ミガクとひかると砂時計

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　公園のベンチにあぐらをかいて座るのが、ボクの癖だった。
　行儀悪いとは、思うけど。
「ミガク、姿勢悪い」
「いいの」
　卒業式かっていうくらい、きちんと背筋を伸ばして膝に手をのせている、ひかるに言われたくない。
「そんな背筋伸ばすこともないんじゃない？」
「だめだよ、猫背になっちゃう」
　生真面目な顔で、ひかるが答える。サイドテールが、小さく揺れた。
　泥の一つもつけたら怒られそうなお嬢様っぽい格好に、ぴかぴかの靴。上品な顔立ちやきちんとした佇まいは、やっぱりクラスの他の女の子とは纏うオーラが違う気がした。
　Tシャツにハーフパンツ、実はつま先に穴が空いている靴下を履くボクとも、だいぶオーラが違うんだろうなと、思う。
　あと一週間もすれば、ボクたちは中学生になる。そんな季節の。
　良い子のチャイムはとっくに鳴った、そんな時刻。
「で、面白いものってなに？　ひかる」
「これだよ、ミガク」
　本当はガクが名前なんだけど、名字から一文字引っ張ってきて、ミガクって呼ばれている。主にひかるから。というか、そう呼ぶのはひかるだけ。
「前は南を向く方位磁石だっけ。あのくだらないやつ」
「くだらなくない。結構悩んだくせに」
　どこを向けても真南を指し続ける方位磁石。最初は驚いたけど、なんてことはない。針の北と南の色を逆にしただけのことだった。
「これ」
「なにこれ？　砂時計？」
「うん、でも、ほら」
「わっ」
　コツ、とベンチに音をたてておかれた砂時計に、ボクは思わず声がでてしまった。
　下に沈んだ砂が、上へと上がっていくのだ。目をこすってみても、上へと浮かび上がる砂の量が増えていくばかりで、夢を見ているわけでも寝ぼけているわけでもないらしい。
「ふーん、どうなってんだろ。触っていい？」
「いいよ」
　ひかるの返事を待って、砂時計を手に取る。掌よりちょっと大きいくらいの砂時計で、思ったよりも重い。試しにひっくり返してみると、また上へ上へと、赤茶けた砂が上がっていった。
　不思議な砂時計だ。
「考える？」
「考える」
　嬉しそうに尋ねるひかるに即答し、顎に指をあててじっと見つめる。
　ひかるが持ってきた面白いものや、ちょっとしたなぞなぞを、ボクが解く。ひかるはそれを面白そうに眺める。それが、ボクたちの遊び方だった。
「ね、ミガク」
　考えている間に、ひかるは質問する。ボクは考え事をしているから、深く考えず答える。
「カレーとラーメンだったら、どっちが好き？」
「カレー」
「わたしはラーメン。じゃあハンバーグとステーキだったら」
「ハンバーグ」
「ステーキ」
　質問をしている分、ひかるよりボクの答えが先に来る。もっとも、カンニングできるような差ではないけど。
「学校で好きな授業は？」
「体育」
「家庭科。じゃあ、好きな色は？」
「黒」
「わたしは青。じゃあ、好きな季節は？」
「秋」
「春」
　やっぱり合わないね。ひかるはそう言って笑った。いつものやり取り、いつもの結果。
「そうだね。相性悪いのかも」
　考え事しながら、浮かんだことをそのまま口にした。ひかるが首を傾げる。
「そうかな」
「そうだよ」
「そんなことないよ」
　また食い違った。少し顔を上げると、夕陽に照らされた横顔に一つ大きく心臓が跳ねる。あわてて、視線も思考も砂時計に戻した。
　あぐらをかいたまま、猫背になって。
　ぴゅう、と風が吹いた。太陽が傾いて、少し冷たくなった風。
　次の言葉に、ほんのちょっとだけ躊躇いが混じった。
「……引っ越し、明日だっけ」
「……うん」
　ひかるの言葉にも、小さな躊躇いが感じられた。
　ボクらはもうすぐ、中学生になる。
　同じ中学に通うわけでは、ないけれど。
「寂しい？」
　少し俯いて、ひかるが言った。顔を上げずに答える。
「寂しくない」
「わたしは、寂しい」
　またひかるが笑った。悲しそうな笑い方だった。
「やっぱり、合わないね」
　どう答えていいかわからなくて、砂時計をひっくり返してごまかした。
　赤茶けた砂が、また上っていく。
　砂はひっくり返せば、また戻っていく。
　ひかりが引っ越して行ってしまっても、会いに行けばまた会えるのだろうか。こんな時間を取り戻すことが、できるのだろうか。
　わからない。砂が上がる理由も、これからのことも。
「ヒント、あげようか？」
「うん」
「ヒントは、わたしたち」
　よくわからない。ボクは眉を顰めて彼女を見た。
「なにそれ、それがヒント？」
「そう、それがヒント」
　わたしたち、ってなんのことだろう。子ども？　それとも名前？　ひかるとミガクで、光が関係している、錯覚の一種とかかな？　よくわからない。
　うーんと腕組みしながら、ついには天を仰いでしまう。
「タイムスリップするとしたら、過去と未来どっちに行きたい？」
「未来」
「過去。だってこれから起きること見ちゃったらつまんないじゃん」
「わかりきってる過去なんて見てもつまらないだろ」
「そうかな」
「そうだよ」
「……そうなの、かな」
　いつもと違う反応に、僕は顔を上げた。
「本当に、合わないね。なんでだろうね」
　俯きかけたひかるの顔を、見れなかった。言葉だけが、気づいたら出ていた。
「……簡単だろ」
　砂時計からも、ひかるからも目を逸らして。
　唇を尖らせるようにして、答える。
「ひかるは正直者だから。ボクはウソツキだから」
「え……え？」
「同じ答えになると恥ずかしいから」
　本当はステーキが好きだ。高いから言わないけど。
　本当は青が好きだ。寒くなる秋より暖かくなる春が好きだ。
　行けるなら過去に行きたい。ずっと繰り返してきたひかるとのやりとりを、もっとずっと繰り返していたい。
「わたしが引っ越したら……寂しい？」
「……寂しい」
「わたしも、寂しい」
　呟くようなか細い声で答えた。何だか顔が熱いから、じっと砂時計を睨む。
　だから、ひかるがどんな表情をしているかはわからない。
「……そっか」
　でも彼女の声は、とても弾んでいるように聞こえた。
「ようやく、合ったね」
「そうだね」
「やっぱりわたしたち、相性良いのかも」
「そうかな」
「そうだよ」
　いつもと同じ、でもちょっと違うやり取りが、くすぐったくて、楽しい。
　緩みそうになる唇を、もにゅもにゅさせてこらえるボクに気づいているのかいないのか、ひかるが嬉しそうに言った。
「じゃあ、やっぱりわたしたちじゃないね」
「何が？」
「ヒント」
「ヒント？」
　最初はボクたちっぽくて、やっぱりボクたちっぽくないってこと？　
　つまり、合わないと思っていたからヒントだったけど、そうじゃなかったからヒントにならないってこと？
　なんだよそれ。東京と大阪？　じゃないよな。もっとこう、合わない感じの何か。水と油みたいな……あっ。
「水と油！　そうだ！」
　そうだ、水と油はくっつかない。そして重さが違うから、軽い方の、色づけされた赤茶色の液体が上に上がっていく。
「解けた！　解けたよ！　この中には砂じゃなくて、二種類の液体が入っていたんだ！」
　ぐっとガッツポーズを決めて勝ち誇ったように宣言する。
　さっきまでいたはずのひかるがいない。
「ひかる？」
　きょろきょろと辺りを見回しても見当たらない。
　急に不安が押し寄せてくる。待ってよ。急すぎる。
　思わず立ち上がって、不安を振り払うように叫ぶ。
「ひかる！　わかったんだよ！」
　問題を出すだけ出しておいて、答え合わせしてくれないなんて、ないだろ。
　じわりと目端に何かがこみ上げてくる。ぐっと鼻を啜って、声を振り絞った。
「ひかる！　どこだよ！　ひかる！」
「呼んだ？」
「うわっ！」
　不意にかけられた声に跳び上がる。慌てて振り向くと、ベンチの裏からきょとんとしたひかるが立ち上がった。
「ハンカチ落としちゃって。拾ってたの」
「……なんだよぉ」
　こみ上げてきたものが強い分、ほっと抜けていくものも大きかった。
　倒れ込むようにベンチに体を投げ出す。
「解けたんだ？」
「うん。色の違う水と油が入ってるんだ。で、軽い油が上に浮くんだと思う」
「ん、正解」
　ぱちぱちぱちー、と手と口で拍手してくれる。喜ぶ気力もなかったが、褒められるとやっぱりちょっと嬉しかった。痒くもない鼻の下をこする。
　そしてまた、ぴゅうと冷たい風が吹いた。
　ひかるがそっと髪を押さえる。
「……じゃあ、砂時計の謎も解けたし、そろそろ帰ろっか」
「……うん。もう暗いしね」
　ひかるにつられるように、ボクも立ち上がる。
　帰り道は別々だ。だから、帰るならここでもうお別れになる。
「明日の引越、来てくれるよね？」
「見送り行くよ。必ず」
「うん」
　こくんと頷いて、ひかるは躊躇わず一歩を踏み出す。
「また明日」
「うん、また明日」
　これで最後じゃない。また明日会う。いつも通りのお別れ。
　いつも通りじゃないお別れを前にした、最後の『いつも通り』。
　よくわからない感情に意味もなく歯を食いしばったとき、ひかるが足を止めた。
「……ミガクは正直者って言ってくれたけど、わたしだってたまには嘘つくよ」
「そうなの？」
「うん。泣いたの見られたくないからベンチの裏に隠れて、ハンカチ落としたって言うくらいはね」
「……っ！」
　ぼっと頬が熱くなる。夕陽が影になって見えないけど、多分彼女は笑っていた。
　ふと、手の中の砂時計のことを思い出す。
「あっ、そうだ、砂時計！」
「ミガクに預けとくから！」
　返し忘れた砂時計を見せると、ひかるはそう言った。
「次会うときに、持ってきて！」
　そう言うなり手を振って、早足に行ってしまった。
　一人になると、急に辺りが暗くなり、寒くなったような気がしてくる。
　手の中の砂時計だけが、唯一暖かく感じられて、ぎゅっと握りしめる。
「……次会うときに持ってきて、か」
　砂時計をぼんやりとひっくり返しながら、よしと心に呟く。
　明日はこれを忘れて行こう。
　そうすれば、またいつか返しに行かなきゃいけなくなるから。
燕小太郎

