【跡地化】永遠に近い速度で透過する

Rev.09　枚数： 3 枚（ 840 文字）
<<一覧に戻る | 作者コメント | 感想・批評 | ページ最下部
◆◇◆◇◆◇◆　この作品は跡地化されました。　◇◆◇◆◇◆◇
◇◆◇◆◇◆◇　この作品は跡地化されました。　◆◇◆◇◆◇◆
◆◇◆◇◆◇◆　この作品は跡地化されました。　◇◆◇◆◇◆◇
◇◆◇◆◇◆◇　この作品は跡地化されました。　◆◇◆◇◆◇◆
◆◇◆◇◆◇◆　この作品は跡地化されました。　◇◆◇◆◇◆◇
◇◆◇◆◇◆◇　この作品は跡地化されました。　◆◇◆◇◆◇◆
◆◇◆◇◆◇◆　この作品は跡地化されました。　◇◆◇◆◇◆◇
◇◆◇◆◇◆◇　この作品は跡地化されました。　◆◇◆◇◆◇◆
◆◇◆◇◆◇◆　この作品は跡地化されました。　◇◆◇◆◇◆◇
◇◆◇◆◇◆◇　この作品は跡地化されました。　◆◇◆◇◆◇◆
◆◇◆◇◆◇◆　この作品は跡地化されました。　◇◆◇◆◇◆◇
◇◆◇◆◇◆◇　この作品は跡地化されました。　◆◇◆◇◆◇◆
◆◇◆◇◆◇◆　この作品は跡地化されました。　◇◆◇◆◇◆◇
◇◆◇◆◇◆◇　この作品は跡地化されました。　◆◇◆◇◆◇◆
◆◇◆◇◆◇◆　この作品は跡地化されました。　◇◆◇◆◇◆◇
◇◆◇◆◇◆◇　この作品は跡地化されました。　◆◇◆◇◆◇◆
◆◇◆◇◆◇◆　この作品は跡地化されました。　◇◆◇◆◇◆◇
◇◆◇◆◇◆◇　この作品は跡地化されました。　◆◇◆◇◆◇◆
◆◇◆◇◆◇◆　この作品は跡地化されました。　◇◆◇◆◇◆◇
◇◆◇◆◇◆◇　この作品は跡地化されました。　◆◇◆◇◆◇◆
◆◇◆◇◆◇◆　この作品は跡地化されました。　◇◆◇◆◇◆◇
◇◆◇◆◇◆◇　この作品は跡地化されました。　◆◇◆◇◆◇◆
◆◇◆◇◆◇◆　この作品は跡地化されました。　◇◆◇◆◇◆◇
◇◆◇◆◇◆◇　この作品は跡地化されました。　◆◇◆◇◆◇◆
◆◇◆◇◆◇◆　この作品は跡地化されました。　◇◆◇◆◇◆◇
◇◆◇◆◇◆◇　この作品は跡地化されました。　◆◇◆◇◆◇◆
◆◇◆◇◆◇◆　この作品は跡地化されました。　◇◆◇◆◇◆◇
◇◆◇◆◇◆◇　この作品は跡地化されました。　◆◇◆◇◆◇◆
宮葉 WsKagfeGrc

2021年12月29日 00時55分17秒 公開
■この作品の著作権は 宮葉 WsKagfeGrc さんにあります。無断転載は禁止です。
■作者からのメッセージ
◆キャッチコピー：
残酷な円弧は、永遠に続く傷痕を映し出す。

◆作者コメント：
初稿時点で五万字くらいあったので、規定数に留めるため色々な描写を切り詰めました。
説明不足な点があったら申し訳ありません。
読み終えたその時、ぐちゃぐちゃな感情を抱いていただけたら幸いです。

※本作品は一部ショッキングなシーンを含みます。ご注意下さい。

2022/01/24:跡地化しました。また会う日まで。
This story falls, And fantasy unfolds.

2022年01月21日 19時47分48秒
 作者レス
  • 特別賞の発表が終わり次第、本作品は跡地化いたします。カクヨム等への投稿もしばらくの間しない予定ですので、何卒ご了承ください。

    感想もらえる機会ってここ以外にはほぼ無いので、頂けると凄く嬉しいです。熱い感想を送ってくださった皆様に心から感謝申し上げます。

    E-Mail pass
2022年01月16日 01時24分11秒
 作者レス
  • 感想いただいた皆様、心から感謝しております。
    今回は悔しく辛い結果となりましたが……何とか向き合って改善していけるよう努力いたします。感想への返信も追々書かせていただきます。
    ありがとうございました。


    ――――――――――――――――――――――――――――――――――
    As I shoulder the weight of the world
    And I watched the water unfold
    Its a feeling I want you to know
    Cause Im not the same as I was
    As I shoulder the weight of the world


    Unfold/Porter Robinson

    E-Mail pass
2022年01月14日 21時51分24秒
 +30点
  • 　執筆おつかれさまです。『永遠に近い速度で透過する』読みましたので、感想を書いていきます。

    〇物語としてのクオリティはヤバい
    〇ヤバいクオリティ＝面白いとは限らないいくつかの理由
    〇なぜこれだけのものが書けるのにハッピーエンドにならないのだろう……

    〇物語としてのクオリティはヤバい
    　今作最大の強みは設定・世界観と、そこを余さず生かし切る文章力でしょう。
    　AIや人間とは異なる人間というのは決して珍しくないものの、新しい物質トワイライトと、それからなる新人類アークライツ。きちんとした土台の上に築かれた設定なので飲み込みやすく、具体的なのでリアリティがありオリジナリティになる。配られた手札、あるいは持ち込んだ素材の段階ですでに強いのが今作であると思います。
    　そしてキャラクターの描写も深く、上手い。主人公フカセの性別だけわかり難かったのが難点ですが、彼（あるいは彼女）の心情描写や行動原理、作中の中での変化は如実に伝わってきました。本や歌、いくつかのエピソードを通じて描いていることで、キャラクターの伝え方がとても自然になっている。上手いなと思います。
    　サブキャラクター、特にディックやナルミについてはもっと枚数を増やして、彼らの背景まで見たかったです。枚数的に無理なのは明らかですが、企画よりも大きい規模でも十分戦える作品になるのではないかと。まだまだ伸びしろのあるお話だと思います。

    〇ヤバいクオリティ＝面白いとは限らないいくつかの理由
    　一つは、スロースタートな序盤。説明が多く、正直読むのがつらかったです。
    　これはもう一定の長さ以上の作品ではしょうがないところではあるんですが、やはりダラダラっとした説明のターンが、物語に入り切る前に来てしまうのはあまりいい気分にはならないです。
    　せめて主人公であるフカセとその周囲、そして目的なんかがわかってから説明に入ってもらえれば、もっと入り込みやすいのかなと思います。

