【跡地化】生命の兎は鈍色に眠る

Rev.16　枚数： 3 枚（ 840 文字）
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宮葉 WsKagfeGrc

2021年08月06日 00時11分38秒 公開
■この作品の著作権は 宮葉 WsKagfeGrc さんにあります。無断転載は禁止です。
■作者からのメッセージ
◆テーマ：【夏】×【風】【土】
◆キャッチコピー：貴方の物語は、私達の物語へと進化する。
◆作者コメント：
書きながらメンタルがボロボロになっていきました。書き終えて何かから解放された気分です。

2022/01/12:跡地化。お読みいただきありがとうございました！

My story converges, and your story unfolds.

2021年08月22日 12時03分02秒
 作者レス
  • 感想をお送り頂いた皆様、本当にありがとうございました。
    至らぬ点が多くあり、非常に悔しい気持ちでいっぱいです。これを糧に今後より優れた作品を創れるよう精進致します。

    ――――――――^v―――――^v――――――――
    Never let me go,
    わたしを離さないで

    never let me go
    どうか離さないで

    Hold your hands, I feel so close
    その掌を握れば、貴方を感じられる

    So I say, never let me go,
    だから私は繰り返す、どうか離さないで

    never let you go
    どこへも行かないで

    Make it last long, so long
    このままずっと、ずっと

    Sleep tight, my love
    おやすみなさい、愛しき貴方へ。


    Never Let Me Go/Judy Bridgewater
    （ハリウッド版/国内ドラマ版『わたしを離さないで』挿入歌）
    ―――――――^v――^v――^v―――――――

    E-Mail pass
2021年08月21日 23時50分40秒
 +30点
  • 作者の方へ

    いつもお世話になっております。ぺこり
    作品読みました。

    幻想的な美しさと深い悔恨が感じられた作品でした。
    小夜と美影、それぞれがお互いを想う様子と小夜の病の進行具合がとても切なかったです。
    Chapter 2のラストとChapter 4の電車内の会話に涙腺崩壊でした。
    激重の百合ぃ！　好きぃぃ！！
    なんてものを書いてくれるんや、この作者……(褒め言葉)

    全体として波長の合う作風で、うわぁぁぁ！　と悶えながら読んでいたのですが、新音と帆波のキャラクター造形が少し物足りなく感じてしまったことが引っかかりました。
    特に新音はその漢字に背負った役割があるので、彼女のキャラクター造形をもう少し深めてもよかったのかもしれないなと思っています。
    もしくは作者としては若干不満感が残りそうですが、美影と小夜だけの物語にしてしまうか。
    美影と小夜だけの物語にすると割と閉塞的な終わり方になりそこが悩みどころ、賛否両論を呼ぶ部分となりそうですが……。

    あ、あとツイッターでも呟いたので作者も分かっているのかもしれませんが、それぞれの章のデザインが好きでした。心電図ー！！？？　ってなった。切ない……切ない……。

    心に残る素敵な作品をありがとうございました。
    執筆お疲れ様でした。

    E-Mail pass
Re: 2021年08月22日 18時53分33秒
  • 感想ありがとうございます。

    はい、いつものクソデカ感情系百合です！！
    構想している内は楽しいのですが、いざ書くと本当に疲れます。できれば重い話は書きたくない……けれどそれ以外の書き方が分からない……そんな負のスパイラルに落ちかけています。

    新音さん、もう少し動きやすい子であれば……何十回と書き直した原因の大半がこの子にある気がします……。
    新音は他のキャラと比べて、考えるより先に行動するタイプなんですよね。僕の場合、立ち止まって考え込んで、その場から動けなくなるようなキャラばかりなので新音みたいな子は初めてかもしれません。
    これからは行動的な子も書くよう意識します。

    チャプターに施した心電図の演出、ずっと前からやりたかったデザインの一つでした。今回ようやく使えました！
    Chapter4までは小夜あるいは美影の心音あるいは生命力を表しており、Epilogueのみ上段が「現実」、下段が「夢の世界」を表しています。つまり二人と一人、離れ離れというわけです。
    でもいずれ三つの心電図に戻るんじゃないかと信じています。一応、小夜と美影は夢の列車を使って再会できる可能性がありますし。

    お読みいただきありがとうございました！

    E-Mail pass
2021年08月21日 23時39分30秒
 +20点
  • 　桝多部とあると申します。拝読させていただきました。

    　それにしても架空とは言え五感を徐々に失う病気ですか。恐ろしい病気をよくも考え付いたもんだ。現実世界には脊髄小脳変性症という、もうこれだけで神様なんかいないことを証明できるとんでもない病気がありますがそれに匹敵できるでしょう。
    　三人の少女たちが、『五感を失う病気』の前にどうすることもできず見送るだけのお話で、失礼ながら小夜と新音は暗闇の世界に去っていく美影の前で成長したのだろうか。そこらへんが首をかしげました。彼女らの心の描写を書くのはいいですが、目的地はどこか、良しにつれ悪しきにつれそれは読者が納得する場所でないと行けないと思うのです。私は彼女たちが結局スタートラインから一歩も出ず物語りに幕を引いてしまった、そんな感じがするのです（新音は帆波を詰問して『外』に出ようとしましたが……）。

    　私からの感想は以上です。この作品は心理描写にこだわり過ぎて物語が前に進んでいない印象を受けたことが非常に残念でした。それでは、ご縁があればまたお会いしましょう。

    E-Mail pass
Re: 2021年08月22日 18時46分06秒
  • 感想ありがとうございます。

    今回、似たような病気がないか調べようかと思いましたが、そういうの読むとメンタルがやられるので一切見ませんでした。
    筋委縮症でしたっけ、そういうのを患った方を知っているのですが辛くなります。だからファンタジーだと自分に言い聞かせながら書きました。