2018年04月29日 21時58分54秒 公開
■この作品の著作権は 燕小太郎 さんにあります。無断転載は禁止です。
■作者からのメッセージ
◆キャッチコピー：ひっくり返して戻るもの、戻らないもの
◆作者コメント：2018年GW企画開催、まずはお祝い申し上げます。
　作品参加を諦めたり諦めきれなかったりを繰り返しながら、なんとか締切に間に合わせることができました。諦めないって大事ですね。
　今回は枚数の多い作品がたくさんあり、参加した皆さんの並々ならぬ気合を感じます。今から読むのをとても楽しみにしています。もちろん感想もできる限り書きますよ。

　では、よろしくお願いします。

2018年05月15日 15時46分19秒
 作者レス
  • 　改めまして、GW企画おつかれさまでした。『ミガクとひかると砂時計』作者の燕小太郎と申します。

    　コメントの通り、上限いっぱいの物語を構想してはボツにするを繰り返し、結局締め切りが迫って短い作品で参加することに決めました。せっかくだから10枚で区切り、久しぶりに掌編サイズでやってみようと。

    　結果としては、良くも悪くも予想通りと言うか、きちんと自分が書こうと決めたものは書けていたのかなと言った印象です。
    　書こうとしたものとして、まず文章で雰囲気を作ること、そして一シーンの中できちんと動かすこと。10枚という短い中で何を書いて何を書かずに済ますか。どう書けばより少ない文字数でより多く伝えられるか、という点を意識していましたが、皆さまの感想を見た限りでは、それなりにできたのではないかと思います。

    　今作で足りなかった点といえば、やっぱり大きな長所・魅力となるオリジナリティがなかったことでしょう。作中の雰囲気共々、やはり大人しい感じが全体に広がっていて、高い満足度まで届かない。箸休めのお菓子にはなっても、メインにはなれないパワーの弱さかなと思います。
    　前回の密室企画や今まで高評価を頂いた作品は、やはり前に出して恥ずかしくない武器がハッキリとしていましたから、これが最後のプラス10点を分けるのだろうなと思います。

    　ちなみにタイトルにもなっている二人の名前『ミガクとひかる』ですが、ストーリー的に特に意味はありませんでした。ただ、ひかるという少女が仲の良い少年に、ミガクという仇名をつけて呼んでいることから、二人の仲を想像してもらえたらいいな、という風には祈っていました。
    　キャラクターの名前を入れたタイトルを一回やってみたかったので試してみたのですが、結果的に不自然に深読みさせてしまった面もあるかもしれません。

    　では、できるだけ早くお一方ずつへの返信をしたいとは思っていますが、ちょっと時間がかかるかもしれません。かからないかもしれません、それはわかりません。
    　気長にお待ちいただければ幸いです。

    　それでは最後に、読んでくれた方々、感想を頂いた皆様に、厚く御礼申し上げます。ありがとうございました！



    E-Mail pass
2018年05月12日 23時21分24秒
 +20点
  • 『ミガクとひかると砂時計』、拝読しました。感想を書かせていただきます。


    　短いながらも、キャラクターの心境が伝わる、いい作品でした。

    　もうすぐひかるお別れになってしまうミガク切なさを、繊細な文体でつづっていますね。一見簡素な文章なのですが、言葉の選び方が上手いのか、読んでいると自然と引き込まれ、ミガクとシンクロしてしまうような、素晴らしい文章でした。
    　
    　ストーリーとしては、ミガクとひかるの意見が合わないという部分がよかったですね。二人の微妙な距離感を示すとともに、もうすぐ離れ離れになってしまう寂しさも表現している、非常に上手い演出だと思います。

