを呼ぶべき相手がいない。
 老爺はおのれの不運を嘆いた。
 若者は怒鳴るように言った。
「二年まえにこの都市に来たときには、夜でも皆が歌をうたって、まちは賑やかであったぞ。この二年の間にいったい何があったのだ!」
 老爺は思った。
 まちはいつも通りだし、この二年間で特段かわったことには思い当たることがない。
 若者は、噛みつかんばかりの迫力で問いつめてくる。
「まちが妙にひっそりしている。もうすでに日も落ちて、まちの暗いのは当たりまえだ。けれども、なんだか、夜のせいばかりでは無く、市全体がやけに寂しいではないか!」
「いつもと変わりはありませぬ」
 老爺は、かろうじて言葉を紡いだ。
 しかし若者は老爺の言葉を聞き入れなかった。襟元をつかみ、胸をゆすって、さらに詰問してきた。
「何があったのだ。本当の事を言え!!」
(この若者は、わしから得ようとする言葉をすでに決めているに違いない。たとえ真実であっても、この若者の意に沿わぬことを言えば、ワシの命が危うかろう。意に沿った言葉を告げれば、満足して、ワシを解放しれくれるやもしれぬ。だが、この若者の求めるその言葉とは、いったい何なのじゃろうか)
 老爺は生命の危険を感じながら必死に考えをめぐらせた。
(まちに人が少ない、と言っていたな。人が減る理由をでっち上げればいいのか? 人が減るとすれば、まず戦だな。シシリア島はローマのすぐ近くにありながら、シラクサはギリシャの都市国家だ。ローマが戦端を開いたと告げようか。いや、さすがに無理があるな。兵隊を招集するのは王だ。では、王のせいでまちから人が減ったことにするのはどうだ)
 老爺はかろうじて言葉を紡いだ。
「王は人を殺します」
(王が命令するから兵士は戦って命を落とす。王とは人を殺すものだ。これは、まったくのウソではないぞ)
「なぜ殺すのだ」
(ギリシャの都市国家シラクサをローマから守るため。そう言っても納得しそうな様子は微塵も見られぬか。だれかを悪人にでっち上げるほかないようだな。やむを得ぬ。聡明で慈悲深き王よ、まことに申し訳ございませぬ。この若者の前だけでかまいませぬ。悪人になってくださいませ!)
「悪心を抱いている、というのです。しかし、誰もそのような悪心を持ってはおりませぬ」
(嘘が嘘を生み出してゆく。毒を食らわば皿までと言うな。やむを得ぬか)
「たくさんの人を殺したのか」
「はい、はじめは王様の妹婿さまを。それから、御自身のお世継を。それから、妹さまを。それから、妹さまの御子さまを。それから、皇后さまを。それから賢臣のアレキス様を」
(いまあげた皆様は、すべて御壮健だから、シラクサの民は、だれもこの若者の言葉を信じることはない。害の無い嘘だからと、お許しいただけないだろうか)
「おどろいた。国王は乱心か」
「いいえ、乱心ではございませぬ。人を信ずることが出来ぬ、というのです。このごろは臣下の心をも、お疑いになり、少しでも派手な暮らしをしている者には、人質ひとりずつ差し出すことを命じております。御命令を拒めば十字架にかけられて、殺されます。きょうは、六人殺されました」
(本当にこれだけの人々を殺したなら、その前に王は解任させられておるわ。ギリシャの民主主義を知る者なら、これがウソ偽りであると即座に分かることじゃ)
 聞いて、メロスは激怒した。
「あきれた王だ。生かしておけぬ」
 こうして不運な老爺は怒れる若者から無事に解放されたのであった。

【サイド メロス】その3
 聞いて、メロスは激怒した。
「呆れた王だ。生かしておけぬ」
 メロスは単純な男であった。買い物を、背負ったままで、のそのそ王城にはいって行った。
 たちまち彼は、巡回中の衛兵に捕縛された。調べられて、メロスの懐中から短剣が出てきたので、騒ぎが大きくなってしまった。

 メロスは、王の前に引きだされた。
「この短刀で何をするつもりであったか。言え!」
 ディオニス王は静かに、けれども威厳をもって問いつめた。その王の顔は蒼白で、眉間の皺は、刻み込まれたように深かった。
「市を暴君の手から救うのだ」
 メロスは悪びれずに答えた。

