キャッチコピー集

Rev.01 枚数: 24 枚( 9,473 文字)

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※この投稿は集計対象外です。
 いよいよ感想投稿期間となりました。
 暑くて大変な中で執筆を試みたすべての方々の感謝いたします!
 作品投稿をしてくださった勇者たちも、勇者たちの作品を読んだ人たちにも、創作の糧が得られるよう祈ります!
 心ばかりのものですが、キャッチコピー集を作りました。
 どうぞご堪能ください!

◇タイトル:凶夢四十
◆使用したテーマ:太陽、恐怖、音楽、はじめての夏
◆キャッチコピー:次はあなたの番です。

~書き出し~
 1:じゃんけん

 学校の裏の公園のベンチに、浮浪者みたいな恰好のおじさんがいつも座っていて、そのおじさんにお願いすればどんな願いでも叶えてくれるという噂がある。
 学校でいじめられていたわたしはある日、藁にもすがる思いでおじさんのところに行ってお願いをする。
 「前田と上岡と御園を殺して」
 そしたらおじさんはわたしの両手をじっと見つめて、「チャンスは二回やで」などと意味深なことを言う。それでおもむろに「じゃーんけんほい」と言いながら手を出してきた。
 わけも分からずにつられてこちらも手を出す。


◇タイトル:ノーチェ・トリステ
◆使用したテーマ:太陽、恐怖、音楽、はじめての夏、新時代 ※『新時代』は今回のテーマではありませんが記載。
◆キャッチコピー:アステカ王国征服前夜、スペイン軍壊滅ス!

~書き出し~
 西暦1519年と言うから、今からちょうど500年前のことである。
 現在の中央アメリカ。海抜二千メートルの場所に位置するメキシコ市は、当時「月の湖」と呼ばれる湖だった。
 湖上の島には、邪教を信仰する蛮族が首都を作っている。
 人口三十万人。一辺が四キロにも及ぶ正方形の大都市である。いくつかの島を中心に精密なイカダを組み立て、湖の泥で埋め立てて農地と堤道を作り、無数の橋で結んだ。
 巨大な大神殿を中心に、街は百年の時をかけて碁盤の目のように整地され、数十の神殿、尖塔、広場、すべてが良質な白漆喰で塗り上げられ、磨き抜かれている。
 蛮族とは言え、王宮の周辺には神学校と軍学校があり、音楽院と女学院まであった。
 南北と西に向かっては、大神殿から一直線に伸びた大通りが堤道となって対岸の街まで伸び、二本の水路が随伴して新鮮な水を運んでくる。


◇タイトル:夏空の定義
◆使用したテーマ:はじめての夏
◆キャッチコピー:「はじめての夏ってステキじゃない?」

~書き出し~
 映画の青空があった。
 ちなみにこれは比喩ではない。この高校の校庭が、映画の撮影スポットに使われたことが過去にある。
 深海に光を灯した様な明るい空色。白雲のきらめきにはロマンがある。
 これからもっと暑くなるのかと思うと、教室の窓の外を睨むぼくの眉間に力がこもる。
 2−Bの学生らは、夏服にチェンジしていた。男子は半袖シャツ、女子は水色のセーラー服である。
 この町は夏がよく似合った。海が近くにあって、観光スポットなのだ。ノスタルジック。長い坂道、古いバス停、温泉宿&観光物産館、電車が山のトンネルに入るシーンも日常的に見かける。


◇タイトル:押すとクラスの女子全員が誇張しすぎたツンデレになるボタン
◆使用したテーマ:恐怖
◆キャッチコピー:こんな状況ホラー以外の何物でもない。

~書き出し~
「押す?」

 クラスメイトの夏原涼(なつはらりょう)にそう訊かれた俺は即答した。

「押さない」

「なぜ?」

「どうせロクでもないものに決まってるから」

 夏原はイカれた男だった。
 全国高校模試トップの成績を誇りながら、その才能をひ〇つ道具のような得体のしれないナニかの開発に費やし、完成するたびに周囲を実験台にしようとするのが常だった。
 そしてその実験台筆頭は、どういう訳か全国模試で学年最下位の俺・園部直弘(そのべなおひろ)なのである。