    　液体の砂時計に関しては、私はその存在を知らなかったのですが、これもまた、不可逆な時の流れを表現したいいアイテムだったと思います。「逆転」の使い方としてもグッドですね。

    　全体として、とても雰囲気がよく、みずみずしい青春の一ページを見事に切り取った良作でした。

    　とはいえ短い作品なので、読み応えとしてはそれなりという感じでした。
    　これくらいの短さだと、どんでん返しなど大きなインパクトがないと、「凄く面白い！」とまで思うのは難しいというか…。

    　いや、この作品にどんでん返しを求めているわけじゃないんです。
    　ただ、この作品の良さを十分に伝えるには、この枚数では足りないと思うのです。
    　もっと長い枚数で、50枚でも、企画上限の100枚でもいいです、それくらいの長さで書いた方が、ミガクとひかるの甘酸っぱい物語はより生きると思うのです。
    　この作者さんなら、それができるはず。

    　とはいえ、作者コメントからも時間が足りなかったことは察せられますし、むしろこの枚数で、二人の切ない心理を描き切ったことは筆力の証かと思います。
    　
    　なんにせよ、いい作品であったことは間違いありませんでした。


    　感想は以上です。執筆お疲れさまでした。

    E-Mail pass
Re: 2018年05月25日 19時23分44秒
  • 　いりえミトさん、感想ありがとうございます！

    ＞短いながらも、キャラクターの心境が伝わる、いい作品でした。
    　ありがとうございます。締切等々の理由から久しぶりに短い作品へのチャレンジとなりましたが、その中できちんと伝えようと思っていたことが伝えられたのかなと思います。

    ＞もうすぐひかるお別れになってしまうミガク切なさを、繊細な文体でつづっていますね。一見簡素な文章なのですが、言葉の選び方が上手いのか、読んでいると自然と引き込まれ、ミガクとシンクロしてしまうような、素晴らしい文章でした。
    　ありがとうございます。一人称はキャラクター（ミガク）の心情が地の文に直接出るので、上手く活かせたかなと思います。また、あまり難しい単語は使わないようなイメージで書いていましたが、その辺りがミガクの年齢相応になっていれば幸いです。

    ＞ストーリーとしては、ミガクとひかるの意見が合わないという部分がよかったですね。二人の微妙な距離感を示すとともに、もうすぐ離れ離れになってしまう寂しさも表現している、非常に上手い演出だと思います。
    　10枚という枚数で、ストーリーをきちんと作り動かすというのは今作のテーマの一つでした。気が合わないという点が、ウソツキという言葉から逆転してとても合っていたことに気づく、というか明らかになる。何気ないやり取りを通じてお話がきちんと動かせていれば、狙ったことができたのではないかと思います。
    　
    ＞とはいえ短い作品なので、読み応えとしてはそれなりという感じでした。
    ＞これくらいの短さだと、どんでん返しなど大きなインパクトがないと、「凄く面白い！」とまで思うのは難しいというか…。
    　多くの方に感想を頂いて、改めて考えてみてやっぱり今作の課題はここかなと思います。
    　あくまで日常の一部を切り取ったような今作ですので、強いオリジナリティは出せていないと思います。この枚数でインパクトを出すのであれば、相当なアイディアや設定が必要になってくる。正直自分にはその手段すら思い浮かばず、この枚数で勝負できる人は凄いな、と率直に言って尊敬します。
    　
    ＞もっと長い枚数で、50枚でも、企画上限の100枚でもいいです、それくらいの長さで書いた方が、ミガクとひかるの甘酸っぱい物語はより生きると思うのです。
    　元々10枚で考えていた物語でしたので伸ばす考えはなかったのですが、もっと長く、という感想を多く頂き、想像が膨らんでいきました。どちらかといえば前より未来を描きたいというのが正直なところですが、いずれ機会があれば書いてみようかなと思います。

    　感想、ありがとうございました！

    E-Mail pass
2018年05月12日 20時45分12秒
 +10点
  • ＧＷ企画の執筆、お疲れ様です。
    御作を拝読しましたので、感想を記したいと思います。

    静かでちょっと切ないストーリーでした。
    別れの時を迎えたくない、二人の気持ちがひしひしと伝わってきました。

    ＞どこを向けても真南を指し続ける方位磁石。
    ＞下に沈んだ砂が、上へと上がっていくのだ。

    普通とは逆転している小道具がいい味を出していました。
    テーマの『逆転』は、これらの小道具に加えて、
    逆転するミガクの返事、でしょうか？


    ＞あと一週間もすれば、ボクたちは中学生になる。そんな季節の。
    ＞「やっぱり、合わないね」

    個人的に気になったのはこの部分です。
    小学生だったら、意見の合わない異性よりも、同性の友達と遊ぶことを選ぶかもしれません。
    ミガクは照れでウソを言っていた可能性がありますが、ひかるはその事を知らない。
    「ミガクっていっつも私と逆のことを言うんだもん。つまんない」
    と、普段から疎遠になってしまっているような気もします。
    母親同士がとても仲が良くて、二人は両家を絶えず行き来しているとか、
    そんな感じの特殊な状況が必要なんじゃないかと感じました。

    いろいろと書いてしまいましたが、静かで切ない作品でした。
    拙い感想ですいません。
    今後のご活躍をお祈りしています。

    E-Mail pass
Re: 2018年05月25日 19時21分55秒
  • 　つとむューさん、感想ありがとうございます！

    ＞静かでちょっと切ないストーリーでした。
    ＞別れの時を迎えたくない、二人の気持ちがひしひしと伝わってきました。
    　ありがとうございます。作品の雰囲気や、キャラクターの心情をきちんと伝えられたのかなと思います。

    ＞普通とは逆転している小道具がいい味を出していました。
    ＞テーマの『逆転』は、これらの小道具に加えて、
    ＞逆転するミガクの返事、でしょうか？
    　方位磁石は、今にして思えば偶然でした。
    　砂時計は逆転というテーマから出したものでした。ミガクの返事もそうですね、挟まれたオセロみたいに、返答がパタパタパタっと変わっていく。『逆転』という単語そのものが出てこないので少々テーマの消化に不安はありましたが、読んでくれた方々に作者の意図を読み取っていただけていて、ほっとしました。

    ＞個人的に気になったのはこの部分です。
    ＞小学生だったら、意見の合わない異性よりも、同性の友達と遊ぶことを選ぶかもしれません。
    　そうですね、今作の描写そのものを見ると、こうした受け取り方の方が自然かもしれません。
    　作者の意図としては、こうした表向きは反対ばかりでも、むしろそれを楽しむような、反対だからこそ一緒にいられるというか、それでも、あるいはだからこそ互いに互いのことが好きで一緒にいたいと思う、そんな風に考えておりました。
    　とはいえ自分の筆力では、しかもこの枚数ではなかなか伝えられるものではありませんでした。こうした整合性はきちんと一つ一つ考えて行かなければと思います。

