乳をにくんで人をにくまん! |
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「貴方しかいないんです!」 とか、突然そんなことをいわれても困るわけで。 しかもそれが、妖精を名乗る羽を生やしたちっこい男の子だったりするから、尚更だ。 「えーと……」 口をつぐむ私の意志なんて、もうどうでもいいかのように、手の平サイズの少年は私に向かって捲くしたててくる。 「お願いします! あなた以上に相応しい人はいないんです! この、女性の発育が進んでいる現代において、あなた以上に美しい平面をその年齢で維持されている方は他に……」 無言で、目の前に浮かんでるそれを下にべちゃっと叩きつけた。 「い、痛いじゃないですか……」 「次に同じようなこといったら、この程度じゃすまないからね」 いった後で鏡を見る。バスタオルが巻かれた、スレンダーな体が目に入った。 腕を組んだままポーズをとる。悪くない、と思った。しかし…… 「自身に見惚れられてるところ悪いんですが、その組んだ腕をほどいてみてくださいよ。タオルがすとーんと落ちるでしょ? すとーん! すとー……ぐえっ」 思い切り踏んづけた。蛙が断末魔にあげる鳴声はこんな感じだろうか、なんて考える。 「凹凸の無い体で悪かったわ、ねっ!」 そもそも、風呂上りの脱衣所にいきなりやってくるとは、なんて失礼な奴だろう? タオルを巻く前だったなら、有無をいわさずに踏みつぶしていたところだ。 ぐりぐりと、かかとに力をこめながら、巻いていたバスタオルで頭をふく。体重をかける度に「ぐえっ」と反応が返ってくるので、とりあえず死んではいないだろう。まるでゴキブリだ、と思った。 「あんまり驚かないんですね?」 着替えを終えて自分の部屋へ。ライムと名乗ったちびっ子は、ボロボロになりながらも首をかしげる。 「結構驚いたけど、それ以上にムカつくことをいわれたからね」 私は、つまみあげたそいつの顔を見ながらいった。 「すみません。女神様の命を受けて薄汚れた地上を虫のように這いまわること幾星霜。やっと理想の相手にめぐり合えた喜びが爆発してしまいまして……」 「む、虫って……」 可愛らしい見た目のわりに、どぎついことばを吐くものだから、苦笑してしまう。 「はい! しばらく見ないうちにこの地上は腐りきってしまいました。こんなに可愛らしい男の子を捕まえて、悲鳴をあげながら殺虫剤をかけるんですよ? 終わってます!」 「まぁ、気持ちは分からないでもないけど」 両方の意味で……と心の中でつけ加えつつ、相槌を打つ。ライムはさらに続けた。 「大体ですね! 腐ってるといえば僕の上司であるクソババアも一緒ですよ! かよわい僕に、こんな過酷な命令を下すなんて。神の皮をかぶった悪魔です!」 「そう、それそれ。女神とか妖精とかってどういうことなの?」 私がたずねると、ライムはそうだった、と照れ笑いを浮かべながらとつとつと語りはじめた。 自分が主である女神の命令で地上に目的を果たしにきたこと。しかし、予想以上に困難で、未だ達成できていなかったこと。今回私を発見したことで達成できる可能性がでてきたこと。 所々に上司への愚痴と文句を挟みながら、そう説明した。 「いまいち要領を得ないんだけど、具体的にその『命令』っていうのは何なのよ? そもそも、なんで私じゃなきゃいけないわけ?」 「それは……先ほども申しあげた通り、あなたが理想的なスタイルの持主だからなんです。肉体年齢も、上司に凄く近いですし。ここだけの話ですが、うちの上司というのが貴方に劣るとも勝らない平面ボディの持ち主……ってあだだだ!」 両手で無礼者を雑巾のように絞りあげる。中々良い声で鳴くものだ。 「でぇ? 平面ボディの持ち主が、何だって?」 「ぐえっ! その体に合う特別性の水着を作り上げるように……あいだだだだ!」 