    　もう一つは、物語的に山がない、または低いこと。
    　今作の構成って、アオイが人間的になっていって、タクシーで海を見ていく辺りが『楽しい』のピークで、そこからひたすら落ちていくんですよね。アオイはより機械的に利用され、フカセは精神的にも肉体的にも病んでいき、最後はゲームオーバーみたいな終わり方をする。
    　小高い丘を登って緩い下り坂をゆっくりと滑り落ちるような、起伏の少ない構成になっているように感じられ、読者としての感情の変化を起こしにくいのではないかと思います。終わりがバッドエンドであることもありますが、真綿で首を絞められるような感動で、もやっとした印象でした。
    　おそらく作者様の書きたいものがこれであり、意図したものが書けているからこそなんでしょうが、それがイコールで読者（今回は僕だけかもですが）が読みたいものになるわけではないというのが、物語の難しいところで面白いところなのかなと思います。

    〇なぜこれだけのものが書けるのにハッピーエンドにならないのだろう……
    　本当にもう、スカッとした爽やかな読後感に包まれて次の作品を読みたいのに、どうしてこう落ち込むような作品にしてしまうのか。
    　惜しい……。

    　技術的には申し分のない良作であると思います。終わり方が終わり方だけに多少評価は影響するかもですが、作者様の技術については疑う余地はないかと思いました。

    　拙い感想ですが、少しでも参考になる部分があれば幸いです。


    E-Mail pass
Re: 2022年01月16日 17時48分03秒
  • ＞〇物語としてのクオリティはヤバい
    ＞　今作最大の強みは設定・世界観と、そこを余さず生かし切る文章力でしょう。
    ＞　AIや人間とは異なる人間というのは決して珍しくないものの、新しい物質トワイライトと、それからなる新人類アークライツ。きちんとした土台の上に築かれた設定なので飲み込みやすく、具体的なのでリアリティがありオリジナリティになる。配られた手札、あるいは持ち込んだ素材の段階ですでに強いのが今作であると思います。

    →ありがとうございます……アークライツはスマホゲームの「アークナイツ」みたいだなって思いつつもそういう名前にしました。他に候補が思いつきませんでした……。

    ＞　そしてキャラクターの描写も深く、上手い。主人公フカセの性別だけわかり難かったのが難点ですが、彼（あるいは彼女）の心情描写や行動原理、作中の中での変化は如実に伝わってきました。本や歌、いくつかのエピソードを通じて描いていることで、キャラクターの伝え方がとても自然になっている。上手いなと思います。

    →性別は意図的に明確な記述をしていません。理由は他の方の感想返信にて！
    キャラクター表現についてこの一年くらい悩み続けたので、少しだけ報われた気がします。ありがとうございます。

    ＞　サブキャラクター、特にディックやナルミについてはもっと枚数を増やして、彼らの背景まで見たかったです。枚数的に無理なのは明らかですが、企画よりも大きい規模でも十分戦える作品になるのではないかと。まだまだ伸びしろのあるお話だと思います。

    →ナルミとケンシンはもっと活躍させたかったですね。書こうと思ったらまだまだ書けそうな気もしてきました。

    ＞
    ＞〇ヤバいクオリティ＝面白いとは限らないいくつかの理由
    ＞　一つは、スロースタートな序盤。説明が多く、正直読むのがつらかったです。
    ＞　これはもう一定の長さ以上の作品ではしょうがないところではあるんですが、やはりダラダラっとした説明のターンが、物語に入り切る前に来てしまうのはあまりいい気分にはならないです。
    ＞　せめて主人公であるフカセとその周囲、そして目的なんかがわかってから説明に入ってもらえれば、もっと入り込みやすいのかなと思います。

    →説明文とかついつい長く書いてしまいがちですね。反省点です。
    もう少し物語の進行とミックス出来れば良いのですが、しかしぎゅぎゅっとまとめないと理解しづらくならないかという危惧もありました……。

    ＞
    ＞　もう一つは、物語的に山がない、または低いこと。
    ＞　今作の構成って、アオイが人間的になっていって、タクシーで海を見ていく辺りが『楽しい』のピークで、そこからひたすら落ちていくんですよね。アオイはより機械的に利用され、フカセは精神的にも肉体的にも病んでいき、最後はゲームオーバーみたいな終わり方をする。

    →まさしくその通りです。みんなの人生何だったんだろうと思います。ゲームオーバーというか「つよくてニューゲーム」的な感じもしますね！

    ＞　小高い丘を登って緩い下り坂をゆっくりと滑り落ちるような、起伏の少ない構成になっているように感じられ、読者としての感情の変化を起こしにくいのではないかと思います。終わりがバッドエンドであることもありますが、真綿で首を絞められるような感動で、もやっとした印象でした。
    ＞　おそらく作者様の書きたいものがこれであり、意図したものが書けているからこそなんでしょうが、それがイコールで読者（今回は僕だけかもですが）が読みたいものになるわけではないというのが、物語の難しいところで面白いところなのかなと思います。

    →「真綿で首を締める」はドンピシャの感想です。それを目指していました。それが受け入れられるかは別として、そういうお話を書きたかったので……。

    ＞
    ＞〇なぜこれだけのものが書けるのにハッピーエンドにならないのだろう……
    ＞　本当にもう、スカッとした爽やかな読後感に包まれて次の作品を読みたいのに、どうしてこう落ち込むような作品にしてしまうのか。
    ＞　惜しい……。

    →これについては僕個人の価値観もあるかもしれません。
    僕はハッピーエンドでもバッドでもメリーバッドでも良くて、それが「納得の行く結末であるか」が一番大事だと思っています。
    もちろん気分が沈んでいる時には明るい話を読みたいですが、しかし強引に明るい結末にされたらかえって冷めてしまいます。
    たとえ辛い結末であっても、「この物語の結末に相応しい」と思えるかが大事かなと思います。ハッピーエンドは単なる結果であって、それを目的にはしたくありませんでした。
    出来ればなのですが、ハッピーエンドでないと評価しないと言うよりは「もっと相応しいハッピーエンドがある」という評価の仕方であれば嬉しいです。差し出がましい意見ではありますが何卒……。

    ＞
    ＞　技術的には申し分のない良作であると思います。終わり方が終わり方だけに多少評価は影響するかもですが、作者様の技術については疑う余地はないかと思いました。
    ＞
    ＞　拙い感想ですが、少しでも参考になる部分があれば幸いです。
    ＞
    ＞

    →ご感想ありがとうございました！

    E-Mail pass
2022年01月12日 20時58分28秒
 +20点
  • 　お疲れ様です。『永遠に近い速度で透過する』を拝読したので、感想を書かせていただきます。

    〈文章について〉

    　非常に流麗で、優しさを感じる文体ですね。読みやすさは抜群ですし、レトリックも随所で光っていました。冒頭の記述もお洒落で印象に残りますし、作者さんが相当な手練れであることを感じさせる文章でした。

