理論上、ミチル企画で高得点を取る方法 |
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俺の名前は佐々木春樹(ささきはるき)。高校二年生。 趣味は読書とソシャゲ、そして執筆活動。 そんなどこにでもいそうな男子高校生である俺には悩みがある。それは――おもしろい小説を書けないことである! 「またダメだったか……」 俺はスマホの画面を見ながら一人つぶやく。 合計70点。平均点10点。感想人数7人。順位――23人中21位。小説競作企画『ミチル企画』での結果だ。 執筆のおもしろさに目覚めて1年。今回投稿した作品は今までで一番の傑作だったと思う。それなのにこの体たらく……。 正直に言うと、ここまで結果が出ないと、小説を書くのが怖くなってくる。自分は小説を書いても意味がないのではないかと思い始めるほどに。 だからといって何もしないというのは負けず嫌いな自分の性分として許せないし、やっぱり執筆活動はおもしろいと思う。 しかし、それでも。純粋に疑問として思う。 「どうしたら、みんなみたいにおもしろい小説を書けるんだろう?」 自分が読んだことのあるラノベ作家さんの作品はお金を払ってでも読む価値のあるものだと思ったし、自分もあんなふうに書きたいと思っていたことが執筆活動を始めたきっかけだ。 そして、ミチル企画においても感想投稿が義務だからというのもあるが、純粋におもしろい作品が多いため、ついつい時間を忘れて読みふけってしまう。プロではないアマチュアでもこれだけの作品が書けるのだから、俺にもかけるはずだ――そう思っていた時期が俺にもありました。 おもしろい小説なんて誰でも簡単に書けるものじゃない。いざ書いてみると全然違う作品が出来上がってしまう。一体何が違うのか? 自分で言うのもなんだが、俺は決して頭が悪いわけではないと思っている。勉強だってそれなりにできるほうだ。 ただ一つだけ欠点を上げるとするならば、それは「執筆の才能がないこと」なのだろう。 いくら努力しても自分にはその素質がないような気がしてならない。 「あーあ、もうやめようかなぁ」 そんな弱気なことを口にする。 だが、すぐに首を横に振る。 「いかんいかん、何を言ってるんだ俺は……ん? なんだこれ?」 SNSでフォローしている企画参加者が「理論上、ミチル企画で高得点がとれる方法とか話したら需要あるかな? ねーかw」というコメントをしていた。 いままで関わったことがない人だが、コメントしていたのはリエラさん。『古参』と呼ばれる高得点を何度もとっている実力者だ。 その発言に対して返信で、「ぜひ聞きたいです!」とコメントしていた人がいた。どうやらその人もミチル企画参加者らしい。 これはいい機会かもしれない。執筆のことを誰かに相談できる機会は貴重だし、俺も便乗して返信することにした。 「はじめまして! ミチル企画で『完全試合』ってペンネームで活動しています! 僕も高得点取る方法を知りたいです! よろしくお願いします!」 よし、これでOK! あとは返事を待つだけだな! ……そして1週間後。未だに連絡はない。 「おかしいな、もう返事来てもいい頃だと思うんだけど」 確かにあの人はずっと企画で上位にいる常連さんだ。忙しいのだろうと思い、催促するようなことはしなかったのだが、まさかこれほどまでに放置されるとは思わなかった。 さすがに不安になり、SNSでダイレクトメッセージを送ってみた。 すると、意外なことにすぐに返事が来た。 「あーごめんなさい。そろそろ連絡しようと思ってたんですが、ほかの人に教えてたから後回しになってました」 「えっ!?」 なんと、すでに他の人にレクチャーしている最中だというのだ。俺に返事をする余裕がなかったということか。 「で、相談なんですけど。文字に起こすのってけっこう大変なので、ウェブ通話で話したいんだけど大丈夫?」 「あ、はい。大丈夫です」 「じゃあ、URL送るので日程だけ決めましょうか。あしたの13時からでいい?」 「はい、大丈夫です。よろしくお願いします!」 俺は若干緊張しながらも、言われるがまま段取りを決めていった。 