ほんの少しの悪意と劣等感を愛しの貴方に

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「兄さん、まだ起きてたの？」

ハーブティーを片手に、僕はイーシャの部屋に入る。
読みかけの小説を置いて、扉の方を見た。
僕が声をかけなかったら、寝落ちするまでずっと読んでいたのだろう。

「明日は早いんだから、もう寝ないと」

彼にマグカップを手渡す。明日は建国記念日の式典がある。
僕たちは国の代表者として、朝早くから参加しなければならない。
式典が終わった後も来賓たちを迎えるパーティなどがあり、休む暇がない。

「全然気づかなかったや……そっか、明日なんだね」

兄さんは嬉しそうに何度もうなずきながら、ハーブティーを口に運ぶ。
彼は国の運営に参加できることを誰よりも楽しみにしていた。

「ようやく、一人前になれるのかな？」

明日の式典の際に、国の将来を担う者として、初めて国民の前で紹介される。
その際に、僕たちはそれぞれ魔法を披露することになっていた。
兄さんは氷と風の魔法、僕は雷とそれぞれ属性も異なっていた。

「早いもんだよね、ほんと」

それぞれ強力な魔法を扱うということで、僕たちは幼い頃からかなり有名だった。
特に兄さんの場合は二つの属性を扱えることもあって、かなりもてはやされたのは覚えている。真冬に愛された魔法使いと、兄さんのことを誰もがそう呼んだ。

今思えば、それが兄さんへの対抗意識が生まれたきっかけなのかもしれない。

確かに、一点の曇りがない青い目は真冬の青空のようだったし、誰にでも優しいその態度はひだまりみたいに暖かかった。それは今も変わらないし、この国にいい影響を与えてくれることはまちがいない。
それでも、僕の我慢は限界だった。
こんなことをするべきじゃないのは分かっていても、どうしても許せなかった。

弟である僕は兄さんと何かと比べられてきた。
年はたった二つしか違わないのに、何かあれば必ず彼の名が挙がっていた。

僕が二番目に生まれてきたからだろうか。
そう思うと同時に、どす黒い何かに火がついた。

イーシャが輝くたびに、僕の存在は霞んでいく気がした。
どれだけ頑張っても、兄を超えられない。
努力を放棄するのは、プライドが許さなかった。

雷を自在に扱えるようになるために、自分の指先を何度も黒く焦がした。
いろんなものを壊しては、謝る日々だった。

そうしているうちに、僕はたくさんのトロフィーや賞状に囲まれていた。
兄さんからも何度も褒められた。それでも、黒い炎は消えなかった。

その黒い炎を誰かが嫉妬と呼んでいた。
納得すると同時に、口の中にエグみが広がった。

僕は自分より優秀な兄さんに嫉妬していた。
僕は兄さんの弟であることを理由に周囲から嫉妬されていた。
もう訳が分からない。頭の中で矢印がぐるぐると回転していた。

自分たちでは兄さんに敵わないから、年下の僕に矛先を向けるのだ。
理不尽極まりないし、本人に直接言ってほしかった。
僕は関係ないって何度も言っているのに、まるで聞きやしない。

「兄さんは兄さんだよ。気にすることないさ」

自分に言い聞かせるように、自分を励ますように兄に言った。
僕は僕だ。アイツと同じにするな。
体の奥で黒い炎がチリチリと燃えているのを感じた。

それが嫉妬によるものなのか、ただの怒りなのか、自分でもよく分からなくなっていた。
ただ、許せないものが増えていくばかりだった。

『あんな優しいお兄さんがいてうらやましい』

その言葉を聞くたびに、否定したくなった。
全然、そんなことない。二番目に生まれたくなかったよ。二番手になりたくなかったよ。
けど、メンツってものがあるから、否定することは許されなかった。

「そうかな、そう言ってもらえて嬉しいよ」

毎回、笑顔を貼り付けてごまかすんだ。
どす黒い感情を抱えながら、僕は学校生活を送ってきた。
このうすっぺらな笑顔がどれだけ辛いか、兄さんは知らないんだろうな。

多分、これからも知ることはない。
そう思いながら、日々を共に過ごしてきた。
それも、今日でようやく終わる。

寝る前のハーブティーに、ほんの少しの悪意と劣等感を混ぜた。
兄さんはそれを何の疑いもなく飲んでしまった。
そんなにうまくいくとは思わなかったから、僕はじっと見つめてしまっていた。