◇タイトル:終電車
◆使用したテーマ:恐怖、音楽、はじめての夏
◆キャッチコピー:「先輩、よかったら、ご一緒していただけませんか?」

~書き出し~
    ** 警告:作品中に下ネタあり **



「先輩、よかったら、……」
 電車を待つ俺に声を掛けてきたのは、ハッとするような美少女だった。
「……ご一緒して、いただけませんか?」
 一瞬、だれか分からなかった。
 でも、小柄なその女の子には、見覚えがあった。
 俺の下級生だ。
 部活でマネージャーをしてくれている。
 見慣れているはずなのに、笑顔を浮かべようと必死に努力しているようすが、ひどく新鮮だった。
 夜のプラットホームで見るその姿は、いつもとまったく違って見えた。


◇タイトル:蘭樹(ランジュ)
◆使用したテーマ:恐怖、音楽
◆キャッチコピー:「先生、男の子には秘密のはずですよね!」

~書き出し~
 まずい! まずい! まずい!
 下着がどんどん股間に食い込んでくる。
 いまは登校の途中で、通学路の先には学校が見えている。
 すでに校門にかかった獣人学園という看板の文字がはっきりと読めている。
「どうかしたのか。なんだか歩きにくそうだな」
 幼馴染みの黒豹のクロちゃんが声をかけてきた。

 この鈍感!

 いくら恥知らずといわれる猫又でも、下着が股間に食いこんで歩きづらいなんて、可憐な乙女の口から言えるわけ無いじゃないの!


◇タイトル:大食い少女の追憶
◆使用したテーマ:恐怖
◆キャッチコピー:彼女にとって、楽しいことより恐怖を消すことが大事なことでした。

~書き出し~
※いじめ描写あり


 ――食べているあいだは、どんなことも気にならなくなる。
 たっぷりとにんにくの風味がきいた、鶏のから揚げ。つやつやの大皿に盛られたそれを、優子はつるりと飲み込んでいく。合間におろし醤油をかけた千切りキャベツにも手をつけながら。
「本当、優子の食べっぷりは、見ていて気持ちがいいわあ」
 木製テーブルの真正面から、優子の母が顔をゆるませていた。
「こんなに食べられるのは、料理が美味しいからよ。ママ」
 優子が言葉でも美味しいと言い表せば、母親はますます嬉しそうにした。「冷凍庫にアイス入れてあるから、デザートにしてね」と笑う。そんな母親を見て、優子もつられるようにして笑みを作る。夕食のシメとして、コンソメスープでなみなみになったスープ皿に手を伸ばし、口をつけて一気に飲み干した。


◇タイトル:二つの太陽
◆使用したテーマ:太陽、恐怖、音楽、はじめての夏
◆キャッチコピー:「前に言っていただろう。『太陽が二つあったら暖かくていいのに』って」

~書き出し~
 ふたつめのたいようがあらわれた!
 どうしますか?

 たたかう
 にげる

「戦えるかちくしょおおおぉぉ!!」

 私は鬼のように降り注ぐ紫外線の下、鉄板のごとく熱せられたアスファルトの上を全力疾走した。女学生としての恥じらいも外聞も気にしている余裕などない。体中から汗が噴き出すこと止まることを知らず、「あれ? 滝行でも修めてきた?」と聞かれそうなほどしとどに濡れそぼる。噴き出しているのが石油だったら私は億万長者だ。
 二つの太陽から無慈悲に照りつける光は、路上に一片たりとも影という逃げ場を作らせない。


◇タイトル:暗闇
◆使用したテーマ:恐怖、音楽
◆キャッチコピー:彼の抱える暗闇を、俺も共有しているのかもしれない。

~書き出し~
 その指の動きに心を奪われた。
 その指が弦の上を動くと、カッコイイ、としか評しようのない音がギターやベースから生まれた。時に鋭く、時に重く。様々に変わる音は私の心をふるわせた。
 演奏に取り組む彼女達の顔は楽しそうでいて、真剣でもあり、そんな彼女達は、もちろん可愛かったのだけれど、どうしようもなくカッコよかった。
 暗い、自分の部屋で彼女達を見ていて、私は思った。
 私も彼女達のようになりたいな、と。


◇タイトル:追え!
◆使用したテーマ:恐怖、はじめての夏
◆キャッチコピー:ジャングルあなおそろし。

~書き出し~
 ※下品や不愉快な内容を含みます。

 幻の幻獣・シマヤマオオコネコタヌキを追え!!