    　感想、ありがとうございました！

    E-Mail pass
2018年05月12日 06時29分11秒
 +10点
  • おはようございます。
    たぬきです。


    ・全体的な印象、読後感
    　別れの一こまを切り抜いた物でした。ワンシーンだけのこういうやり取りも結構好きです。

    ・キャラ
    　ミガク。本名はガクだそうですが、苗字はでてきませんね。恥ずかしがり屋で嘘をついてごまかすとことか、ちょっとかわいらしい。

    　ひかる。お嬢様っぽい子。

    ・その他雑感
    　ところどころの演出(油時計、嘘)は好きで、いいなあと思いました。でも短いからか、深く印象に残るということはありませんでした。引き込まれる会話とか、印象深いキャラクターとか、そういうのが無いからかも知れません。

    E-Mail pass
Re: 2018年05月25日 19時21分06秒
  • 　たぬきさん、感想ありがとうございます！

    ＞・全体的な印象、読後感
    ＞別れの一こまを切り抜いた物でした。ワンシーンだけのこういうやり取りも結構好きです。
    　ありがとうございます。今回は10枚という掌編でしたので、1シーンでいかに物語にするかを目標にしていました。上手くできていれば幸いです。

    ＞・キャラ
    ＞ミガク。本名はガクだそうですが、苗字はでてきませんね。恥ずかしがり屋で嘘をついてごまかすとことか、ちょっとかわいらしい。
    　ひかる、というヒロインの名前が先に決まっていて、光に関する名前を主人公につけようということで、『光る』なら『磨く』だろう、ということで決めました。名字はないほうが今作らしいかな、と思い、あえて名字は出さずにおきました。

    ＞・その他雑感
    ＞ところどころの演出(油時計、嘘)は好きで、いいなあと思いました。でも短いからか、深く印象に残るということはありませんでした。引き込まれる会話とか、印象深いキャラクターとか、そういうのが無いからかも知れません。
    　短い中で過不足なく物語を作る、というのが一つの目標にありましたが、一方で他作品と差別化できる強み、オリジナリティまで作れなかったのだと思います。それがない中で一定の評価を頂けたのは収穫でしたが、しかし同じ枚数でこれ以上の改善は思い浮かばず、今後はもう少し長い枚数の中で、強いオリジナリティとそれを活かす描き方を目指していこうと思います。

    　感想、ありがとうございました！

    E-Mail pass
2018年05月12日 00時41分54秒
 +20点
  • 作者の方へ

    作品読みました。

    爽やかなストーリーでした。
    ワンシーンのみでしたが、情景が伝わってくるような会話で、読んでいて甘酸っぱいような、もの悲しいような気分になりました。

    気になったのは二点。

    一　感覚的なもので申し訳ないのですが、文中の言い回しが小学生らしくないなと感じました。中学生でもよかったかもな、と思っています。

    二　「砂時計」という名称なのですが、正確に言うと「オイル時計」なのではないかなと思っています。おそらく作者としてはオイル時計を前面に出すことにより、「水と油の関係」という比喩に直結してしまう……早い段階でネタバレをしてしまうことを恐れたのだと思いますが、この物語の本質は別れる直前の甘酸っぱい雰囲気にあると思っているので、素直に「オイル時計」としてもよかったのではないかなと思っています。
    ……もっとざっくり言ってしまうと「砂時計」とあると、読者としては一般的な砂の時計を連想してしまうので、「オイル時計」と判明した時に初めに戻ってイメージの修正をしなければならず、そこでテンポが崩れてしまいました。

    雰囲気の表現の仕方、秀逸でした。
    あと、構成も素晴らしかったです。短い枚数ながらもお互いの心情や関係が過不足なく示されていて、共感を持って読むことができました。

    それでは執筆お疲れ様でした。

    E-Mail pass
Re: 2018年05月22日 20時47分14秒
  • 　茉莉花さん、感想ありがとうございます！

    ＞爽やかなストーリーでした。
    ＞ワンシーンのみでしたが、情景が伝わってくるような会話で、読んでいて甘酸っぱいような、もの悲しいような気分になりました。
    　ありがとうございます。締切とかその他もろもろの理由から久しぶりに10枚の掌編に挑戦しようと決めて、この枚数を最大限生かすなら1シーンに絞るべきだろうと考えました。
    　短い中できちんと物語として作れるか、またできうる限り文章で雰囲気を作れるかが今作のポイントになると考えていましたが、それなりにきちんと描けたのかなと思います。

    ＞一　感覚的なもので申し訳ないのですが、文中の言い回しが小学生らしくないなと感じました。中学生でもよかったかもな、と思っています。
    　小学六年生、もうすぐ中学生という年齢ですから、多少大人びても……その、どうか大目に見てもらえたら……（汗）。
    　普段から小学生の地の文を書いているわけではないので、やっぱり少しずつ違和感のようなものが出てしまうのかもしれません。得意とする年齢層からはあまり離れない方が、こと一人称においてはベターなのかもと思います。

    ＞「砂時計」という名称なのですが、正確に言うと「オイル時計」なのではないかなと思っています。
    　この点は他の方にも指摘を受け、反省しなければと思っています。砂時計という表現はもう少し考えて良くべきでした。
    　ただ水と油の関係の比喩はむしろ後からの構想で、単純に謎かけ遊びをしたかったというのが作者の当初の狙いでした。むしろ、『砂時計によく似たオイル時計というものがある』という表記をどこかに入れとくべきだったのかな、と今は思っています。

    ＞雰囲気の表現の仕方、秀逸でした。
    ＞あと、構成も素晴らしかったです。短い枚数ながらもお互いの心情や関係が過不足なく示されていて、共感を持って読むことができました。
    　ありがとうございます。文章や構成といった技術面で、題材を問わず一定の面白さを作れるというのが自論なので、ひとまず力は出せたかなと思います。とりわけ書き慣れない掌編で、構成にお褒めの言葉を頂けたことは自信にになりました。

    　感想、ありがとうございました！

    E-Mail pass
2018年05月11日 21時22分09秒
 +20点
  • では、感想を……、

    なんだか過渡期の子供の微妙な関係っていう感じで、どこかこそばゆい感じがしました。
    また、読みやすく、読むのに苦労はしませんでした。
    お互いの照れ隠しというか、小中学生特有の心情というか、素直なようで素直でないというか、そういったものが、すごく丁寧に描写されていたと思います。
    また、最後の『明日はこれを忘れて行こう。そうすれば、またいつか返しに行かなきゃいけなくなるから。』は近い将来、彼らが成長してからの未来の関係性に期待を残すものでした。
    ただ、水と油を砂時計と呼んでいいかが気になりました。

    大変、心に響きました。ありがとうございました。

    E-Mail pass
Re: 2018年05月22日 20時45分41秒
  • 　なむるさん、感想ありがとうございました！

    ＞なんだか過渡期の子供の微妙な関係っていう感じで、どこかこそばゆい感じがしました。
    ＞お互いの照れ隠しというか、小中学生特有の心情というか、素直なようで素直でないというか、そういったものが、すごく丁寧に描写されていたと思います。
    　
    　そうですね、大体そんなような感じを目指して書いていました。大人のように言葉巧みに愛を語るわけでもなく、青年のように熱い思いを打ち明けるでもない。絶対に『好き』のような直接的なセリフは使わないと決めていましたが、上手くできていれば良かったです。