    〈ストーリーについて〉

    　実にSFらしいSFだったと思います。
    　触れたものを瞬時に「模倣」する性質を持つ「トワイライト」の設定がまず面白いですし、トワイライトで人間を作ったらどうなるのか、という物語の導入にはワクワクさせられます。
    　現実世界でもAIの研究がどんどん進んでいるかと思いますが、人間ではないものが人間と同等、あるいはそれ以上の知能を持ったらどうなるのか、という問いかけは実にSFらしいものだと思います。
    　徐々に人間らしさを獲得していくアオイと主人公フカセの交流、トワイライト生成に伴うアオイの苦痛とフカセの苦悩、そして怒涛のクライマックスからラスト、と全編にわたって計算しつくされた構成というか、無駄なく完璧にまとまっている物語だと感じました。
    　「不思議の国のアリス」の引用など演出面にも美しさを感じますし、ストーリーとしては考えさせられるものがありました。
    　総じて、さまざまな面がハイレベルな物語だと思います。
    　ただ個人的に感じたことは、物語の展開が淡泊かなということです。あまり動きのないストーリーなので、読んでいてやや退屈に感じる部分もありました。
    　終盤には一気に物語が動きますが、この展開もSFとしてよく見るというか、収まるべきところに収まったという感じがあり、大きなインパクトまでは感じませんでした。

    〈キャラについて〉

    　キャラを前面に押し出すタイプの作品ではないと思うので、大きなインパクトのあるキャラはいない感じでしたが、各キャラとも丁寧に描写されていて良かったと思います。
    　真面目なフカセの心情や苦悩は存分に伝わってきました。
    　ナルミも優しくて好感の持てる人物ですし、アオイが徐々に人間らしくなっていく描写も良かったと思います。
    　また、ディックことケンシンのキャラがいい味を出していましたね。堅物かと思いきや、後半は情に厚いところを見せてくる。こういった、キャラの新たな一面が見られる場面は好きです。
    　キャラクター描写の面でも、美しさを感じられる作品だったと思います。

    〈全体として〉

    　全体として美しさに満ちた作品だと思いますし、SFとしての完成度も非常に高いと思います。
    　個人的には、もう少し動きが感じられる展開のほうが好きですが、この物語としてはこういった展開のほうが合っているのかなと思います。

    　それでは、これにて失礼します。

    E-Mail pass
Re: 2022年01月16日 17時38分20秒
  • ＞〈文章について〉
    ＞
    ＞　非常に流麗で、優しさを感じる文体ですね。読みやすさは抜群ですし、レトリックも随所で光っていました。冒頭の記述もお洒落で印象に残りますし、作者さんが相当な手練れであることを感じさせる文章でした。

    →身に余るお言葉、ありがとうございます。冒頭文は毎回ひねり過ぎてしまうのですが、今回は大丈夫だったでしょうか。

    ＞
    ＞〈ストーリーについて〉
    ＞
    ＞　実にSFらしいSFだったと思います。
    ＞　触れたものを瞬時に「模倣」する性質を持つ「トワイライト」の設定がまず面白いですし、トワイライトで人間を作ったらどうなるのか、という物語の導入にはワクワクさせられます。

    →実は「トワイライト」って今回の作品でのみ使われる呼び方で、本当は別の名称があります。ただ覚えにくいし予測変換出来るものでもないので、わかり易さを優先しました！
    模倣するだけ、しかしそれが何よりも便利！

    ＞　現実世界でもAIの研究がどんどん進んでいるかと思いますが、人間ではないものが人間と同等、あるいはそれ以上の知能を持ったらどうなるのか、という問いかけは実にSFらしいものだと思います。

    →感想のお返しをしながら思ったんですが、「人間を超える知性」というのは人間と同じ思考回路の上位にあるんじゃなく、知性としての種類が異なるんだろうなと考えました。
    多分AIは人間パワーアップ版ではなく、全く別の存在として進化していくんじゃないかなと思います。

    ＞　徐々に人間らしさを獲得していくアオイと主人公フカセの交流、トワイライト生成に伴うアオイの苦痛とフカセの苦悩、そして怒涛のクライマックスからラスト、と全編にわたって計算しつくされた構成というか、無駄なく完璧にまとまっている物語だと感じました。

    →今回、構成めちゃくちゃ大変でした……全部のシーンを後半に繋げるのはさながらパズルでした。ここだけは自分を褒めてあげたい……。

    ＞　総じて、さまざまな面がハイレベルな物語だと思います
    ＞　ただ個人的に感じたことは、物語の展開が淡泊かなということです。あまり動きのないストーリーなので、読んでいてやや退屈に感じる部分もありました。
    ＞　終盤には一気に物語が動きますが、この展開もSFとしてよく見るというか、収まるべきところに収まったという感じがあり、大きなインパクトまでは感じませんでした。

    →うむむ……まだ展開弱いですか……。今回は動かしたつもりだったのですが、淡白かぁ。難しい……。
    多くの方に「終盤ありきたり」とコメントされて動揺しております。結果そのものはベタですが、風景はインパクト与えたかったのですが……マジか……。

    ＞
    ＞〈キャラについて〉
    ＞
    ＞　キャラを前面に押し出すタイプの作品ではないと思うので、大きなインパクトのあるキャラはいない感じでしたが、各キャラとも丁寧に描写されていて良かったと思います。
    ＞　真面目なフカセの心情や苦悩は存分に伝わってきました。

    →フカセちゃんは書きながら理解していったキャラかなと思います。最初は僕もよく分かんない奴だと思ってました。後半もっとぶっ壊したかった。

    ＞　ナルミも優しくて好感の持てる人物ですし、アオイが徐々に人間らしくなっていく描写も良かったと思います。
    ＞　また、ディックことケンシンのキャラがいい味を出していましたね。堅物かと思いきや、後半は情に厚いところを見せてくる。こういった、キャラの新たな一面が見られる場面は好きです。
    ＞　キャラクター描写の面でも、美しさを感じられる作品だったと思います。

    →ケンシンさんお褒めいただけて嬉しいです。本当はもっと登場させてあげたかった。

    ＞
    ＞〈全体として〉
    ＞
    ＞　全体として美しさに満ちた作品だと思いますし、SFとしての完成度も非常に高いと思います。
    ＞　個人的には、もう少し動きが感じられる展開のほうが好きですが、この物語としてはこういった展開のほうが合っているのかなと思います。

    →以前ツッコまれまくった「人間味のあるキャラクター」は改善傾向にあるみたいなので、次は「動きを作る」を課題として励みます。

    ＞
    ＞　それでは、これにて失礼します。

    →感想ありがとうございました！

    E-Mail pass
2022年01月09日 20時27分16秒
 +30点
  • 『永遠に近い速度で透過する』読ませてもらいました。

    とりあえず……映画化希望！（真剣

    いや、本当に。
    これ、虚淵玄とか冲方丁とかが書きましたと言われても、ちょっと信じてしまいそうな感じの作品で。
    退廃的で幻想的、でも方向性としてはSFって世界観がガンギマリしてました。