    ああ、確かに停滞はしているかもしれません。
    お互いがお互いの中で完結してしまっていて、現状を改善するよりは維持する方向に偏っていたかもしれません。
    むしろ心理描写くらいしかまともに書けないので、それが裏目に出たかもしれません。
    次回への反省点ですね！

    お読みいただきありがとうございました！

    E-Mail pass
2021年08月21日 20時19分42秒
 +20点
  • 『生命の兎は鈍色に眠る』拝見させていただきました。

    これは……すごい作品ですね。
    なんて言ったら良いのかな。幻想的な、とか言おうと思ってたら入江さんやいりえさんに言われてたからこれは別の言い方しないとですねｗ　……おのれ！

    習字で字の上手い人が文字を力強く書き上げたような、そんな勢いと美しさを感じました。
    こう、自身の中の『こう言う作品が書きたい！』的な勢いっていうんですかね。そういう物を感じさせる作風で、かつそれが文章にも現れてて、独自の世界観、とまで言ってしまうと言い過ぎなのかもしれませんけど、少なくとも独特の世界観構築に成功しているように思いました。

    ●気になった所

    ・良い文章！　でも？

    ところどころ微妙におかしな部分があったような。
    まあ、滅茶苦茶気になったわけではないのですけども。
    やや誤字脱字や係り受けが怪しい部分がありました。

    ・三人目の視点

    駄目、と言いたいわけではないんですけど。
    難しいんですよね。
    この作品を小夜と美影の物語であると考えるなら、新音はどちらかと言うと不純物なんですよね。途中から脇役が動き出した、みたいな部分があるわけで。
    確かに書き手目線に立ってみると、美影も昏睡してしまう流れだから繋ぎやアクセントは欲しい所で。ついでにほぼ二人の物語ゆえの世界観の狭さの解消という意味合いもあったのかも？　と、愚考しますが、私としてはやはり新音視点はやや雑音のように思います。あと、割と短いし。

    ただ誤解されないように言っておきたいのですが、新音の気持ちや謎解き的な展開部分はありだったので、あくまでこれらを美影視点から書かれたほうが良かったのでは、ないかなと。

    ・結末にややもやっと感が？

    美影の言葉は『百年後にまた会おう』ですけど……どういう意味なのかちょっとわかりかねました。
    なので、どういう意味なんだろう？　と未だに悩んでるところです。

    ●気に入った所

    ・文章が良かったです

    これはもう文学作品では、と思うぐらい流麗な文章でした。

    ・展開が好きです

    最初はただ悲劇的な結末に向かっていくのかな、と思っていたらそうじゃなかったんですよね。まさかあそこからそんな展開をするなんて、と。ちょっと驚かされました。
    これは自分だったらちょっと思いつけないですね。

    ・REV１５

    １５回も書き直してらっしゃるんだなぁと思うと、頑張りましたねとちょっと言いたくなりましたｗ

    ●まとめ

    良い作品！
    なんですけども、お話的に突き抜けた面白さや感銘を受けるほどではなかったかなぁ、と。
    ほぼ二人で話が進む分、展開も小さくまとまってしまった部分もあると思いますし、結末がハッピーエンドともバッドエンドとも言い難い結末となったので、ちょっと受け止め方が難しかったかもしれません。
    小夜はどうやら前向きに受け止めているので、バッドエンドではない……のかな？　と思うのですが、このまま眠り続けるのかどうなのかが分からないために判断しかねてるんですよね。
    このあたり、作者さん的にはどういったイメージを持ってらしたのかちょっとお伺いしたいところです。

    それでは執筆お疲れさまでした。
    またの機会をお待ちしています！

    E-Mail pass
Re: 2021年08月22日 18時42分39秒
  • 感想ありがとうございます。

    まさしく「書きたいものを書ききった」感じでした……！
    本当に苦しかったですが、ひとまず完成まで辿り着けて良かったです。

    誤字脱字などは出来るだけ見直してきたつもりでしたが、ありましたでしょうか？　気づきませんでした。
    文章によってはあえて変則的な文法とかも使っているのですが、単純に文としておかしなところもあったかもしれません。申し訳ございませんでした。

    今回、本当に新音ちゃんへの指摘が多く、作者としても「そりゃそうだよねー」と納得しております。
    なぜ新音が必要だったのかは他の方へのレスにて語りましたが、その一方で書きながら「こいつ何なんだ」と思いながら書いていました。
    美影や小夜はバックボーンも含めてある程度の造形を考えていたのですが、新音はそこまで深く構想に入れなかったので僕としても彼女のことはよく分かりません。

    「百年後にまた会おう」は大ちょんぼです。その理由は他のレスを是非ご覧ください……。

    文章お褒めいただきありがとうございます！　こだわりまくりました！　せめて文章力だけは負けたくない！
    結末については本当に紆余曲折あってのものなので不安たっぷりでしたが、お褒めいただけてホッとしました。
    あと書き直し回数が出ることを初めて知りました。恥ずかしい。

    ちなみに結末に関して、個人的にはハッピーエンドです。
    痛みを伴うものであれど、希望を残した前向きな終わり方という想定です。
    最近、キャッチーだけど攻撃的な要素を含んだ本がよく平積みされていて、そういうの好きじゃないなあ、優しさがほしいなあと思っていたので本作は「優しさ」がテーマです。

