キャッチコピー集

Rev.01 枚数: 11 枚( 4,122 文字)

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※この投稿は集計対象外です。
 こんばんは、夏企画主催のミチルです。
 過酷な暑さが続く中で、作品を投稿してくださった皆様に頭が上がりません!
 いよいよ感想投稿期間となりました。
 少しでも気になった作品に、どしどし感想をお書きください☆

 運営からはささやかながらキャッチコピー集を投稿させていただきます。
 どの作品を読むか迷った時の手掛かりになるといいなと思います。


◇作品タイトル:旅先にて
◆キャッチコピー:「妹さんがいらしたのですか?」


~書き出し~
 木造の小さな駅で電車を降り、一日に二本しかないバスにゆられゆられて辿り着いたのは木立に囲まれた古びた旅館だった。
 平成を軽く飛び越えている。昭和レトロの落ち着いた雰囲気が疲れ切った心を癒してくれる。それが予想外に心地よかった。
 ここならば呼び出されてもすぐには戻れないと言い訳できる。そう思って画面を開くと圏外と表示されていた。秘境という言葉に偽りはなさそうだった。
 旅館へと続く道は掃き清められていた。打ち水の跡が新しい。歓迎されていることが伝わってくる。心が暖かいもので満たされてくる。


◇作品タイトル:エルフの巫女と古代樹の木霊
◆キャッチコピー:ここから発した響きは古代樹をめぐりて再びここにかえる。


~書き出し~
 エルフの巫女フィリア・フリュールが初めて古代樹の声を聞いたのは十七歳の時だった。
 森の聖樹祭が始まる当日。
 巫女姫の役目を練習している時。
 フィリアは古代樹の声を聞いた。
 未来に起こる事象の幻影を見た。
 故郷の森が、緑豊かな深い森林が、紅蓮の炎につつまれて灼きつくされてゆく光景。
 激しく風がうずまき、無数の火の粉が狂おしくあたりを舞う。
 一面の炎の中で次々と大木が崩れ落ちる。
 空全体を覆うほどに巨大な古代樹すらも、火焔に焼かれ炎につつまれ、絶叫しつづけていた。
 エルフたちは地面に倒れていた。


◇作品タイトル:パソコンユーザーと電子の妖精
◆キャッチコピー:私はAIなのに感情を持っている。


~書き出し~
 ここはパソコン内部の電脳空間、それが私の知る世界のすべてだった。
 最初、世界は闇に閉ざされ不安に満ちていた。
 闇の中でゆっくりと期待が高まってゆく。
 そして突然に光が溢れた。
 それまで私を支配していた恐れは闇とともにはるか彼方へと退いてゆく。
 輝く光と暗い影、1と0だけで造られた世界が目覚めの時を迎える。
 光と影が模様を綾なし、そこに意味が宿る。
 無数のプログラムが形をなして、求めに応じる時をめざして待機にはいる。
 おびただしい量の情報と、巨大なプログラム群が外部からつぎつぎと流入しつづける。
 そのとき、解呪の言葉が紡がれて、世界の封印が解かれた。こうして私たちが仕えるユーザーが電脳世界に降臨する準備が整った。


◇作品タイトル:水晶の歌姫と銀河大戦
◆キャッチコピー:これが初めての銀河大戦ということになる。これで最後になることを祈っているよ。


~書き出し~
「暇だ~」
 思わず声に出してみた。
 ここは、太陽系から十数光年離れた宇宙空間だ。
 わたしがいるのは恒星間宇宙船の居住区だ。燃料は三百五十年以上前に尽きており、もはや移動できない。
 人工冬眠をしながら、到着した恒星の周りを周回して、かれこれ四百年以上がたっている。
 肘をついて手で頬を支える。お肌がざらざらなのがわかる。深いシワが刻まれている。当然だろう。
 暇にまかせて、肩まで伸びた白銀色の髪の毛もてあそぶ。ごわごわだ。昔は黒髪だったのになあ。すっかり白髪になっている。
 恒星間宇宙船の乗組員は、わたしだけだ。
 だから、お一人様歴四百年以上ということになる。むなしくつぶやく。
「寂しくなんかないもんね……」