    ＞また、最後の『明日はこれを忘れて行こう。そうすれば、またいつか返しに行かなきゃいけなくなるから。』は近い将来、彼らが成長してからの未来の関係性に期待を残すものでした。
    　ザ・子どもの浅知恵ですね。砂時計があってもなくても会いに行こうと思えば会いに行けるし、会えなければ一生会えない。でも、『いつか』のために会いに行く理由を作っておく。ミガクはわざと忘れて行って、ひかるもきっと持ってこないことを期待してるし、わかっている。まったく悪びれない「ごめん、忘れた」と、むしろ嬉しそうな「そっか、わかった」なんてやり取りが引っ越し当日にあるんじゃないかと、作者は書きもしないで妄想していました。

    ＞ただ、水と油を砂時計と呼んでいいかが気になりました。
    　自分が見たオイル時計が砂時計と見紛うようなものだったのですが、ものによってはすぐわかる物もあるようです。いささかズルっぽくなってしまいましたね、反省です。

    　感想、ありがとうございました！

    E-Mail pass
2018年05月10日 20時36分21秒
 +20点
  • こんにちは。御作拝見しました！　早速感想をば。

    すごい甘酸っぱいお話でした。
    今まで素直になれなかったのに、いざ引っ越しというお別れに立ってようやく素直になるっていうのが、またいいですね。

    あと、この文章↓　好きです。じんわりと胸が締め付けられるようでした。
    ＞行けるなら過去に行きたい。ずっと繰り返してきたひかるとのやりとりを、もっとずっと繰り返していたい。

    ポンポンと流れる水のようなやり取りも小気味よく、読んでいて楽しかったです。

    気になったところは、特にないんですが、強いて言えば一つだけ。液体を砂と間違えるかなということで、ちょっと引っ掛かりました。

    切なさと甘酸っぱさたっぷりのいいお話でした。

    以上とりとめのない感想ですみません。
    執筆お疲れさまでした。

    E-Mail pass
Re: 2018年05月22日 20時44分08秒
  • 　北斗さん、感想ありがとうございます！

    ＞すごい甘酸っぱいお話でした。
    ＞今まで素直になれなかったのに、いざ引っ越しというお別れに立ってようやく素直になるっていうのが、またいいですね。
    　ありがとうございます。今作は雰囲気が魅力の一つ、というかそれしかないお話なので、甘酸っぱいと感じていただければ幸いです。

    ＞あと、この文章↓　好きです。じんわりと胸が締め付けられるようでした。
    ＞＞行けるなら過去に行きたい。ずっと繰り返してきたひかるとのやりとりを、もっとずっと繰り返していたい。
    　ありがとうございます。この辺りはミガクのセリフが逆転していくところですね。ずっと隠して、ごまかしてきた本当の思いを打ち明ける。作者としてもキャラクターとしても力の入った部分ですから、とても嬉しく思います。

    ＞気になったところは、特にないんですが、強いて言えば一つだけ。液体を砂と間違えるかなということで、ちょっと引っ掛かりました。
    　ネットで見たオイル時計の映像が砂に見えたので、これならと思っていましたが、他にも検索すると全く違うものもあり、少々ズルになってしまったと反省しております。

    　遅ればせながら、総合優勝おめでとうございます！　

    　感想、ありがとうございました！

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2018年05月09日 03時38分22秒
 +10点
  • どうも初めまして。
    入江九夜鳥と申します若輩者です。
    御作「ミガクとひかると砂時計」を読ませていただいたので感想を送らせていただきます。

    なお、僕の感想は基本的に辛口です。
    その点をご了承のうえ、必要な部分を取捨されてください。

    またこの作品を未読の読者様へ。
    この感想には以下ネタバレが含まれますので、ご注意下さい。



    ・雰囲気大好きです。

    誰にも邪魔されず、自由でなんというか救われてなきゃあダメなんですよ。
    二人きりで。静かで。豊かで……
    こういうのでいいんですよ、こういうので。


    ・ただまぁ、あっさりとし過ぎかなと。
    短いのが勿体ないな、ともおもうのですね。
    この雰囲気をキープして20-50くらいの長さで、二人がもっとすれ違ったりするエピソードがあれば良かったのですが。


    ・仕込みというか砂時計が
    少し安易でしたね。
    逆転を示唆し、二人の関係を象徴するアイテムですが、ちょっと陳腐というか分かりやすかったというか。比率の違う液体が仕込んである砂時計(っていうのかな、アレ)は見ていて面白いとぼくも思いますが、ミガクくんが悩む程難しい問題でもなかったとおもうんですよね……

    となれば逆転しないこれまでの時間を皮肉するという形で、普通の砂時計でも良かったのでは、なんて思ったり致します。

    ともあれ全体としての空気感や纏まりはとてもよくできていたかと。
    しかし短く、また仕掛けが安易だったこともあり、この点数とさせていただきます。

    同じタイトルで、もっと長い作品を読んでみたいと思いました。

    以上、感想とさせていただきます。
    必要と思われるところを取捨されますようお願いいたします。




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Re: 2018年05月21日 20時22分15秒
  • 　入江九夜鳥さん、感想ありがとうございます！

    ＞・雰囲気大好きです。
    ＞誰にも邪魔されず、自由でなんというか救われてなきゃあダメなんですよ。
    ＞二人きりで。静かで。豊かで……
    ＞こういうのでいいんですよ、こういうので。
    　ありがとうございます。今作を書くうえで、雰囲気を出せているかはポイントの一つになると考えていました。上手く行っていれば幸いです。

    ＞・ただまぁ、あっさりとし過ぎかなと。
    ＞短いのが勿体ないな、ともおもうのですね。
    ＞この雰囲気をキープして20-50くらいの長さで、二人がもっとすれ違ったりするエピソードがあれば良かったのですが。
    　今回は時間もなかったこともあり、最初から10枚と決めて書いていました。今となってはもう少し長く書いてみたい作品になりましたが、どちらかと言えば後ろを描くより先を書きたいイメージですね。新海誠氏の『秒速5センチメートル』が自分の中で完成形の一つになっているような感じです。

    ＞・仕込みというか砂時計が。
    ＞少し安易でしたね。
    ＞逆転を示唆し、二人の関係を象徴するアイテムですが、ちょっと陳腐というか分かりやすかったというか。比率の違う液体が仕込んである砂時計(っていうのかな、アレ)は見ていて面白いとぼくも思いますが、ミガクくんが悩む程難しい問題でもなかったとおもうんですよね……
    　おお、そうですか？　自分だったらなかなか気づけないと思っていたのですが……ただ、砂時計そのものの描写が少なく、またリアルのオイル時計のイメージの差によってこの辺りの受け止め方考え方が変わってくるかもしれません。よく知らないアイテムをキーアイテムにするものじゃないな、と思います。

