派遣社員、絶頂す。

Rev.01 枚数: 20 枚( 7,872 文字)

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 グロ、下ネタ、便器舐め等あります。ご注意下さいませ。

 やっちまった、やっちまった。
 俺はやっちまった。
 荒い息をつき、頭はクラクラしている。今になって、自分がやったことが……「もしかしてヤバいんじゃないか」……そんな風に思えてくる。
 いや、そんなはずない。こんなのが、恐ろしいことであるはずはない。
 そう、多分、気のせいだ。
 ちょっとネットに殺害予告を書き込んだだけだ。

 〇

 数日ほどして、俺は逮捕された。
 まさか、逮捕されてしまうとは。
 やはり殺害予告というのは、よく言われる通り、やると逮捕されてしまうものであるらしい。実際に人を殺したわけでもないというのに、奇妙なものである。
「やって悪いことなら、それを予告するのも、そりゃあ、悪いことだろう」
 それは警察官がしてくれた説明で、かなり腑に落ちた。
 しかし、言葉遣いには気をつけて欲しいところだった。特に、警察官は、社会の規範となる立場なのだから。二十代前半ぐらいなら、俺の方が倍近く年上なのだ。
 後日、母親が俺を自由にするために、いくらかのお金を支払った。拘置の間は、多少の退屈こそ感じはしたものの、基本的には家にいる時とさして変わらなかった。

 〇

 ある晴れた日の午後。
 俺はいつもと同じように、自宅で特に理由もなくズボンに手を突っ込みながらネットを閲覧していた。
 俺は、日本が世界に誇る巨大ネット掲示板を大きくするという使命をもって日々を過ごしている。この度は、大きなスレを作るため、己の身を犠牲にし、話題を生む殺害予告を行った。
 これは、スレ住民の思いがけぬ非協力的態度のために、思ったような成果を得なかった。
 逮捕までされた俺をよそにスレは閑散としていて、その様子を見るうちにだんだんと腹が立ってきたので、俺は女子中学生のスク水の隙間から乳首が出ていると詐称したグロ画像をそこに掲載した。いくつかの嫌悪の書き込みが現れ、溜飲が下がる。
 それにしても、スク水の隙間とは、一体何なのか。
 そんなわけのわからない言葉に騙されるようでは、世の中、馬鹿ばかりだと言える。
 呆れるのを通り越して悲しくなった。
 そうして、スレに興味を失った俺は、ブラウザの『お気に入り』に登録しているいくつかのエロサイトのうち、ロリか熟女か食糞かで迷ってロリを選択。やがて良い画像を見つけ(部屋にいる、大好きな子にどこか似ている)、本格的に自慰を始めた。
 久々のそれは白熱した。賢者タイムさえどこか賢者タイムでなく、かえって気力が充実していくのを感じる。
 とはいえ、だからといってその気力を向ける対象が特にあるわけでもない俺は、その画像が掲載されているページの自由コメント欄に、せめてもの感謝の意を込め『射精大学』と書き込んだ。

 〇

 俺は時に、近所を散歩することがある。
 これは世の中の大半を占める引きこもりニートにはあり得ないことで、立派だった。
 俺は人生をちゃんとやっているのだ。それは良かった。
 だがそんな俺とて時に、無思慮な人間による行動の、被害に遭うことがあるのだ。
 それは散歩から帰った俺が、SNS『お突き突いったー』の画面をパソコンで開いた時に訪れた。
 お突き突いったーは日本中で大人気のSNSで、誰でも簡単に短い文章を気軽にネットに投稿できる。インスタントという概念をとことん煮詰めた結果、誰も予想していなかったほど時代にマッチしたもの、できました、といったようなサービスだった。
 その画面上に、誰か(知らないアカウント名だ)が1時間程前に書き込んだ、このような投稿が表示されている。

『ちんぽ星人・誕生。
 シャセー!! (鳴き声)