「どうしたの？」

不思議そうに首をかしげる。本当に僕を疑っていないんだ。

「いや、どうしても緊張しちゃってさ」

兄さん、ごめんなさい。僕はもう限界なんだ。
心の中で泣きながら、いつものように笑顔を張り付けた。
長月瓦礫

2020年05月01日 18時15分52秒 公開
■この作品の著作権は 長月瓦礫 さんにあります。無断転載は禁止です。
■作者からのメッセージ
◆キャッチコピー：嫉妬は人をバケモノにする
◆作者コメント：ミチル企画様に初めて参加させていただきます。よろしくお願いいたします。

2020年05月16日 23時41分44秒
 +30点
  • 作品読みました。

    暗喩を生かした、とてもキレの良いファンタジーでした。
    弟である「僕」の複雑な思いが余すところなく書かれつつも、ワンシーンであるがゆえに分かりやすくまとめられていたと感じています。

    ＞頭の中で矢印がぐるぐると回転していた
    ここの、相関図の表現の仕方が特に好きでした。

    全体的に見て、高い位置でうまくまとまった作品だと思いました。
    素敵な読書時間を過ごすことができました。

    では執筆お疲れ様でした。

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2020年05月16日 23時32分01秒
  • ｋｚと申します。拝読しましたので、コメントいたします。

    短いなりに内容はまとまっておりますが、それゆえに内容に奥行きが無く、個人的には物足りなかったです。また内容自体も短編や長編小説の一場面を抜き出しただけのようで、ショート・ショートとしてもどうなんだろう？　という思いもあります。短い枚数で勝負するならアイディアや構成で工夫が必要だと思います。

    感想は以上です。少しでも参考になれば幸いです。

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2020年05月16日 20時57分37秒
 +10点
  • 『ほんの少しの悪意と劣等感を愛しの貴方に』拝読しました。

    ※以下ネタバレがあります。

    ・短い作品ですが、それゆえに詩的な美しさを感じる作品でした。
    　イーシャという優秀な兄を持ったがゆえに、常に比較され、2番手に甘んじることになった「僕」の嫉妬心が丁寧に、なおかつ簡潔で無駄なく描かれていると思います。
    　ラスト、僕がハーブティーに「何」を入れたのかは明確には書かれていませんが、想像はできる、という書き方になっているのは上手いと思います。

    ・大きな指摘点はないのですが、短い作品ですので、読みごたえとしてもそれなり、という感じでした。

    ・短い枚数で「僕」の心理を巧みに描いた作品でしたが、それだけにもうちょっと長い枚数で読んでみたかったと感じる部分もありました。

    　感想は以上です。指摘点が私自身の作品にブーメランになっていたらごめんなさい。
    　執筆お疲れさまでした。

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2020年05月16日 04時13分27秒
 +10点
  • 　執筆おつかれさまです、燕小太郎と申します。
    『ほんの少しの悪意と劣等感を愛しの貴方に』読みましたので、感想を残したいと思います。

    　うーん、これは短すぎてなんとも……。
    　作者様の書こうとしているものは伝わってきますし、短い枚数の中でちゃんと描けているとも思います。主人公の背景にはタイトルにもある通りの嫉妬心と悪意があったということでしょう。この点は丁寧に説明されていると思います。
    　ただ、良くも悪くもそれだけだと感じました。
    　兄イーシャとの関係も説明以上のものはなく、もっと言えば魔法が使えるという特殊な世界観についての説明や、それらを生かした展開も特にない。こうなるとそもそもファンタジーである必要すらなく、現実世界で弁護士や裁判官といった地位の高い職に就こうとしている兄へ毒を盛っても同じ展開を作れたように思います。
    　作中ではもっといろんなことがあって、二人の関係も自分が思うより深いのだろうとは思いますが、そこを描かないと伝わらないのかなと感じました。
    　例えば、二人の思い出を話したり、何かを見て思い出したりすることで、二人の関係をよりリアリティを持って描けたと思います。また、その話をハーブティーを飲む前にするか飲んだ後にするかで、主人公『僕』の心情も変わってくるでしょう。
    　
    　掌編にも短くまとめる難しさと面白さがありますが、今作はもう少し枚数をかけたほうが良かったのかなと思いました。