「……水着?」 少し力をゆるめる。と、ライムは隙をついて、私の手の中から逃げだした。 「あだだ。あー、痛かった。そうです。水着です。近々、僕達の住む世界で、神々の権威を競いあう競技会が開かれるんです。そこでは、水着審査……というのもありまして」 「……あ、案外俗なのね。神様って」 「大体、うちの上司は見栄っぱりなんですよ! 同僚に同じくらい根性の腐った女神がいるんですが、彼女と張りあってるんです!」 腕を組み頬を膨らませるライム。妙に可愛らしい仕草だ。 「へ、へぇ。何か想像つかないな……はは」 「だから、競技会までに水着を完成させて、女神に献上しなきゃならないんですよ! お願いします! 協力してくだ……」 「いやよ」 言葉を遮った。途端にライムは泣きそうな顔になるが、知ったことではない。 「初対面でいきなり現れた怪しい生物の頼みなんて聞けるわけないでしょ。というか、私くらいの……その……ペチャパイなら、探せばいくらでもいるわよ。お断り」 「そ、そんな! あなた以上の摩擦係数ゼロボディなんて、地上には……」 「それ以上いったら、マジで叩きつぶすわよ?」 半眼で睨みつける。流石に学んだのか、両手で口を覆いつつ何度もうなずくライム。 「大体ね。女神だかなんだか知らないけど、山と谷のない身体だからって、卑屈になってるのが気に入らないわ。せめて気持ちだけはメリハリを持つべきよ」 拳をぎゅっと握り締めて、力説する。ライムも、私の信念に満ちた態度に圧倒されたのか、しばらくうつむいて肩を落としていたが、やがて納得したように顔をあげた。 「……分かりました。そうですよね。あなたは、そのまな板と一生付き合う覚悟を持ってるんですものね。諦めて他を当たります。協力していただいた暁には、あなたの胸を大きくしてあげようと思っていたんですけど、どうやらそんな交換条件は魅力的に映らないようですし」 ……ちょっと待て。 私は、窓の外へ、それじゃあと出て行こうとするライムの胴体を引っつかんだ。 「うわっ! な、何ですか!」 「今、何ていった? 成功したら、何を大きくするって?」 「え? あの、胸……ですけど。え? あれ? 何でそんなに怖い顔で笑って……?」 訝しげな顔でライム。私はもう答えることもせず、黙っていた。駄目元でやってみるくらいは良いわよね、そう思いながら。 「だからといって、これは想定外なんだけど?」 目の前に海が広がっている。青い空、白い雲、打ち寄せる波と、たくさんの人が見える。 「だって、実際に確かめてみないと、分からないじゃないですか」 ライムは何を今更といった顔で私を見た。 引き受けることを決めたのが昨日の夜。それから一晩明けて、早速連れてこられたのが小学生以来来ていない海だった。 「今日、ここで水着コンテストがあるんですよ! それに出ていただきます」 「え、ちょ、ちょっと! 冗談でしょ!?」 何故今更、自分の貧相な体を衆目に晒さなければならないのだろう? 約束したとはいえ予想外だった。 「大丈夫ですよ! 僕が用意した水着がありますから。貴方の一本気な体もしっかり魅力的に見せてくれるはずで……」 全てをいわせることなく、ライムを砂浜にめりこませる。日差しは眩しく、私の心を憂鬱にさせた。 「魅力的……ね。はは」 溜息がもれる。ライムは何事もなかったかのように砂から出てくると、どこから取りだしたのか小さな体には不釣合いな大きさの水着を手渡してきた。 「ではこちらをどうぞ!」 「へぇ、これが……ってちょっと待て」 青を基調とした、ワンピース。そこまではいい。生地もかなり上等なものを使っているのだろう。着心地も悪くなさそうだ。無駄毛の処理はすでに済んでいるので問題はない。 だが唯一、そして最も大きな特徴が、私に待ったをかけさせた。 