    最近は暗い話を書くのも見るのも疲れてきたので、次はさらに優しい物語を書きたいなと思います。

    お読みいただきありがとうございました！

    E-Mail pass
2021年08月20日 22時11分13秒
 +10点


  • 　キーゼルバッハと申します。読まさせていただきましたので感想を。
    　以下、ネタバレを含みますのでご注意ください。
    　
    （キャラ）
    　
    小夜
    　　：この物語の主人公１で、中学三年生の女の子。
    　　　どこにでもいる素朴で引っ込み思案な女の子。しかし、
    　　　彼女には重大な秘密が有った。とある謎の奇病により
    　　　徐々に五感が喪失してゆくのだった。
    　　　物語は彼女や他の二人の主人公の一人称視点で語られ
    　　　ておりました。ただ徐々に五感を失っていくのに対して、
    　　　それほど悲壮感も無く、ただ受け入れているように
    　　　個人的に感じました。それが、私にとっては少々違和感で、
    　　　泣いたり怒ったり、母に八つ当たりするなり、どうして私だ
    　　　けこんな目に合うの？　といった感情を感じさせる描写が少
    　　　なく感じました。受け入れていると言わればそれまでですが、
    　　　足を引っかけられ、転ばされたいじめっ子の美影に対しても、
    　　　お見舞いに来た時、全く何とも思っていないどころか、何故か
    　　　好意的に迎え入れた所が、私にとって少々違和感でありました。

    美影
    　　：この物語の主人公２であり、小夜と同級生の中学三年生の
    　　　女の子。初めて小夜を見たとき、どこか達観している大人しい
    　　　小夜の事がどこか気になっていた。しかし、それは純粋に
    　　　友達になりたいというものでは無く、『ウザイ』という感情
    　　　で現れていた。ヤンキーに片足突っ込んだような、少女だった
    　　　が、中学三年生の時受験を受けるのかと、小夜に何気なく尋ね
    　　　反応が気になるからと、転ばしてみた所から彼女の運命が変わって
    　　　行く。
    　　　初めは、小夜の事を罪悪感から見舞いに来ていたが、徐々にそれ
    　　　以上の感情を小夜に抱くようになっていった。
    　　　個人的に美影が小夜にどうして自分の命を懸けるまで、入れ込んで
    　　　いったのか、ちょっと分かりにくい印象でありました。罪悪感と、
    　　　毎日お見舞いに行くことで、果たしてそこまでの感情をこの短期間
    　　　に抱くことが出来るのか。もう少し、美影と小夜について仲を深める
    　　　様なイベント等が欲しかったと、個人的に思いました。

    　新音
    　　：この物語の主人公３であり、中学三年生の女の子で美影と同じ
    　　　クラスメイトであり、親友。小夜への小さなイジメは彼女の
    　　　「小夜ってウザいよね」という一言が発端になった。
    　　　三人目の主人公であり、彼女のパートでも一人称視点で語られる
    　　　のですが、他の二人に比べて印象は少し薄いです。
    　　　小夜に入れ込んで、どんどんやつれて行く美影を見かねて、
    　　　彼女を助けるべく、小夜の母である帆波へと会いに行った。
    　　　新音と帆波の問答といいますか、推理パートの様な部分は、
    　　　熱が入っていただけに、あまり物語にとって意味が無いのが、
    　　　個人的に残念に思いました。


    　　帆波
    　　　：小夜の母親で、徐々に五感を失ってゆく小夜を看病している。
    　　　　個人的に小夜の父親の存在が、語られていない事が違和感で
    　　　　ありました。見逃してしまったのなら申し訳ないのですが。
    　　　　小夜の看病に訪れる美影を好意的に迎え入れているのかと
    　　　　思いきや、実は複雑な感情を抱いているのでした。
    　　　　あまり感情を顔に出さないタイプなのでしょうか、小夜が
    　　　　寝たっきりになり、反応を示さなくなっても感情を露にする
    　　　　ことがありませんでした。新音に指摘されてやっと涙を流す
    　　　　といった状況ですが、諦めているにしても、たった一人の
    　　　　自分の子供に対して個人的にあまりに淡泊すぎるのでは無い
    　　　　かなと思いました。


    （文章）

    　文章は小夜、美影、新音の三人それぞれチャプター別に分けられた
    　一人称視点と言った印象でした。三人も視点が変わるので、個人的に
    　少々混乱してしまうことが、多々ありました。視点を移動させることは
    　悪いことだとは思わないのですが、よほど上手に繋げないと、状況が
    　分からなくなってしまいます。視点を変えても、読者がスムーズに状況を
    　理解できるような、何か一工夫が欲しかったと、個人的に思いました。


    （テーマ）

    　テーマは夏（中学生の夏休み）×風、土という事でした
    　が、夏を含めた風や土などの印象は薄く感じました。
    　せっかくなので、小夜と美影が一緒に夏祭りに行くなど
    　して浴衣を着たり、仲を深めるイベント等が有っても
    　良かったのかなと個人的に思いました。

    （総評）

    　小夜のイジメられる描写が有った冒頭を読んだ時、結構
    　現実的なお話なのかな？　と思ったのですが、小夜の病気を
    　含め、終盤の展開的にファンタジーの様な物語だと個人的に
    　感じました。
    　小夜の病気について、作中で明言されていませんが、まるで
    　植物人間の様な状態なのかな？　と推測しました。
    　小夜と美影の関係について、物語の根幹となるものですが、
    　それにしては二人の仲が深まる様なエピソードが少ないように
    　感じました。美影が小夜のいる病室に訪れて、映画の名前を
    　当てるクイズの様な物をする。それだけでは、個人的に少々
    　絡みが少ないように感じました。中学生の夏といえば、夏祭り
    　もそうですし、病室から出られないようであれば、窓の外から
    　二人で花火を見るだけでも、より二人の仲の深さを印象付けさ
    　せる展開を作れたのではないかな？　と個人的に思いました。
    　三人目の主人公である新音に関しては、そもそも小夜との絡み
    　がほとんど無く、主人公にしては個人的に印象が他の２人に比べ
    　て薄く感じ、勿体なく思いました。
    　
    それでは、夏×火風水土企画お疲れ様でした！　また機会がありましたら、読ませていただけると嬉しいです。

    キーゼルバッハでした。

    E-Mail pass
Re: 2021年08月22日 18時33分17秒
  • 感想ありがとうございます。
    レスの前に一つ。PCで見ると画面端で改行されますが、スマホからだと位置がズレてしまうのでご注意を……僕はPCつけるの面倒くさいのでスマホで見ることが多いです。画面端で改行しないほうが読みやすいかなと思いました。