【サイド ディオニス王】その1
「市を暴君の手から救うのだ」
 囚われの若者は、悪びれずに答えた。
「おまえがか?」
(ローマの圧政を防ぐために宮殿に忍び込んだというのか? こやつは自分の置かれた立場すら理解しておらぬのか。お前は反逆者として裁かれようとしておるのだぞ)
「俺に政治はわからぬ。俺は牧人だ。笛を吹き、羊と遊んで暮らしてきた。けれど邪悪に対しては、人一倍に敏感なつもりだ」
 王は、憫笑した。
「仕方のないやつじゃ。おまえには、わしの孤独がわからぬ」
(ローマはこのシラクサを支配下に置こうとして虎視眈々と狙っておる。それを知る民は多くない。真剣に憂いている民に至っては、あまりにも少ない)
「言うな!」
 メロスは、いきり立って反駁した。
「人の心を疑うのは、最も恥ずべき悪徳だ。王は、民の忠誠をさえ疑っておられる」
「疑うのが、正当の心構えなのだと、わしに教えてくれたのは、おまえたちだ」
(ローマは耳に心地よい言葉でシラクサに属国に下るように説得を重ねている。それを信じる民は少なくない。だが、王である余はローマの本心を見抜かなければならぬのだ)
「人の心は、あてにならない。人間は、もともと私欲のかたまりさ。(ローマの言葉を)信じては、ならぬ」
 王は落ち着いて呟き、ほっと溜め息をついた。
「わしだって、平和を望んでいるのだが」
(ローマはシラクサを手に入れるために武力に訴えることも辞さぬ構えでおるのだぞ)
「なんのための平和だ。自分の地位を守るためか」
 こんどはメロスが嘲笑した。
「罪の無い人を殺して、何が平和だ」
(シラクサを守るために戦う者たちを殺すのはローマだぞ。こやつはいったい何を言っているのだ?)
「黙れ、下賤の者」
 王は、さっと顔を挙げて報いた。
「口では、どんな清らかなことでも言える。わしには、人のハラワタの奥底が見え透いてならぬ」
(ローマの甘言に乗ってはならぬ。ローマの真意はシラクサを支配することなのだ。ああ、それよりも、今はこの若者の処遇を決めるべきときだったな)
「おまえだって、いまに、磔(はりつけ)になってから、泣いて詫びたって聞かぬぞ」
「ああ、王は賢い。自分は他人より優れていると思い込んでいるがよい。私は、ちゃんと死ぬる覚悟でいる。命乞いなど決してしない。ただ、……」
 と言いかけて、メロスは足元に視線を落とし瞬時ためらった。
「ただ、私に情けをかけるつもりなら、処刑までに三日間の日限を与えてください。たった一人の妹に、亭主を持たせてやりたいのです。三日のうちに、私は村で結婚式を挙げさせ、必ず、ここへ帰って来ます」
「ばかな」
 王は、嗄れた声で低く笑った。
「とんでもない嘘を言うわい。逃がした小鳥が帰って来るというのか」
「そうです。帰って来るのです」
 メロスは必死で言い張った。
「私は約束を守ります。私を、三日間だけ許して下さい。妹が、私の帰りを待っているのだ。そんなに私を信じられないならば、よろしい。この市にセリヌンティウスという石工がいます。私の無二の親友だ。あれを、人質としてここに置いていこう。私が逃げてしまって、三日目の日暮れまで、ここに帰って来なかったら、あの友人を絞め殺して下さい。たのむ。そうしてください」
 それを聞いて王は、笑みを漏らした。

【サイド ディオニス王】その2
 王は苦悩した。
 王の治世は長く続いていた。
 それにしても安寧になれた民の中からこのような若者が生まれてくるとは、まったく神々のなされようは人知を越えておるわい。
 王に反逆する者は死罪とする。その縁者も死罪とする。
 王は何故そうせねばならぬかが十分に分かっていた。
 だが、王はメロスを死罪にしようとは思わなかった。
 どうすればこの若者の命を奪わずにことを収めることができるだろうか。しばし逡巡したあとで王は思いついた。
 この若者を国外に追放すればよい。国に戻れば死罪になると分っていれば戻ることはあるまい。そう思いついた王のご尊顔にこの日初めて笑みがこぼれた。