「何なの……これ」 水着を手に持ちつつたずねると、ライムはドヤ顔でサムズアップ。 「勿論、肉まんです!」 水着の内側、胸を覆う辺りにホカホカと湯気を立てる肉まんが二つ。これでもか、とばかりに存在をアピールしていた。 「エントリーナンバー八番の方! 壇上へどうぞ!」 いわれて私はステージ上へと歩を進めた。回りに出来た人垣から、指笛やら、どよめきやら、羨望の眼差しやら、嫉妬の歯軋りが飛んでくるのを感じる。 「これは見事な曲線です! スリーサイズは上から、92・59・89!」 ……悪くない。素直にそう思ってしまう。勿論、これは私自身の身体ではないけれど。 ライムに急かされながら身に付けた水着は、私の体を見事に変貌させていた。ウェストを細く、ヒップを持ち上げ、胸の部分にあった肉まんは完全に私の胸と同化し、深い谷間を作っている。 ただよっていた湯気も今はおさまり、ポーズを取った拍子に胸がたゆんだ。 「こ、これは大変セクシーです! 出来れば私も司会業など放り投げて、目の前の女性を口説きたいところ!」 サービスしすぎたか、と少し後悔。瞬間、どこからともなくライムが話しかけてくる。 (良いじゃないですか! とても目立ってますよ!) 小憎らしい姿は見えない。 声も私にしか聞こえていないようだった。私は心の中で答える。 (ふ、ふん。まあね。悪くないわね) (そのまま、優勝しちゃってください。そしたら、もう仕事は終わりです!) 始まる前はどうなるかと思ったが、案外あっさりとことが片づいてしまったことに安堵する。 何とも馬鹿馬鹿しい話ではあるが、この肉まん水着を見る限り、あのライムがいっていることは本当なのだろう。すると、私はこんな偽物ではなく、本物の巨乳を手に入れることが出来るのだ。 思わず持ち上がりそうになる口元を押さえ、心の中だけで笑う。今まで、この身体のお陰で味わってきた数々の屈辱が頭を過ぎった。 審査も滞りなく終わり、発表の時間がやってこようとしていた。司会者がマイクを片手に、私達候補者の前にやってきた。 「さぁ、皆様。お待たせいたしました! いよいよ結果発表です! 第二十四回常夏水着コンテスト、優勝者は……」 バックで響くドラムロール。観客の視線と司会者の視線が一斉に私に集まる。 「優勝者は、エントリーナンバー八番の……」 『待て!』 突如として響いた声。物凄い風が吹いて、ステージ上は滅茶苦茶になる。それらが、優勝者を告げようとするアナウンスを遮った。 (とうとう、来たか!) ライムが悔しそうにいう。来た、とは一体どういうことなのか? 私はライムに問いかけた。 (昨日いったでしょう? うちの上司と張り合う、性格腐った女神がもう一人いるって。僕が特別製の水着を作っていると聞いて、妨害に来たんでしょう。予想できたことでしたが、もうちょっとだったのに……!) 「あんた、何を当然のようにいってるのよ! 妨害があるかもなんて、こっちは聞いてないわよ!」 思わず怒鳴る。ステージの周りにいた者達は皆、すでに逃げ出していた。人目を気にして姿を消していたライムが、再び私の前に現れる。 「今は、いったとか、いってないとかの話は抜きです! とりあえず、これから来る敵を倒さないと!」 「て、敵!? 敵ってどういうことよ!」 「相手は多分、この水着を破壊しようと神の尖兵をけしかけてくるはずです! それを倒すんです!」 ライムがいい終わると同時に、凄まじい速度で黒雲が空を覆った。稲光が輝き、時折轟音も響き始める。 『愚かな人の子め。性悪女神が使い魔の口車に乗り、わらわの邪魔をしようてか!』 雷に負けないほどの大音声が私の耳を叩く。 『神の怒りを知るがいい!』 瞬間、目の前が真っ白になる。空から、歪な曲線を描きつつ落ちてきた稲妻は、私の目の前十メートルほど先の砂浜に穴を穿った。 「な、何なのよ、これ……!?」 