そして、翌日の13時。 「どうもー、はじめまして。リエラでーす」 可愛らしい女の人の声だった。 失礼かもしれないが、勝手にそれなりの歳をしたおっさんだと思っていたからビックリした。なにせリエラさんの作品は下ネタのオンパレードが多く、かなり男性向けに近い内容が多いのだ。 「は、はじめまして。『完全試合』です。リエラさん、女性だったんですね……」 「あー、みんなからもよく『オッサンだと思ってた』って言われるわー。ところでペンネーム言いづらいね。なんて呼べばいい?」 「じ、じゃあ佐々木でお願いします……」 「いきなりの本名暴露!? ウケるー!」 口調のせいか、『当初のけっこう歳いったオッサン』というイメージからは真逆の『若めのお姉さん』という印象を受けた。さすがに年齢とかプライベートなことを聞くのはマズいと思ったので、本題に入るよう促す。 「あの、リエラさん。ミチル企画の話なんですけど……」 「うん、ミチル企画で高得点取る方法のことでしょ?ちゃんとわかってるよ」 リエラさんはまるでこちらの心を見透かすようにそう言った。 「しかし他の人もそうだけど物好きだねー、なろうとかカクヨムに投稿する作品に力を注いだ方がいいのに」 「ホントは僕もそうしたいんですけど、いまの実力じゃぜんぜん閲覧数も伸びないと思いますし、まずはミチル企画で腕を磨こうかと……」 「長編書く力とはまったく別物だと思うけど……まあ、私もSNSであんなこと言っちゃった以上ちゃんと教えてあげないとねー」 いよいよか、と俺は身構える。 「まず結論から言うと、一番大事なのは『運』。これが大前提」 予想外の答えに拍子抜けしてしまった。 「『運』……ですか?」 「身も蓋もないでしょ? でもそれが現実だよ」 「でも、僕は文章力とか、ストーリーの構成力とか、そういったおもしろい作品の要素が必要だと思うのですが……」 「その答えは半分正解で半分間違い。おもしろい作品なら高得点を取れる『確率』が純粋に上がるだけ。そもそもおもしろい作品なんて定義が曖昧だし、ミチル企画で高得点を取りたいのであれば、小説を書く上でのテクニックや知識とはあまり関係ない要因を考えないと」 「え? どういう意味でしょうか?」 おもしろい作品が評価される。それは間違いないはずだ。 「佐々木くんはまだ学生さん?」 「あ、はい。高校生です」 「若いねー! っていうか青いねー!」 なんか露骨に下に見られているようで思わず反論してしまう。 「いや、そんなことは……!」 「別に悪い意味で言ってるんじゃないの。ただ、高校生がマーケティングについて学ぶには早すぎるかなーって思うから、まずは余計なことを考えずに書きたいように書くのが一番いい気がするけど」 「マーケティング……?」 聞きなれない言葉だった。 「そう、マーケティング。まあ簡単に言えば需要と供給の話よ」 「需要と供給……ですか?」 「そ、需要がある作品を供給すれば売れる。逆に需要がなければ売れない。社会人やってるとモノを売るためにイヤでも意識せざるを得ないことよ。それをミチル企画という縮図に当てはめて考えるの」 「はぁ……」 なんだか雲を掴むような話になってきたぞ……。てかリエラさんは社会人なのか。 「じゃあ、具体的にどんな作品を書けば高得点を取れるんでしょうか?」 「SNSで吹いちゃったけど、正確に言えば『高得点を取る方法』と言うよりは『ミチル企画で上位に行く方法』が正しいかな。まあ上位に行くためにはそれなりの点数取らなきゃだし、結果的におもしろい小説を書くための勉強にもなるし、そこは大目に見てちょうだい」 リエラさんの口調が先ほどよりマジメなトーンになった気がした。 「さっき私が小説を書く上でのテクニックや知識とは無関係の要因、て言ったよね? これは読者の話をしているの」 「まあたしかに……あれだけ投稿される作品があれば読まれる読まれないっていうのは運ですよね」 「そこが『青い』って私は言ってるのよ」 顔出しはしてないので表情は見えないが、学校の先生が諭す顔をしているときのような声色だった。 