 コンビニ店員・出勤。
 シャセー!! (鳴き声)』

 それは少なからぬ人間から、『いいね』ボタンを押され、すなわち、評価されているのだった。
 俺の頭は、そんな画面上で起きていることを理解せず、しばらくの間真っ白なままだった。
 やがて、その三文字が浮かんだ。
「パクリだ」
 パクリだ。パクリだ。パクリだ。
 俺の頭と顔は、すぐに真っ赤になった。気が付いた時には、俺はその文章を投稿した知らないアカウントに対して『ひとの突き技パクってんじゃねえよ!!!!!!』と送りつけていた。
 そう、それは俺が半年ほど前に投稿したものと、一字一句同じ投稿だったのである。
 その時の投稿には、1つたりとも『いいね』などついていなかったが、こいつは俺のをパクって、あろうことか名声をものにしていたのだ。
 この時俺がもしも並外れた理性の持ち主でなければ、目の前のパソコンをパクリ野郎の頭蓋骨に見立てて、椅子で破壊していてもおかしくはなかった。
 怒りは、いくら待っても収まらない。せめて、パクリ野郎からの返事を見ないうちは、他のことは何もできなかった。
 深夜、ふと『お突き』を開いた際、件のアカウントがどうやら俺のことを無視することに決め、そして完全にメッセージのやり取りが不可能になる『ブロック』という処置を施したらしいことを知ると、俺は怒りを込めて『んんんんんんんんん!!!!!!!』『あいやあいやいやいやいあいや!!!!!!!!!』『イグーーーー!!!!!!!』等の投稿をした。
 その間、リアルでもドタバタするので、階下からあがってきた母親から不満を言われた。彼女は、思慮深い人々にとっての重要ごとには疎い節があり、そのためしばしば俺には寛容さが求められた。
 怒りが冷める度に、俺はベッドに飛び乗り、全力で奇声をあげたり跳ねまわったり、ちんこをぶんぶん振り回したりしながら受けた仕打ちを思い出し、怒りを再燃させた。
 全裸であることは、本能を刺激した。
 そうして、俺は思いついた言葉を矢継ぎ早にパソコンへと打ち込み、片っ端から投稿していくのだ。この苦労とて、わからない人間にはわからないのだと思うと、少し悲しかった。
 母親が俺の理解者であったのも、遠い昔の話だ。

 〇

 俺が珍しく(三年に一度程度だろう)マジギレモードを発動した日から、三日ほど経っていた。
 その日、俺はまたもSNSの画面を開いた時、自身の正気を疑うことになる。
 ただし、今度はおそらく、良いニュースで。
 お突き突いったーでは、有名人のアカウントは大勢の人々から『フォロー』というのをされる。庶民たる俺のアカウントでは無縁だった。
 だが今日見てみると、そんな俺のアカウントにフォローが多くついていたのだ。信じられない。過去に投稿した文章に遡ってまで、ちらほらと、少なくない量の『いいね』がつけられている。
「これは、一体どうしたことなんだ……?」
 俺は気になって、ネット上から情報を漁った。
 ことの経過を読み取るに、どうやら、れいの殺害予告が実ったとみて、間違いはなかった。
 俺はかつてネット掲示板にSNSアカウントを掲載したことがあり、掲示板からSNSアカウントへの導線はあったと言える。
 そんな中、どうやら主に『【悲報】殺害予告のこどおじ、SNSで突き技をパクられ発狂する』といったスレッドがまとめブログで扱われたのをきっかけとして、俺のSNSに辿り着く人間が多く現れたらしかった。
 そこで俺は少し考えてキーボードに手を置き、突いったーに『イッたのにやめてもらえない将軍「も、もう出申した! おやめたてまつれい!!」』と書き込んだ。
 そうして少し待って再びSNSを開くと、この書き込みに『いいね』や返信などの反応がついているのだ。
 ああ、本当のことなんだな、と思った。
 最初は戸惑いもあったが、しかし、じきにこれは俺の正当な権利なのだと理解する。
 では、どうして俺はこのような力を得られたのか?
 その答えは既に言及した通り、明らかである。

 〇

 便器は病原菌の絶好の感染源である。予め目をつけておいた近所の公衆トイレにて、俺はスマホで動画を回し、便器と俺の姿がきちんと映るようにして、その見るからに汚そうな便器に、ゆっくりと舌を這わせた。
 便器の味は、酸味と苦みの入り混じった、とても一言では言い表せそうにないもので、また舐めるのに舌が痺れるような感覚を伴った。しかし俺は我慢した。あの殺害予告の時とて、投稿後かなりの精神的プレッシャーがあった。それすなわち、価値ある行為には苦痛が必然伴う道理だ。大抵の人間はこれを避けるゆえに大成しない苦痛。この度は、それが味覚体験の形をとっているだけだ。
「便器を舐め終わったけど、ビョーキになんてならねえぜ、へっ! おらっ!」
 俺はカメラに向けて最高のポーズをきめた後、動画を止める。
 渾身の出来だった。世の中で挑戦と呼ばれるものには、碌な考えもなしに行われ、挙句当たり前に失敗するような、ブザマで何の価値もないものもあるが、俺の行動は全て根拠に基づいていて利口だった。
 この動画をネットに投稿すれば、殺害予告と同じように、俺のSNSは間違いなくバズるだろう。
 それは、俺という人間がこの世で生きていても良いという、証なのだ。

