キャッチコピー集

Rev.01 枚数: 12 枚( 4,487 文字)

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※この投稿は集計対象外です。
 個性豊かなキャッチコピー集となりました!
 書き出しと共にぜひご覧ください☆

◇タイトル:さんざめく思慕のヴァルダナ
◆キャッチコピー:胸にさんざめく想いに、何と名付ければ良いのだろう。

~書き出し~
▼第1章 第二王子の夢

 アーシャーダ月には、熱風が吹き荒れる酷暑季が去って、人々が待ちに待っていた雨季がやってくる。乾ききって白っぽくひび割れていたインドの大地に潤いが戻り、農作業が始まるとともに町や村では祭りの太鼓の音も響きわたる。無論インドは広大なので、雨季に入る暦にも前後の差が出るのが当然だったが。いずれにせよ、インドで生まれ育った人でも暑季の猛烈な暑さに慣れることはできないので、雨季は心の安寧であった。


◇タイトル:俺の特殊能力
◆キャッチコピー:俺の特殊能力は……何?

~書き出し~
「紗紀美さんの特殊能力はね……」
「そ、それは?」
 学級委員長がゴクリと唾を飲み込みながら、教室の隅で彼の言葉に耳を傾けている。
「クラスメートを納得させるオーラを纏うことかな」
「おおっ、紗紀美にピッタリだよ。それで私は?」
「知佳さんはね……」
 今度は図書委員が興味津々の眼差しを彼に向けていた。
「頭の中に行間の声が自然と響くでしょ?」
 彼の名前は言亜輝(ことあ てる)。
 最近女子生徒に人気のクラスメートだ。


◇タイトル:痛みを感じない中二病の僕は特殊なゲーム世界へ召喚されました
◆キャッチコピー:僕の中のあいつが目覚める!

~書き出し~
 プロローグ   僕の中の『あいつ』が目覚める!

『くくく、はははは』
 また、『あいつ』の声が聞こえる。

 ×××

 まずは僕が高校一年にもなって、友達が一人もいない事への言い訳を聞いてほしい。違うんだ。
 確かに僕は勉強も運動も最底辺のダメ人間だが、それでも悪いのは僕じゃない。
 僕の『体質』が悪いんだ。
 僕は『痛みを感じない』体質だ。
 例えばいつの間にか怪我をして、体中が血だらけになっても、それに気付かず微笑んでいたら、もうそれは完全に変人だろう。
 そんな奴に友達ができるか? 答えはノーだ。


◇タイトル:中二病の間に!
◆キャッチコピー:ラスト一行でひっくり返る(色んな意味で)

~書き出し~
 今日はクリスマス・イヴ。いつもはサービス残業が当たり前の職場も、今夜ばかりは皆こぞって定時退社だ。
 誰も彼も、これからの予定に向けて頭を切り替えている。ある者は家族のもとへ帰り、またある者は恋人の待つ場所へ。期待に満ちた顔で退社していく人々を見る度に、自分がシングルかつフリーであることを後悔したくなる。
 一人、また一人と同僚が減っていく中で、俺は僅かな逡巡を覚えながらもノートパソコンを閉じた。せっかくの機会だ、定時退社の波に乗って俺も早く帰ろうか。誰もいない自宅で寝るまでの自由時間が、自分へのクリスマスプレゼントということにして。


◇タイトル:病中二
◆キャッチコピー:病んだ中二、あるいは中二で病んだ私。

~書き出し~
※ 人によっては不快に感じる表現が多々あるかもしれませんのでご注意を。


 顔や言葉から立ち上る個々人様々な危うい気配、知性と野蛮性の入り交じった喧噪。
 そんなものに満ちた教室で、私は今日もまた授業をする。
 授業に注意を向けてくれているのは、せいぜいクラスの半分くらいだろうか。
 ちょっとした苛立ちと不満を、教師の仮面で覆い隠し、口では人類の偉大で愚かしい歴史を語り、手に握ったチョークでそれを記していく。
 こっそりクラスメイトとメモを交わしたり、スマホをいじったり、別の教科の勉強をしたり、何か別のことを考えたり。時々、そんな生徒達に質問をかけたり、横を通ったりして注意を授業に向けるよう促す。