 熱帯のジャングルを真上から太陽は覗いており、またギャアギャアと恐怖心に訴えかける内部を満たす音は逆に音楽と言えなくもなく、そしてこれは彼らにとってある共通する意味を持つ初めての夏だった。

「調査隊の皆さん、気を付けて下さい。ここから先は、クソみたいな毒蛇が出ます」
 一つの生き物であるようなジャングルの内部にて、服を着る習慣のない原住民の言葉はこうして通訳の口から伝わる。


◇タイトル:お・も・て・な・し
◆使用したテーマ:恐怖
◆キャッチコピー:村のおもてなしがマジやばい

~書き出し~
 暇だからちょっとだけ地元の話を聞かせてやろうか?
 俺の生まれ故郷は爺や婆ばかりで若いのがほとんどいないような限界集落なんだが、その村外れにはずっと昔から、寂れた村には不似合いなほど大きくて立派な神社の社と鳥居があるんだ。変わったことに、夏の決まった日になると村の大人が社の周囲を取り囲むように番をして、人が近づけなくなくする。盗むものが何もない古い社なのにだよ?
 親父に何でだって聞いたことがあるけど、青くなって「その時期は社に近寄っちゃならねえ!」って。なんか祟りがあるみたいだけど、そう言われるとかえって気になるじゃん。だからダチが興味本位でこっそり忍び寄って覗きに行った。


◇タイトル:君に届け
◆使用したテーマ:はじめての夏
◆キャッチコピー:一度きりの青春、一度きりの夏

~書き出し~
 広大な地上に降り立つと、俺はすぐ地面に穴を掘り、その中でビバークすることにした。本当はもっと目立たない場所に隠れ家を拵えたかったのだが、長い距離を移動するほど体力が残ってなかったし、俺たちよりもずっとスケールの大きな野生生物に襲われる危険があるため、やむを得ない選択肢だった。
 他の仲間は無事に地上へ降り立てただろうか? 目を瞑りながら彼らの身を案じた。実は穴を掘っている最中にも、仲間が野生生物に襲われる姿を目の当たりにした。襲ってきたのは大空から滑空してくる大鴉であったり、飢えた野犬の群れであったりした。仲間たちは為す術もなく怪物たちに襲われていった。……助けることは到底無理な話だった。


◇タイトル:9つの太陽と黄色いレインコートの少女――再演、十日伝説――
◆使用したテーマ:太陽
◆キャッチコピー:今降ってる雨に耐えられない

~書き出し~
※グロテスクな内容を含みます。ご注意ください。

 俺は自殺見届け人。
 死ぬ人間を見守らなきゃいけない運命だ。それも100万人分の死を。

△▽△
 
 2025年、少子化に悩む日本政府は1つの発表をした。
 輪廻転生、生まれ変わってまた人間になる人が年々減少していることが、少子化問題の根本的原因だと。
 そんな馬鹿なと切って捨てる声が巷に溢れたが、日本政府が溜めていた膨大な科学的証拠を前に次第に収まっていく。
 その上で日本政府は宣告した。
《悪逆に溢れた現世では来世も人間に転生する者は、減り続けるだろう。功徳を積むことのみが来世も人間に転生できる唯一の道。そしてそれこそが、日本を少子化から救うことになる》


◇タイトル:人狼ゲームの大会でドン引きされました
◆使用したテーマ:太陽、恐怖、音楽、はじめての夏
◆キャッチコピー:人狼ゲームで女の子から罵ってもらえます

~書き出し~
(なろう基準のR15に触れていると思います。ご注意ください)

『レディース・アンド・ジェントルマン!
 忘れ去られた島、エバーアイランドにて、集いし9人の若者が知能と論理で競うインテリジェンス・アトラクション!
 みなさんも良く知る、人狼ゲーム!
 味方を見極め、敵をだませ!
 優勝チームには、なんと賞金1000万円を山分けだ!
 さあ、今この日の出とともに、戦いの開幕を宣言します!』



 1、8月31日

 一浪の夏休みが終わる。
 この夏休みは人生で初めて、教育で与えられる権利でなく、資本主義の圧力からの休みだった。簡単なことで、お金が無いから夏季講習を受けられない。


◇タイトル:ストップ害虫転生!
◆使用したテーマ:恐怖 ※他のテーマに関しては「?」と記載
◆キャッチコピー:

