ナニモナイが来るよ |
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●異端審問局長向け ノルデント癲狂院からの定期報告書 雪待月二十九日 未明に複数患者から愁訴あり。全階層での同時多発は稀であり、対応人員が不足。収束は昼過ぎとなる。 奇妙なことに、約半数の患者がそれぞれの平素の愁訴とは異なる内容を訴え、それらにある程度の共通点が見られた。 もっとも明瞭であった患者の述べた内容を参考として記す。 「ナニモナイが来るよ。ナニモナイがやってきて、何もかもが無くなってしまうよ」 同日夕刻に患者番号13-42が独居房に不在であることを発見。独居房の施錠状態は維持されており、魔術的手段の使用が疑われる。房内の遺留品として黒い絹布1枚を確認。 〇〇〇 それは私がまだ、愛が世界が救うなんて馬鹿らしいと思っていた頃のことだった。 斜め読みした癲狂院からの報告書を机上に戻し、それを渡した人物に素直な感想を述べる。 「いい度胸ですね」 もちろん、目の前の人物に対して言ったわけではない。帝国全土の異端審問官をまとめる局長に、その部下である私が言えるわけがない。 「だろう? 第13分類の脱走を定期報告書で知らされるのは俺も初めてだ。まあ、早馬を使う程度の配慮はあったがね」 怒りも焦りもなく、むしろ面白がるような口調で局長は肩をすくめる。外には鉄面皮の堅物と思われているが、異端審問官しかいない場ではむしろ気さくな上司として知られている。 「通信魔法で確認を?」 「済ませた。そこで、君の出番というわけさ」 「でしょうね」 囚人番号13-28、ヴラドレナを審問したのは、8年前の私だ。全異端審問官の中で私が一番彼女のことを知っている以上、その再対処が私の仕事になるのはごく当然と言える。 「それだけじゃないのさ」 私の思考を読んだように局長の指が報告書を示す。 「その報告書のナニモナイとやらに言及した患者が“左利き”ロジオンをご指名だそうだ」 帝都から見るとかなりの北方になるノルデントは、私の故郷に近く、だからこそ任務で訪れることは少ない。 「……私が過去に関係した患者ですか」 「いや。記録によると異端審問を受けたわけじゃない。3年半ほど前にノルデント郊外の村で発見された男でね。近隣の村の者ではないし、酷く怯えた様子で言うことも要領を得ないので癲狂院送りになったということだ」 接点がないはずの人間からの指名というのは妙な話だ。しかし、名前だけならともかくあだ名も込みとなると偶然に一致するものではない。 「まあ、13-28を追うついでに会っておきたまえ。メインはあくまで脱走した第13分類の再対処。その報告書は写しだから持って行って構わない」 「承知しました。ノルデント癲狂院にて状況確認後、13-28の対処を行います」 報告書を拾い上げ、局長室を辞す。 対処、とは便利な言葉だ。帝都大神殿という神聖な場に、生死問わず捕縛という物騒な言葉は似合わない。 〇〇〇 帝都からノルデントまでは、徒歩であればおよそ7日かかる。ただし、全行程を徒歩で行く者はまずいない。商都イリイチまでは乗合馬車が毎日複数便ある。速くはないが安くて疲れない。問題はイリイチから先で、北方行きとなると三日に一便しかない。 1日違いで乗合馬車を逃した私は、徒歩で先に進むことにした。物資を運ぶ隊商に頼むこともできたが、宿場街ごとに商売をする彼らを乗り継いで行くのは意外と手間がかかることを経験的に知っているからだ。 私がそれを聞いたのは、ノルデントまで後1日半程度のところだった。 「何なのよぅ。あっち行ってー」 若い女性の声であった。 大都市から離れた主街道沿いは、おおむね安全だが時折モンスターに出くわす。特に、冬は山から大狼の群れが下りてくることもある。「おおむね安全」の方を信じた素人が痛い目を見やすい時期だ。 だからと言って放っておいていいわけではない。非武装の素人というのは、野犬にだって殺されうる生き物だ。 少し走ると、立木を背にした少女が見えた。杖を構えて三頭の狼と向き合っているが、腰は引けている。眼鏡の向こうの灰青の瞳は、今にも泣きだしてしまいそうだ。 「音の塊」 足を止めずに、省略した呪文を唱えて術を飛ばす。まずはこちらに注意を引き付け、少女の安全を確保する必要がある。 不可視の術が一番手前の狼のすぐ後ろに落ち、爆音を響かせる。 「ひっ!」 「狼を見ろ!」 真っ先に身をすくませた少女を叱咤する。狼たちはゆっくりと頭を巡らせて私を見た。 見た、のだろうか? いや、見えはすまい。狼たちの目があるべき場所には、真紅の花が咲いているのだから。 初めて見る不気味な光景に戸惑いはあるが、注意を引くこと自体は成功した。