押すとクラスの女子全員が誇張しすぎたツンデレになるボタン

Rev.02　枚数： 8 枚（ 3,007 文字）
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「押す？」

　クラスメイトの夏原涼（なつはらりょう）にそう訊かれた俺は即答した。

「押さない」

「なぜ？」

「どうせロクでもないものに決まってるから」

　夏原はイカれた男だった。
　全国高校模試トップの成績を誇りながら、その才能をひ〇つ道具のような得体のしれないナニかの開発に費やし、完成するたびに周囲を実験台にしようとするのが常だった。
　そしてその実験台筆頭は、どういう訳か全国模試で学年最下位の俺・園部直弘（そのべなおひろ）なのである。

「見てみたくないか？　女子たちが全員誇張しすぎたツンデレになった姿を」

「見たくない。そもそも、誇張しすぎたツンデレが何なのか分からない」

「なるほどな。それならこのテストボタンを押すといい」

「押すとどうなる？」

「女子たちが全員誇張しすぎたツンデレになる」

「キャンセルは？」

「できない」

「できねーのかよ！　ならどうしてテストボタンなんて名称にしたんだよ」

「君が騙されるかと思ってな」

　夏原はしたり顔を浮かべる。そこはそういう表情じゃないと思うのだが。

「残念ながら失敗だ。俺は絶対に押さんぞ」

「絶対に、か。何か理由があるのか？」

「……逆に訊くが、ないとでも思っているのか？」

　軽音楽部の演奏する音がオーケストラのそれになったり、図書館の本がオールひらがな表記になったり。夏原の手によって起こされた学校内の怪異は数知れない。

「女子の中にいるのか？　誇張しすぎたツンデレになっては困る人間が」

「……別に、そんな奴いねーよ」

「いま、間があったな。そういう時は嘘をついているって、近所のヤマジくんが言っていたぞ」

「子供に教えてもらってんじゃねーよ！　そのぐらい１７年間の人生経験で学べや！」

　夏原は天才だが、人格的には不足している部分も多かった。
　他人の感情の機微には特に疎いらしく、その結果がこの得体のしれないボタンという訳だ。

「園部。お前、恋をしているのか？」

「……してねーよ」

「ふむふむ、してる……と。相手は誰だ？」

「教える訳……じゃなかった。そんな奴はいねーよ」

「相沢夏希か？　石田美帆か？　宇野沙良か？」

「全員聞くつもりか！　そんな奴はいねーって言ってんだろ」

「川島ちはるか？　斎藤美雪か？　高橋萌か？」

「……」

「米田舞奈か？　病菊恵里か？　渡辺ひかるか？」

「……ッ」

「病菊恵里（やみぎくえり）か。なるほど」

　夏原は再びしたり顔を浮かべた。今度はちょっとムカつく。

「それで、病菊のどういうところが好きなんだ？」

「……は？　俺は別に」

「病菊とセックスしたいのか？」

「ブッ！」

　唐突な発言に噴き出すも、夏原はふざけた様子もなく真面目だった。

「お前、いきなりそんなこと言うか普通？」

「普通、とはなんだ？　好きな相手とセックスしたくなるのは自然な感情だと、恋愛教則本には書いてあったが」

「それは……」

　確かにそうかもしれない。夏原が読んだという本が正しい本なのかどうかは怪しかったが。

「私は生まれてこの方、恋愛感情も性欲も抱いたことがなくてな。だから教えてくれ、好きな相手とセックスをしたいという感情について」

「教えねーよ！　そんな恥ずかしいこと話せるわけねーだろ」

「さもなければこのボタンを押す」

「急に脅迫！？」

　夏原はボタンに指を掛けた。咄嗟に教室内を見回すも、女子たちは平和そうにお喋りを続けているだけである。

「教えてくれなかったらこいつらがどうなるか……分かってるよなぁ？」

「急に悪人みたくなったなお前」

「それで、愛情と性欲の比率は？　何対何だぁ？」

「……」

「仕方ねぇ、カウントダウンだ。３，２、１……」

「分かった、分かったから！　……教えるよ」

「ケッ、さっさと言えってんだノロマがよぉ」

　夏原はどうやら悪人ロールプレイを楽しみだしたらしい。
　ムカつくことこの上ないが、うっかりボタンを押されてしまったら取り返しがつかない。
　ここは一時の恥と割り切るべきだろう。