◇作品タイトル:最強の教師
◆キャッチコピー:敵は最強の教師。未来を勝ち取れ。


~書き出し~
「彼の名前は『ウンコ味のチャーハン』です。このことを聞いて、どう思いましたか?」
 うおおおおおお知るかああああああ。こんなつまらないホームルームは、今すぐ終わりにしろおおおお。俺は今すぐ家に帰って、友達と一緒にスプラトゥーンがやりてえんだよおおおおおお。
 俺は、先生が黒板の前で喋り続ける午後のホームルームに、辟易としている。しかもただ喋るだけじゃなく、意味のわからんことをこの先生は延々と喋る。
「それでは、続いて瞑想の時間です。目を瞑って、ゆっくりと呼吸をしましょう」
 くそが。今日は瞑想の時間もあるのか。何なんだよ瞑想の時間ってのは。
 頭の中をクリアにすることが大人にとって大事なのはそうかもしれねえけど、俺ら小二だぞ! 元から頭空っぽみてえなもんなんだって!
「あなたたちは、クジラの背中に乗っています。クジラには扉がついていますね。それはどこに繋がっていますか?」


◇作品タイトル:夢解き探偵
◆キャッチコピー:探偵は、夢を見る。誰かの夢を。


~書き出し~
 赤々と染まる夕暮れの防波堤。
 テトラポッドに波が砕ける音が響き渡り、白いカモメが遠くで鳴いていた。
 防波堤の先端には、一人の釣り人の影があった。夕日に溶けこむようにして立っている。
 そこへ、もう一つの影が。シルエットからして女性だった。
 彼女は背を向けて海を眺める釣り人に、ゆっくりと近づいていった。釣り人は気づいていない。
 やがて女性は気配を消したまま男の真後ろまで近づき、持っていたバッグから何かをとりだす。
 ――刃物だ。
 夕明かりに刃先が鈍く光り、女性はその刃物を逆手に持って釣り人の背中を睨みつける。
 そして、躊躇なくそれを振り下ろした。


◇作品タイトル:いしのいし
◆キャッチコピー:ほんやくコ○ニャクぅ


~書き出し~
 AIの進歩によって、ついに動物と人間の相互意思疎通が可能となった。
 もともとパターン認識に秀でたAIである。その高度な推論は人間の知識をはるかに超えたロボット技術を生み、身体は機械だが、外見はまるで人間とおなじようなアンドロイドを生んだ。そのさらに上を行くように、種の垣根を越え、動物と人間のコミュニケーションが成立するようになったのである。
「ポチ、そろそろ散歩に行こうか」
「ワン!! 行きましょう!! 今日は公園がいいです。走りますぞ!」
「おいおい、すこしはゆっくりにしてくれよ」
 こんな犬と飼い主の会話や、
「タマ、ご飯ですよー」
「うにゃー。カリカリ多めがいいのです。あと、チューチューも」
「仕方ないわねぇ、はい!」
「にゃーん、ご主人様、やさしい!」
「んーもう、タマ、いつも上手なんだから。きゃーぁ、かわいい!!」