    　拙い感想ですが、少しでも参考になる部分があれば幸いです。

    E-Mail pass
2020年05月15日 23時46分48秒
  • はじめまして、たてばんと申します。

    嫌いじゃないタイプの物語です。

    ただ、もう少し主人公の物語を入れた方がわかりやすかったと思います。

    例えば、兄が周りに持て囃される話や、主人公が周りの人間に陰口を叩かれる話などです。
    今のままでは抽象的過ぎて感情移入がし辛いです。

    他人の話ならコレでも良いのですが、小説なので主人公に感情移入させてなんぼだと思うのです。

    ーー

    次は気になった点です。

    僕が声をかけなかったら、寝落ちするまでずっと読んでいたのだろう。
    「明日は早いんだから、もう寝ないと
    ↓
    時間帯がわからないので、
    『兄は窓際に座り、弱々しい月光の力を借りて書物を読み耽っていた』
    や
    『陽が沈み日を跨ごうとする時間帯、兄は蝋燭を前に本を読んでいた』
    など、情景を描写すると、読者も場面をイメージしやすいかと思います。

    特に兄さんの場合は二つの属性を扱えることもあって、かなりもてはやされたのは覚えている。真冬に愛された魔法使いと、兄さんのことを誰もがそう呼んだ。
    ↓
    真冬が人名かと思ったので、『兄さんが冬に生まれたから真冬に愛された魔法使い』などと説明した方が良いと思います。

    ーー

    以上が感想になります。

    では、失礼します。

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2020年05月12日 23時16分35秒
 +10点
  • 　あー、うーん
    　なんかファンタジー世界の王国の王子さまたち、兄に嫉妬する弟が、なにを…
    　みたいなかんじでたのしそうだったんですけど最後をふわっとさせておわりでした。
    　嫉妬の気持ちをどう決着させたのかを、想像にまかせる最後になっていたのは不満です。
    　どうせなら、殺してしまうところまで書くか、嫉妬はしていたけど、実は…みたいな展開まであれば、もっとよかったとおもいます。
    　でわわ～

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2020年05月10日 18時01分31秒
 +20点
  • 『ほんの少しの悪意と劣等感を愛しの貴方に』拝見致しました。

    それではまず、気になった点からいきます。
    気になった点は2つありまして。

    まず一つ目は冒頭です。
    全体としてみるとそつなく書けているのですが、冒頭部分は妙に通りが悪くて状況を正確に把握しにくくなっていました。
    冒頭部分は習得が特に難しい部分でもありますが、ここが上手く書けるようになったら上級者への道が見えてきます。頑張ってみてください。

    2つ目は、結末に関してです。
    私個人の問題もあるとは思いますが、『今日で終わる』と言う一文が出てきた際に、ああ毒殺か何かをしたんだな、と考えました。
    ところがその後になって「『少し』の悪意」とあるために、そうではないのかな？　と思ってしまったんですね。

    というのも、私個人の感性に照らし合わせますと。
    もし毒を盛って殺害を企てたのであれば、『少しの悪意』という表現はちょっと似つかわしくないように思えて。この場合は『確実な悪意と殺意』をもっての、毒殺、というのが妥当なところじゃないかな、と。
    そう思ったんですね。

    そう考えると、これは毒を盛って殺したのではなくて、『今日で終わる』『少しの悪意』この2つを満たす条件の何かを行った。それが自然なのかなと。
    では毒殺ではない何かが何なのかを考えると、弟君のコンプレックス……つまり動機は兄への劣等感であることから。殺すために毒を盛ったのではなくて、魔法を二度と使えなくなるとか、魔法の力が弱まるとか、あるいは眠ったままになるとか。そういう感じの何かを盛ったのかな？　と。そのように考えました。

    まあこれは仮説でしかなく、実際のところは結末が明確に書かれていらっしゃらないので、そのあたりのもやもや感を余韻と取るべきなのか、それとも曖昧な終わり方と受け止めるべきなのかが難しいところで。
    ……ただ私が妄想を暴走させてるだけかもですが、そのように読み取ってしまう読者もいたということをお伝えしておきます。
    （あるいは。少しの、は悪意の強弱ではなく、毒？　の『量』にかかっている可能性もあるのでしょうか？）