「……２対１だよ」

「ほう、愛情の比率の方が高いのか。つまり愛があるからセックスをしたいというわけかぁ？」

「そうだよ！　俺は病菊が好きだからセックスしたいの！」

　瞬間、教室がシンと静まり返った。
　教室中に響くほどの大声を発してしまったのに気付いたのは、クラス中の視線がこちらに向けられてからだった。

「園部君……」

　一人の女子が俺の名を呼びながら歩み出てくる。
　病菊恵里は今日も可愛かった。
　ぱっちりとした瞳に、ニキビ一つないきれいな肌。
　太ももは見えず、膝が見える程度の絶妙なスカート丈。
　そして小説によく出てくる”鈴の音のような”声。

「病菊、これはその」

　誤魔化す言葉が見つからない。
　病菊が更に一歩進み出てきて、もう終わったと思った時だった。

「わたしも、園部君が好きだからセックスしたい！」

　再び教室は静まり返った。
　しかし今度は５秒後に、教師が飛び込んでくるんじゃないかというほどの盛り上がりを見せた。

「ちょっと病菊さん、マジ？」
「いきなりセックスしたいとか大胆ー」
「お、俺の恵里ちゃんがぁ……」
　
　クラスメイトが好き勝手言い出すのをよそに、俺と病菊は向かい合っていた。

「病菊……」
「園部君……」

　まさか、こんな形で想いが通じ合うことになるとは。
　夏原の発明品は迷惑でしかないと思っていたが、今回ばかりは感謝するべきなのかもしれない。
　そう、思っていた矢先だった。

「あっ、なにこのボタン？　押してみようポチっとな」

　俺や夏原が制止する間もなく、病菊はボタンを押してしまっていた。

「や、病菊？」

　見たところ何も変化はない。他の女子たちも同様だ。
　ただ、みんな一様に俯いたまま黙り込んでしまい――
　次の瞬間、”それ”は始まった。

「ちょおっとおォォォォ、園部くぅんんんンンンンン！！！？」

「は、はいっ！？」

「かぁッ、勘違ぁいしないでェェェェェよねェエエエェェェェエエエ！！？　好きィってイイイイイイイイイったけど、そぉれはぁ人とぉしてェェェなんだからねぇェェェエエエエエエエＹｅａｈＹｅａｈＹｅａｈ！！？？」

「……はい？」

　何を言っているのか分からない。
　ただ一つ言えるのは、耳をつんざくような大声も、イナ〇ウアーのような奇妙なポーズも、普段の病菊には全く似つかわしくないということだ。

「まァでもぉぉぉオオオオオオウ、アンタァがＤｏしてもってイイイイイイイイイうならぁぁぁぁぁＡｈ、つぅきあってアゲナァァァァァァくもないけどねぇェェェェ！！？」

「……はぁ」

　どうやら、これが”誇張しすぎたツンデレ”の姿らしい。
　夏原の話を聞く限り元には戻せないようだが、これではあまりにも女子たちが可哀想だろう。このままでは彼女たちの将来にかかわる。

「なぁ夏原」

「なァによォォォォォ」

「えっ？」

「べぇつぅにィィィィィイイイイ、アンタァを実験台にしてきたのはァァァァァ、アンタァがバァカそォオオオオオオオオオオオオオオオで丸め込みやすそぉおオオオオオオオオオオオオオだったからでェぇぇ、アンタァのことが好きってわけじゃぜんぜェエエエエエエエエエエエエエエエエエエエエエエエエエエエエエエエエエエエエエエエエエんないんだからねぇェェェェエエエエ！！？」