左手で剣を抜き、半身に構える。 一言も吠えずに近寄ってきた一頭目の鼻先に刃をチラつかせ、右手は術の印を組む。 「裁きの剣よ」 狙うはまだ少女の近くにいる三頭目。虚空に現れた光る剣が狼の背を貫き、大地に縫い留める。 間合いを詰めてきた二頭目の牙を剣で打ち払うと、嫌な音を立てて牙がはじけ飛んだ。どうも酷く脆くなっているらしい。 牙の無くなったまま、二頭目は再度噛みつくために口を大きく開く。上あごから、無数の白い糸のようなものが生えているのが見えた。 根だ、とわかってしまった。目に咲いている花の根が、狼の頭を内部から侵食している。だからこんなに脆いのだと。 私は生理的嫌悪感を剣先に乗せて狼の頭蓋を貫いた。眼窩に咲いた赤い花びらが、血の代わりのように舞い散る。 「何なんですか、それぇ!?」 私も聞きたい。動き出して人を攻撃する植物も見たことはあるが、狼の頭に根を張るようなのは初めてだ。 右手でポーチから小瓶を取り出す。 「炎の浄化を」 燃えるオイルがコルク栓を焼き飛ばし、一頭目の狼の頭を焼いた。魔除けとして入れられた光草の香りが漂う。 まだ光の剣に貫かれたままの三頭目が、香りから逃げるように身をよじる。吠えも鳴きもしないので剣の傷が広がる生々しい音だけが耳に触る。それを止めさせるため、私は聖油をもう一瓶取り出した。 〇〇〇 へたり込んでいた少女がようやく立ち上がれたのは、狼の体をおおむね焼き終わったころだった。 ずり落ちかけていた眼鏡を直し、私に向かってぺこりと頭を下げる。 「あの、ありがとうございます」 「気にすることはありません。それより、本当に怪我はありませんね?」 神官口調で少女に問う。この花がどうやって増えるかは分からないが、傷からの感染というのはよくあるパターンだ。 「帝都の大神殿にて務めております、ロジオンと申します」 「えと、あたしは、その、ベスです。旅のうら、あ、その……」 「占い師、で大丈夫ですよ」 神殿と占い師の仲は良くない、と思われている。かつて、帝都において異端の邪神を崇める者たちが占い師として庶民を勧誘していたことが影響している。異端教団の跳梁跋扈を公表することもできず、かといって放置もできない。そのため神殿はすべての占い師にいったん異端の嫌疑をかけて拘束し、取り調べた。 教団は壊滅させたので、神殿としてはもはや占い師たちのことを何とも思っていないのだが、占い師側には8年過ぎた今でも、いつ再拘束されるかと怯えている者もいる。 「ロジオンさんも、ノルデント行きですよね」 「ええ。よろしければエスコートしますよ」 「お願いします。主街道沿いならモンスターも出ないって聞いてたんですけど」 わざわざお荷物を増やすのも面倒ではあるが、同じ方向に向かう以上知らんぷりもできない。 幸い、少し並んで歩いた感じではそれほど足は遅くはない。有り難いが、いささか妙な話であった。ベスの身長は私より頭一つ低い。年のころは15,6か。立ち居振る舞いはきれいで、そこそこ以上の良い育ちであることがうかがえる。主街道沿いの安全事情も聞きかじりで、旅慣れていないことは明白。それが大人の男、しかも従軍訓練も受けている異端審問官と近い速度で歩けている。 「ベスは帝都生まれでしょう。なぜノルデントに?」 「星を見たんです」 「あたし、星占いがメインなんで毎晩夜空を見るようにしてるんです。数日前、北の空に赤い星が見えたんですよ。冬菱の右下の星のちょっと上ぐらい。ロジオンさんは見ませんでした?」 私の星に関する知識は、冬菱というのが菱形に並んだ4つの明るい星を指すとかろうじて知っている程度だ。 「あまり夜空を気に留めてはいませんので。珍しい星なんですか?」 「珍しいというか、そんなところにそんな星は無いはずなんですよね。しかも、すぐ消えちゃったから、師匠も見てないんですよ」 しゃべりながらでも速度は落ちない。行軍訓練を受けているのは間違いない。占い師に似合う技術ではないが。 「消えたというと流れ星ですか」 「流れ星だと動くじゃないですか。それはなかったんですよ。暗くて赤い星がふっと現れて、その場で三呼吸ほど明滅したあと消えてそれっきり」 確かに奇妙な星である。大神殿には星占いを研究している神官もいるので、そちらに報告しておくべきだろう。 「それで、師匠に占ってもらったら、ノルデントに行けと出たので。ロジオンさんはどうしてノルデントに?」 「神殿の仕事ですよ」 嘘ではない。異端審問局もノルデント癲狂院も、神殿組織の一部だ。もちろん、一般に『神殿の仕事』といって思い浮かぶようなことをしに行くわけではないのだが、長くてもノルデントに着くまでの同行者に詳しく説明する必要もない。 この時はそう思っていた。 