「ミチル企画で上位になるための条件として必要なのは、『どれだけ読まれたか』じゃなくて『どれだけ感想をもらったか』でしょう? 作品は読んだけど感想が書きにくいから書かなかった、って経験、佐々木くんにもない?」 「あ……!」 思い当たる節がありすぎる……! 手放しでおもしろいとは言えない、かといって酷評するほどつまらなくもない、そんな微妙な感じの作品だと、短い文章で低い点数をつけると恨まれそうだし、かといって評価できない理由を書くには文字数が多くなりそうで、結局めんどくさくなって感想を書かないケースがけっこうあった。 もしかして、俺の作品も……。 「……いま思考を整理してたら、ブーメランで自分に返ってきました」 「反省できるだけいいさ。改善しようと思う気持ちは重要だよ」 リエラさんは初対面の相手にこんな話をされても呆れないどころか、むしろ前向きにアドバイスしてくれている。 童貞にその優しさはちょっと刺激が強い。 「じゃあ、まずはその辺を意識して書いてみます……」 「待て待て。肝心の内容に行くまえにもう少し読者について掘り下げて分析しないと。どういった作品が好まれるかという、もっとも重要な要素があるからね」 「え、いただいた感想を参考にして作品を書いていくだけじゃダメってことですか?」 うん、とリエラさんは続ける。 「感想うんぬんの前に、佐々木くんはラ研って聞いたことある?」 「いえ。執筆活動を始めたのも1年ぐらい前からです」 「あー、じゃあ企画参加者が3桁いってた、勢いがあったころのラ研は知らないってことだね。時代だなあ…」 リエラさんはしみじみとした様子で語る。 「そもそもミチル企画はラ研――ライトノベル作法研究所っていう小説投稿サイトで有志が競作企画を運営していたんだけど、いろいろあって独立したものなの」 「へえ……知りませんでした」 「だからミチル企画の参加者は新参者がほとんどいなくて年齢層高め。あと、ラ研の名のとおりライトノベルっぽい作品の方が読まれる傾向にあるね。ま、加齢臭キツめだからセンスは時代遅れかもしれないけどね、ははは」 ということは、リエラさん何歳なんだろうか……謎は深まるばかりだ。 「そういうわけだから、ガチガチのミステリとか、硬派な純文学とか、プロ並みの作品が投稿されていることもあるんだけど、ミチル企画の読者層からは外れてるの。だから、ジャンルとしては避けてライトノベルっぽい作品に絞って書くことをおすすめするよ」 たしかに、内容が難しすぎて理解できないと感じた作品は、他の人が「よくわからなかった」と「良質な作品でした」という両極端な感想を書いていることが多いな。 「企画で上位を目指す上では平均点も重要になってくるから、賛否両論ありそうな内容は避けるべきということですね。勉強になります」 「そういうことだね。じゃあ、読者のボリューム層についての話はその辺にしておいて、感想の中身に話を移そうか」 「はい」 「佐々木くんはまだまだ経験が浅いからそのぶん伸びしろがあるし、素直にいろいろな意見に耳を傾けようとする姿勢はすばらしいと思う。小説を書く腕前を上達させるためには重要なことだからね。でも、全員が建設的な意見を言っているとは限らないし、中には的はずれな意見が混じってることもある」 たしかに、なに言ってんだこいつと思う感想もあるが、それでも俺よりおもしろい作品を書いている人の言うことなら正しいのでは、と思ってしまう。 「だから感想の取捨選択をして、参考になる意見だけ取りいれる……とまあ、理論上はそうなるわけだが、実際は難しいよね」 「おっしゃるとおりです。みんなが同じことを言っているのであれば、そうなんだろうと思って次回作では気をつけるようにしてます」 「それでもいいけど、もうひとつ重要なことがあるんだ」 リエラさんは一呼吸おいた。 「私なりの持論だけどね。感想の内容ではなく、『誰が言ったか』に着目するんだ」 「……僕もいちおう、感想をいただいた方の作品を読みにいって、どれぐらいの実力なのか確認しますけど……」 「じゃあ聞くけど、実力がある二人から感想をもらって、まったく別々のことをいってたらどうする?」 「そ、それは……」 たしかに、どちらの意見を参考にすればよいのかわからない……が。 