「……」

　教室内は依然として混乱している。
　それでも俺は、事態の収拾に乗り出す前にどうしても言いたいことがあった。
　気持ちを落ち着け、それから小さく息を吸って一言、



「お前、女子だったんかいっ！！！」
クロウ ybRLeslnVk

2019年08月09日 07時06分56秒 公開
■この作品の著作権は クロウ ybRLeslnVk さんにあります。無断転載は禁止です。
■作者からのメッセージ
◆テーマ：
・太陽：×
・恐怖：○
・音楽：×
・はじめての夏：×
◆キャッチコピー：こんな状況ホラー以外の何物でもない。
◆作者コメント：今回はふざけまくって書きました。もっとふざけたかったなぁ……。

2019年08月26日 21時45分24秒
 作者レス
  • 皆さん企画参加お疲れさまでした。作者のクロウと申します。

    さて、すでにお分かりの通り拙作はひどい一発ネタでしたｗ

    まずタイトルそのままのアイディアが閃き、これはそのまま書いちゃおうと適当なオチを考え、なんとか小説の体らしきものを整えて完成しました。

    中身はほとんどないと言っていいです。それでもこれだけ多くの方に感想をつけて頂けたのは、単純な短さと、タイトルの吸引力じゃないかと自己分析しています。

    どんなに頑張っても書いた作品が読んでもらえないのでは勿体無い。改めてタイトルの重要性を理解した次第です。

    それにしても……ザコシのネタに触れてくれたのは赤城さんだけでしたね。
    皆さんバラエティは見ないのでしょうか。
    ドキュメンタルでのザコシのネタが面白かったので、この作品を思いついたというのもあります。
    創作のヒントになるかもしれませんので、知らない方は見てみるといいんじゃないでしょうか（適当）

    総評はこのぐらいで。
    最後に、企画運営に携わった方々、本当にありがとうございました。
    次回もぜひ参加したいと思います。よろしくお願いします。

    E-Mail pass
2019年08月25日 23時40分44秒
 +20点
  • 作者の方へ

    作品読みました。
    掛け合いがとても楽しかった学園コメディでした。
    夏原涼がキャラクターが立っていて好きでした。使えない発明家や……。

    全体的に掛け合いがうまくてさくさくと読み進めることができたのですが、この作品の肝となる最後のオチの部分で個人的に違和感を持ってしまいました。
    えぇ……気が付かないっていうこと、あるかなぁ……？　っていう感じ。
    もちろんこの短さなので、勢いで読み切るというのが想定された読み方なのかなと思いますが、どうしても最後の部分でつまづいてしまいました。

    それ以外は、展開にリズムがあり終始楽しく読むことができました。
    強く構成を意識していたのだろうなと思っています。

    楽しい物語をありがとうございました。
    執筆お疲れ様でした。

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2019年08月25日 22時12分54秒
 +10点
  • 『押すとクラスの女子全員が誇張しすぎたツンデレになるボタン』拝読しました。

    ・『押すとクラスの女子全員が誇張しすぎたツンデレになるボタン』というアイデアは「なんだそりゃ」という感じで気になりますし、そんな道具を開発する夏原といいうキャラの存在は面白いと思います。
    　あと、「わたしも、園部君が好きだからセックスしたい！」という病菊のセリフにはインパクトがありました。

    ・私としては「クラスの女子全員が誇張したツンデレになってから、どういった展開になるのか」という期待を抱いていたので、ボタンを押した直後にストーリーが終わってしまったのは残念でした。
    　また、夏原が実は女だったというオチは、予測できたかどうかはともかく（私は予測できませんでしたが）、本作の内容とはマッチしてないオチだったように、個人的には感じました。
    　私としては、クラスの女子全員が誇張したツンデレになってパニックが起こって、それを園部と夏原が解決する（夏原の他の発明品を使うなどして）、という展開が見たかったです。

    ・『押すとクラスの女子全員が誇張しすぎたツンデレになるボタン』というアイデアは面白いので、もっとそれを前面に押し出した構成にした方が良くなるのでは、と個人的には思いました。