〇〇〇 ノルデントに着いてすぐに予想を裏切られることになった。衛兵に通行証を見せて門をくぐったところでベスに挨拶をして別れるつもりだったのだが、野太い声に機先を制されたのだ。 「“左利き”ロジオン殿ですな」 神官衣を着ていなければ、荒くれ者と表現したであろう体格のいい男だった。癲狂院の職員に違いない。しばしば暴れる狂人たちを取り押さえるため、癲狂院には腕力のある職員が配置される傾向がある。 「そうです。わざわざお迎えに来てくださるとは」 「理由がありましてな。お連れの方も一緒に来ていただきたいのです」 「お連れって、あたしですか?」 意外そうに自身を指さすベス。深くうなずく神官。 説明を求めるような眼をベスが向けてくるが、私にもまるで理由が分からない。 「どなたの意思です?」 「3-604、ロジオン殿を指名した患者です」 「ずいぶんと、柔軟な対応をするのですね」 若干の皮肉を込めて、そう論評する。 癲狂院の職員が、患者に言われて動いているというのはあまり宜しくない。それに、部外者であるベスの前で私のあだ名を呼んだり患者を番号で呼んだりするのもだ。 しかし、神官は皮肉は無視して答えた。 「あの日以降、3-604は予言者でしてな。上層階の患者の脱走やら、院長の親の病やら」 「偶然では? 以前そういう事例があった」 狂人の中には、しばしば未来の予測を口にする者がいる。もちろん、彼らの妄想の産物に過ぎないのだが、あてずっぽうも乱発すれば正解が紛れ込むこともある。 それがたまたま2,3度続き、職員の中に狂人を崇める一団ができてしまった、というのは各地の癲狂院の職員が必ず研修で習うことだ。 「かもしれません。しかし、今日昼過ぎにロジオン殿が二人連れで到着することも言い当てました」 私が今日ノルデントに到着すること自体は、予想できる範囲のことだ。帝都とノルデントの位置関係や交通事情を知っていれば、予言者でなくとも一日程度の誤差で言い当てられるだろう。 しかし、ベスと一緒にというのは予想できることではない。 「渋るようであれば、こう伝えるよう言われております」 神官はポケットから出した羊皮紙をゴソゴソと広げ、書かれた内容を読み上げた。 「ベスと一緒でなければ、ヴィーナのことは話さない」 本当に、ダメ押しの一言だ。 私はベスに向き直り、頭を下げた。 「ベス、申し訳ありませんが、一緒についてきてもらえませんか」 「いいですよ。特に行く当てがあったわけでもないですし、ただ、ちゃんと説明してください。あたしも無関係じゃないみたいですから」 ベスの顔色も明らかに悪い。それはそうだろう。同行者に巻き込まれて訳もわからない会話を聞かされ、挙句の果てに知らないはず人間からいきなり名前を呼ばれたのだ。 「着いてからにしましょう。歩きながらするような話ではない」 ノルデントの北風が、コートを貫いて私の背筋を撫でる。 ヴィーナ、彼女のことをそう呼ぶ人間など、もはや私しか残っていないはずなのに。 〇〇〇 帝国北部では一般的な、温水暖房のおかげだろう。部屋の中の温度は決して低くはなかった。しかし、部屋の中の印象は寒々としていた。 くすんだ白に統一された室内は、清潔感はあっても生活感はない。扉と窓にはめられた鉄格子を無視してなお非人間的な、しかし癲狂院の標準個室であった。 その個室の主もまた白かった。前合わせのローブが白いのは当然として、髪も真っ白であり、わずかに見える肌にも血の気がない。 白いベッドに腰を掛け、入ってきたこちらにも顔を向けずただうなだれている様を見れば、凍死体だと紹介されても違和感はない。 「3-604だったか。名前は?」 「不明です。収容以降、聞き出せた個人情報はありません。記録によれば、発見時から同じです」 癲狂院付きの医師が記録をめくりながら答える。ベスは医師の後ろに立ち、少しつま先立ちをしていた。記録を覗き見ようとしているらしい。 「発見時点では怯えて訳の分からないことを話していたとのことですが、収容以降はほとんど何もしゃべっていませんでした。ただ、あの晩以降は」 『ナニモナイが来るよ』 奇妙に反響する声が医師の説明に割り込む。 『ナニモナイはじっと見ている。鍵が準備された時から』 いつの間にか、3-604は顔をあげていた。私の方を向いてはいるが、虚ろな灰色の目は焦点を結んでいない。 『鍵穴はもう開いた』 『天に星がそろい』 『地に花が咲くとき』 『ナニモナイが来るよ』 『鍵の魔女が呼ぶから』 「鍵の魔女とはヴラドレナのことか」 疑問というよりは、独り言のつもりであった。しかし、意外なことに答えが返ってきた。 「そうだよ、ロジオン。ヴィーナのことさ」 3-604の声から反響が消える。意志を得た瞳は、銀とも呼ぶべき輝きを備えていた。