    そんなわけで、これ感想書く必要あるかなぁ、と思うのですが読んだ以上は書かねばねの精神で書いておきます。

    ■気になった所

    ・後半の展開

    序中盤はこれと言って隙のない作品なのですが、後半の展開はややありきたりに感じてしまいました。
    と言うのも作者コメントを読んで、私的には中盤あたりで結末としてしまう後味の悪い結末が一番感情がぐちゃぐちゃになる感じだったので、ああ、これで終わりなんだ、すごいなぁと思ってたんですね。
    でもまだ続きがあったというｗ

    で、あの結末は割とありがちなと言ったら意地の悪い言い方ですけど、若干のテンプレ感があって、中盤の展開に比べるとやや弱いと感じました（それでも相当に完成度の高い結末ではありますけど）。

    なのでそれよりは延々と生と死を与え続けられるアオイと、それを見せられ続けるフカセの絵のほうが、オリジナリティが高いと思いましたし、前半の展開を踏まえた上で『こころ』に来るものがあったかなぁ、と。

    ◎気に入った所

    ・各種設定

    未知の物質トワイライト。まずこれが良いですね。
    なんでも模倣出来る物質。そしてその原料は人の遺体。
    ……賢者の石ぃぃぃぃ！

    他、リコネクターズの設定やオービットなんかも近未来的で、読んでいて非常にSFアニメ群を想起させられました。
    そしてそのいずれにも負けてないな、と。
    更にその設定が全部結末にきちんと繋がってるってのが、作者さんの高い創作能力と知性を感じさせました。

    ・ロボット（AI）に心を与える

    これとかはまさにテンプレ中のテンプレではありますが、普遍のテーマで、かつ不朽の感動なのではないかと。
    そしてその部分にかなりの尺を割いてあるがゆえに、生きてくる（苦しめてくる？）中盤……うーん、辛い。

    ・厚みのあるキャクター

    どのキャラも良いですが、ケンさんが特に好きですｗ

    ◉まとめ

    何もかもが良いと言わないまでも、ほとんどが最高クラスの出来の作品だったのではないでしょうか。
    ただ、私的に一番大事な部分（面白いと思えたか、その作品を好きになれたか、感動したか）も考慮に入れると、ちょっと評価に迷う所があるのでどうしたものかと考えているところです。
    うん、どうしよう。

    ひとまず、執筆お疲れさまでした。
    これはきっと祈らずとも優勝に絡むだろうと思っていますが、良い結果が出ますようお祈り申し上げます。

    ではまたの機会をお待ちしてます。

    E-Mail pass
Re: 2022年01月16日 15時15分12秒
  • ＞『永遠に近い速度で透過する』読ませてもらいました。
    ＞
    ＞とりあえず……映画化希望！（真剣
    ＞
    ＞いや、本当に。
    ＞これ、虚淵玄とか冲方丁とかが書きましたと言われても、ちょっと信じてしまいそうな感じの作品で。
    ＞退廃的で幻想的、でも方向性としてはSFって世界観がガンギマリしてました。

    →冲方丁さんの『マルドゥック・スクランブル』でSFに興味を持つようになりましたし、虚淵玄さんの『PSYCHO-PASS』でこんなスタイリッシュなディストピア描けるのかと衝撃を受けました。
    なのでお二方の名前を挙げていただけて嬉しいです！
    ガンギマリ……キマッてましたか、もっとキメたかった。
    　　
    ＞
    ＞そんなわけで、これ感想書く必要あるかなぁ、と思うのですが読んだ以上は書かねばねの精神で書いておきます。

    →感想いただけるの嬉しいので書いて……お願いッ……！！

    ＞
    ＞■気になった所
    ＞
    ＞・後半の展開
    ＞
    ＞序中盤はこれと言って隙のない作品なのですが、後半の展開はややありきたりに感じてしまいました。
    ＞と言うのも作者コメントを読んで、私的には中盤あたりで結末としてしまう後味の悪い結末が一番感情がぐちゃぐちゃになる感じだったので、ああ、これで終わりなんだ、すごいなぁと思ってたんですね。
    ＞でもまだ続きがあったというｗ
    ＞
    ＞で、あの結末は割とありがちなと言ったら意地の悪い言い方ですけど、若干のテンプレ感があって、中盤の展開に比べるとやや弱いと感じました（それでも相当に完成度の高い結末ではありますけど）。
    ＞
    ＞なのでそれよりは延々と生と死を与え続けられるアオイと、それを見せられ続けるフカセの絵のほうが、オリジナリティが高いと思いましたし、前半の展開を踏まえた上で『こころ』に来るものがあったかなぁ、と。

    →今回、結末にインパクトを全振りしたつもりでした。
    でも軒並み「ありがち」って感想で実はめちゃくちゃヘコんでました。そんな……よくある風景なの……？
    また中盤で止めるのは発想にありませんでした。結末から逆算して組んでいたので、あの結末は全て決まっていたものでした。
    ですがタクシーのシーンとその前後を補強し、アオイの苦しみを眺めるだけという後味の悪さも面白いですね！

    ＞
    ＞◎気に入った所
    ＞
    ＞・各種設定
    ＞
    ＞未知の物質トワイライト。まずこれが良いですね。
    ＞なんでも模倣出来る物質。そしてその原料は人の遺体。
    ＞……賢者の石ぃぃぃぃ！

    →そういえば賢者の石ですね！
    赤きティンクトゥラ！　大エリクシル！


    ＞
    ＞・厚みのあるキャクター
    ＞
    ＞どのキャラも良いですが、ケンさんが特に好きですｗ

    →ケンさんの描写を削ったので、キャラが薄いってツッコまれないかヒヤヒヤしていました。
    けど意外と人気があってびっくりしました。多分ケンさんめっちゃ背デカい。


    ＞
    ＞ひとまず、執筆お疲れさまでした。
    ＞これはきっと祈らずとも優勝に絡むだろうと思っていますが、良い結果が出ますようお祈り申し上げます。

    →……悔しいです。本当に。

    ＞ではまたの機会をお待ちしてます。

    →感想ありがとうございました！

    E-Mail pass
2022年01月09日 18時35分40秒
 0点
  • こんにちは。『永遠に近い速度で透過する』の感想です。

    雑感として、これって、二つ後に投稿された『我、泉の水を求める鹿のように』と、なんとなく似ているんじゃないかな、と思いました。勿論偶然の一致ですし、題材被りはそんなに気にする必要も無いのですが、ある意味ＳＦとして手堅い内容なんだなということは認識しました。