    　感想は以上です。指摘点が私自身の作品にブーメランになっていたらごめんなさい。
    　執筆お疲れさまでした。

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2019年08月25日 14時21分59秒
 +10点
  • 　執筆おつかれさまです、燕小太郎と申します。
    『押すとクラスの女子全員が誇張しすぎたツンデレになるボタン』読みましたので、感想を残したいと思います。

    　うん、すごく力押しだと思いました（笑）

    　ただもちろん、ごり押ししただけではないところがこの作品の良いところで、誇張しすぎたツンデレというテーマで引っ張りながら、最後はこの装置によって夏原涼が女子であることがわかるという意外なオチへと落としている。パワー＋テクニックで、きちんとどうすれば面白くなるかを理解している作者様だと思います。

    　……うん。他に書くこともないかな。もうどこを突っ込んでも負けな気がします。

    　拙い感想ですが、少しでも参考になる部分があれば幸いです。

    E-Mail pass
2019年08月23日 22時26分45秒
 +10点
  • こんばんは、僭越ながら感想を述べさせていただきます

    話はとっても普通でした

    …いや待ってください。普通だったからといってつまらないという訳じゃないんだからね！（ツンデレ風）

    執筆をしている方の多くが感じるのが、『普通なことやるって意外とムズイんだな〜』ということです
    オリジナリティを出しても下手をすれば自分よがりになってしまいますし、オチでビックリさせたくても突拍子もない展開だと読者さんたちに？を浮かばせてしまいますし、色々と話を普通に締めるって大変なことなんですよ

    私もそういう作品を作りたいのですが、これが中々に難しく、日々試行錯誤の毎日です

    なので、あまり減点するところがないこの作品は私の求めるモノがたくさんあり、勉強するところが多い良い作品でした
    特にツンデレになった後のセリフ回し、正直好きです笑



    人並みではございますが、感想は以上となります。面白い作品を提供してくださりありがとうございました！

    E-Mail pass
2019年08月21日 19時55分21秒
  • 読みました。恐怖なのかな？　というのが読んだ直後の正直な感想でした。ツンデレなら萌えもあるだろうとは思いましたが、萌えもない気がします。あったのは悪ふざけだけで。。。「もっとふざけたかった」ですか？　そうですね、ふざけるなら中途半端ではなく、もっとぶっちゃけたほうがよかったです。でも具体的にどうすればいいかはよく指摘できません、すみません。
    お疲れ様です。

    E-Mail pass
2019年08月20日 11時23分06秒
 +10点
  • くそw負けたw

    ラストでちょっと笑ってしまった……

    王道というか、パターンというか、想像出来ていたのにラストで思わず、笑わされたこの敗北感よ……

    でぇもオオオオオ、もットおおooooo、面白くぅウウ〜〜、できぃるぅううとおおおおオモウんだからねぇぇエエエエエエエエエ！！！！


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2019年08月20日 05時13分58秒
 +20点

  • 　どうも、読み終わりました！

    　勢いで読まされてしまった。基本的に「構成のよさ」とかはよくわからない人間なので、こういった作品は好きですｗ

    　なぜ、イナ〇ウアーが伏せ字になっているのかとか、夏原が男装していた意味とか、よくわからんがいいんじゃｗ

    E-Mail pass
2019年08月19日 22時46分47秒
 +10点
  • 　どうも。ごきげんよう。文文です。ツンデレもめっきり見なくなったなぁと思いましたが、そもそも最近あんまりラノベ読んでなかったです。おじさん化が深刻。
    　拝読いたしましたので感想など。


    　お前女だって気づいてなかったんかい！
    　このツッコミ入れさせられた時点で負けです。悔しいですが笑ってしまいました。
    　おそらく作者様としては、涼の一人称を出した時点で、「女だって気づかれなければそれで良し、気づかれたら二段目のオチがあるからよし」と考えられていたんじゃないでしょうか。まんまとやられました。まさか直弘のバカさが伏線になっていたとは。
    　でも実際、オチだけじゃなくて、子供に教えてもらった下りとか、病菊さんが吹っ切れたところとか、普通に笑いました。