激しい風と、舞い上がった砂と、轟音。それらが少し収まった時、破壊の中心には露出過剰な衣装でグラドルのようにポーズを決める、長い黒髪のグラマラスな女性が立っていた。 『お前か。我が主に仇なす愚か者は』 胸の谷間をアピールしつつ、何やら恍惚の表情を浮かべる女。 『私は主の忠実なる僕。我が主の命により、お前のまとう面妖な水着を破りすてて、神に逆らう罪の重さを恥辱として与えてやろう』 いって、大きく息を吸い込んだ。思わず後ずさりする私。ライムはそんな私のお尻を叩く。 「何逃げてんですか! 戦って倒さないと!」 「ば、馬鹿なこといわないでよ! あんな色気むんむんの気持ち悪いおっぱいオバケに、戦いを挑めっていうの!?」 『ふ……安心せい、殺しはせぬ。慈悲深い我が主の言葉に、一寸の胸にも五分のふくらみ……というものがある。寛大な主に感謝せよ』 「……ああん?」 頭の中でなにかが切れるのを感じる。私は、不愉快な言葉を吐いた肉の塊を睨みかえした。 「あ、あれは、僕の上司がやられた煽りです! 悔しくないんですか!? あんなことをいわせておいて! いい返してやりましょうよ! 五分もあったら苦労しな……ぐえっ!」 目の前を飛ぶ羽虫を叩きおとしてから、正面に向きなおる。おお怖い、と女は私にいやらしく笑いかけてきた。 「で? どうしようっていうのよ、オ・バ・サン!」 『……ほう、身の程知らずとはこのことか。貧相なガキめ。見るがいい!』 私の言葉に、女はコメカミに青筋を立てる。 手をゆっくりと前に出し、指をパチンと鳴らす。と、同時に私の横に刺さっていたビニールパラソルが弾けとぶ。 「え……あれ? そ、そんなのありなわけ?」 頭にのぼっていた血が、一斉に下がる。バラバラになったパラソルを見つつ、女は微笑んだ。 『おうおう、失敗か。しかし安心せよ。動かねば死ぬことはない。なぁに、その水着にパラソルと同じ運命を与えてやるだけだ。ふふふ』 下品な笑い声を隠すように、口元を押さえている。私は舌打ちした。 「……ちょっと、ライム! 倒せっていうからには、方法があるんでしょ!? いくら何でも、ノープランであんなバケモノ倒すなんて無理よ!」 「当たり前です! こんなこともあろうかと、その水着には特殊な力が二つ備わっているのですから!」 いつの間にやら復活したライム。会った時から思っていたが、こいつも大概タフだ。 「まず、水着の胸元を引っ張ってください!」 いわれた通りに引っぱる、と、胸の肉まんが剥がれ、形を取りもどした。目に入った自分本来の体は、私を少し残念な気分にさせる。 「で、で? これをどうするのよ!?」 「次に、右側の肉まんをちぎってみてください!」 私は、すぐにそれを実行した。目の前にいる女は、警戒したのかすっかりと表情を変え、体重を後ろに掛けている。すぐに逃げられるように、だ。 「よし、オーケー。取ったわよライム。ふふ。これで、どうすればあいつを倒せるわけ?」 「それをお腹が空いている子供にあげるんです! 『私の胸をお食べ』という言葉と共に! たちまち子供は泣きやんで、貴方はまさに某ヒーロー! 肉まんのヒロインだから、肉ウーマン! あるいは子の字をつけて肉マン……うべっ!」 私は千切ったそれを投げ捨てて、全力でライムの首を絞めた。今度ばかりは本気で殺すつもりだった。 「お・ま・え・は……」 「ぐ、ぐるぢい。ぎ、ギブギブ……」 『はっはっは! 神の使いの前で、漫才とはな。滑稽を通りこして、哀れにすら見えるぞ!』 私は、力をゆるめずに、もう一度だけライムに声をかけた。 「……いい? ラストチャンスよ? もし、今度こんなくだらない真似をしたら、水着をバラバラにされる前に、アンタをバラバラにするからね。あいつを倒す手段は……?」 ライムは、私の手の中で必死にもがきながら、息も絶え絶えに答える。 