    それはそうと、内容はというと、序盤はすごく良かったです。他の方の感想と丸かぶりですが、古典の引用が上手かったし、コピー能力のトワイライトや諸々のＳＦ設定もいいし、それの提示も上手かった。
    序盤に関しては、おおむね普通に主人公に感情移入する形で読んでいました。

    しかし中盤、アオイのコピーを作り始めるところから、なんか違うなと感じ始めました。
    そもそもトワイライトってコピーする能力だったはずですが、それをコピーするのに、なんでアオイがそこまで大げさに消耗するのかが、いまいちピンときませんでした。
    もちろんそれが、物語を劇的にするための作為だということは理解できます。ＳＦだからこそ、どんな設定にでもできてしまう。だからこそ、「ああここは物語の都合でそういう設定にされているんだなー」と冷静になってしまいました。
    また、別の方もおっしゃっていますが、アオイに呼吸もままならない負荷がかかるにしても、具体的にどういう負荷なのか、なんで苦しいのか、どういうような苦しみ方なのか、というのもイメージしにくかったです。
    そして、それに対する主人公の半狂乱になるリアクションが全く共感できませんでした。なんというか、パニックになっている人を見て、逆にこちらが冷静になってしまう現象がありますが、まさにそれという感じで主人公が半狂乱になると、読者の自分としてはそれに共感せずに逆に冷静になっていきました。
    アオイを利用してコピーを取る側の人間だって、アオイに死なれたら困るので、消耗するとはいってもさすがに死ぬようなことはしないはずです。もちろん消耗しているからには間違って死んでしまう危険性はゼロではありませんが、そこまで半狂乱になって心配するようなことでしょうか。
    病気やケガで人が倒れた、となると当然心配ですが、箱根駅伝で区間を走り切ったランナーが倒れ込んで自分の足では歩けず仲間に抱えられて退場するシーンをよく見ますが、脱水症状になっているとかでない限り、そのランナーを心配する人ってほぼいないと思います。なんというか、申し訳ないのですが、主人公に対する感情移入は完全に解除されてしまって、物語の世界から現実に引き戻されてしまった。
    そして次の文章。
    「どうせ世界は狂っている。高級ディナーを嗜む夜がある一方で、瓦礫の山を裸足で歩き、二束三文のガラクタを漁らなければならない十歳の少年がいる。その現実を知ったとして、私達はどうすることも出来ない。狂っていると思うでしょう、まだ良心が残されているのなら。」
    この文章のところで、更に主人公に対して冷めてしまった。主人公の年齢設定を失念してしまったのですが、２０代後半くらいのつもりで読んでいました。この文章って、２０代後半の人が言うには、自分に酔いすぎというか浸りすぎというか。中学二年生くらいの年齢の少年だったらこういう真っ直ぐな正義感的なものがあってもいいし、あるいはＪポップのアーティストとかだったら、この腐敗した世界に怒りを覚えて何かを蹴りつけたりしてもいいのかもしれませんが、論理的思考を重んじるはずの研究員が言うことでしょうかね。
    しかもこの半狂乱が、最初の一瞬だけ頭に血が昇ってしまったとかならまだしも、五年も継続するという。さすがに、自分のやるべきこともやらずに悲劇のヒロインになりきりすぎていて、ドン引きです。主人公が怒ったって悲しんだって状況が変わるわけでもないのに、無駄に騒ぎ立てて自分で憔悴しているというのは、さすがにこの女うぜぇわ。申し訳ないのですが、この時点で主人公に対しては感情移入ではなく、反感を抱くようになってしまいました。


    …………といっても、主人公に対して反感、というのはあくまでも私個人の感じ方なので、この部分で主人公に共感して怒りや悲しみを覚える読者も存在するのでしょう。
    ということで、かなり気を取り直して、反感まで振り切っていた感情を無理矢理フラット辺りに戻して、続きを読みます。

    終盤の反乱を起こす展開は、ありがちというか定番というか、ですが、その顛末を丁寧に描いていたのは良かったです。ナルミとケンがおぎゃあと再登場する場面は驚きました。
    しかしアオイが「フカセのため」と言うのはどうなんだろう。せっかく、人間がアオイを散々痛めつける展開があったのだから、「人間に対する復讐です」と言った方が説得力があったかも。
    総評ですが、ＳＦとしてクオリティが高いことは論をまちません。ただし私個人の感想としては、キャラクター、特に主人公に共感できない部分が多すぎたので、物語としてはあまり面白くは思えませんでした。
    だから何を直せ、というわけではなく、これが作者さまの作風なのだろうから、気にせずこういう路線で創作を続けていただければと思います。あ、北杜市が北社市になっている誤字があったので、そこは直した方がいいと思います。
    感想は以上です。企画参加おつかれさまでした。


    E-Mail pass
Re: 2022年01月16日 15時06分14秒
  • ＞こんにちは。『永遠に近い速度で透過する』の感想です。
    ＞
    ＞雑感として、これって、二つ後に投稿された『我、泉の水を求める鹿のように』と、なんとなく似ているんじゃないかな、と思いました。勿論偶然の一致ですし、題材被りはそんなに気にする必要も無いのですが、ある意味ＳＦとして手堅い内容なんだなということは認識しました。
    ＞

    →挙げられた作品は半分くらいまでしかまだ読めていないのですが、たしかに似たアプローチでしたね。びっくりしました！

    ＞しかし中盤、アオイのコピーを作り始めるところから、なんか違うなと感じ始めました。
    ＞そもそもトワイライトってコピーする能力だったはずですが、それをコピーするのに、なんでアオイがそこまで大げさに消耗するのかが、いまいちピンときませんでした。
    ＞もちろんそれが、物語を劇的にするための作為だということは理解できます。ＳＦだからこそ、どんな設定にでもできてしまう。だからこそ、「ああここは物語の都合でそういう設定にされているんだなー」と冷静になってしまいました。
    ＞また、別の方もおっしゃっていますが、アオイに呼吸もままならない負荷がかかるにしても、具体的にどういう負荷なのか、なんで苦しいのか、どういうような苦しみ方なのか、というのもイメージしにくかったです。

    →他人の苦しみは客観的なイメージしか得られないので、ここはどう描写するか悩みました。
    苦しんでいるのは「人間に近しい構造をしているのに、臓器がみんな働いてくれない」からです。死にはしませんが、多分苦しいだろうなと思います。
    僕自身胃が弱くて、たまに胃の運動が鈍くなったり止まってしまったり（完全停止では無いでしょうけど）するんですが、めちゃくちゃしんどいです。これが他の臓器までそうなってしまったらと思うと気が狂いそうです。


    ＞病気やケガで人が倒れた、となると当然心配ですが、箱根駅伝で区間を走り切ったランナーが倒れ込んで自分の足では歩けず仲間に抱えられて退場するシーンをよく見ますが、脱水症状になっているとかでない限り、そのランナーを心配する人ってほぼいないと思います。なんというか、申し訳ないのですが、主人公に対する感情移入は完全に解除されてしまって、物語の世界から現実に引き戻されてしまった。