    これら二点の問題を除けば、弟の兄に対する葛藤とその結末が丁寧に書かれた良作で、楽しく読ませていただけました。
    なんだかんだ言いましたが、結末がぼかされている点も個人的には好きなところです。
    ただ、ぼかすのと、どうとでも取れる、のはちょっと違いまして、この場合は前者の意味での『好き』ですね。
    殺害？　のぼかし部分のみ好きで、表現的にブレがあるように思える部分はちょっと……って感じです。
    わかりにくかったらごめんなさい。

    それでは次回作も楽しみにしています。
    執筆お疲れ様でした。

    E-Mail pass
2020年05月10日 17時06分06秒
 +10点
  • 執筆お疲れ様です。
    「ほんの少しの悪意と劣等感を愛しの貴方に」を読ませていただきました。

    表面上は穏やかに接しながらも、心の中では悪意と劣等感に満ち溢れている。
    全体的に、そのテーマだけで書かれているので、全体的に綺麗にまとめられていると感じました。

    ただ、冒頭で「イーシャ」「彼」「兄さん」など、兄の呼び方がいくつかありましたので、少々混乱しました。

    後はすっきりしすぎていて、物語の起伏が少なかったのも寂しかったな、と。
    弟の葛藤などを入れても良かったのではないかとは思いました。

    以上となります。
    ありがとうございました。

    E-Mail pass
2020年05月06日 15時16分08秒
 +10点
  • 　赤城と申します。拝読しましたので、感想を残させて頂きます。

    　短い枚数で兄との確執、嫉妬を描いた作品でした。世界観に関する説明と明確な描写を避け、二番手に甘んじるしかなかった弟の心情を描くことに力点を置いた作品、と感じました。
    　重厚な世界観を組み立てたり、隅から隅に至る詳細な描写で物語を繰り広げる作品とはまた違った読書感があり、その点は良かったと思います。
    　最終的に弟が何をしたのか、（まあ、終わらせる、という表現から、毒か何かを混ぜて飲ませたであろうとは思いますが）、それが明示されず読者の判断に委ねられているところは、好みは分かれるところかもしれませんが、私は良かったと思います。
    　あと、作品の出来と関わりのないところになりますが、兄のイーシャという、ロシアの指小形っぽい名前も、個人的なポイントが高かったです。いいですよね、ミーシャとかカーチャとかリーリャとか（もし、特にロシアっぽい愛称を意図してなかったらすみません、作者様）。


    　作者様の今回の作品を書いた意図は、二番手に甘んじるしかない弟の暗い心情を表現する、ということだったのかと思います。仮にそうだったとすれば、その意図は十分に果たされている、と思います。
    　ただ、小説を読む側としては、作品に望むことは、その小説世界に没頭し、作品を楽しむこと、感情を揺さぶられることになります。……嫉妬、悪意を扱った御作においては、読後感は仮に悪いにせよ、読者にやるせない思いや、強い悲嘆を感じさせられれば、成功、と言えるかと思います（あくまで個人的な見解です）が、残念ながら、そうなることは出来ませんでした。主人公の嫉妬と悪意に慄然としましたが、もっと深くそれを感じたかった、書き方によってはそう出来たのでは、と感じました。