    ではレス開始！
    小夜に関しては第三者から見た印象と、実際の内面とでギャップが生まれるように描きました。単なる引っ込み思案なのかと思いきや、物凄くシビアな考え方をしているという構図です。
    しかしご指摘のとおり、病状に対する葛藤を加えなかったのは良くなかったかもしれません。「受け入れた上で、どう向き合うか」とか「ただ失われる恐怖に耐えるしかない」とか、そういう方向に偏ってしまっていました。

    美影がどうして小夜に固執したのかというのも一応理由はあります。普通なら描かれるのに意図的に省いた設定があるのですが、ズバリ美影の家庭環境です。
    詳しくは語りませんが美影は家族と上手くいっておらず、行き場のない感情を小夜にぶつけていたんです。でも根っこの感性は普通なので、やりながら間違っている事にも気づいていました。
    そのへんの推移を書いちゃうといよいよ話が進まなくなるので省略しました。今回、長さや構成を踏まえて省略した設定が色々ありまして……。

    新音には帆波の態度を指摘させる事で、実は小夜も孤独にあったと判明させる役目がありました。ただもうちょっと描写したかったですね……ただ彼女を動かすのすごく難しい。

    実は1エピソードもので77枚というボリュームを書いたのは初めてです。短編の場合30枚以内に収める事が多く、その分登場人物やロケーション、シナリオの幅も極限まで絞り込んできました。
    ですがそのアプローチに限界を感じてきたため、今回から盛り込んでいくスタイルを導入しました。ですが構成のバランスや取捨選択などにおいて課題が浮き彫りになりましたね。
    これから練習していきます。
    そうか花火とか入れればよかったな……見えないけれど、音は聞こえるとかしたら凄くいい。

    お読みいただきありがとうございました！

    E-Mail pass
2021年08月20日 20時34分07秒
 +20点
  • 　執筆おつかれさまです、燕小太郎と申します。
    『生命の兎は鈍色に眠る』読みましたので、感想を残したいと思います。

    ＜リアルタイム感想＞

    〇冒頭
    　……んん？　ちょっと何が起きているのかわからないかな。読んでいくとわかるタイプの冒頭でしょうか。

    〇「小夜ってウザいよね」
    　どうしてこう、暗い描写から入っていく作品が多いのだろう……。ストーリー上必要な描写なのかもしれないけど、絶対楽しい気持ちにはならないと思うのだけど。

    〇「うん、視力が急激に落ちたの」
    　この辺りでおおよそのストーリー、というか方向性が見えてきました。ああ、読み進めるの怖いなあ。

    〇Chapter 2: Moon Walker
    　ここからどうなるのか、と思いましたが、どうやら小夜視点に変わって描かれるようです。うーん、そうか、複雑……

    ＜一通り読んでの第一印象＞
    　Chapter 2からはすっかり話に入り込んだこともあり、リアルタイム感想ができませんでした。
    　文章力の高さもあって技術のある作者様の作品だと感じましたが、結末については賛否が出るかもしれないのかなと思います。

    ＜良かった点＞
    　作者様の高い技術を感じます。
    　文章力という点で言えば、今作の難しい雰囲気を地の文で非常に上手く表現できている。具体的な風景描写から抽象的な心理描写、一つ一つの説明文まで、読み難く感じることの少ない文章だったと思います。
    　特に、好きな映画のタイトルを一つ言って当てる、というくだりは印象的で好きですね。後の伏線としてもきっちり機能する、好手だったと思います。
    　また構成という点で言えば、視点を変えて同じストーリーを追いなおすという構成は自信の現れなのではないかと思います。繰り返すことによって得られる効果をあらかじめ計算できているからこその構成だと感じました。
    　■で隠す工夫と合わせて、『どうすれば面白くできるか』という観点が非常にはっきりしている人だと思います。
    　
    ＜気になった点＞
    　面白さへのアプローチの考え方が、自分と『異なる』のかなと考えます。『間違っている』ではなく、『自分と異なっている』です。
    　まず一つに、同じストーリーを視点を変えてなぞる、という構成があまり好きではありません。何故なら基本的に同じストーリーを見させられることになるからです。もちろん視点を変えることで見えるものが変わってくる、そこのギャップが狙いなのでしょうが、ストーリー的に新しい展開がないことがわかってしまう。また、せっかく『見えなかった』ものが、視点を変えてしまうことで簡単に『見えて』しまい、想像・考察の余地をなくしてしまうのは小説としてむしろもったいないように感じます。
    　他に、チャプター3で新音がちょっとした推理をするところがありますが、そこがあまり噛み合わなかったように感じます。
    　このお話は謎解きではありません。美影と小夜という両軸で視点を変えてまで描いていたものが、新音のところで新音と帆波の両軸に完全に変わってしまったように感じます。ここで軸がぶれてしまったように感じました。
    　せめてあれが美影のものであれば、美影と小夜の両軸に帆波（または新音）というキーキャラクターが関わってくるという形になり、軸が残ると思うのですが。

    　あと、結末は正直よくわからないという印象でした。奇跡とするには犠牲が多く、奇跡に至った経緯も判然としない。ロジックとしても物語としても、なんとなく消化不良感が残る終わり方に感じました。

    ＜より良くするための提案＞
    　今作はキャラクターや設定へのアプローチが優れているので、もう少しシンプルにまとめても良いと思うんですよね。
    　美影視点で進めて、『小夜の気持ち』や『帆波の感情』が一つの謎として利用し物語を引っ張っていく。新音サイドを通じて日常生活も描きつつ、徐々に悪化していく小夜との日々を同時並行で描く方が、よりストーリーを深くできるのではないかと思います。
    　また、結末へのステップももう少し慎重に踏みたいですね。ウサギや電車の伏線はあるものの、いささかファンタジー要素が強い上に、美影が意識を失ったためスッキリとした結末とは言い難い。多少ご都合主義と言われようとも、新音や帆波も巻き込んで失ったものを分散し、全員が多少後遺症を残しつつも無事に戻ってくる、みたいにしたほうがすっきりしたように思いました。