今なら対話が成り立つかもしれない。 「鍵穴とはなんだ」 「もう開いている。見ればわかる。でも見るな。ナニモナイがこちらを見ている」 次の問いを、と思った所に3-604が言葉を重ねる。 「ナニモナイはナニモナイだ。何もかもを無くすために来る」 ナニモナイとはなんだ、と問う前に答えを押し付けられる。 「鍵穴は開いてしまった。星がそろうのは止められない。花を追いなさい。魔女もそこにいる。そしてお前は」 3-604はベスに視線を移す。しかし、その瞳は揺れ、声に再び奇妙な反響が混じり始めていた。 『全てを見て、覚えておけ。ナニモナイが来てしまった時のために。振り向かない女神の前に立てるのはお前だけだ、エリザベート・バルテオア・ステラ・デル・ダジョニア!』 長い名前を叫び終え、3-604はまたうなだれた。 〇〇〇 第四階層の病室は、3-604の病室と違い本当に寒かった。 この階層の唯一の患者が脱走済みのため、暖房を落としているのだろう。 「ずいぶん、雰囲気が違いますね」 ベスの感想は正しい。低階層の病室は、人間を収容するために作られている。しかし、第13分類を人間扱いするとしたら、そうすることで彼らの危険性が――世界破滅につながる危険性が少しでも確率を下げられるときだけだ。 「ここはまだ、まともな方だ。いや、まともな方だったというべきか」 私は壁に黒々と浮き出た文字を指でなぞった。炭化した壁紙が指先を黒く汚す。 もとは外部と内部の干渉を断つための結界を形成していた神聖文字だ。それを壁紙を張って隠していただけでも、ノルデント癲狂院は収容対象に配慮していたと言える。今は文字ごと焼ききられてしまっているが。 「ヴィーナ、ヴラドレナさんでしたっけ。どういう関係なんです?」 「話すのは構いませんが、先にそちらのお話を伺いたいですね、レディ・エリザベート」 3-604が呼んだデル・ダジョニアとは帝国で三指に入る大貴族の家名だ。狂える銀目の魔術師を打倒した伝説の英雄を祖とし、帝都地下迷宮を領地とする迷宮伯。 「今の迷宮伯には三人の息女が居て、長女と次女はすでに迷宮探索者として業績を上げている。しかし、三女がまだパーティーを組もうとしないのが悩みの種だと聞いています」 「その通り。星占いが大好きな三女は、星の見えない地下迷宮に潜るなんてまっぴらごめんなんです」 クスクス笑って、ベスは眼鏡をはずす。薄青いレンズの向こうの瞳は鮮やかな銀をしていた。初代の妻から伝わるというデル・ダジョニアの銀目は有名だ。 「お願い。お父様に連絡するのは少し待って。この件を最後まで見届けたら、自分の足で家に帰るから」 まっすぐに私を見つめる目が、3-604のものによく似ていることに気づく。彼女自身も気づいていないはずはない。 「本来なら、神殿の大パトロンである迷宮伯様の意向を優先するんですけどね」 ため息をついて、局長から小言をもらう覚悟を固める。小言程度で済むはずだ。今回の件を無事終わらせれば。 「しかし、直接捜索の依頼を受けたわけでもない。任務の途中で行き会った見習い占い師の正体が家出中の貴族令嬢だなんて、間抜けな私は思いもつかなかったとしておきましょう」 「ありがとう、ございます」 「その代わり、命を助けた分だけこき使われてもらおう。助手としてね」 信者向けの神官口調を止め、同僚相手の砕けた話し方に変える。 「はい。で、ヴラドレナさんの事ですけど」 「ヴィーナと私は近所で育った幼馴染だ。ここからだと南東に3日ぐらいの街でね。彼女の方が3歳ほど上で、姉弟のように育てられた」 「恋人だった?」 恋の話に目を輝かせるのは貴族令嬢でも同じか、と苦笑しながら正直に答える。 「いいや、そんなところまで進んではいなかったさ」 私が彼女の背を追い抜かしても、街で最優秀の神官見習いとして帝都に招聘されたときにも、彼女は私をロージーと女の子のような愛称で呼び、私がそれに抗議して笑いあうような、その程度の仲だった。 そのまま若き日の思い出の一ページとして終わることもできたかもしれない。私がヴィーナの母の信仰の歪みに気づかなければ。 「ヴィーナは普通の田舎娘だった。しかし、母親がね」 その母親の顔もろくに思い出せないことに気づく。長年隣人をしてもごく薄い印象しか残さない、そういう人だったのだ。だから、誰も彼女を異端だなどとは思わなかった。 「異端信仰の種類は、六神への信仰より細かく分かれているが、ある程度の分類はできる。その中でも最悪の分類が、虚無信仰だ」 この世界が存在すること自体が間違いで、消し去ってしまうのが正しいのだとする虚無信仰。対話も取引も成り立たず、正体をさらせば互いに殺しあうしかない絶対的な世界の敵。 