    　感想は以上です。タイトルと冒頭からわかる通りの軽い作品で、さっくりと楽しめました。
    　ではでは。

    E-Mail pass
2019年08月18日 14時58分34秒
 +10点
  • 　執筆お疲れ様です。
    「押すとクラスの女子全員が誇張しすぎたツンデレになるボタン」を読ませていただきました。

    　いやぁ、ばかばかしい（誉め言葉
    　誇張しすぎたツンデレ。そしてラストに気持ち良いくらいのオチ。さらりと読める作品でした。

    　ただ、若干オチに行くまでが長かったようにも思えます。
    　オチとしても、想像の範疇でありましたので、もう一つ予想外の展開があっても良かったかな、と。
    　主人公も実は女の子で、誇張しすぎたツンデレ化しちゃうとか……。

    　以上となります。
    　読ませていただきありがとうございました。

    E-Mail pass
2019年08月18日 08時51分41秒
 +20点
  • 暑い日が続きますね。
    『押すとクラスの女子全員が誇張しすぎたツンデレになるボタン』拝見させていただきました。

    怖いよ！
    いやー、ほんと怖かった……しかもこう……明後日の方向から怖がらせてくるとは一本取られた感じです。

    ただまあ、オチがワンテンポ遅かったかな、と。
    最後、突っ込む前に主人公一旦溜めますが、もうあの時点で気づいちゃったのでツッコミがずれてる感じがありました。
    まあ、細かい点ですが一応ということで。

    ●総評としては

    あまり言うことはないですね。
    バカバカしくも面白く、短いながらも味があり記憶に残りそうな作品でした。良かったです。

    それでは、執筆お疲れ様でした！

    E-Mail pass
2019年08月17日 16時32分13秒
 +10点
  • 　どうも、ハリウッドザコシショウのモノマネがお下品だとは思いつつ、大好きな赤城と申します。
    　良い意味で酷い作品だったかと思います。誇張し過ぎたツンデレ、というネタをぶっこむ、それ以上でもそれ以下でもない作品で、ストーリーだとか、構造だとか、そんなものに感想を述べるのは無粋以外の何物でもないとは思いますが…しいて言わせて頂くと、中盤、ボタンを押す前の下りがやや冗長だったので、そこをスリムにすると、よりネタが際立つんじゃないかなーと思いました。
    　誇張し過ぎたツンデレ、常人ではなかなか思いつかない発想だったかと思います。そんなネタを作者様にもたらしたのは何だったんですかね…。

    E-Mail pass
2019年08月15日 12時44分37秒
 0点
  • こんにちは、たてばんと言います。

    僕も夏原寄りの考えで、『好きだからセックスする』というのがイマイチ理解できないので、ぜひ教えて欲しいところです。
    同級生の家に当時の彼女と遊びに行った際、深夜にＮＴＲに遭遇した僕としては、純愛のセックスなんて夢物語でしかないです。
    おかげで誰も信用しない思考回路ができあがりました。

    というわけで、そろそろ作品に話を戻しましょう。

    今作はラブコメ要素の強い物語だったと思います。
    リズミカルな展開で読みやすかった反面、台詞で話しが作られていたので、もう少し地の文を入れた方が良かったかもしれません。

    あと、驚いた時の姿勢の変化とか、焦っている時の手癖とかを表現すると、もっと面白くなると思います。
    今作は出来事が淡々と描かれているだけの、プロットに近い出来栄えでした。