    ＜最後に＞
    　少し暗くはありましたが、作者様の力量を感じる力作でした。色々書きましたが、いろんな書き方をする作者がいるように、いろんな読み方をする読者の中の一人の感想と思っていただければ幸いです。

    　拙い感想ですが、少しでも参考になる部分があれば幸いです。


    E-Mail pass
Re: 2021年08月22日 13時36分33秒
  • 感想ありがとうございます。

    映画のタイトル当て、気に入っていただけて嬉しいです！
    僕も凄く気に入っているシーンです。小夜が挙げた映画のタイトルにも一応法則があって、「結末が暗くなく、かつ続編のない作品」を選んでいます。
    最初はバック・トゥ・ザ・フューチャーやランボーなど、映画に詳しくない彼女でも分かるありふれたタイトルを挙げていました。しかし小夜は自らの病状に対してシビアな受け入れ方をしているので、続きが見られなくなる事を恐れてそうしています。

    正直、■をやりたいがために書いたフシもあります。

    「同一シーンを別々の視点で描く」というのは初めての試みで、正直大変でした。視点を変えることで同じセリフが違う印象となるなど、印象を覆す仕掛けをいくつも用意しなきゃならないので考えながら頭が痛くなりました。
    もちろん、それに伴うデメリットも仰る通りです。僕も全部を明かすより読者に委ねたいタイプです。
    そういった要素は夢の世界や結末に含ませましたが、常に迷いがありました。

    また、燕さんの改善案について。驚きました。初期構想そのままだからです。
    当初本作は、美影と新音の会話からスタートしていました。大学を休学して、キャンパスで新音とだらだら喋ったりはするけどお昼になったらお見舞いに行く。新音は何も言わず見送るだけ。
    そして小夜とのお見舞いシーンと新音との会話を交互に繰り広げ、少しずつ小夜の病状が進み、昏睡状態になるまでを描きます。新音はその時はじめて小夜の病室に行き、美影を止めると決心します。
    そして小夜が昏睡状態になったら小夜視点に変わり、症状が進むさまを■を用いて表現。
    最後に新音視点になり、小夜を救うために自らを犠牲としたがる美影と大喧嘩し、最後は折れます。目覚めた小夜には、美影の要素（ブラックコーヒーしか飲まないなど）が新たに芽生えており、そこに美影の存在を見出し「この子を何としても守る事が、美影の帰る場所を作る唯一の方法なんだ」と理解する。

    という構想でした。ただ何十回書き直しても上手く展開できず、そもそもの小夜の症状や世界観も二転三転しました。
    最初は「五感を喪う病気に対し、人工器官を移植する事で回避しようとする。しかし小夜の脳は人工器官を認識することができず、互換性の構築失敗により再び五感を喪う」という設定でした。
    そして美影が小夜を救うのも、「美影の脳を電脳化させて小夜に上書きする」というものでした。意識を司る一連のモジュールは複製が出来ず、直接よそに書き込む事しかできないとか何かそんな理由で美影を眠らせるとかだったと思います。
    鈍色というのは当初、この電脳を指していました。

    ただSF的設定だと細かな展開で必然性を作り出せず、悩み悩んだ末に今の設定に落ち着きました。

    そして現在の形になってから。新音や帆波については「傍観者の悪意なき糾弾」を描く予定でした。
    新音は冒頭からもう少し出番が多くて、一度小夜の病室にも行かせるつもりでした。
    また帆波はもっとえげつない奴で、「私はあまりお見舞いに行けないから、小夜にあったらどんな様子だったか電話で教えて」と頼んでいた、という秘密を与える予定でした。
    毎晩電話をし、そのたび美影は罪悪感を思い出し、帆波に懺悔し続けます。帆波は美影に対し、表面的には優しく振る舞いますがその実「本当に会いたい人よりも、かつて彼女を迫害していた自分が罪滅ぼしの為に会い続けている状況」に苦しむよう誘導していました。

    ただ書いていて胃がキリキリしてしまい、断念しました。Chapter 3は美影の思いに寄り過ぎてしまい、彼女を庇う為にその描写を消しました。
    本来、キャラに情を持ったりキャラのために展開を変えると言うことは絶対にしなかったのですが、ここ最近作品へのアプローチを大改革を目指しており、初めてそのような決断を下しました。

    ただこれら一連の紆余曲折があったがために、燕さんや他の皆さんのご指摘される点が発生してしまったのも事実です。
    アプローチの仕方はまだまだ発展途上なのだと再認識しました。

    長くなりましたが、本作は未だかつてない難産でした。それゆえ、熱い感想を多くの方に頂けてとても感謝しております。

    お読みいただきありがとうございました！

    E-Mail pass
2021年08月20日 20時21分14秒
 +10点
  • 夏ｘ火風水土企画の執筆、お疲れ様でした。
    御作を拝読しましたので感想を記したいと思います。

    ※本感想にはネタバレがあるかもしれません。

    ＞「不思議だね、二人でおんなじ夢の世界にいるなんて」

    小夜と美影の、幻想的な世界を描いた作品でした。
    物語は、新音を加えた三人の少女の視点で描かれています。
    電車の中でのシーンは本当に幻想的で、とても素敵でした。


    ＞「小さな夜、美しい影、新たな音」

    これが三人の少女の名前の由来とのこと。
    順番的には、小夜に深刻な夜が訪れ、新音が新たに動き出すと、美影が小夜の意識を取り戻すための影となった、という印象を受けました。
    他の方の感想にもありますが、新音の登場は自分もやや唐突に感じました。
    が、上のように新音の登場が転機になったと考えると、唐突感も演出の一つなのかもと思えなくもありません。