「でも、世界を消し去るなんて」 「表向きはただの誇大妄想ということになっている。事実、ほとんどがそうだ。しかし、極々稀に実現に近づいてしまうものが出るのさ。ヴィーナの母は、その一人だった」 その中でも、最も厄介な一人だったと言える。二十年近くにわたって、ごく一般的な母子として振る舞い、誰にも悟らせないまま胸の内に狂気を抱え続けた。 「娘を生贄にして世界の外側にある虚無を内側に呼び込もうとしていた。私はヴィーナの母を殺し、ヴィーナを救ったつもりだった」 ヴィーナの形をしたそれが私をロジオンと呼ばなければ、あるいは私が異端審問官の見習いとして家族すら疑うよう教育されていなければ、すべてはヴィーナの母のたくらみ通りになっていたかもしれない。 「ヴィーナの肉体は世界破滅の鍵となり、魂はすでに虚無に喰われていた。中身が空っぽの鍵を、ゴーストとなった母親が操っていたのさ」 ベスの顔が歪む。怒り、悲しみ、そして何より倫理的な嫌悪感。 「ギリギリのところでそれに気づき、ゴーストごと捕まえてこの部屋に封じたのが8年前。私の異端審問官としての最初の仕事だ」 私は室内唯一の家具であるベッドに腰掛ける。 魂を喰らわれ、とりついたゴーストさえもほぼ封印されていたヴィーナの肉体は一日のほとんどをこの寝台に寝て過ごしていた。私と彼女が老いさらばえるまでそれが続き、残ったゴーストを浄化する。それで全てが平穏に終わる、そのはずだったのだが。 「利き腕は右なのに、“左利き”なんて呼ばれてるのも関係ありですか?」 「そうだな。この戦法に切り替えたのも……ん?」 ふと視線を上にやったところで、天井に夜があるのが見えた。 「あら、夜空絹?」 ベスの言葉を受けて、私はやっとそれが本物の夜空ではなく、布が貼られているのだと気づく。濃紺の地に白い点が散っており、夜空のように見えるのだ。 「ノルデントよりもっと北の、冬には一日中夜が明けなくなる辺りの特産品です。特別な薬液につけ、丸一日夜にさらしておくことで、絹が夜を写し取るのだとか」 ベッドの上に立ち、夜空絹をはがしとる。これまで剥がれなかったのが不思議なほどに、それはあっさり私の手に収まった。 「かなりの高級品ですよ。穴が開いてるけど、うまくトリミングしてやれば……ああ、でも冬菱が切れてしまうのは惜し、い」 私の指が穴を裏から撫でたところでベスの解説が不自然に止まる。穴は円だけではなく、そこから少し細くなって下に伸びている。 まるで、鍵穴のように。 「ベス、君が星を見たのはここか」 ベスが頷くのを見ながら、私は3-604の予言を思い出していた。 鍵穴はもう開いている。私たちは花を追わなければならない。 私は夜空絹を折りたたみ、ポケットにしまった。 〇〇〇 「2年前だと思ったんだけどなぁ、もしかしたら3年前だったかな」 少年と青年の中間ぐらいの年頃の魔術師は、ブツブツと呟きながら開いていたノートを閉じ、別のノートを開く。 花の情報を得ようと魔術師ギルドを訪れたのだが、ノルデントに駐在しているのは彼一人だけらしい。しかし、元々動植物が好きで、しばしば周辺の観察旅行をしているとの事で期待はできる。 「……ところで、ボクの顔に何かついてますか?」 ページをめくりながらの疑問に、私とベスは二人で顔を見合わせる。視線で押し付けあった挙句、結局疑問を口にしたのは、ベスの方だった。 「えーと、その、ネネコスさんはこのあたりにご家族とか居るんですか」 「いえ、ボクは西方のウトサの出身です。家族はみんな故郷で農業してますよ」 「そうなんですね。この町でちょっと似た人を見たので」 その人を見たのが、癲狂院の病室だったことは言わない方が良いだろう。ネネコスの顔は、ベスが見てもわかる程度には3-604に似ていた。3-604の方が若干やつれて老けて見えるが、同じ人物の疲れた時だと言われても受け入れられる程度の差だ。 「ああ、2年半前ですね。ノルデントは夏でも涼しいから、どうも季節感を見失いがちで」 言い訳と一緒に差し出されたノートのページには、斑点を持つ六弁花がスケッチされていた。彩色されていないことをのぞけば、確かに私が持ってきた花によく似ている。 「ノルデントから……直線距離なら北西に2日ぐらいかな? その時は西の方からぐるっと回っていったんですけど。きれいに円を描くように咲いてたのが印象的だったんで覚えていたんですよ。フェアリーリングっぽいなぁと。フェアリーリングは分かります? キノコが環状に生えるのをそう呼ぶんです。ただ、この花のは円の内側もびっしりこの花だけで埋め尽くされてるのが相違点ですね。しかし、他のところではさっぱり見たことがなかったんですよね。いったいどこで手に入れられたんです?」 