【サイド メロス】その4
 メロスは思った。
(暴君が残虐な気持ちで、そっとほくそ笑んだぞ。きっと、こう考えたのに違いあるまい。
『生意気なことを言うわい。どうせ帰って来ないにきまっている。この嘘つきにだまされた振りをして、放してやるのも面白い。そうして身代わりの男を、三日目に殺してやるのも気味がいい。人は、これだから信じられぬと、わしは悲しい顔をして、その身代わりの男を磔刑に処してやるのだ。世の中の、正直者とかいう奴輩にうんと見せつけてやりたいものさ』)
 王はメロスに告げた。
「願いを、聞いた。その身代わりを呼ぶがよい。三日目には日没までに帰って来い。おくれたら、その身代わりを、きっと殺すぞ。ちょっとおくれて来るがいい。おまえの罪は、永遠にゆるしてやろうぞ」
「なに、何をおっしゃる」
「はは。いのちが大事だったら、おくれて来い。おまえの心は、わかっているぞ」
 メロスは口惜しく、地団駄を踏んだ。ものも言いたくなくなった。
 竹馬の友、セリヌンティウスは、深夜、王城に召された。ディオニス王の面前で、よき友とよき友は、二年ぶりでめぐり合った。
 メロスは、友に一切の事情を語った。セリヌンティウスは無言でうなずき、メロスをひしと抱きしめた。友と友の間は、それでよかった。
 セリヌンティウスは縄打たれた。
 メロスは、すぐに出発した。初夏、満天の星である。

 王は、そばに控える衛兵に命じた。
「こたびの王宮襲撃にかかわりのあった者を調べて、そのすべてを宮廷に呼び出すがよい。余みずから事情を聞きだすものとする」
「御心のままに」
 衛兵は深くうなずいた。

【サイド 衛兵】その1
 衛兵は決意した。
 この不埒者に連なる者たちをことごとく見つけ出して捕え、一族郎党を根絶やしにせねばならぬ。
 王は都市国家シラクサの民のために多くの決断をくだされる。王の決断を曇らせる者はシラクサと民に少なからぬ不利益を生じさせる。
 まして、いま玉体に何か事があれば、敵国ローマに攻め入る隙を与える。防衛の指揮をつかさどる王を失えば軍隊は烏合の衆となりはてる。その結果、シラクサが亡ぼされることもありうる。
 この若者はこの国のすべての民に対して許しがたい罪を犯した。死罪以外に罰はありえない。
 衛兵は捕えたメロスに尋ねて彼の係累を探った。
 メロスには父も、母も無い。女房も無い。
 身内は、十六の、内気な妹しかいない。
 妹は、村の或る律儀な一牧人を、近々、花婿として迎える事になっていた。
(どうやら、ほかに王に害をなす可能性のある者はいないようだな)

【サイド セリヌンティウス】
 メロスの竹馬の友セリヌンティウスは己の命運が尽きたのを悟った。
 その夜に、セリヌンティウスは、いつものようにまちで喧噪を楽しみ、わずかばかりの酒を飲んで自宅に戻った。自宅前には彼の帰りを待つ者がいた。セリヌンティウスは深夜、王城に召された。
 ディオニス王の面前で、セリヌンティウスとメロスは、二年ぶりに出会った。
 聞けばメロスは王宮に刃物を持って押し入り王の暗殺を企てたとのことだった。そのような者と縁があるとなれば極刑はまぬがれぬ。せめて年老いた母と弟を巻き添えにせぬためには自分が今どう振舞わねばならぬかを熟慮する。
 それにしても、なぜメロスは今回、まちが異様に静かだ。寂れていると感じたのだろうか。
 セリヌンティウスには思い当たることがあった。
 メロスが住むのは村だ。朝日とともに目覚めて夕日が沈めば床に着くのが当たり前だった。
 しかし、都市では違う。地中海全体の習慣として、昼食のあとにたっぷりとシエスタ(午睡)をとり、夜は九時くらいをピークに市街に繰り出すのが一般的だった。
 セリヌンティウスは以前メロスが訪ねてきたときに、大ギリシャの首都シラクサ市街のにぎわいをみせて驚かせようとした。だから、夕食が終わったあとに、しばらくたわいもない会話を楽しんで自宅に留め、まちのにぎわいが最高潮になる夜の九時ころを選んでまちへと繰り出したのだった。
 日が暮れてすぐには、まちは閑散としている。それはいつものことだ。
 それにしても、メロスはなぜ王が暴君であると勘違いをしたのだろうか。