 〇

 翌朝、俺は早起きして、近所の散歩をする。
 夏が過ぎ去り、涼しくなった頃だったが、俺にはまだまだ半袖でちょうど良い
「おっと!」
 住宅地の信号のない細い十字路を、スピードを出した軽トラックが、一時停止もせずに通り過ぎて行った。
 危ないじゃないか。
 ……しかし、普通の人ならまだしも、俺がもし事故に遭って、万が一死んだりしたら、と思うと、恐ろしい気持ちになる。いや、冗談じゃない。
 パソコンの中や、部屋のコレクションを、誰かが見たりすることになるはずだ。
 気をつけよう。

 散歩の目的は、考え事をすることにあった。
 つまり、どうして俺は昨晩、顔を隠す編集まで終えたれいの便器舐め動画をアップロードする瞬間に、それを躊躇したのだろうか、ということだ。
 なんだか、それは『よくないこと』のような気がしたのだ。
 今思い返すと、『投稿』ボタンを押す寸前、俺の頭をよぎったのは、れいのパクリ野郎のことだった気がする。
 パクリ野郎は、たかだかパクる如きことで、『いいね』をたくさん獲得していた。
 ……『いいね』というものは、絶対的に素晴らしいものだと、俺は思って、血眼に追い求めて来た。だけどパクリ野郎は、何をしてそれを得た? アイツが得た『いいね』は、下らないものだ。
 と言うと、じゃあ、殺害予告というのはどうなのか?
 怒りの書き込みは、『発狂芸』などと言われウケていた。よくよく考えたら、それって。
 パクリ野郎が得たのは『いいね』で。
 俺が得たのも『いいね』だ。
 ……。

 〇

 一か月後。
 20年以上ぶりに、俺は就職した。
 振り返ってみれば、よくこの年齢まで、のうのうとしていられたな、と思う。家のお金だって、無限ではないのに。
 俺がかつて就業を諦めたきっかけは、他者とのコミュニケーションがどうしても取れなかったのが大きいが、不思議とこの度、『コミュ障』は治っていた。
 多分、プライドを捨てたからだと思う。
 俺はこれまで、自分は周りと違うのだと考えてきた。
 だが実際のところ、俺は俺が思うほど大した人間ではなかったし、そして、俺以外の人間も、俺が思うほど大した人間たちではなかった。
 世間の人々が尊敬する芸能人。彼らが持っているものの本質が、たくさんの『いいね』と同種のものだ、と思った時が、価値観が変わった瞬間だった。
 社会に出てみると、みんなが驚くほど、不完全さや醜さを抱え、それを当たり前のものとして生きていた。
 彼らと他愛のない話をする時間は楽しかったし、俺のことを見下す若い子の相手さえ、何かしらの深い喜びを伴った。
 これまで見下して生きてきた、よぼよぼのジジィやババァさえ、俺は素直に尊敬できた。
 これまで、何をやってきたのだろうか。
 目が覚めた。

 〇

「さて、そろそろ、これをどうするかについて考えるか……」
 休日。
 俺は自分が集めてきたコレクションを、とりあえず床に並べてみた。
 過去に俺が犯した、女子中学生誘拐・殺害事件の、被害者の頭蓋骨のコレクションだ。
 かねてより思っていたことだが、やはりこういうものが部屋にあるのは、まずいんじゃないだろうか。
 ……結局は、彼女たちの首から下と同じように、家の地下室から直接、地中へ遺棄してしまうのが、最も足がつかない、妥当な方法だろう。
 しかし、4つの頭蓋骨と向き合っている間、俺は言葉にしがたい快楽が脳を蕩かすような感覚を味わう。彼女たちと過ごした時間が蘇る。当然のように、射精する。彼女たちと一体になっているような、得難い感覚。……こんな彼女たちを捨ててしまうのは、本当に正しいことなのだろうか?
「……わからない」
 俺は、とりあえず判断を保留にすることにした。
 しかし一応、これまでのように、テーブルや棚の上に飾っておくのはやめて、おもちゃなどと一緒に、押し入れの奥へ押し込んだ。