    ＞「百年後にまた会おう、って言ってた」

    小夜のこのセリフに、新音はぷ、と息を吹き出しますが、その反応には違和感がありました。
    というのも、新音は小夜よりも美影のことを大切に思っている女の子で、この時、美影とはこれから百年間は会話をすることができないと告げられたわけですから。
    小夜のことをいつも大切に思っていた美影。彼女の気持ちを誰よりも近くで見てきた新音なら、本懐を遂げた美影を労う気持ちと、もうほぼ一生美影とは話せないという悲しさで心がぐちゃぐちゃになって、泣き崩れてしまうのではないでしょうか。
    このシーンを小夜と新音と帆波が笑顔で迎えてしまうと、三人の中に「美影は小夜のための犠牲になって当然」という共通認識が生まれているような感じがして、ある意味ブラックなラストとして解釈される場合もあるんじゃないかと思います。
    もし、作者さんがそこまで狙っているとするなら、それはそれですごい作品だと思います。


    ＞「帆波さん、凄く失礼な質問をしますが正直に答えてください。貴方は殆どお見舞いに来ていませんね」
    ＞お母さんが椅子を引き、私は新音ちゃんを見送るためにエレベーターで地上階まで降りてきた。

    入院すると入院費や着替えなどの洗濯が必要なので、家族は（個人的には帆波さんだと思います）頻繁にお見舞いに来ているのではないでしょうか。
    あと、数年間寝たきりになっていた小夜が、意識が戻ったからと急に車椅子で地上階まで行けるとはとても思えません。
    まあ、本作は精神世界を描いた幻想的な作品なので、こういう現実世界の部分を指摘するのは野暮なことなのかもしれませんが。


    ＞夏真っ盛りの大地は陽炎が踊っている。

    使用したテーマは【夏】×【水】【土】とのこと。
    風と水と土は、目が見えなくなった小夜の感覚の描写で使われていたのが印象的でした。
    夏については、上記のように現実世界の情景描写で使われていましたが、やはりこの作品は精神世界が中心となっているので、全体的に夏感は薄かったと思います。

    いろいろと書いてしましたが、美影の健気さに涙が誘われる作品でした。
    今後のご活躍をお祈りしています。

    E-Mail pass
Re: 2021年08月22日 13時14分08秒
  • 感想ありがとうございます。

    電車のシーンはもう少し長く書きたかったのですが、書くのに疲れ果てて力尽きてしまいました……。
    「夢の中を走る列車」は僕の中で大きなファクターになっていて、今後もまた出るかもしれません。昔実際に見た夢がモデルになっています。

    三人の名前については、当初は深く考えていませんでした。急遽新音を登場させることになった時に、じゃあ一つの文章になるようにしようって決めました。いそうでいないですね、新音って名前。

    「百年後にまた会おう」は完全にこちらのミスです……いやセリフ自体は合っています。リアクションも想定どおりです。
    ただこれは初期構想で「美影と新音のやり取りが随所にある」前提で描いたもので、それを省いた決定稿バージョンだと意図が掴めなくなります。
    決定稿でもうっすら描写してはいますが、美影は一人で抱え込む傾向にあります。自責の念が強すぎるためです。
    途中、新音に相談するのも「よっぽどの状況なのだ」と思われるくらいの行動です。
    そして美影は隠し持った本心に立ち入ろうとされると、冗談を言って躱すクセがあります。「百年後にまた会おう」もその延長線上にあります。

    冗談を言ってしまうのは、相手に辛さを分けたくないという優しさと、それを共有することに対する恐怖心ゆえです。彼女は臆病ですから。なので新音は「最後の最後まで優しすぎるよ」という笑みを浮かべたわけです。

    ただこのシーンは「初稿のイメージ」と「初稿から省いたゆえに省略した描写」とが入り混じっており、結果として浮いてしまっています。頭の中でイメージしたものが別バージョン同士でコンフリクトしていたわけですね。
    なのでミスです。すみません！

    また、帆波のくだりは自分でも書いていて「これで本当にいいのか？」と悩んでいました。Chapter 3は本当に大変だった……。

    あ、夏×風もありましたね。ここまできたら火も入れたくなりますが、去年の「炎・癒やし・挑戦者」で散々やったし無くてもいいか……。

    美影は今日も小夜を支えています。彼女の庭が全て満ち足りるまで。そしていずれ、再び目覚める事でしょう。僕はそう信じています。

    お読みいただきありがとうございました！

    E-Mail pass
2021年08月18日 13時52分37秒
 +20点
  • 　『生命の兎は鈍色に眠る』拝読しました。

    　儚げな物語でした。
    　五感を喪う病気を患った小夜を巡る人間模様を、透明感溢れる文体で綴っていますね。
    　流麗で静謐な文章、夢と現が交わり合ったようなストーリーライン、「■」を使った演出など、全体的に幻想的な雰囲気が漂っていて、まるで長大な詩を読んでいるような感覚でした。
    　美影、小夜、新音と三者の視点から描くことで物語に立体感を与えている点にも技術を感じます。
    　物語は後半に行くほど幻想感を増すような感じで、どちらかというと文学的な作品なのかなと思いましたが、全体的に作者さんの筆力の高さが感じられる作品でした。

    　ただ印象としては、「面白い」というようも「上手い」ということの方が強い感じでした。
    　文学的な要素が強い分、エンタメとしての単純な面白みを感じにくいというか。
    　まあ、この作品にはこういった書き方の方が合っているのかなとは思いますが、個人的な好みとしては、もっと単純で分かりやすい面白さがある方が好き、といったところです。

    　執筆お疲れさまでした。

    E-Mail pass
Re: 2021年08月22日 12時30分05秒
  • 感想ありがとうございます。

    「長大な詩」というのは、僕にとって最大級の褒め言葉です。「単純な単語しか使われていないのに、奥深く容易には捉えられない文章」を目指す上では詩的という印象を与えるのはまさしく理想です。
    ■のような視覚的な表現が好きなので、本作も色々なところに視覚的な演出を入れました。企画では毎回、こういった自分だけの演出を加えるという目標があるため、次回はどうしよう……何も思いつかん。