 翌日になって、メロスが問いつめた老爺はすぐに見つかった。メロスの宮殿襲撃は市中のうわさになっており、老爺は自ら王宮へと出頭したのであった。
 老爺の供述によって、メロスが王を暴君と信じた理由が詳らかにされた。

 セリヌンティウスはつぶやいた。
「俺はとことん運に見放されているようだ」

【サイド メロス】その4
 セリヌンティウスは縄打たれた。メロスは、すぐに出発した。初夏、満天の星である。
 メロスはその夜、一睡もせず十里の路を急ぎに急いで、村へ到着したのは、翌日の午前、陽は既に高く昇って、村人たちは野に出て仕事をはじめていた。メロスの十六の妹も、きょうは兄の代わりに羊群の番をしていた。よろめいて歩いて来る兄の、疲労困憊の姿を見つけて驚いた。そうして、うるさく兄に質問を浴びせた。
「なんでも無い」
 メロスは無理に笑おうと努めた。
「市に用事を残して来た。またすぐ市に行かなければならぬ。あす、おまえの結婚式を挙げる。早いほうがよかろう」
 妹は頬をあからめた。
「うれしいか。綺麗な衣装も買って来た。さあ、これから行って、村の人たちに知らせて来い。結婚式は、あすだと」
 メロスは、また、よろよろと歩き出し、家へ帰って神々の祭壇を飾り、祝宴の席を調え、間もなく床に倒れ伏し、呼吸もせぬくらいの深い眠りに落ちてしまった。
 眼が覚めたのは夜だった。メロスは起きてすぐ、花婿の家を訪れた。そうして、少し事情があるから、結婚式を明日にしてくれ、と頼んだ。婿の牧人は驚き、それはいけない、こちらには未だ何の支度も出来ていない。葡萄の季節まで待ってくれ、と答えた。メロスは、待つことは出来ぬ、どうか明日にしてくれ給え、と更に押してたのんだ。婿の牧人も頑強であった。なかなか承諾してくれない。夜明けまで議論をつづけて、やっと、どうにか婿をなだめ、すかして、説き伏せた。結婚式は、真昼に行われた。新郎新婦の、神々への宣誓が済んだころ、黒雲が空を覆い、ぽつりぽつり雨が降り出し、やがて車軸を流すような大雨となった。祝宴に列席していた村人たちは、何か不吉なものを感じたが、それでも、めいめい気持ちを引きたて、狭い家の中で、むんむん蒸し暑いのもこらえ、陽気に歌をうたい、手をうった。メロスも満面に喜色を浮かべ、しばらくは、王とのあの約束をさえ忘れていた。祝宴は、夜に入っていよいよ乱れ華やかになり、人々は、外の豪雨を全く気にしなくなった。メロスは、一生このままここにいたい、と思った。このよい人たちと生涯暮らして行きたいと願ったが、いまは、自分のからだで、自分のものでは無い。ままならぬことである。メロスは、わが身に鞭打ち、ついに出発を決意した。あすの日没までには、まだ十分の時がある。ちょっと一眠りして、それからすぐに出発しよう、と考えた。そのころには、雨も小降りになっていよう。少しでも永くこの家にグズグズとどまっていたかった。メロスほどの男にも、やはり未練の情というものはある。今宵、歓喜に酔ってぼんやりしているらしい花嫁に近寄り、
「おめでとう。私は疲れてしまったから、ちょっとご免こうむって眠りたい。眼が覚めたら、すぐに都市に出かける。大切な用事があるのだ。私がいなくても、もうおまえには優しい亭主があるのだから、決して寂しいことは無い。おまえの兄の、一ばんきらいなものは、人を疑うことと、それから、嘘をつくことだ。おまえも、それは、知っているね。亭主との間に、どんな秘密でも作ってはならぬ。おまえに言いたいのは、それだけだ。おまえの兄は、たぶん偉い男なのだから、おまえもその誇りを持っていろ」
 花嫁は、夢見心地でうなずいた。メロスは、それから花婿の肩をたたいて、
「準備の無いのはお互いさまさ。私の家にも、宝といっては、妹と羊だけだ。ほかには、何も無い。全部あげよう。もう一つ、メロスの弟になったことを誇ってくれ」
 花婿は揉み手して、てれていた。メロスは笑って村人たちにも会釈して、宴席から立ち去り、羊小屋にもぐり込んで、死んだように深く眠った。