◇タイトル:その暗殺者は鳩を嫌う
◆キャッチコピー:神は性格が悪い

~書き出し~
※ハードではないですが、暴力描写があります。ご注意ください。


 ■

 少女は絶望した。床に散らばる破片を見つめ、手遅れだと悟り、顔を覆う。
「ああ、神よ……」
 ご主人様の大切にしていた壺を壊してしまったのだ。棚の掃除中だった。背後から声を掛けられ、驚き、振り返った拍子に壺を落してしまった。
「おれは悪くねえ」
 庭師は言った。ご主人様に雇われたばかりの、でっぷりとした体形の男だ。ハンカチで額の汗を拭い、視線を彷徨わせている。
 彼が焦る気持ちは少女にも理解できた。以前、屋敷内のものを盗んだ使用人がいた。彼女は手首を切り落とされた。誤ってご主人様の情報を外部に漏らした秘書は、舌を抜かれている。


◇タイトル:星空のクールガイ
◆キャッチコピー:人類の命運は、たったひとりの男に託された

~書き出し~
 プロローグ 


 2032年 8月11日 沖縄 米軍嘉手納基地 特設発射台前


「……こんな時までクールなのね」
 重ねた唇をそっと離して、エヴァは囁いた。
 瞼に大粒の涙を湛えた彼女の表情は、悲しんでいる様にも怒っている様にも見えた。
「時間だ」
 男はそう呟いて、彼女に背を向ける。ヘルメットを対Gスーツに固定する音が、やけに大きく響いた。
「ロバート!」
 エヴァは男の背中にすがり、顔を埋める。様々な機器の作動音に隠れる様に、小さく嗚咽を漏らした。
「とっておきのワインがあるの。ラ・ターシュよ。必ず……戻ってきて。二人で……祝杯を、あげ……ましょう……」
「努力する」


◇タイトル:狂気と友愛の指切り
◆キャッチコピー:それは病魔か才能か。

~書き出し~
 〇1〇

 土手に腰かけると土と緑の匂いを感じます。伸ばした足元を揺れるコセンダングサは今はまだ黄色い花を覗かせていて、引っ付き虫の心配はなさそうでした。
 小学校が終わったある水曜日の放課後、青い空に浮かぶくっきりとした白い雲を仰ぎながら、わたしは来るかどうかも分からない喧嘩中の友達を待っていました。
「ねぇ北原」
 背後から声がして、わたしは剣呑な顔を作って振り返ります。
「さっきは酷いことしてごめん。許してよ」
 クラスメイトの音無(おとなし)がそこに立っています。大きな目に赤い淵の眼鏡をかけて、絹のような長い髪を二本のゆるい三つ編みにして左右に垂らしている少女です。眼鏡も三つ編みも正直ダサいのですが、しかしその鼻は高く、肌は白く、唇は瑞々しいのでした。


◇タイトル:退魔王子佐伯ラムネ
◆キャッチコピー:中二病現代対魔忍奇譚!

~書き出し~
「やぁ、子猫ちゃんたち。君たちも暇なんだねぇ」
 放課後の教室。そこで机の上に片膝建てて座る女の子。180センチ近い長身のモデル体型に小さな整った顔。ブレザーの上下にスカートの下にスパッツを穿いている。こいつはあたしの幼馴染、佐伯ラムネ。その周りには取り巻きの女の子、多数。あたしはそれらをバカにしたように見ていた。
「ラムネ様!」
「きゃー!」
 黄色い歓声を浴びているラムネ。
「今日は君たちに何を話そうか。邪悪な吸血鬼と僕が華麗に戦った話に儚く散った少女の幽霊を成仏させた話、どんな話でもござれだ」