    そうですね、エンタメ的な楽しさはないかもしれません。そういった要素を書くのが苦手です。学園モノを書けと言われても絶対書けない。
    好みのはっきり分かれる作風という覚悟はありますので、そういったご指摘もあって然るべきと思っております。

    お読みいただきありがとうございました！

    E-Mail pass
2021年08月10日 17時07分59秒
 +30点
  • どうもこんにちは。
    御作『生命の兎は鈍色に眠る』を読了いたしましたので、感想・批評を送らせていただきます。
    なお、僕の感想は基本的に激辛です。
    悪意はございませんので、必要と思われる部分を取捨なさってください。



    1.総評として
    非常に出来の良い、幻想的な物語を読ませていただきました。
    作者様の筆力の高さに、正直嫉妬を覚えてしまうくらいです。

    ただまぁ幻想的過ぎるというか、全体的にふわふわした――深夜に月にまどろむイメージが強く、好みが別れるかもしれません。
    またヒロインである小夜が常に死のイメージを抱いていることや、舞台に病院が選ばれていたり、章タイトルに『月』を用いていること、それに夢や夜や、そう言った作中にちりばめられているイメージやキーワードが物語の透明な空気感を引き立てることに役立つ一方、この企画の趣旨である『夏』の持つイメージ(生命力、力強さ、青い空に海、成長　個人のイメージです)との乖離が見られると感じました。

    ぶっちゃけこの『夏』企画に参加する必要はまったくありませんよね、これ。

    非常にレベルが高い作品である一方、お題に即していないというか……
    もちろん他作品にも別に『夏』企画じゃなくても良い作品ってあるとは思いますし、なんなら文字として夏を使っただけ、というのもあるとは思うのですが、この作品はちょっとその度合いが強いというか、作品のイメージと夏のイメージが離れすぎている気がします。
    なんなら『冬』×『眠り』企画なんかがあれば非常に近かったようにも思えます。



    2.キャラクターについて
    主人公の美影、ヒロインの小夜、そして美影の友人新音の視点で物語が構成されていますが……

    正直、キャラクターとしてブレていないのは小夜だけだったように思えます。
    もちろん彼女のもつ特殊な病気というのがこの作品最大の舞台装置である以上、彼女に与えざるを得ない行動範囲というか、表現として動かすわけにはいかない範囲が存在するのは当然で、それが彼女の属性として一本筋が通った形になっていると思います。



    一方で主人公である美影はブレまくっているような気がします。
    中学生の時小夜がなんか気に食わないという理由で、小夜にイジメを施す攻撃性。
    その一方で小夜をちょっとすっこかせてしまった、その翌日から小夜が学校に来なくなってしまって以後約三年近く懊悩を続けている気の弱さ。
    そのくせ高校最後の夏まで行動を起こすこともできない臆病さと、小夜の家を調べるために手あたり次第心当たりを調べる積極性。
    果ては自分の生活と人生を棒に振るレベルで小夜に献身と執着をみせる。

    一貫性の無さこそ人間である、というのはリアルですが、物語の登場人物としてはリアリティが無いというか、彼女の本質は一体どこにあったのだろうかと首を傾げざるをえません。




    3.視点移動について

    物語が『美影視点』『小夜視点』で描かれ、その最後は『新音視点』という構成も疑問でした。
    というのも、新音と接点が少なかった小夜はもちろん、美影自身もずっと小夜の方しか見ていないせいで、存在感が少ないというか、最後の語り手を担う割に唐突感があるんですよね。
    思わず「あっ、モブじゃなかったんだこの人」って思ってしまいました。

    まぁとにかく存在感が薄いというか、小夜と全く絡みが無いせいなんですよね。
    新音自身も小夜自体にはほとんど興味が無くて、新音が気にしているのはあくまで美影だけですからね。
    最後に物語の語り手を担うには役者不足だと思います。
    じゃあ他に誰がいるんだってなると、母親の帆波？　それはもっと無いしなぁ、と消去法で新音しかいないことになってしまうのですが。

    これは前述のように、新音と小夜の絡みが全くないことが原因です。
    新音自身が気にしているのはあくまで美影なので仕方ないのですが、作品の構造上そうも言っていられないわけで。

    もう一つ最後の新音視点について難をあげるなら、一つ一つの視点が長すぎるということ。
    美影と小夜の視点はそれぞれ、『中学時代の回想と現在の病室で二人のやりとり』を互いの視点から構築している形なのですが、これがまぁそれぞれ長いこと長いこと。
    それでお互いがお互いのことしか言及していないので、最後に新音が舞台に上がった時に唐突感が出てきちゃう。
    それだったら新音は最後まで美影の付属品に徹して、最後も美影視点で描いた方が良かったと思います。
    或いは中学の時から三人の視点変更を頻繁に繰り返し、新音もちゃんと序盤から物語の担い手に巻き込むか。

    いずれにしても新音の存在は上手く活かせていない印象があります。
    付属品というなら帆波も同じくでしょうけど。




    いずれにしても非常にレベルの高い作品であると感じます。
    雰囲気の作り方や、幻想的な物語や、寂しさの残る終わり方など参考にさせていただきたいほど。
    それだけに、放置されている粗が目立って仕方なく感じました。


    以上感想批評とさせていただきます。
    それでは。


    E-Mail pass
Re: 2021年08月22日 12時25分55秒
  • 感想ありがとうございます。

    1.「夏」へのアプローチについて。本作は出会いや交流を七月とし、小夜昏睡後を八月末としています。
    本編にて八月の描写を忘れてしまっており、そのへんぼやけてしまったのは完全なるミスです。申し訳ございません。
    個人的には夏に対し、哀愁をイメージしました。楽しい思い出が思い出として通り過ぎてゆき、美しい花々は少しずつ枯れていく。夕暮れを見て、少しずつ楽しい陽の灯りが短くなってゆくことを寂しく思う、そんな「晩夏」をイメージしていました。
    ただ風景描写がとても苦手でして、というか心理描写にしか固執できない欠点がありまして、そのへんきちんと伝えられなかったのが原因だと思います。ご指摘は最もです。