「ひ、左を食べて、あ、あいつを殴ろうと……してみて……しぬ……」 そこまで聞いたところでライムを投げすてる。 「頼むから、まともなことになりなさいよ……」 私は、素早く左側のおっぱいを千切ると、口に放りこんだ。 『ふふ。次はどんな冗談を見せてくれるのだ? 出来れば、笑えるのを頼むぞ? あまりに可哀想で、泣けてきそうなのだ』 女はまだ笑っている。私は、軽く唇を噛んで、なにか変化が起きるのを待つ。しかし…… 「……あれ?」 なにも起こらない。美味しい、くらいだろうか。そんなことは、凄まじくどうでもよかった。 『どうした? 結局、あれだけ騒いでなにもないのか。愚かな女神に仕える使魔はやはり無能だな。はっはっは』 一しきり笑うと、さっきのように指先をこちらに向ける。 『お遊びは終わりだ。次は外さぬ。水着がバラバラになったら、ほれ。その辺に転がっているタオルでも使うがよい。……まぁ、水着を失ったその身体に隠す価値があれば、だが』 く、悔しい。 巨乳に釣られ、いきなりわけのわからないことに巻きこまれた挙句、散々馬鹿にされて恥までかかされるなんて。せめて、目の前のムカつく女を一発ぶん殴ってやりたかった。 『では、フィナーレだ!』 私は、思わず駆けだしていた。もう、まっぱにされても、一発くらい食らわせてやろう。そう思って拳を繰りだす。 「貧乳とか、貧相とか、これ見よがしな巨乳とか、インチキ臭い超能力とかっ!」 『なっ……! おい、動くな! 手元が狂ったらどうする!?』 「うんざりなのよ、馬鹿っ!」 たまっていた鬱憤をすべてゲンコツに乗せて、前に。すると、その拳がとんでもない大きさに膨れあがった。 「なっ! ええっ!?」 私の視界を覆った拳は、突然のことに慌てふためく女に、そのままの勢いでぶち当たり…… 『何だとおっ!?』 はるか彼方へと、吹っとばしたのだった。 着替えも終えて、暮れかけた夕日をバックに、私は海を見ていた。 「左の肉まんは、食べれば身体の好きな箇所の大きさを自在に調節できるようになるのです。二倍だろうが、三倍だろうが、好きなように。さっきは、相手を殴ろうとした時に無意識で拳を大きくしたんでしょうね。某海賊王のパ〇リではありません、決して」 したり顔で説明するライム。本当にタフだ、と思った。 「とりあえず、水着は完成だということは確認できました。後は、これを上司のもとへ持ちかえるだけです。本当にありがとうございました!」 深々と頭をさげる。私は、彼の様子を無表情で見つめる。 「約束どおり、おっぱいを大きくしましょう。というか、もうそれは可能になっているはずです。さっき左の肉まん食べましたよね? あれで胸も操れるはずですよ!」 「胸……ああ、そっか。そういう約束だっけ」 色々なことがありすぎて、忘れかけていた。さっきまでの、グラマーな身体が懐かしい。 「それでは、僕はこの辺で! さようなら!」 こうして、嵐のような出来事は終わった。疲れきっていた私は家に帰り、そのままベッドに倒れこんでその日は寝てしまった。 やりきった心地よい疲労感と、手に入れた超能力に満足しながら。 余談だが、次の日の朝、私は悲しい現実の壁にぶち当たり涙を流すことになる。 ライムはこういったのだ。二倍だろうが三倍だろうが思いのままだ、と。 そう。 ゼロにいくら数字をかけても、結果はゼロなのである。 |
胸咲企画 2016年06月12日 18時34分27秒 公開 ■この作品の著作権は 胸咲企画 さんにあります。無断転載は禁止です。 |
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合計 | 18人 | 370点 |
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