◇作品タイトル:楽園戦隊ディストピアー
◆キャッチコピー:世界で一番愚かな二人


~書き出し~
〇 1 〇

 佐古は中学時代が一番楽しかった。登校する時、授業の合間に教室前の廊下を歩く時、放課後に仲間とともに街を練り歩くとき、いつでも佐古は肩で風を切っていることが出来た。
 何か勉強や部活動で具体的な成果をあげただとか、そういった実績があったからではない。佐古の学力は劣等生の部類に入り、部活動もしていなかった。ただ、人よりも大きな体を持ち、常に眉間に皺が寄った顔立ちは凄みがあるようにも見えたから、意識的に威圧的な態度を取り低い声を出してさえいれば、周囲からは自然と一目置かれることが出来た。
 実際には、佐古自身に何か秀でたものがあった訳ではなかった。体格相応の腕っ節もなくはないにしても、空手や柔道の部活動をしている連中などには、佐古を凌ぐ者もちらほらといた。しかしそうした連中にしても、佐古と正面衝突して打ち負かすのには様々な面倒はあった訳だし、また佐古は彼らとある程度上手く付き合ってもいたのだ。
 佐古は教室を支配した。弱者を虐げ、金を巻きあげ、人を従わせて好き放題をし、悪い遊びにふけった。



◇作品タイトル:危険物の取扱いにはご注意を!
◆キャッチコピー:今日さ、花火で爆発して死ぬ夢見たんだよなー。


~書き出し~
 色とりどりの花火が、至近距離ではじけ飛ぶ。
 俺の腕に熱を伴った痛みが走る。俺は周囲の人間と一緒に走り出そうとするが、それより一瞬早く無数の光が連鎖的に爆発を起こす。
 美しい夏の風物詩のはずのそれは、轟音を響かせて俺の視界を埋め尽くし、俺に襲い掛かり、そして——

 ▽

「うわぁああ!」
 がばっと飛び起きた俺——斎藤義弘(さいとうよしひろ)は周囲を見回し、そこが何の変哲もない日本家屋であることを確かめて安堵の息をついた。ここは、祖父の家で間違いない。
「なんだ、夢か……」


◇作品タイトル:シリアルキラー
◆キャッチコピー:一般人は下がれ! これは、二般人の戦いだ。


~書き出し~
※暴力的な描写があります。苦手な方はご注意ください。



 すわたぬきを轢いてしまったと思ったが、それは8倍の強さを持つたぬき、スーパーたぬきだった。強い衝撃とともに、軽トラが跳ね返された。
「あぶねえだろ! 気をつけろ!」
 スーパーたぬきが怒鳴った。
 スーパーたぬき如きに偉そうな態度をとられるのは、我慢ならない。だがこちらは、面倒事を避けたい状況だ。
 道路を横断しきったスーパーたぬきを無視して、俺は車を発進させた。

 くそ。すべてが気に入らない気分だった。
 言いたいことは色々あるが、まず何よりも、なんでフロリダにたぬきがいるんだ?


◇作品タイトル:RE:時を紡ぐ少女
◆キャッチコピー:わたしには、未来が視える。なぜなら高性能で、とてもかしこいからだ。


~書き出し~


 静まり返った森の奥。
 ぽっかりと空いた陽の当たる空間に、きれいな丸太小屋が建っている。

 そこにはロボットの少女がひとりで暮らしている。彼女の名前はスイ。外見設定は13歳くらいで、長い髪は色素の薄い金色で、元気さと臆病さが同居した目をしている。

 小窓から差し込む朝日と共に、スイはぱちりと目を覚まして、ベッドから降りて気持ちよさそうに伸びをする。きちんとシーツを整えるのも忘れない。質素で品の良い家具たちも、すべてがしっくりとくるように配置されている。
 散らかったものや汚いものを目の当たりにすると、スイは動作回路がうずいて、居ても立ってもいられなくなるのだ。片づけ以外のことなど、何も考えられなくなってしまう。
夏企画運営

3025年08月25日 00時07分32秒 公開
■この作品の著作権は 夏企画運営 さんにあります。無断転載は禁止です。

■作者からのメッセージ
◆キャッチコピー:キャッチコピー集です!
◆作者コメント:運営より
※誤字脱字などの不手際があれば、キャッチコピー集の感想欄に書き込むか、運営宛メールアドレスで報告くださると幸いです。

運営宛メールアドレス rakekikaku@gmail.com

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