救済の手 |
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ジャックは老若男女の人間を看取って来た。 不思議なことに、死期が近付いた人間は何かに縋るように手を伸ばしてくるのだ。 目の前のベッドで横になっているロバートも例外ではない。 「どうした。苦しいのか?」 白衣姿のジャックの問いに、ロバートは口で答えることができず、代わりに、ジャックの胸ぐらを力いっぱい掴んだ。 そのことについて、ジャックは意に介せず淡々と説明をし始める。 「キミには少量の鎮静剤を打ってある。少し眠くて力が入りづらいかもしれないが、心配する必要はない」 ジャックは震えるロバートの手を握り、胸元から優しく引き離した。 それに対しロバートは、鬼気迫る形相で男を睨んでいる。 「そんなに怖がることはない」 ジャックは、ベッドの隣に置いてある椅子に腰を下ろした。 「休日、映画、デート、命。明確な終わりがあるものは誰でも怖いものさ。だから、キミが死ぬことによって誰かが救われる。次に繋がると考えてみるのはどうだろうか」 ロバートは必死に体を起こそうとするが、力が入らず唸るばかりだ。 「我が国では全ての歯がセットで1000ドル、心臓が12万ドル。腎臓に至っては26万ドルもの値が付く。それをキミが死にそうな誰かに提供できたとしたら、それは素晴らしいことだと思わないか?」 その時、ベッドの頭元にある電話が鳴り、ジャックは誰かと話しをする。 話が進み、受話器を置いたジャックはおもむろにロバートへ笑いかける。 「おめでとう。キミの死期が決まったようだ。ボスの話では、キミは何人かを手にかけた殺人鬼だそうじゃないか。キミが手にかけた者の中にウチの仲間がいてね。そいつの家族が路頭に迷わないように大金が必要なんだ」 ロバートはジャックの胸ぐらを再び掴むが、今度は乱暴に振り払われる。 「ボスから許可が下りるまではお客様だが、今からキミは商品だ。キミの腕には値段が付かないから、自由に使ってもらってかまわない。臓器は全て売らせてもらうがね」 ロバートは何かに縋るように手を伸ばした。 |
こばりん jQYhbezob6 2024年04月28日 22時58分16秒 公開 ■この作品の著作権は こばりん jQYhbezob6 さんにあります。無断転載は禁止です。 |
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作者レス | |||
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Re: | 2024年05月20日 22時59分30秒 | |||
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Re: | 2024年05月20日 22時42分47秒 | |||
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Re: | 2024年05月16日 23時26分32秒 | |||
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Re: | 2024年05月12日 23時27分43秒 | |||
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Re: | 2024年05月12日 23時09分17秒 | |||
合計 | 5人 | 20点 |
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