    2.美影というキャラクターについて、前半は非常に苦戦しました。彼女は自らを檻の中に閉じ込め、「神に代わって自らに鞭打つ罪人」となったため、なかなか芯の部分を見せてくれませんでした。
    これまで、キャラクターには「舞台装置」的な、作者の意思を通したキャラ作りを徹底していた為そういったブレは起こらず、キャラへの情も沸かなかったのですが、ここ数ヶ月キャラへの意識改革を行った結果、イレギュラーが連発しました。
    後半の美影こそが本来の美影なんでしょうね。僕もみんなのキャラクター像よく分からないです。
    小夜はすごく書きやすかったです。割り切った性格だからですかね？

    3.視点について。投稿時点で指摘されるのは覚悟していました。本来は描かれるはずのシーンをバッサリカットしたため、唐突感が発生してしまいました。
    出来る限り補強はしたのですが、当初の予定通り書けていればという後悔もあります。
    ちなみに帆波さんは書きながら勝手に生まれたキャラでした。個人的に嫌いな人間像を加えた面倒くさい人です。

    描写についてお褒めいただきありがとうございます。
    ゲームで言うところのグラフィックを褒められているような気分です。グラフィックには拘りたいタイプなので、画作りや内面描写を褒められるのはすごく嬉しいです。

    お読みいただきありがとうございました！

    E-Mail pass
2021年08月10日 16時20分03秒
  • こんにちは、早速感想を書かせていただきますね。

    シリアスさ全開で繰り広げられる、彼女たちの人間模様。
    どこか曇り空のように薄暗い中にも星が瞬くような雰囲気は良かったと思います。
    罪悪感にかられながらも小夜に献身した美影が、こういってはなんですが健気かわいかったです。
    ですが気になった部分がいくつかございましたので、指摘させていただきます。


    名前に意味があるというのはラスト付近でわかるのですが、小夜が美影や新音を最初から「ちゃん」付けで呼んでいたことに違和感がありました。小夜がもとから親しげな呼び方をする人物なら話は変わりますが。

    それと授業中にゴミを小夜に投げつける、机に罵詈雑言を書くなどの行為を周囲は誰も気に留めなかったのでしょうか？　行動からして、クラスメイトにはバレていそうですが……。美影たちはヤンキーっぽいので怖がられていて周りはスルーしていた、などのフォローが欲しかったです。

    私の感覚となりますが、「美影と小夜の物語」だと思っていたので新音視点がどうしても唐突に思えてしまいました。序盤からもっと新音の出番があれば良かったのになと思います。

    厳しくなってしまいましたが、以上となります。執筆お疲れ様でした。

    E-Mail pass
Re: 2021年08月22日 12時14分16秒
  • 感想ありがとうございます。
    重くなりすぎないよう気をつけたのですが、それでもやっぱりこうせざるを得ませんでした……。
    美影の健気さを感じていただけて嬉しいです！
    投稿直前まではこれの百倍彼女を追い詰める展開が含まれていたのですが、書いていて体調崩しかけたので書き直しました。

    小夜は「他人に興味がない」ところが根底にあり、それゆえ全員に対してフラットにちゃん付けしています。興味がないから過去のことから拒絶しない。そういうドライな一面をほんの少し付け加えたつもりでした。流石に描写が少なすぎたかもしれません……。

    過去のいじめシーンは解像度を著しく下げました。そういうシーンを書くことに必要性を感じなかった為です。構想時、美影が小夜に献身的になるきっかけをどうするかで随分悩みました。
    結果、一番身近で想像しやすいものを選んだ。それだけでした。

    そして今回もっとも指摘の多かった新音！
    当初は美影を失い小夜に依存し始める結末にしようとしていた新音！
    玄米茶おいしいよな新音！
    ……はい、彼女についてはもっと出番が多い予定だったのですが、諸事情によりカットしました。詳しくは燕さんへのレスにて。

    感想ありがとうございました！

    E-Mail pass
2021年08月09日 02時18分34秒
 +10点
  • 　冒頭？　序章の部分が少し分かり難いです。
    始めは目を。これは視力。続いて耳を。聴力。そして鼻を。嗅覚。さらに舌を。味覚？　舌？最後に肌を。これは触覚、だと思うのですが、書き方がまるで肌その物を失った様に書かれています。すなおに五感を書かれた方が良かったのでは？　読み進めてみて五感が書かれていました。冒頭の舌とか肌とかはやはり蛇足な気がします。

    　けれど私は考えた。この考えた内容が次にくるのが妥当だと思うのですが、事実が続くので考えた内容がない気がします。

    　視点を変えるのは小夜さんと美影さんだけで良かった気がします。三人目になった処でちょっと戸惑いました。ダブル主人公ではなかったのか、と。

    　最初に出て来たばかりの美影さんと新音さんの性格が似ている様な気がします。少し書き分けが出来ていない様な。

    　以上が私の感想です。

    E-Mail pass
Re: 2021年08月22日 12時06分42秒
  • 感想ありがとうございます。
    冒頭を詩的な表現で始めるのはクセみたいなもので、毎回ツッコミを貰っている気がします。
    「書かれている言葉は単純なのに、奥深く容易には捉えられない」文章を理想としているので、どうしてもそうなってしまうのかもしれません。
    確かにほか四つと比べて「肌」は間接的すぎたかもしれません。

    他の方の感想レスにて詳しく書きますが、新音というキャラクターは紆余曲折あって生まれたものなので、描写が不十分だったと反省しております……。

    お読みいただきありがとうございました！

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合計 10人 170点

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