早口でまくしたてられた情報に圧倒され、最後に質問が入っていたことをかろうじて認識する。 「イリイチとノルデントを結ぶ主街道沿いですよ」 「へぇ、そんなところにも群生地が」 「いえ、群生地ではありません。目からこの花を生やした狼にこの娘が襲われていたんです」 事実をそのまま告げただけだが、ネネコスは一瞬完全に沈黙した。目をこすり、ぬるくなった茶を飲み下してからやっと口を開く。 「ええと、もう一度お願いできますか」 「目からこの花を生やした狼にこの娘が襲われていたんです。私がそれを退治し、サンプルとして一輪だけ回収したんです。残りは狼の身体ごと焼却しました」 ネネコスは机をたたいて立ち上がり、長広舌を再開する。 「大っ問題じゃないですか! 記録ゼロの植物系モンスターの新種!? しかも動物に寄生? 生きてるときに寄生するのか死んでからなのか。人間を襲うということは人間にも寄生を?」 「類似の報告は入っていない、ということでいいんですね」 「ありません。もしあってここで暢気に茶をすすってたらボクは首ですよ」 住民に害をなすモンスターの情報を集め、適宜領主らに報告するのは神殿や魔術師ギルドの職務のうちだ。つまり、この件にギルドは協力する義務がある。 「その、北西の群生地周辺に村落は?」 「歩いて1日の範囲には無いですね。猟師たちもあまり行きたがらないあたりなんで、報告がないのもそのせいかも」 「では、すぐに大量の被害が発生する可能性は低いでしょう。領主には書面で知らせておいて、我々はすぐに調査に向かいましょう。ベス」 ネネコスの長セリフに圧倒されていたらしく、ベスの返答は1テンポ遅れた。 「え、うん、何?」 「領主への書面は君に任せる。ネネコスさんは調査に行く準備を」 素直に頷いたところを見ると意図は理解してくれたらしい。領主とはつまり貴族であり、貴族でない一神官からよりも大貴族の息女からの連絡の方が重要視してくれるはずだ。 〇〇〇 「見るな、と言われても好奇心が抑えきれないか?」 一日の旅路を終え、野営の準備をしているところで、私はベスの視線が夜空に向いていることに気づいた。 「あー、そっちは見てないです。私が見てたのはロジオンさんの運勢ですよ」 星占い師の見習いは、こんな時にも練習を欠かさないようだ。さっき誕生日を聞かれたのはこのためか。 「かなりいい感じですよ。特に、探し人との再会が強く出てますから、ヴィーナさんにもきっとすぐ会えますよ」 ベスとしては私を元気づけようと思ったのだろう。 だが、私は素直に喜ぶことはできなかった。 「ロジオンさん?」 「ヴィーナはいない」 世界破滅の鍵、向こう側の虚無を呼び込む扉を開けるには、人間一人分の魂がいる。ヴィーナの魂は、8年前に母親の儀式で使われてしまった。 「この世に残っているのは、抜け殻とそれにとりついたゴーストだけさ」 「そうなんですか……でも」 「うわぁ! ロジオンさん、来てください!」 ネネコスの叫びを聞き、私たちは問答を止めてそちらに向かう。 そこにいたのは熊だった。人間よりも二回り大きい。 狼の時と違うのは、目だけではなく顔から背中にかけてびっしりと花が咲いていること。そして、ネネコスを襲うそぶりは見せず、ただ歩いていることだった。 「どこかに行こうとしている?」 「方角的には群生地の方と一致してますね」 私たちは野営を放棄し、花熊を追うことにした。幸い、花熊の歩く速度は速くはない。水を飲み、乾パンをかじりながらでもついていける程度だった。 月がいくばくか傾いたころ、私たちは森の中のいささか開けた場所にたどり着いた。赤い花はその広場の中央に円を描いている。 「2年半前よりも円がすごく大きくなってますね。あの時はまだ直径が人間一人分だったんですけど、今は五人分ぐらいはある」 花熊は花の円の端まで来ると五体投地する。すると見る間に熊の身体が萎んでいき、後には地面に咲いた花だけが残った。 「なるほど、こうやって広がっていくわけか。減少ペースは分からないけど、増加ペースで計算すれば寄生対象となった動物量の見積もりぐらいは」 興奮してまくしたてるネネコスの声を遮るものがあった。 「ずいぶんと小うるさいのを連れてきたね、ロジオン」 ヴィーナの声で、ヴィーナの温かさを持たない、それは魔女の声だった。 〇〇〇 「ヴラドレナさん、ですか」 「違うよ、お嬢ちゃん。ヴラドレナはもういない。ただ鍵となった肉体だけが残っている」 ザクザクと花を踏み荒らしながら、異端の魔女は花の円の中心に立った。 「天に星がそろい、地には十分な花がある 鍵穴は既にある、後は開けるだけさ」 魔女の左手が、天をまっすぐに指す。 見えてしまった。冬菱の隅に開けられた、夜の闇よりもなお暗い穴 「いる、いる、いる、いる、そこにいる。