    ＞同じタイトルで、もっと長い作品を読んでみたいと思いました。
    　そう言ってもらえるととても嬉しく思います。予定はまったくないですが、いつかこういう青春長編小説は書いてみたいなという願望はありますので、先述しましたが、『秒速5センチメートル』って自分の中の理想形の一つなので、これに挑戦するとしたら今作はそのたたき台になれるかもしれないかな、とも思います。

    　感想、ありがとうございました！

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2018年05月09日 02時33分50秒
 0点
  • 　読了しました。

    　雑感：
    　こういう子供同士の避けられない別れみたいな話は切なくて好きです。
    　子供同士だから会いに行きたくてもそうそう会いに行けたりしなくてそこが余計につらいもんなんですよね。そのあたりきちんと表現されていたかなと思うのですが、お洒落ではあってももっと子供の赤裸々で生々しい決別の痛みみたいなものも個人的には欲しかったかもしれません。

    　文章：
    　みずみずしさみたいなものは表現されていたかなと思います。
    　ただ、前述のとおり、主人公の感じる痛みとか寂しさとか悲しさとか、そういうものをもっと押し出しようはあったかもしれません。

    　キャラクター：
    　君は正直者で僕は嘘つき、みたいな描写は割と好きです。
    　短い枚数の中で二人の登場人物の対比をしっかりとかけていたと思います。謎かけ遊びを楽しむ関係というのも良かったです。

    　総評：
    　砂時計の下りは自分自身ちょっと考えさせられました。謎解きに二人の気持ちが良く絡んでいたと思います。水と油ってのはちょっと思い付きませんでしたが。
    　このあたりの道具の使い方もお洒落で良かったです。ただ、個人的にはこういうみずみずしい雰囲気も好きなのですが、同時にもう少し「お別れ」の切なさ悲しさを読者の心に深く爪痕たてるような描写をもっと入れてくれた方が印象に残ったかなと思います。

    　創作お疲れ様です。これからもがんばってください。

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Re: 2018年05月21日 20時20分46秒
  • 　粘膜王女三世さん、感想ありがとうございます！

    ＞こういう子供同士の避けられない別れみたいな話は切なくて好きです。
    ＞子供同士だから会いに行きたくてもそうそう会いに行けたりしなくてそこが余計につらいもんなんですよね。そのあたりきちんと表現されていたかなと思うのですが、お洒落ではあってももっと子供の赤裸々で生々しい決別の痛みみたいなものも個人的には欲しかったかもしれません。
    　ミガクもひかるも『辛いけど受け入れている』という基本スタンスは一緒ですからね。だからこそのこの雰囲気ではありますが、確かに受け入れきれずぶつかっていたとしても物語にはなったと思います。もう少し長い尺で書いていればそうしたシーンも描けたかもしれませんね。

    ＞君は正直者で僕は嘘つき、みたいな描写は割と好きです。
    ＞短い枚数の中で二人の登場人物の対比をしっかりとかけていたと思います。謎かけ遊びを楽しむ関係というのも良かったです。
    　短い枚数の中でいかにキャラクターを魅せるかは課題の一つでした。二人のキャラクター性をできるだけ正反対にして、二人のやり取りの中でキャラクターそのものを伝えていく。できうる限りはできたと思いますが、一方で難しさも再確認しました。
    　ウソツキというセリフで、今まで正反対だったものが全て逆転して一致する、みたいな展開はテーマから着想したものでした。上手く行っていれば、テーマに感謝ですね。

    ＞砂時計の下りは自分自身ちょっと考えさせられました。謎解きに二人の気持ちが良く絡んでいたと思います。水と油ってのはちょっと思い付きませんでしたが。
    　ありがとうございます。オイル時計はちょっとズルになってしまったかなという思いもありますが、ひとまず物語としてきちんと狙った効果が出せていたようで良かったです。

    ＞このあたりの道具の使い方もお洒落で良かったです。ただ、個人的にはこういうみずみずしい雰囲気も好きなのですが、同時にもう少し「お別れ」の切なさ悲しさを読者の心に深く爪痕たてるような描写をもっと入れてくれた方が印象に残ったかなと思います。
    　バッドな展開が苦手なので爪をたてるような描写は難しいと思いますが、印象に残る物語というのは物語を書いていく上で必要な要素だと思います。今作で見つかった課題の一つですね。

    　感想、ありがとうございました！

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2018年05月05日 21時47分42秒
 +20点
  • 　なにこれすてき！
    　おもろかったです！
    　いやぁいいですねえそりの合わないふたり、かとおもわせてばっちりで。はーかわいい。
    　会話のテンポがすさまじくいい。ぽんぽんぽんとしてって、こうかな、こうだよ。なんだこいつら熟練の漫才コンビか。相性ばっちりじゃねえか。相性わるいね、あわないね、ってずっといってるのに、意地はってただけってはっきりわかっちゃう。
    　こういうのすき！　きゃぁあああ！
    　とくに不満ないんですけど、あえていうと、みじかさでしょうか。ものたりないです！
    　せっかくなら、ふたりが感情爆発しちゃうくらい、わかれたくない、ずっと一緒にいたいよ、っておもわず叫んじゃうくらいの場面も見てみたいなぁ。なんて思います。いやこれはこれでいいんですけどね。
    　でわでわ～

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Re: 2018年05月21日 20時19分17秒
  • 　etunamaさん、感想ありがとうございます！

    ＞なにこれすてき！
    ＞おもろかったです！
    　ありがとうございます。今作はいかにこの空気を出すかがポイントになると思いっていたので、そう言っていただければ幸いです。

    ＞いやぁいいですねえそりの合わないふたり、かとおもわせてばっちりで。はーかわいい。
    ＞会話のテンポがすさまじくいい。ぽんぽんぽんとしてって、こうかな、こうだよ。なんだこいつら熟練の漫才コンビか。相性ばっちりじゃねえか。相性わるいね、あわないね、ってずっといってるのに、意地はってただけってはっきりわかっちゃう。
    　テクニックの一つとして、『繰り返す』は意識してよく使ってますね。今作で言えば「そうかな」「そうだよ」と繋がる一連の流れ。言葉そのものは一緒でも、前後のセリフや状況によって意味合いは変わる。またこの流れを踏襲することで約束された心地よいリズムを作りだし、崩すことで小さな驚きを与えることができる。前に使った際に好評を得たので、割と自信のある技術の一つですね。
    　また、このやりとりの慣れた感じから、今までずっと繰り返してきたこと、ひいては二人が過ごしてきた時間の長さなんかも感じてもらえたら幸いです。

    ＞とくに不満ないんですけど、あえていうと、みじかさでしょうか。ものたりないです！
    ＞せっかくなら、ふたりが感情爆発しちゃうくらい、わかれたくない、ずっと一緒にいたいよ、っておもわず叫んじゃうくらいの場面も見てみたいなぁ。なんて思います。いやこれはこれでいいんですけどね。
    　今作は最初から10枚と割り切って書いていましたので、物足りないと言っていただけるのは嬉しいですね。離れ離れになった二人が、いつか再会するまでを描いてみたいなとは、皆さんからの感想を頂いて思うようになりました。ただイメージとしては新海誠作品に近くなりそうで、ラノベからはちょっと離れるかもしれませんね。