    　私が読んでいて思った、御作のもったいないと感じた点はいくつかあります。

    　まず挙げられるのが、兄を終わらせることを決意するまでに、主人公に葛藤がなかったこと。
    　出来の良い、特別な兄に対して嫉妬を感じていた弟が、その感情が高じて、彼の殺害に至る、その流れは自然ですが、ただ、人の思考は一方通行ではなく、一つの思考とは全く別の思考が並立したり、また、一端行った決断を再びさかのぼる、ということもあります。実際、主人公も、兄に〝ほんの少しの悪意と劣等感〟を与える際に、罪悪感を感じています。実行する段になって、葛藤を感じてはいますが、実行に移る前、終わらせることを決意するまでに、葛藤が生じなかったのは、ドラマとして少々もったいなかったと思います。果たして、兄を終わらせて良いのか。嫉妬と劣等感に焦がされながら、一方で主人公がその葛藤に苦しむことで、ドラマが生まれ、作品の魅力度が上がったかもしれません。そこに、兄との過去の思い出、エピソードを織り込むのも良かったかもしれません（そうなると、ボリュームは掌編ではなく短編となるので、作者様の意図から外れてしまうかもしれませんが、一案として、受け取って頂ければと思います）。
    　それと、世界観が、物語に大きく関わらなかった、と感じられたこと。詳細な世界観を省いて、読者に委ねる形は、御作の良い点として挙げさせて頂きましたが、一方では、少し顔を出した世界観が話にほとんど絡まず、出す必要もなく感じてしまいました。御作の世界では魔法が存在し、なおかつそれは限られた人にしか与えられず、その発表は国家的な行事らしい…それは不思議な世界観を臭わせる効果もあるかもしれませんが、そうでなければ物語が回らない訳ではなく、さほどの必然性を感じることが出来ませんでした。
    　あと、重箱の隅をつつく指摘になってしまいますが、同じことは兄の名前にも言えるかと思います。今作の登場人物は主人公と、その兄の二人。なら、あえて兄にイーシャ、って名前を付ける必要はなかったかと思いました。

    　色々と、偉そうな指摘を書かせて頂きましたが、一個人の感想として受け取って頂ければ幸いです。
    　辛辣に感じられる書き方になって申し訳ありませんでしたが、ただ御作の他の作品とは違う読書感は好きでした。
    　またどこかでお目見え出来れば幸いです。ではでは。

    E-Mail pass
2020年05月06日 06時49分36秒
 +20点
  • たった五枚の原稿用紙に詰め込まれた、兄への敬慕と憎悪。ぞくぞくする作品でした。
    掌編作品ですし、私としても言うことはあまりないのですが、ぜひとも作者様のもっと長い作品を読んでみたいものです。

    E-Mail pass
2020年05月05日 04時04分17秒
 +20点
  • こんにちは。
    拝読しましたので、感想を書かせていただきます。

    無駄のない美しい文章だと思います。少ない文字数ながら世界観が十分に想像できましたし、巧みな心理描写により、主人公の屈折した精神が表れていて、動機に説得力がありました。
    対するお兄さんの純潔さも伝わってきて、罪深さというか陰影がたまらなかったです！
    作者様の技術とセンスに脱帽です。
    私もこういうのが書きたかったよー！ と、嫉妬の火種を残して立ち去ります。

    素敵な作品をありがとうございました。

    E-Mail pass
2020年05月04日 15時54分52秒
 +10点
  • 拝読させていただきました。あまり多くを書かず、想像力に委ねる作品、嫌いじゃないです。
    心理描写もしっかりしていて、主人公がなぜこの行動に至るまでに追い詰められたのか、いろいろと想像が働きます。
    短い文字数の中でちゃんとまとまっている、良い作品と思います。

    以下、改善点とか。
    冒頭部分、少し説明が足りず、理解しにくいです。数度読み返せばシチュエーションがわかるのですが、できれば一度読んだだけでわかるように書いてほしい。私も冒頭部分はめちゃくちゃ苦戦しますから、難しいのはよくわかってます。。
    ＞ハーブティーを片手に、僕はイーシャの部屋に入る。
    イーシャとは誰なのか？　僕は誰の部屋に入ったのか？　読み進めると兄であると判りますが初見は解らない。単純に、『僕は兄の部屋に入る。』と書いたほうがよほど良いと思います。
    ＞読みかけの小説を置いて、扉の方を見た。
    主語が省略されていますが、普通この場合主人公”僕”がその主語となります。彼は、などでもよいので主語を書いたほうがよいでしょう。

    ＞兄さんは嬉しそうに何度もうなずきながら、ハーブティーを口に運ぶ。
    ハーブティーを飲むのが早い・・・！
    作品においても主人公にとっても重要なハーブティーを、こうもあっさり飲まれてはたまりません。
    兄がハーブティーを飲んだとき、主人公が何も思わなかったなんてことはないでしょう。一人称形式ですので、兄がハーブティーに口をつけた瞬間の心理描写は必須です。
    もっと適切なタイミングでいろいろ勿体つけてハーブティを口にさせるべきです。もしくはタイミングは今のままで、ハーブティーを口にした瞬間主人公が意味深に驚くとか。

    E-Mail pass
2020年05月04日 07時50分43秒
 +20点
  • これはよい悪意。よくまとまってますなぁ。

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