そこにいない。いないけどいるけどいなくていない」 ネネコスは直視してしまったらしい。穴の奥の虚無、“ナニモナイ”、世界を滅ぼしに来るもの。 「鍵を開けるには、人間一つ分魂がいる。そのための封印だった。あんたはもう削れて、一人分じゃない」 魔女をとらえた後、その残した魔術書を読んでの 「そのための花だよ。封印で弱ったゴーストでも、獣の魂を足し合わせれば何とか一人分にはなるさ」 魔女の言葉にこたえるように、風もないのに花がざわめく。 「ロジオン。誰かが来るならまたお前だと思っていたよ。でも、間に合ったようで間に合っていないところも前と同じだ」 勝利宣言のような、呪いのような、そんな言葉を最後に魔女はがっくりとうなだれた。 花が魔女の身体を這い上り、魔女の左手に集まる。 天に向かって長い棒が伸びてゆく。そして、枝分かれしたいくつかの突起。 確かにそれが鍵の形をし始めたところで、空が歪む。 冬菱を巻き込み、鍵穴が夜空をひん曲げ、鍵の先端を目指して近づいてくる 大地も変形しているのかもしれない。揺れてまともに立っていられない。 鍵穴と鍵の先端が接したところで、穴から何かがあふれ出した。 ほとんど透明で、うっすらと明るいそれは、粘度を持った液体の挙動で鍵を伝う。 赤い花びらは粘液に溶け、赤みを残した銅色の鍵が残る。 粘液は鍵を伝う分だけではなく、飛沫のように周囲に飛び散る。 まだ呆けたままだったネネコスがあっさり粘液塊に取り込まれる。ネネコスをとらえて満足したのか、粘液塊はするすると鍵穴に戻っていく。 「ネネコスさ、あっ」 次の粘液塊に取り込まれたのはベスだった。 とっさに左手の剣で切りつけるが、それで粘液塊が切れるわけがない。そのまま張り付き、持って行かれる。 「ロジオン、ヴィーナさんは居ます。あたしの占いを信じてください」 粘液塊に取り込まれ、徐々に色彩を失いながら、ベスは死への悲嘆ではなく、未来のための言葉を紡ぐ。 「開けたなら、閉じなければならない。閉じなかったということは、開いてないんです」 最後に、半透明のベスの形をした揺らぎだけが残る。 そうなってなお、ベスは口を動かし、音にならない声で意思を伝えた。 (夜空絹を) 粘液塊が空の穴に引き上げられていくのを見送って、私はポケットに手を入れた。折りたたんだ夜空絹を取り出す。 しかし、何をどうしていいかわからない。ただ、衝動のままに叫んだ。 「ヴィーナ! ヴィーナ! ヴィーナ!」 「ロージー! 広げて! 穴のところを持つの!」 懐かしい叱咤に反射的に従う。三つ年上の彼女は一緒に遊んでいるときもしばしばお姉さんっぽく私を叱咤していたものだ。 「似ているものは同じものである。同じものは同じところになければならない」 夜空絹に引きずられるように、私は穴に向かって飛んでいく。いや、穴が私に向かって動いているのか? 歪む世界は距離という意味を無くしかけている。 それでも私はタイミングを計り、夜空絹を捨てて右手でヴィーナの左腕を、今や銅色の鍵と化したところを掴む。ヴィーナはまだ人の形を保つ右手で抱きついてきた。 「ロージー!」 「その呼び方は止めてくれと言っただろう」 ヴィーナはクスリと笑い、私の肩に口づけをした。残念ながら、体勢的に頬にすら届かない。 「説明してる状況じゃないから、細かいことは抜き。鍵はもう半分向こう側にある。こっち側からじゃ閉じられない」 こちらを見据える目は、母親がとりついていた時とは違う温かな意思を感じる、 「だから、向こう側から閉じる。鍵は使い手の選んだようにしか回れない。あたしが向こうに飲み込まれたら、ロジオンが鍵を閉めてすぐ手を放して」 「それで? ヴィーナはどうなる」 指先が鍵穴を超える。空気とは違うねっとりとしたものが絡みつくのを感じても、私はヴィーナを放そうとはしなかった。 肘まで飲み込まれてもヴィーナの答えがないので、私は彼女の提案を拒絶した。 「いやだ。鍵は閉める。でも」 君を放さない。剣を左に握り、右手を開けていたのは、今度こそ大事なものを放さないためなのだから。 〇〇〇 「それで、目覚めたときにはそうなっていたと」 「そういうことです」 私は局長に右腕を振って見せる。中身の無い袖が、意味もなく局長室の冷えた空気をかき回す。 「切断された、というわけではないんだね?」 「はい。感触があります。天蓋の向こうで、私の右手は今もヴラドレナを掴んでいます」 鍵と化した腕の硬く滑らかな感触を、私の腕を抱く柔らかな温かさを、その奥にある心臓の鼓動を、確かに感じている。 「最悪よりは一つマシな結果だ。鍵を使ってただ締めただけなら、やがてそれは鍵を見つけ出し、開けただろう。我々はそれに何の干渉もできない。しかし今、君はカギを握っている。 