    　感想、ありがとうございました！

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2018年05月05日 18時12分30秒
 +10点
  • タカテンと申します。
    拝読いたしましたので感想を送らせていただきます。

    （以下ネタバレを含みます。未読の方はご注意ください）




    小学生から中学生に上がる、そんな年頃ならではの甘酸っぱい物語でした。
    お互いに素直になれないまま時が過ぎ、別れの前日になってようやく心をかすかに開く。それでもまだ好きって言葉を口に出す勇気はなくて……ってあたりがとてもキュンキュンきます。ガクの方から最初に心を開くのもいいですね、それでこそ男の子。

    ただ、出来ることならば引越してしまうひかるへの再開を心に期して終わるのではなく、中学、あるいは高校生になって実際に会いに行くところまで描いて欲しかったかなと思います。

    例えばしばらくＬＩＮＥでやり取りをしていたのですが、ある日突然連絡が取れなくなって、それまでのやり取りから住んでいる街を割り出して会いに行くガク。
    なんとか住所を突き止めたはいいものの、そこは既に別の人が住んでいて話を聞くと前に住んでいた人は一家で旅行中に交通事故にあってひかる以外は死んでしまったらしい。
    そして辛うじて生き残ったひかるも意識が戻らないまま入院していて……うん、ベタだな、こりゃｗ
    まぁ、とにかく、この淡い恋の行く末を見てみたいなと思った次第です、はい。

    それでは拙いですが、自分からは以上です。
    執筆お疲れ様でした。

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Re: 2018年05月20日 15時08分58秒
  • 　タカテンさん、感想ありがとうございます！

    ＞小学生から中学生に上がる、そんな年頃ならではの甘酸っぱい物語でした。
    　あまり幼い子を主人公にするのはよろしくない、というセオリーもあるようですが、ぱっと思いついたイメージがこれでしたね。ただ、高校生くらいになるともう出せない空気を、今回はきちんと出せたかなと思います。

    ＞ただ、出来ることならば引越してしまうひかるへの再開を心に期して終わるのではなく、中学、あるいは高校生になって実際に会いに行くところまで描いて欲しかったかなと思います。
    　今回は最初から10枚と決めていたので、以降の話は全く考えていませんでした。
    　そのためこれからのイメージは全くなかったのですが、そう言っていただけると想像が膨らみます。10年後にすれ違い、ずっと持ち歩いていた砂時計が再会の証となって、熱い抱擁を交わす。青春ドストレート、一度は書いてみたいお話ですね。

    ＞なんとか住所を突き止めたはいいものの、そこは既に別の人が住んでいて話を聞くと前に住んでいた人は一家で旅行中に交通事故にあってひかる以外は死んでしまったらしい。
    　え。

    ＞そして辛うじて生き残ったひかるも意識が戻らないまま入院していて……うん、ベタだな、こりゃｗ
    　きゃー！　う、うーん、書くとしたらもう少し明るい方向になると思います。しかしLINEかあ、遠く離れた二人がリアルタイムでやり取りできるって、やっぱり作り手としては面白くない感じがするなあ。もちろんLINEがあっても疎遠になることはあるだろうけど、なかなかやり取りできないあの不自由な感じが面白いのに、と思う自分がどこかにいます。

    　感想、ありがとうございました！

    E-Mail pass
2018年05月05日 10時39分57秒
 +20点
  • ミガクとヒカルと砂時計、拝見しました。

    キレイにまとまっているいいお話でした。
    ただまあ、液体か砂かぐらいすぐわかるんじゃね？　と、突っ込みたい気持ちもやや。
    あと、タイトルに砂時計とあるけど、そもそも砂じゃないじゃん、とも。

    まあ、それはともかくとして。

    二人のこの先と、砂時計、そして二人の関係が組み合わさった構図は形的にも心情的にも美しいですね。

    では、こんなところで。
    執筆お疲れ様でした！

    E-Mail pass
Re: 2018年05月20日 15時06分25秒
  • 　ハイさん、感想ありがとございます！

    ＞キレイにまとまっているいいお話でした。
    　ありがとうございます。今回は原稿用紙10枚でどれだけ書けるか、を目標にしていました。ワンシーンで、できるだけ説明はせず描写の中で感じ察してもらう、そういう文章を意識しつつ、一つの物語としてきちんと終わらせる。久しぶりの掌編ですが、上手く行っていれば幸いです。

    ＞ただまあ、液体か砂かぐらいすぐわかるんじゃね？　と、突っ込みたい気持ちもやや。
    あと、タイトルに砂時計とあるけど、そもそも砂じゃないじゃん、とも。
    　砂時計っぽいオイル時計を最初に見てしまったので、けっこう行けるんじゃないか、という思いが作者にありました。ただやはりズルになってしまったような思いもあり、ここは反省しなければならないところと思います。

    ＞二人のこの先と、砂時計、そして二人の関係が組み合わさった構図は形的にも心情的にも美しいですね。
    　ありがとうございます。ひっくり返す、が今作におけるテーマになっていますので、ここをきちんと出せたのかなと思います。

    　そして100番台から四連続キリ番ゲットおめでとうございます。自分も狙っていたのでとても悔しかったです。
    　ちなみに御作『恋と友情の回転ずし』の感想で書いた（バキューン！）は一桁の年齢を撃って見えないようにしただけで、決して撃ち殺そうとしたわけではないですよ？　何なら好きですから自分、アラサー女子。アラサーは最高だぜ！

    　感想、ありがとうございました！

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2018年05月04日 14時39分17秒
  • こんにちは、拝読させていただきますな。

    青春ですな。ぜひこの二人は十年後の八月に再会して欲しいっすな。

    甘酸っぱい会話で、水と油が相反する現象を生かした会話も洒落ていてイイスナ。

    でもちょっとだけもやっとするのはオイル時計って「砂」に見えるようにしたものもあるだろうけど、やっぱ液体っぽく見えるような気がぼくはするんですな。だから気づく前にそういう描写も入れても良かった気がするスナ。

    そうおもうものの二人の青春の前ではこんな疑問は野暮も良いとこですな。

    読ませていただいてありがとうございました、僕もこんな青春小説が書きたくなるほど良かったでスナ。

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Re: 2018年05月20日 15時04分54秒
  • 　金木犀さん、感想ありがとうございます！

    ＞青春ですな。ぜひこの二人は十年後の八月に再会して欲しいっすな。
    　ですな。手紙も途絶え、互いに忘れかけていた頃。偶然にすれ違い、最初はまったく気づかず通り過ぎてしまうが、ふと何かに気づいて振り返ると、相手も同時に振り返る。成長した彼の、そして彼女の中にかつての想い人の面影を見つけ、ミガクはずっと持っていた砂時計を見せる。相手がそうだと確信した二人は熱く抱擁を交わし、再会を喜び合う。
    　止まっていた砂が、また動き始める……みたいな感じですかね。いいなあ、書いてみたいなあ。新海誠氏のような雰囲気出せたら最高かな。あ、でもそうすると高い確率で結ばれないな……。