◇タイトル:因果の狭間で
◆キャッチコピー:人生の可能性は無限大、こいつの名前は佐々木ダイ

~書き出し~
 佐々木ダイから久しぶりに連絡をもらったのは、十二月中旬の、肌寒い金曜の夜だった。いつもは自信に満ち溢れていて、上から目線を崩さない男だ。しかしその日は、媚びるような声で「言わなきゃいけないことがある、明日ウチに来てくれ」と懇願された。私は興味をそそられ、彼の誘いに乗ることにした。
 通話を切り、リビングに足を運ぶ。家を空けることを家族に話した。子供達とテレビゲームをする予定があったので、怪訝な顔をされる。佐々木の名を出したら、「家族よりあんな男を優先するのか、正気なのか、それほどテレビゲームで負けるのが嫌なのか、ダサすぎる、佐々木とはもう連絡を断て」くらいのことは言われそうだったので、仕事があるんだ、と嘘をついた。


◇タイトル:物の怪の時代の終わり
◆キャッチコピー:子供達は村を殺す。時代を殺す。

~書き出し~
 第一話:河童の巻

 砂利道を走る自動車に揺られながら、十二歳の桃太(ももた)は一人後部座席で瞼を下ろしていた。
 川沿いの山道である。清涼な川の流れは真昼の太陽の光を跳ね返し虹色に輝いていた。移動する景色の中で、木々が実らせる葉が創り出す影が、桃太の頬に複雑なコントラストを描いている。
 ふと、自動車がブレーキをかけ、その場で停車するのを、桃太は目を閉じたまま感じ取った。
「おい。桃太、おい」
 父の声がする。
「起きろ」                       
 いつまでも眠っていたかった。朝の四時に起こされてから、ずっとこの車に揺られっぱなしでいる。運転している父には及ばないだろうが、後部座席でただじっとしているだけというのも、これで案外疲れるものだ。
「おい桃太! 妖怪だぞ。見なくて良いのか!」
 桃太はようやく重い瞼をこじ開けて、窓の方に視線をやった。


◇タイトル:明晰夢
◆キャッチコピー:「どうしてもやりたいことがあるんだ。だから、君の命をくれないか?」

~書き出し~
 ぼくの名前は田中悟(さとる)。これといった取柄のない中学二年生だ。そのはずだった。

 小学校二年生のとき、クラスに気の合う友だちがいた。渡辺徹(とおる)という名前で、学校の帰りに一緒に寄り道をしたり、自宅で遊ばせてもらったりしていた。
 学校の裏手をすこし行ったところには小高い岡があった。林は手入れされておらず、下生えがうっそうと茂っていた。小学二年生には、深山に広がる密林のように感じられて、格好の遊び場になっていた。
 春になると、岡から浸みだしてできた澄んだ水たまりの底に、太いゼラチンの塊に包まれた真っ黒な球がいくつも沈んでいた。


◇タイトル:我らソウルメイト
◆キャッチコピー:読む黒歴史

~書き出し~
 もしもこの世界が一編の物語だったら、俺はその語り手を務めるに最もふさわしい人間だろう。
 俺は今生学(いまいまなぶ)。晴れて私立湖甲高校に合格し、初めての登校日を迎えている。
 私立湖甲高校の入学資格は中二病であることだ。当然自分は中二病を拗らせている。とはいえ入学してくる生徒は、中二病が俺より遥かに重い人ばかり。いくら中二病を患う自分自身を俺が愛していても、謙虚さは忘れてはならない。中二病らしく驕り高ぶりながらも、同時に謙虚でいなければならないのである。
 陽の光と爽やかな風を背中に感じながら、俺は入場ゲートのカード読み取り部に生徒証を触れさせる。


◇タイトル:彼が『力』(ナイフ)を振るうとき
◆キャッチコピー:異能と吸血鬼と過去のない少年

~書き出し~
◆プロローグ
 棺に寝かされた少女は白かった。
 傷のない肌も、長くたゆたう髪も、|少女《子ども》の身体をおおう手術着じみた服もすべて漂白されたように白い。
 少女には呼吸することも鼓動することもなく、静けさに満ちた棺の中、孤独に夢を見続けていた。

 そんな少女を、少年は沈黙だけを友に見下ろしている。
 見とれるわけでなく、恐れるわけでもなく、ただ少女を、そこに付随された情報を観察している。
冬企画運営

3022年12月26日 00時11分27秒 公開
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◆キャッチコピー:キャッチコピー集です☆
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