    →すみません、ここだけは受け止めきれませんでした。
    僕はそのランナーが心配でなりません。バラエティで芸人さんがえづいているだけでも駄目です。
    僕のほうが少数派だとは思うのですが、でも駅伝見ててハラハラしたり心配する場面って普通に多くないか？　とも考えました。そうでもないのかな……。
    ええと、要は「死ぬことはない」と分かっていたって、目の前で苦しそうな姿をしていたら心配するし怖くなるものだと思っていたので。そこは感情が上回っちゃうかなって。
    どうなんでしょう。どっちがより自然なのかな。分かんない。


    ＞しかもこの半狂乱が、最初の一瞬だけ頭に血が昇ってしまったとかならまだしも、五年も継続するという。さすがに、自分のやるべきこともやらずに悲劇のヒロインになりきりすぎていて、ドン引きです。主人公が怒ったって悲しんだって状況が変わるわけでもないのに、無駄に騒ぎ立てて自分で憔悴しているというのは、さすがにこの女うぜぇわ。申し訳ないのですが、この時点で主人公に対しては感情移入ではなく、反感を抱くようになってしまいました。

    →やるべき事はほぼ終わってるんですよね、ここの場面……。アオイから人間性のテンプレートを完成させて、量産体制に入っているので。
    ただ感情的にさせて合理的な判断をさせなかったのは、それだけ彼女がアオイに入れ込んでしまっていたからかなと思います。


    ＞しかしアオイが「フカセのため」と言うのはどうなんだろう。せっかく、人間がアオイを散々痛めつける展開があったのだから、「人間に対する復讐です」と言った方が説得力があったかも。

    →うーん……復讐は違うかなと判断していました……。
    あくまでアオイって純粋無垢で、しかも彼女の知る世界って凄く狭いんですよね。数少ない友人が苦しんでいるんだから、じゃあそれを何とかしたいと思ってああいう行動を取りました。
    彼女にとってあの部屋の向こう、ガラスの向こうにあるものは背景みたいなもので、彼女にとって「人間」とみなせる存在は三人だけでした。（もっと言うとフカセ+その友人二人）
    他の人間を巻き込んだのは「フカセにとって必要な存在にするため」です。
    だから復讐というマクロ的な視点の決断はしないんじゃないかなと思いました。

    ＞総評ですが、ＳＦとしてクオリティが高いことは論をまちません。ただし私個人の感想としては、キャラクター、特に主人公に共感できない部分が多すぎたので、物語としてはあまり面白くは思えませんでした。
    ＞だから何を直せ、というわけではなく、これが作者さまの作風なのだろうから、気にせずこういう路線で創作を続けていただければと思います。あ、北杜市が北社市になっている誤字があったので、そこは直した方がいいと思います。
    ＞感想は以上です。企画参加おつかれさまでした。

    →誤字には気を配っていたつもりでしたがありましたか。ご報告ありがとうございます。
    そしてお読みいただきありがとうございました！

    E-Mail pass
2022年01月03日 01時40分14秒
 +20点
  • 　読了しました。
    　御見それしました。大変な腕前を身に付けられたものです。自分も今後できるだけ頑張ります。

    　序盤を読みながら「これ強そうだな」と思って中盤「いやそうでもないか？」と思って最後の方で「ああやっぱ強いわ」となりました。

    　序盤、「強そうだな」と感じた理由はおおむね二つあります。
    　一つはトワイライトに纏わる設定やその周辺の近未来世界の描写の秀逸さ。
    　もう一つはお洒落な語彙の使い方と、同じくお洒落な古典作品の引用の使い方ですね。自分が同じ本を読んで同じように引用しようとしても、ここまで教養豊かな魅せ方をすることは誰もできないでしょう。これが文体に大変なオリジナリティを齎しており、全体を通してリーダビリティを押し上げています。
    　結構自分性格悪くて、企画の作品に対してはライバルということもあり、短所を探しながら読んじゃうところもあって、冒頭なんかは『謎めいた描写からのSF設定の説明の流れは重たくないか？』とか思ってたんですが、上記の長所が上手く打ち消した印象です。というかその時自分が思ってた程重い訳ではないというのが正しいのかも？
    　あと、これは狙ってやったんだとは思いますが、途中まで主人公を男性と思って読んでいたのが、「あれ女の子っぽいぞ？」となっていく感じは結構楽しめました。こういうの割とお洒落に感じる方なんで特筆しておきます。

    　中盤「いやそうでもないか？」となったのは、アオイのコピーを作るくだりでアオイにどのような負荷がかかりどのように苦しむのかが今一つ鮮明にはイメージしきれず、それが故に主人公の葛藤や苦悩に感情移入しきれなかったからです。
    　アオイっていうキャラクターの性質上仕方がないことですが、苦痛を言葉で訴えさせたり泣き叫ぶ様子を描写できないから、というのもあるのだと思います。説明自体はある程度の行数を割かれていましたが、理知的な解説に留まっていて生々しさやえげつなさを感じさせるものじゃなかったのが、今一ぴんと来なかった要因かもしれません。

    　しかし終盤盛り返したのは、その展開の強烈さ故です。
    　考えても見れば、人工生命体に人間社会が乗っ取られてしまうなどというストーリーは、使い込まれたものではあります。とは言え逆に言えばそれだけ魅力的なフォーマットということでもあり、その効果は抜群で、そこに至る過程がしっかり描かれているだけに胸にしっかりと突き刺さります。
    　それ故に、終盤はきっちりわくわくしました。楽しく読み終えることが出来たと思います。

    　ここまで使い込まれたフォーマットであれば、それを使うこと自体がオリジナリティの欠如に繋がる訳ではないと思います。そうしたフォーマット自体は誰が使っても良くて、どういう風にそれをやるかってその上に何を置くかあるいはどういう風にそこへ持っていくか、或いはどれだけ人よりも丁寧にやれるか……という話になるでしょうね。
    　丁寧にやれてはいたと思います。きちんとここに繋がるように最初から物語が組み上げられているのが感じられます。この世界における人類の歩みの歪さというものもしっかり描かれていたので、アオイの判断にも納得させられるように工夫がされていたと思います。
    　ただ、より強い納得感や共感を産み出す為には、中盤に覚えた違和感にも繋がる話ですが、アオイという生命が何を考え感じていたのかというのを、アオイの感じていた疑問や痛み、苦悩といったものを絡めて書いていた方が良かったような気はします。
    　設定上、あまり感情的になれない、やや無機質なところのあるキャラクターとして描くことになってしまうのは、あると思います。ただ同時に、アオイの置かれた立場というのは、人間に良いようにされながら自分がどういう存在なのかも分から、ヒトの心を教え込まれながらも決してヒトにはなれない、むしろ化け物に近い存在であるという、様々な悩みや葛藤が描写されうるものです。そうした生々しい悩みを今作のアオイのキャラクター性で描写するのは難しかったかもしれませんが、そこを上手く処理しつつ描写できていれば、ラストシーンがさらに映えるものになった可能性はあるかもしれません。