    ＞甘酸っぱい会話で、水と油が相反する現象を生かした会話も洒落ていてイイスナ。
    　ありがとうございます。最初はファンタジーに上がっていく砂時計を考えていたのですが、オイル時計なるものがあることを知り、現実路線でこういう形になっていきました。二人の「そうかな」「そうだよ」のやり取りも、『いつものやり取り』みたいな印象を持ってもらえたら、二人のこれまでなども感じてもらえるのではないかという狙いもありました。

    ＞でもちょっとだけもやっとするのはオイル時計って「砂」に見えるようにしたものもあるだろうけど、やっぱ液体っぽく見えるような気がぼくはするんですな。だから気づく前にそういう描写も入れても良かった気がするスナ。
    　うーん、確かに、そうかも、ですね。最初に見たオイル時計が砂っぽい動き方だったので問題ないと思っていたのですが、よくよく探すと液体だなっていうオイル時計が多かったので、少々ズルになってしまったかもしれません。反省です。

    　感想、ありがとうございました！

    E-Mail pass
2018年05月03日 22時38分42秒
 +20点
  • お疲れさまです。
    「ミガクとひかると砂時計」を読ませていただきました。

    甘酸っぱいですね。大人になりきる前の淡い恋心が丁寧に描写されていたと思います。
    合わないと思っていたのに、同じ思いだった。このあたりのの心情描写がすてきでした。

    淡々とした描写で、大きな山と谷はありませんでしたが、そういう雰囲気がこの作品に合っていたと思います。
    透明感あふれる雰囲気でした。

    タイトルのミガクとひかる。
    最初、こちらは「磨くと光る」と勝手な妄想をしてしまいました。
    成長途上の子たちの成長物語なのかな？　と。
    これは自分のおもいこみですｗ　それにしても良いタイトルですね。
    全体的に雰囲気の良い作品でした。

    読ませていただきありがとうございました。

    E-Mail pass
Re: 2018年05月17日 05時59分01秒
  • 　たかセカンドさん、感想ありがとうございます！

    ＞甘酸っぱいですね。大人になりきる前の淡い恋心が丁寧に描写されていたと思います。
    ＞合わないと思っていたのに、同じ思いだった。このあたりの心情描写がすてきでした。
    　ありがとうございます。雰囲気・空気を出すことがまず一つの目標でしたので、この辺りは上手く行ったのかなと思います。
    「好き」のような愛の言葉を安直に使わないようにしようとは意識していましたが、こうした工夫がそれなりに生きたのかなと思います。

    ＞タイトルのミガクとひかる。
    ＞最初、こちらは「磨くと光る」と勝手な妄想をしてしまいました。
    ＞成長途上の子たちの成長物語なのかな？　と。
    　深読みさせてしまいました、申し訳なく思います。
    　本筋から言えば、むしろこの深読みを本編で活かしてこそ作家だと思うのですが、流石にそこまで行くには時間と枚数がありませんでした。タイトルを褒めていただいたことは、率直に嬉しく思います。

    　感想、ありがとうございました！

    E-Mail pass
2018年05月01日 15時35分26秒
 +10点
  • 拝読させて頂きました。

    二人のやり取りが可愛らしい、寂しくもほっこりする作品ですね。
    ミガクとひかるということで、何か光にまつわるお話なのかと思いきや、そうではなかったんですよね？
    砂時計についても、「水と油」という風に考えると永遠に混ざり合わない二人という風に連想してしまうし、個人的にはどこか噛み合わない印象を受けました。それも合っているように見えて、合っていないというか。私の解釈が間違っているのかもしれないので、その場合は聞き流してください。

    以上が私の感想になります。
    今後も創作活動頑張ってください。
    それでは、失礼します。

    E-Mail pass
Re: 2018年05月17日 05時55分09秒
  • 　クロウさん、感想ありがとうございます！

    ＞二人のやり取りが可愛らしい、寂しくもほっこりする作品ですね。
    　ありがとうございます。こうした空気感が一番書きたかった点ですので、そう言っていただけて、ひとまずほっとしました。

    ＞ミガクとひかるということで、何か光にまつわるお話なのかと思いきや、そうではなかったんですよね？
    　そうではなかったです。主役二人の名前を考えたとき、ひかるはすぐに思い浮かび、もう一人をどうしようかと考えて、どうせならちょっとした共通点をつけてみようかと思い、こうした形に。光にまつわる二人の名前から二人の仲を少しでも伝えられたらという思いはありましたが、ストーリー的には特に意味はありませんでした。深読みさせてしまったという点に関しては自分の失策ですね。反省です。

    ＞砂時計についても、「水と油」という風に考えると永遠に混ざり合わない二人という風に連想してしまうし、個人的にはどこか噛み合わない印象を受けました。それも合っているように見えて、合っていないというか。私の解釈が間違っているのかもしれないので、その場合は聞き流してください。
    　ははあ、作者としては恥ずかしながらそこまで考えていませんでした。今作における砂時計が一種の象徴的な存在になっているわけですから、確かに二人の関係や今後の暗示として考えるのはアリだなと思います。
    　二度と交わることがないという未来への暗示でもいいし、卵を使うと水と油がくっつくように、何らかの介入で将来また再会するというストーリーへの伏線にしてもいい。色々と考え甲斐があります、参考にさせていただきます。

    　感想、ありがとうございました！

    E-Mail pass
2018年04月30日 14時32分33秒
 +10点
  • 読んだので感想を書かせていただきます。
    うん、とてもさわやかというか甘酸っぱいというか、
    おじさんが失ったものを目の前でまじまじとみせられて
    心が浄化されて灰になりそうです。
    ちょっとアマノジャクなやりとりが続き、逆転とか裏返しとかのテーマやモチーフが上手く作品のキーになってますね。
    面白かったです。感想は以上になります。これからもがんばってください。

    E-Mail pass
Re: 2018年05月17日 05時54分09秒
  • 　ゆーぢさん、感想ありがとうございます！

    ＞うん、とてもさわやかというか甘酸っぱいというか、
    ＞おじさんが失ったものを目の前でまじまじとみせられて
    ＞心が浄化されて灰になりそうです。
    　そうですね、おじさんに片足突っ込みかけてる身としては（まだおじさんではないと言い張る）、こんな青春時代を一度でいいから過ごしてみたかったという願望が強く出ていると思います。改めて振り返ったら自分も灰になりそうです。

    ＞ちょっとアマノジャクなやりとりが続き、逆転とか裏返しとかのテーマやモチーフが上手く作品のキーになってますね。
    　テーマである『逆転』という言葉そのものは作中では使っていないはずですが、直接的には砂時計にひっくり返す、他にも二人のやりとりがウソツキの告白から全て反対になって違う意味を持つ、みたいな逆転のイメージはありました。テーマへの解答としては目立たないものだと思いますが、拾い上げてくれたことをとても嬉しく思います。

    　感想、ありがとうございました！

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合計 15人 200点

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