~書き出し~
 街道を外れるとすぐにそいつを発見した。
 白い獣毛に長い耳。ウサギで間違いない。
 ただし僕がこれまでの人生で見てきたヤツとはかなりちがう。二足歩行で筋肉質な身体つき。背丈は低いけど、草食動物にあるまじき凶相をしていた。
 ――異世界でウサギって言ったらバニーさんだろ。
 内心で愚痴るけど目的は変わらない。与えられたナイフを握って覚悟を決める。
 突如振り返った赤い瞳が僕をとらえた。ウサギは拳を握ると、ボクサーみたいなステップを刻みだす。どうやら僕をとるにたらない相手と判断したらしい。
 ――ウサギなんかに!
 僕は茂みから飛びだすと、異世界に転生して初めてのバトルに挑むのだった。


◇タイトル:二兎野乃花というクイズバカ
◆使用したテーマ:はじめての夏
◆キャッチコピー:クイズの夏、はじめての夏

~書き出し~
 プロローグ BOY MEETS QUIZ GIRL



 一年が、まるで一瞬のように過ぎていったことに恐怖を覚えた。
 二年生の教室に変わり、クラスメイトが変わり、同じ校舎に後輩が入ってくるようになる。
 自分だけが、何も変わっていなかった。

 去年までより一階分高くなった教室から、亀山甲はぼんやりと外を眺めていた。
 桜はとっくのとうに散り、ゴールデンウィークも通り過ぎた学校はすでに夏の臭いを感じさせる。そのうちに梅雨が来て、雲が晴れる頃には本格的な夏へと変わるのだろうと思うと、時間の速さにぞっとした。
「カメ、帰らねーの?」


◇タイトル:太陽はジメテの夏
◆使用したテーマ:恐怖、音楽、はじめての夏
◆キャッチコピー:ヤミノクモについて詮索してはいけない。それが村の掟

~書き出し~
 世界は光に溢れていた。
 笑顔がまぶしい双子の女の子が今、僕の目の前にいる。
 ――長い髪のフウと、最近髪を切ったヨキ。
 彼女たちが同時に歌を口ずさむと、いつも不思議なことが起こるんだ。
 
 君と集める ヒルクウキ
 ロクソル山の ナクルに詰めて
 ヤミノクモの 来る前に

 二人は歌いだした。僕を見つめながら、村に伝わる古い歌を。村の子供なら誰でも歌える、穏やかで優しい歌。
 ハイトーンは軽やかに、ロングトーンは力強く。二人の視線と歌声に包まれると、まるで別世界に迷い込んだような錯覚を覚える。

◇タイトル:見えない涙は熱い
◆使用したテーマ:太陽、恐怖、音楽、はじめての夏
◆キャッチコピー:アレになって初めての夏。私に奇妙な友達が出来た。

~書き出し~
 他のところがどうかは知らないけれど、私がよくお邪魔している高校には色々と逸話が多い。
 戦時中に陸軍の人体実験場があったとか、深夜に校庭で幽霊がラインダンスしていただとか、人気のない廊下で女の泣く声が聞こえてきた、だとか。そんな話が通っている生徒の話題に上る頻度は結構多いと思う。
 そんな話が多いのは、学校の東側に建つ旧校舎のせいだと思う。もともと三棟あった内、二棟が新校舎の建設のために取り壊される中、かろうじて生き残った旧校舎は昼間でも不気味な雰囲気をかもし出している。
 度重なる補強と、風雨による劣化で薄汚れた外観をした旧校舎の周りには高い建物がなく、四階建ての汚らしい校舎が周囲を見下ろす形になっている。そんな旧校舎の風情は威圧感たっぷりで、私には下手なRPGに出てくる魔王城のようにも見えた。


◇タイトル:『肌着幻争ミェーザ・ルハダ ~あたしのパンツの向こう側~』
◆使用したテーマ:太陽
◆キャッチコピー:下着が不思議な力を持つ世界、それがミェーザ・ルハダ