「先ほどの話からすると、よりライトノベルらしい作品を書いている方の感想、ですかね?」 「なるほど、そっちへ行ったか。まあ、佐々木くんがこれからライトノベル作家を目指すのであればそれでもいいと思うよ」 「リエラさんの答えは違うんですか?」 「もちろん。いま我々が話しているのは『ミチル企画で上位へ行く方法』だからね」 はっとした。いまの言葉で答えがわかったからだ。 「より高い点数をくれそうな人の感想を参考にするということですね!?」 「そう! いやーわかってきたね佐々木くん!」 画面の向こうでリエラさんが『正解!』と言わんばかりの指差しをしている気配がした。 「人によって点数の基準はそれぞれだからね。全体的に評価が甘い人、辛い人はもちろん、両極端な人もいる。点数が甘い人からたくさん感想をもらいたくて、辛い人からはもらいたくない、それは当たり前のことだけど、こればかりはコントロールできない」 「だから、コントロール可能な『点数の基準が両極端な人』の嗜好を調べて、それに合わせた作品を書くということですか?」 「物わかりが良くて助かるよ」 うんうん、とリエラさんは続ける。 「面倒だろうけど、過去の企画まで遡って参加率が高い人を調べるんだ。で、その中でよく感想を書いてくれる人を探して、点数のブレが激しい人の感想を読みこむ。最後にその人が低めの点数をつける要素を避け、高めの点数をつける要素を作品に盛りこむ」 「たしかに、そうすれば不確定要素を減らすどころか、味方につけることができますね……」 「ただ、これは企画に参加したら必ず実行しなければならないものではないからね。このやり方でうまくいく人もいれば、別の方法で上手くいく人もいる。そこは自分の感性を信じて決めるといいさ」 「はい。ありがとうございます」 正直、ここまで具体的なアドバイスをもらえるとは思っていなかった。 俺はリエラさんに心の中で深く感謝した。 「最後に、『おもしろい作品』の定義について考えてみよう。さっき基準が曖昧なものだと言ったけど、佐々木くんとしては『おもしろい作品』とはどんな作品だと思う?」 「そうですね……キャラクターが魅力的だったり、フィクションなのに世界観がすごくて、違う次元に存在していると錯覚するような作品ですかね」 「うん、たしかにそれもそうだね。でも、作品をおもしろいと感じるかどうかは読み手しだいだし、書き手からするとここがおもしろいから見てほしい、というセールスポイントも作品しだいだよね」 「そうですね……僕がカンペキで欠点がないと感じる作品もそうですし、ネットのレビューで満点評価の作品でも、つまらなかったとか、おもしろくなかった、という人もいますしね」 「そう、だからミチル企画で高得点を取るためには『おもしろい作品』を目指すよりも、さっき伝えたとおり『特定の人に気に入ってもらえる作品』を目指すべきなの」 俺は、今まで自分自身がおもしろいと感じる作品を書いてきたつもりだ。だが、ミチル企画の参加者からよい評価をなかなか得ることができなかった。 言い方は悪いが、『読者に媚びる』ようなことをするのは、なんか卑怯というか、ズルしているような感覚がして、実践するのは気が引けた。でも、リエラさんほどの実力者ですら実践していることであれば、その考えは杞憂なのだろう。 だから、試しに『読者に媚びる』作品を書いてみよう。成功したらその経験を活かして、また自分がおもしろいと感じる作品を書くことにチャレンジすればいい。 「ああ、そうそう。私の経験上、ミチル企画で評価される作品の傾向を伝えるよ。これは平均点を上げるための要素でもあるし、大多数の人がおもしろいと感じる要素だから、必ず意識しながら書いてほしい」 リエラさんいわく、作品を書く上で、つぎのポイントを押さえておくことが重要らしい。 ひとつ、ヒロインを登場させる――どんな作品においても魅力的なキャラクターが存在することがキモだと教えてくれた。 ひとつ、企画のお題を意識した形で作品に取り入れる――お題に沿っていない作品だと辛めの評価になりがちらしい。 