よくやった。他の誰でも、君ほどうまくはやれなかっただろう」 さえない顔で最大の賛辞をひねり出す局長に、私は軽く頭を下げた。 「しばらくは帝都から離れるような任務からは外す。右腕が使えなくて、生活上の不自由は無いか?」 「問題ありません。左手も鍛えていますので」 「よろしい、“左利き”。ご息女の件は私から迷宮伯に連絡しておく。君はしばらく寮で静養しろ」 「承知しました」 局長室を辞し、与えられた私室に向かってゆっくりと歩を進める。 私はもう、愛が世界が救うなんて馬鹿らしいとは思っていない。 局長には告げなかったことが一つある。私の右手は、確かにヴィーナをつかみ、彼女に抱きしめられている。しかし、それを丸ごとあの半透明のうすら寒い粘液が包み込んでいるのも感じられるのだ。そしてそれは、じわじわと私の身体と精神の熱量を奪っていく。 その怖気のする感触はこの世界のだれにも共感してもらえないだろう。 この右腕を丸ごと切り落としてしまいたいという誘惑に耐えるのは難しい。 せめて、愛でもなければ。 〇〇〇 ●異端審問局長向け ノルデント癲狂院からの緊急報告書 大寒月八日 深夜に先月末同様の複数患者からの一斉愁訴あり。もはや明確な言葉を発せる者はおらず、その叫びの唱和は夜を裂くほどと思われり。職員にすら、不調と悪寒を訴える者あり。 しかし、一刻と経たぬうちに唐突に収束。愁訴していた全員が糸の切れたように倒れ伏し、翌朝まで目覚めず。 目覚めた幾人かの患者に問うてみたが、愁訴中の記憶は無し。ただし、1名のみ明瞭な言葉で状況を説明したため、その内容を参考として記す。 「ナニモナイは来ないよ。呼んでいた魔女が来てしまったから。 でも、鍵はもう彼の手の中。 天に星なく地に花咲かずとも、ナニモナイは来るよ。 人の愛の果てたときに」 |
ワルプルギス JL2b9/UVEM 2020年12月27日 20時06分44秒 公開 ■この作品の著作権は ワルプルギス JL2b9/UVEM さんにあります。無断転載は禁止です。 |
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Re: | 2021年01月24日 00時35分05秒 | |||
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Re: | 2021年01月23日 23時45分25秒 | |||
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Re: | 2021年01月20日 23時07分42秒 | |||
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Re: | 2021年01月19日 23時32分28秒 | |||
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Re: | 2021年01月18日 23時38分56秒 | |||
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Re: | 2021年01月18日 22時45分14秒 | |||
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Re: | 2021年01月17日 23時15分43秒 | |||
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Re: | 2021年01月17日 22時28分12秒 | |||
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Re: | 2021年01月17日 19時06分48秒 | |||
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Re: | 2021年01月16日 21時29分01秒 | |||
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Re: | 2021年01月16日 21時25分34秒 | |||
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Re: | 2021年01月16日 20時58分59秒 | |||
合計 | 12人 | 230点 |
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