~書き出し~
 鳴っていた。
 ブラジャーが。

 意味がわからない? うん、あたしも意味がわからない。
 場所は自室、時はお昼過ぎ。
 買ってきた新品の下着を試着している最中の出来事だった。
 下着の試着といえば、女の子にとって日常の隠れたイベントの一つだ。可愛い下着を身につけた自分を見て、「よーし、ちょっと可愛くなった!」と密かに自尊心を満たす心のひとときなのだ。
 その乙女の大事な時間を邪魔したのが、不意に鳴り出したブラだった。
 一瞬、スマホの着メロ? と思ったんだけど、今室内に鳴り響いているのはアナログなベルの音。


◇タイトル:彼女が泳ぐ影
◆使用したテーマ:太陽、恐怖
◆キャッチコピー:あの日から彼女は、影の中を泳ぎ始めた。

~書き出し~
 僕の彼女が影から出て来なくなってから、一年が経とうとしていた。
 この悩みを友達に伝えても「お前何言ってんだ?」としか返ってこないが、本当に影から出て来なくなったのだから仕方がない。
 もちろん誰にでも入る事が出来るわけではない。僕の彼女、チトセだけが影の中に入る事が出来るのだ。
 チトセはまるで影が黒いプールで出来ているかの様に、気ままにぱちゃぱちゃとその中を泳いでいる。
「いつも気持ちよさそうだな……」
「トモヤも入ればいいのに~」
「ダメも何も、僕が入れないの知ってるくせに」
 僕が影へと飛び込もうものなら、影を映しているアスファルトに顔面を強打することになる。試しに影を触った事は何度もあるが、チトセが泳いでいるような液体を感じる事など一度もなかった。


◇タイトル:マモノに出会う夏
◆使用したテーマ:太陽、恐怖、音楽、はじめての夏
◆キャッチコピー:甲子園にはマモノが棲んでいる

~書き出し~
 ブラスバンドの演奏が音楽の大波を作って、アルプススタンドを揺らしている。数万人の観客は皆、ねこじゃらしを前にした子猫のように白球の行方を追い、時に大声をあげる。それらの音声を切り裂くように、金属バットがボールを弾き返す音が響き渡る。
 八月の阪神甲子園球場は、この日も熱気に包まれていた。
 全国高校野球選手権大会、いわゆる夏の甲子園。高校野球ファンのみならず、多くの人が注目する真夏の風物詩だ。
 藤園昂(ふじぞの あきら)は、レフト側外野スタンドの最上部、立ち見エリアで観戦していた。球場全体を俯瞰できる位置なので、グラウンドだけではなくスタンドの様子まではっきりとわかる。
 一塁側のアルプススタンドでは、見事な演奏がつづいていた。『ルパン三世』のテーマだ。ブラスバントによる重厚な演奏には力強さがあり、選手のみならず観客の気分も高揚させてくれる。プロ野球とは違う高校野球独特の雰囲気に、藤園は懐かしさを覚える。


◇タイトル:パンティハンタージョージ
◆使用したテーマ:恐怖、音楽
◆キャッチコピー:キモいじゃなくて、気持ち悪い。

~書き出し~
※ちょっとエッチです。

 俺の名前はジョージ。
 狙った獲物は逃さない、孤高のパンティハンターである。
 今日の獲物は三組所属のAランク美少女、三村茜のパンティだ。
 長身でしなやかな肉体を誇る三村は陸上部のエースである。鍛えられてしなやかなその太ももやふくらはぎ、二の腕は抜群の肉体美を誇る。少々大雑把だがおおらかで気さくな性格をしており、その笑顔は大変に魅力的だ。
 三村はスカートの下に常に体操着を身に付けている為、普段、彼女の下着の色を拝むことはままならない。その隠されたパンティの正体を暴き出し、わが手に収めてやるのだ。
 三村の住居はマンションの九階にある。一流のパンティハンターにとって、並の一軒屋なら最早相手にならないと言っても良い。しかしマンションの高層にターゲットがあるとあっては、いくらこの俺でも簡単にはいかない。


◇タイトル:四年間(延長可)の夏休み
◆使用したテーマ:はじめての夏
◆キャッチコピー:人生の夏休み

~書き出し~
「おはよー!!!カンカンカン!!!起きて!!!朝だよ!!!!すごい朝!!!!」
 鶏ではない。朝十時半。聞く者の鼓膜を破らんばかりのけたたましい声とフライパンを叩く音が寮内に響き渡った。
 佳乃椰(よしの・やし)。
寮生の安眠を妨害するクソ迷惑な声は、彼女の部屋が発生源だった。
 しかし、その騒音の主は、椰ではない。
「外が明るいよ!!カンカンカンカンカン!!!!!おはよ!!カンカンカン!!!」
 フライパンとお玉を両手に掲げ、彼女の上に跨る女子大生。間豊色(はざま・からー)が、テンションマックスで叫んでいる。
「見て見て!!!!外明るいの!!!やっちゃん!!!!!!外!!!!見て!!カンカンカンカンカン!!」


◇タイトル:天気の子?
◆使用したテーマ:太陽、音楽、はじめての夏
◆キャッチコピー:太陽が出ない村に訪れた奇跡?