    　総合的に言えば、文体に個性と魅力があり、設定はSFとしてしっかりとしており、ストーリーも理解しやすく、確実に胸に刺さる地点へと着地しています。キャラクターの描写も、外連味こそないものの丁寧に描かれていたと思います。
    　中盤・終盤の指摘点もあくまで、特に心理描写に関してはくどくどと説明しがちな自分の意見に過ぎず、正直同じように感じる人が他に何人いるかという意見です。この点をキズに感じないという読者もいると思うので、取捨選択をお願いします。

    　創作お疲れ様です。これからもがんばってください。

    E-Mail pass
Re: 2022年01月16日 14時54分03秒
  • ＞　読了しました。
    ＞　御見それしました。大変な腕前を身に付けられたものです。自分も今後できるだけ頑張ります。
    ＞

    →まずは粘膜さん、ワンツーフィニッシュおめでとうございます！

    ＞　序盤、「強そうだな」と感じた理由はおおむね二つあります。
    ＞　一つはトワイライトに纏わる設定やその周辺の近未来世界の描写の秀逸さ。

    →実は文字数を合わせるために一番削ったのがトワイライトの設定と世界観、アオイの人間性獲得への道筋です。なのでSFとするには描写力に欠けていると思っていたのですが、楽しんでいただけたのなら嬉しいです。

    ＞　もう一つはお洒落な語彙の使い方と、同じくお洒落な古典作品の引用の使い方ですね。自分が同じ本を読んで同じように引用しようとしても、ここまで教養豊かな魅せ方をすることは誰もできないでしょう。これが文体に大変なオリジナリティを齎しており、全体を通してリーダビリティを押し上げています。

    →今回、カツカツなスケジュールになってしまって『不思議の国のアリス』を読み返す時間がありませんでした……なので要所要所を振り返りつつ何とか引用をひねり出していました。本当はもっと密接にリンクさせたかったのですが、お褒めいただけて嬉しいです。

    ＞　結構自分性格悪くて、企画の作品に対してはライバルということもあり、短所を探しながら読んじゃうところもあって、冒頭なんかは『謎めいた描写からのSF設定の説明の流れは重たくないか？』とか思ってたんですが、上記の長所が上手く打ち消した印象です。というかその時自分が思ってた程重い訳ではないというのが正しいのかも？

    →短所を探しながら、というお気持ち分かります。ついついそうなりがちですよね。説明パートはできるだけ軽量化しましたが、ここのバランスは本当に難しいですね……。

    ＞　あと、これは狙ってやったんだとは思いますが、途中まで主人公を男性と思って読んでいたのが、「あれ女の子っぽいぞ？」となっていく感じは結構楽しめました。こういうの割とお洒落に感じる方なんで特筆しておきます。

    →これはある意味で狙い通りです！
    フカセのキャラ描写は「無機質な人物像から徐々に人間性を見せていく」ようにしていたので、性別すら読み取りにくくなるのはその仕掛けが働いてくれたのかもしれません。
    あと直接的な性別描写は毎回意図的に入れていません。何を持って男性、女性と見做すのかがいまいち分かっていないからです。あと中性的な雰囲気が好きなのもあると思います。



    ＞　中盤「いやそうでもないか？」となったのは、アオイのコピーを作るくだりでアオイにどのような負荷がかかりどのように苦しむのかが今一つ鮮明にはイメージしきれず、それが故に主人公の葛藤や苦悩に感情移入しきれなかったからです。
    ＞　アオイっていうキャラクターの性質上仕方がないことですが、苦痛を言葉で訴えさせたり泣き叫ぶ様子を描写できないから、というのもあるのだと思います。説明自体はある程度の行数を割かれていましたが、理知的な解説に留まっていて生々しさやえげつなさを感じさせるものじゃなかったのが、今一ぴんと来なかった要因かもしれません。

    →一番悩んだところです。やっぱりバレますよね〜。もっと情緒的にするとか、もっと冷淡な感じにするとか、色んなパターンを書いては消しを繰り返しました。結果、一番コンパクトで淡々と進むものを選びました。あからさまに感情に訴えかける描写が好きじゃないので、天邪鬼的な判断で「感情的になる人間」と「ただ機械的に変化を繰り返すアオイ」の対比としました。

    ＞　しかし終盤盛り返したのは、その展開の強烈さ故です。
    ＞　考えても見れば、人工生命体に人間社会が乗っ取られてしまうなどというストーリーは、使い込まれたものではあります。とは言え逆に言えばそれだけ魅力的なフォーマットということでもあり、その効果は抜群で、そこに至る過程がしっかり描かれているだけに胸にしっかりと突き刺さります。
    ＞　それ故に、終盤はきっちりわくわくしました。楽しく読み終えることが出来たと思います。

    →クライマックスはとにかく映像としてのインパクトを心がけました。グロテスクなんだけど美しさもある退廃的な風景になっていたでしょうか？


    ＞　ここまで使い込まれたフォーマットであれば、それを使うこと自体がオリジナリティの欠如に繋がる訳ではないと思います。そうしたフォーマット自体は誰が使っても良くて、どういう風にそれをやるかってその上に何を置くかあるいはどういう風にそこへ持っていくか、或いはどれだけ人よりも丁寧にやれるか……という話になるでしょうね。

    →そうですね、フォーマットとしてはありがちだと思います。そこを突き詰めて突き詰めてみました。

    ＞　設定上、あまり感情的になれない、やや無機質なところのあるキャラクターとして描くことになってしまうのは、あると思います。ただ同時に、アオイの置かれた立場というのは、人間に良いようにされながら自分がどういう存在なのかも分から、ヒトの心を教え込まれながらも決してヒトにはなれない、むしろ化け物に近い存在であるという、様々な悩みや葛藤が描写されうるものです。そうした生々しい悩みを今作のアオイのキャラクター性で描写するのは難しかったかもしれませんが、そこを上手く処理しつつ描写できていれば、ラストシーンがさらに映えるものになった可能性はあるかもしれません。

    →アオイのキャラクター像は「実は何も分からない」がテーマでした。それは人間がアオイを理解できないというのと、アオイ自身が人間社会や人間のあり方を何も理解できていないというダブルミーニングです。
    AIは情報を集積し分析する力には長けていますが、一つ一つのデータがどんな存在であるのかを理解していません。
    例で言えば「ニューヨーク」という情報、それに紐付けられた様々な情報について何でも答えられます。（人口とか有名人とか）
    けれどともすれば、AIはこう質問するかもしれません。「ニューヨークとは人名ですか？」
    ニュースのURLがどっか行ってしまったんですが、AIを連想クイズの大会に参加させたらそのような的はずれな質問を連発したという記事がありました。彼らは自らがどんな情報を知っているのかさえ分かっていません。