【サイド メロス】その5
 眼が覚めたのは翌日の薄明の頃である。メロスは跳ね起き、南無三、寝過ごしたか、いや、まだまだ大丈夫、これからすぐに出発すれば、約束の刻限までには十分間に合う。きょうは是非とも、あの王に、人の真実の存するところを見せてやろう。そうして笑って磔の台に上ってやる。メロスは、悠々と身支度をはじめた。雨も、いくぶん小降りになっている様子である。身支度は出来た。さて、メロスは、ぶるんと両腕を大きく振って、雨中、矢のごとく走り出た。
 私は、今宵、殺されるために走るのだ。身代わりの友を救うために走るのだ。
 さらば、ふるさと。若いメロスはつらかった。幾度か、立ち止まりそうになった。えい、えいと大声挙げて自身を叱りながら走った。村を出て、野を横切り、森をくぐり抜け、隣村に着いた頃には、雨も止み、日は高く昇って、そろそろ暑くなって来た。メロスは額の汗をこぶしで払い、ここまで来れば大丈夫、もはや故郷への未練は無い。まっすぐに王城に行きつけば、それでよいのだ。そんなに急ぐ必要も無い。ゆっくり歩こう、と持ちまえの呑気さを取り返し、好きな小歌をいい声で歌いだした。ぶらぶら歩いて二里行き三里ゆき、そろそろ全里程の半ばに到達した頃、降ってわいた災難、メロスの足は、はたと、とまった。見よ、前方の川を。きのうの豪雨で山の水源地は氾濫し、濁流滔々と下流に集まり、猛勢一挙に橋を破壊し、どうどうと響きをあげる激流が、木葉微塵に橋桁を跳ね飛ばしていた。彼は呆然と立ちすくんだ。あちこちとながめまわし、また、声を限りに呼び立ててみたが、繋舟は残らず浪にさらわれて影なく、渡し守の姿も見えない。流れはいよいよ、ふくれ上がり、海のようになっている。メロスは川岸にうずくまり、男泣きに泣きながらゼウスに手を挙げて哀願した。「ああ、鎮めたまえ、荒れ狂う流れを! 時は刻々に過ぎて行きます。太陽も既に真昼時です。あれが沈んでしまわぬうちに、王城に行き着くことが出来なかったら、あのよい友達が、私のために死ぬのです」
 濁流は、メロスの叫びをせせら笑うごとく、ますます激しく躍り狂う。浪は浪を呑み、捲き、煽り立て、そうして時は、刻一刻と消えて行く。今はメロスも覚悟した。泳ぎ切るよりほかに無い。ああ、神々も照覧あれ! 濁流に負けぬ愛と誠の偉大な力を、いまこそ発揮して見せる。メロスは、ざんぶと流れに飛び込み、百匹の大蛇のようにのた打ち荒れ狂う浪を相手に、必死の闘争を開始した。満身の力を腕にこめて、押し寄せ渦巻き引きずる流れを、なんのこれしきと掻きわけ掻きわけ、めくらめっぽう獅子奮迅の人の子の姿には、神も哀れと思ったか、ついに憐憫を垂れてくれた。押し流されつつも、見事、対岸の樹木の幹に、すがりつくことが出来たのである。ありがたい。メロスは馬のように大きな胴震いを一つして、すぐにまた先を急いだ。一刻といえども、むだには出来ない。陽は既に西に傾きかけている。ぜいぜい荒い呼吸をしながら峠をのぼり、のぼり切って、ほっとした時、突然、目の前に一隊の山賊が躍り出た。

【解説】
 地球の歩き方 2025~26 にはシラクサの周辺にある町の地図が載っている。地図によると、ラグーザの町とカルタジローネの町のある丘陵からは周囲に川が何本も発している。
 シラクサは地中海に浮かぶシシリア島にある。シラクサの町の背後にある丘陵地帯は水が豊富であり、雨がふれば小説に描写された状況が発生すると考えられる。洪水を避けるために、町は斜面や丘に建設されたと推察される。
 原作のこの部分はメロスの主観と客観描写が一致していると解釈すべきだろう。