~書き出し~
「--ふぅ……」
 魔力を注ぎ込んだ祈祷をひとしきり終えた褐色少女が溜息を吐き出す。少女は疲労で額に汗を流しながらも空を見上げる。
「やはり駄目であったか……」
 少女は眉にシワを寄せ、そんなことを呟いた。
 見るからに不機嫌そうな少女の行動を側で見守っていた老人が頭を下げる。
「申し訳ありません。わざわざご足労いただいたのにも関わらず結果が振るわず……」
「村長よ、謝る必要はない。この状況は妾の力不足じゃ。そなたら村民が責任を感じる必要はない」
「で、ですが……」
「ふむ……まさか妾の力を持ってしても状況を打破出来ぬとは。どうやら思ったよりもこの異常事態は深刻らしいの」
 少女は自身の不甲斐なさで奥歯を噛み締めながら、一切晴間の見えぬ曇天の空を睨みつけるのであった。


◇タイトル:サトエレナーデ
◆使用したテーマ:太陽、音楽
◆キャッチコピー:『流れ落ちる滝のような桜の花びら。終わる春。葉桜。風がびゅうびゅうと吹き、無音の鼓動が時間を追い立てる。視界をふさぐほど降る花びらの中で、二人はただ見つめ、あるいは狂って踊る。』

~書き出し~
はじめに:二人は見つめあう

 モエと千里は、ただ見つめ合っていた。
 見つめ合う、というコンタクトは密で深いコミュニケーションであるのかもしれない。
 だがしかし、公園の広場で踊り狂うモエと、すべり台を指定席にしてぶらぶらと足を泳がせながらその様を見つめる千里は、そのわずか五メートルの距離の間でさえ視界が交わることなく、触れたい、触れ合いたい、というコールを言葉なくすれ違いしていた。
 モエは過度な自己表現をしつつも、本当のところ、自分が嘘の存在だと分かっていたし、千里も自分の体がここにはないことを知っていて、自分は人に触れてはいけないということを自覚している。
 時も、場所も彼女たち二人には大きな隔たりがある。でも、たしかに側に二人がいる。それに気づくのはそれだけで奇跡なのかもしれない。でも、それが分かるから触れ合いたい。


◇タイトル:Beat Mastre~奏でろBeatに乗せて~
◆使用したテーマ:音楽
◆キャッチコピー:キミが誇りを持てば本物になる

~書き出し~
〈1.演奏者〉

 昔の偉人はこう言ったらしい。
 UFOキャッチャーは貯金箱である、と。
 今まさに僕の目の前で名を体にする行為が行われている。熊だか犬だかよくわからない不細工なぬいぐるみを取ろうと、僕と同じ小波高校の制服を着た女子高生達が、次々と五百円玉を投下していっているのだ。
 涼しく冷えた店内のベンチに座ってかれこれ三十分は経つ。僕は彼女たちを行く末を見守るという大義名分を掲げ、静かに観察をし続けた。
 ここで僕が颯爽と現れてぬいぐるみを取ってあげれば、『キャー素敵! 抱いて!』とハーレムを作ることも可能なのだろうが、多勢に無勢。複数のウーマンと一人のメンズでは数が合わない。思春期真っ盛りの高校一年生の僕でも厳しいというものだ。
夏企画運営

3019年08月12日 00時10分52秒 公開
■この作品の著作権は 夏企画運営 さんにあります。無断転載は禁止です。

■作者からのメッセージ
◆テーマ:
・太陽:○
・恐怖:○
・音楽:○
・はじめての夏:○
◆キャッチコピー:キャッチコピー集
◆作者コメント:運営より
何か不備があれば、メールか掲示板にてご連絡ください。

運営あてメールアドレス
rakekikaku@gmail.com

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