 慣れない労働の疲れからか、熟睡していた俺は、珍しく深夜に目を覚ました。
 その猛烈な空腹に驚いた。何も食っていないのか。
 俺は母親を叩き起こし、俺のために夜食のコロッケを作るようにと命じた。
「アー?」
 母親の反応は、日に日に鈍くなっていた。
 一度で命令を受領しない場合、経験上は頭を叩くと良いので、そうしたのだが、少しイライラしていて力加減を間違えたのか、メキ、という嫌な音がしてしまった。
「あ」
 と俺は言った。
 だがやがて母親は立ち上がって、キッチンへと向かう。
 見ていると、きちんと冷凍庫から冷凍食品のコロッケを取り出したり、棚から揚げ鍋を出したりしているので、よしよし、命令は通ったようだな、と思った。
 親父が残した遺産のうち、大金じゃないほう。あれにだって、まだまだ稼働して貰わなければ困る。
「あ」
 と俺はまたも声を漏らした。
 ソースねえじゃん。
 悪いことは、重なるか。
 俺は裸足にサンダルを履き、近所のコンビニへ向かうために、家を出た。

 〇

 さすがに寒い。
 吐く息も白くなり始めていた。季節の移り変わりなど、これまで気にしたことすらなかったが、そうか、寒くなるんだな、と思う。
 しばらく暗い道を歩いた後、辿り着いたコンビニの店内は眩しく、目を細める。
 レジの向こうでは、その労働をさもくだらないことだと示すように、ただ時間が過ぎるのを待つ人の顔で、髪を茶色に染めた大学生のバイトがつっ立っている。
 初対面に等しい彼の態度の悪さに、いちいち腹を立てる気分でもなかった。
 いや、少しはイライラしていたかもしれないが。
 ウスターソースととんかつソース、どちらが以前まで俺が使っていたものなのか、わからない。しかし、いずれにせよ前のは賞味期限が7年ぐらい過ぎたものを使っていたので、新鮮なソースはさぞ美味しかろう。両方買ってしまおうか?
 アイスも買って帰るか。
 立ち読みは、気分じゃないから、今はいいか。
「射精」
 とコンビニ店員は言った。
 続けて、「にひゃっきゅうじゅうんえんあい……す」と言う。
 俺は彼にお金を支払って、コンビニ店舗をあとにした。
 なかなか、良いお店だったじゃないか。
 これからも、贔屓にしようかな。夜中に、カップラーメンなんかを買いに来ても、良いかもしれない。
 歩いて、家に向かう。
 家の近所の区は、住み慣れた、という表現を通り越して、人生をともにしたと言って過言でなく、そこを歩くと、いつだって昔の思い出が蘇った。
 いくつかの建物がなくなって、建て替わったりなどしているが、そんなのは些末であり、いつまでもここは、同じ場所だと思える。
 父親は厳しかったが、今思えば、いい人だった。
 母親のことはよく思い出せないけれど、俺のことを大切にしてくれていた気がする。
 きっと、そうだろう。
 母親なのだから。
 自宅まで、目を瞑ってもたどり着ける自信がある。
 もちろんそんなことをして、もし車にでも轢かれたら大変なので、きちんと目を開けて家に帰る。
 家に近づいて、近づいて、辿り着いた。
「やっぱ、うちじゃん」
 と俺は言った。
 目の前で、自宅は炎に包まれていた。