【サイド メロス】その6
 突然、目の前に一隊の山賊が躍り出た。
「まて」
「何をするのだ。私は陽の沈まぬうちに王城へ行かなければならぬ。放せ」
「どっこい放さぬ。持ちもの全部を置いていけ」
「私にはいのちの他には何も無い。その、たった一つの命も、これから王にくれてやるのだ」
「その、いのちが欲しいのだ」
「さては、王の命令で、ここで私を待ち伏せしていたのだな」
 山賊たちは、ものも言わず一斉に棍棒を振り挙げた。メロスはひょいと、からだを折り曲げ、飛鳥のごとく身近の一人に襲いかかり、その棍棒を奪い取って、
「気の毒だが正義のためだ!」と猛然一撃、たちまち、三人を殴り倒し、残る者のひるむ隙に、さっさと走って峠を下った。一気に峠を駆け降りたが、さすがに疲労し、折から午後の灼熱の太陽がまともに、かっと照って来て、メロスは幾度となく眩暈を感じ、これではならぬ、と気を取り直しては、よろよろ二、三歩あるいて、ついに、がっくりと膝を折った。立ち上がることができぬのだ。

【サイド 山賊】
「さては、王の命令で、ここで私を待ち伏せしていたのだな」
 山賊たちは、ものも言わず一斉に棍棒を振り挙げた。メロスはひょいと、からだを折り曲げ、飛鳥のごとく身近の一人に襲いかかり、その棍棒を奪い取って、
「気の毒だが正義のためだ!」と猛然一撃、たちまち、三人を殴り倒し、残る者のひるむ隙に、さっさと走って峠を下った。

 メロスの時代に、シチリアの先住民であるシクリ人は、ギリシア人による植民都市建設によって内陸部に押しやられていた。海岸線から十里(およそ40 km)以上離れた丘陵にまちをつくっていた。
 メロスを襲った山賊は、山へと追いやられたシクリ人であった。メロスの時代には先祖伝来の豊かな土地を奪われ丘陵の荒れ地へと追いやられた恨みが色濃く残っていた。
 メロスを襲った山賊は、ギリシャ人の支配地域で盗賊行為をしようとしていたシクリ人が、単独行動をするギリシャ人をたまたま見かけたので徒党を組んで襲撃したのだった。
 昔の恨みを晴らすためにギリシャ人を痛めつけて溜飲を下げ、証拠隠滅のためにその命を欲したのである。
 メロスが邪推したように王が手を回したのであれば、派遣されるのはメロスと同等かそれ以上の手練れであっただろう。
 メロスの村はギリシャ人とシクリ人の境界近くにあった。だからメロスの村には当然のこととして防人の役目があった。
 メロスおよび村人たちはギリシャ流の高度な戦闘術を会得しており、日頃から棍棒などの武術をたしなみ、村祭りなどの機会があるごとに武術大会を開いて互いに腕を磨いていた。
 メロスの時代にはギリシャの軍事力はローマを上回っていた。戦闘術でもローマを圧していた。だからシラクサにあるギリシャの都市国家群はローマ帝国の支配をまぬがれていたのだった。
 防人の村で育ったメロスの活躍はシクリ人のにわか山賊を相手にしたなら、ご都合主義でも主人公補正でもなかったのである。
 原作のこの部分もメロスの主観と客観描写が一致しているのであった。

【サイド メロス】その7
一気に峠を駆け降りたが、さすがに疲労し、折から午後の灼熱の太陽がまともに、かっと照って来て、メロスは幾度となく眩暈を感じ、これではならぬ、と気を取り直しては、よろよろ二、三歩あるいて、ついに、がっくりと膝を折った。立ち上がることができぬのだ。
 今になってみると、私は王の言うままになっている。私は、おくれて行くだろう。そうなったら、私は、永遠に裏切り者だ。セリヌンティウスよ、私も死ぬぞ。君と一緒に死なせてくれ。君だけは私を信じてくれるにちがい無い。いや、それも私の、ひとりよがりか? ああ、もういっそ、悪徳者として生き伸びてやろうか。村には私の家が在る。羊も居る。妹夫婦は、まさか私を村から追い出すようなことはしないだろう。正義だの、真実だの、愛だの、考えてみれば、くだらない。人を殺して自分が生きる。それが人間世界の定法ではなかったか。ああ何もかも、ばかばかしい。私は、醜い裏切り者だ。どうとも、勝手にするがよい。もう、どうしようもない。
 メロスは四肢を投げ出して、うとうと、まどろんでしまった。
 ふと耳に、水の流れる音が聞こえた。そっと頭をもたげ、息を呑んで耳をすました。すぐ足もとで、水が流れているらしい。よろよろ起き上がって、見ると、岩の裂け目から滾々と、何か小さく囁きながら清水が湧き出ているのである。その泉に吸いこまれるようにメロスは身をかがめた。水を両手ですくって、一くち飲んだ。ほうと長いため息が出て、夢から覚めたような気がした。歩ける。行こう。肉体の疲労回復と共に、わずかながら希望が生まれた。