    ＞
    ＞　総合的に言えば、文体に個性と魅力があり、設定はSFとしてしっかりとしており、ストーリーも理解しやすく、確実に胸に刺さる地点へと着地しています。キャラクターの描写も、外連味こそないものの丁寧に描かれていたと思います。
    ＞　中盤・終盤の指摘点もあくまで、特に心理描写に関してはくどくどと説明しがちな自分の意見に過ぎず、正直同じように感じる人が他に何人いるかという意見です。この点をキズに感じないという読者もいると思うので、取捨選択をお願いします。
    ＞
    ＞　創作お疲れ様です。これからもがんばってください。
    ＞

    →こちらこそ、感想ありがとうございました！

    E-Mail pass
2022年01月02日 02時45分44秒
 +20点
  • 　序文が面白くて興味を惹かれました。主人公が出勤していくまでにディストピア感が分かるようになっていて良いと思いました。
    　スタートが良かったからか、ひとりでに映像が浮かんでスイスイ読めました。キカイダー伝承されてるんだ、と思った直後に「キカイダーなんて何十年前の特撮だ」って書いてあったし、母性めばえてるやんと思った直後に「まるでお母さんになったみたい」と書いてありました。私と主人公の思考が同期されていて、いつのまに物語の中に誘導されていたのかと思いました。
    　人工生命体が、ウサギと人間を平等に見る場面がありました。もし人工生命体がいたら本当にそう考えるだろうなと納得してしまいました。自動車の発明を予測すると同時に、渋滞が社会問題になるのを予測するみたいな、うらやましい想像力だと思いました。
    　家族の関係とか、人間以外が持つ権利とかについて問いを立てているようにも見えました。だとしたら今が旬の良い題材だなあと感じました。科学っぽい描写とか、登場人物の会話とかも面白かったです。

    　後半になるにつれて、私は前半ほど楽しくは読めませんでした。この小説に問題があるとは思いません。単に私の好みの問題です。
    　こんなことを言っても仕方がないんですけど、未来に生きていて哲学も進歩しているはずなのに、どうして中学生が考えたみたいな極端な結論が下されるのか、私は全然分からないんです。同じことを伊藤計劃『ハーモニー』を読んでいても感じました。おそらく私は明るい未来を信じたいのです。でもディストピアって大抵暗いので、だから自分と相性が良くないのかなと思います。
    　それ以外だと、同僚二人の境遇が明かされて主人公が立ち直るまでが早すぎてビックリしました。さらに、案の定、人工生命体が暴走したとき「露骨にたたみに来たなあ」と感じて、物語の外に引き戻される感じがしました。ですがこの二つは、もともと五万字あった話を圧縮した結果だと思うので大丈夫でしょう。
    　繰り返しますが、後半が私の好みと合わなかっただけで欠点らしい欠点はなく、すばらしい文章だったと思います。

    　あくまで私がどう読んだかですので、これは違うな、と思った部分は気にしないでください。作品を書いてくださってありがとうございました。

    E-Mail pass
Re: 2022年01月16日 14時38分34秒
  • ご感想ありがとうございます。

    ＞　序文が面白くて興味を惹かれました。主人公が出勤していくまでにディストピア感が分かるようになっていて良いと思いました。

    →タイトルは毎回、分かりやすさより美しさとか仕掛けとかを優先しています。なのでせめて序文にインパクトのある文を入れるよう心がけております。興味を惹かれたとのこと、嬉しいです。

    ＞　スタートが良かったからか、ひとりでに映像が浮かんでスイスイ読めました。キカイダー伝承されてるんだ、と思った直後に「キカイダーなんて何十年前の特撮だ」って書いてあったし、母性めばえてるやんと思った直後に「まるでお母さんになったみたい」と書いてありました。私と主人公の思考が同期されていて、いつのまに物語の中に誘導されていたのかと思いました。

    →誘導している意図は無かったので偶然でしかないのですが、なるほど、そういう効果が生まれていたのですね……。

    ＞　人工生命体が、ウサギと人間を平等に見る場面がありました。もし人工生命体がいたら本当にそう考えるだろうなと納得してしまいました。自動車の発明を予測すると同時に、渋滞が社会問題になるのを予測するみたいな、うらやましい想像力だと思いました。

    →ここはウサギをどう見立てるのか悩みましたが、混同してしまう方が面白いかなと思ってああいう展開としました。

    ＞
    ＞　後半になるにつれて、私は前半ほど楽しくは読めませんでした。この小説に問題があるとは思いません。単に私の好みの問題です。
    ＞　こんなことを言っても仕方がないんですけど、未来に生きていて哲学も進歩しているはずなのに、どうして中学生が考えたみたいな極端な結論が下されるのか、私は全然分からないんです。同じことを伊藤計劃『ハーモニー』を読んでいても感じました。おそらく私は明るい未来を信じたいのです。でもディストピアって大抵暗いので、だから自分と相性が良くないのかなと思います。

    →そうですね……何というか極端に悲観的な側面はあるかと思います。今回、結末に至るまでの補強を出来る限り行い、「これこれこういう道筋を辿ったから、この結末はなるべくしてなったんだよ」と感じていただけたらと思っていました。
    どうしても明るい未来は想像出来なかったですねぇ。ちなみに僕は『ハーモニー』大好きです。ベスト3に間違いなく入ります。というか本作はハーモニーの影響受けまくってます。

    ＞　それ以外だと、同僚二人の境遇が明かされて主人公が立ち直るまでが早すぎてビックリしました。さらに、案の定、人工生命体が暴走したとき「露骨にたたみに来たなあ」と感じて、物語の外に引き戻される感じがしました。ですがこの二つは、もともと五万字あった話を圧縮した結果だと思うので大丈夫でしょう。

    →文字数との戦いでした。後半は特に尺が無さすぎて大変でしたが、かといってキャラ描写や展開をまるまる削る選択もできませんでした……。
    ここはツッコまれるの覚悟していました！

    ＞　繰り返しますが、後半が私の好みと合わなかっただけで欠点らしい欠点はなく、すばらしい文章だったと思います。
    ＞
    ＞　あくまで私がどう読んだかですので、これは違うな、と思った部分は気にしないでください。作品を書いてくださってありがとうございました。

    →こちらこそ、お読みいただきありがとうございます！

    E-Mail pass
合計 6人 120点

お名前(必須)　
E-Mail (必須)　
－－　メッセージ　－－
作者レス
評価する
　PASSWORD(必須)　 　トリップ　？　

<<一覧に戻る || ページ最上部へ
作品の編集・削除
E-Mail pass