    まだまだ書ける物語なだけに、勿体ないという印象を受けました。

    以下は作中で気になった箇所になります。

    １．
    ―「押す？」

    　クラスメイトの夏原涼（なつはらりょう）にそう訊かれた俺は即答した。

    「押さない」―

    ここなのですが、

    「押す？」
    「押さない」
    　クラスメイトの夏原涼にそう訊かれた俺は即答した。

    の方が、即答感が生まれると思います。
    台詞の間の地の文を読んで『即答した』とあるのに、その『即答した』台詞が後に来るのは悪手だと思います。

    会話のリズムを考えると、即答したのなら台詞同士はくっつけた方が良いと思います。
    地の文の『間』が、読者にとってはリラックスタイムになっちゃうんですよね。

    ２．
    ―「私は生まれてこの方、恋愛感情も性欲も抱いたことがなくてな。だから教えてくれ、好きな相手とセックスをしたいという感情について」―

    一人称が『私』というのも良くないですよね。
    オチが『お前女だったのかよ』なのに、一人称で答え出てるんですもん。

    勿論、一人称が『私』の男もいますが、映像のない小説で『男だけど一人称は私』と言われれば、『あえてその書き方をする以上、なにか伏線があるのかな？』と読者は疑ってしまいます。
    それなら、僕っ娘にした方が、読者を安全に騙せたのではないでしょうか。

    あと、一番最初の『押す？』もですが、淡々としているキャラにしては、言い方が大人しく女性寄りです。
    『押すか？』の方が男らしく、そして、一般的な女性は使わない言葉遣いなので、読者を騙しやすくなります。


    僕の感想は以上になります。

    ……。
    これは朱鷺（とき）さんの感想を読んでの意見なのですが、僕は最後のオチはアリだと思います。

    理由は『一人称だから』です。
    一人称なら主人公の主観で語られるため、『お前女だったのかよ』というオチが成立します。

    これが三人称だと、語り手は真実を地の文で説明する必要があるため、『男である』と説明した以上反則となってしまいます。
    一人称なら勘違いでの『男である』なので、問題がないです。


    僕からは以上になります。
    僕は意見を言葉にすることが苦手なので、意味が通じなかったらすみません。

    では、そろそろ失礼します。

    E-Mail pass
2019年08月14日 14時09分23秒
 +10点
  • uni と申します

    この作品を読ませていただいたので、感想を残しておきます
    ＧＷのときに自覚はしたつもりなのですが、おそらく、まだ厳しい表現と思われるので、どうぞご容赦ください


    全体：
    発想についてはなかなかいいなと思います
    キャッチコピーが正しすぎると思います

    文章・構成系：
    変でないです
    枚数増やして、ストーリー性などを考えていっても、問題ないように見えます
    （個人的な感覚だと、枚数が多いほうが脳トレ＋修行になると思っていて、チャレンジすると違う世界が見えると思ってます）
    最後の夏原は、ここに来る人はオチとして想定する範囲に入っている気がします
    （わかりやすいということで、悪いわけではない気がします）

    オリジナリティ・テーマ系：
    キャッチコピーが正しすぎると思います

    キャラクター・台詞系：
    分量的に適切と思います

    取材・時事情報系：
    ぜんぜん大したことないけど、病菊恵里ってネーミングセンスは認めてやってもいいわ！

    E-Mail pass
2019年08月13日 17時06分08秒
 +10点
  • 　わははは、面白かったです。
    　読了いたしました。朱鷺（とき）と申します。
    　意表をつく展開と、本当に効果を発揮する発明品。
    　ＳＦは大好きなので、こんな話は、大歓迎です。
    　楽しめました。
    　ところで、最後のオチは、反則です。
    　地の文に、「夏原はイカれた男だった」、と書かれていますよね。
    　これが、「夏原はイカれたヤツだった」、あるいは、「俺は、以前から夏原をイカれた男だと思って（！）いる」、などと書いてあれば、あわてて読み直して、「やられた～！」、と思うところでした。
    　執筆お疲れ様でした。次回作も楽しみにしております。

    E-Mail pass
2019年08月12日 00時33分24秒
 +10点
  • 　スイッチを押すか押さないか、からのセックスしてーぜ、わたしも、からのスイッチぽち
    　なんやこれわけわからへんやんひぇええ、おまえも女かーい（終
    　タイトルくそふざけてるわりには勢いがよわかったかも
    　ぼくは、もっとえっちによせるか、ラブによせるか、ふざけによせるか、したほうがいいかもとおもいました。
    　灰汁が足りない…！

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合計 15人 160点

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