【サイド メロス】その8
 ここまで来れば大丈夫、(中略)まっすぐに王城に行き着けば、それでよいのだ。そんなに急ぐ必要も無い。ゆっくり歩こう、と持ちまえの呑気さを取り返し、好きな小歌をいい声で歌い出した。ぶらぶら歩いて二里行き三里行き、(後略)と、全行程十里のうち、少なくとも三里、二里行きさらに三里行ったのなら五里の行程をメロスはぶらぶら歩いたことになる。
 さすがにこれまでゆっくりと歩き過ぎだった。いまや、『走れメロス』というべき状況になっていた。
 路行く人を押しのけ、跳ねとばし、メロスは黒い風のように走った。野原で酒宴の、その宴席のまっただ中を駆け抜け、酒宴の人たちを仰天させ、犬を蹴とばし、小川を飛び越え、少しずつ沈んでゆく太陽の、十倍も早く走った。
 まてよ、少しずつ沈んでゆく太陽の、十倍の早さは、カタツムリと比べて早いのか、遅いのか。
 いまのメロスに、そんなことを考える余裕はなかった。
 陽は、ゆらゆら地平線に没し、まさに最後の一片の残光も、消えようとした時、メロスは疾風のごとく刑場に突入した。間に合った。
 群衆は、どよめいた。あっぱれ。ゆるせ、と口々にわめいた。セリヌンティウスの縄は、ほどかれたのである。

【サイド ディオニス王】その3
「あの若者は国外に追放するつもりじゃ。国に戻れば死罪になると分っていれば戻ることはあるまい」
 王の言葉を聞いたセリヌンティウスは答えた。
「恐れながら申し上げます。メロスはきっと戻ってくるでしょう。あれほど真っ直ぐな心根を持つ者を私はほかに知りませぬ」
 王は天を仰いだ。
「そうか。では、別の方法を考えねばならぬな」
 王はメロスについて調べたことを思い浮かべた
「まだ人がいない黄昏時の街を見て、二年前より寂れたと早とちりした。
 早とちりから罪のない老爺を脅して無理やり虚偽の証言をさせた。
 虚偽の証言を根拠にロクに準備をせずに王宮に侵入して王を殺そうとした」
 王は知らなかった。
 結婚する日を決める相談を花婿としていないのに祝宴の御馳走を買いに勝手にシラクサに来たことを。
 結婚の支度がまったくできていない花婿に、一晩かけて無理やり翌日に結婚式を挙げると同意させたことを。
 命を捨てるための約束を律儀に守ろうとしたこと。
 そのために、激流を泳ぎ渡ったことを。
 そのために、山賊の囲みから抜け出したことを。
 妹夫婦に「全部あげよう」、と言っておきながら、村には私の家が在る。羊も居る。妹夫婦は、まさか私を村から追い出すようなことはしないだろう。と、万事を自分に都合よく解釈してしまう身勝手さを。
 すべてを知った上でのことではなかった。しかし、王はメロスの人となりを正しく把握した。
「他人に対して配慮が乏しい粗忽者だが、稀にみる真っ直ぐな心根の持ち主だ」
 衛兵は城門の上からふらつきよろめきながら歩むメロスの姿を認めた。衛兵は王の元に赴いて進言した。
「あの若者が帰ってまいりました。恐れながら申し上げます。王の暗殺を企てた者は死罪と古来から決まっております。ご命令を!」
 王は首を振って答えた。
「あの若者の過ちは国を思う心から発しておる。あのように一途な若者なら、あの者ゆえに余が考えを改めたと思わせれば身命を賭して我が国に尽くすであろう。
 いま、ローマはシラクサを支配しようとする野望を隠そうともしていない。
 そのようなときに、余は忠義の民を無為に失う愚を犯したくないのじゃ。
 そこな友人よ。余のため国のために芝居につきあってはくれまいか」
 メロスの親友のセリヌンティウスに選択の余地はなく、王の提案に異存はなかった。