ひとつ、バッドエンドにしない――読者層的にハッピーエンド厨が多いらしく、後味が悪い終わり方にするのは好まれないそうだ。 ひとつ、読者の予想を裏切る展開やオチを入れる――物語が平坦だったり、オチが読めてしまうと点数が伸び悩むらしい。 そして、最後にもうひとつ。 「なにか、この作品ならでは! という特徴があれば、それが作品の魅力になる。だから、その特徴を前面に押し出すんだ」 「なるほど、特徴を……」 「まあ、それが一番難しいんだけどね。たとえば類まれなるギャグセンスだったり、ニッチな衒学的知識のオンパレードだったり。作者が特定できてしまうレベルの個性を作品にこめるのが最短の道筋だと私は思うけどね」 「悔しいですけど、いまの僕にはムリそうですね……」 「べつにいいじゃないか。いまは出来なくても将来的にできるようになればいいのさ」 「はい! ありがとうございます!」 俺の返事を聞いてリエラさんは満足げにうなずいた。 「よし、これでアドバイスは全部かな? 私から言えることは伝えたと思う」 「本当にありがとうございました! おかげさまでなんとかなりそうな気がします!」 「うん、それはよかった……あ、ごめん、これでホントに最後。佐々木くんに伝えたいことがあるんだけど……」 「よし……できた。完成だ」 俺は、パソコンの前でひとりつぶやいた。 2022年GWミチル企画に参加する作品、それをたったいま書き終えたのだ。 リエラさんのアドバイスを元に書きあげた作品。 自分史上最大の自信作。 そんなボジョレー・ヌーヴォの売り文句のようなフレーズが、作品を完成させるたびに頭の中をよぎっていく。 「我ながら、すごい作品が書けてしまったのではないか……?」 自画自賛になってしまうが、今回ばかりは仕方あるまい。明確な基準を持って作品を書き上げるということが、ここまでの自信につながるとは思っていなかった。 ひとつ、ヒロインを登場させる――リエラさんという魅力的な女性の存在。 ひとつ、企画のお題を意識した形で作品に取り入れる――自分で言うのは恥ずかしいが、青二才な俺。 ひとつ、バッドエンドにしない――少なくとも後味が悪い終わり方ではないし、なにより読者がハッピーエンドにしたいなら低い点数をつけることは許されない。 作品ならではの特徴については、『方法論』そのものを作品として投稿するという点――まあ、これはまだ実践できる実力がないから、要素として弱めなのは仕方がないと思う。 企画参加者の分析も行い、自分なりに作品のなかに要素を組みこめたはずだ。 これでもダメなら、せっかくアドバイスをいただいたリエラさんに合わせる顔がない。負ける訳にはいかないのだ。 そして最後のひとつ、読者の予想を裏切る展開やオチは――。 時はリエラさんとウェブ通話していたころに遡る。 「佐々木くん、言っちゃなんだけど『完全試合』ってペンネーム、名前負けしすぎじゃない? 私は野球のことはよくわからないけど、最近ニュースでやってたから用語は知ってるよ。なんでもすごい記録だそうじゃないか?」 「あ、はい、すみません」 リエラさんは苦笑いしながら続ける。 「まあ名前負けしないようにがんばりな……と言いたいところだけど、さすがにこのペンネームは変えた方がいいんじゃない?」 「え……なんでですか?」 まさかペンネームにまで話が及ぶとは思わなかった。いちおうこれでも愛着がある名前なので、他人から言われてはいそうですかと変えるのは抵抗がある。 「いや、だってさ……」 リエラさんはすこし言い淀んでから言った。 「高得点を目指しているのに、ゼロが並ぶ記録のペンネームは縁起悪いでしょ」 さもありなん。俺はペンネームを変えて企画に臨む決心をした。 |
03ほも 2022年04月30日 11時18分37秒 公開 ■この作品の著作権は 03ほも さんにあります。無断転載は禁止です。 |
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合計 | 12人 | 180点 |
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