 〇

 それは既に激しく、全焼まったなしの様相だった。
 巨大なバケモノのような炎が、自宅を包み込んでいる。
 何してくれてんのアイツ。あのババァ。
 絶対そうだろ。
 コロッケ揚げてたんだもん。
 だからって家燃やすか、ふつう?
「ええっと、消防車、消防車」
 とポケットを探るが、スマホなど持って出て来てはいなかった。
 ……まあ、近所の人が誰か通報するだろう。
 しかし一体、これからどうなるのだろう?
 そう思った時だ。
「……こうたろう」
 えっ!?
「こうたろう、こっちだよ」
 今のは……。
「こうたろう」
 まさか!
 俺が拉致して楽しい時を過ごした、二人目の『かみさま』の声だった。
 かみさま。
 彼女が、俺を呼んでいるのだ。
「みきちゃん!!!」
 俺は叫んだか叫ばなかったか、とにかく猛然と、燃え盛る自宅へと踊り込んだ。
 その炎に入った瞬間に、俺には『わかった』。
 彼女たち4人は、今や、この炎そのものになっている。存在性が溶け込んでいるのだ。
 それに包み込まれているのだ、と感じた時、
「ああ!」
 恍惚として、今にも性器から電撃が迸ろうとした瞬間、俺は気付く。
 ヤツも、いる。
 二宮チエ子。
 それでか。
 炎の感触は80%がた素晴らしいのだが、2割ほど、変なのが混じっている。
 なんというか、酸っぱい匂いがするのだ。
「くそ、邪魔をするな!」
 俺は、こうたろう、こうたろう、という声のする2階へ向かう前に、キッチンに寄り道することに決めた。
 やっぱりだ!
 他の場所と比べて明らかに火の手と煙の強いキッチンで、足元に、ごり、と母親の存在を確かめる。
 腕らしき物を掴むが、煙でまともに見えない。
 そのまま、引きずる。
 こいつを、家の外へ追い出さなくては。
 4人は、今この瞬間、1つになっていて、俺に何かを伝えようとしているのだ。
 そしてそれは、俺がなぜ生きているのか、という疑問について、ほとんど核心に近い答えなのだ。今こそ、与えられようとしているのだ。
「邪魔を、するなああっ!!!」
 俺はリビングの窓を開け、母親の体を力いっぱい、外へ投擲した。
「ラーメン!!」
 ババァが追放される。
 その瞬間、炎は、100%になるかと思いきや、80%のままだったが、しかし、異物感は失せた。
「癒やされる。かつてないほど」
 俺は、かんぺきさを感じた。
 ゆえに、訪れたそれは、かんぺきな――。

 〇

 先日の火災について。
 民家が全焼し、住んでいた二宮チエ子、二宮幸太郎親子は焼死。
 このうち母親、チエ子さんの遺体は、家の外に投げ出されていた。そして司法解剖によると頭蓋骨にヒビが入っており、死因がはっきりせず、ゆえに火災にも事件性が疑われた。
 燃え跡となった自宅からは、人間の頭蓋骨らしきものが4つ、発見された。
 この家には地下室もあるらしく、警察は捜査を進める。

 ネットニュースの閲覧サイトには、ユーザーが自由に書き込めるコメント欄もある。
 頭蓋骨の『4つ』という数から、去年から発生している女子中学生失踪、拉致事件との関連性を結びつける書き込みは数多く見られた。
 そうした中には、異色の書き込みもある。
 ニュースの動画部分にて、深々と頭を下げたキャスターの服の胸元から、その豊満な谷間が見えていたのだ。
 そちらに意識を向けたユーザーたちは『エロエロカンパニー』『おっきっきランド』『射精大学』等と書き込んだ。
点滅信号

2020年08月09日 23時59分43秒 公開
■この作品の著作権は 点滅信号 さんにあります。無断転載は禁止です。

■作者からのメッセージ
◆キャッチコピー:燃える男。
◆作者コメント:企画開催、心よりお祝い申し上げます。
          ご感想よろしくお願いします。

2020年09月03日 17時54分59秒
Re: 2020年09月19日 20時49分18秒
2020年08月22日 22時27分21秒
0点
Re: 2020年09月16日 21時56分07秒
2020年08月22日 20時11分09秒
0点
Re: 2020年09月15日 20時47分47秒
2020年08月20日 18時41分13秒
Re: 2020年09月12日 23時44分03秒
2020年08月16日 20時30分46秒
0点
Re: 2020年09月11日 20時23分42秒
2020年08月13日 13時33分56秒
0点
Re: 2020年09月10日 18時08分09秒
2020年08月12日 18時39分01秒
+10点
Re: 2020年09月08日 06時50分59秒
2020年08月11日 20時13分42秒
Re: 2020年09月06日 20時26分10秒
2020年08月11日 19時52分51秒
+10点
Re: 2020年09月05日 11時09分00秒
合計 9人 20点

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