【サイド メロス】その9
 セリヌンティウスの縄は、ほどかれたのである。
「セリヌンティウス」
 メロスは眼に涙を浮かべて言った。
「私を殴れ。ちから一ぱいに頬を殴れ。私は、途中で一度、悪い夢を見た。君がもし私を殴ってくれなかったら、私は君と抱擁する資格さえ無いのだ。殴れ」
 セリヌンティウスは、すべてを察した様子で首肯き、刑場一ぱいに鳴り響くほど音高くメロスの右頬を殴った。殴ってから優しく微笑み、
「メロス、私を殴れ。同じくらい音高く私の頬を殴れ。私はこの三日の間、たった一度だけ、ちらと君を疑った。生まれて、はじめて君を疑った。君が私を殴ってくれなければ、私は君と抱擁できない」
 メロスは腕に唸りをつけてセリヌンティウスの頬を殴った。
「ありがとう、友よ」二人同時に言い、ひしと抱き合い、それから嬉し泣きにおいおい声を放って泣いた。
 群衆の中からも、すすり泣きの声が聞こえた。ディオニス王は、群衆の背後から二人の様を、見つめていたが、やがて静かに二人に近づき、こう言った。
「おまえらの望みは叶ったぞ。おまえらは、わしの心に勝ったのだ。真実とは、決して空虚な妄想ではなかった。どうか、わしをも仲間に入れてくれまいか。どうか、わしの願いを聞き入れて、おまえらの仲間の一人にしてほしい」
 どっと群衆の間に、歓声が起こった。
「万歳、王様万歳」

【サイド ディオニス王】その4
 ディオニス王は、傍らに控えた衛兵にそっと尋ねた。
「これであの若者は王の命令に従うようになったと思う。あの粗忽だが心根が真っ直ぐな若者をうまく使いこなせそうか?」
 衛兵は胸を張って答えた。
「うまく使いこなして見せましょう。
 兵士は愚かでなければなりません。
 兵士は民より優れた武器を持っていることに気がついてはなりません。武器で民を脅せば、美味い食べ物も、財産も、器量の良い娘ですらも、望むままに手に入れることができる。
 そのことに決して気がついてはなりません。
 たとえ同僚がそのようなことをなそうとも、自分も同じようにできることに気がついてはなりません。
 そして、上官の命令に従えば、敵と戦って命を落とすことになる。そのことに決して気がついてはなりません。
 あのように真っ直ぐな心根を持つ者はめったにおりません。あの若者は、自分が民を意のままにできることに気が付いても、決して民に非道を働こうとはしないでしょう。命を落とそうとも決して道理を曲げようとしないでしょう。
 あのような若者が大ギリシャの首都シラクサにいると知らしめるだけでローマに対する強大な抑止力となることでしょう」
 王は満足そうに微笑んだ。
「あの若者のことを語り伝えて、ついには伝説となるようにいたせ」
 王の命令は忠実に実行された。
朱鷺(とき)

2025年12月26日 06時46分12秒 公開
■この作品の著作権は 朱鷺(とき) さんにあります。無断転載は禁止です。

■作者からのメッセージ
◆キャッチコピー:
 私は、殺されるために走るのだ。身代わりの友を救うために走るのだ。
◆作者コメント:
 本作では、敵国ローマと自国の反逆者メロスとのはざまで悩むシラクサの王を描きました。
 岡崎中学校2年の村田一真君が太宰治著の走れメロスをもとに「メロスの全力を検証」しました。足取りを検証した結果、往路の平均移動速度は時速3.9 km/時間、復路は2.7 km/時間と算出されました。
 この数字は、フルマラソンの一般男性の平均速度 9 km/時間よりもかなり遅く、一般男性の歩行速度 4 km/時間と同じことが分かります。
 しかし文章では、「メロスは疾風のごとく」など、今回の検証とあまり合っていないことが書かれていました。
(村田一真さんのレポートより)
 そこで、小説はすべてメロスの一人称視点で書かれていたと仮定し、それならば実際はどうであったのかを邪推してみました。
 なぜ邪推したか、だって?
 小説は楽しむために読むものだから、当然の事でしょう。

2026年01月20日 18時25分58秒
作者レス
2026年01月16日 22時42分29秒
+10点
2026年01月09日 12時16分26秒
+20点
2026年01月01日 08時39分05秒
+10点
2025年12月31日 12時50分56秒
+10点
合計 4人 50点

お名前(必須) 
E-Mail (必須) 
-- メッセージ --

作者レス
評価する
 PASSWORD(必須)   トリップ  

<<一覧に戻る || ページ最上部へ
作品の編集・削除
E-Mail pass